特許第6366491号(P6366491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366491
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】粒子センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/60 20060101AFI20180723BHJP
   G01N 27/70 20060101ALI20180723BHJP
   G01N 15/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G01N27/60 C
   G01N27/70
   G01N15/06 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-250659(P2014-250659)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-114367(P2016-114367A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 俊
(72)【発明者】
【氏名】水野 彰
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−010050(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/111403(WO,A1)
【文献】 特開2010−032488(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/111677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60−70、92
G01N 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電発生電極と高電圧印加電極とを絶縁プレートを間に挟んで該絶縁プレートの表裏に対向配置すると共に、この絶縁プレートにおける放電発生電極側の面に該放電発生電極と距離を隔てて検出用接地電極を離間配置し、粒子状物質を含む気体が流れる空間に対し前記絶縁プレートにおける前記検出用接地電極と前記放電発生電極とが配置されている面を臨ませ、前記放電発生電極と前記高電圧印加電極との間に交流高電圧を印加して沿面放電させ且つ該沿面放電により検出用接地電極にも流れる電流を計測し、その電流値に基づいて前記放電発生電極と検出用接地電極との間に堆積した粒子状物質の粒子量を検出するようにした粒子センサであって、前記放電発生電極と前記高電圧印加電極とにおける検出用接地電極に近い側のエッジ同士の間隔が、前記検出用接地電極から遠い側のエッジ同士の間隔よりも短くなるように前記放電発生電極と前記高電圧印加電極とを配置したことを特徴とする粒子センサ。
【請求項2】
放電発生電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法よりも、高電圧印加電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法の方が小さくなるように構成し、放電発生電極の検出用接地電極に近い側のエッジと、高電圧印加電極の検出用接地電極に近い側のエッジとを同じ位置に重なるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の粒子センサ。
【請求項3】
放電発生電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法よりも、高電圧印加電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法の方が小さくなるように構成し、放電発生電極の検出用接地電極に近い側のエッジよりも、高電圧印加電極の検出用接地電極に近い側のエッジを検出用接地電極側へ張り出すように配置したことを特徴とする請求項1に記載の粒子センサ。
【請求項4】
