特許第6366521号(P6366521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6366521幹細胞由来オリゴデンドロサイト前駆細胞を培養するための合成表面
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366521
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】幹細胞由来オリゴデンドロサイト前駆細胞を培養するための合成表面
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20180723BHJP
   C12N 5/0797 20100101ALI20180723BHJP
【FI】
   C12M3/00 A
   C12N5/0797
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-32771(P2015-32771)
(22)【出願日】2015年2月23日
(62)【分割の表示】特願2010-545160(P2010-545160)の分割
【原出願日】2009年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-97533(P2015-97533A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】61/063,010
(32)【優先日】2008年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514000015
【氏名又は名称】アステリアス バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】ショグボン,クリストファー,バンコール
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ユー
(72)【発明者】
【氏名】ブランデンバーガー,ラルフ
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0019747(US,A1)
【文献】 特開2004−129561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
PubMed
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ポリマー物質上に配置されたヒトのオリゴデンドロサイト前駆細胞と、
2)合成培地とを具備し、
前記ポリマー物質が、第一モノマー及び第二モノマーから形成されるコポリマーであり、前記第一モノマー及び第二モノマーの各々がジアクリレート又はジメタクリレートを含む、細胞培養物。
【請求項2】
前記オリゴデンドロサイト前駆細胞が、ネスチン及びOlig1を発現する、請求項1に記載の細胞培養物。
【請求項3】
前記オリゴデンドロサイト前駆細胞が、ヒト胚性幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、請求項1又は2に記載の細胞培養物。
【請求項4】
前記オリゴデンドロサイト前駆細胞が、誘導された多能性幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、請求項1又は2に記載の細胞培養物。
【請求項5】
前記ポリマー物質が、グリセロールジメタクリレートを含む、請求項1又は2に記載の細胞培養物。
【請求項6】
前記ポリマー物質が、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートを含む、請求項1又は2に記載の細胞培養物。
【請求項7】
ヒトのオリゴデンドロサイト前駆細胞の培養方法であって、
ヒトのオリゴデンドロサイト前駆細胞を含む懸濁物をポリマー物質上に沈着させ、次いで、
沈着させたヒトのオリゴデンドロサイト前駆細胞を合成培地中で培養することを含み、
前記ポリマー物質が、第一モノマー及び第二モノマーから形成されるコポリマーであり、前記第一モノマー及び第二モノマーの各々がジアクリレート又はジメタクリレートを含む、方法。
【請求項8】
前記オリゴデンドロサイト前駆細胞が、ネスチン及びOlig1を発現する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴデンドロサイト前駆細胞が、ヒト胚性幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記オリゴデンドロサイト前駆細胞が、誘導された多能性幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー物質が、グリセロールジメタクリレートを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー物質が、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2008年1月30日出願の米国仮出願番号61/063010の優先権を主張するものであって、出典明記によってその全体が援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示内容は、細胞培養物品及びその使用方法、特に幹細胞由来オリゴデンドロサイト前駆細胞の培養を支援するための物品に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト胚性幹細胞(hESC)などの多能性幹細胞には、ヒトの身体のいずれかの種類の成熟細胞を生じる3つの胚葉のいずれかに分化する能力を有する。この優れた特性は、糖尿病、脊髄損傷、心臓病などといった多くの重症細胞変性疾患のための新規の治療を開発する可能性をもたらす。例えば、脊髄損傷は一般に、現在の治療によっては回復不可能であり、約25万人のアメリカ人を絶望的な状況にしている。しかしながら、幹細胞研究が進んでいるので、脊髄損傷に苦しむ人々に新しい可能性への期待をもたらしている。ES細胞由来の神経系細胞は、動物モデルにおける神経系障害を治療するために研究者によって使用されている。以前の研究では、研究者は、マウスES細胞が、神経障害を有するマウスに移植すると正常な機能の回復を促す神経系細胞に分化するように刺激されうることを示した。
【0004】
しかしながら、前記のようなhESCを基にした治療の開発には障害が残っている。この障害とは、組織培養中に十分な数の未分化hESCを得て維持することと、特定の細胞種を産生させるために細胞の分化を制御することなどである。hESC細胞培養物などの幹細胞培養物は、一般に、細胞バンクないし貯蔵物から少量の細胞を播種し、次いで所定の医療用途のために分化が望まれるまで未分化状態で増幅させる。これを達成するために、hESCないしその分化細胞は、現在のところ、フィーダー層、胎児ウシ血清又はマトリゲル(登録商標)といった動物由来の成分を含有する表面又は培地の存在下で培養される。培養環境に対するこれら動物由来添加物は、細胞を、患者に移すか又はhESCの培養全般及び維持を損なわせる有害になりうるウイルスや他の感染性因子に曝す。さらに、このような生物由来物質はバッチ変異、免疫応答及び有効期間の制限を受けやすい。
