特許第6366518号(P6366518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366518
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】スクイズフォーマー容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20180723BHJP
   B65D 47/06 20060101ALN20180723BHJP
【FI】
   B65D1/02 111
   !B65D47/06
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-17843(P2015-17843)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141428(P2016-141428A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】角田 義幸
【審査官】 西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−108802(JP,A)
【文献】 特開2014−091581(JP,A)
【文献】 特開2003−192031(JP,A)
【文献】 特開2014−231392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D1/00−1/48
B65D39/00−55/16
B65D83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収容する内層体と該内層体を収容するスクイズ可能な外層体とを備えるとともに前記内層体と前記外層体との間に空気室を備えた容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、前記口部に設けられた空気孔を通して前記空気室から供給される空気を前記内層体から供給される内容液に混合して該内容液を泡状に吐出するフォーマーキャップと、を有するスクイズフォーマー容器であって、
前記容器本体が前記口部に段部を有して連なる胴部を備え、
前記外層体に、前記外層体の外周面と略平行な底面とそれぞれ前記底面と前記外層体の外周面とを連ねるとともに互いの間隔が外側に向かうに従って徐々に広がる一対の側面とを有する台形形状の断面を有し、一端が前記空気孔の真下の部分において前記段部に開放されるとともに前記段部から前記容器本体の底部に向けて延びる凹溝が設けられ
前記胴部の前記凹溝の底面に対応する部分における内面が、前記口部の下端における内面と同一面状となっていることを特徴とするスクイズフォーマー容器。
【請求項2】
前記胴部が、最大幅を有する最大幅部と、前記最大幅部から前記段部に向けて徐々に幅が縮小する縮小幅部とを有し、前記凹溝が前記段部から前記縮小幅部を通過して前記最大幅部にまで延びて設けられている、請求項1に記載のスクイズフォーマー容器。
【請求項3】
規定量の内容液が充填された前記容器本体を倒立姿勢としたときの内容液の液面よりも上方に突出する位置にまで前記凹溝が延びて設けられている、請求項1または2に記載のスクイズフォーマー容器。
【請求項4】
前記凹溝が直線状に延びる形状に形成されている、請求項1〜3の何れか1項に記載のスクイズフォーマー容器。
【請求項5】
前記凹溝がジグザグに曲がって延びる形状に形成されている、請求項1〜3の何れか1項に記載のスクイズフォーマー容器。
【請求項6】
前記フォーマーキャップに、前記空気室から供給される空気と内容液とが通過する発泡部材が設けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載のスクイズフォーマー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体をスクイズ(押圧)することで容器本体に収容された内容液がフォーマーキャップによって泡状に吐出されるスクイズフォーマー容器に関し、特に、吐出口を下方に向けた姿勢で内容液を吐出させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水などの化粧料や、シャンプーやリンスあるいは液体石鹸などのトイレタリーを内容液として収納する容器としては、容器本体をスクイズすることにより内容液を泡状にして吐出することができるスクイズフォーマー容器が知られている。
【0003】
