(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抵抗の抵抗値は、前記サブトランジスタのオン状態の時のソース−ドレイン間の抵抗値よりも大きく、前記サブトランジスタのオフ状態の時のソース−ドレイン間の抵抗値よりも小さい請求項1に記載の半導体装置。
前記メイントランジスタ及び前記サブトランジスタは、P型半導体で形成され、前記第1の端子はソースであり、前記第2の端子はドレインである請求項1に記載の半導体装置。
前記メイントランジスタ及び前記サブトランジスタは、N型半導体で形成され、前記第1の端子はソースであり、前記第2の端子はドレインである請求項1に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
図1に実施の形態1にかかる半導体装置1のブロック図を示す。実施の形態1にかかる半導体装置1では、半導体チップ上にチャージポンプ回路を有する。
図1では、このチャージポンプ回路を示した。
図1に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置1は、発振器10、昇圧ユニットBC1〜BCn、整流素子PDPn+1を有する。ここで、nは、ユニット或いは素子の個数を示す整数である。
【0012】
昇圧ユニットBC1〜BCnは、入力端子と出力端子との間に直列に接続される。昇圧ユニットBC1〜BCnは、入力端子に与えられた入力電圧VINをクロック信号CK、CKBに応じて昇圧して出力電圧VOUTを出力する。なお、実施の形態1にかかる半導体装置1では、最終段の昇圧ユニットBCnと出力端子との間に整流素子PDPn+1を有する。整流素子PDPn+1は、出力端子に接続される平滑コンデンサ(不図示)から昇圧ユニットBCn側に電流が逆流することを防止する。発振器10は、複数の昇圧ユニットのうち奇数番目の昇圧ユニットのコンデンサに第1のクロック信号CKを与え、偶数番目の昇圧ユニットのコンデンサに第1のクロック信号に対して反転した位相を有する第2のクロック信号CKBを与える。
【0013】
昇圧ユニットBC1〜BCnは、それぞれ、整流素子(例えば、PDP1〜PDPn)及びコンデンサ(例えば、C1〜Cn)を有する。実施の形態1にかかる半導体装置1では、整流素子として、メイントランジスタ、サブトランジスタ及び抵抗を有する回路を用いる。この整流素子の詳細については後述する。また、場合に応じて、整流素子PDP1〜PDPnの総称として整流素子PDPを用いる。
【0014】
また、昇圧ユニット内のコンデンサは一端が整流素子の出力端子側(例えば、ダイオード接続されたトランジスタのカソード側)と接続され、他端にクロック信号が与えられる。ここで、奇数番目の昇圧ユニットのコンデンサの他端にはクロック配線を介してクロック信号CKが与えられ、偶数番目の昇圧ユニットのコンデンサの他端にはクロック配線を介してクロック信号CKBが与えられる。
【0015】
続いて、実施の形態1にかかる発振器10について詳細な説明を行う。実施の形態1にかかる半導体装置1の発振器のブロック図を
図2に示す。
図2に示すように実施の形態1にかかる発振器10は、発振部20、クロックバッファ31、32を有する。発振器10は、インバータ21〜2i(iはインバータの数を示す整数)がループ状に接続されたリングオシレータである。そして、最終段に配置されるインバータ2iの出力端子にクロックバッファ31が接続される。また、最終段の一段前に配置されるインバータ2i−1の出力端子にクロックバッファ32が接続される。クロックバッファ31から出力されるクロック信号が第1のクロック信号CKとなり、クロックバッファ32から出力されるクロック信号が第2のクロック信号CKBとなる。
【0016】
ここで、実施の形態1にかかる発振器10は、入力電圧VINを電源電圧として動作する。この入力電圧VINは、例えば、電圧値が0.1〜0.2V程度となる微小電力源から出力されるものである。そのため、発振器10は低い電源電圧から動作可能な回路のインバータが利用される。そこで、発振器10のインバータ21〜2iとなるインバータの一例の回路図を
図3に示す。
【0017】
図3に示すように、インバータは、PMOSトランジスタMP0〜MP2、NMOSトランジスタMN0〜MN2を有する。PMOSトランジスタMP0、MP1、NMOSトランジスタMN0、MN1は、電源端子と接地端子との間に直列に接続される。より具体的には、PMOSトランジスタMP0、MP1、NMOSトランジスタMN0、MN1は、電源端子から接地端子に向かって、PMOSトランジスタMP0、MP1、NMOSトランジスタMN1、MN0の順に配置される。そして、PMOSトランジスタMP0、MP1、NMOSトランジスタMN0、MN1のゲートには入力信号Sinが入力される。また、PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1とを接続する接続点が出力端子となり、この端子から出力信号Soutが出力される。
【0018】