【0005】
動物由来の成分を含んでいない培地又は表面上でhESCを培養するためにいくつかの工程が取られていた。しかしながら、hESCないしはその分化した誘導体の反応は、表面又は培養培地の変化の要素として予測することが難しい。にもかかわらずいくらかの進歩があった。例えば、hESC由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)は規定の無血清培地中で培養されている。このような培養系は、使用するマトリクスがゼラチンやマトリゲルのような動物由来の成分を含む場合に完全に無異物培養系とはならないが、hESC由来OPCの最終的な臨床応用に向けての一歩となる。更なる例として、ヒト上皮幹細胞の上皮細胞への分化を促しうる合成表面がいくつか同定された。しかしながら、使用する系は細胞培養のために血清培地に頼っており、やはりすべての生物学的な動物由来成分について前述のような問題が起こる可能性がある。今まで、幹細胞又は幹細胞由来の細胞を培養するために、合成培地及び合成表面を用いた完全に動物を含まない系は、未だ同定されていない。
【発明の概要】
【0006】
本開示内容は、とりわけ、合成培地における幹細胞由来のOPCの培養に有用な合成表面を開示する。
【0007】
ある実施態様では、オリゴデンドロサイト前駆細胞の培養方法が提供される。この方法には、ポリマー物質上にオリゴデンドロサイト前駆細胞を含有する懸濁液を沈着させること、及び細胞培養培地中で沈着したオリゴデンドロサイト前駆細胞を培養することが含まれる。ポリマー物質には、選択された一ないし複数のアクリレートモノマーのホモポリマー又はコポリマーが含まれる。
【0008】
ある実施態様では、オリゴデンドロサイト前駆細胞の培養物が提供される。この培養物には、表面上に配置されたポリマー物質を有する物品が含まれる。この培養物にはさらに、ポリマー物質上に配置されたオリゴデンドロサイト前駆細胞及び、オリゴデンドロサイト前駆細胞が培養された培養培地が含まれる。ポリマー物質には、選択された一ないし複数のアクリレートモノマーのホモポリマー又はコポリマーが含まれる。
【0009】
ある実施態様では、合成培地においてオリゴデンドロサイト前駆細胞を培養するための細胞培養物品が提供される。この物品には、表面と表面上に配置されたポリマー物質が含まれる。ポリマー物質には、選択された一ないし複数のアクリレートモノマーのホモポリマー又はコポリマーが含まれる。
【0010】
本明細書中で示す様々な実施様態の一ないし複数は、幹細胞由来のOPCを培養するための従来の表面よりも一ないし複数の利点を提供する。例えば、本合成表面は、動物源から生じるないしは動物源由来の成分を有する表面に関連する起こりうる混入物の問題を低減する。また、このような表面は、生物学的成分を含む表面と比較して保存期間を改善しうる。さらに、合成培地中での幹細胞由来OPCを培養する能力は、潜在的な混入物の問題を低減する。さらに、合成表面又は合成培地の能力においてバッチ間変異がほとんどなく、培養産物及び予測値の再現性が改善されるであろう。添付の図面と合わせて読むと以下の詳細な説明からこれら及び他の利点は容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1A−Bは、合成ポリマー層でコートした物品の側面の略図である。
図2図2A−Cは、壁を有する細胞培養物品の横断面の略図である。未コート表面(図2A)、コート表面(図2B)、及びコートした表面と側壁(図2C)。
図3図3A−Cは、28日目から35日目の間の、アクリレートコート表面123−2(A)及び95−2(B)、そしてポジティブコントロール表面のマトリゲル(C)上に再プレーティングした後に免疫染色したhES細胞由来のOPCの蛍光画像である。ヒトES細胞由来のOPCをOPCマーカーであるOligl(緑)及びネスチン(赤)について免疫染色した。
図4図4A−Cは、28日目から35日目の間並びに35日目から42日目の間の、アクリレートコート表面123−2(A)、122−3(B)、及びマトリゲルTM(C)上に再プレーティングした後に免疫染色したhES細胞由来のOPCの蛍光画像である。ヒトES細胞由来のOPCをOPCマーカーであるOligl(緑)及びネスチン(赤)について免疫染色した。
図5図5A−Fは、マトリゲルTM(A)、及びアクリレートコート表面22−2(B)、22−3(C)、133−4(D)、24−10(E)及び72−2(F)上のhES細胞由来OPCの蛍光画像である。
【0012】
図は必ずしも目盛りを必要としない。図に用いた数字類は成分、工程などを指す。しかしながら、図中の成分を指すための数字の使用は、同じ番号を付した他の図中の成分を限定するものではないことは理解されるであろう。さらに、成分を指すための異なる数字の使用は、異なる番号を付した成分が同じ又は類似のものではないことを表すことを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
以下の詳細な説明では、この一部となる添付の図を参照されたい。これらの図は、装置、システム及び方法のいくつかの具体的な実施態様を例として示す。他の実施態様が考慮され、本開示内容の権利範囲又は要旨を逸脱しないで実施されうることは理解されるであろう。したがって、以下の詳細な説明は限定的に捉えられるものではない。
【0014】
特に定めのない限り、本明細書中で用いるすべての科学的及び技術的用語は、当分野で通常用いられる意味を有する。本明細書中で示す定義は、本明細書中でたびたび用いる特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示内容の権利範囲を限定することを意味するものではない。
【0015】
内容から明示的に決定されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、複数形のものを有する実施態様も包含する。内容から明示的に決定されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、「又は」なる用語は一般に、「及び/又は」を含む趣旨で用いられる。
【0016】
特別に記載しない限り、溶液などの組成物中の化合物の比率は容量を基準に表す。
本明細書中で用いられるように、「有する」、「有している」、「含有する」、「含有している」、「含む」、「含んでいる」などはオープンエンドな趣旨で用いられ、一般に「含むがこれらに限定しない」ことを意味する。
【0017】
本開示内容は、とりわけ、幹細胞由来OPCを培養するための合成表面を有する物品、及び該表面上での幹細胞由来OPCの培養方法を記載する。いくつかの実施態様では、合成表面は、幹細胞由来OPCを培養するために合成培地と組み合わせて用いられる。表面は、hESCといった幹細胞をOPCに分化させる際に、又はこのような幹細胞由来OPCを増殖させるために有用であろう。
【0018】
1.細胞培養物品
