特許第6366520号(P6366520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366520
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】出力変動監視装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20180723BHJP
   G21C 17/003 20060101ALI20180723BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G01M99/00 Z
   G21C17/00 E
   G05B23/02 R
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-18149(P2015-18149)
(22)【出願日】2015年2月2日
(65)【公開番号】特開2016-142606(P2016-142606A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宏則
(72)【発明者】
【氏名】水出 有俊
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−300638(JP,A)
【文献】 特開昭63−124101(JP,A)
【文献】 特開2001−166819(JP,A)
【文献】 特開2008−275466(JP,A)
【文献】 特開2006−250657(JP,A)
【文献】 特開昭59−007295(JP,A)
【文献】 特開平06−331507(JP,A)
【文献】 特開2002−062901(JP,A)
【文献】 特開2004−211587(JP,A)
【文献】 特開2008−088961(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/125130(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0015659(US,A1)
【文献】 佐藤 拓哉,圧力設備の破損モードと応力,圧力技術,2005年,第43巻,第3号,36〜43頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G05B 23/02
G21C 17/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所の機器構造物を疲労させるパラメータを計測する複数のパラメータ計測器と、上記発電所の発電機出力変更指示を行う中央制御部と、上記中央制御部からの発電機出力変更指示が供給され、発電機の出力が変更されて、上記パラメータ計測器が計測した上記パラメータの変動に基づいて、上記複数の機器構造物のそれぞれについて累積疲労係数を算出し、算出した累積疲労係数が設定値より大と判断された機器構造物に対して、疲労警報指令を発生する出力変動監視部と、上記出力変動監視部からの疲労警報指令に従って、警報を発生する疲労蓄積警報発生部と、を備えることを特徴とする出力変動監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の出力変動監視装置において、上記出力変動監視部は、上記複数の機器構造物のそれぞれについて、上記発電機の出力変動回数と、その機器構造物に損傷が発生したと判断される回数を格納するメモリと、上記メモリに格納された上記出力変動回数と、その機器構造物に損傷が発生したと判断される応力サイクル数とに基づいて、上記複数の機器構造物のそれぞれについて累積疲労係数を計算する累積疲労係数計算部と、上記累積疲労係数計算部が計算した累積疲労係数が上記設定値より大か否かを判断し、算出した累積疲労係数が設定値より大と判断された機器構造物に対して、疲労警報指令を発生する疲労蓄積状態判定部と、上記疲労蓄積状態判定部から上記疲労警報指令が発生され、上記疲労蓄積警報発生部に疲労警報指令を出力するOR回路部と、を備えることを特徴とする出力変動監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の出力変動監視装置において、上記出力変動監視部の疲労蓄積状態判定部は、上記中央制御部から、上記複数の機器構造物のいずれかについてのリセット信号が出力されると、リセット信号が出力された機器構造物について、上記メモリに格納された、上記出力変動回数を初期値にリセットすることを特徴とする出力変動監視装置。
【請求項4】
請求項3に記載の出力変動監視装置において、上記発電所は、原子力発電所であり、上記パラメータ計測器は、例えば、原子炉圧力容器内の圧力を計測する圧力計測器と、原子炉圧力容器内の中性子束を計測する中性子束計測器と、タービンの蒸気流量を計測する蒸気流量計測器と、タービンの蒸気圧力を計測する蒸気圧力計測器等であることを特徴とする出力変動監視装置。
