(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の容器では、キャップを捻って開封した場合でも、キャップを再装着した場合には、キャップと容器本体の首部に残っている開封防止リングとが密着するため、開封された状態であるか否かを容易に確認できないという問題があった。また、開封後であっても開封防止リングが容器本体側に残ってしまうので、容器の分別廃棄の際に容器本体から開封防止リングを切り取って取り外さなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、ペットボトルなどの円筒径の首部を有する容器本体と首部を密閉するキャップの開封/未開封状態が容易に確認でき、かつ、容器本体とキャップとを分別廃棄しやすいキャップ及び首部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0007】
上記「発明が解決しようとする課題」において述べた問題を解決するためになされた発明は、容器(10)の円筒状の首部(14)に装着される基部(22)と、容器(10)の首部(14)の開口部を閉鎖するためのキャップ部(24)と、を備えたキャップ構造であって、キャップ部(24)は、外周の少なくとも1箇所に外側に突出した第1突起部(24a)と、第1突起部(24a)よりも上側に、外周全域に亘って、第1突起部(24a)側から順次形成された第2溝部(24b)及び第2溝部(24b)よりも径の小さな第3溝部(24c)と、を備え、基部(22)は、内周の少なくとも1箇所に、キャップ部(24)を周方向に回転させたときに、第1突起部(24a)の上部と滑り接触して、基部(22)をキャップ部(24)の向きに押し上げるカム形状のカム部(22a)と、外周の少なくとも1箇所にキャップ部(24)の外周に、基部(22)がキャップ部(24)の向きに押し上げられたときに第2溝部(24b)及び第3溝部(24c)に順次嵌合する第2突起部(22b)を備えていることを特徴とするキャップ構造である。
【0008】
このようなキャップ構造では、基部(22)の第2突起部(22b)をキャップ部(24)の第2溝部(24b)に嵌合させた状態で、基部(22)とキャップ部(24)(以下、基部(22)とキャップ部(24)とを合わせて、単にキャップ(20)と呼ぶ)とを容器(10)の首部(14)に装着する。すると、首部(14)の開口部がキャップ部(24)の内端面に接触して密閉される。
【0009】
また、この状態(基部(22)とキャップ部(24)とが一体化していないとき、つまり、キャップ(20)が未開封の状態)では、第3溝部(24c)が外部に現れているため、視認したり、指先で触れたりすることによりキャップ(20)が未開封であることを容易に確認することができる。
【0010】
つまり、使用者が健常者であっても視覚障害がある場合であっても、キャップ(20)が未開封状態であることを容易に確認することができる。
さらに、この状態からキャップ部(24)を捻る(円周方向に回動させる)と、キャップ部(24)の第1突起部(24a)の上部が基部(22)のカム部(22a)に滑り接触して押し上げられ、基部(22)の第2突起部(22b)がキャップ部(24)の第3溝部(24c)に嵌合して、基部(22)とキャップ部(24)とが一体化する。
【0011】
基部(22)とキャップ部(24)とが一体化した状態で、キャップ部(24)を反対方向又は同一方向に捻ると、一体化した基部(22)とキャップ部(24)とが容器(10)から取り外され、首部(14)の開口部が開放され、容器(10)内部の内容物を開口部から外部へ排出することができる。
【0012】
また、キャップ(20)を分別廃棄する場合には、基部(22)とキャップ部(24)とが一体になっているため、キャップ(20)を廃棄すればよい。つまり、従来のキャップ(20)のように、開封後に容器(10)側に開封防止リングが残らないため、分別廃棄時に容器(10)から開封防止リングを,切り取るなどして除去する必要がない。したがって、非常に効率よく分別廃棄を行うことができる。
【0013】
さらに、基部(22)とキャップ部(24)とが一体化した場合、つまり、キャップ(20)が開封状態になった場合には、第3溝部(24c)が外部に現れなくなるため、視認したり、指先で触れたりして第3溝部(24c)を確認することができなくなる。したがって、使用者が健常者であっても視覚障害がある場合であっても、キャップ(20)が開封状態であることを容易に確認することができる。