図1に関して、細胞を培養するための物品(100)の略図を示す。物品(100)は、表面(15)を有する基材物質(10)を具備する。合成ポリマーコーティング層(20)は基材物質(10)の表面(15)上に配置される。図示していないが、合成ポリマーコーティング(20)は基材物質(10)の一部の上に配置されてもよい。基材物質(10)は、セラミック物質、ガラス、プラスチック、ポリマーないしはコポリマー、これらいずれかの組み合わせ、又は他のものの上にある物質のコーティングといった、細胞を培養するために適する任意の物質でよい。このような基材物質(10)には、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、バイコールガラス、シリカガラスといったガラス物質;シリコン;樹枝状ポリマー類を含むプラスチック類ないしはポリマー類、例えばポリ(ビニルクロライド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアセテート-無水マレイン酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマー類、フッ素樹脂類、ポリスチレン類、ポリプロピレン、ポリエチレンイミン;コポリマー、例えばポリ(ビニルアセテート-コ無水マレイン酸)、ポリ(スチレン-コ無水マレイン酸)、ポリ(エチレン-コアクリル酸)ないしはこれらの誘導体などが含まれる。
【0019】
細胞培養に適する物品(100)の例には、6、12、96、384及び1536ウェルプレートといったマルチウェル及びシングルウェルのプレート、広口瓶、シャーレ、フラスコ、ビーカー、プレート、回転瓶、チャンバー及びマルチチャンバー培養スライドといったスライド、チューブ、カバースライド、カップ、攪拌瓶、灌流チャンバー、バイオリアクター、CellSTACK(登録商標)及び発酵槽が含まれる。
【0020】
合成ポリマーコーティング(20)は、細胞が培養される表面(25)を提供する。合成ポリマー表面(20)には、以下の表1に示されるモノマーの群から選択される、重合化アクリレートモノマー類が含まれる。生物模倣表面を製造するために、ペプチド類といった他の物質(表に示していない)が合成ポリマー表面に組み込まれるか又は接合されてもよい。
【0021】
【表1】
【0022】
表1に列挙されるアクリレートは、当分野において周知なように合成されても、又はポリサイエンス社、シグマ・アルドリッヒ社及びサートーマー社といった販売会社から入手してもよい。
【0023】
図1Bに示すように、基材(10)の表面(15)と合成ポリマーコーティング(20)との間に中間層(30)が配置されてもよい。中間層(30)は基体(10)へのコーティング(20)の結合を向上するように構成され、モノマー伸展を容易にし、コートした領域上での細胞増殖を促すためにコートされていない表面(10)の部分に細胞を寄せ付けなくさせ、モノマー又は溶媒が基材(10)に適合しない場合にモノマー又は溶媒に適合する基体を提供し、必要であれば例えばパターン化されたプリンティングなどにより地形的な特徴を提供する。例えば、基体(10)がガラス基体である場合、ガラス基体の表面をシラン分子又はエポキシコーティングにて処理することが望ましい。様々なポリマー基材(10)のために、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン(polyethtylene)又はポリアクリラートの中間層(30)を提供することが望ましい。図示されてはいないが、合成ポリマーコーティング(20)が中間層(30)の一部に配置されてもよいことは理解されるであろう。さらに、中間層(30)が基材(10)の一部に配置されてもよいことは理解されるであろう。
【0024】
様々な実施態様では、基材(10)の表面(15)は物理的又は化学的に処理され、望ましい性質又は特徴を表面(15)に与える。例えば、そして、後述するように、表面(15)はコロナ処理又はプラズマ処理されてよい。真空又は大気圧プラズマの例には、一次及び二次の高周波(RF)及びマイクロ波プラズマ、誘電バリア放電、及び分子ないしは空気、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素又は水蒸気を含む混合ガスにおいて生成されるコロナ放電が含まれる。
【0025】
中間層(30)に配置されているか又は基材(10)に配置されているかにかかわらず、合成ポリマーコーティング層(20)は下層の基体を均一にコートするのが好ましい。「均一にコートされる」とは、所定の領域、例えば培養プレートのウェルの表面の層(20)がおよそ5nm以上の厚で完全にその領域をコートしていることを意味する。均一にコートされた表面の厚が表面全体にわたって変化してもよいが、均一にコートされた表面の領域には下層の層(中間層(30)又は基材(10))が露出している領域はない。均一でない表面全体の細胞応答は、均一表面全体の細胞応答より可変性が高い傾向がある。
【0026】
合成ポリマーコーティング層(20)は任意の望ましい厚を有してよい。しかしながら、厚いコーティング、例えばおよそ10マイクロメートルを超えるコーティングは表面張力によりコーティング表面周辺に起伏を起こす傾向があることがわかっている。様々な実施態様では、コーティング層(20)の厚は、およそ10マイクロメートル未満である。例えば、厚は、およそ5マイクロメートル未満、およそ2マイクロメートル未満、およそ1マイクロメートル未満、およそ0.5マイクロメートル未満又はおよそ0.1マイクロメートル未満でもよい。
【0027】
合成ポリマー層(20)を形成しているポリマー物質は任意の適切な程度に架橋されてよい。高い架橋度は、老廃物を減らし、細胞毒性を減らす結果となりうる。
【0028】
多数の実施態様では、物品(100)は、ウェルを有する細胞培養製品、例えばシャーレ、マルチウェルプレート、フラスコ、ビーカー又はウェルを有する他の容器である。図2に関して、基材(10)から形成される物品(100)は一ないし複数のウェル(50)を具備してよい。ウェル(50)は側壁(55)及び表面(15)を含む。図2B−Cに関して、合成ポリマーコーティング(20)が、表面(15)又は側壁(55)(又は、上記の図1について述べたように、一ないし複数の中間層(30)が表面(15)又は側壁(55)と合成ポリマーコーティング(20)との間に配置されてもよい)又はその一部に配置されていてもよい。
【0029】
様々な実施態様では、物品(100)は、およそ5mmより大きい領域を有する表面(25)を有する均一にコートされた層(20)を具備する。ヒト胚性幹細胞といったいくつかの細胞は(例えば、およそ0.5mmの直径を有する)細胞のコロニー又はクラスターとして播かれ、定量的な細胞応答を生産させるために十分な数のコロニーを接着させるための十分な表面が望ましいので、表面(15)の領域が小さすぎる場合、確実な細胞応答が容易に観察されない。多数の実施態様では、物品(100)は、均一にコートされた表面(15)を有するウェル(55)を有し、この表面(15)はおよそ0.1cmより大きい、およそ0.3cmより大きい、およそ0.9cmより大きい、又はおよそ1cmより大きい領域を有する。
【0030】
2.合成ポリマー層のコーティング
合成ポリマー層は、公知又は将来開発される工程により細胞培養物品の表面に配置されてよい。好ましくは、合成ポリマー層は、典型的な細胞培養状態の間に剥離しない均一層を提供する。合成ポリマー表面は、共有結合性又は非共有結合性の相互作用により基材物質と結合してもよい。合成ポリマー表面を基体と結合させうる非共有結合性の相互作用の例には、化学的吸着、水素結合、表面相互浸透、イオン的結合、ファンデルワールス力、疎水的相互作用、双極子相互作用、力学的連動、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0031】
