(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、炊飯工程で沸騰に至った後の期間において、前記鍔上ヒータと前記蓋ヒータに所定量通電するとともに、炊飯量が多いときの前記胴ヒータへの通電量を炊飯量が少ないときの前記胴ヒータへの通電量よりも大きくするように前記胴ヒータへの通電を制御することを特徴とする請求項2に記載の炊飯器。
前記制御手段は、保温工程における保温期間において、前記鍔上ヒータに所定量通電するとともに、保温する米飯量が多いときの前記蓋ヒータへの通電量を保温する米飯量が少ないときの前記蓋ヒータへの通電量よりも小さくするように前記蓋ヒータへの通電を制御することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の炊飯器。
前記制御手段は、保温工程における保温期間において、前記鍔上ヒータと前記蓋ヒータに所定量通電するとともに、保温する米飯量が多いときの前記胴ヒータへの通電量を保温する米飯量が少ないときの前記胴ヒータへの通電量よりも大きくするように前記胴ヒータへの通電を制御することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさおよび配置等は、この発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態1.
[炊飯器]
図1は、この発明の実施の形態1に係る炊飯器の一例について、断面を概略的に記載した図であり、
図2は、
図1に記載の内釜を斜めから見た図であり、
図3は、炊飯器のブロック図である。
図1に示すように、この実施の形態に係る炊飯器100は、内釜収容部1aを有する炊飯器本体1と、内釜収容部1aに着脱自在に設置される内釜5と、炊飯器本体1の上方を覆う蓋体2とを備えている。蓋体2は、炊飯器本体1に開閉自在に取り付けられている。ユーザは、蓋体2を開けて、例えば、内釜収容部1aに内釜5を設置し、または内釜収容部1aから内釜5を取り出す。また、ユーザは、例えば、蓋体2を閉じて、内釜5の中に準備された米等の被調理物の調理等を行う。
【0011】
[蓋体]
蓋体2は、外蓋2aと内蓋2bとを含んでいる。外蓋2aは、炊飯器本体1の上方を覆うものである。外蓋2aは、炊飯器本体1の後方で、ヒンジ等の連結機構(図示せず)によって、炊飯器本体1に開閉自在に取り付けられている。外蓋2aの下面側には、内蓋2bが着脱自在に装着されている。内蓋2bは、内釜5の開口を覆うものであり、内蓋2bの下面側には、リング状のシール部材12が配設されている。シール部材12は、蓋体2を閉じたときに、内釜5の開口端部5dと当接して、内釜5の開口端部5dと内蓋2bとの間をシールするものである。シール部材12は、例えば、シリコン樹脂等の弾性を有する材質で形成されている。また、内蓋2bには、蒸気穴2b1が形成されている。また、内蓋2bの蒸気穴2b1には、開閉弁11が設けられている。開閉弁11は、内釜5の内部の圧力によって上下するものである。炊飯時等に発生する蒸気の一部は、蒸気穴2b1を通って、内蓋2bの上方に設置されたカートリッジ20に導かれる。カートリッジ20は、内蓋2bの上方で、外蓋2aに着脱自在に装着されている。カートリッジ20は、炊飯時のおねば成分を含む蒸気を、おねば成分と蒸気とに分離し、分離した蒸気を炊飯器100の外部に導くものである。すなわち、内蓋2bの蒸気穴2b1を通ったおねば成分を含む蒸気は、カートリッジ20の流入部20aからカートリッジ20に流入し、カートリッジ20にておねば成分と蒸気とに分離され、分離された蒸気が蒸気排出部20bから排出される。
【0012】
[炊飯器本体]