PMOSトランジスタMP1は、PMOSトランジスタMP0とPMOSトランジスタMP1とを接続する接続点と接地端子との間に接続される。また、PMOSトランジスタMP1のゲートはインバータの出力端子に接続される。NMOSトランジスタMN1は、NMOSトランジスタMN0とNMOSトランジスタMN1とを接続する接続点と電源端子との間に接続される。また、NMOSトランジスタMN1のゲートはインバータの出力端子に接続される。
【0019】
図3で示したインバータでは、PMOSトランジスタMP2及びNMOSトランジスタMP0を追加することで、PMOSトランジスタMP0及びNMOSトランジスタMN0がオフ状態となったときのリーク電流が出力電流Ioに影響しないように電流を流す。そのため、
図3で示したインバータは、特に電源電圧が低い状態において、入力電流(例えば、電源端子から流れ込む電流又は接地端子に排出される電流)に対する出力電流Ioの比率が高くなる。つまり、
図3に示したインバータでは、低い電源電圧であっても信号レベルの変化の応答速度を高めることができる。
【0020】
続いて、実施の形態1にかかる半導体装置1における整流素子について詳細に説明する。
図4に実施の形態1にかかる半導体装置1における整流素子PDPの回路図を示す。なお、整流素子PDP1〜PDPn+1は同じ回路であるため、
図4では、整流素子PDPnの回路を示した。
【0021】
図4に示すように、実施の形態1にかかる整流素子PDPnは、メイントランジスタ40、サブトランジスタ41、抵抗42、内部入力端子Ta、内部出力端子Tcを有する。内部入力端子Taは、前段回路に接続される端子である。外部出力端子Tcは、後段回路に接続される端子である。また、外部出力端子Tcには、
図1で示した昇圧ユニットBCnのコンデンサCnの他端が接続される。
【0022】
メイントランジスタ40及びサブトランジスタ41は、PMOSトランジスタである。メイントランジスタ40は、ダイオード接続され、内部入力端子Taから内部出力端子Tcに向かう方向に順方向電流を流す。つまり、メイントランジスタ40は、第1の端子(例えば、ソース)が内部入力端子Taに接続され、第2の端子(例えば、ドレイン)が内部出力端子Tcに接続され、制御端子(例えば、ゲート)がドレインと接続される。また、メイントランジスタ40のバックゲート端子には、サブトランジスタ41及び抵抗42を介してバックゲート電圧が与えられる。
【0023】
サブトランジスタ41は、メイントランジスタ40のソースとメイントランジスタ40のバックゲート端子との間に接続される。より具体的には、サブトランジスタ41は、第1の端子(例えば、ソース)がメイントランジスタ40のソースと接続され、第2の端子(例えば、ドレイン)がメイントランジスタ40のバックゲート端子と接続される。サブトランジスタ41の制御端子(例えば、ゲート)は、メイントランジスタ40のドレインに接続される。サブトランジスタ41のバックゲート端子は、サブトランジスタ41のドレインと接続される。
【0024】
また、整流素子PDPnでは、メイントランジスタ40のドレインとメイントランジスタ40のバックゲート端子とを接続するバックゲート配線が設けられ、このバックゲート配線上に抵抗42が設けられる。この抵抗42は、例えば、ポリシリコンで形成される。また、抵抗42の抵抗値は、サブトランジスタ41のオン状態の時のソース−ドレイン間の抵抗値(以下オン抵抗と称す)よりも大きく、サブトランジスタ41のオフ状態の時のソース−ドレイン間の抵抗値(以下オフ抵抗と称す)よりも小さくなるように設定される。
【0025】
続いて、実施の形態1にかかる半導体装置1の動作について説明する。まず、実施の形態1にかかる整流素子PDPnのバイアス状態について説明する。
図5に実施の形態1にかかる半導体装置の動作中における整流素子PDPnのバイアス状態を説明するタイミングチャートを示す。なお、
図5に示すタイミングチャートは、
図1の整流素子PDPnに関するものである。
【0026】
図5に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置1では、整流素子PDPnは、クロック信号CK、CKBの論理レベルの切り替わりに応じて順方向バイアス状態と逆方向バイアス状態とが繰り返される。
【0027】
順方向バイアス状態の期間は、クロックCKBがハイレベルとなり、コンデンサCn−1の一端にハイレベルのクロック信号が入力される。また、この期間は、クロックCKがロウレベルとなり、コンデンサCnの一端にロウレベルのクロック信号が入力される。そのため、整流素子PDPnはカソード側(内部入力端子Ta側)の電圧がアノード側(内部出力端子Tc側)よりも高くなり、整流素子PDPnに順方向電圧が印加され、コンデンサCn−1からコンデンサCnに電流が流れる。このとき、整流素子PDPnのサブトランジスタ41はオン状態となる。そのため、メイントランジスタ40のバックゲート端子には、メイントランジスタ40のソース−ドレイン間電圧をサブトランジスタ41のオン抵抗と抵抗42の抵抗値とで分圧した電圧が印加される。
【0028】