このようなスクイズフォーマー容器としては、例えば特許文献1に示されるように、内容液を収容する内層体とこの内層体を収容する外層体とを有する二重容器(積層剥離容器)に構成された容器本体と、この容器本体の口部に装着されたフォーマーキャップとを備え、外層体の胴部がスクイズされると、フォーマーキャップにおいて内容液に内層体と外層体との間の空気室から供給される空気を混合するとともに当該混合物を発泡部材に通して内容液を泡状にして吐出するようにしたものが知られている。
【0004】
上記スクイズフォーマー容器では、内容液の吐出後に胴部のスクイズを解除すると、胴部の復元に伴って内層体と外層体との間に外気が導入されるので、内層体を減容変形した状態のままに維持して、内層体の内部への空気の流入を防止して内容液の劣化を抑制することができる。
【0005】
また、上記のようなスクイズフォーマー容器として、従来から、吐出口を下方に向けた姿勢で容器本体をスクイズすることで内容液を下向きに吐出させるタイプのものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−149327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、吐出口を下方に向けた姿勢で内容液を吐出させるタイプのスクイズフォーマー容器では、吐出口が下方を向くように容器本体が傾けられたときに内容液が口部の側に溜まり、その内容液の重さで内層体が口部の側において外層体の内面に沿う形状となって、内層体と外層体との間の空気室が口部に設けられた空気孔から遮断される場合がある。このような場合、容器本体がスクイズされても、空気室の空気は空気孔を通して吐出筒の側へ移動することができず、そのため、内容液が空気と混合されずに液状のまま吐出されてしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容液を確実に泡状に吐出することができるスクイズフォーマー容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスクイズフォーマー容器は、内容液を収容する内層体と該内層体を収容するスクイズ可能な外層体とを備えるとともに前記内層体と前記外層体との間に空気室を備えた容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、前記口部に設けられた空気孔を通して前記空気室から供給される空気を前記内層体から供給される内容液に混合して該内容液を泡状に吐出するフォーマーキャップと、を有するスクイズフォーマー容器であって、前記容器本体が前記口部に段部を有して連なる胴部を備え、前記外層体に、前記外層体の外周面と略平行な底面とそれぞれ前記底面と前記外層体の外周面とを連ねるとともに互いの間隔が外側に向かうに従って徐々に広がる一対の側面とを有する台形形状の断面を有し、一端が前記空気孔の真下の部分において前記段部に開放されるとともに前記段部から前記容器本体の底部に向けて延びる凹溝が設けられ、前記胴部の前記凹溝の底面に対応する部分における内面が、前記口部の下端における内面と同一面状となっていることを特徴とする。
【0010】
本発明のスクイズフォーマー容器は、上記構成において、前記胴部が、最大幅を有する最大幅部と、前記最大幅部から前記段部に向けて徐々に幅が縮小する縮小幅部とを有し、前記凹溝が前記段部から前記縮小幅部を通過して前記最大幅部にまで延びて設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明のスクイズフォーマー容器は、上記構成において、規定量の内容液が充填された前記容器本体を倒立姿勢としたときの内容液の液面よりも上方に突出する位置にまで前記凹溝が延びて設けられているのが好ましい。
【0012】
本発明のスクイズフォーマー容器は、上記構成において、前記凹溝が直線状に延びる形状に形成されているのが好ましい。
【0013】
本発明のスクイズフォーマー容器は、上記構成において、前記凹溝がジグザグに曲がって延びる形状に形成されているのが好ましい。
【0014】
本発明のスクイズフォーマー容器は、上記構成において、前記フォーマーキャップに、前記空気室から供給される空気と内容液とが通過する発泡部材が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容器本体が傾けられて内容液が口部の側に溜まっても、外層体に設けた凹溝に沿って内層体と外層体との間に空気室から空気孔に向けて延びる空気通路が形成されるので、容器本体をスクイズしたときに空気室からフォーマーキャップに確実に空気を供給して、内容液を確実に泡状にして吐出させることができる。したがって、本発明によれば、内容液を確実に泡状に吐出することができるスクイズフォーマー容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態であるスクイズフォーマー容器に用いられる容器本体の正面図である。
