【実施例】
【0037】
以下、実施例のオイル容器および芳香拡散器について、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
【0038】
(実施例1)
実施例1のオイル容器について、
図1〜
図4を用いて説明する。
図1〜
図4に示されるように、本例のオイル容器1は、容器本体10と、芯材11と、吸収体12と、蓋部13とを有している。以下、これを詳説する。
【0039】
容器本体10は、上方に開口部101を有する有底筒状に形成されている。容器本体10は、内部に精油またはその希釈油102を貯留するためのものである。本例では、具体的には、容器本体10は、ガラスより形成されており、精油またはその希釈油102として、天然精油を貯留するためのものである。
【0040】
芯材11は、容器本体1内から精油等102を吸い上げるためのものである。本例では、具体的には、芯材11は、不織布より略短冊状に形成されており、毛細管現象によって精油等102を吸い上げ可能とされている。本例では、具体的には、芯材11は、上端部が幅広に形成されており、この幅広に形成された上端部の両側縁には、下方に向かって幅が狭くなるように一対のテーパー部111が形成されている。芯材11は、蓋部13の蓋本体131(後述する)にテーパー部111が係止されることにより、容器本体10内に脱落することなく蓋本体131に保持されるようになっている。
【0041】
吸収体12は、平面状に形成されている。また、吸収体12は、容器本体10の筒径よりも外形が大きく形成されている。吸収体12は、芯材11より吸い上げられた精油等102を吸収可能に構成されている。本例では、具体的には、吸収体12は、不織布により容器本体10の筒径よりも外径の大きな円板状に形成されている。容器本体10の筒径は、約55mmであり、吸収体12の外径は、約75mmである。
【0042】
なお、本例では、芯材11、吸収体12ともに同じ不織布にて構成されている例が示されている。芯材11、吸収体12は、上記に限らず、異なる材料から構成されていてもよい。また、本例では、芯材11と吸収体12とが別体として構成されている例が示されている。芯材11、吸収体12は、上記に限らず、両者が一体化されて構成されていてもよい。
【0043】
蓋部13は、容器本体10の開口部101に取り付けられ、芯材11と吸収体12とを保持する。本例では、蓋部13は、容器本体10に螺合されることによって取り外し可能に取り付けられる。なお、蓋部13は、プラスチック材料により形成されている。
【0044】
蓋部13は、蓋本体131と、保持部132とを備えている。蓋部13における蓋本体131は、芯材11を保持する。
【0045】
本例では、より具体的には、蓋本体131の中央部に、芯材11を挿通させるための挿通孔131aが形成されている。挿通孔131aの内壁面には、芯材11の一対のテーパー部111に対応して、下方に向かって孔径が小さくなるように一対の対応テーパー部131bが形成されている。蓋本体131の挿通孔131aに下端部から挿通された芯材11は、上端部のテーパー部111が挿通孔131aの対応テーパー部131bに当接することにより、下方へのずり落ちが規制された状態で、蓋本体131に保持される。なお、芯材11は、吸収体12の下方側の面と当接しやすいように、蓋本体131に保持された状態において上端部が蓋本体131表面から突出するように保持される。
【0046】
蓋部13における保持部132は、容器本体10の外周面よりも外方に突出し、かつ表面が外部に露出した状態で、吸収体12を保持する。本例では、具体的には、保持部132は、複数の爪部132aと、押え部132bとを有している。複数の爪部132aは、蓋本体131の外周縁より外方に突出し、吸収体12を下方から支持する。押え部132bは、吸収体12を上方から押え付けて固定する。
【0047】
本例では、より具体的には、各爪部132aは、蓋本体131の外周方向に等間隔に配置されている。各爪部132aは、吸収体12の下方側の面と蓋本体131の表面との間に隙間133が形成されるように、吸収体12を下方から支持する。隙間133が形成されることにより、この隙間133に下方からの風が吹き込みやすくなり、吸収体12に吸収された精油等102の気化がより一層促される。複数の爪部132aのうちのいくつかは、先端部に突起部132cを有している。押え部132bは、環状枠部132dと、環状枠部132dの内周を繋ぐ連結部132eとを有している。環状枠部132dには、いくつかの穴部132fが形成されている。本例では、爪部132aの突起部132cと環状枠部132dの穴部132fとが嵌合することにより、爪部132aと押え部132bとが一体化される。なお、爪部132aと押え部132bの嵌合構造は、吸収体12、芯材11を交換可能であれば特に限定されることなく種々改変することができる。