【0014】
ところで、キャップ部(24)の第1突起部(24a)や基部(22)のカム部(22a)は、それぞれ、キャップ部(24)と基部(22)の円周方向に少なくとも1個あればよいが、請求項2に記載のように、キャップ部(24)と基部(22)の円周方向に均等の間隔で4箇所設けられていると、キャップ部(24)を捻ったときに、第1突起部(24a)とカム部(22a)の接触部分に均等に力が加わるので、スムーズな操作が可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、容器(10)の円筒状の首部(14)に装着される基部(32)と、容器(10)の首部(14)の開口部を閉鎖するためのキャップ部(34)と、を備えたキャップ構造であって、キャップ部(34)は、外周の少なくとも1箇所に、外側に突出した第5突起部(34a)と、内周の少なくとも1箇所に、開放端側に突出した爪部(34b)と、を備え、基部(32)は、上端の内周側に突出した第6突起部(32a)と、第6突起部(32a)の下側に間隔を空けて形成された第9突起部(32b)と、内周側に、キャップ部(34)を周方向に回転させたときに、爪部(34b)の下部と滑り接触して、基部(32)をキャップ部(34)の向きに押し上げる斜面を形成している斜板部(32d)と、を備えていることを特徴とするキャップ構造である。
【0016】
このようなキャップ構造によれば、請求項1に記載のキャップ構造と同様に、開封後には、基部(32)とキャップ部(34)とが一体になったキャップ(30)を一体で分別廃棄できる。
【0017】
基部(32)がキャップ部(34)に押し上げられない状態では、基部(32)下端と首部(14)との間に隙間がなく、基部(32)がキャップ部(34)に押し上げられた状態で一体化した場合には、基部(32)下端と首部(14)との間に隙間ができる。
【0018】
したがって、視認したり、指先で触れたりすることによりキャップ(20)が未開封であることを容易に確認することができる。つまり、使用者が健常者であっても視覚障害がある場合であっても、キャップ(30)が未開封状態であることを容易に確認することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、容器(10)の円筒状の首部(14)に装着される基部(42)と、容器(10)の首部(14)の開口部を閉鎖するためのキャップ部(44)と、を備えたキャップ構造であって、基部(42)は、上端に内周側に突出した第10突起部(42a)と、第10突起部(42a)の下側に間隔を空けて形成された第11突起部(42b)と、を備え、キャップ部(44)は、外周の少なくとも1箇所に、外側に突出した第12突起部(44c)と、第12突起部(44c)に形成され、第11突起部(42b)が嵌合した状態で、キャップ部(44)を周方向に回転させたとき、
第11突起部(
42b)と滑り接触して、基部(42)をキャップ部(44)の向きに押し上げる第7溝部(44b)と、を備えていることを特徴とするキャップ構造である。
【0020】
このようなキャップ構造によれば、請求項1に記載のキャップ構造と同様に、開封後には、基部(42)とキャップ部(44)とが一体になったキャップ(40)を一体で分別廃棄できる。
【0021】
また、請求項3に記載のキャップ構造と同様に、基部(42)がキャップ部(44)に押し上げられない状態では、基部(42)下端と首部(14)との間に隙間がなく、基部(42)がキャップ部(44)に押し上げられた状態で一体化した場合には、基部(42)下端と首部(14)との間に隙間ができる。
【0022】
したがって、視認したり、指先で触れたりすることによりキャップ(40)が未開封であることを容易に確認することができる。つまり、使用者が健常者であっても視覚障害がある場合であっても、キャップ(40)が未開封状態であることを容易に確認することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、容器(10)の開口部近傍に、円筒状に形成された首部(14)であって、首部(14)の下端部分に円周方向に、第1溝部(14a)が形成され、
首部(14)は、第1溝部(14a)の上端部から、円筒状の中心軸方向に所定の長さで、第1溝部(14a)の上端を下端として、外周側面が下方向
