(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
ところで、例えば電子部品の電極間に接続配線を形成して、全ての電子部品の電極を電気的に接続する方法としては、例えば
図15に示す方法が考えられる。先ず、電子部品100単位に4つの電極102がマトリクス状に配列形成された場合を想定する。この場合、電子部品100単位に四隅に隣接する電子部品100の電極102と導通をとるための例えば円形のパッドパターン104(導通パターン)を形成することが考えられる。例えば多数個取り基板106に予め分離用の溝108を形成している場合は、これら分離用の溝108の交差部にパッドパターン104が形成される。分離用の溝108とは、電子部品100単位に分離するための溝である。
【0006】
その後、電解めっきを行うと、めっき層は、各電極層全面に形成されると共に、電極層につながるパッドパターン104全面にも形成される。つまり、本来、必要のない部分にも多量のめっき層が形成され、めっきの消費量が多くなる。これは、コスト増につながる。
【0007】
また、電極102全面にめっき層が形成されると、その後の実装工程で以下のような問題が生じるおそれがある。例えばめっき層上に導電材(例えば半田層)を形成して、配線基板等に実装する場合、実装上の圧力によって導電材が横方向にはみ出し、導電材同士で接触し、短絡するおそれがある。特に、電極102間の隙間が狭い集積度の高い電子部品100の場合、上述の問題が顕著に生じるものと思われる。従って、電子部品100の小型化、高集積化には限界がある。もちろん、その後の工程で、導電材同士が接触した部分を分離する工程を追加することが考えられるが、さらなるコスト増となる。
【0008】
また、電子部品100単位に特性検査を行う場合、多数個取り基板106を分離して多数の電子部品100に分離した後、検査工程に搬送して行うこととなる。しかし、分離された電子部品100単位に特性検査を行うことは煩雑である。そこで、一旦、多数の電子部品100をそれぞれ電子部品100同士が導通しないように、例えば仕切り板を有する治具上に揃えて設置してから、個々の特性検査を行う。
【0009】
そのため、上述した方法では、多数の電子部品100を検査工程に搬送する手間と、多数の電子部品100を治具上に設置する手間がかかり、工数が増え、コスト増につながるという問題がある。
【0010】
他の方法としては、電極102間を導通するためのパッドパターン104を形成せずに、電極102上に無電解めっきにてめっき層を形成することが考えられる。しかし、無電解めっきを適用した場合には、めっき硬度が高くなってしまうため、その後の工程で品質不具合が発生してしまう。この問題が回避困難であるため、電解めっきを選定することが主流となっている。
【0011】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、下記効果を奏する電子部品を提供することを目的とする。すなわち、本発明で提供される電子部品は、導電材同士の接触による短絡を防止でき、しかも、めっきの消費量の低減を図ることができ、電子部品の小型化、高集積化、コストの低減化を実現させることができる。
【0012】
また、本発明の他の目的は、下記効果を奏する電子部品の製造方法を提供する。すなわち、多数個取り基板の状態で、電子部品単位の特性検査を行うことが可能であるばかりでなく、導電材同士の接触による短絡を防止でき、しかも、めっきの消費量の低減を図ることができる。小型化、高集積化、コストの低減化を実現させることができる電子部品を作製することができる。
【0013】
[1] 第1の本発明に係る電子部品は、基板と、前記基板上に形成された電極層と、
前記電極層の外側にはみ出すことなく前記電極層の上面に形成され、前記電極層の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層と、を有し、前記電極層の上面のうち、該電極層の外周の少なくとも一部を含む部分が前記めっき層から露出していることを特徴とする。
【0014】
[2] 第1の本発明において、前記めっき層から露出している前記部分は、前記電極層の外周全てを含んでもよい。
【0015】
[3] 第1の本発明において、前記電極層の上面形状が多角形であって、前記めっき層から露出している前記部分は、前記電極層の外周のうち、少なくとも1つの辺を含んでもよい。
【0016】
[4] 第1の本発明において、前記電極層の上面形状が多角形であって、前記めっき層から露出している前記部分は、前記電極層の外周のうち、1つの辺の一部を含んでもよい。
【0017】
[5] 第1の本発明において、前記めっき層は、電子部品の実装の際に用いられる導電材の濡れ性が、前記電極層よりも優れていることが好ましい。