【0048】
本例では、蓋部13は、さらに、筒体134と、フロート部135とを備えている。筒体134は、蓋本体131から容器本体10内に向かって延びるとともに、内部に芯材11が挿通される。フロート部135は、筒体134の外周を筒軸方向に移動自在に設けられている。フロート部135は、精油等102に浮くことが可能に構成されており、内部に磁石135aを備えている。本例では、磁石135aは永久磁石である。
【0049】
本例では、具体的には、フロート部135は、略環状に形成されており、中央部に筒体134が貫通している。筒体134の下端部における外周面には、筒径方向外方に向かって突出する係止部135bが形成されている。フロート部135は、係止部135bによって筒体134から抜け落ちないようにされている。なお、本例では、蓋部13が、筒体134、フロート部135を有する例が示されているが、蓋部13は、筒体134、フロート部135を有していなくてもよい。
【0050】
次に、本例のオイル容器の作用効果について説明する。
【0051】
本例のオイル容器は、上記構成を有している。そのため、容器本体10内に精油等102が入れられると、精油等102は芯材11により吸い上げられる。吸い上げられた精油等102は、芯材11から吸収体12に吸収されて吸収体12の面方向に拡がる。ここで、吸収体12は、容器本体10の筒径よりも外形が大きく形成されているので、容器本体10の外周面よりも外方に突出した状態で、蓋部13の保持部132によって保持される。また、吸収体12は、表面が外部に露出した状態で、蓋部13の保持部132によって保持される。
【0052】
それ故、オイル容器1の下方から上方に向かって流れる風が存在する場合に、吸収体12における容器本体10の外周面よりも外方に突出した部分に風が当たり、吸収体12に吸収された精油等102の気化が促される。本例では、各爪部132aにより、吸収体12の下方側の面と蓋本体131の表面との間に隙間133が形成されるように、吸収体12が下方から支持されている。そのため、この隙間133に下方からの風が吹き込みやすくなり、吸収体12に吸収された精油等102の気化がより一層促される。気化によって吸収体12に吸収された精油等102が減少すると、芯材11から吸収体12に精油等102が連続的に供給される。
【0053】
それ故、本例のオイル容器1によれば、精油等102を連続的に十分に気化させやすい。
【0054】
(実施例2)
実施例2の芳香拡散器について、
図5〜
図10を用いて説明する。
図5〜
図10に示されるように、本例の芳香拡散器2は、第1空間部21と、第2空間部22と、送風ファン25と、排出口26とを有している。以下、これを詳説する。
【0055】
第1空間部21は、載置面部210を備えている。載置面部210は、オイル容器1が載置される載置部210aと、載置部210aの周囲に形成された複数の孔部210bとを有する。
【0056】
本例では、具体的には、オイル容器1として、実施例1のオイル容器1が用いられる。載置部210aは、孔部210bが形成された部分より表面が一段高くなるように構成されている。載置部210aの外周縁には、外周壁210cが立設されている。外周壁210cにより、載置部210aにおける所定位置にオイル容器1を位置ズレすることなく正確に載置することができる。複数の孔部210bは、ほぼ等間隔で載置部210aの外周に形成されている。
【0057】
本例の芳香拡散器2は、オイル容器1が載置される側となる拡散器本体201と、拡散器本体201の外周を覆う外カバー202とを有している。拡散器本体201が外カバー202に覆われることにより、第1空間部21が形成される。本例では、より具体的には、拡散器本体201は、外周面における前側に開口部201aと、開口部201aの奥に向かって広がる奥行空間201bとを有する略円柱状に形成されている。外カバー202は、筒状に形成されている。拡散器本体201の上方から外カバー202が被せられることにより、拡散器本体201の開口部201aが外カバー202の内周壁によって閉ざされ、第1空間部21が形成される。したがって、本例では、外カバー202を外すことによって現れる拡散器本体201の開口部201aを介して、オイル容器1の出し入れを行うことが可能とされている。このような構成以外にも、例えば、外カバー202を用いることなく、開口部201aに扉やシャッター(いずれも不図示)などを設けることにより、オイル容器1の出し入れを行うことが可能に構成することもできる。なお、本例では、拡散器本201体は、主に、プラスチック材料よりなり、外カバー202は、主に、金属材料、または、セラミックス材料よりなる。
【0058】