炊飯器本体1は、上部が開口された内釜収容部1aを有する。内釜収容部1aの上端は、内釜5の鍔部50の下側を支持する鍔支持部1a1を構成している。鍔支持部1a1には、内釜5の鍔部50の下側に当接するリング状の内釜シール部材1a2が配設されている。内釜シール部材1a2は、鍔部50の下側と鍔支持部1a1との間をシールするものであり、例えば、シリコン樹脂等の弾性を有する材質で形成されている。内釜5が炊飯器本体1に設置されると、内釜5の鍔部50の下方で、内釜5の外側と内釜収容部1aの内側との間が密閉される。
【0013】
また、炊飯器本体1は、操作部3と表示部4と加熱手段7と温度センサ8と制御手段10とを含んでいる。操作部3および表示部4は、例えば炊飯器本体1の前方に設けられている。操作部3は、炊飯器100への指示を行うものであり、例えばタッチセンサ等で構成されている。ユーザは、操作部3を操作して、調理メニューの選択、調理時間の設定、または火力の調整等の指示を行うことができる。表示部4は、炊飯器100の状態等を表示するものであり、例えば液晶パネル等で構成されている。操作部3および表示部4は、これらが一体的に形成されたタッチパネルで構成されていてもよい。温度センサ8は、内釜5の底部5aの中心付近の温度を検出するものであり、例えばサーミスタで構成されている。制御手段10は、後述するように炊飯器100の全体の制御を行うものであり、例えば、CPUまたは専用IC等を含んで構成されている。
【0014】
加熱手段7は、内釜5の加熱を行うものであり、制御手段10からの指示に基づいて動作する。加熱手段7は、例えば、第1の底ヒータ7aと第2の底ヒータ7bと胴ヒータ7cとを含んでいる。第1の底ヒータ7aと第2の底ヒータ7bとをまとめて底ヒータという。第1の底ヒータ7aは、内釜5の底部5aを加熱するものである。第2の底ヒータ7bは、内釜5のコーナー部5bを加熱するものである。なお、この実施の形態の例では、第1の底ヒータ7aおよび第2の底ヒータ7bは、誘導コイルで構成されているが、第1の底ヒータ7aおよび第2の底ヒータ7bは、電熱線等で構成されていてもよい。胴ヒータ7cは、内釜5の筒部5cを加熱するものであり、例えばコードヒータ等で構成されている。
【0015】
図3に示すように、制御手段10は、操作部3から入力された指示情報に基づき、調理メニューの選択、調理時間の設定、または火力の調整等を行い、表示部4に指示情報を表示させる。また、温度センサ8が検知する温度検知情報に基づき、加熱手段7である底ヒータ(第1の底ヒータ7a、第2の底ヒータ7b)、胴ヒータ7c、鍔上ヒータ7d及び蓋ヒータ7eへの通電を制御する。底ヒータ、胴ヒータ7c、鍔上ヒータ7d及び蓋ヒータ7eへの通電電力は、各ヒータへの通電をON/OFFし、通電比率を調整することにより平均電力として制御される。
【0016】
[内釜]
図2に示すように、内釜5は、底部5aと、底部5aの上方で開口端部5dまで延びる筒部5cと、底部5aと筒部5cとの間のコーナー部5bと、を有する有底筒状の調理容器である。内釜5は、例えば、焼成した炭素材料を削り出すことによって形成される。なお、内釜5は、例えば、鉄、アルミもしくは銅等の金属またはこれらを含む合金で形成されていてもよく、その場合には、鋳造、切削等の工程を経て形成される。
【0017】