図2図1に示す容器本体の平面図である。
図3図2におけるA−A線に沿う断面図である。
図4】本発明の一実施の形態であるスクイズフォーマー容器のフォーマーキャップ部分の断面図である。
図5】内容液の吐出時における容器本体の凹溝の周りの部分の断面図である。
図6図1に示すスクイズフォーマー容器の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0018】
図1〜4に示すように、本発明の一実施の形態であるスクイズフォーマー容器1に用いられる容器本体10は、円筒状の口部11と胴部12とを備えたボトル形状に形成されている。
【0019】
口部11は、外周面に雄ねじ13が一体に形成される円筒状の本体部11aと、本体部11aの根元部分に一体に連なるとともに本体部11aよりも大径の円筒状の密閉用段差部11bとを備えている。
【0020】
胴部12は、その幅つまり口部11の軸心を中心とした外径が最大となるとともに一定幅(一定の外径)の有底円筒状の最大幅部12aと、最大幅部12aの上端に一体に連なり口部11の側に向けて徐々に幅を縮小させながら延びるテーパー形状の縮小幅部12bとを有している。
【0021】
縮小幅部12bの上端は口部11の下端に段部14を有して一体に連なっている。この段部14は、縮小幅部12bよりもさらに急激に幅が縮小するテーパー状に形成されており、つまり、縮小幅部12bの上端は口部11の密閉用段差部11bよりも大径となっている。
【0022】
図3に示すように、容器本体10は、内容液を収容する内層体21と、この内層体21を内側に収容する外層体22とを有し、外層体22の内側に内層体21が剥離可能に積層された積層剥離容器(二重容器)に構成されている。このような容器本体10は、例えば積層構造のプリフォームを二軸延伸ブロー成形し、または積層構造のパリソンをダイレクトブロー成形すること等により得ることができる。
【0023】
なお、容器本体10は、積層剥離容器に限らず、内層体21と外層体22とを有する二重容器に構成されていればよい。
【0024】
内層体21は、例えば合成樹脂により薄肉の袋状に形成され、その内側に内容物を収納する充填空間Mを備えている。また、内層体21の上端部は容器本体10の口部11において開口している。
【0025】
外層体22は、例えば合成樹脂により所定の剛性を有するボトル形状に形成され、容器本体10の外郭を構成している。外層体22の胴部12に対応する部分はスクイズ(押圧)可能であるとともに元の形状への復元性を有している。また、外層体22の口部11に対応する部分には、当該外層体22を貫通して内層体21と外層体22との間に連通する空気孔23が設けられている。なお、図示する場合では、外層体22には、その軸線を挟んだ対向配置で2つの空気孔23が設けられているが、少なくとも1つの空気孔23が設けられていればよい。
【0026】
外層体22には凹溝24が設けられている。本実施の形態では、一対の空気孔23に対応して一対の凹溝24が外層体22に設けられている。これらの凹溝24は、空気孔23と同様に、容器本体10の軸線を挟んで対向配置されている。なお、本実施の形態では、外層体22には2本の凹溝24が設けられているが、外層体22に少なくとも1本の凹溝24が設けられていればよい。
【0027】
凹溝24は、それぞれ外層体22の外面から内側に向けて凹むとともに、段部14から容器本体10の底部15つまり容器本体10の下方に向けて直線状に延びる長溝に形成されている。
【0028】
なお、凹溝24は、例えば図示するように、外層体22の外周面と略平行な底面24aと、それぞれ底面24aと外層体22の外周面とを連ねるとともに互いの間隔が外側に向かうに従って徐々に広がる一対の側面24bとを有する台形形状の断面を有する形状とすることができる。
【0029】
凹溝24の口部11の側となる長手方向の上端は、それぞれ容器本体10の正面視において、対応する空気孔23に対して真下に位置する部分において段部14に開放されている。つまり、凹溝24の上端は、それぞれ対応する空気孔23の真下における胴部12の上端部において段部14に開放されている。
【0030】
凹溝24は、段部14から胴部12の縮小幅部12bにおいて延びるとともにこの縮小幅部12bを通過して最大幅部12aに達する位置にまで延びる形状に形成されるのが好ましい。つまり、凹溝24は、その長手方向の下端が胴部12の最大幅部12aに配置されるのが好ましい。
【0031】
また、凹溝24は、内層体21の充填空間Mに規定量の内容液が充填された状態において、容器本体10を倒立姿勢つまり口部11が下方を向き、底部15が上方を向く姿勢としたときに、その内容液の液面よりも上方に一端が突出する位置にまで延びて設けられるのが好ましい。つまり、規定量の内容液が充填された容器本体10を倒立姿勢にしたときに、凹溝24の一端が内容液の液面よりも上方に配置されるように構成されるのが好ましい。
