(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャップが、外キャップと該外キャップの内側に固定される内キャップとを備え、該内キャップに前記スリット弁が固定されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の塗布容器。
前記キャップが、硬質の樹脂材料で形成されたキャップ本体と、弾性材料により形成されて前記キャップ本体の外面を覆う外皮材とを備え、前記収容部の一部が前記外皮材により区画されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の塗布容器。
【背景技術】
【0002】
塗布容器は、収容部に内容物を収容するとともに、収容部に収容した内容物を塗布体によって塗布対象物に直接塗布することができるようにしたものであり、手を汚すことなく内容物を塗付対象物の広い範囲に満遍なく塗布することができることから種々の内容物を収容する容器として用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、粉末の化粧料を内容物として収容する容器本体を、2つの区画に分割された収容部と、収容部の内側に配置され当該収容部の底部近傍に向けて延びるダクトとを備えた構成とし、このダクトの内部に内容物を塗布するためのブラシを収容するとともに、当該ブラシに固定されたキャップを容器本体に着脱自在に装着するようにした塗布容器が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、粉末の化粧料を内容物として収容する容器本体の内部に有底の筒体を設け、この筒体の側壁に通過孔を設けるとともに当該筒体の内側に化粧料を塗布するためのブラシを収容し、筒体の開口を容器本体の口部とともにキャップで閉塞するようにした塗布容器が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載されるような従来の塗布容器では、容器本体からの内容物の漏れ出しを防止するために、容器本体は開口を上方に向けた正立姿勢で保管されるようになっており、保管時には内容物がブラシに付着されない構成となっている。そのため、内容物を塗布する際には、容器本体を上下に振ったり上下反転させるように回転させたりして内容物をブラシに付着させる作業を行う必要があり、この点で内容物を塗布対象に塗布する作業が煩雑であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャップを取り外すだけの簡単な操作で塗布対象物に対する内容物の塗布作業をすぐに開始することができる塗布容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塗布容器は、底部を備えたヘッド本体と、該底部とは反対側に向けて突出する凸形に形成された塗布面が設けられた塗布体と、を有する塗布ヘッドと、前記塗布ヘッドに着脱自在に装着されて前記塗布面を覆うキャップと、前記キャップに前記塗布面の側に向けて開口して設けられ、内部に流動性を有するゲル状の内容物を収容する収容部と、軟材質によりスリットを備え
るとともに前記塗布面と同一方向に向けて凹む凹形の膜状に形成された弁本体と、前記弁本体の周縁部に連ねて設けられて前記キャップに固定される固定部とを有し、前記収容部の開口に装着されるスリット弁と、を有し、前記スリット弁は、前記キャップが前記塗布ヘッドから取り外された状態においては、前記スリットが閉じられて前記収容部の開口を閉塞し、前記キャップが前記塗布ヘッドに装着された状態においては、前記弁本体の周縁部が全周に亘って前記塗布面に押し付けられて該塗布面に密着するとともに該押付けにより前記弁本体が変形して前記スリットが開かれることを特徴とする。
【0009】
本発明の塗布容器は、上記構成において、前記塗布面が半球形状に形成されるとともに、前記弁本体が前記塗布面よりも曲率の大きい半球形状に形成されているのが好ましい。
【0010】
本発明の塗布容器は、上記構成において、前記塗布面が弾性変形自在に形成されているのが好ましい。
【0011】
本発明の塗布容器は、上記構成において、前記キャップが、外キャップと該外キャップの内側に固定される内キャップとを備え、該内キャップに前記スリット弁が固定されているのが好ましい。
【0012】
本発明の塗布容器は、上記構成において、前記キャップが、硬質の樹脂材料で形成されたキャップ本体と、弾性材料により形成されて前記キャップ本体の外面を覆う外皮材とを備え、前記収容部の一部が前記外皮材により区画されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヘッド本体の底部を下側として塗布容器を保管しておけば、内容物が塗布面に付着した状態とされるので、キャップを取り外すだけの簡単な操作で塗布対象物に対する内容物の塗布作業をすぐに開始することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0016】
図1に示す本発明の一実施の形態である塗布容器1は塗布ヘッド10とキャップ20とを有し、ほぼ卵形となる外形形状に形成されている。
【0017】
塗布ヘッド10は内容物を塗布対象物に対して塗布するものであり、
図2に示すように、ヘッド本体11と塗布体12とを有している。
【0018】
ヘッド本体11は、例えば樹脂材料によりカップ状に形成され、その底部11aはヘッド本体11つまり塗布容器1を開口端側が上方に向く起立姿勢で置くことができるように平坦な形状に形成されている。