逆方向バイアス状態の期間は、クロックCKBがロウレベルとなり、コンデンサCn−1の一端にロウレベルのクロック信号が入力される。また、この期間は、クロックCKがハイレベルとなり、コンデンサCnの一端にハイレベルのクロック信号が入力される。そのため、整流素子PDPnはカソード側(内部入力端子Ta側)の電圧がアノード側(内部出力端子Tc側)よりも低くなり、整流素子PDPnに逆方向電圧が印加され、コンデンサCn−1からコンデンサCnに流れる電流は遮断される。このとき、整流素子PDPnのサブトランジスタ41はオフ状態となる。そのため、メイントランジスタ40のバックゲート端子には、メイントランジスタ40のドレインの電圧が抵抗42を介して印加される。
【0029】
つまり、実施の形態1にかかる整流素子PDPnでは、順方向電圧が印加される期間には、メイントランジスタ40が通常のバイアス状態(例えば、バックゲート端子にソース電圧が印加された状態)よりもフォワードバイアスがかかった状態となり、メイントランジスタ40に流れる電流が増加する。一方、実施の形態1にかかる整流素子PDPnでは、逆方向電圧が印加される期間は、メイントランジスタ40基板電圧とドレイン電圧との差がゼロとなるためリーク電流が抑制される。
【0030】
実施の形態1にかかる半導体装置1では、整流素子PDPnを用いることで、順方向に流れる電流を増加させながら、逆方向に流れるリーク電流を低減できる。そのため、実施の形態1にかかる半導体装置1では、チャージポンプ回路の電荷転送の効率を向上して、昇圧速度及び昇圧電圧等の昇圧能力を向上させることができる。
【0031】
ここで、上記効果を更に説明するために、比較例と実施の形態1にかかる半導体装置1とを比較して説明を行う。
図6に実施の形態1にかかる半導体装置1の比較例となる半導体装置100のブロック図を示す。
【0032】
図6に示した比較例にかかる半導体装置100は、チャージポンプ回路である。比較例にかかる半導体装置100では、実施の形態1にかかる整流素子PDPnに対応する素子を、PMOSトランジスタTP0〜TP3を用いて構成する。PMOSトランジスタTP1は、実施の形態1にかかる整流素子PDPnのメイントランジスタ40に相当するトランジスタであり、以下では、トランスファMOSと称す。
【0033】
そして、比較例にかかる半導体装置100では、トランスファMOSのバックゲート電圧の制御をPMOSトランジスタTP2、TP3を用いて行う。このPMOSトランジスタTP2、TP3を場合に応じて基板制御MOSと称す。PMOSトランジスタTP2は、トランスファMOSに順方向電圧が印加されたときにオン状態となり、順方向電圧が印加された状態での高電位側配線の電圧をトランスファMOSのバックゲートに与える。PMOSトランジスタTP3は、トランスファMOSに逆方向電圧が印加されたときにオン状態となり、逆方向電圧が印加された状態での高電位側配線の電圧をトランスファMOSのバックゲートに与える。
【0034】
つまり、比較例にかかる半導体装置1では、トランスファMOSのバックゲート端子に、トランスファMOSのソース、ドレインの電圧のうち高い側の電圧が常に印加されるように基板制御MOSを制御する。このように、実施の形態1にかかる整流素子PDPnと比較例にかかる半導体装置100では、整流素子に順方向電圧が印加されたときのトランジスタのバックゲート電圧が異なる。この違いから、比較例にかかる半導体装置100と実施の形態1にかかる半導体装置1とでは以下のような違いが生じる。
【0035】
図7に実施の形態1にかかる整流素子と比較例にかかる整流素子との電流特性の差を説明するグラフを示す。
図7に示すように、整流素子に順方向電圧が印加された状態では、実施の形態1にかかる半導体装置1の方が比較例にかかる半導体装置100よりも低い順方向電圧でより多くの電流を流すことができる。一方、整流素子に逆方向電圧が印加された状態では、実施の形態1にかかる半導体装置1と比較例にかかる半導体装置100とに大きな差はない。
【0036】
また、
図8に実施の形態1にかかる半導体装置と比較例にかかる半導体装置の出力特性の違いを説明するグラフを示す。
図8に示す例では、入力電圧VINを0.2V、チャージポンプ回路の段数nを8としたものである。
図8に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置1は、例えば、0.32V程度まで出力電圧を高める場合、比較例にかかる半導体装置100よりも早く昇圧することが可能である、また、最大昇圧電圧を比較した場合、実施の形態1にかかる半導体装置1は、比較例にかかる半導体装置100に対して10%程度高い電圧まで出力電圧を高めることができる。
【0037】
このように、実施の形態1にかかる整流素子PDPnを用いることで、チャージポンプ回路の昇圧速度及び昇圧電圧等の昇圧能力を向上させることができる。
【0038】
続いて、実施の形態1にかかる半導体装置1のレイアウトについて説明する。
図9に実施の形態1にかかる半導体装置のレイアウトを説明する図を示す。
図9では、半導体装置1としてチャージポンプ回路1を示した。このチャージポンプ回路1は、半導体チップCHP上に形成される。また、半導体チップCHP上には、パッドPD1〜PD3が形成されている。チャージポンプ回路1は、パッドPD1〜PD3とチップ内配線で接続されている。また、パッドPD1〜PD3は、半導体チップCHPが搭載されている半導体パッケージPKGのリードフレームLDFとワイヤで接続されている。また、半導体チップCHP上には静電破壊保護用ダイオードEDが形成されている。静電破壊保護用ダイオードEDは、接地電圧GNDが印加されるパッドPD2にアノードが接続され、他のパッドにカソードが接続されるように形成される。