【0032】
上記何れの場合においても、凹溝24は、段部14から底部15にまで延びる形状つまり胴部12の上端から下端にまで延びる形状に形成することができる。
【0033】
なお、凹溝24は、段部14から下方に向けて延びていれば、上記形状に限らず、その下端の位置つまり底部15に向けた長さは任意に設定することができる。
【0034】
内層体21と外層体22の間には空気室25が設けられている。この空気室25は空気孔23に連通しており、この空気孔23を通して空気室25にはスクイズフォーマー容器1の使用開始時において予め空気が充填されている。例えば、前述したブロー成形により容器本体10を積層剥離容器に形成する場合では、内層体21を外層体22から剥離し易くすることを目的として、空気孔23から空気を吹き込んだり口部11から空気を吸い出すことで内層体21を外層体22から全剥離させ、その後、口部11から充填空間Mに空気を吹き込んだり内容液を充填したりして内層体21を元の形状まで戻す初期剥離処理を行うことが一般的であるが、この初期剥離処理において、内層体21の復元を途中で停止することで、内層体21と外層体22との間に空気が充填された空気室25を構成することができる。
【0035】
口部11の外周面に形成された雄ねじ部13には、この雄ねじ部13を縦方向に切断するスリット26が設けられている。図2に示すように、本実施の形態では、スリット26は、空気孔23に対応する位置に計2本設けられるが、何れか一方側にのみ設けるようにしてもよく、また、スリット26を設けない構成とすることもできる。
【0036】
図4に示すように、本発明の一実施の形態であるスクイズフォーマー容器1では、容器本体10の口部11に、空気室25から供給される空気を内層体21の充填空間Mから供給される内容液に混合して内容液を泡状にして吐出するフォーマーキャップ30が装着される。
【0037】
フォーマーキャップ30の内側には、容器本体10の口部11に装着される中栓部材40が嵌合固定されている。例えば樹脂製とされる中栓部材40は、その中心に注出孔40aを備え、充填空間Mに収容された内容液を注出孔40aから外部に向けて注出することができる。
【0038】
フォーマーキャップ30は、雄ねじ13にねじ結合して口部11に装着され、口部11と中栓部材40とを覆っている。フォーマーキャップ30の下端部分は、その内周面において容器本体10の口部11の密閉用段差部11bの外周面に気密に当接し、これにより、口部11とフォーマーキャップ30の間に空気流路P1が区画形成されている。この空気流路P1は空気孔23を介して空気室25に連通するとともに中栓部材40に設けられた連通孔41を通してフォーマーキャップ30のノズル部31の内側に設けられた吐出流路P2に連通している。
【0039】
中栓部材40の上面には、注出孔40aと同軸に円筒状の連結筒部50が装着され、この連結筒部50により注出孔40aがノズル部31の吐出流路P2に連通されている。連結筒部50は、例えばゴムやエラストマー等の弾性体で形成することができる。なお、空気流路P1は連結筒部50に設けられた貫通孔50aを通して吐出流路P2に連通している。
【0040】
連結筒部50の内周面には第1逆止弁60が一体に設けられている。第1逆止弁60は、中栓部材40の上面に配置されて注出孔40aを閉塞する円板状の弁体60aと、この弁体60aを連結筒部50の内周面に支持させる3本(図4では2本のみが示される)のクランク形状の連結腕部60bとを有している。つまり、第1逆止弁60は3点弁に形成されている。なお、第1逆止弁60は、3点弁に限らず、1点弁であってもよく、また、他の構成の弁体を用いることもできる。
【0041】
第1逆止弁60は、内容液の圧力によって弁体60aが注出孔40aから離れる方向に移動して注出孔40aを開くことで内層体21の内部つまり充填空間Mから注出孔40aを通した吐出流路P2への流体(内容液および空気)の流れを許容するとともに、弁体60aが注出孔40aを閉塞するように中栓部材40の上面に弾性的に当接することにより吐出流路P2から注出孔40aを通した内層体21の内部への流体の流れを阻止するように作動する。したがって、容器本体10の胴部12をスクイズすることにより充填空間Mに収容されている内容液を注出孔40aを通して吐出流路P2に向けて注出させることができる一方、胴部12のスクイズが解除されたときに、吐出流路P2に残った内容液や空気が注出孔40aを通して内層体21の内部に導入されることが防止される。
【0042】