様々な実施態様では、基材物質表面は、同時係属中出願番号_の教示にしたがってコートされる。この出願は、本願と同日に出願され、ゲーマン等を発明者とし、代理人番号20726であり、幹細胞培養物品及びスクリーニングと題するものであり、本明細書において示す開示内容と矛盾しない範囲で、すべての目的のために、出典明記によってその全体が本明細書中に援用される。
【0032】
多数の実施態様では、モノマーは、細胞培養物品の表面上に沈着され、インサイツで重合化される。このような実施態様では、基材は、本明細書において、合成ポリマー物質が沈着される「基体」と称される。重合化は、溶液相中で起こっても、凝集相中で起こってもよい。
【0033】
上の表1に示されるモノマーの多くは粘性があるので、適切な溶媒にモノマーを希釈させて、表面上に分注される前に粘性を低減するのが望ましい。粘性を低減することによって形成される合成ポリマー物質の層が薄くより均一になりうる。当業者は適切な溶媒を容易に選択することができるであろう。溶媒は、細胞培養物品を形成している材料及びモノマーに適合するのが好ましい。培養される細胞に毒性がなく、重合化反応に干渉しない溶媒を選択することが望ましい。あるいは、又は、加えて、実質的に完全に取り除かれうるか又は、毒性がないないしは重合化にもはや干渉しない程度にまで取り除かれうる溶媒を選択することが望ましい。更なる実施態様では、基体と相互作用しない溶媒を選択することが望ましい。さらに、溶媒は、真空又は高温といった過酷な条件なしに容易に取り除かれることが望ましい。揮発性溶媒は、このような容易に取り除くことができる溶媒の例である。同時係属中の出願番号_にて記載されるように、重合化前に溶媒を取り除くことが望ましい場合には、エタノールは特に適切な溶媒でありうる。
【0034】
モノマーは、所望の粘度及びモノマー濃度を達成するために適切な任意の量に溶媒で希釈されてよい。一般に、本明細書において示される教示に従って用いられるモノマー組成物は、およそ0.1%〜およそ99%のモノマーを含有する。例として、モノマーは、体積にしておよそ0.1%からおよそ50%のモノマー、又はおよそ0.1%からおよそ10%のモノマーを有する組成物となるようにエタノール溶媒で希釈されてよい。ポリマー層(20)が所望の厚となるように、モノマーが溶媒で希釈されてもよい。上記のように、沈着されたモノマーが厚すぎる場合、起伏のある表面となりうる。実施例において更に詳細に説明するように、モノマー−溶媒組成物が1平方センチメートルの表面(15)につきおよそ8マイクロリットルより多い容量でウェル(50)の表面(15)上に沈着される場合、起伏のある表面が観察されうる。様々な実施態様では、モノマー−溶媒組成物は、1平方センチメートルの表面(15)につきおよそ7マイクロリットル以下の容量でウェル(50)の表面(15)上に沈着される。例えば、モノマー−溶媒組成物は、1平方センチメートルの表面(15)につきおよそ5マイクロリットル以下、又は1平方センチメートルの表面(15)につきおよそ2マイクロリットル以下の容量でウェル(50)の表面(15)上に沈着されてよい。
【0035】
様々な実施態様では、物品(100)は、およそ5mmより大きい領域を有する表面(25)を有する均一にコートされた層(20)を具備する。ヒト胚性幹細胞といったいくつかの細胞は(例えば、およそ0.5mmの直径を有する)細胞のコロニー又はクラスターとして播かれ、定量的な細胞応答を生産させるために十分な数のコロニーを接着させるために十分な表面が望ましいので、表面(15)の領域が小さすぎる場合、確実な細胞応答が容易に観察されない。多数の実施態様では、物品(100)は、均一にコートされた表面(15)を有するウェル(55)を有し、この表面(15)はおよそ0.1cmより大きい、およそ0.3cmより大きい、およそ0.9cmより大きい、又はおよそ1cmより大きい領域を有する。
【0036】
様々な実施態様では、直接、又は、一ないし複数の付加的な中間層により、合成ポリマー表面が、共有結合的又は非共有結合的な相互作用により基材と結合している中間層の表面上に沈着される(図示しない)。このような実施態様では、中間層は、本明細書において、合成ポリマー表面が沈着される「基体」と称される。
【0037】
様々な実施態様では、基材の表面は処理される。表面は、基材表面への合成ポリマー表面の結合を向上させるために処理され、基材表面上でのモノマー伸展などを促しうる。もちろん、基材は、中間層と同様の目的のために処理されてもよい。様々な実施態様では、表面はコロナ処理されても真空プラズマ処理されてもよい。このような処理から得られる高い表面エネルギーは、モノマー伸展及び均一なコーティングを容易にしうる。使用されうる真空プラズマ処理の例には、マイクロ波真空プラズマ処理と高周波真空プラズマ処理が含まれる。真空プラズマ処理は、反応性ガス、例えば酸素、窒素、アンモニア又は亜酸化窒素の存在下で実施されてもよい。
【0038】
合成ポリマー表面を形成するために、上の表1に示される一ないし複数のモノマーが重合化される。1つのモノマーが使われる場合、ポリマーはモノマーのホモポリマーと称されるであろう。2つ以上の異なるモノマーが使われる場合、ポリマーはモノマーのコポリマーと称されるであろう。使用されるモノマーは、単官能基、二官能基、又は高次官能基であってよい。2つ以上のモノマーが使われる場合、モノマーの比率は変化してもよい。様々な実施態様では、2つのモノマーが使われ、第一モノマーの第二モノマーに対する体積当たりの比率は、およそ5:95からおよそ95:5である。例えば、第一モノマーの第二モノマーに対する比率は、およそ10:90からおよそ90:10、およそ20:80からおよそ80:20、およそ30:70からおよそ70:30である。いくつかの実施態様では、第一モノマーの第二モノマーに対する比率は、およそ50:50、30:70又は10:90である。ポリマーの架橋の程度が、モノマーの濃度又は、単官能基のモノマーに対する二官能基又は高次官能基のモノマーの比率を変化させることによって制御されうることは理解されるであろう。二官能基又は高次官能基のモノマーの濃度の増加は、鎖の架橋度を増やすであろう。
【0039】
ポリマー層を形成するモノマーに加えて、層を形成する組成物は、一ないし複数の更なる化合物、例えば界面活性剤、湿潤剤、光発動因子、熱発動因子、触媒、活性化因子及び架橋剤を含んでもよい。
【0040】
任意の適切な重合発動因子が使用されてよい。当業者は、表1に列挙されるモノマーの使用に適する適切な発動因子、例えばラジカル発動因子又はカチオン発動因子を容易に選択することができるであろう。様々な実施態様では、紫外線を用いて、連鎖重合を開始させるためにフリーラジカルモノマーを生成させる。
【0041】