【0039】
続いて、実施の形態1にかかるチャージポンプ回路のレイアウトについて説明する。実施の形態1にかかるチャージポンプ回路のレイアウトを説明する図を
図10に示す。
図10に示す例は、チャージポンプ回路のみのレイアウトである。また、
図10に示す例では、チャージポンプ回路の段数nを12とした例である。
図10に示すように、実施の形態1にかかるチャージポンプ回路は、発振器10のクロックバッファ及び発振部20が配置される両側に、整流素子PDPとコンデンサCnとが発振器10が形成される領域に対して対象になるように配置されている。また、昇圧ユニット1段分のコンデンサは10個のコンデンサを組み合わせることで形成される。ここで、整流素子PDPのレイアウトについて更に詳細に説明する。
【0040】
図11に実施の形態1にかかる整流素子PDPのレイアウトを説明する図を示す。
図10に示すように、実施の形態1にかかる整流素子PDPは、半導体基板Psubに抵抗42が形成され、半導体基板Psub内に形成されたNウェル上にメイントランジスタ40及びサブトランジスタ41が形成される。半導体基板PsubにはPsubコンタクトが設けられており、このPsubコンタクトにより半導体基板Psubに接地電圧が与えられる。また、Nウェルの周囲にはメイントランジスタ40及びサブトランジスタ41のバックゲート端子となるNウェルコンタクトが設けられており、このNウェルコンタクトを介してメイントランジスタ40及びサブトランジスタ41のバックゲート電圧が与えられる。
【0041】
メイントランジスタ40及びサブトランジスタ41は、拡散領域とゲート電極を有する。そして、メイントランジスタ40のソースとサブトランジスタ41のソースは共通の拡散領域に形成される。この共通の拡散領域には、前段回路からの配線が接続される。サブトランジスタ41のドレイン、Nウェルコンタクト、及び、抵抗42の一端は、これら端子を電気的に接続する配線により互いに接続される。また、メイントランジスタ40のゲート、サブトランジスタ41のゲート、メイントランジスタ40のドレイン、抵抗42の他端は、これら端子を電気的に接続する配線により互いに接続される。また、抵抗42の他端からは昇圧ユニットBCnのコンデンサCn及び後段回路に接続される配線がつながれる。
【0042】
続いて、実施の形態1にかかる整流素子PDPと比較例にかかる整流素子とにおける寄生トランジスタに関する説明を行う。
図12に実施の形態1にかかる整流素子の縦構造を示し、
図13に比較例にかかる整流素子の縦構造を説明する図を示す。
【0043】
図12に示すように、実施の形態1にかかる整流素子PDPは、半導体基板Psubの上にNウェルが形成される。そして、このNウェル内にメイントランジスタ40及びサブトランジスタ41の拡散領域となるP+領域と、NウェルコンタクトとなるN+領木が形成される。また、Nウェルの上にはゲート電極及び抵抗42が形成される。そして、実施の形態1にかかる整流素子PDPでは、メイントランジスタ40のソースをエミッタ、Nウェルをベース、半導体基板PsubをコレクタとするPNPトランジスタが寄生トランジスタとして形成される。
【0044】
しかしながら、実施の形態1にかかる整流素子PDPでは、整流素子に順方向電圧が印加された状態では順方向電圧の値に関わらず寄生トランジスタのベース−エミッタ間電圧が−0.2V以下程度となるため、逆方向電圧が印加された状態では寄生トランジスタのベース−エミッタ間電圧が0V程度の電圧となるため、この寄生トランジスタはオン状態となることはない。なお、抵抗42が無い場合、整流素子に大きな順方向電圧が印加された状態で寄生トランジスタのベース−エミッタ間電圧が−0.5V以上程度となるため、寄生トランジスタがオンするおそれがある。
【0045】
図13に示すように、比較例にかかる整流素子は、
図12に示した実施の形態1にかかる整流素子の抵抗をPMOSトランジスタTP3に置き換えた縦構造となる。そして、比較例にかかる整流素子では、PMOSトランジスタTP3のソースをエミッタ、Nウェルをベース、半導体基板PsubをコレクタとするPNPトランジスタが寄生トランジスタとして形成される。
【0046】
しかしながら、比較例にかかる整流素子では、整流素子に順方向電圧が印加された状態と逆方向電圧が印加された状態との両方の状態において、寄生トランジスタのベース−エミッタ間電圧が0Vとなるため、この寄生トランジスタはオン状態となることはない。
【0047】
ここで、実施の形態1にかかる整流素子PDPについて検討する。