第2空間部22は、第1空間部21の下方に配置されている。第2空間部22は、孔部210bを介して第1空間部21と連通している。第2空間部22は、底面部221を有している。底面部221には、外気吸引口222が形成されている。本例では、底面部221の外側面に、複数の脚部223が設けられている。そのため、本例の芳香拡散器2は、底面部221の外側面の下方に隙間225が形成され、外気吸引口222から外気をより吸引しやすくなっている。また、本例の芳香拡散器2は、外気吸引口222にフィルター部材224が設けられており、外気とともに吸引された埃やゴミ等が第2空間部22内に入り込まないように構成されている。
【0059】
送風ファン25は、第2空間部22内に配置されている。送風ファン25は、電源スイッチ271によりオン状態またはオフ状態に切り替え可能に構成される。本例では、具体的には、電源スイッチ271は、芳香拡散器2の上部、より具体的には、拡散器本体201の上部に設けられている。なお、本例の芳香拡散器2は、底面部221に電源ジャック272が設けられており、電源ジャック272を介して外部電源(不図示)から電力の供給を受けるように構成されている。電源ジャック272は、具体的には、ACジャックである。外部電源から供給された電力は、芳香拡散器2内、より具体的には、拡散器本体201内に設けられた配線(不図示)を介して、送風ファン25等の電力を必要とする箇所に送電される。なお、芳香拡散器2は、芳香拡散器2内、より具体的には、拡散器本体201内に内蔵された乾電池(不図示)等によって動作するように構成されていてもよい。また、電源スイッチ271は、予め設定された設定時間、あるいは、任意に設定された設定時間にて自動的に電源をオフ状態とする自動電源オフ機能を有していてもよい。自動電源オフ機能を操作するタイマー操作部273は、例えば、芳香拡散器2の上部、より具体的には、拡散器本体201の上部に設けることが可能である
【0060】
送風ファン25は、電源スイッチ271がオン状態とされた際に、外気吸引口22から吸引された空気(矢印A)を孔部210bを通じて第1空間部21内に送風する。本例では、具体的には、外気吸引口222の上方に送風ファン25が配置されている。電源スイッチ271がオン状態とされると、送風ファン25が備えるファン(不図示)が回転し、外気吸引口222から空気が吸引される。また、本例では、送風ファン25における送風側に、送風ファン25による風を孔部210bに導くための送風流路251が設けられている。そのため、本例では、第2空間部22における不要な部分に送風ファン25による風が送られることがなく、孔部210bに風を確実に送ることができるようになっている。
【0061】
なお、本例では、送風ファン25は、複数の異なる間欠運転設定にて間欠運転可能に構成されている。そのため、排出口26から排出される気化した精油の量を、空間の大きさに合わせて適宜可変させることができる。送風ファン25の間欠運転によって芳香量を調節するための芳香量調節部252は、例えば、芳香拡散器2の上部、より具体的には、拡散器本体201の上部に設けることが可能である。
【0062】
排出口26は、第1空間部21の上方に形成されている。排出口26は、第1空間部21と外部とを連通している。本例では、具体的には、第1空間部21の上方に第3空間部23が形成されている。排出口26は、第1空間部21と外部との間にある第3空間部23を貫通するように形成されている。
【0063】
なお、本例では、第3空間部23は、連結空間24を介して第2空間部22と繋がっている。第3空間部23内には、芳香拡散器2の各種機能を制御するための制御基板274等が配置されている。本例において、連結空間24内は、送風ファン25等の機能性部材と制御基板274とを接続するための配線(不図示)等が通る経路とされている。
【0064】
本例の芳香拡散器2は、さらに、上方開閉シャッター28と、下方開閉シャッター29とを有している。上方開閉シャッター28は、排出口26に設けられている。下方開閉シャッター29は、外気吸引口222に設けられている。上方開閉シャッター28は、第1空間部21と外部とが連通した開状態と、第1空間部21と外部とが連通していない閉状態とに排出口26を開閉可能に構成されている。下方開閉シャッター29は、第2空間部22と外部とが連通した開状態と、第2空間部22と外部とが連通していない閉状態とに外気吸引口222を開閉可能に構成されている。
【0065】
本例の芳香拡散器2は、電源スイッチ271がオン状態とされたときに、上方開閉シャッター28および下方開閉シャッター29がいずれも開状態となるように構成されている。また、本例の芳香拡散器2は、電源スイッチ271がオフ状態とされたときに、上方開閉シャッター28および下方開閉シャッター29がいずれも閉状態となるように構成されている。
【0066】