放電発生電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法よりも、高電圧印加電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法の方が小さくなるように構成し、高電圧印加電極の検出用接地電極に近い側のエッジよりも、放電発生電極の検出用接地電極に近い側のエッジを検出用接地電極側へ張り出すように配置したことを特徴とする請求項1に記載の粒子センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス中に含まれる粒子状物質を検出する粒子センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
煙道からの排気ガスやディーゼルエンジンの排気ガスには煤等の粒子状物質(Particulate Matter)が含まれており、大気汚染の原因になっている。これらの粒子を除去するために、セラミック等で作製されたパティキュレートフィルタが広く用いられている。
【0003】
ディーゼルエンジンの不具合等が発生した場合には、排気ガス中の粒子状物質が増加することにより外部に排出される粒子量が増加することが考えられる。このため、排気ガス中の粒子量を検出し、ディーゼルエンジン等の不具合等を早期に認識できるようにすることは重要である。また、パティキュレートフィルタを最適な状態で運転するためにも、パティキュレートフィルタに導入される排気ガス中の粒子量を正確に検出することが好ましい。
【0004】
排気ガス中の粒子状物質の粒子数(量)を測定するものとして、粒子の重量、電荷量、光透過(光散乱)等の物理量を検出する測定器が既に存在しているが、排気ガス中の粒子量を連続して精度良く検出できる粒子センサは存在していなかった。
【0005】
一方、研究開発中のものとしては、電極間に粒子状物質を付着させて静電容量や抵抗の変化、又は電荷量等の変化を計測するようにした粒子センサが提案されており、放電を用いて排気ガス中の粒子状物質を検出する粒子状物質検出装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0006】
この特許文献1は、板状を呈する第一の電極と、該第一の電極の一方の面を電極間誘電体で被覆し、該電極間誘電体の表面に粒子状物質を含む気体が流れる空間を介し配設されて第一の電極との間に印加される電圧によって放電をする第二の電極と、電極間誘電体の表面に対向して配設された一対の測定電極と、その一対の測定電極間における電気的特性を測定する特性測定手段とを備えている。
【0007】
そして、第一の電極と第二の電極の放電により、両電極間に配置した一対の測定電極の表面及び電極間誘電体の表面に粒子状物質を集塵させ、一対の測定電極の間における電気的特性が、堆積した粒子状物質の量との間に一定の関係を持ちつつ変化することを利用して、電気的特性の変化量を知ることにより集塵された粒子状物質の量を検出するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−032488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、斯かる特許文献1においては、一対の測定電極の間にある程度の量の粒子状物質が堆積してしまうと、排気ガス中の粒子状物質の濃度が小さく変化しても、堆積した粒子状物質の状態が殆ど変わらない虞れがあり、排気ガスに含まれる粒子状物質の変化を精度良く検出することができない懸念がある。例えば、排気ガス中の粒子状物質の濃度が極めて小さくなった場合に、堆積している粒子状物質によって排気ガス中の粒子状物質の濃度が高い値として検出されてしまう可能性がある。
【0010】
また、排気ガス中の粒子状物質の濃度を精度良く検出するためには、外部から熱や放電を加えることにより、堆積した粒子状物質を一旦除去してクリーニングすることが考えられるが、検出の度に外部から熱や放電を加えてクリーニングを行うことは煩雑であり、実用的な運用とはほど遠いものである。
【0011】
本発明は、上述の実情に鑑みてなしたものであり、粒子状物質の粒子量を高い検出精度で連続検出し得るようにした粒子センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、放電発生電極と高電圧印加電極とを絶縁プレートを間に挟んで該絶縁プレートの表裏に対向配置すると共に、この絶縁プレートにおける放電発生電極側の面に該放電発生電極と距離を隔てて検出用接地電極を離間配置し、粒子状物質を含む気体が流れる空間に対し前記絶縁プレートにおける前記検出用接地電極と前記放電発生電極とが配置されている面を臨ませ、前記放電発生電極と前記高電圧印加電極との間に交流高電圧を印加して沿面放電させ且つ該沿面放電により検出用接地電極にも流れる電流を計測し、その電流値に基づいて前記放電発生電極と検出用接地電極との間に堆積した粒子状物質の粒子量を検出するようにした粒子センサであって、前記放電発生電極と前記高電圧印加電極とにおける検出用接地電極に近い側のエッジ同士の間隔が、前記検出用接地電極から遠い側のエッジ同士の間隔よりも短くなるように前記放電発生電極と前記高電圧印加電極とを配置したことを特徴とするものである。
