(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の操作レバー装置は、操作ダイヤルの操作を行う場合に、イネーブルスイッチを手の平で押しながら操作ダイヤルに指を掛けることになる。この状態で操作ダイヤルの上部の側面にあるリリーススイッチを指で押そうとすると、指を大きく曲げるか指の根元で押さなければならない。
【0006】
しかしながら、長時間の作業による疲労で指の力が抜けてしまったり、感電防止用の厚手のゴム手袋をはめた状態でリリーススイッチを押そうとしたりすると、指を大きく曲げることや指の根元で押すことが難しくなる。そのため、リリーススイッチを押すことに気をとられてイネーブルスイッチから手の平が浮いてしまい、操作者の意に反して操作が無効になるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、イネーブルスイッチを手の平で押しながら操作ダイヤルの操作を行う場合にイネーブルスイッチから手の平が浮くことなく、リリーススイッチと操作グリップの操作を行うことができる作業機の操作レバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意研究の結果、前記課題を解決するために以下のような作業機の操作レバー装置を採用した。
【0009】
本発明の作業機の操作レバー装置は、傾動操作可能な操作グリップと、前記操作グリップの下側に周方向に回転操作可能に設けられた操作ダイヤルと、前記操作グリップの少なくとも一部を下方に押圧操作することにより前記操作グリップの傾動操作及び前記操作ダイヤルの回転操作を有効にするイネーブルスイッチと、前記操作ダイヤルと同じ高さ位置に設けられ押圧操作することにより前記イネーブルスイッチの信号出力をオンにするリリーススイッチとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の作業機の操作レバー装置において、前記リリーススイッチを前記操作ダイヤルに設けることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の作業機の操作レバー装置において、前記操作ダイヤルの周面に複数の突起が設けられ、当該複数の突起の間に前記リリーススイッチを設けることが好ましい。
【0012】
また、本発明の作業機の操作レバー装置において、前記操作グリップを筒状に形成することが好ましい。
【0013】
また、本発明の作業機の操作レバー装置において、前記操作グリップの上部の前部に、前記操作グリップの上面から側面へ向けて傾斜する傾斜面を形成することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の作業機の操作レバー装置において、前記リリーススイッチを前記傾斜面の下方に設けることが好ましい。
【0015】
また、本発明の作業機の操作レバー装置において、前記操作グリップ自体が前記イネーブルスイッチを構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の作業機の操作レバー装置では、イネーブルスイッチを操作ダイヤルと同じ高さ位置に設けたことにより、操作者はイネーブルスイッチを手の平で押しながら操作ダイヤルの操作を行う場合にリリーススイッチを無理なく押すことが可能になる。よって、本発明の作業機の操作レバー装置は、イネーブルスイッチから手の平が浮くことなく、リリーススイッチと操作グリップの操作を行うことができる。
【0017】
また、本発明の作業機の操作レバー装置では、リリーススイッチを操作ダイヤルに設けることにより、操作者はリリーススイッチをさらに無理なく押すことが可能になるので、操作性を向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明の作業機の操作レバー装置では、操作ダイヤルの周面に設けられた複数の突起の間にリリーススイッチを設けることにより、操作ダイヤルに不意に接触があっても、突起に接触物が接触することによりリリーススイッチが押されてしまうのを防ぐことが可能になる。よって、本発明の作業機の操作レバー装置は、リリーススイッチの誤操作を防ぐことができる。
【0019】
また、本発明の作業機の操作レバー装置では、操作グリップを筒状に形成することにより操作者は操作グリップを掴みやすくなり、リリーススイッチをさらに無理なく押すことが可能になる。よって、本発明の作業機の操作レバー装置は、操作性をさらに向上させることができる。
【0020】
また、本発明の作業機の操作レバー装置では、操作グリップの上部の前部に傾斜面を形成することにより、操作者は操作グリップを掴むときに傾斜面により操作グリップに指が干渉するのが抑えられる。このため、操作者は操作グリップを掴みやすくなり、リリーススイッチをさらに無理なく押すことが可能になる。よって、本発明の作業機の操作レバー装置は、操作性をさらに向上させることができる。