【0018】
[6] 第2の本発明に係る電子部品の製造方法は、原板上に、電子部品単位にそれぞれ電極層を形成する電極層形成工程と、前記電極層間に、前記電極層間を電気的に接続する導通部を有するマスクを形成するマスク形成工程と、前記マスクによって電気的に接続された前記電極層上にめっき層を形成するめっき工程と、前記マスクを取り除くマスク除去工程と、前記原板の状態で、特性検査を行う工程と、前記原板を分離して複数の電子部品とする分離工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
[7] 第2の本発明において、前記マスク形成工程は、前記マスクを前記電極層の一部にオーバーラップさせて形成してもよい。
【0020】
[8] 第2の本発明において、前記マスク形成工程で形成される前記マスクは、前記導通部となる導電層と、前記導電層を被覆するマスク層と、を有し、前記マスク形成工程は、前記電極層間に、前記導電層を形成する工程と、前記導電層を被覆する前記マスク層を形成する工程と、を有してもよい。
【0021】
[9] 第2の本発明において、前記マスク形成工程で形成される前記マスクは、マスク層と、該マスク層上に形成される前記導通部となる導電層と、を有し、前記マスク形成工程は、前記電極層間に、前記マスク層を形成する工程と、前記電極層間を電気的に接続するように前記マスク層上に前記導電層を形成する工程と、を有し、前記マスク除去工程は、前記導電層上に形成された前記めっき層と共に、前記マスクを取り除いてもよい。
【0022】
[10] 第2の本発明において、前記マスク形成工程で形成される前記マスクは、マスク層と、該マスク層上に形成される前記導通部となる導電層と、該導電層を被覆する絶縁層とを有し、前記マスク形成工程は、前記電極層間に、前記マスク層を形成する工程と、前記電極層間を電気的に接続するように前記マスク層上に前記導電層を形成する工程と、前記導電層を被覆する前記絶縁層を形成する工程と、を有してもよい。
【0023】
[11] 第2の本発明において、前記原板の一方又は両方の主面に、前記分離工程において前記複数の電子部品に分離するための複数の溝が予め形成されていてもよい。
【0024】
[12] この場合、前記複数の溝は、前記原板の一方向に配列された複数の第1溝と、前記原板の前記一方向とは異なる他方向に配列された複数の第2溝とを有してもよい。
【0025】
[13] 第2の本発明において、前記原板の他方の主面に、前記分離工程において前記複数の電子部品に分離するための溝が予め形成され、前記マスク形成工程は、前記原板の一方の主面上であって前記溝に対応した部分に前記マスクを形成してもよい。
【0026】
[14] この場合、複数の前記溝は、前記原板の一方向に配列された複数の第1溝と、前記原板の前記一方向とは異なる他方向に配列された複数の第2溝とを有し、前記マスク形成工程は、前記原板の前記他方の主面における前記第1溝に対応した部分あるいは前記第2溝に対応した部分に前記マスクを形成してもよい。
【0027】
本発明に係る電子部品によれば、導電材同士の接触による短絡を防止でき、しかも、めっきの消費量の低減を図ることができ、電子部品の小型化、高集積化、コストの低減化を実現させることができる。
【0028】
また、本発明に係る電子部品の製造方法によれば、多数個取り基板の状態で、電子部品単位の特性検査を行うことが可能であるばかりでなく、導電材同士の接触による短絡を防止でき、しかも、めっきの消費量の低減を図ることができる。小型化、高集積化、コストの低減化を実現させることができる電子部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1Aは、第1の本実施の形態に係る電子部品(第1電子部品)を上面から見て示す図である。
図1Bは、
図1AにおけるIB−IB線上の断面図である。
【
図2】第1電子部品を配線基板に実装した例を一部省略して示す断面図である。
【
図3】
図3Aは、第2の本実施の形態に係る電子部品(第2電子部品)を上面から見て示す図である。
図3Bは、
図3AにおけるIIIB−IIIB線上の断面図である。
【
図4】
図4Aは、第3の本実施の形態に係る電子部品(第3電子部品)を上面から見て示す図である。
図4Bは、
図4AにおけるIVB−IVB線上の断面図である。
【
図5】
図5Aは、第1の本実施の形態に係る電子部品の製造方法(第1製造方法)において多数個取り基板上に電極を形成した状態を上面から見て示す図である。
図5Bは、
図5AにおけるVB−VB線上の断面図である。
【
図6】
図6Aは、第1製造方法においてブレイクラインに沿って第1導電層を形成した状態を上面から見て示す図である。
図6Bは、
図6AにおけるVIB−VIB線上の断面図である。
【
図7】