この実施の形態の炊飯器100の内釜5の筒部5cは、第1筒部5c1と、第1筒部5c1の上方で開口端部5dまで延びる第2筒部5c2とを含んでいる。第1筒部5c1は、上下方向に沿って、略直線状に形成された内周面を有する。第2筒部5c2は、下方から上方の開口端部5dに向かいながら、径方向に徐々に窄められた内周面を有している。また、第1筒部5c1および第2筒部5c2の外周面は、それぞれの内周面と概略同形状に形成されている。つまり、第1筒部5c1の外周面は、上下方向に沿って、略直線状に形成されており、第2筒部5c2の外周面は、下方から上方の開口端部5dに向かいながら、径方向に徐々に窄められて形成されている。つまり、内釜5は、上端部が内釜5の最大径よりも小さく形成された概略壺形状の外形を有している。また、内釜5の外周面には、鍔部50が設けられている。鍔部50は、第2筒部5c2の外周面から外方に突出している。
【0018】
[内釜の炊飯器本体への設置]
図1に示すように、内釜5が炊飯器本体1に設置されると、内釜5の鍔部50の下部が内釜収容部1aの上端の鍔支持部1a1に当接して、内釜5が鍔支持部1a1で支持される。鍔部50の下部の下方の筒部5cは、内釜収容部1aに収容される被収容筒部5e1(
図2参照)を構成し、鍔部50の下部よりも上方の筒部5cは、内釜収容部1aから上方に突出して内釜5の開口端部5dまで延びる突出筒部5e2を構成している。被収容筒部5e1は、第1筒部5c1を含んで構成されており、被収容筒部5e1の内周部には、
図1に示すように、水位を表示する水位表示部54が配設されている。突出筒部5e2は、第2筒部5c2を含んで構成されており、突出筒部5e2の内周面は、下方から上方の開口端部5dに向かいながら、径方向に徐々に窄められている。
【0019】
この実施の形態に係る炊飯器本体1は、
図1に示すように、側方において、内釜収容部1aの上端の高さと実質的に等しい高さの部分を有しており、内釜5が内釜収容部1aに設置されると、鍔部50および突出筒部5e2の周方向に沿った部分が炊飯器本体1から上方に突出する。なお、鍔部50および突出筒部5e2が、炊飯器本体1の周方向の全周に渡って、炊飯器本体1の上方から突出するように、炊飯器本体1が、周方向の全周に渡って、内釜収容部1aの上端の高さと概略等しい高さに形成されていてもよい。この実施の形態では、少なくとも鍔部50および突出筒部5e2の周方向に沿った部分が、炊飯器本体1から上方に突出しているため、ユーザは、鍔部50を把持して、内釜5の取り出しを容易に行うことができる。
【0020】
図1に示すように、蓋体2を閉じたときに、外蓋2aの内周面と突出筒部5e2の外周面との間には、放熱空間13が形成される。放熱空間13は、外蓋2aの内周面と突出筒部5e2の外周面との間に形成された間隙である。炊飯器100は、放熱空間13を炊飯器100の外部と通気させる通気部14を有する。通気部14は、例えば、炊飯器本体1と外蓋2aとの間に形成された隙間である。なお、通気部14は、炊飯器本体1または蓋体2に形成された、放熱空間13を炊飯器100の外部と通気させる穴等の構成であってもよい。
【0021】
次に動作について説明する。
図4は、炊飯時の動作を説明する図である。
米と水を入れた内釜5を内釜収容部1aに収容し、蓋体2を閉めて操作部3から炊飯開始の操作を行う。すると、制御手段10は底ヒータ7a・7bに例えば最大電力(通電比率100%、平均電力1240W程度)で通電し、内釜5内の水と米を加熱する。ここで、底ヒータ7a・7bの電力や通電量は、第1の底ヒータ7aと第2の底ヒータ7bの電力や通電量の合計値を表す。
図4では、縦軸に、内釜5内の水と米の温度を飯温として示している。飯温は内釜5の底部5aを介して温度センサ8が検知する。飯温が60度前後の温度まで上昇すると、制御手段10は底ヒータ7a・7bへの通電比率を低減し(例えば50%程度、平均電力620W程度)、飯温を60度前後に所定時間(例えば、15分程度)維持する。この吸水期間において、米に水が吸水される。
【0022】