【0021】
また、本発明の作業機の操作レバー装置では、リリーススイッチを傾斜面の下方に設けることにより、操作者はリリーススイッチを押す指が操作グリップで干渉するのが抑えられる。このため、操作者はリリーススイッチを容易に押すことが可能になる。よって、本発明の操作レバー装置は、操作性をさらに向上させることができる。
【0022】
また、本発明の作業機の操作レバー装置では、操作グリップ自体がイネーブルスイッチを構成することにより、操作グリップとイネーブルスイッチとを共通の部品で構成するので部品点数が抑えられる。よって、本発明の作業機の操作レバー装置は、製造コストを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態を示す高所作業車100(作業機)の側面図である。この高所作業車100は、電気工事や建設工事等において高所で作業を行うときに使用されるものである。この高所作業車100には、本発明の操作レバー装置101が設けられている。
【0026】
最初に高所作業車100の全体的な構成を簡単に説明する。この高所作業車100は、走行可能な車両1の本体部分となる車体2の前後に設けた車輪3及びアウトリガ4と、車体2上に搭載された旋回台5と、この旋回台5に基端部が起伏動可能に連結されたブーム7等とを備えている。
【0027】
旋回台5は、車体2上に設けられた旋回駆動装置6によってブーム7と一体に旋回駆動されるようになっている。
【0028】
ブーム7は、ベースブーム7Aと中間ブーム7Bと先端ブーム7Cとを有し、この順序でベースブーム7A内に外側から内側に入れ子式に組み合わされて構成されている。ブーム7は、起伏シリンダ8により起伏駆動され、伸縮シリンダ9によって伸縮駆動される。
【0029】
ブーム7の先端ブーム7Cの先端部7Caには、姿勢維持部材10と首振駆動装置11とを介して作業台12が取り付けられている。作業台12は首振駆動装置11によって首振り駆動される。
【0030】
作業台12には、操作盤13が設けられている。この操作盤13は、作業者が作業台12に搭乗した状態でブーム7の起伏・伸縮・旋回操作、作業台12の首振り操作、アクセルスイッチの操作等を行うものである。
【0031】
この操作盤13には、本発明の操作レバー装置101が設けられている。この操作レバー装置101は、ブーム7の起伏・伸縮・旋回操作を行うものである。具体的には、この操作レバー装置101は、旋回駆動装置6と起伏シリンダ8と伸縮シリンダ9とを駆動操作するものである。
【0032】
次に、
図2と
図3を用いて、本発明の操作レバー装置101の構成について説明する。この操作レバー装置101は、3軸方向(前後方向、左右方向、左右旋回方向)に操作が可能なジョイスティック型の操作レバー装置である。
【0033】
この操作レバー装置101は、操作盤13上に設けられた土台102と、土台102の上側に設けられた操作ダイヤル103と、操作ダイヤル103の上側に設けられた操作グリップ104と、操作グリップ104に設けられたイネーブルスイッチS1(括弧付きで図示)と、操作ダイヤル103と同じ高さ位置に設けられたリリーススイッチS2とを備えている。
【0034】
土台102は、上面及び下面が開口した筒状に形成されている。土台102の下側部分102aは可撓性の部材により蛇腹状に形成されている。土台102の内部には、図示しないが操作ロッドが上下方向に貫通して配置されている。この操作ロッドは、ピポット軸受けによって前後方向と左右方向に傾動可能に保持されている。
【0035】
操作ダイヤル103は、土台102の上側で操作ロッドの軸回り(周方向)に回転操作可能に設けられている。この操作ダイヤル103は、ブーム7の旋回操作に使用される。具体的には、操作ダイヤル103を右方向に回転操作することによりブーム7を右旋回させ、左方向に回転操作することによりブーム7を左旋回させる。
【0036】
また、この操作ダイヤル103は多角形の環状に形成されている。操作ダイヤル103の周面103aには、複数の突起103bが所定の間隔を置いて設けられている。この複数の突起103bは、操作ダイヤル103の周面103aを多角形状に形成することで形成されている。具体的には、操作ダイヤル103の周面103aは、
図3に示すように内側に湾曲した七つの湾曲面131aを左右に結合することにより形成されている。各湾曲面131aの結合部分が突起103bを形成している。
【0037】
操作ダイヤル103の周面103a(各湾曲面131a)には、各突起103bの左右側に、複数の縦溝103cが左右に並列して設けられている。
【0038】
操作グリップ104は、操作ダイヤル103の上側で操作ロッドに設けられており、この操作ロッドにより前後方向と左右方向に傾動操作可能に設けられている。この操作グリップ104は、ブーム7の起伏操作と伸縮操作に使用される。