【0013】
而して、放電発生電極と高電圧印加電極との間に交流高電圧を印加して沿面放電させると、放電発生電極の周囲の気体の分子がプラスイオンとマイナスイオンに分離し、気体に含まれる粒子状物質が荷電され、放電発生電極と検出用接地電極との間の露出した絶縁プレートの面に前記粒子状物質が静電気力により集塵されて堆積する一方、放電領域の伸長により検出用接地電極にも僅かな電流(スライド放電)が流れることになるが、放電発生電極と検出用接地電極との間に堆積した粒子状物質の粒子量に応じて前記検出用接地電極に流れる電流値が変化するので、この粒子量と検出用接地電極に流れる電流の大きさとの関係を予め求めておけば、前記粒子状物質の粒子量を検出することが可能となる。
【0014】
しかも、交流高電圧の印加により放電発生電極と高電圧印加電極との間で沿面放電が繰り返されることにより周辺空気から活性酸素やオゾンが作られ、更には、放電発生電極と高電圧印加電極との間の絶縁プレートの表面温度も上昇するため、堆積した粒子状物質は順次酸化(燃焼)されて処理されていくことになる。
【0015】
即ち、放電発生電極と検出用接地電極との間の絶縁プレートの面に堆積した粒子状物質は、該粒子状物質の堆積によって変化する電流が検出用接地電極で検出されるのと同時に自動クリーニングされることになり、ここには気体に含まれる粒子状物質の濃度に応じた数の粒子のみが堆積することになる。
【0016】
この際、放電発生電極と高電圧印加電極とにおける検出用接地電極に近い側のエッジ同士の間隔が、検出用接地電極から遠い側のエッジ同士の間隔よりも短くなるようにしているので、放電発生電極と高電圧印加電極との間で生じる沿面放電が検出用接地電極に近い側のエッジに集中し、粒子状物質の粒子量の検出性能を下げることなく必要な印加電圧を低減することが可能となる。
【0017】
即ち、前述した通り、粒子状物質の粒子量の検出には、放電発生電極と検出用接地電極との間の放電領域に粒子状物質が付着した際の電流値変化が用いられるが、この放電領域以外にも検出と無関係な放電が発生して広がっているため、放電発生電極と高電圧印加電極との間で生じる沿面放電が検出用接地電極に近い側のエッジに集中すれば、検出と無関係な放電が減少して供給電圧の削減が図られることになる。
【0018】
更に、本発明を具体的に実施するにあたっては、放電発生電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法よりも、高電圧印加電極の検出用接地電極に対する離間方向の幅寸法の方が小さくなるように構成し、放電発生電極の検出用接地電極に近い側のエッジと、高電圧印加電極の検出用接地電極に近い側のエッジとを同じ位置に重なるように配置することが可能であり、更には、放電発生電極の検出用接地電極に近い側のエッジよりも、高電圧印加電極の検出用接地電極に近い側のエッジを検出用接地電極側へ張り出すように配置したり、高電圧印加電極の検出用接地電極に近い側のエッジよりも、放電発生電極の検出用接地電極に近い側のエッジを検出用接地電極側へ張り出すように配置したりすることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
上記した本発明の粒子センサによれば、放電発生電極と検出用接地電極との間の絶縁プレートの面に堆積した粒子状物質を、その粒子量の検出と同時に酸化処理して自動クリーニングすることができるので、粒子状物質の粒子量を高い検出精度で連続検出することができ、しかも、この粒子量の検出にあたり、放電発生電極と高電圧印加電極との間で生じる沿面放電を検出用接地電極に近い側のエッジに集中させることができるので、粒子状物質の粒子量の検出性能を下げることなく必要な印加電圧を低減することができて効率の良い粒子センサを実現することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一形態例を示す側面図である。
図2図1の第一形態例について電気系統を含めて図示した平面図である。
図3】本発明の第二形態例を示す側面図である。
図4図3の第二形態例について電気系統を含めて図示した平面図である。