図7Aは、第1製造方法において第1導電層を第1マスク層で被覆して第1マスクを形成した状態を上面から見て示す図である。
図7Bは、
図7AにおけるVIIB−VIIB線上の断面図である。
【
図8】
図8Aは、第1製造方法において電極層上にめっき層を形成した状態を上面から見て示す図である。
図8Bは、
図8AにおけるVIIIB−VIIIB線上の断面図である。
【
図9】
図9Aは、第1製造方法において第1マスクを除去した状態を上面から見て示す図である。
図9Bは、
図9AにおけるIXB−IXB線上の断面図である。
【
図10】
図10Aは、第1製造方法において多数個取り基板の状態で各電子部品に対して特性検査を行っている状態を上面から見て示す図である。
図10Bは、第1製造方法において多数個取り基板を分離して個々の電子部品とした状態を示す図である。
【
図11】
図11Aは、第2の本実施の形態に係る電子部品の製造方法(第2製造方法)においてブレイクラインに沿って第2マスク層を形成した状態を一部省略して示す断面図である。
図11Bは、第2製造方法において第2マスク層を第2導電層で被覆して第2マスクを形成した状態を一部省略して示す断面図である。
【
図12】
図12Aは、第2製造方法において電極層上及び第2導電層上にめっき層を形成した状態を一部省略して示す図である。
図12Bは、第2製造方法において第2マスクを除去した状態を一部省略して示す図である。
【
図13】
図13Aは、第3の本実施の形態に係る電子部品の製造方法(第3製造方法)においてブレイクラインに沿って第3マスク層を形成した状態を一部省略して示す断面図である。
図13Bは、第3製造方法において第3マスク層を第3導電層で被覆し、さらに第3導電層を絶縁層で被覆して第3マスクを形成した状態を一部省略して示す断面図である。
【
図14】
図14Aは、第3製造方法において電極層上にめっき層を形成した状態を一部省略して示す図である。
図14Bは、第3製造方法において第3マスクを除去した状態を一部省略して示す図である。
【
図15】全ての電極上にめっき層を形成するために、予め電極間にパッドパターン(導通パターン)を形成する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る電子部品及びその製造方法の実施の形態例を
図1A〜
図14Bを参照しながら説明する。
【0031】
先ず、第1の本実施の形態に係る電子部品(以下、第1電子部品10Aと記す)は、
図1A及び
図1Bに示すように、例えば立方体あるいは直方体等の立体形状を有する基板12と、該基板12の実装面13(配線基板等に実装される面)に形成された1以上の電極層14と、電極層14の上面14aに形成され、且つ、該電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16とを有し、電極層14の上面14aのうち、該電極層14の外周の少なくとも一部を含む部分がめっき層16から露出している。
図1A及び
図1Bの例では、第1電子部品10Aの実装面13に対して、4つの矩形状の電極層14がマトリクス状に配列形成された例を示している。もちろん、電極層14の数、配列形態は任意であるが、第1電子部品10Aの実装面13における少なくとも1つの辺に沿って配列形成することが好ましい。
【0032】
そして、この第1電子部品10Aにおいて、電極層14の上面14aのうち、めっき層16から露出している部分(露出部分14b)は、電極層14の外周全てを含む。
図1A及び
図1Bの例では、各電極層14の上面形状が例えば正方形状であり、各めっき層16の上面形状が電極層14の上面形状の相似形であって、且つ、上面面積が電極層14よりも小さいとされている。もちろん、電極層14の上面形状とめっき層16の上面形状とが相似形でなくてもよい。例えば電極層14の上面形状が正方形状、めっき層16の上面形状が長方形状であってもよいし、その逆の組み合わせでもよい。また、例えば電極層14の上面形状が円形状(もしくは楕円形状)、めっき層16の上面形状が矩形状であってもよいし、その逆の組み合わせでもよい。また、電極層14とめっき層16の上面形状の一部が湾曲されていてもよい。
【0033】
この第1電子部品10Aにおいては、電極層14の上面14aに、該電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16を有することから、電極層14の上面全面にめっき層を有する従来例と異なり、めっきの消費量を低減させることができる。これは、製造コストの低減化につながる。
【0034】
また、