に開く形の傘状に形成され、円周方向の少なくとも1箇所には、外周面の円周方向に沿い、かつ、中心軸方向に対して右斜め方向に、傘状に広がっている部分が切り欠かれた第1凹部(14b)が形成され、第1溝部(14a)には、第1凹部(14b)の右側内辺を延長するように、左外辺が第1凹部14bの右側内辺を延長した形状に形成されるとともに、右外辺は略垂直方向に直線上に形成さ
れ、全体としては略台形状
の柱部(14c)が形成され、柱部(14c)の円周方向の横には、柱部(14c)の右片から離隔した位置で、第1溝部(14a)の下端が底辺となるように、略立方体状の第3突起部(14d)が形成されていることを特徴とする首部構造である。
【0024】
このような首部構造によれば、例えば、請求項1〜請求項4に記載のキャップ構造と組み合わせて、キャップ(20)を首部(14)に装着し、上方から押し込めば、首部(14)の開口部を密閉状態とし、キャップ(20)を捻れば開放状態とすることができ、キャップ(20)の密閉・開放を簡単に行うことができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、容器(10)の開口部近傍に、円筒状に形成された首部(14)であって、首部(14)の下端部分に円周方向に、第1溝部(14a)が形成され、
首部(14)は、第1溝部(14a)の上端部から、円筒状の中心軸方向に所定の長さで、第1溝部(14a)の上端を下端として、外周側面が下方向
に開く形の傘状に形成され、
首部(14)の円周方向の少なくとも1箇所には、外周面の円周方向に沿い、かつ、中心軸方向に対して右斜め方向に、傘状に広がっている部分が切り欠かれた第1凹部(14b)が形成され、第1凹部(14b)の右側辺を延長した部分に、左側辺が第1凹部(14b)の右側辺を延長した形状に形成された第7突起部(14f)が形成され、また、第1溝部(14a)の下端部分には、上辺が略中心軸に対し垂直、右辺が斜面で、全体として台形形状に形成された第8突起部(14g)が形成されていることを特徴とする首部構造である。
【0026】
このような首部構造によれば、例えば、請求項1〜請求項4に記載のキャップ構造と組み合わせて、キャップ(20)を首部(14)に装着し、上方から押し込めば、首部(14)の開口部を密閉状態とし、キャップ(20)を捻れば開放状態とすることができ、キャップ(20)の密閉・開放を簡単に行うことができる。
【0027】
本件の発明は、容器(10)の開口部近傍に、円筒状に形成された首部(14)であって、開口部近傍の外周面がネジ形状に形成され、下端部の外周の少なくとも1箇所に第10突起部(14h)が形成されていることを特徴とする首部構造であ
ってもよい。
【0028】
このような首部構造によれば、例えば、請求項1〜請求項4に記載のキャップ構造のキャップ(20)の内側面に、首部(14)の外側面に形成されたネジと嵌合するネジを形成しておけば、例えば、従来のPETボトルなどの容器と同じように密閉・開放操作を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[飲料容器の構造]
図1は、飲料容器1の概略の構成を示す外観図であり、
図2は、容器本体10の概略の構成を示す断面図であり、
図3は、キャップ20の概略の構成を示す断面図である。なお、
図2では、容器本体10をブロー成形する前のプリフォームの状態で示している。
【0031】
飲料容器1は、内容物を、水、スポーツドリンク、ジュースあるいは清涼飲料水等とするPETボトルであり、
図1に示すように、容器本体10とキャップ20とからなる。
また、
図2に示すように、容器本体10は、ボディー12と首部14とから成っている。ボディー12は、PET製(Polyethylene terephtalate製の略)の底のある円筒形の容器であり、首部14は、ボディー12の直径よりも小さな直径の円筒形のPET製の飲み口である(ただし、
図2においては、容器本体10がプリフォーム状態で示してあるため、首部14の直径がボディー12の直径よりも大きくなっている)。
【0032】
首部14の中心軸方向に対して開口部から約三分の二の位置からボディー側に向かって、首部の外周面が傘状に広がるように形成され、首部14のボディー12に対する付け根部分の外周面には、第1溝部14aが設けられている。
【0033】