本例では、具体的には、上方開閉シャッター28および下方開閉シャッター29は、いずれも、基端部にモータ281、291の各モータ軸が固定されている。上方開閉シャッター28および下方開閉シャッター29は、モータ281、291に加えられる正、負の電圧による正転、逆転により、上記開状態、上記閉状態に動作するように構成されている。なお、各モータ281、291は、配線により制御基板274に接続されている。
【0067】
本例の芳香拡散器2は、さらに、載置部210aに、フロート部135における磁石135aの磁界によって作動するセンサスイッチ275aを備えている。本例では、具体的には、センサスイッチ275aは、リードスイッチであり、載置部210aの裏側面に3個設けられている。3つのリードスイッチは、フロート部135における磁石135aの磁界を受けていずれかが確実に作動するように、各リードスイッチにより略三角形を形成するように配置されている。なお、各センサスイッチ275aは、配線により制御基板274に接続されている。
【0068】
本例の芳香拡散器2は、残量センサー275を有している。残量センサー275は、センサスイッチ275aがオン状態とされたときに、オイル容器1内の精油等102の補充時期が到来したことを伝えるためのものである。本例では、具体的には、残量センサー275による表示部は、芳香拡散器2の上部、より具体的には、拡散器本体201の上部に設けられている。残量センサー275は、より具体的には、センサスイッチ275aがオン状態とされたときにランプが点灯するように構成されている。
【0069】
次に、本例の芳香拡散器の作用効果について説明する。
【0070】
本例の芳香拡散器2は、上記構成を有している。そのため、第1空間部21の載置部210aにオイル容器1が載置された後、電源スイッチ271がオン状態とされると、送風ファン25が作動し、外気吸引口222から第2空間部22内に外部の空気が吸引される。第2空間部22内に吸引された空気は、孔部210bを通じて第1空間部21内に送風される。第1空間部21内に流入した風は、オイル容器1の外周面に沿ってオイル容器1の下方から上方に向かって流れる。この際、吸収体12における容器本体10の外周面よりも外方に突出した部分に風が当たり、吸収体12に吸収された精油等102の気化が促される。気化によって吸収体12に吸収された精油等102が減少すると、芯材11から吸収体12に精油等102が連続的に供給される。気化した精油等102を含む空気は、第1空間部21の上方にある排出口26から外部の空間に排出される。本例の芳香拡散器2によれば、精油等102の気化が十分に生じているため、広い空間に芳香を拡散させることができる。
【0071】
本例の芳香拡散器2は、精油等102による芳香の拡散のために、コンプレッサーやポンプが不要であるので、比較的構造が簡易である。また、本例の芳香拡散器2は、ノズルを用いていないので、ノズルのメンテナンスを行う必要もない。さらに、オイル容器1内に精油等102がある限り、精油等を連続的に気化させ続けることができ、オイルポッドのようにこまめに精油を補充する必要もない。したがって、本例の芳香拡散器2は、使い勝手がよい。
【0072】
さらに、本例の芳香拡散器2は、上方開閉シャッター28を有している。そのため、上方開閉シャッター28を閉状態とすることにより、気化した精油等102の不必要な排出口からの排出を抑制することができ、精油等102が無駄に消費されるのを抑制しやすい。また、本例の芳香拡散器2は、下方開閉シャッター29を有している。そのため、下方開閉シャッター29を閉状態とすることにより、気化した精油等102の不必要な外気吸引口222からの排出を抑制することができ、精油等102が無駄に消費されるのを抑制しやすい。
【0073】
また、本例の芳香拡散器2は、拡散器本体201と外カバー202とが別体で構成されているため、外カバー222の意匠選択の自由度が向上し、デザイン性に優れたものを得やすい。
【0074】
また、本例の芳香拡散器2は、他にも次のような作用効果を奏することができる。すなわち、吸収体12に吸収された精油等102の気化が進むにつれ、オイル容器1内に貯留されている精油等102が減っていき、精油等102の液面が下がってくる。そして、フロート部135内の磁石135aの磁界によって載置部210aに設けられたセンサスイッチ275aが作動可能な距離まで磁石135aとセンサスイッチ275aとが近付くと、センサスイッチ275aがオン状態となる。センサスイッチ275aがオン状態とされたときに、残量センサー275は、オイル容器1内の精油等102の補充時期が到来したことを伝える。そのため、本例の芳香拡散器2は、オイル容器1内の精油等102の補充時期を的確に知ることが可能となり、使い勝手をより一層向上させることができる。
【0075】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。