図2に示すように、その後の実装工程、例えばめっき層16上に導電材18(例えば半田層や導電性接着剤)を塗布して、配線基板20の端子21等に実装する場合、実装上の圧力によって導電材18が横方向にはみ出す。しかし、第1電子部品10Aでは、電極層14の外周の少なくとも一部を含む部分がめっき層16から露出しているため、導電材18は電極層14の露出部分14bにはみ出すだけで、電極層14の外周よりも外側にはみ出すことが抑制される。この場合、電極層14における導電材18の濡れ性が、めっき層16より劣っていれば、導電材18のはみ出しは、電極層14の露出部分14bにて停止することとなる。つまり、電極層14の露出部分14bは、実装時における導電材18の塗布余剰分の逃げ場となるため、電極層14外へのはみ出しを防ぐことができる。しかも、第1電子部品10Aは、電極層14の外周全てを含む部分が露出している。そのため、導電材18が四方にはみ出しても、確実に、電極層14の露出部分14bにて、導電材18のはみ出しが停止し、導電材18の電極層14外へのはみ出しを確実に防止することができる。
【0035】
これにより、電極層14間の隙間が狭い集積度の高い電子部品であっても、電極間での短絡を防止することができ、電子部品の小型化、高集積化を実現させることができる。従来は、導電材同士が接触した部分を分離する工程が必要になる場合もあったが、この第1電子部品10Aでは、導電材18同士が接触することが回避されるため、このような分離工程が不要となる。その結果、めっきの消費量の低減とも相まって、コストの低減化を図ることができる。
【0036】
次に、第2の本実施の形態に係る電子部品(以下、第2電子部品10Bと記す)について
図3A及び
図3Bを参照しながら説明する。
【0037】
この第2電子部品10Bは、
図3A及び
図3Bに示すように、上述した第1電子部品10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。すなわち、電極層14の上面形状が多角形であって、めっき層16から露出している部分(露出部分14b)が、電極層14の外周のうち、外周の全てを含むことなく、少なくとも1つの辺を含む。
【0038】
露出部分14bの位置は、複数の電極層14毎に異ならせてもよいし、各電極層14毎に異ならせてもよい。もちろん、全ての電極層14において同じ位置に露出部分14bを形成してもよいし、各電極層14の辺のうち、基板12の辺に最も近接する辺、あるいは最も遠い辺を含む部分を露出させてもよい。
【0039】
図3A及び
図3Bに、その一例を示す。すなわち、マトリクス状に配列された4つの電極層14のうち、基板12の1つの辺(第1辺12a)寄りに形成された2つの電極層14は、該第1辺12aに最も近接する辺22aを含む部分が露出している。基板12の他の1つの辺(第1辺12aに対向する第2辺12b)寄りに形成された2つの電極層14は、該第2辺12bに最も近接する辺22bを含む部分が露出している。
【0040】
この第2電子部品10Bにおいても、電極層14の上面14aに、該電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16を有する。そのため、電極層14の上面全面にめっき層を有する従来例と異なり、めっきの消費量を低減させることができる。
【0041】
また、電極層14が露出した部分(露出部分14b)が、実装時における導電材18の塗布余剰分の逃げ場となるため、電極層14外へのはみ出しを防ぐことができる。この場合、電極層14の外周のうち、外周の全てを含むことなく、少なくとも1つの辺を含む部分が露出しているため、第1電子部品10Aと比して、めっきの消費量の低減効果は低くなる。しかし、多数個取り基板で電子部品を作製する際に、作り易いという効果がある。これについては後述する。
【0042】
次に、第3の本実施の形態に係る電子部品(以下、第3電子部品10Cと記す)について
図4A及び
図4Bを参照しながら説明する。
【0043】
この第3電子部品10Cは、
図4A及び
図4Bに示すように、上述した第1電子部品10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。すなわち、電極層14の上面形状が多角形であって、めっき層16から露出している部分(露出部分14b)が、電極層14の外周のうち、外周の全てを含むことなく、1つの辺の一部を含む。
【0044】
露出部分14bの位置は、複数の電極層14毎に異ならせてもよいし、各電極層14毎に異ならせてもよい。もちろん、全ての電極層14において同じ位置に露出部分14bを形成してもよい。また、各電極層14の辺のうち、基板12の辺に最も近接する1つの辺の一部、あるいは最も遠い1つの辺の一部を含む部分を露出させてもよい。
【0045】
図4A及び