図5】本発明の第三形態例を示す側面図である。
図6図5の第三形態例について電気系統を含めて図示した平面図である。
図7】本発明の第四形態例を示す側面図である。
図8図7の第四形態例について電気系統を含めて図示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1及び図2は本発明の第一形態例を示すもので、放電発生電極1と高電圧印加電極2とがセラミック製の絶縁プレート3を間に挟んで該絶縁プレート3の表裏に沿うように対向配置され、この絶縁プレート3における放電発生電極1側の面には、該放電発生電極1と距離を隔てて検出用接地電極4が離間配置されている。
【0023】
また、これらの絶縁プレート3を挟んだ電極群は、セラミック製の絶縁基板5上に設置されており、粒子状物質6を含む排気ガス7(気体)が流れる排気流路8(空間)に対し前記絶縁プレート3における前記検出用接地電極4と前記放電発生電極1とが配置されている面を臨ませるようにして前記絶縁基板5が排気管等の対象物に対し取り付けられることになるが、この際には、全体が図示しない絶縁ハウジングにより抱持されるようにしておくと良い。
【0024】
更に、前記高電圧印加電極2が、交流高電圧を発生する電圧制御器9を介してアース10に接続されていると共に、該アース10に対し前記放電発生電極1と前記検出用接地電極4も接続されており、放電発生電極1と高電圧印加電極2との間に前記電圧制御器9により交流高電圧を印加することで沿面放電を発生させるようにしてある。
【0025】
また、前記検出用接地電極4からアース10に向かう系路の途中には、電流値を計測し得る電流センサ11が配設されており、前述の放電発生電極1と高電圧印加電極2との間に生じる沿面放電により検出用接地電極4にも流れる電流が前記電流センサ11により計測されるようになっている。
【0026】
ここで、前記検出用接地電極4に流れる電流値は、放電発生電極1と検出用接地電極4との間に堆積した粒子状物質6の粒子量に応じて変化するので、この粒子量と検出用接地電極4に流れる電流の大きさとの関係を予め求めて制御装置12に計算式をプログラムしておき、該制御装置12にて前記電流センサ11からの検出信号に基づき放電発生電極1と検出用接地電極4との間に堆積した粒子状物質6の粒子量を算出できるようにしてあり、更には、その算出値から粒子状物質6の濃度Cに換算して出力できるようにもなっている。尚、前記制御装置12は、前記電圧制御器9に向けて制御信号を出力し、該電圧制御器9に適切な交流高電圧を発生させるようにもなっている。
【0027】
そして、本形態例の粒子センサにあっては、前記放電発生電極1と前記高電圧印加電極2とにおける検出用接地電極4に近い側のエッジ1a,2a同士の間隔Wa(図示例での間隔は零)が、前記検出用接地電極4から遠い側のエッジ1b,2b同士の間隔Wbよりも短くなるように前記放電発生電極1と前記高電圧印加電極2とを配置しており、特に図1及び図2に示している例では、放電発生電極1の検出用接地電極4に対する離間方向の幅寸法W1図2参照)よりも、高電圧印加電極2の検出用接地電極4に対する離間方向の幅寸法W2図2参照)の方が小さくなるように構成されており、放電発生電極1の検出用接地電極4に近い側のエッジ1aと、高電圧印加電極2の検出用接地電極4に近い側のエッジ2aとが同じ位置に重なるように配置されている。
【0028】
而して、このように粒子センサを構成した場合に、放電発生電極1と高電圧印加電極2との間に電圧制御器9により交流高電圧を印加して沿面放電させると、放電発生電極1の周囲の排気ガス7の分子がプラスイオンとマイナスイオンに分離し、排気ガス7に含まれる粒子状物質6が荷電され、放電発生電極1と検出用接地電極4との間の露出した絶縁プレート3の面に前記粒子状物質6が静電気力により集塵されて堆積する一方、放電領域の伸長により検出用接地電極4にも僅かな電流(スライド放電)が流れることになる。
【0029】
ここで、放電発生電極1と検出用接地電極4との間に堆積した粒子状物質6の粒子量に応じて前記検出用接地電極4に流れる電流値が変化するので、前記電流センサ11からの検出信号に基づき制御装置12にて放電発生電極1と検出用接地電極4との間に堆積した粒子状物質6の粒子量が算出され、その算出値から粒子状物質6の濃度Cが換算されて出力される。
【0030】
しかも、交流高電圧の印加により放電発生電極1と高電圧印加電極2との間で沿面放電が繰り返されることにより周辺空気から活性酸素やオゾンが作られ、更には、放電発生電極1と高電圧印加電極2との間の絶縁プレート3の表面温度も上昇するため、堆積した粒子状物質6は順次酸化(燃焼)されて処理されていくことになる。