図12で説明したように、実施の形態1にかかる整流素子PDPでは、寄生トランジスタの活性化を起こさないことが重要である。実施の形態1にかかる整流素子PDPでは、サブトランジスタ41及び抵抗42により、メイントランジスタ40のバックゲート電圧を印加される電圧の状態に応じて切り替えることができる。特に、実施の形態1にかかる整流素子PDPでは、順方向電圧が印加された状態で基板バイアスをフォワードバイアスにしながら、逆方向電圧が印加された状態で基板バイアスをほぼゼロとする。そのため、実施の形態1にかかる整流素子PDPでは、順方向電圧が印加された状態で寄生トランジスタを非活性化状態に維持しながら、逆方向電圧が印加された状態でバイアス状態を0Vとするための、サブトランジスタ41の抵抗値と抵抗42の抵抗値との関係が重要になる。
【0048】
サブトランジスタ41の抵抗値は、ソースからドレインに電流が流れるオン状態の時にはばらつきを考慮すると1k〜100kΩ程度である。サブトランジスタ41がオン状態となるのは、整流素子PDPに順方向電圧が印加されている状態である。ここで、整流素子PDPに順方向電圧が印加されている状態において、メイントランジスタ40のバックゲート電圧としてフォワードバイアスのかけ過ぎによる寄生バイポーラトランジスタが活性化することを防止するためには、抵抗42の抵抗値は、サブトランジスタ41のオン抵抗よりも大きくする必要がある。
【0049】
一方、サブトランジスタ41の抵抗値は、ソースからドレインに流れる電流が遮断されるオフ状態の時にはばらつきを考慮すると100MΩ以上である。サブトランジスタ41がオフ状態となるのは、整流素子PDPに逆方向電圧が印加されている状態である。ここで、整流素子PDPに逆方向電圧が印加されている状態において、メイントランジスタ40のバックゲート電圧としてサブトランジスタ41のドレイン側の電圧に近い電圧を印加するためには、抵抗42の抵抗値は、サブトランジスタ41のオフ抵抗よりも小さくする必要がある。
【0050】
上記の抵抗42の抵抗値をまとめると、抵抗42の抵抗値Rは、サブトランジスタ41のオフ抵抗(例えば、100MΩ以上)>>抵抗値R>>サブトランジスタ41のオン抵抗(例えば、1k〜100kΩ)となる。つまり、抵抗42の抵抗値としては、数100kΩ程度が好ましい。
【0051】
上記説明より、実施の形態1にかかる半導体装置1では、
図4で説明した整流素子PDPを用いることで、順方向電圧が印加された状態に流れる電流を増やしながら、逆方向電圧が印加された状態でのリーク電流を低減することができる。実施の形態1にかかる整流素子PDPを有する昇圧ユニットBCを直列に接続したチャージポンプ回路を用いることで、チャージポンプ回路の昇圧速度及び昇圧電圧等の昇圧能力を向上させることができる。特に、入力電圧VINを供給する電力源が半導体装置1が電力供給を行う負荷回路の最低動作電源電圧よりも低い電圧が最高出力電圧となる微小電力源であった場合、入力電圧VINがトランジスタが動作可能な電圧に対して余裕が小さな電圧となるため、整流素子PDPに流れる電流の増加及び整流素子PDPのリーク電流が削減される効果は大きい
【0052】
また、実施の形態1にかかる半導体装置1では、整流素子PDP内の抵抗42の抵抗値を数100kΩ程度とすることで、整流素子PDPのレイアウト上形成される寄生トランジスタの活性化を抑制することができる。
【0053】
また、実施の形態1にかかる半導体装置1では、発振器10の発振部20を
図3で説明したインバータ(例えば、シュミットトリガロジック型インバータ)を用いて実現する。これにより、実施の形態1にかかる半導体装置1では、入力電圧VINの電圧値が低い状態においても発振部20を動作させることができる。つまり、半導体装置1は、
図3に示したシュミットトリガロジック型インバータを用いることで、低い入力電圧VINに基づき高い出力電圧を生成することができる。
【0054】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる半導体装置1の別の形態となる半導体装置2について説明する。実施の形態2にかかる半導体装置2のブロック図を
図14に示す。
図14に示すように、実施の形態2では、整流素子として2種類の整流素子を用いる。
図14に示す例では、実施の形態2にかかる半導体装置2は、n段の昇圧ユニットのうち、入力端子側から数えて1段目からk段目(kは昇圧ユニットの段数を示す整数)の第1の昇圧ユニット群としてPMOSトランジスタをメイントランジスタとして利用した整流素子を有する昇圧ユニット用いる。また、実施の形態2にかかる半導体装置2は、n段の昇圧ユニットうち、入力端子側から数えてk+1段目からn段目の第2の昇圧ユニット群としてNMOSトランジスタをメイントランジスタとして利用した整流素子を有する昇圧ユニット用いる。
図14では、NMOSトランジスタをメイントランジスタとして用いる整流素子の符号としてPDNを用いた。なお、実施の形態2にかかる半導体装置2では、出力端子に接続される整流素子もNMOSトランジスタをメイントランジスタとして用いる整流素子を用いる。
【0055】
PMOSトランジスタをメイントランジスタとして用いた整流素子は、実施の形態1にかかる整流素子と同じであるためここでは説明を省略する。NMOSトランジスタをメイントランジスタとして用いた整流素子PDNについて詳細に説明する。
【0056】
図15に実施の形態2にかかる整流素子PDNの回路図を示す。