また、首部14の円周方向の4箇所には、外周面の円周方向に沿い、かつ、円筒形の首部14の中心軸方向に対して右斜め方向に(右上がり)、傘状に広がっている部分が切り欠かれて第1凹部14bが形成されている。
【0034】
さらに、第1溝部14aには、第1凹部14bの右側内辺を延長するように柱部14cが設けられている。この柱部14cは、左外辺が第1凹部14bの右側内辺を延長した形状(斜め右に傾いた略直線)をしており、右外辺は略垂直方向(中心軸方向)に直線上に形成されており、全体としては略台形状になっている。
【0035】
また、4箇所の柱部14cのうちの対向する位置にある2箇所の円周方向の横には、柱部14cの右片から離隔した位置で、第1溝部14aの下端が底辺となるように、略立方体状の第3突起部14dが設けられている。換言すると、柱部14cと第3突起部14dにより、隙間部14eが形成されることとなる。
【0036】
キャップ20は、
図3に示すように、容器本体10の首部14に装着される基部22と、容器の首部14の開口部を閉鎖するためのキャップ部24と、を備えたキャップ構造である。
【0037】
キャップ部24には、ポリプロピレンなどの樹脂材料を円筒状に形成した、いわゆる蓋であり、下端側の外周の4箇所に外側に突出した第1突起部24aが形成されている。
また、第1突起部24aよりも上側に、外周全域に亘って第2溝部24bが形成され、さらにその上側に、第2溝部24bよりも径の小さな第3溝部24cが形成されている。
【0038】
また、キャップ部24の内側底面(上部底面)には、首部14の開口部先端が勘合する第4溝部24dが円周方向に形成されている。
さらに、キャップ部24の先端(開口部側)の内周面の4箇所に第13突起部24eが形成されている。この第13突起部24eは、キャップ20を容器10の首部14に装着した際に第1溝部14aに嵌合してキャップ20を首部14に固定するための突起である。
【0039】
基部22は、内周の4箇所にカム部22aが形成されている。このカム部22aは、キャップ部24を周方向に回転させたときに、第1突起部24aの上部と滑り接触して、基部22をキャップ部24の向きに押し上げるカム形状をしている。
【0040】
また、基部22の上端の内周の4箇所に、基部22がキャップ部24の向きに押し上げられたときに、キャップ部24の第2溝部24b及び第3溝部24cに順次嵌合する第2突起部22bが形成されている。
【0041】
また、基部22の内側面には、基部22を首部14に装着したときに、首部14の隙間部14eに嵌合する位置に第4突起部22cが形成されている。
[キャップの作動]
次に、
図4に基づいて、基部22とキャップ部24の作動について説明する。
図4は、基部22とキャップ部24の作動の様子を示す図である。
【0042】
基部22とキャップ部24とは、金型を用いて、ポリプロピレンなどの樹脂材料を射出成形などの樹脂成形によって形成しているが、その場合、
図4(a)中にAで示す部分で接続されて一体化されている。
【0043】
そして、成形した後に、キャップ部24を固定した状態で基部22をキャップ部24に向かって(
図4(a)中矢印で示す向きに)押し込むことにより、
図4(a)中にAで示す部分が切断されて、
図4(b)に示すように、基部22の第2突起部22bがキャップ部24の第2溝部24bに嵌合して、一体化されるようになっている。
【0044】
このように一体化された基部22とキャップ部24とにおいては、
図2(b)に示すように、キャップ部24の第1突起部24aの上辺部が基部22のカム部22aに接触した状態になる。
【0045】
そして、一体化された基部22とキャップ部24とを容器本体10の首部14に装着(この装着方法については後述する)すると、キャップ部24の底部(内面の上部の円形部分)の第4溝部24dに容器本体10の首部14の先端が嵌合して密着する。したがって、キャップ部24で首部14を密封することができ、容器本体10を密封状態にすることができる。
【0046】
この状態で、キャップ部24を、上方から見て左回転させると、
図4(b)〜
図4(c)に示すように、第1突起部24aの上辺部が基部22のカム部22aに接触して滑りながら、基部22を上方に(キャップ部24に向かって)押し上げる。
【0047】
すると、基部22の第2突起部22bが、キャップ部24の第2溝部24bから抜けで上方に移動し、
図4(c)に示すように、第3溝部24cに嵌合する。