空気流路P1には第2逆止弁70が設けられている。この第2逆止弁70は、連結筒部50の外周面に一体に設けられ、当該外周面から径方向外側に向けて延びる環状かつ膜状の弁体70aを備えている。この弁体70aは、その外周縁において中栓部材40の連通孔41が開口する部分の上部に弾性的に当接して空気流路P1をその途中において遮断ないし閉塞している。
【0043】
第2逆止弁70は、胴部12のスクイズによって空気孔23から空気流路P1に供給される空気の圧力によって弁体70aが作動して空気流路P1を開くことで空気孔23から空気流路P1を通した吐出流路P2への流体(空気)の流れを許容するとともに、弁体70aが空気流路P1を閉じることで吐出流路P2から空気流路P1を通した空気孔23への流体の流れを阻止するように作動する。したがって、容器本体10の胴部12をスクイズすることにより空気室25に収容されている空気を空気孔23と空気流路P1とを通して吐出流路P2に向けて供給することができる一方、胴部12のスクイズが解除されたときに、吐出流路P2に残った内容液や空気が空気流路P1と空気孔23とを通して空気室25に導入されることが防止される。
【0044】
胴部12のスクイズによる内容液と空気との吐出後、胴部12のスクイズが解除されたときに、胴部12の復元に伴う負圧によって空気室25に外気を取り込むために、フォーマーキャップ30には開放孔80とボール弁81とが設けられている。
【0045】
開放孔80は中栓部材40に設けられた開放通路83を介して空気流路P1に連なっており、空気流路P1を外部に開放することができる。ボール弁81は、上端に縮径形状の縮径部84aを備えた筒体84の内部に配置されており、容器本体10がフォーマーキャップ30を上側とした正立姿勢から吐出口32を下方に向けるように正立姿勢に対して90度以上傾けられたときに筒体84の縮径部84aの内面に全周に亘って当接して開放孔80を外部に対して閉じるように作動する。これにより、吐出口32を下方に向けた状態で胴部12をスクイズして内容液が吐出される際に開放孔80を閉塞して、空気室25から空気流路P1に供給された空気を外部に開放することなく吐出流路P2に供給することができる。
【0046】
なお、開放孔80とボール弁81に替えて、例えば外層体22の胴部12等の他の部位に同様の機能を有する開放孔および弁体を設けて空気室25に外気を導入させる構成とすることもできる。
【0047】
吐出流路P2には発泡部材Fが設けられている。発泡部材Fとしては、例えば焼結体や発泡体(スポンジ)等により形成された多孔質体やメッシュ部材等を用いることができる。充填空間Mから注出孔40aを通して吐出流路P2に注出された内容液と空気室25から空気流路P1を通して吐出流路P2に供給された空気は、それぞれ発泡部材Fに通されて発泡部材Fにおいて互いに混合される。これにより、内容液は、発泡部材Fにおいて空気と混合されるとともに泡状化されてノズル部31の吐出口32から吐出される。
【0048】
フォーマーキャップ30は、ヒンジ90を介して蓋体91が設けられた構成とすることもできる。
【0049】
このような構成のスクイズフォーマー容器1では、ノズル部31の吐出口32が下方を向くように容器本体10を正立姿勢から90度以上傾け、この状態で胴部12をスクイズすることにより、充填空間Mの内容液を注出口40aから吐出流路P2に向けて注出し、空気室25の空気を空気孔23と空気流路P1とを通して吐出流路P2に供給するとともに、これらを発泡部材Fにおいて混合して内容液を吐出口32から泡状に吐出させることができる。
【0050】
このとき、外層体22には凹溝24が形成されているので、ノズル部31の吐出口32が下方を向くように容器本体10が正立姿勢から90度以上傾けられて、容器本体10の口部11の側に内容液が溜まっても、図5に示すように、内層体21と外層体22との間には、凹溝24に沿って空気通路P3が確保されることになる。つまり、積層剥離容器に構成された容器本体10では、上記した初期剥離処理等によって一旦外層体22から剥離した内層体21は、外層体22の凹溝24の内面全体に再度完全に密着することは困難であるので、例え内層体21が内容液の重みによって外層体22の内面に押し付けられたとしても、内層体21と外層体22との間に凹溝24に沿って空気通路P3が形成されることになる。
【0051】
したがって、内容液の吐出時に、ノズル部31の吐出口32が下方を向くように容器本体10が正立姿勢から90度以上傾けられても、空気室25と口部11に設けられた空気孔23との間を凹溝24に沿って形成される空気通路P3によって連通させて、空気室25の空気を空気孔23および空気流路P1とを介して確実に吐出流路P2に供給することができる。
【0052】