図15に示すように、実施の形態2にかかる整流素子PDNnは、メイントランジスタ50、サブトランジスタ51、抵抗52、内部入力端子Ta、内部出力端子Tcを有する。内部入力端子Taは、前段回路に接続される端子である。外部出力端子Tcは、後段回路に接続される端子である。また、外部出力端子Tcには、
図14で示した昇圧ユニットBCnのコンデンサCnの他端が接続される。
【0057】
メイントランジスタ40及びサブトランジスタ41は、NMOSトランジスタである。メイントランジスタ50は、ダイオード接続され、内部入力端子Taから内部出力端子Tcに向かう方向に順方向電流を流す。つまり、メイントランジスタ50は、第1の端子(例えば、ソース)が内部出力端子Tcに接続され、第2の端子(例えば、ドレイン)が内部入力端子Taに接続され、制御端子(例えば、ゲート)がドレインと接続される。また、メイントランジスタ50のバックゲート端子には、サブトランジスタ51及び抵抗52を介してバックゲート電圧が与えられる。
【0058】
サブトランジスタ51は、メイントランジスタ50のソースとメイントランジスタ50のバックゲート端子との間に接続される。より具体的には、サブトランジスタ51は、第1の端子(例えば、ソース)がメイントランジスタ50のソースと接続され、第2の端子(例えば、ドレイン)がメイントランジスタ50のバックゲート端子と接続される。サブトランジスタ51の制御端子(例えば、ゲート)は、メイントランジスタ50のドレインに接続される。サブトランジスタ51のバックゲート端子は、サブトランジスタ51のドレインと接続される。
【0059】
また、整流素子PDNnでは、メイントランジスタ50のドレインとメイントランジスタ50のバックゲート端子とを接続するバックゲート配線が設けられ、このバックゲート配線上に抵抗52が設けられる。この抵抗52は、例えば、ポリシリコンで形成される。また、抵抗52の抵抗値は、サブトランジスタ51のオン抵抗よりも大きく、サブトランジスタ41のオフ抵抗と称すよりも小さくなるように設定される。
【0060】
図15に示すように、実施の形態2にかかる整流素子PDNは、入力端子側にメイントランジスタ50及びサブトランジスタ51のゲートが接続され、出力端子側にメイントランジスタ50及びサブトランジスタ51のゲートが接続されない。一方、実施の形態1にかかる整流素子PDPは、
図4で説明したように、入力端子側にメイントランジスタ50及びサブトランジスタ51のゲートが接続されず、出力端子側にメイントランジスタ50及びサブトランジスタ51のゲートが接続される。トランジスタは、ゲートに印加される静電気に対して破壊耐性が低い。ここで、実施の形態2にかかる半導体装置2のように、入力端子に直接接続される位置にPMOSトランジスタをメイントランジスタとして用いる整流素子PDPを配置し、出力端子に直接接続される位置にNMOSトランジスタをメイントランジスタとして用いた整流素子PDNを用いる。これにより、実施の形態2にかかる半導体装置2は、実施の形態1にかかる整流素子PDPを出力端子と直接接続される素子として利用した場合に比べて半導体装置の静電破壊耐性を高めることができる。
【0061】
また、半導体装置2では、チャージポンプ回路の静電気に対する破壊耐性が高いため、静電破壊保護用ダイオードEDの能力を小さくすることができる。静電破壊保護用ダイオードEDは、保護能力を高めると素子サイズが大きくなりリーク電流が増える特性がある。したがって、静電破壊保護用ダイオードEDの能力を小さくすることで、実施の形態2にかかる半導体装置2は、チップサイズを小さくすることができる。また、実施の形態2にかかる半導体装置2は、静電破壊保護用ダイオードEDの能力を小さくすることで、静電破壊保護用ダイオードEDで生じるリーク電流を小さくして、チャージポンプ回路の昇圧速度及び昇圧電圧等の昇圧能力を向上させることができる。特に、低い電圧の入力電圧VINに基づきチャージポンプ回路を動作させる場合、整流素子を流れる電流が極めて小さくリーク電流がチャージポンプ回路の昇圧能力に与える影響が大きいため、リーク電流削減の効果は入力電圧VINの電圧が低い場合には効果が大きい。
【0062】
なお、第1の昇圧ユニット群及び第2の昇圧ユニット群には、同じ導電型を利用した整流素子が少なくとも1つが含まれていればよく、それぞれのユニット群に必ずしも同じ導電型を利用した整流素子が複数含まれていなくても良い。
【0063】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1、2で説明したチャージポンプ回路に他の回路を組み合わせた半導体装置61を含む半導体システム3の例について説明する。
図16に実施の形態6にかかる半導体システム3のブロック図を示す。
図16に示すように、実施の形態3にかかる半導体システム3は、電力源60、半導体装置61、負荷回路65を有する。
【0064】
電力源60は、例えば、太陽電池、熱電対、環境電波から電力を回収するエネルギーハーベスタ等の電源である。この電力源の例を
図17に示す。
図17の上段の図は、太陽電池、熱電対等の発電素子70を電力源60として利用する例である。