この状態になると、
図4(c)に示すように、第1突起部24aがカム部22aから離隔するので、キャップ部24は、上方から見て左右方向いずれにも回転できるようになる(いわゆる空回りができるようになる)。
[容器に対するキャップの装着]
次に、容器本体10に対するキャップ20の着脱方法について説明する。容器本体10にキャップ20を装着する場合には、基部22の第2突起部22bがキャップ部24の第2溝部24bに勘合した状態(第3溝部24cが外部から確認できる状態)で、基部22の第4突起部22cが首部14の隙間部14eに勘合するように、キャップ20を、首部14の開口部側からボディー12の向きに押し込む。
【0048】
すると、第13突起部24eが容器10の首部14の第1溝部14aに嵌合するとともに、基部22の第4突起部22cが首部14の隙間部14eに勘合して、基部22が容器10に固定される。
[容器からのキャップの取り外し]
容器本体10にキャップ20を装着した状態で、前述のようにキャップ部24を、上方からみて左向きに捻ると、基部22が押し上げられ、第2突起部22bがキャップ部24の第3溝部24cに勘合する。
【0049】
この状態では、基部22の第4突起部22cが首部14の隙間部14eから抜け出るので、基部22を上から見て左回転させると、キャップ20全体が容器本体10から離脱する。
「キャップの特徴]
以上のような構造のキャップ20によれば、キャップ20が容器本体10に装着された状態では、第3溝部24cが外部に現れた状態になっている。したがって、第3溝部24cを視認したり、視覚障害者が指先で確認したりすることによりキャップ20が未開封状態であることを確認することができる。
【0050】
また、キャップ部24を捻ると基部22が押し上げられ第3溝部24cが外部に現れない状態になるため、その状態を視認したり、視覚障害者が指先で確認したりすることにより、キャップが開封状態であることを確認することができる。
【0051】
さらに、キャップ20を分別廃棄する場合には、基部22とキャップ部24とが一体になっているため、キャップ20を廃棄すればよい。つまり、従来のキャップのように、開封後に容器側に開封防止リングが残らないため、分別廃棄時に容器本体10から開封防止リングを切り取るなどして除去する必要がないため、非常に効率よく分別廃棄を行うことができる。
[第2実施形態]
次に、
図5に基づき第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態におけるキャップの概略の構成と作動を示す断面図である。
【0052】
第2実施形態では、第1実施形態のキャップ20の基部22及びキャップ部24における構造が逆転している。つまり
図5(a)に示すように、第1実施形態の第1突起部24aの代わりにキャップ30のキャップ部34の先端(開口端)の外側面に第5突起部34aが形成されている。この第5突起部34aは、周方向に均等の間隔で4箇所設けられている。
【0053】
また、キャップ部34の開放端の内側面に爪部34bが設けられている。
図5(a)に示すように、爪部34bは、先端が右下がりの斜面になっており、斜面が後述する基部32の斜板部32dの斜面に沿って滑り接触するカムを形成している。なお、爪部34bは、周方向に均等の間隔で4箇所設けられている。
【0054】
さらに、キャップ部34の先端(開口部側)の内周面の4箇所に第14突起部34cが形成されている。この第14突起部34cは、キャップ30を容器10の首部14に装着した際に第1溝部14aに嵌合してキャップ30を首部14に固定するための突起である。
【0055】
また、基部32の内側面に上端側から順に第6突起部32a及び第9突起部32bが形成されている。この第6突起部32aと第9突起部32bとの間に第5溝部32cが形成されることになる。
【0056】
また、基部32の内側面の上端から約3分の1の高さに、斜板部32dが設けられている。この斜板部32dは、キャップ部34の爪部34bの斜面と滑り接触するように右下がりの斜面を形成しており、カムを形成している。
【0057】
このような第2実施形態のキャップ30では、基部32とキャップ部34とが
図5(a)にBで示す部分で一体化して射出成形などの樹脂成形によって形成され、その後、基部32がキャップ部34に押し込まれ、キャップ部34の第5突起部34aが、基部32の第5溝部32cに嵌合して一体化される。
【0058】