【0031】
即ち、放電発生電極1と検出用接地電極4との間の絶縁プレート3の面に堆積した粒子状物質6は、該粒子状物質6の堆積によって変化する電流が検出用接地電極4で検出されるのと同時に自動クリーニングされることになり、ここには排気ガス7に含まれる粒子状物質6の濃度に応じた数の粒子のみが堆積することになる。
【0032】
この際、放電発生電極1と高電圧印加電極2とにおける検出用接地電極4に近い側のエッジ1a,2a同士の間隔Waが、検出用接地電極4から遠い側のエッジ1b,2b同士の間隔Wbよりも短くなるようにしているので、放電発生電極1と高電圧印加電極2との間で生じる沿面放電が検出用接地電極4に近い側のエッジ1a,2aに集中し、粒子状物質6の粒子量の検出性能を下げることなく必要な印加電圧を低減することが可能となる。
【0033】
即ち、前述した通り、粒子状物質6の粒子量の検出には、放電発生電極1と検出用接地電極4との間の放電領域に粒子状物質6が付着した際の電流値変化が用いられるが、この放電領域以外にも検出と無関係な放電が発生して広がっているため、放電発生電極1と高電圧印加電極2との間で生じる沿面放電が検出用接地電極4に近い側のエッジ1a,2aに集中すれば、検出と無関係な放電が減少して供給電圧の削減が図られることになる。
【0034】
従って、上記形態例によれば、放電発生電極1と検出用接地電極4との間の絶縁プレート3の面に堆積した粒子状物質6を、その粒子量の検出と同時に酸化処理して自動クリーニングすることができるので、粒子状物質6の粒子量を高い検出精度で連続検出することができ、しかも、この粒子量の検出にあたり、放電発生電極1と高電圧印加電極2との間で生じる沿面放電を検出用接地電極4に近い側のエッジ1a,2aに集中させることができるので、粒子状物質6の粒子量の検出性能を下げることなく必要な印加電圧を低減することができて効率の良い粒子センサを実現することができる。
【0035】
図3及び図4は本発明の第二形態例を示すもので、放電発生電極1の検出用接地電極4に近い側のエッジ1aよりも、高電圧印加電極2の検出用接地電極4に近い側のエッジ2aを検出用接地電極4側へ張り出すように配置した例を示しているが、この場合も放電発生電極1と高電圧印加電極2とにおける検出用接地電極4に近い側のエッジ1a,2a同士の間隔Waが、検出用接地電極4から遠い側のエッジ1b,2b同士の間隔Wbよりも短くなるようにしている。
【0036】
即ち、図1及び図2の第一形態例のように、放電発生電極1の検出用接地電極4に近い側のエッジ1aと、高電圧印加電極2の検出用接地電極4に近い側のエッジ2aとが同じ位置に重なるように配置して、放電発生電極1と高電圧印加電極2とにおける検出用接地電極4に近い側のエッジ1a,2a同士の間隔Waを零に近づけた場合に最も強い沿面放電が発生するものとは限らず、強い沿面放電を発生させるのに適当な間隔Waが必要であるとの報告例もあるので、図3及び図4の第二形態例では、高電圧印加電極2の検出用接地電極4に近い側のエッジ2aを検出用接地電極4側へ張り出して適当な間隔Waを敢えて作っている。
【0037】
尚、図5及び図6に示す第三形態例のように、放電発生電極1の検出用接地電極4に近い側のエッジ1aに対し、高電圧印加電極2の検出用接地電極4に近い側のエッジ2aと遠い側のエッジ2bが等距離に配置されるようにすれば、これら高電圧印加電極2の両側のエッジ2a,2bと放電発生電極1の検出用接地電極4に近い側のエッジ1aとの間で沿面放電が発生し易くなって該沿面放電の一層効果的な集中が期待できる。
【0038】
また、図7及び図8に示す第四形態例のように、先の第二形態例や第三形態例の場合とは反対に、高電圧印加電極2の検出用接地電極4に近い側のエッジ2aよりも、放電発生電極1の検出用接地電極4に近い側のエッジ1aを検出用接地電極4側へ張り出して適当な間隔Waを作るようにしても良い。
【0039】
尚、本発明の粒子センサは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1 放電発生電極
1a エッジ
1b エッジ
2 高電圧印加電極
2a エッジ
2b エッジ
3 絶縁プレート
4 検出用接地電極
6 粒子状物質
7 排気ガス(気体)
8 排気流路(空間)
Wa 間隔
Wb 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8