図17の中段の図は、アンテナ72と、アンテナ72を介して得たRF信号を直流電圧に変換するRF−DC変換回路71と、を電力源60として用いる例である。RF−DC変換回路71は、アンテナ72を介して得たRF信号をダイオードDaで半波整流し、かつ、整流したRF信号をコンデンサCaで平滑化することで直流電圧を得る。
図17の下段の図は、アンテナ72と、アンテナ72を介して得たRF信号を直流電圧に変換するRF−DC変換回路73と、を電力源60として用いる例である。RF−DC変換回路73は、アンテナ72を介して得たRF信号をコンデンサCb、ダイオードDb、Dcで全波整流して、かつ、整流したRF信号をコンデンサCcで平滑化することで直流電圧を得る。
【0065】
負荷回路65は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)等の機能回路であって、半導体装置61が出力する出力電圧VOUTを動作電源として動作する回路である。
【0066】
半導体装置61は、チャージポンプ回路62、昇圧回路63、電圧モニタ回路64を有する。チャージポンプ回路62は、実施の形態1、2で説明したチャージポンプ回路である。昇圧回路63は、チャージポンプ回路62と並列して接続される。この昇圧回路63は、例えば、スイッチングレギュレータ等のチャージポンプ回路よりも高効率な昇圧回路である。電圧モニタ回路64は、出力端子に生成される出力電圧VOUTをモニタして、出力電圧VOUTが予め設定した閾値電圧よりも低い期間はチャージポンプ回路62を動作させると共に昇圧回路63を停止し、出力電圧が閾値電圧以上の電圧値の期間はチャージポンプ回路62を停止すると共に昇圧回路63を動作させる。より具体的には、チャージポンプ回路62、昇圧回路63は、電圧モニタ回路64が出力電圧と閾値との比較結果に基づき出力する制御信号Scompにしたがって動作状態と停止状態とが切り替えられる。
【0067】
ここで、昇圧回路63及び電圧モニタ回路64の詳細について説明する。
図18に実施の形態3にかかる昇圧回路63のブロック図を示す。
図18に示すように、昇圧回路63は、インダクタ80、NMOSトランジスタ81、PMOSトランジスタ82、発振器83、コンデンサCoを有する。インダクタ80の一端には入力電圧VINが入力される。インダクタ80の他端は、NMOSトランジスタ81のドレイン及びPMOSトランジスタ82のドレインに接続される。NMOSトランジスタ81のソースは接地端子に接続される。NMOSトランジスタ81のゲートには、発振器83からクロック信号CLKが入力される。PMOSトランジスタ82のソースは、出力端子に接続される。PMOSトランジスタ82のゲートには、発振器83からクロック信号CLKが入力される。コンデンサCoは出力端子と接地端子との間に接続される。発振器83は、出力電圧VOUTを動作電源電圧として動作し、クロック信号CLKを出力する。なお、図示は省略したが、発振器83には電圧モニタ回路64が出力される制御信号Scompが入力される。
【0068】
続いて、実施の形態3にかかる電圧モニタ回路64のブロック図を
図19に示す。
図19に示すように、実施の形態1にかかる電圧モニタ回路64は、基準電圧生成回路84、比較器85、抵抗R1、R2を有する。また、電圧モニタ回路64は、出力電圧VOUTを電源電圧として動作する。
【0069】
基準電圧生成回路84は、基準電圧Vrefを出力する。抵抗R1、R2は、出力電圧VOUTが与えられる出力配線と接地端子との間に直列に接続され、出力電圧VOUTを抵抗R1、R2の抵抗値で分圧した検出電圧Vdetを出力する。比較器85は、検出電圧Vdetと基準電圧Vrefとを比較して、その比較結果を制御信号Scompとして出力する。具体的には、比較器85は、非反転入力端子に検出電圧Vdetが入力され、反転入力端子に基準電圧Vrefが入力される。そして、比較器85は、検出電圧Vdetが基準電圧Vref以上となったことに応じて制御信号Scompをロウレベルからハイレベルに切り替える。
【0070】
続いて、基準電圧生成回路84の具体的回路の一例について説明する。基準電圧生成回路84としては、例えば、バンドギャップ基準電圧源(BGR)を用いることができる。そこで、基準電圧生成回路84の一例としてバンドギャップ基準電圧源の回路図を
図20に示す。
図20に示すように、基準電圧生成回路84は、PMOSトランジスタMP11〜MP13、NMOSトランジスタMN11、MN12、抵抗R3、R4を有する。
【0071】
NMOSトランジスタMN11、MN12は、カレントミラー回路を構成する。NMOSトランジスタMN11は、ダイオード接続される。NMOSトランジスタMN12のソースと接地端子との間には、抵抗R3が接続される。PMOSトランジスタMP11は、ソースが出力配線に接続され、ドレインがNMOSトランジスタMN11のドレインと接続される。PMOSトランジスタMP12は、ソースが出力配線に接続され、ドレインがNMOSトランジスタMN12のドレインと接続される。PMOSトランジスタMP13は、ソースが出力配線に接続され、ドレインが抵抗R4を介して接地端子と接続される。また、PMOSトランジスタMP12のゲートは、PMOSトランジスタMP12のドレインと接続されると共に、PMOSトランジスタMP11、MP13のゲートと共通接続される。そして、基準電圧生成回路84では、PMOSトランジスタMP13と抵抗R4とを接続する接点から基準電圧Vrefを出力する。