【0039】
具体的には、操作グリップ104を前方向に傾動操作することによりブーム7を起仰させ、後方向に傾動操作することによりブーム7を倒伏させる。また、操作グリップ104を左方向に傾動操作することによりブーム7を伸長させ、右方向に傾動操作することによりブーム7を縮小させる。また、この操作グリップ104は、操作グリップ104から手が離れたときに、図示しないバネにより
図2に示す位置(中立位置)に復帰するようになっている。
【0040】
また、この操作グリップ104は円筒状に形成されている。操作グリップ104の上面104aは閉塞して形成され、下面(図示せず)は開口して形成されている。操作グリップ104の上部の前部141には、操作グリップ104の上面104aから側面104b(周面)へ向けて傾斜する傾斜面104cが形成されている。この傾斜面104cは、半円状に形成されている。
【0041】
また、操作グリップ104の外面(上面104a及び側面104b)は平坦に形成されている。言い換えると、操作グリップ104の外面は、突出物がないように形成されている。
【0042】
イネーブルスイッチS1は、操作グリップ104自体から構成されている。すなわち、イネーブルスイッチS1は、操作グリップ104の上面104aの高さと同じになるように操作グリップ104の上部に下方に押圧操作可能に設けられている。これによりイネーブルスイッチS1は、操作グリップ104の上面104aに突出しないで手の平で押せるように配置されている。このイネーブルスイッチS1は押されるとオンとなり、押されていないとオフとなるようになっている。また、このイネーブルスイッチS1は、オンの間は、操作グリップ104の傾動操作及び操作ダイヤル103の回転操作を有効にする信号を出力するものである。
【0043】
リリーススイッチS2は、操作ダイヤル103の周面103aにおいて、傾斜面104cの下方で且つ複数の突起103bの間に設けられている。
図3に示すようにリリーススイッチ106の高さは複数の突起103bの幅方向(操作ダイヤル103の横方向)の高さよりも低く設定されている。
【0044】
このリリーススイッチS2は押圧操作可能に設けられており、押されるとオンし、押されていないとオフするようになっている。さらに、このリリーススイッチS2は、一旦押されるとイネーブルスイッチS1の信号出力をオンにするものである。
【0045】
つまり、イネーブルスイッチS1が押された状態でリリーススイッチS2が一旦押されれば、リリーススイッチS2が常に押されていなくても、操作グリップ104の傾動操作及び操作ダイヤル103の回転操作を有効にする。また、リリーススイッチS2が先に押された状態で、イネーブルスイッチS1が押されても操作グリップ104の傾動操作及び操作ダイヤル103の回転操作は有効となる。すなわち、ブーム7の起伏・伸縮・旋回操作が可能になる。この内容について、
図4に示すブーム7の駆動システム201を用いて以下に具体的に説明する。
【0046】
ブーム7の駆動システム201は、ブーム7の駆動を制御するコントローラ51を中心にして構成されている。
【0047】
コントローラ51の入力側には、操作ダイヤル103の回転角を検出する回転角検出センサ30、操作ロッドの前後方向の傾動角を検出する第1傾動角検出センサ31、操作ロッドの左右方向の傾動角を検出する第2傾動角検出センサ32が接続されている。
【0048】
回転角検出センサ30は、図示しないが操作ダイヤル103に設けられている。第1傾動角検出センサ31及び第2傾動角検出センサ32は、図示しないが操作ロッドの下部側に設けられている。
【0049】
さらにコントローラ51の入力側には、上記のイネーブルスイッチS1及びリリーススイッチS2が保持回路50を介して接続されている。この保持回路50は、イネーブルスイッチS1がオンされている間、リリーススイッチS2がオフされてもHレベルの信号出力を保持するものである。
【0050】
このように保持回路50は、イネーブルスイッチS1のオンを有効にした状態でリリーススイッチS2をオフされてもHレベルの信号を出力し続けて、イネーブルスイッチS1がオンされている間、操作グリップ104の傾動操作及び操作ダイヤル103の回転操作を有効なものとする。
【0051】
コントローラ51の出力側には、油圧駆動回路52を介して上記の起伏シリンダ8、伸縮シリンダ9、旋回駆動装置6が接続されている。この油圧駆動回路52は、起伏シリンダ8、伸縮シリンダ9、旋回駆動装置6を油圧で駆動するものである。
【0052】
コントローラ51は、保持回路50からHレベルの信号が出力されている間、すなわちイネーブルスイッチS1がオンされている間、各センサ30〜32から出力される検出信号を読み取り、この読み取ったそれぞれの検出信号に基づいて油圧駆動回路52に制御信号を出力するように構成されている。