【請求項5】
発電所の複数の機器構造物を疲労させるパラメータを計測し、上記発電所の発電機出力変更指示を行う中央制御部からの発電機出力変更指示が発せられ、発電機の出力が変更されて、計測された上記パラメータの変動に基づいて、上記複数の機器構造物のそれぞれについて累積疲労係数を算出し、算出した累積疲労係数が設定値より大と判断された機器構造物に対して、疲労警報を発生することを特徴とする出力変動監視方法。
【請求項6】
請求項5に記載の出力変動監視方法において、上記複数の機器構造物のそれぞれについて、上記発電機の出力変動回数と、その機器構造物に損傷が発生したと判断される回数をメモリに格納し、上記メモリに格納された上記出力変動回数と、その機器構造物に損傷が発生したと判断される応力サイクル数とに基づいて、上記複数の機器構造物のそれぞれについて累積疲労係数を計算し、上記計算した累積疲労係数が上記設定値より大か否かを判断し、算出した累積疲労係数が設定値より大と判断された機器構造物に対して、疲労警報指令を発生し、この疲労警報指令が発生されているときに、疲労警報を出力することを特徴とする出力変動監視方法
【請求項7】
請求項6に記載の出力変動監視方法において、上記中央制御部から、上記複数の機器構造物のいずれかについてのリセット信号が出力されると、上記メモリに格納された、リセット信号が出力された機器構造物について、上記出力変動回数を初期値にリセットすることを特徴とする出力変動監視方法。
【請求項8】
請求項7に記載の出力変動監視方法において、上記発電所は、原子力発電所であり、上記パラメータを計測するパラメータ計測器は、例えば、原子炉圧力容器内の圧力を計測する圧力計測器と、原子炉圧力容器内の中性子束を計測する中性子束計測器と、タービンの蒸気流量を計測する蒸気流量計測器と、タービンの蒸気圧力を計測する蒸気圧力計測器等であることを特徴とする出力変動監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力発電所等の発電システムにおける発電機出力の変動監視に関する。
【背景技術】
【0002】
発電システムとして、例えば、原子力発電システムのメカニズムは以下の通りである。
【0003】
通常運転における原子力発電システムは、原子炉内の核分裂によって発生する熱を用いて蒸気を発生させ、その蒸気は主蒸気配管を経由してタービンへ送られ、タービンを回転させることによりタービンに直結した発電機にて電気を発生させている。
【0004】
タービンへの蒸気量はタービン上流に配置されたタービン蒸気加減弁にて制御され、タービンへ送られる蒸気量を制御することで原子力発電所の発電量を制御する。タービンで使用された蒸気は復水器にて回収される。回収された復水は復水ポンプ、給水ポンプで昇圧され給水として給水配管を経由して原子炉へ戻される。
【0005】
原子炉における熱出力発生メカニズムは以下の通りである。
【0006】
沸騰水型原子力発電システムでは、ボイド反応度等を制御して、原子炉内の核分裂によって得られる熱出力の制御を実現している。沸騰水型原子力発電システムの場合、ボイド反応度は原子炉を循環する冷却材のボイド率(冷却材密度)変化に依存するため、原子炉を循環する冷却材のボイド率を制御することにより発生熱出力を制御、すなわち発生蒸気量を制御している。
【0007】
以上のことから、沸騰水型原子力発電システムの発電機出力変更方法は次の通りである。
【0008】
原子炉再循環ポンプ等により原子炉冷却材のボイド率を変化させ、原子炉内の核分裂および核分裂によって得られる熱出力を変化させることで、発生蒸気が変化し、蒸気加減弁開度を発生蒸気に応じた開度とすることで所望の発電機出力を得ることができる。
【0009】
原子力発電所における発電所においては、構成機器等の疲労等を検出または予測し、構成機器等の健全性を確保する必要がある。
【0010】
例えば、特許文献1には、原子炉燃料棒健全性監視装置が開示されている。
【0011】
特許文献1に記載の技術においては、原子炉出力上昇時の制御棒操作を行う時に、その操作実行前に、操作する制御棒に近接する燃料集合体内の燃料棒の線出力の変動に対する燃料棒損傷発生確率を予測する。
【0012】
そして、予測された線出力の変動に対する燃料棒の燃料棒損傷発生確率が設定値以下の範囲に入るか否かを判定し、表示する。運転員は、表示値を参照して制御棒操作を合理的に選定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
特開昭59−7295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、近年においては、風力発電や太陽光発電等の再生可能エネルギーが用いられているが、これら再生可能エネルギーは発電量が天候に影響されるため不安定である。このため、安定した電力供給が可能な原子力発電所等の発電所によって発電機出力を変更し、再生可能エネルギーの増減に応じて電力の需要と供給のバランスをとる必要がある。