吸水期間終了後、制御手段10は、底ヒータ7a・7bへの通電量が再び最大(通電比率100%、平均電力1240W程度)となるように通電するように制御する。このときの温度上昇率から炊飯量を判定する。つまり、温度上昇率が小さければ炊飯量が多いと判定する。この炊飯量の判定情報は、制御手段10内の記憶部(図示せず)に記憶される。飯温が100度に至り、沸騰に至る(沸騰を開始する)まで、制御手段10は底ヒータのみに通電する。飯温が100度に至る前からおねばを含んだ蒸気が発生する。この期間に制御手段10は鍔上ヒータ7dへの通電を停止する。
【0023】
飯温が100度に至ると、制御手段10は、おねば発生期間、ドライアップ期間及びむらし期間にわたり、底ヒータ7a・7bの通電量を最大値から低減する(例えば、通電比率80%、平均電力1040W程度)。さらに、制御手段10は、胴ヒータ7cへ所定の通電量で(例えば、通電比率50%、平均電力20W程度)、鍔上ヒータ7dへ所定の通電量で(例えば、通電比率50%、平均電力15W程度)、蓋ヒータ7eへ所定の通電量で(例えば、通電比率80%、平均電力32W程度)それぞれ通電するよう制御する。
【0024】
内釜5の筒部5cは、内釜収容部1aに収容される被収容筒部5e1と、内釜収容部1aから上方に突出する突出筒部5e2とを含んでいる。内釜収容部1aから上方に突出した突出筒部5e2の外方には、放熱を行うための放熱空間13が形成されており、飯温が100度に至る前からおねばを含んだ蒸気が発生する期間に制御手段10は鍔上ヒータ7dへの通電を停止するので突出筒部5e2の外周面が空気で冷やされる。そのため、炊飯器100での加熱調理中に湧き上がった泡および蒸気が、突出筒部5e2で冷やされるため、吹きこぼれのおそれが抑制されている。なお、好適には、放熱空間13は、通気部14によって、炊飯器100の外部と通気するように構成されており、突出筒部5e2における放熱を効率良く行うことができる。
【0025】
さらに、突出筒部5e2の内周面は、下方から上方の開口端部5dに向かいながら、径方向に徐々に窄められている。そのため、この実施の形態では、調理時等に発生した蒸気が、突出筒部5e2の内周面に接触して凝縮し、内釜5の内部に例えば滴下して戻されるようになっている。さらに、加熱調理中に湧き上がって内釜5の内周面を伝った泡が、突出筒部5e2の内周面で、自重によって落下する。それらの結果、この実施の形態では、吹きこぼれのおそれが抑制されている。さらに、この実施の形態では、加熱調理中に湧き上がった泡および蒸気が、内釜5の外側に排出されることが抑制されているため、例えば米等の被調理物の旨みを閉じ込めて調理を行うことができる。
【0026】
また、この実施の形態では、水位を表示する水位表示部54が、突出筒部5e2の下方の被収容筒部5e1の内周面側に配設されており、被調理物は、突出筒部5e2の下方の被収容筒部5e1に収容される。そして、被収容筒部5e1の外方には、被収容筒部5e1を加熱する加熱手段7が配設されている。このため、この実施の形態では、内釜5に準備された被加熱物を効率良く加熱することができる。
【0027】
さらに、この実施の形態では、内釜5の鍔部50の下部が、全周に渡って、内釜収容部1aの上端の鍔支持部1a1と当接しており、加熱調理時等の熱が、鍔部50の下方に閉じ込められるようになっている。そのため、この実施の形態では、内釜5に準備された米等の被調理物の加熱を効率良く行うことができる。さらに、この実施の形態では、加熱調理時等の熱が、鍔部50の下方に閉じ込められるようになっているため、鍔部50の上方の放熱空間13で、突出筒部5e2を効率良く冷やすことができる。
【0028】