図4Bに、その一例を示す。すなわち、マトリクス状に配列された4つの電極層14のうち、基板12の第1辺12a寄りに形成された2つの電極層14は、該第1辺12aに最も近接する1つの辺22aの一部を含む部分が露出している。基板12の第2辺12b寄りに形成された2つの電極層14は、該第2辺12bに最も近接する1つの辺22bの一部を含む部分が露出している。
【0046】
この第3電子部品10Cにおいても、電極層14の上面14aに、該電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16を有する。そのため、電極層14の上面全面にめっき層を有する従来例と異なり、めっきの消費量を低減させることができる。
【0047】
また、電極層14が露出した部分(露出部分14b)が、実装時における導電材18の塗布余剰分の逃げ場となるため、電極層14外へのはみ出しを防ぐことができる。
【0048】
なお、上述した第2電子部品10B及び第3電子部品10Cにおいては、電極層14の上面形状を多角形としたが、多角形以外でもよいことはもちろんである。
【0049】
次に、本実施の形態に係る電子部品の製造方法について説明する。
【0050】
最初に、第1の本実施の形態に係る製造方法(第1製造方法)について
図5A〜
図10Bを参照しながら説明する。
【0051】
先ず、
図5A及び
図5Bに示すように、分離することによって多数個の電子部品10を取り出すための多数個取り基板24(原板)の一主面24aに、後の分離工程において多数個の電子部品10に分離するための複数の溝(ブレイクライン26)を形成する。
図5Aの例では、多数個取り基板24の一主面24aに対して、横方向と縦方向にそれぞれ複数のブレイクライン26を形成することによって、ブレイクライン26を格子状に形成した例を示す。この格子状のブレイクライン26で区画される各格子の部分がそれぞれ電子部品10となる。多数個取り基板24を構成する材料としては、例えばアルミナ、ベリリア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素等を挙げることができる。
【0052】
その後、多数個取り基板24の一主面24aに、電子部品10単位(電子部品10の区画単位)にそれぞれ複数の電極層14を例えばスクリーン印刷等によって形成する(電極層形成工程)。例えば電子部品10単位に、4つの矩形状の電極層14をマトリクス状に配列形成する。電極層14を構成する材料としては、例えばタングステン、モリブデン、マンガン等を挙げることができる。
【0053】
その後、
図6A〜
図7Bに示すように、電極層14間を電気的に接続する導通部を有する第1マスク30A(
図7B参照)を形成する(マスク形成工程)。例えば横方向に延在するブレイクライン26上に第1マスク30Aを形成する。このとき、第1マスク30Aを、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせて形成する。第1マスク30Aは、
図7Bに示すように、導通部となる第1導電層32aと、第1導電層32aを被覆する電気的絶縁材料による第1マスク層34aとを有する。第1導電層32aを構成する材料としては、例えば熱硬化型導電性銀ペースト、感光性銀ペースト、銀ナノペースト、金ナノペースト等を挙げることができる。第1マスク層34aを構成する材料としては、例えば感光性レジスト、熱硬化型レジスト、その他有機系の保護材等を挙げることができる。
【0054】
第1マスク30Aの形成方法は、具体的には、
図6A及び
図6Bに示すように、先ず、横方向に延在するブレイクライン26上に第1導電層32aを例えばスクリーン印刷等によって形成する。このとき、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせて形成する。この第1導電層32aの形成によって、全ての電極層14が第1導電層32aを介して電気的に接続されることになる。
【0055】
その後、
図7A及び
図7Bに示すように、第1導電層32aを被覆する第1マスク層34aを例えばスクリーン印刷等によって形成する。この場合も、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせ、且つ、第1導電層32aを被覆するように形成する。すなわち、露出する第1導電層32aの上面から側面にかけて第1マスク層34aで被覆する。
【0056】
その後、
図8A及び
図8Bに示すように、第1マスク30Aによって電気的に接続された全ての電極層14上にめっき層16を形成する(めっき工程)。めっき層16は、Sn、Cu、Zn、Ni、Au及びこの組み合わせ等を挙げることができる。このとき、各電極層14のうち、それぞれ第1マスク30A(特に、第1マスク層34a)から露出する部分にめっき層16が形成される。すなわち、電極層14全面にめっき層16は形成されず、電極層14上には、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16が形成される。特に、第1導電層32aの上面から側面にかけて第1マスク層34aで被覆したので、めっき液が第1導電層32aまで浸入することがない。確実に、電極層14上に、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16を形成することができる。