任意の適切な発動因子が用いられてよい。重合発動因子の例には、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン類、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル類、ヒドラゾン類、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール類、クロロトリアジン類、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、ジケトン類、フェノン類(phenones)、又はこれらの混合物が含まれる。適切に市販されており、紫外線により活性化される及び可視光により活性化される光誘導因子の例は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(ニューヨーク州タリータウン)から市販されているIRGACURE651、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE819、DAROCUR4265及びDAROCUR1173や、BASF(ノースカロライナ州シャーロット)から市販されているLUCIRTN TPO及びLUCIRIN TPO-Lといった商標を有する。
【0042】
また、光感受性物質が適切な発動因子系に含まれてもよい。代表的な光感受性物質は、カルボニル基又は第三アミノ基又はこれらの混合を有する。カルボニル基を有する光感受性物質には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、キサントン、チオキサントン、9,10-アントラキノン、及び他の芳香族ケトン類が含まれる。第三アミンを有する光感受性物質には、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニルメチル−エタノールアミン、及びジメチルアミノエチルベンゾエートが含まれる。市販の光感受性物質には、ビドル・ソイヤー・コーポレーションのQUANTICURE ITX、QUANTICURE QTX、QUANTICURE PTX、QUANTICURE EPDが含まれる。
【0043】
一般に、光感受性物質又は光発動因子系の量は、およそ0.01から10重量%でよい。
【0044】
カチオン発動因子の例には、アリールスルホニウム塩類といったオニウム陽イオンの塩類、並びにイオンアレーンシステムといった有機金属塩類が含まれる。
【0045】
モノマーが基体表面上に沈着される前に溶媒中で希釈される様々な実施態様では、溶媒は重合する前に取り除かれる。溶媒は、任意の適切なメカニズム又は工程によって取り除かれてよい。同時係属中の出願番号_にて記載されるように、硬化(curing)前に実質的にすべての溶媒が除去されると、硬化動態及び転換されるモノマーの量が良好に制御される。モノマーの転換速度が増すと、老廃物の生成及び細胞毒性は低減される。
【0046】
凝集相(実質的に溶媒を含まない)で重合されるか溶媒相で重合されるかにかかわらず、モノマーは適切な発動メカニズムにより重合化される。このようなメカニズムの多くは当分野で公知である。例えば、温度は熱発動因子を活性化するために上げられてもよいし、光発動因子は適切な波長の光に曝されることによって活性化されるなどしてよい。多数の実施態様によると、モノマー又はモノマー混合物は紫外線を使用して硬化される。酸素阻害を予防するために、硬化は、窒素保護などの不活性ガス保護下で起こすのが好ましい。ガス保護と組み合わされる適切な紫外線は、ポリマー転換を増やし、コーティング完全性を保証し、細胞毒性を低減しうる。
【0047】
硬化した合成ポリマー層は、溶媒にて一ないし複数回洗浄され、反応していないモノマー又は低分子量のポリマー種といった不純物が除去される。様々な実施態様では、層は、エタノール溶媒、例えば70%エタノール、およそ90%を超えるエタノール、およそ95%を超えるエタノール、又はおよそ99%を超えるエタノールにて洗浄される。エタノール溶媒による洗浄は、不純物を除去するのに役立つだけでなく、細胞とインキュベートする前に表面を殺菌するのにも役立ちうる。
【0048】
3.合成ポリマー層上での細胞のインキュベート
幹細胞由来のOPCは、任意の好適なプロトコールに従って、上記のような合成ポリマー層上で培養されてよい。ここで使用しているように、「幹細胞由来のOPC」とは、幹細胞の分化から得られるOPCを意味する。いくつかの実施態様では、幹細胞は、多分化能、分化全能性、又は多能性の幹細胞である。幹細胞は被検体の臓器又は組織にも存在しうる。多数の実施態様では、幹細胞は、胚性幹細胞、例えばヒト胚性幹細胞である。ここで使用しているように、「OPC」又は「オリゴデンドロサイト前駆細胞」は、ミエリン形成オリゴデンドロサイトへの前駆細胞を意味する。
【0049】
ヒト胚性幹細胞(hESC)は未分化状態で培養中で継続的に増殖する能力を有し、本発明に用いられるhESCは樹立された細胞株から得られてよい。樹立されているヒトの胚性幹細胞株の例には、Hl、H7、H9、H13又はHl4(ウィスコンシン州大学により樹立されたWiCeIlから入手可能) (Thompson (1998) Science 282:1145 );hESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03 (ブレサジェン社、ジョージア州アセンズ);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(シンガポールのESセル・インターナショナル社から);HSF-1、HSF-6(サンフランシスコのカリフォルニア州立大学から);I3、I3.2、I3.3、I4、I6、I6.2、J3、J3.2(イスラエル、ハイファ市のテクニオン-イスラエル工科大学で得られる);UCSF-1及びUCSF-2 (Genbacev et al., Fertil. Steril. 83(5): 1517-29, 2005);株HUES1-17 (Cowan et al., NEJM 350(13): 1353-56, 2004);及び、株ACT-14(Klimanskaya et al., Lancet, 365(9471): 1636-41, 2005)が含まれるがこれらに限定されない。また、本発明で使用する胚性幹細胞は、一次胚組織から直接得られてもよい。一般的に、胚盤胞段階、そうでなければ廃棄される凍結インビトロ受精卵を使用して行われる。
【0050】
また、本発明に記載のOPCは、誘導された霊長類多能性幹(iPS)細胞から分化されてもよい。iPS細胞は、例えば一ないし複数の適切なベクターによる形質移入によって遺伝学的に変更され、hESCなどの多能性幹細胞の表現型を達成するように再プログラミングされた、ヒトなどの若年又は成熟した哺乳動物から得られた細胞を指す。これらの再プロミングされた細胞によって達成される表現型の特徴には、胚盤胞から単離される幹細胞に似た形態、並びに胚盤胞由来の胚性幹細胞に似た表面抗原発現、遺伝子発現及びテロメラーゼ活性が含まれる。iPS細胞は、一般に、一次胚葉である外胚葉、内胚葉及び中胚葉の各々から少なくとも一つの細胞種に分化する能力を有するので、OPCへの分化に適する。また、hESCのようなiPS細胞は、免疫欠陥マウス、例えばSCIDマウスに注射されると、テラトーマを形成する。(Takahashi et al., (2007) Cell 131(5): 861;Yu et al., (2007) Science318: 5858)。
【0051】