【0015】
原子力発電所において、発電機出力を変更する場合、タービンへ送られる蒸気の量を変更する必要があるが、そのためには原子力発電システムを循環する蒸気または水の量を変更する必要がある。
【0016】
これにより、原子力発電システムを循環する蒸気または水の通過経路上にある機器構造物に生じる応力が変化するが、応力の変化が繰り返されると機器構造物に疲労が蓄積され、機器の劣化進行が加速される可能性がある。
【0017】
例えば、送電系統の系統周波数に応答して発電機出力を制御する周波数応答運転を実施する場合、送電系統の系統周波数は常に変動している。このため、原子力発電システムは、発電機出力を繰り返し変更する必要がある。
【0018】
発電機出力を繰り返し変更することにより、原子力発電システムを循環する蒸気または水の量は変化し、原子力発電システムを循環する蒸気または水の通過経路上にある機器構造物における応力が繰り返し変動し、機器構造物内に疲労が蓄積され、機器構造物の劣化進行が加速する可能性がある。
【0019】
この場合、発電所の機器構造物のそれぞれについて、発電機出力の変更による累積疲労を考慮して、個々の機器の整備、交換等を行う必要がある。
【0020】
上記特許文献1に記載の技術では、再生可能エネルギーの発電量増減によって変動する系統周波数に応じて、原子力発電所等の発電機出力を変更することは考慮されておらず、発電機出力の変更による個々の機器の累積疲労を考慮した機器の管理は困難である。
【0021】
本発明の目的は、発電所の機器構造物のそれぞれについて、発電機出力の変動による累積疲労を考慮して、個々の機器の整備、交換等を行うことが可能な、発電所における出力変動監視装置および方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0023】
出力変動監視装置において、発電所の機器構造物を疲労させるパラメータを計測する複数のパラメータ計測器と、上記発電所の発電機出力変更指示を行う中央制御部と、上記中央制御部からの発電機出力変更指示が供給され、発電機の出力が変更されて、上記パラメータ計測器が計測した上記パラメータの変動に基づいて、上記複数の機器構造物のそれぞれについて累積疲労係数を算出し、算出した累積疲労係数が設定値より大と判断された機器構造物に対して、疲労警報指令を発生する出力変動監視部と、上記出力変動監視部からの疲労警報指令に従って、警報を発生する疲労蓄積警報発生部と、を備える。
【0024】
出力変動監視方法において、発電所の複数の機器構造物を疲労させるパラメータを計測し、上記発電所の発電機出力変更指示を行う中央制御部からの発電機出力変更指示が発せられ、発電機の出力が変更されて、上記計測された上記パラメータの変動に基づいて、上記複数の機器構造物のそれぞれについて累積疲労係数を算出し、算出した累積疲労係数が設定値より大と判断された機器構造物に対して、疲労警報を発生する。
【発明の効果】
【0025】
発電所の機器構造物のそれぞれについて、発電機出力の変動による累積疲労を考慮して、個々の機器の整備、交換等を行うことが可能な、発電所における出力変動監視装置および方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明が適用される原子力発電システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施例による出力変動監視フローチャートである。
図3】本発明の実施例による出力変動監視方式のロジック例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【実施例】
【0028】
本発明を、原子力発電システムに適用した場合を例として説明する。
【0029】
図1は、本発明が適用される原子力発電システムの概略構成図である。
【0030】
図1において、通常運転における原子力発電システムは、原子炉圧力容器1における核分裂による発生熱出力で蒸気を発生させ、その蒸気は主蒸気配管2を経由してタービン3に送られる。
【0031】
そして、蒸気によって、タービン3を回転させることによりタービン3に直結された発電機4にて電気を発生している。タービン3への蒸気量はタービン3上流に配置されたタービン蒸気加減弁5にて制御される。
【0032】
タービン3で使用された蒸気は復水器6にて回収される。回収された復水は復水ポンプ7、給水ポンプ8で昇圧され、給水として給水配管9を経由して原子炉圧力容器1へ戻される。
【0033】
原子炉圧力容器1内の圧力は、原子炉圧力計測器11により計測される。また、原子炉圧力容器1内の中性子束は、中性子束計測器14により計測される。主蒸気配管2の蒸気流量、つまり、タービン3の蒸気流量は、蒸気流量計測器12により計測される。また、タービン3の蒸気圧力は、蒸気圧力計測器13により計測される。