【0057】
その後、
図9A及び
図9Bに示すように、第1マスク30Aを取り除く(マスク除去工程)。例えば第1マスク層34aの端部を治具で挟んで引き剥がす(ピールする)ことにより行うことができる。従って、多数個取り基板24と第1導電層32aとの密着力は、第1導電層32aと第1マスク層34aとの密着力よりも低いことが好ましい。これにより、第1導電層32aの残渣を残すことなく、第1マスク30Aを確実に引き剥がすことができる。特に、多数個取り基板24の一主面24aにブレイクライン26を設けた場合は、ブレイクライン26内にも第1導電層32aが入り込み、いわゆるアンカー効果で、多数個取り基板24と第1導電層32aとの密着力が高められる。そのため、これを見越して、第1導電層32aと第1マスク層34aとの密着力を高めておくことが好ましい。
【0058】
そして、このマスク除去工程で、第1マスク30Aを取り除くことによって、電極層14の上面14aに、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16が形成される。それと共に、電極層14の上面14aのうち、該電極層14の外周の少なくとも一部を含む部分が、めっき層16から露出した状態となる。特に、電子部品10単位で見ると、例えば
図3Aに示す第2電子部品10Bにおける電極層14とめっき層16との関係と同じ形態となる。
【0059】
その後、
図10Aに示すように、多数個取り基板24の状態で、各電子部品10の特性検査を行う。上述したマスク形成工程及びマスク除去工程によって、従来のようなパッドパターンを形成することなく、全ての電極層14上にめっき層16が形成される。しかも、各電子部品10が電気的に独立していることから、多数個取り基板24の状態で、各電子部品10の特性検査を行うことができる。そのため、従来において必要であった多数の電子部品10を検査工程に搬送する手間や、多数の電子部品10を治具上に設置する手間等が不要となる。
【0060】
その後、
図10Bに示すように、多数個取り基板24を分離して、多数個の電子部品10とする(分離工程)。この場合、多数個の第2電子部品10Bが作製されることとなる。
【0061】
このように、第1製造方法においては、多数個取り基板24の状態で、電子部品10単位の特性検査を行うことが可能であるばかりでなく、導電材18同士の接触による短絡を防止でき、しかも、めっきの消費量の低減を図ることができる。小型化、高集積化、コストの低減化を実現させることができる多数個の電子部品10を作製することができる。電子部品10の歩留まり、生産性も向上する。
【0062】
次に、第2の実施の形態に係る電子部品の製造方法(以下、第2製造方法と記す)について
図11A〜
図12Bを参照しながら説明する。
【0063】
先ず、上述した第1製造方法と同様に、多数個取り基板24の一主面24aに、複数のブレイクライン26を形成する(
図5A及び
図5B参照)。
【0064】
その後、上述した第1製造方法と同様に、多数個取り基板24の一主面24aに、電子部品10単位(電子部品10の区画単位)にそれぞれ複数の電極層14を例えばスクリーン印刷等によって形成する(
図5A及び
図5B参照:電極層形成工程)。
【0065】
その後、
図11A及び11Bに示すように、電極層14間を電気的に接続する導通部を有する第2マスク30Bを形成する(
図11B参照:マスク形成工程)。この場合、第1製造方法と同様に、第2マスク30Bを、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせて形成する。特に、この第2製造方法では、第2マスク30Bの構造及び第2マスク30Bの形成手順が第1マスク30Aの場合と異なる。
【0066】
すなわち、第2マスク30Bは、
図11Bに示すように、電気的絶縁材料や導電材料による第2マスク層34bと、該第2マスク層34bを被覆する導通部となる第2導電層32bとを有する。第2マスク層34bを構成する材料としては、例えば感光性レジスト、熱硬化型レジスト、その他有機系の保護材等を挙げることができる。第2導電層32bを構成する材料としては、例えば熱硬化型導電性銀ペースト、感光性銀ペースト、銀ナノペースト、金ナノペースト等を挙げることができる。
【0067】
そして、第2マスク30Bの形成方法は、具体的には、