幹細胞由来のOPCは任意の適切な方法によって得られてよい。このような細胞を得る1つの方法は、Nistor et al., Human embryonic stem cells differentiate into oligodendrocytes in high purity and mylenate after spinal cord transplantation, GUa 49: 385-396 (2005)を引用する、Zhang et al.., "Oligodendrocyte progenitor cells derived from human embryonic stem cells express neurotrophic factors, Stem Cells and Development, 15: 943-952 (2006)において記述される。簡単にいうと、未分化なヒト胚性幹細胞、例えばHl又はH7のヒト胚性幹細胞株から得られる細胞を、およそ8ng/mlの線維芽細胞増殖因子-2(FGF-2)を添加したマウス胎仔線維芽細胞(MEF)条件培地(CM)中、又はおよそ80ng/mlのFGF-2及び0.5ng/mlの形質転換増殖因子-βl(TGF-βl)を添加した、Cambrex社のX−VIVO10などの合成培地中で、マトリゲルコートプレート上で培養してよい。分化を誘導するために、ニストール等によって記述されるプロトコールが使用されてもよい。簡単にいうと、ヒト胚性幹細胞は、コラゲナーゼ消化し、掻爬し、そして、超低接着プレート上で28日間、インスリン、トランスフェリン、プロゲステロン、プトレシン、セレニウム、トリヨードチロイジン(triiodothyroidin)及びB27を添加した限定培地中で培養してよい。次いで、細胞は、増殖因子を減らしたマトリゲル上でさらに14日間、限定培地中で培養してよい。次いで、細胞は、分化の間、一定の日にFGF-2、上皮細胞増殖因子(EGF)及びオールトランスレチノイン酸にて処理してよい。分化は、数日、例えば42日にわたって起こりうる。もちろん、任意の他の好適な方法が用いられてもよい。
【0052】
細胞を播く前に、細胞は回収され、いったん細胞が表面上に播かれて培養される成長培地などの好適な培地に懸濁されてよい。例えば、細胞は、血清添加培地、条件培地又は合成培地に懸濁され、培養されてよい。ここで使用しているように、「合成培地」とは、組成が不明な構成成分を含有しない細胞培養培地を意味する。合成培地は、様々な実施態様では、組成が不明なタンパク質、ヒドロシレート類(hydrosylates)又はペプチドを含有しない。いくつかの実施態様では、条件培地は、組み換え成長ホルモンなどの、組成が明らかなポリペプチド又はタンパク質を含有する。合成培地中のすべての成分は公知の化学構造を有するので、培養条件及びそれによる細胞応答の多様性は減少し、再現性が上がりうる。さらに、混入の可能性が減少する。さらに、上記の要因の少なくとも一部により、スケールアップが容易になる。
【0053】
細胞は任意の適切な濃度で播かれてよい。一般的に、細胞は、基体当たりおよそ10000細胞/cmからおよそ500000の細胞/cmで播かれる。例えば、細胞は、基体当たりおよそ50000細胞/cmからおよそ150000細胞/cmで播かれてもよい。しかしながら、さらに高い又は低い濃度が容易に用いられてよい。インキュベート時間や、温度、CO及びOレベル、増殖培地などといった条件は培養する細胞の性質に依存し、容易に変更されうる。細胞が表面上でインキュベートされる時間量は、調べる細胞応答又は所望の細胞応答に応じて変化してもよい。
【0054】
必要に応じて任意の適切な方法を用い、幹細胞由来OPCが実際にOPCであること、又は、使用する幹細胞がOPCにうまく分化したことを確認してよい。例えば、特定のOPC選択マーカーの存在が調査されてもよい。このようなマーカーには、ネスチン、Oligol、血小板由来増殖因子レセプターα(PDGFRα)及びNG2が含まれる。このようなマーカーに対する抗体が、標準的な免疫細胞化学技術又はフローサイトメトリー技術に用いられてよい。さらに、又は、あるいは、培地中で検出可能な細胞の形態又は増殖因子の生産が評価されてもよい。例えば、培養されたOPCは、一ないし複数のアクチビンA、HGF、ミッドカイン及びTGF-β2を生産し得、これらは、ELISAなどの標準的なアッセイにより培養培地中で検出されうる。
【0055】
培養された幹細胞由来OPCは、治療用途の開発又は治療目的のための培養物、動物における調査研究といった、任意の適切な目的のために使用されうる。ある一つの治療ないし調査目的は脊髄損傷による障害の修復である。
【0056】
以下に、非制限的な実施例を示し、先に述べた物品及び方法の様々な実施態様を記述する。
【実施例】
【0057】
実施例1:合成培地中で幹細胞由来のOPCを培養するために適するアクリルコーティング表面の同定
1.コーティング調製物
アクリルコーティング表面は、様々なアクリレートモノマーのホモモノマー又はコポリマーから調製した。コポリマーのために、2つの異なるアクリレートモノマーを用いた。合計24のホモポリマーと552のコポリマーの組合せをウェルに加えた。簡単にいうと、モノマーを、エタノールとIRGACURE819光誘導因子に1:9:0.01(モノマー[容量]/エタノール[容量]/光誘導因子[重量])の比に希釈し、製剤を調製した。コポリマーのために、2つの異なるモノマーを、70:30又は30:70の容量比で混合した。コポリマー製剤において、総モノマー[容量]/エタノール[容量]/光誘導因子[重量]は、依然として1:9:0.01の比率のままである。製剤は、バイオテック社のPrecessionマイクロプレートピペッティングシステムを用いて、プラズマ処理した環状オレフィンコポリマー96ウェルプレート(コーニング・ライフ・サイエンスの開発グループによって提供される)のウェルに5μLの容量で置いた。各ウェルに、所定のホモポリマー又はコポリマーの組合せを入れ、いくつかのウェルはポジティブコントロールとしてのマトリゲルにてコートした。アクリレートモノマーにてコートしたウェルについて、室温で3時間蒸発させることによってエタノール溶媒を取り除き、>99%のエタノールを取り除いた。次いで、コーティングは、N浄化ボックス(溶融シリカ窓を有する)中で1分間、13mW/cmパルス(100Hz)紫外光(Xenon RC−801)にて硬化した。硬化後、洗浄工程を行った。簡単にいうと、96ウェルプレートの各ウェルの表面を、200μLの>99%エタノールと1時間インキュベートし、その後200μLの水と終夜インキュベートして、抽出されうるものを移動させた。最後に、表面を空気乾燥し、その後殺菌した。
【0058】
2.細胞調製物とアッセイ
hESC由来のOPCのために、H1 hESCコロニーを、200U/mlのコラゲナーゼIVを用いて分離し、コーニング超低接着(ULA)プレートへ移し、胚様体(EB)を形成させた。神経分化を誘導するために、EBを、上皮細胞増殖因子(EGF)、FGF-2(線維芽細胞増殖因子-2)及びレチノイン酸(RA)にて9日間処理した後に、EGFのみにて18日間処理した。(基本培地:インスリン、トランスフェリン、プロゲステロン、プトレシン、セレニウム、トリヨードチロイジン(シグマ社)及びB27(インビトロゲン社)を添加した限定培地)。
【0059】