そして、容器本体10にキャップ30を装着する場合には、一体化されたキャップ30首部14の開口部側からボディー12の向きに押し込む。すると、第13突起部34cが容器10の首部14の第1溝部14aに嵌合して、基部32が固定される。
【0059】
この状態で、キャップ部34を上から見て左回りに捻ると、基部32の斜板部32dの斜面とキャップ部34の爪部34bの斜面とが滑り接触し、基部32がキャップ部34に向かって押し上げられる。
【0060】
そして、基部32が押し上げられると、第5突起部34aが、基部32の第9突起部32bの下部にまで到達するようになる。この状態になると、基部32が首部14から外れ、キャップ30は、基部32とキャップ部34とが一体化した状態で開封状態となる。
【0061】
このように第2実施形態におけるキャップ30を用いることによって第1実施形態におけるキャップ20と同様に、キャップ30の開封時に、基部32とキャップ部34とが一体化されて容器本体10から取り外しが可能となるため、効率よく分別廃棄を行うことができる。
【0062】
また、
図5(b)に示すように、基部32がキャップ部34に押し上げられない状態では、基部32下端と首部14との間に隙間がなく、基部32がキャップ部34に押し上げられた状態で一体化した場合には、
図5(c)に示すように、基部32下端と首部14との間に隙間ができる。
【0063】
したがって、視認したり、指先で触れたりすることによりキャップ30が未開封であることを容易に確認することができる。つまり、使用者が健常者であっても視覚障害がある場合であっても、キャップ30が未開封状態であることを容易に確認することができる。
[第3実施形態]
次に、
図6に基づき、第3実施形態について説明する。
図6は、第3実施形態におけるキャップ40の概略の構成と作動を示す断面図である。
【0064】
第3実施形態におけるキャップ40では、
図6(a)に示すように、基部42の上端の内周に全周に亘って、基部42がキャップ部44の向きに押し上げられたときに、キャップ部44の第6溝部44aに嵌合する第10突起部42aが形成されている。この第10突起部42aの先端部は、キャップ部44の第6溝部44a(キャップ部44の外側面)に隙間なく接触できるように、平坦な形状になっている。
【0065】
また、第10突起部42aの下部に隙間を空けて第11突起部42bが全周に亘って形成されている。この第11突起部42bは、後述するキャップ部44の第7溝部44bに嵌合するように、先端が丸みを帯びた形状になっている。第3実施形態では、この第11突起部42bがカムを形成している。
【0066】
一方、
図6(a)に示すように、キャップ40のキャップ部44の下端部外側面には、周方向に均等の間隔で4箇所、基部42の第11突起部42bが嵌合する第7溝部44bが形成されている。この第7溝部44bは、キャップ部44の下端部の外側面に左上がりとなるように突出した第12突起部44cの中心軸に沿って穿たれた溝であり、左上端部分が下方に抉られて、凹部を形成している。第3実施形態では、この第7溝部44bが第11突起部42bとともにカムを形成している。
【0067】
さらに、キャップ部44の先端(開口部側)の内周面の4箇所に第15突起部44dが形成されている。この第15突起部44dは、キャップ40を容器10の首部14に装着した際に第1溝部14aに嵌合してキャップ40を首部14に固定するための突起である。
【0068】
このような第3実施形態のキャップ40では、基部42とキャップ部44とが
図6(a)にCで示す部分で一体化して射出成形などの樹脂成形により形成され、その後、基部42がキャップ部44に押し込まれ、基部42の第10突起部42aがキャップ部44の側面(第11突起部42bの直上部分)の第6溝部44aに接触するとともに、第11突起部42bが第7溝部44bに嵌合する。
【0069】
そして、容器本体10にキャップ40を装着する場合には、一体化されたキャップ40首部14の開口部側からボディー12の向きに押し込む。すると、第15突起部44dが容器10の首部14の第1溝部14aに嵌合して、基部42が固定される。
【0070】
この状態で、キャップ部44を、上から見て左回りに捻ると、基部42の第11突起部42bがキャップ部44の第7溝部44bを滑り接触しながら左上方向に押し上げられる。それに伴い、基部42がキャップ部44に向かって押し上げられる。