【0053】
油圧駆動回路52は、コントローラ51から出力された制御信号に基づいて、起伏シリンダ8、伸縮シリンダ9、旋回駆動装置6に駆動信号を出力するように構成されている。起伏シリンダ8、伸縮シリンダ9、旋回駆動装置6は、油圧駆動回路52から出力された駆動信号に基づいてブーム7の起伏・伸縮・旋回を行うように構成されている。
【0054】
次に、
図4と
図5を用いて、操作レバー装置101によるブーム7の操作方法について説明する。
【0055】
(ブーム7の操作準備)
操作者は、
図5に示すように、操作グリップ104(イネーブルスイッチS1)の上面104aに手500の平500aを載せ、指500bを伸ばして操作グリップ104と操作ダイヤル103を掴み、任意の指500b(例えば中指)をリリーススイッチS2の上に置く。
【0056】
続いて操作者は、手500の平500aで操作グリップ104(イネーブルスイッチS1)を押し、任意の指500bでリリーススイッチS2を一旦押して離す。これにより操作グリップ104(イネーブルスイッチS1)が押されている間、操作グリップ104の傾動操作及び操作ダイヤル103の回転操作が有効になる。すなわち、ブーム7の起伏・伸縮・旋回操作が有効になる。
【0057】
また、上記の内容について
図4を用いて具体的に説明する。保持回路50は、イネーブルスイッチS1とリリーススイッチS2とが押されると(オンされると)、イネーブルスイッチS1がオンの状態でリリーススイッチS2がオフになってもイネーブルスイッチS1のオンを有効にしてHレベルの信号を出力し続ける。コントローラ51は、保持回路50からHレベルの信号が出力されている間、すなわちイネーブルスイッチS1が押されている間、各センサ30〜32から出力される検出信号を読み取り、この読み取ったそれぞれの検出信号に基づいて油圧駆動回路52に対して制御信号の出力が可能になる。
【0058】
(ブーム7の起伏操作)
操作者は、ブーム7の操作準備が完了した後、イネーブルスイッチS1を手500の平500aで押した状態で、掴んでいる操作グリップ104を前後方向に傾動操作してブーム7を起伏させる。具体的には、操作グリップ104を前方向に傾動操作してブーム7を起仰させ、後方向に傾動操作してブーム7を倒伏させる。
【0059】
上記の内容について
図4を用いて説明する。操作グリップ104が前後方向に傾動操作されると、第1傾動角検出センサ31が操作グリップ104の傾動角を検出して検出信号を出力する。コントローラ51は、第1傾動角検出センサ31から出力された検出信号を読み取り、この読み取った検出信号に基づいて油圧駆動回路52に制御信号を出力する。油圧駆動回路52は、コントローラ51から出力された制御信号に基づいて起伏シリンダ8に駆動信号を出力する。起伏シリンダ8は、油圧駆動回路52から出力された駆動信号に基づいてブーム7の起伏を行う。
【0060】
(ブーム7の伸縮操作)
操作者は、ブーム7の操作準備が完了した後、イネーブルスイッチS1を手500の平500aで押した状態で、掴んでいる操作グリップ104を左右方向に傾動操作してブーム7を伸縮させる。具体的には、操作グリップ104を左方向に傾動操作してブーム7を伸長させ、右方向に傾動操作してブーム7を縮小させる。
【0061】
上記の内容について
図4を用いて説明する。操作グリップ104が左右方向に傾動操作されると、第2傾動角検出センサ32が操作グリップ104の傾動角を検出して検出信号を出力する。コントローラ51は、第2傾動角検出センサ32から出力された検出信号を読み取り、この読み取った検出信号に基づいて油圧駆動回路52に制御信号を出力する。油圧駆動回路52は、コントローラ51から出力された制御信号に基づいて伸縮シリンダ9に駆動信号を出力する。伸縮シリンダ9は、油圧駆動回路52から出力された駆動信号に基づいてブーム7の伸縮を行う。
【0062】
(ブーム7の旋回操作)
操作者は、ブーム7の操作準備が完了した後、イネーブルスイッチS1を手500の平500aで押した状態で、掴んでいる操作ダイヤル103を左右方向に回転操作してブーム7を旋回させる。具体的には、操作ダイヤル103を右方向に回転操作してブーム7を右旋回させ、左方向に回転操作してブーム7を左旋回させる。
【0063】
上記の内容について
図4を用いて説明する。操作ダイヤル103が左右方向に回転操作されると、回転角検出センサ30が回転角度を検出して検出信号を出力する。コントローラ51は、回転角検出センサ30から出力された検出信号を読み取り、この読み取った検出信号に基づいて油圧駆動回路52に制御信号を出力する。油圧駆動回路52は、コントローラ51から出力された制御信号に基づいて旋回駆動装置6に駆動信号を出力する。旋回駆動装置6は、油圧駆動回路52から出力された駆動信号に基づいてブーム7の旋回を行う。
【0064】
(ブーム7の操作終了)