この時点で2つの異なるアクリレート再プレーティング計画を試験した。第一プロトコールでは、28日目に、EBを、96ウェルプレートの異なるアクリル表面に又はポジティブコントロールとしてのマトリゲルコートウェルに再プレーティングした。7日後(35日目)に、細胞を4%PFAにて固定した。第二プロトコールでは、28日目に、EBを、マトリゲル上に再プレートし、7日間培養し、次いで(35日目)96ウェルプレートの異なるアクリル表面に又はポジティブコントロールとしてのマトリゲルコートウェルに再プレーティングした。7日後(42日目)に、細胞を4%PFAにて固定した。
【0060】
両プロトコールからの細胞を、OPC特異的マーカー、ネスチン、Oliglについて免疫染色し、4’-6-ジアミジノ-2-フェニルインドールDAPI(核染色)にて対比染色した。
【0061】
アレイスキャンにて各プレートをスキャンした後に、各表面について以下の定量分析を実施した。1) TNC:DAPIポジティブ細胞数に基づいた細胞の総数、2) TNO:olig1ポジティブ細胞に基づいたOPCの総数。
【0062】
3.結果
試験した表面のごく一部だけが合成培地における接着とEBからの細胞増殖を支持したことが明らかとなった。図3は、分化の28日目から35日目の間の、選択したアクリレートコート表面と、ポジティブコントロールのマトリゲル表面上に再プレーティングした後に免疫染色したhES細胞由来のOPCの蛍光画像である。図4は、分化の28日目から35日目の間、並びに35日目から42日目の間の、選択したアクリレートコート表面と、ポジティブコントロールのマトリゲル表面上に2回再プレーティングした後に免疫染色したhES細胞由来のOPCの蛍光画像である。免疫染色画像は、分化した細胞がいくつかのアクリレートコーティング表面上でOPCマーカーを発現したことを示した。アクリレート表面上で増殖した細胞において観察される染色は、マトリゲルコントロール表面上で増殖した細胞において観察される染色と類似していた。合成培地において分化したヒトOPCを支持したコーティング表面の例を表2に挙げる。ここで、モノマー(2)に対するモノマー(1)の容量比は70:30である。
【0063】
【表2】
【0064】
図5A−Fは、ポジティブコントロールとしてのマトリゲルTM、及び本発明の表面の選択した実施態様である22−2(B)、22−3(C)、133−4(D)、24−10(E)及び72−2(F)上で増殖するhES細胞由来OPCの顕微鏡写真から撮影した画像である。図5A−Fは、ヘキスト核染色にて染色された、マトリゲル又は上記の本発明の表面の実施態様上のhESC由来のOPCの核染色を示す。図5A−Fは、本発明の表面の実施態様は、合成培地におけるhESC由来OPCの接着と増殖を支持する好適な表面を提供することを表す。他の試験したホモポリマーとコポリマーの組み合わせについては、先の表2に挙げていない組み合わせのものであり、表面へのEB接着やEBからの細胞増殖は観察されなかった。
【0065】
ゆえに、幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞を培養するための合成表面の実施態様が開示される。当業者は、本明細書中に記述されるアレイ、組成物、キット及び方法が、開示されるもの以外の実施態様によっても実施されうることを理解するであろう。開示された実施態様は例示するためのものであって、限定するためのものではない。
【0066】
本発明は以下の態様を包含する。
(1)合成培地中でオリゴデンドロサイト前駆細胞を培養するための細胞培養物品であって、
表面を有する基体と、
該表面上に配置されるポリマー物質とを具備し、このとき該ポリマー物質が、
(i) テトラ(エチレングリコール)ジアクリレートから形成されるホモポリマー、又は、
(ii)
テトラ(エチレングリコール)ジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートとテトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートとトリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートとテトラエチレングリコールジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートと1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
トリ(エチレングリコール)ジメタクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレート、
1,4-ブタンジオールジメタクリレートと1,9 ノナンジオールジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールプロポキシレート(1PO/OH)ジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、
ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
テトラ(エチレングリコール)ジメタクリレートと1,4-ブタンジオールジメタクリレート、
テトラ(エチレングリコール)ジメタクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートとポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、
トリメチロールプロパンエトキシレート(1EO/OH)メチルジアクリレートと2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートと1,4-ブタンジオールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとネオペンチルグリコールジメタクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレートとテトラ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、又は
ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレートとグリセロール 1,3-ジグリセロレートジアクリレート
から形成されるコポリマーを含むものである、細胞培養物品。
(2)揮発性有機溶媒に一ないし複数のモノマーを希釈し、
希釈したモノマーを物品の基体表面上に沈着させ、
実質的にすべての溶媒を蒸発させ、そして、
モノマーを重合化させて、表面に接着したポリマー層を形成させる
といった工程によって製造される、(1)に記載の物品。
(3)揮発性溶媒がエタノールである、(2)に記載の物品。
(4)物品の表面上に配置されたポリマー物質がおよそ5mmより大きな表面領域を有する、(1)に記載の物品。
(5)さらにウェルを具備し、このとき該ウェルにポリマー物質が配置される基体の表面がある、(1)に記載の物品。
(6)物品がマルチウェルプレート、シャーレ、ビーカー、チューブ及びフラスコからなる群から選択される、(5)に記載の物品。
(7)オリゴデンドロサイト前駆細胞の培養物であって、
表面上に配置されたポリマー物質を含む物品と、
ポリマー物質上に配置されたオリゴデンドロサイト前駆細胞と、
該オリゴデンドロサイト前駆細胞が培養される培養培地とを具備し、このとき該ポリマー物質が、