また、吹きこぼれのおそれを抑制することができるため、カートリッジ20の構成を簡略化し、カートリッジ20を小型化することができる。この実施の形態では、カートリッジ20の構成が簡略化されているため、カートリッジ20の洗浄が容易になっており、且つカートリッジ20が小型化されているため、炊飯器100の小型化を達成することができる。上記のように、この実施の形態では、簡易な構成で、炊飯時のおねば等の吹きこぼれを抑制することができる。なお、内釜5の構成によって、吹きこぼれのおそれが十分に抑制されている場合には、カートリッジ20を省略することもできる。
【0029】
このように、実施の形態1の炊飯器によれば、上面が開口した内釜と、内釜を収容する内釜収容部を有する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上方を覆う外蓋およびこの外蓋の下面側に装着された内蓋を有する蓋体とを備え、内釜は、底部と、この底部の上方で内釜の開口端部まで延びる筒部とを有し、筒部は、内釜収容部に収容される被収容筒部と、内釜収容部から上方に突出し開口端部まで延びる突出筒部と、突出筒部の外周面から外方に突出し、内釜収容部の上端に当接する鍔部を有し、内蓋を加熱する蓋ヒータと、鍔部より上方の突出筒部の側面を加熱する鍔上ヒータと、鍔部より下方の
被収容筒部の側面を加熱する胴ヒータと、内釜の底部を加熱する底ヒータと、蓋ヒータ、鍔上ヒータ、胴ヒータ及び底ヒータへの通電を制御する制御手段とを備え、制御手段は、少なくとも炊飯工程で沸騰に至る期間において、鍔上ヒータへの通電を停止するように制御するので、突出筒部が冷やされ、おねば等の吹きこぼれを容易に抑制することができる。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態1では、飯温が100度に至る前からおねばを含んだ蒸気が発生する期間に制御手段10は鍔上ヒータ7dへの通電を停止するように制御することを示した。実施の形態2では、飯温が100度に至った後の各ヒータへの通電量の制御について説明する。
図5は、実施の形態2に係る炊飯器の炊飯時(炊飯量が少ない場合)の動作を説明する図である。
図6は、実施の形態2に係る炊飯器の炊飯時(炊飯量が多い場合)の動作を説明する図である。吸水工程と沸騰に至るまでの各ヒータに対する通電制御は実施の形態1と同様である。
【0031】
飯温が100度に至った後、制御手段10は鍔上ヒータ7dに所定の通電量(例えば、通電比率50%、平均電力15W程度)で通電する。これにより、突出筒部5e2の内壁に結露される水滴の発生が抑制され、炊飯完了時の突出筒部5e2の内壁付近の米のふやけを防ぐことができる。
【0032】
また、制御手段10は蓋ヒータ7eに所定の通電量(例えば、通電比率80%、平均電力32W程度)で通電する。これにより、内蓋2bの下面に結露される水滴の発生が抑制され、炊飯完了時の米のふやけを防ぐことができきる。
【0033】
さらに、制御手段10内の記憶部(図示せず)に記憶された炊飯量の情報に基づき、炊飯量が多いときの胴ヒータ7cへの通電量を炊飯量が少ないときの胴ヒータ7cへの通電量よりも大きくするように胴ヒータ7cへの通電を制御する。これにより、炊飯量が多いときには胴ヒータ7cにより加熱される量が増えるので、ふっくらとおいしくご飯を炊き上げることができる。
【0034】
このように、実施の形態2の炊飯器によれば、制御手段は、炊飯工程で沸騰に至った後の期間において、鍔上ヒータと蓋ヒータに所定量通電するとともに、炊飯量が多いときの胴ヒータへの通電量を炊飯量が少ないときの胴ヒータへの通電量よりも大きくするように胴ヒータへの通電を制御するので、炊飯完了時にふやけがなくふっくらとおいしくご飯を炊き上げることができる。
【0035】
実施の形態3.