【0019】
一方、塗布体12は円筒部12aと塗布部12bとを備えており、円筒部12aの下端側部分がヘッド本体11の開口内側に嵌め込まれることによりヘッド本体11に固定されている。円筒部12aの、ヘッド本体11から突出する部分の外周面には雄ねじ12cが一体に設けられている。また、円筒部12aは凹凸係合部13によってヘッド本体11に対して回り止めされている。
【0020】
塗布部12bは円筒部12aの上端に当該円筒部12aと一体に設けられている。塗布部12bは、底部11aとは反対側(
図1、
図2中で上方側)に向けて突出する凸形の塗布面14を備えている。図示する場合では、塗布面14ないし塗布部12bは半球形状に形成されている。
【0021】
塗布面14は内容物が付着する部分であり、使用者はヘッド本体11を把持して塗布面14に付着した内容物を、当該塗布面14を用いて塗布対象物に塗布することができる。
【0022】
塗布面14は弾性変形自在に形成されるのが好ましい。塗布面14は、例えば塗布体12をゴムやエラストマー等の弾性体で形成し、あるいは樹脂材料で形成された塗布部12bの厚みを薄くすることで弾性変形自在な構成とすることができる。塗布面14を弾性変形自在に形成することにより、内容物の塗布時における塗布感や凹凸形状への適応性を高めることができる。
【0023】
キャップ20は外キャップ21と内キャップ22とを備えている。外キャップ21と内キャップ22は、それぞれ樹脂製とすることができる。
【0024】
外キャップ21はキャップ20の外郭を形成するものであり、下向きに開口するキャップ状となっている。外キャップ21の開口近傍の内周面には雌ねじ21aが形成されており、この雌ねじ21aを塗布体12の雄ねじ12cにねじ結合させることにより、外キャップ21つまりキャップ20は塗布ヘッド10に着脱自在に装着される。キャップ20が塗布ヘッド10に装着されると、当該キャップ20により塗布ヘッド10に設けられた塗布面14が覆われ、塗布容器1は閉じた状態とされる。
【0025】
外キャップ21の内部には収容部23が一体に設けられている。収容部23は、外キャップ21の内面と当該内面から突出する円筒部とによって区画形成されており、キャップ20が塗布ヘッド10に装着された状態において塗布面14の側に向けて開口している。収容部23は、例えば痒み止めなどのクリーム状の薬剤やファンデーションやリップクリーム等の化粧料など、流動性を有するゲル状の内容物(比較的粘度の高い流動性の内容物)を収容することができる。
【0026】
収容部23の開口にはスリット弁30が装着され、このスリット弁30により収容部23の開口が閉塞されている。本実施の形態では、スリット弁30は内キャップ22に固定され、この内キャップ22とともに外キャップ21に固定されて収容部23の開口を閉塞する。
【0027】
スリット弁30は、例えばゴムやエラストマー等の軟材質により形成される。このスリット弁30は弁本体30aと固定部30bとを有する。
【0028】
弁本体30aは、塗布面14と同一方向に向けて凹む凹形であって、所定の厚みの膜状に形成されている。図示する場合では、弁本体30aは半球形状に形成され、その曲率は塗布面14よりも大きくされている。また、弁本体30aの中心にはスリット31が設けられている。
図3に示すように、このスリット31は弁本体30aと中心が一致する十字形に形成されている。なお、スリット31は開閉可能な形状であればどのような形状でもよく、例えば、一字形状や放射形状などを採用することができる。
【0029】
固定部30bは円筒状に形成され、その一端側において弁本体30aの周縁部30cに一体に連なっている。また、固定部30bの他端側は径方向外側に向けて突出する挟持部30dとなっている。
【0030】
一方、内キャップ22は内筒部22aと外筒部22bとが湾曲壁22cで一体に連ねられた構成となっており、内筒部22aの上端部分が収容部23の外側に嵌合するとともに外筒部22bが外キャップ21の内周面に嵌合して外キャップ21の内側に固定されている。なお、内筒部22aと収容部23との嵌合部分および外筒部22bと外キャップ21の内周面との嵌合部分に、それぞれアンダーカット部を設けることもできる。また、内筒部22aと収容部23との嵌合部分および嵌外筒部22bと外キャップ21の内周面との嵌合部分を、それぞれ互いにねじ結合される構成とすることもできる。
【0031】
内キャップ22の湾曲壁22cは、塗布面14に対応した形状に形成され、
図1に示すように、キャップ20が塗布ヘッド10に装着されると塗布面14に所定の間隔を空けて対向する。なお、湾曲壁22cは、周縁部30cが塗布面14に押し付けられることによるスリット31の開放動作(詳細は後述する)を妨げることがなければ、キャップ20が塗布ヘッド10に装着されたときに塗布面14に当接する構成とすることもできる。
【0032】
スリット弁30は、その挟持部30dが内筒部22aの内周面に設けられた段差部22dと内筒部22aの内側に嵌合固定される弁押さえ部材32との間に挟み込まれることにより内キャップ22に固定されている。
【0033】
このように、収容部23の開口に装着されるスリット弁30は、内キャップ22を介して外キャップ21つまりキャップ20に固定される構成とされている。したがって、
図4に示すように、キャップ20を倒立姿勢つまり収容部23の開口を上方に向けた姿勢とし、この状態で収容部23に内容物Mを充填した後、スリット弁30が固定された内キャップ22を外キャップ21の内側に固定することで、収容部23に内容物を容易に充填することができる。