(i) テトラ(エチレングリコール)ジアクリレートから形成されるホモポリマー、又は、
(ii)
テトラ(エチレングリコール)ジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートとテトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートとトリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートとテトラエチレングリコールジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートと1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
トリ(エチレングリコール)ジメタクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレート、
1,4-ブタンジオールジメタクリレートと1,9 ノナンジオールジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールプロポキシレート(1PO/OH)ジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、
ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
テトラ(エチレングリコール)ジメタクリレートと1,4-ブタンジオールジメタクリレート、
テトラ(エチレングリコール)ジメタクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートとポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、
トリメチロールプロパンエトキシレート(1EO/OH)メチルジアクリレートと2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートと1,4-ブタンジオールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとネオペンチルグリコールジメタクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレートとテトラ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、又は、
ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレートとグリセロール 1,3-ジグリセロレートジアクリレート
から形成されるコポリマーを含むものである、培養物。
(8)オリゴデンドロサイト前駆細胞が幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、(7)に記載の培養物。
(9)オリゴデンドロサイト前駆細胞がヒト胚性幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、(7)に記載の培養物。
(10)オリゴデンドロサイト前駆細胞の培養方法であって、
オリゴデンドロサイト前駆細胞を含む懸濁物をポリマー物質上に沈着させ、そして、
沈着させたオリゴデンドロサイト前駆細胞を細胞培養培地中で培養することを含み、このとき該ポリマー物質が、
(i) テトラ(エチレングリコール)ジアクリレートから形成されるホモポリマー、又は、
(ii)
テトラ(エチレングリコール)ジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートとテトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートとトリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートとテトラエチレングリコールジメタクリレート、
グリセロールジメタクリレートと1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、
グリセロールジメタクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
トリ(エチレングリコール)ジメタクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレート、
1,4-ブタンジオールジメタクリレートと1,9 ノナンジオールジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールプロポキシレート(1PO/OH)ジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、
ジ(エチレングリコール)ジメタクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
テトラ(エチレングリコール)ジメタクリレートと1,4-ブタンジオールジメタクリレート、
テトラ(エチレングリコール)ジメタクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレートとネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートと1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレートとポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、
トリメチロールプロパンエトキシレート(1EO/OH)メチルジアクリレートと2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートと1,4-ブタンジオールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレートとネオペンチルグリコールジメタクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレートとテトラ(エチレングリコール)ジメタクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5 オクタフルオロ 1,6 ヘキサンジオールジアクリレートとネオペンチルグリコールジアクリレート、又は、
ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレートとグリセロール 1,3-ジグリセロレートジアクリレート
から形成されるコポリマーを含むものである、方法。
(11)細胞培養培地が合成培地である、(10)に記載の方法。
(12)オリゴデンドロサイト前駆細胞が幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、(10)に記載の方法。
(13)オリゴデンドロサイト前駆細胞がヒト胚性幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞である、(10)に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F