【0034】
これら原子炉圧力計測器11、中性子束計測器14、蒸気流量計測器12、蒸気圧力計測器13は、機器構造物を疲労させるパラメータを計測するパラメータ計測器である。
【0035】
原子炉における熱出力発生メカニズムは以下の通りである。
【0036】
沸騰水型原子力発電システムでは、核分裂による熱出力はボイド反応度等を制御することにより実現している。沸騰水型原子力発電システムの場合、ボイド反応度はボイド率(冷却材密度)変化に依存するため、原子炉を循環する冷却材のボイド率を制御することにより発生熱出力を制御、すなわち発生蒸気量を制御している。
【0037】
発電機4の出力、すなわち、タービン3で消費する蒸気を減少させる必要がある場合には、原子炉再循環ポンプ10により原子炉再循環流量を減少させることにより、原子炉圧力容器1内のボイド率が増加して発生熱出力が減少する。この発生熱出力の減少により発生蒸気流量が減少する。
【0038】
タービン蒸気加減弁5の開度を、減少した蒸気量に応じた開度とすることでタービン3へ送られる蒸気量が減少し、タービン3に直結した発電機4の発電機出力は減少する。
【0039】
さらに、タービン3で仕事をして復水器6へ回収される蒸気量も減少する。また、回収された復水は復水ポンプ7、給水ポンプ8で昇圧され給水として給水配管9を経由して原子炉圧力容器1へ戻されるが、発生蒸気量が減少するため、原子炉圧力容器1へ戻される給水量も減少する。
【0040】
一方、発電機4の出力を増加させる必要がある場合は、発生蒸気流量を増加させると、タービン3へ送られる蒸気流量が増加し、発電機出力が増加する。さらに、復水器6へ回収される蒸気量も増加する。また、原子炉圧力容器1へ戻される給水量も増加する。
【0041】
つまり、発電機出力を増減させることにより循環する蒸気または水の量が増減するため、原子力発電システムを循環する蒸気または水が通過する全ての機器構造物に生じる応力が変化することとなる。
【0042】
例えば、周波数応答運転を実施する場合など、繰り返し発電機出力を変更することで、これら機器構造物に疲労が蓄積し、劣化が進行する可能性がある。
【0043】
発電機出力変更による機器構造物劣化の可能性に対して、機器構造物に蓄積した疲労を監視し、機器構造物が劣化し、本来の機能を発揮できなくなる前に運転員が発電機出力一定運転へ切り替える、または機器構造物を新規交換することで、機器構造物の劣化進行を抑制することができる。
【0044】
図2は、本発明の実施例における出力変動監視方式の出力変動監視フローチャートである。
【0045】
図2において、発電機出力の変更によって変動するパラメータから、個々の機器構造物(例えば、原子炉圧力容器1、タービン3)に生じる応力の変化を算出する(ステップS1)。
【0046】
ここで、パラメータとは、原子炉圧力容器1の場合は、圧力計測器11によって計測される原子炉圧力容器1内の圧力と、中性子束計測器14によって計測される中性子束である。
【0047】
また、タービン3の場合は、蒸気流量計測器12により計測されるタービン3の蒸気流量と、蒸気圧力計測器13により計測されるタービン3の蒸気圧力とである。
【0048】
次に、ステップS1にて算出された応力の振幅により得られる累積疲労係数(算出式は後述する)を算出し(ステップS2)、機器毎に算出された累積疲労係数と予め設定しておいた累積疲労係数設定値を比較する(ステップS3)。
【0049】
算出された累積疲労係数と予め設定しておいた累積疲労係数設定値(例えば0.9)との比較の結果、算出された累積疲労係数が累積疲労係数設定値を下回った場合は、発電機出力の変更が可能であると判定する。そして、発電機の出力が、そのときに要求される出力に変更される。
【0050】
一方、ステップS3において、算出された累積疲労係数が累積疲労係数設定値以上となった場合は、発電機出力変更によって機器構造物の劣化進行が加速される可能性(健全性を損なう可能性)があると判定し、運転員に対して、算出された累積疲労係数が累積疲労係数設定値以上となった機器構造物が健全性を損なう可能性があることを、その機器構造部を表示して警報にて知らせる(ステップ4)。
【0051】
また、機器構造物を交換した場合には、リセット信号により交換した機器構造物の累積疲労係数を初期化する。ただし、交換した機器構造物以外の機器構造物の累積疲労係数についてはリセットされずホールドされる。
【0052】
図3は、出力変動監視方式のロジック例のブロック図である。
【0053】
図3において、出力変動監視ロジック部(出力変動監視部)15は、スイッチ部16と、メモリ17と、累積疲労計算部22と、疲労蓄積状態判定部23と、OR回路部24とを備えている。
【0054】
発電機出力変更運転時、中央制御部(中央制御室)18から伝達される発電機出力変更運転信号20がトリガーとなり、機能としてのスイッチ部16がオンとなり、計測したパラメータの計測信号21が累積疲労係数計算部22に供給され、累積疲労係数が計算される。