【0034】
図5に、収容部23に内容物Mを収容した状態の塗布容器1の半断面図を示す。
【0035】
図5に示すように、収容部23に内容物Mを収容したキャップ20が塗布ヘッド10に装着された状態の塗布容器1が、その底部11aを下側として置かれた状態では、スリット弁30は、その曲率が塗布面14よりも大きくされていることから、弁本体30aの周縁部30cが塗布面14に軸方向(キャップ20を塗布ヘッド10に装着する方向)に向けて押し付けられ、これにより周縁部30cが塗布面14に全周に亘って密着する。また、周縁部30cは塗布面14に押し付けられることにより上方に押し上げられ、これにより弁本体30aが弾性変形してスリット31が僅かに開かれる。
【0036】
スリット31が僅かに開かれると、収容部23に収容されている内容物Mがスリット31を通して弁本体30aと塗布面14との間に浸み出して塗布面14に付着する。このとき、弁本体30aの周縁部30cが塗布面14に全周に亘って密着しているので、スリット31から浸み出した内容物は、塗布面14の周縁部30cの内側の部分にのみ付着し、外部に漏れ出すことがない。つまり、塗布ヘッド10の底部11aを下側として塗布容器1を保管しておくだけで、キャップ20に収容されている内容物Mが塗布ヘッド10の塗布面14に移行される。
【0037】
そして、この状態でキャップ20を塗布ヘッド10から取り外すと、
図6に示すように、塗布ヘッド10は、塗布面14に内容物Mが付着した状態とされる。したがって、使用者は、塗布ヘッド10のヘッド本体11を把持して、塗布面14に付着した内容物を塗布対象物に塗布することができる。
【0038】
このように、本発明によれば、塗布ヘッド10の底部11aを下側として塗布容器1を保管しておけば、使用時には、キャップ20を取り外すだけの簡単な操作で、塗布対象物に対する内容物の塗布作業をすぐに開始することができる。
【0039】
また、上述のように、塗布面14を弾性変形自在に形成しておけば、塗布作業時における塗布感を向上させ、また、凹凸形状への塗布面14の適応性を高めることができる。
【0040】
一方、キャップ20が塗布ヘッド10から取り外された状態つまり自然状態においては、スリット弁30は、スリット31が閉じられて収容部23の開口を閉塞する。したがって、内容物Mを塗布するために収容部23に内容物Mが充填された状態でキャップ20を塗布ヘッド10から取り外しても、収容部23の開口はスリット弁30により閉塞されているので、例え開口を下側に向けてキャップ20を放置したとしても、塗布作業を行っている間にキャップ20から内容物が外部に漏れ出すことが防止される。
【0041】
図7(a)は
図1に示す塗布容器の変形例の半断面図であり、
図7(b)は
図7(a)に示す塗布容器の外皮材を押して内容物を押し出している状態を示す半断面図である。なお、
図7においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0042】
図7に示すように、キャップ20は、キャップ本体40と外皮材41とを備えた構成とすることもできる。
【0043】
図示する場合では、キャップ本体40を、それぞれ硬質の樹脂材料により形成される外キャップ21と内キャップ22とを組み合わせて形成するようにしている。この場合、外キャップ21は、
図1における外キャップ21と相違して、収容部23の一端側を区画する天壁部分が欠落した形状に形成されている。
【0044】
なお、キャップ本体40は、外キャップ21と内キャップ22とを組み合わせることなく、硬質の樹脂材料の一体品として形成することもできる。
【0045】
一方、外皮材41は、例えばエラストマー等の弾性材料により形成されてキャップ本体40の外面全体を覆っている。また、外皮材41は、キャップ20の天壁部分を構成する天壁部41aを備えており、収容部23の一端側はこの天壁部41aによって区画されている。天壁部41aは上方に向けて突出する湾曲形状を有し、キャップ20を
図1に示すキャップ10と同様の外形形状に形成している。
【0046】
天壁部41aは収容部23の内部に向けて弾性変形自在となっており、
図7(b)に示すように、天壁部41aを収容部23の内部に向けて押し込むことにより、収容部23の内部容積を低減させることができる。したがって、塗布容器1を底部11aが下側となる正立姿勢としたまま天壁部41aを収容部23の内部に向けて押し込むことにより、収容部23に収容された内容物をスリット弁30から塗布面14に押し出して、より多くの内容物Mを塗布面14に付着させることができる。また、塗布容器1の姿勢に拘わらず、つまり塗布容器1を正立姿勢としなくても、天壁部41aを収容部23の内部に向けて押し込むことにより、スリット弁30を通して内容物Mを塗布面14に押し出して内容物Mを塗布面14に付着させることができる。
【0047】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0048】
例えば、前記実施の形態においては、塗布面14およびスリット弁30の弁本体30aを、それぞれ半球面形状に形成するようにしているが、これらを例えば円筒面等の他の凸形ないし凹形に形成することもできる。
【0049】
また、前記実施の形態においては、塗布容器1を卵型の外形形状に形成するようにしているが、例えば円柱形状に形成するなど、当該形状は種々変更可能である。