【0072】
続いて、比較器85の具体的回路の一例について説明する。そこで、比較器85の一例の回路図を
図21に示す。
図21に示すように、比較器85は、PMOSトランジスタMP20〜MP23、NMOSトランジスタMN20〜MN24を有する。
【0073】
PMOSトランジスタMP20は、ソースが出力配線に接続され、ゲートとドレインが互いに接続される。PMOSトランジスタMP20のドレインとNMOSトランジスタMN20のドレインとが接続される。また、NMOSトランジスタMN20は、ソースが接地端子に接続され、ゲートとドレインが互いに接続される。NMOSトランジスタMN21、MN22のゲートは、NMOSトランジスタMN20のゲートと共通接続される。NMOSトランジスタMN21、MN22のソースは、接地端子に接続される。このPMOSトランジスタMP20及びNMOSトランジスタMN20〜MN22は電流源として機能する。
【0074】
NMOSトランジスタMN23、MN24は差動対を構成する。NMOSトランジスタMN23、MN24のソースは、NMOSトランジスタMN21のドレインと接続される。そして、NMOSトランジスタMN23のゲートは、比較器85の非反転入力端子となる。NMOSトランジスタMN24のゲートは、比較器85の反転入力端子となる。
【0075】
PMOSトランジスタMN21、MP22は、能動負荷回路として機能する。PMOSトランジスタMN21、MP22のソースは、出力配線に接続される。PMOSトランジスタMP21のゲートは、PMOSトランジスタMP21のドレインと接続される渡共に、PMOSトランジスタMP22のゲートと共通接続される。PMOSトランジスタMP21のドレインは、NMOSトランジスタMN23のドレインと接続される。PMOSトランジスタMP22のドレインは、NMOSトランジスタMN24のドレインと接続される。
【0076】
PMOSトランジスタMP23のソースは、出力配線と接続される。PMOSトランジスタMP23のゲートは、PMOSトランジスタMP22のドレインとNMOSトランジスタMN22のドレインとを接続する配線に接続される。PMOSトランジスタMP23ドレインは、NMOSトランジスタMN22のドレインと接続される。そして、比較器85は、PMOSトランジスタMP23のドレインとNMOSトランジスタMN22のドレインとを接続する接続点から制御信号Scompを出力する。
【0077】
続いて、実施の形態3にかかる半導体装置61の動作について説明する。そこで、
図22に実施の形態3にかかる半導体装置61の動作を説明するタイミングチャートを示す。
図22に示すように、実施の形態3にかかる半導体装置61では、タイミングt0の電力源60からの電力供給が開始されたタイミングでは、出力電圧VOUTが電圧モニタ回路64の閾値電圧(例えば、検出電圧Vdetが基準電圧Vrefとなる電圧)よりも低いため、チャージポンプ回路62を動作させると共に、昇圧回路63を停止状態とする。これにより、タイミングt0からチャージポンプ回路62による昇圧動作が開始される。そして、チャージポンプ回路62の昇圧動作により出力電圧VOUTが上昇して閾値電圧に達するタイミングt1で電圧モニタ回路64は制御信号Scompをロウレベルからハイレベルに切り替える。これにより、タイミングt1以降は、チャージポンプ回路62が停止状態となり、かつ、昇圧回路63が動作する状態となる。
【0078】
つまり、実施の形態3にかかる半導体装置61では、昇圧回路63が効率よく動作できる出力電圧VOUTとなるまで、チャージポンプ回路62による昇圧動作により出力電圧VOUTを上昇させる。そして、出力電圧VOUTが昇圧回路63を効率よく動作させることができる電圧よりも大きくなった場合には、チャージポンプ回路62を停止して昇圧回路63を動作させる。
【0079】
上記説明より、実施の形態3にかかる半導体装置61では、昇圧回路63が効率よく動作可能な出力電圧VOUTとなるまでチャージポンプ回路62による出力電圧VOUTの昇圧動作を行う。これにより、実施の形態3にかかる半導体装置61では、出力電圧VOUTの立ち上がりを高速化することができる。
【0080】
ここで、実施の形態3にかかる半導体装置61では、チャージポンプ回路62として、実施の形態1、2において説明したチャージポンプ回路を用いる。これにより、実施の形態3にかかる半導体装置61では、昇圧回路63が効率よく動作可能な出力電圧VOUTまでの昇圧時間を短縮することができる。つまり、実施の形態3にかかる半導体装置61では、実施の形態1、2において説明したチャージポンプ回路を用いることで、出力電圧VOUTの立ち上がりをより高速化することができる。
【0081】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0082】
例えば、上記の実施の形態にかかる半導体装置では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。