また、凹溝24は、段部14に開放されて口部11に対して段差を有さずに連通しており、しかも空気孔23の真下において段部14に開放されているので、空気通路P3を確実に空気孔23に連通させることができる。特に、積層剥離容器に構成された容器本体10において、上記した初期剥離処理等によって一旦外層体22から剥離した内層体21は、その空気孔23の周りにしわが寄るので、このしわにより空気孔23と空気通路P3が連通されてさらに確実に空気室25と空気孔23との間の空気の通路が確保されることになる。
【0053】
このように、本発明のスクイズフォーマー容器1では、内容液の吐出時に容器本体10を傾けても、外層体22に設けた凹溝24に沿って内層体21と外層体22との間に空気室25から空気孔23に向けて延びる空気通路P1が形成されるので、容器本体10をスクイズしたときに空気室25からフォーマーキャップ30の吐出流路P2に確実に空気を供給して、内容液を確実に泡状にして吐出させることができる。
【0054】
特に、凹溝24を胴部12の最大幅部12aにまで達する長さに形成し、または、規定量の内容液が充填された容器本体10を倒立姿勢としたときに内容液の液面よりも上方に突出する長さに形成することにより、内容液の吐出時に凹溝24の先端つまり空気通路P3の先端を空気室25に確実に連通させて、さらに確実に内容液を泡状にして吐出させることができる。
【0055】
また、本実施の形態のように、一対の凹溝24を容器本体10の軸心を中心として対向配置することにより、容器本体10を傾斜させたときに、一対の凹溝24のうちの何れか一方の凹溝24つまり空気通路P3を空気室25に連通し易くして、さらに確実に内容液を泡状にして吐出させることができる。
【0056】
内容液の吐出後に、容器本体10が正立姿勢に戻されて胴部12のスクイズが解除されると、第1逆止弁60により注出孔40aが閉じられ、第2逆止弁70により空気流路P1が遮断されるとともに図示しない空気導入孔から空気室25に外気が導入されて、内層体21を減容変形させたまま胴部12を元の形状に復元させることができる。これにより、内層体21の内部への空気の侵入を防止して、内容液の劣化を抑制することができるとともに、空気流路P1を通した空気室25への内容液の流入が阻止される。
【0057】
図6に変形例として示すように、外層体22に設けられる凹溝24は、段部14から底部15に向けてジグザグに曲がりながら延びる形状に形成することもできる。凹部24をこのような形状とすることにより、一旦外層体22から剥離された内層体21が、凹溝24の内面全体に密着することをさらに困難にして、凹溝24に沿った空気通路P3をさらに確実に形成させることができる。
【0058】
図1に示す直線状の凹溝24および図6に示すジグザグに曲がる凹溝24の何れにおいても、その下端は丸みを帯びた形状に形成されるのがよい。
【0059】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0060】
例えば、フォーマーキャップ30としては、上記構成のものに限らず、容器本体10の口部11に装着されて口部11に設けられた空気孔23を通して空気室25から供給される空気を内層体21の充填空間Mから供給される内容液に混合して内容液を泡状にして吐出することができるものであれば、種々の構成のものを用いることができる。
【0061】
また、凹溝24の断面形状は、図5等に示す台形状に限らず、例えば半円状や底面24aの幅よりも開口の幅が狭いアンダーカット形状など種々の形状とすることができる。
【0062】
さらに、凹溝24は、2本に限らず、少なくとも1本設けられていればよい。
【0063】
さらに、本実施の形態においては、容器本体10を最大幅部12aと縮小幅部12bとを備えた形状としているが、これに限らず、容器本体10の形状は種々変更可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 スクイズフォーマー容器
10 容器本体
11 口部
11a 本体部
11b 密閉用段差部
12 胴部
12a 最大幅部
12b 縮小幅部
13 雄ねじ
14 段部
15 底部
21 内層体
22 外層体
23 空気孔
24 凹溝
24a 底面
24b 側面
25 空気室
26 スリット
30 フォーマーキャップ
31 ノズル部
32 吐出口
40 中栓部材
40a 注出孔
41 連通孔
50 連結筒部
50a 貫通孔
60 第1逆止弁
60a 弁体
60b 連結腕部
70 第2逆止弁
70a 弁体
80 開放孔
81 ボール弁
83 開放通路
84 筒体
84a 縮径部
90 ヒンジ
91 蓋体
M 充填空間
P1 空気流路
P2 吐出流路
P3 空気通路
F 発泡部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6