【0071】
そして、基部42が押し上げられると、第11突起部42bが、第7溝部44bの左上端の凹部に勘合し、基部42が首部14から外れ、キャップ40は、基部42とキャップ部44とが一体化した状態で開封状態となる。
【0072】
つまり、第3実施形態におけるキャップ40によっても第1実施形態のキャップ20と同様に、キャップ40の開封時に、基部42とキャップ部44とが一体化されて容器本体10から取り外しが可能となるため、効率よく分別廃棄を行うことができる。
【0073】
また、
図6(b)に示すように、基部42がキャップ部44に押し上げられない状態では、基部42下端と首部14との間に隙間がなく、基部42がキャップ部44に押し上げられた状態で一体化した場合には、
図6(c)に示すように、基部42下端と首部14との間に隙間ができる。
【0074】
したがって、視認したり、指先で触れたりすることによりキャップ40が未開封であることを容易に確認することができる。つまり、使用者が健常者であっても視覚障害がある場合であっても、キャップ40が未開封状態であることを容易に確認することができる。
[第4実施形態]
次に、
図7に基づき、第4実施形態について説明する。
図7は、第4実施形態における容器本体10の概略の構成を示す断面図である。
【0075】
第4実施形態では、容器本体10の首部14の形状が第1実施形態のものと異なっている。つまり、第4実施形態における首部14では、第1凹部14bの右側辺を延長した部分に第7突起部14fが形成されている。第7突起部14fの左側辺は第1凹部14bの右側辺を延長して形成されており、縦方向の長さは、第1溝部14aの縦方向の長さの約2分の1となっている。
【0076】
また、第1溝部14aの下端部分には、第8突起部14gが形成されている。第8突起部14gは、左辺が中心軸方向に略垂直になっており、上辺が略中心軸に対し垂直、右辺が斜面となっており、全体として台形形状に形成されている。
【0077】
このような構造の首部14によれば、第1実施形態の容器本体10と同じように、第1実施形態のキャップ20、第2実施形態のキャップ30および第3実施形態のキャップ40を着脱することができる。したがって、効率よく分別廃棄を行うことができる。
【0078】
また、第2実施形態及び第3実施形態における作動と同様に、基部42がキャップ部44に押し上げられない状態では、基部42下端と首部14との間に隙間がなく(
図6参照(b))、基部42がキャップ部44に押し上げられた状態で一体化した場合には、基部42下端と首部14との間に隙間ができる(
図6(c)参照)。
【0079】
したがって、視認したり、指先で触れたりすることによりキャップ40が未開封であることを容易に確認することができる。つまり、使用者が健常者であっても視覚障害がある場合であっても、キャップ40が未開封状態であることを容易に確認することができる。
[第5実施形態]
次に、
図8に基づき、第5実施形態について説明する。
図8は、第5実施形態における容器本体10の概略の構成を示す図である。
【0080】
第5実施形態における容器本体10の首部14は、
図8に示すように、円筒状に形成されており、その外周目に、開口部から中心軸方向の下方に、首部14の長さの約2分1の長さにネジ14iが形成されている。
【0081】
このネジ14iは、
図8に示すように、装着するキャップ20の内面に形成されたネジと嵌合すれば、ネジ形状の途中が切り欠かれ炊いてもよいし、連続的に形成されていてもよい。
【0082】
また、首部14の下端部の外周の対向する2箇所には、第10突起部14hが形成されている。この第10突起部14hは、左側面が、首部14の下端から略垂直方向上に向かって略直線状に形成され、上面が略平行(円周方向)の略直線状に形成されている。
【0083】
また、右側面は、上面から首部14下端に向けて、略直線状に傾斜して形成されており、全体として略台形形状となっている。
この首部14に装着するキャップは、第1実施形態のキャップ20である。ただし、キャップ20におけるキャップ部24の内側面に、第5実施形態の首部14のネジ14iと嵌合するネジが形成されている必要がある。
【0084】
以上のような首部14にキャップ20を装着する場合には、従来のPETボトルのキャップと同様に、首部14のネジ14iにキャップ20のネジを嵌合させて捻るようにすれば、キャップ20の密閉・開放が可能となる。