操作者は、操作グリップ104(イネーブルスイッチS1)から手500を離す。これにより操作グリップ104の傾動操作及び操作ダイヤル103の回転操作が無効になる。すなわち、ブーム7の起伏・伸縮・旋回操作が無効になる。
【0065】
上記の内容について
図4を用いて説明する。イネーブルスイッチS1から手500を離すとイネーブルスイッチS1がオフになる。これにより保持回路50からHレベルの信号が出力されず、また各センサ30〜32から検出信号が出力されない。したがって、コントローラ51は油圧駆動回路52に制御信号を出力しなくなり、油圧駆動回路52は、起伏シリンダ8、伸縮シリンダ9、旋回駆動装置6の駆動を停止する。
【0066】
次に、本実施の形態の操作レバー装置101の効果を列挙して説明する。
【0067】
(1)本実施の形態の操作レバー装置101は、傾動操作可能な操作グリップ104と、操作グリップ104の下側に周方向に回転操作可能に設けられた操作ダイヤル103と、操作グリップ104を下方に押圧操作することにより操作グリップ104の傾動操作及び操作ダイヤル103の回転操作を有効にするイネーブルスイッチS1と、操作ダイヤル103と同じ高さ位置に設けられ押圧操作することによりイネーブルスイッチS1の信号出力をオンにするリリーススイッチS2とを備えている。
【0068】
これにより操作者は、イネーブルスイッチS1を手500の平500aで押しながら操作ダイヤル103の操作を行う場合に、長時間の作業による疲労で指500bの力が抜けている状態や感電防止用の厚手のゴム出袋をはめ指先の感覚が分かりづらい状態でも、リリーススイッチS2を無理なく押すことが可能になる。よって、本実施形態の操作レバー装置101は、イネーブルスイッチS1から手500の平500aが浮くことなく、リリーススイッチS2と操作グリップ104の操作を行うことができる。すなわち、本実施形態の操作レバー装置101は、イネーブルスイッチS1から手500の平500aが浮かないだけでなくリリーススイッチS2が押しやすくなり、リリーススイッチS2を押した状態でのレバー操作(操作グリップ104の操作)がし易くなったので、操作性を向上させることができる。その結果、操作者の意に反して操作レバー装置101の操作が無効になるおそれがなくなる。
【0069】
(2)また、本実施の形態の操作レバー装置101では、リリーススイッチS2を操作ダイヤル103に設けた。これにより、操作者はリリーススイッチS2をさらに無理なく押すことが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作性を向上させることができる。
【0070】
(3)また、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作ダイヤル103の周面103aに複数の突起103bが設けられ、複数の突起103bの間にリリーススイッチS2を設けた。これにより操作ダイヤル103に不意に接触があっても、突起103bに接触物が接触することによりリリーススイッチS2が押されてしまうのを防ぐことが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、リリーススイッチS2の誤操作を防ぐことができる。
【0071】
(4)また、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作グリップ104を筒状に形成した。これにより操作者は操作グリップ104を掴みやすくなり、リリーススイッチS2をさらに無理なく押すことが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作性をさらに向上させることができる。
【0072】
(5)さらに、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作グリップ104の上部の前部141に、操作グリップ104の上面104aから側面104bへ向けて傾斜する傾斜面104cを形成した。これにより操作者は、操作グリップ104を掴むときに傾斜面104cにより操作グリップ104に指が干渉するのが抑えられる。このため、操作者は操作グリップ104を掴みやすくなり、リリーススイッチS2をさらに無理なく押すことが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作性をさらに向上させることができる。
【0073】
(6)また、本実施の形態の操作レバー装置101では、リリーススイッチS2を傾斜面104cの下方に設けた。これにより操作者は、リリーススイッチS2を押す指500bが操作グリップ104で干渉するのが抑えられるので、リリーススイッチS2を容易に押すことが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作性をさらに向上させることができる。
【0074】