図11Aに示すように、先ず、横方向に延在するブレイクライン26上に第2マスク層34bを例えばスクリーン印刷等によって形成する。このとき、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせて形成する。その後、第2マスク層34bを被覆する第2導電層32bを例えばスクリーン印刷等によって形成する。この場合も、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせ、且つ、第2マスク層34bを被覆するように形成する。すなわち、露出する第2マスク層34bの上面から側面にかけて第2導電層32bで被覆する。この第2導電層32bの形成によって、全ての電極層14が第2導電層32bを介して電気的に接続されることになる。
【0068】
その後、
図12Aに示すように、第2マスク30Bによって電気的に接続された全ての電極層14上にめっき層16を形成する(めっき工程)。このとき、各電極層14のうち、それぞれ第2マスク30B(特に、第2導電層32b)から露出する部分にめっき層16が形成される。すなわち、電極層14全面にめっき層16は形成されず、電極層14上には、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16が形成される。なお、第2マスク30Bの第2導電層32b上にもめっき層16が形成される。特に、第2マスク層34bの上面から側面にかけて第2導電層32bで被覆したので、めっき液が第2マスク層34bまで浸入することがない。確実に、電極層14上に、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16を形成することができる。
【0069】
その後、
図12Bに示すように、第2マスク30Bを取り除く(マスク除去工程)。例えば第2マスク層34bの端部を治具で挟んで引き剥がす(ピールする)ことにより、その上の第2導電層32b及びめっき層16と共に除去することができる(リフトオフ)。その他、第2マスク層34bを液体等で分解、溶解したり、予め多数個取り基板24と第2マスク層34bとの密着力を低減しておく等の方法を好ましく採用することができる。
【0070】
そして、このマスク除去工程で、第2マスク30Bを取り除くことによって、第1製造方法と同様に、電極層14の上面14aに、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16が形成される。それと共に、電極層14の上面14aのうち、該電極層14の外周の少なくとも一部を含む部分がめっき層16から露出した状態となる。
【0071】
その後、
図10Aに示すように、多数個取り基板24の状態で、各電子部品10の特性検査を行う。その後、
図10Bに示すように、多数個取り基板24を分離して、多数個の電子部品10とする(分離工程)。
【0072】
このように、第2製造方法においても、多数個取り基板24の状態で、電子部品10単位の特性検査を行うことが可能であるばかりでなく、導電材18同士の接触による短絡を防止でき、しかも、めっきの消費量の低減を図ることができる。小型化、高集積化、コストの低減化を実現させることができる多数個の電子部品10を作製することができる。電子部品の歩留まり、生産性も向上する。
【0073】
次に、第3の実施の形態に係る電子部品の製造方法(以下、第3製造方法と記す)について
図13A〜
図14Bを参照しながら説明する。
【0074】
先ず、上述した第1製造方法と同様に、多数個取り基板24の一主面24aに、複数のブレイクライン26を形成する。その後、多数個取り基板24の一主面24aに、電子部品10単位(電子部品10の区画単位)にそれぞれ複数の電極層14を例えばスクリーン印刷等によって形成する(電極層形成工程)。
【0075】
そして、
図13A及び
図13Bに示すように、電極層14間を電気的に接続する導通部を有する第3マスク30Cを形成する(マスク形成工程)。この場合、第2製造方法と同様に、第3マスク30Cを、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせて形成する。特に、この第3製造方法では、第3マスク30Cの構造及び第3マスク30Cの形成手順が第1マスク30A及び第2マスク30Bの場合と異なる。
【0076】
すなわち、第3マスク30Cは、
図13Bに示すように、電気的絶縁材料や導電材料による第3マスク層34cと、該第3マスク層34cを被覆する導通部となる第3導電層32cと、第3導電層32cを被覆する絶縁層36とを有する。第3マスク層34cを構成する材料としては、例えば感光性レジスト、熱硬化型レジスト、その他有機系の保護材等を挙げることができる。第3導電層32cを構成する材料としては、例えば熱硬化型導電性銀ペースト、感光性銀ペースト、銀ナノペースト、金ナノペースト等を挙げることができる。絶縁層36を構成する材料としては、例えば感光性レジスト、熱硬化型レジスト、その他有機系の保護材等を挙げることができる。