実施の形態3では、飯温が100度に至った後、制御手段10は、鍔上ヒータ7dに所定量通電するとともに、炊飯量が多いときの蓋ヒータ7eへの通電量を炊飯量が少ないときの蓋ヒータ7eへの通電量よりも小さくするように蓋ヒータ7eへの通電を制御するものである。
図7は、実施の形態3に係る炊飯器の炊飯時(米飯量が多い場合)の動作を説明する図である。
【0036】
炊飯量が多いと、蓋ヒータ7eと内釜5内の米飯の上面との距離が小さくなるので、蓋ヒータ7eにより米飯の上面が乾燥しやすい。炊飯量が多いときの蓋ヒータ7eへの通電量を炊飯量が少ないときの蓋ヒータ7eへの通電量よりも小さくするように蓋ヒータ7eへの通電を制御するので、炊飯完了時に、米飯の上面の乾燥を抑制することができる。また、内蓋2bの下面に結露される水滴の発生が抑制される。また、鍔上ヒータ7dに所定量通電するので、突出筒部5e2の内壁に結露される水滴の発生が抑制され、炊飯完了時の突出筒部5e2の内壁付近の米のふやけを防ぐことができる。
【0037】
このように、実施の形態3の炊飯器によれば、炊飯工程で沸騰に至った後の期間において、鍔上ヒータに所定量通電するとともに、炊飯量が多いときの蓋ヒータへの通電量を炊飯量が少ないときの蓋ヒータへの通電量よりも小さくするように蓋ヒータへの通電を制御するので、炊飯完了時に米飯の上面の乾燥を抑制することができ、ふやけがなくふっくらとおいしくご飯を炊き上げることができる。
【0038】
実施の形態4.
実施の形態1から実施の形態3は、炊飯工程における各ヒータへの通電制御について示した。実施の形態4では、炊飯工程の後の保温工程における各ヒータへの通電制御について示す。
図8は、実施の形態4に係る炊飯器の保温時の動作を説明する図である。
【0039】
図8に示すように、制御手段10は、保温工程における温度低下期間において、胴ヒータ7cへの通電を停止する。さらに、制御手段10は、底ヒータ7a・7b及び鍔上ヒータ7dへの通電を停止する。一方、蓋ヒータ7eへは所定の通電量(例えば、通電比率50%程度、平均電力20W程度)で通電する。これにより、米飯の温度が100度から保温温度65度から70度程度まで低下し(温度低下期間)、以後、この保温を所定期間(保温期間)維持するように各ヒータの通電量を制御する。ここで、保温温度が70度以上で長時間保温すると米飯の乾燥や黄変が生じる。また、保温温度が60度以下であると腐敗が生じるそれが出てくる。米飯の温度上昇は主に胴ヒータ7cによる加熱が支配的であり、温度低下期間において胴ヒータ7cの通電を停止することにより温度低下期間が短縮される。したがって、黄変が生じる70度以上の時間が短くなり、保温工程における米飯の黄変が抑制される。
【0040】
図9は、実施の形態4の変形例に係る炊飯器の保温時の動作を説明する図である。
図8に示す動作との違いは、保温工程における温度低下期間において、制御手段10が蓋ヒータ7eに加え鍔上ヒータ7dへも通電する点である。鍔上ヒータ7dに通電することにより温度低下期間においても突出筒部5e2が加熱されるので、突出筒部5e2の内壁に結露される水滴の発生が抑制され、温度低下期間終了時に突出筒部5e2の内壁付近の米のふやけを防ぐことができる。
【0041】
このように、実施の形態4の炊飯器によれば、保温工程における温度低下期間において、胴ヒータへの通電を停止するので、温度低下期間が短縮されて、保温工程における米飯の黄変が抑制され、おいしい状態で米飯を保温することができる。
【0042】
実施の形態5.