(7)また、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作グリップ104自体がイネーブルスイッチS1を構成するようにした。これにより操作グリップ104とイネーブルスイッチS1とを共通の部品で構成するので部品点数が抑えられる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、製造コストを抑えることができる。さらに、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作グリップ104とイネーブルスイッチS1が一体となることで、操作グリップ104とイネーブルスイッチS1の間に溝がなくなり、故障の原因となる異物等が挟まらないため品質を向上させることができる。
【0075】
(8)また、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作グリップ104の外面(上面104a及び側面104b)を平坦に形成した。すなわち、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作グリップの外面に突出物がないように形成した。これにより操作者は、操作グリップ104をさらに掴みやすくなり、リリーススイッチS2をさらに無理なく押すことが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作性をさらに向上させることができる。
【0076】
(9)さらに、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作ダイヤル103の周面103aにおいてリリーススイッチS2の高さを複数の突起103bの幅方向(操作ダイヤル103の横方向)の高さよりも低く設定した。これにより操作ダイヤル103に不意に接触があっても突起103bに接触物が接触しやすくなり、リリーススイッチS2が押されてしまうのを十分に防ぐことが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、リリーススイッチS2の誤操作の防止性を高めることができる。
【0077】
(10)さらに、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作ダイヤル103の周面103aに複数の突起103bを設けた。これにより操作者は、指500bを複数の突起103bにかけて操作ダイヤル103を掴むことで操作ダイヤル103を容易に回転させることが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作ダイヤル103の操作性を向上させることができる。
【0078】
(11)さらに、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作ダイヤル103の周面103aの各突起103bの左右側に複数の縦溝103cを設けた。これにより操作者は、操作ダイヤル103を摘むときに指500bが複数の縦溝103cに引っ掛かって滑りが抑えられるので、操作ダイヤル103を容易に回転させることが可能になる。よって、本実施の形態の操作レバー装置101は、操作ダイヤル103の操作性をさらに向上させることができる。
【0079】
以上、本発明に係る実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本発明の内容を限定するものではない。また、本発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0080】
例えば、本実施の形態の操作レバー装置101では、操作グリップ104自体がイネーブルスイッチS1を構成した。しかし、イネーブルスイッチS1は、操作グリップ104の少なくとも一部を構成すれば良い。例えば、図示しないが操作グリップの上面にイネーブルスイッチを設けるようにしても良い。
【0081】
また、本実施の形態の操作レバー装置101では、リリーススイッチS2を操作ダイヤル103に設けることによりリリーススイッチS2を操作ダイヤル103と同じ高さ位置に設けた。しかし、リリーススイッチS2を必ずしも操作ダイヤル103に設ける必要はなく、操作ダイヤル103と同じ高さ位置に設ければ良い。例えば、操作ダイヤル103の形状が環状でなく、C字状のように環状から一部が欠けている形状の場合には、欠けている部分にリリーススイッチS2を設けても良い。
【0082】
また、本実施の形態では、本発明の操作レバー装置101をブーム7の操作に使用する場合について説明したが、操作レバー装置で操作される対象物(構造物や機器等)はブーム7に限定されない。また、本実施の形態では、本発明の操作レバー装置101を高所作業車100に設けた場合について説明したが、クレーン等の他の作業機に設けても良い。