【0077】
そして、第3マスク30Cの形成方法は、具体的には、
図13Aに示すように、先ず、横方向に延在するブレイクライン26上に第3マスク層34cを例えばスクリーン印刷等によって形成する。このとき、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせて形成する。その後、第3マスク層34cを被覆する第3導電層32cを例えばスクリーン印刷等によって形成する。この場合も、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせ、且つ、第3マスク層34cを被覆するように形成する。すなわち、露出する第3マスク層34cの上面から側面にかけて第3導電層32cで被覆する。この第3導電層32cの形成によって、全ての電極層14が第3導電層32cを介して電気的に接続されることになる。さらに、第3導電層32cを被覆する絶縁層36を例えばスクリーン印刷等によって形成する。この場合も、横方向に延在するブレイクライン26を間に挟んで対向する電極層14の各一部にオーバーラップさせ、且つ、第3導電層32cを被覆するように形成する。すなわち、露出する第3導電層32cの上面から側面にかけて絶縁層36で被覆する。
【0078】
その後、
図14Aに示すように、第3マスク30Cによって電気的に接続された全ての電極層14上にめっき層16を形成する(めっき工程)。このとき、各電極層14のうち、それぞれ第3マスク30C(特に、絶縁層36)から露出する部分にめっき層16が形成される。すなわち、電極層14全面にめっき層16は形成されず、電極層14上には、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16が形成される。なお、第3マスク30Cの絶縁層36上にはめっき層16は形成されない。特に、第3マスク層34cの上面から側面にかけて第3導電層32cで被覆し、第3導電層32cの上面から側面にかけて絶縁層36で被覆したので、めっき液が第3導電層32cや第3マスク層34cまで浸入することがない。確実に、電極層14上に、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16を形成することができる。
【0079】
その後、
図14Bに示すように、第3マスク30Cを取り除く(マスク除去工程)。例えば第3マスク層34cの端部を治具で挟んで引き剥がす(ピールする)ことにより、その上の第3導電層32c及び絶縁層36と共に除去することができる(リフトオフ)。その他、第3マスク層34cを液体等で分解、溶解したり、予め多数個取り基板24と第3マスク層34cとの密着力を低減しておく等の方法を好ましく採用することができる。
【0080】
そして、このマスク除去工程で、第3マスク30Cを取り除くことによって、第1製造方法及び第2製造方法と同様に、電極層14の上面14aに、電極層14の上面面積よりも小さい上面面積を有するめっき層16が形成される。それと共に、電極層14の上面14aのうち、該電極層14の外周の少なくとも一部を含む部分がめっき層16から露出した状態となる。
【0081】
その後、
図10Aに示すように、多数個取り基板24の状態で、各電子部品10の特性検査を行う。その後、
図10Bに示すように、多数個取り基板24を分離して、多数個の電子部品10とする(分離工程)。
【0082】
このように、第3製造方法においても、多数個取り基板24の状態で、電子部品10単位の特性検査を行うことが可能であるばかりでなく、導電材18同士の接触による短絡を防止でき、しかも、めっきの消費量の低減を図ることができる。小型化、高集積化、コストの低減化を実現させることができる多数個の電子部品10を作製することができる。電子部品10の歩留まり、生産性も向上する。
【0083】
上述の例では、多数個取り基板24の一主面24aにブレイクライン26を形成した例を示したが、他主面にもブレイクライン26を形成してもよい。
【0084】
その他、図示しないが、多数個取り基板24の一主面24aにブレイクライン26を形成せずに、他主面にブレイクライン26を形成してもよい。また、一主面24a及び他主面共にブレイクライン26を形成しなくてもよい。これらの場合、第1マスク30A〜第3マスク30Cの密着力について、ブレイクライン26によるアンカー効果を考慮する必要がなくなる。
【0085】
なお、本発明に係る電子部品及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。