実施の形態4では、保温工程の温度低下期間における各ヒータへの通電制御について示した。実施の形態5では、温度低下期間の後の保温期間おける各ヒータへの通電制御について示す。
図10は、実施の形態5に係る炊飯器の保温時(保温する米飯量が少ない場合)の動作を説明する図である。
図11は、実施の形態5に係る炊飯器の保温時(保温する米飯量が多い場合)の動作を説明する図である。
【0043】
図10において、制御手段10は、保温期間において、底ヒータ7a・7b、胴ヒータ7c及び鍔上ヒータ7dに対し、それぞれ所定の通電量での通電と通電停止を繰り返すことにより、米飯の温度を一定に維持する。制御手段10は、蓋ヒータ7eに対し、保温期間中は温度低下期間と同じ通電量(例えば、通電比率50%程度、平均電力20W程度)で通電する。また、制御手段10は、保温期間中、鍔上ヒータ7dに対し、所定の通電量(例えば、通電比率30%程度、平均電力9W程度)で通電する。
【0044】
一方、
図11に示すように、保温する米飯量が多い場合、蓋ヒータ7eへの通電量は、保温する米飯量が少ない場合の通電量よりも小さい通電量となるように、制御手段10は、蓋ヒータ7eに対し通電制御する。また、保温する米飯量が多い場合、鍔上ヒータ7dへの通電量は、保温する米飯量が少ない場合の通電量よりも大きい通電量となるように、制御手段10は、鍔上ヒータ7dに対し通電制御する。なお、底ヒータ7a・7b及び胴ヒータ7cへの通電量は、保温する米飯量が多い場合と少ない場合とで同じとなるように、制御手段10は、底ヒータ7a・7b及び胴ヒータ7cに対し通電制御し、米飯温度が70度を超えないように維持する。
【0045】
保温する米飯量が多いと、蓋ヒータ7eと内釜5内の米飯の上面との距離が小さくなるので、蓋ヒータ7eにより米飯の上面が乾燥しやすい。米飯量が多いときの蓋ヒータ7eへの通電量を炊飯量が少ないときの蓋ヒータ7eへの通電量よりも小さくするように蓋ヒータ7eへの通電を制御するので、保温時に米飯の上面の乾燥を抑制することができる。また、内蓋2bの下面に結露される水滴の発生が抑制される。
【0046】
また、鍔上ヒータ7dについては、蓋ヒータ7eへの通電量が多い場合(保温する米飯量が少ない場合)は、蓋ヒータ7eの発する熱で突出筒部5e2の内壁が加熱されるので、鍔上ヒータ7dへの通電量は少なくてよい。いずれの場合も、突出筒部5e2の内壁が加熱されるので、突出筒部5e2の内壁に結露される水滴の発生が抑制され、保温時の突出筒部5e2の内壁付近の米のふやけを防ぐことができる。
なお、蓋ヒータ7eに対し、保温期間では、温度低下期間と同様に、所定の通電量(例えば、通電比率50%程度、平均電力20W程度)で通電する。一方、制御手段10は、鍔上ヒータ7dに対し、所定の通電量(例えば、通電比率30%程度、平均電力9W程度)で通電する。
【0047】
このように、実施の形態5の炊飯器によれば、制御手段は、保温工程における保温期間において、鍔上ヒータに所定量通電するとともに、保温する米飯量が多いときの蓋ヒータへの通電量を、保温する米飯量が少ないときの蓋ヒータへの通電量よりも小さくするように、蓋ヒータへの通電を制御するので、保温工程における米飯の黄変が抑制され、おいしい状態で米飯を保温することができる。
【0048】
実施の形態6.
温度低下期間の後の保温期間おける各ヒータへの通電制御の別の例について示す。
実施の形態6では、鍔上ヒータ7dと蓋ヒータ7eに所定量通電するとともに、保温する米飯量に応じて、胴ヒータ7cの通電量を調整するものである。
【0049】
鍔上ヒータ7dと蓋ヒータ7eに所定量通電することにより、内釜5内の米飯の上面が乾燥を抑制するとともに、突出筒部5e2の内壁に結露される水滴が発生しないようにできる。さらに、保温する米飯が多い場合は胴ヒータ7cが加熱する対象の熱容量が大きい。したがって、米飯を適切な温度で維持するためには、米飯の熱容量に応じて胴ヒータ7cの加熱量を変更することが望ましい。つまり、保温する米飯が多い場合は胴ヒータ7cの加熱量を大きくし、保温する米飯が少ない場合は胴ヒータ7cの加熱量を小さくする。
【0050】
このように、実施の形態6の炊飯器によれば、制御手段は、保温工程における保温期間において、鍔上ヒータと蓋ヒータに所定量通電するとともに、保温する米飯量が多いときの胴ヒータへの通電量を保温する米飯量が少ないときの胴ヒータへの通電量よりも大きくするように胴ヒータへの通電を制御するので、保温する米飯量に応じて保温温度を適切に維持して保温することができる。