【0055】
上記累積疲労係数とは累積疲労指標とも呼ばれ、次式(1)により算出される。
f=Σ(n(σ)/N(σ)) ・・・ (1)
【0056】
上記式(1)において、fは、累積疲労係数であり、n(σ)は、その機器構造物の応力σの応力サイクル数(発電機出力変動回数)であり、N(σ)は、応力σの応力サイクルによりその機器構造物に損傷が発生したときの応力サイクル数である。その機器構造物に損傷が発生したか否かの判断は、応力サイクル数である出力変動の大きさや、使用年数等から、機器構造物毎に設定した値により行うことができる。
【0057】
つまり、原子炉圧力計測器11により計測された原子炉圧力容器1内の圧力、中性子束計測器14により計測された原子炉圧力容器1内の中性子束、蒸気流量計測器12により計測された主蒸気配管2の蒸気流量、蒸気圧力計測器13により計測され、タービン3の蒸気流量等の、機器構造物を疲労させるパラメータの値の変動量、使用年数等から、機器構造物毎に設定した値によって、その機器構造物に損傷が発生したか否かの判断を行うことが出来る。
【0058】
また、Σは、応力サイクルについての総和である。
【0059】
累積疲労係数fが1を超えれば、その機器構造物に損傷が発生する確率が高く、累積疲労係数fが1未満のときは、その機器構造物に損傷が生じる確率は小さいとされている。
【0060】
各機器構造物の応力σ、応力サイクル数はメモリ17に格納されており、応力が加わる毎に、つまり、出力変動がある毎に応力サイクル数を加算していく。また、メモリ17には、機器構造物毎に、その機器構造物に損傷が発生したと判断される回数も格納され、更新されるように構成されている。
【0061】
後述するように、リセット信号25により、該当する機器構造物の応力サイクル数はリセットされ、初期回数とされる。
【0062】
累積疲労係数計算部22により、計算された累積疲労係数は、累積疲労係数判断部23に供給される。疲労蓄積状態判定部23は、累積疲労係数計算部22により計算された累積疲労係と、予めメモリ17に格納された設定値とを比較する。
【0063】
そして、累積疲労係数計算部22により計算された累積疲労係数が、設定値を上回った場合、疲労蓄積状態判定部23は、OR回路部24に信号「1」を出力する。
【0064】
このとき、OR条件が成立し、OR回路部24から疲労破損警報発生部19に警報信号が供給されることにより疲労破損警報が発せられる。
【0065】
疲労破損警報発生部19には、表示部が備えられており、表示部に、該当する機器構造物名が表示され、併せて疲労破損警報も表示される。
【0066】
また、機器構造物を新規交換した場合は、リセット信号25が中央制御部18から累積疲労係数計算部22に供給される。累積疲労係数計算部22は、新規交換された機器構造物についての、メモリ17に格納された応力サイクル数を初期値にリセットする。これにより、累積疲労係数は初期化される。リセット信号は、中央制御部18が有する操作部によりオペレーターが手動操作することにより発生される。
【0067】
以上のように、本発明の実施例によれば、原子力発電所の発電機出力の変更要請があった際に、原子力発電所の各構成機器に対して、出力変動による累積疲労係数を算出し、算出した累積疲係数が設定値を超える場合には、その機器構造物が損傷する可能性を警報し、発電機出力変更を行わないように構成されている。
【0068】
これによって、原子力発電所の機器構造物のそれぞれについて、発電機出力の変動による累積疲労を考慮して、個々の機器の整備、交換等を行うことが可能な、発電所における出力変動監視装置および方法を実現することができる。
【0069】
また、発電機出力変更により機器構造物の劣化が進行し、損傷することを未然に防ぐことができる。
【0070】
また、機器構造物を交換した場合には、交換した機器構造物の累積疲労係数がリセットされる。このため、原子力発電システムの運転寿命期間を通じて、適切に機器構造物の状態を監視することができる。
【0071】
なお、上述した例は、本発明を原子力発電所に適用した場合の例であるが、本発明は、原子力発電所のみならず、火力発電所等の他の発電所にも適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1:原子炉圧力容器、2:主蒸気配管、3:タービン、4:発電機、5:タービン蒸気加減弁、6:復水器、7:復水ポンプ、8:給水ポンプ、9:給水配管、10:再循環ポンプ、11: 原子炉圧力計測器、12:蒸気流量計測器、13:蒸気圧力計測器、14:中性子束計測器、15:出力変動監視ロジック部(出力変動監視部)、16:スイッチ部、17:メモリ、18:中央制御部、19:疲労蓄積警報発生部、20:発電機出力変更運転信号、21:計測パラメータ信号、22:累積疲労係数計算部、23:疲労蓄積状態判定部、24:OR回路部、25:リセット信号
図1
図2
図3