(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ダイからチューブ状に押し出された溶融樹脂をエアーリングからの冷却風で冷却・固化させてフィルムを成形するフィルム成形装置において、前記エアーリングから吹き出る冷却風の風量を調節するバルブ装置であって、
当該バルブ装置は、
内部に供給される流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材を含むアクチュエータと、
前記エアーリングに固定され、複数のスリット状の開口を有する絞り部材と、
前記伸縮部材の伸縮に連動して移動する、複数のスリット状の開口を有するスライド弁体と、
を備え、
前記伸縮部材を伸縮させて前記スライド弁体を移動させ、前記絞り部材の開口と前記スライド弁体の開口との重なり度合を変化させることにより、当該バルブ装置の開度を調節することを特徴とするフィルム成形装置のバルブ装置。
前記伸縮部材の内部に供給される流体の圧力と、前記伸縮部材の伸縮量との関係に関する情報を保持する制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置のバルブ装置。
前記アクチュエータは、前記伸縮部材を縮める方向に前記伸縮部材を付勢する付勢部材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム成形装置のバルブ装置。
前記アクチュエータは、前記伸縮部材を縮める方向に前記伸縮部材を付勢する別の伸縮部材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム成形装置のバルブ装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るフィルム成形装置1の概略構成を示す。フィルム成形装置1はフィルムを成形する。フィルム成形装置1は、ダイ2と、冷却装置3と、一対の安定板4と、一対のピンチロール5と、厚みセンサ6と、制御装置7と、を備える。
【0012】
ダイ2は、押出機(不図示)より供給された溶融樹脂をチューブ状に成形する。ダイ2は特に、リング状のダイスリット2a(
図2で後述)から溶融樹脂を押し出すことにより、溶融樹脂をチューブ状に成形する。冷却装置3は、ダイ2の上方に配置される。冷却装置3は、ダイ2から押し出された溶融樹脂に対して外側から冷却風を吹き付ける。溶融樹脂は冷却され、フィルムが成形される。
【0013】
一対の安定板4は、冷却装置3の上方に配置され、成形されたフィルムを一対のピンチロール5の間に案内する。ピンチロール5は、安定板4の上方に配置され、案内されたフィルムを引っ張り上げながら扁平に折りたたむ。折りたたまれたフィルムは、巻取機(不図示)によって巻き取られる。
【0014】
厚みセンサ6は、冷却装置3と安定板4との間に配置される。厚みセンサ6は、チューブ状のフィルムの周りを周りながら、フィルムの厚みを測定する。厚みセンサ6による測定結果は制御装置7に送られる。制御装置7は、厚みセンサ6から受け付けた測定結果に応じた制御指令を冷却装置3に送る。冷却装置3は、この制御指令を受けて、偏肉が小さくなるよう冷却風の風量を調節する。なお、フィルム成形装置1は複数の厚みセンサ6を備えていてもよい。
【0015】
図2は、冷却装置3とその周辺を示す断面図である。
図3は、冷却装置3とその周辺を示す上面透視図である。冷却装置3は、エアーリング8と、エアーリング8内に設けられ、エアーリング8から吹き出る冷却風の風量を調節する複数(
図3では20個)のバルブ装置9と、を備える。
【0016】
エアーリング8は、内周部が下方に凹んだリング状の筐体からなる。エアーリング8の内周部には、上側に開口したリング状の吹出口8aが形成されている。吹出口8aは特に、中心軸Aを中心とするリング状であって、ダイ2に形成されたリング状のダイスリット2aと同心となるよう形成される。なお、以降では、中心軸Aに垂直な平面上で中心軸Aを通る任意の方向を半径方向とし、中心軸Aを中心とし中心軸Aに垂直な円の円周に沿った方向を周方向として説明する。
【0017】
エアーリング8の外周部には、複数(
図3では8個)のホース口8bが周方向に等間隔で形成されている。複数のホース口8bのそれぞれにはホース(不図示)が接続され、このホースを介してブロワー(不図示)からエアーリング8内に冷却風が送り込まれる。エアーリング8内送り込まれた冷却風は、吹出口8aから吹き出て溶融樹脂に吹き付けられる。
【0018】
複数のバルブ装置9は、吹出口8aとホース口8bとの間の通風路内に、周方向に隙間なく配置される。複数のバルブ装置9のそれぞれの開度を調節することによって、吹出口8aから吹き出る冷却風の風量を調節できる。例えば、すべてのバルブ装置9の開度を同じにすることによって、吹出口8aから吹き出る冷却風の風量を周方向に均一にできる。また例えば、少なくとも1つのバルブ装置9の開度を他のバルブ装置9と異なる開度にすることによって、吹出口8aから吹き出る冷却風の風量を周方向に変化させることができる。フィルムに偏肉が生じている場合、例えば、肉厚が薄い部分に対応する(例えば肉厚が薄い部分の下方に位置する)バルブ装置9の開度を大きくし、肉厚が薄い部分の下方の溶融樹脂に吹き付けられる風量を多くする。これにより、以降に成形されるフィルムの偏肉が小さくなる。
【0019】
図4〜7は、複数のバルブ装置9のうちの1つを示す。他のバルブ装置9も
図4〜7のバルブ装置9と同様に構成される。なお、他のバルブ装置9の少なくとも1つは、異なるタイプのバルブ装置であってもよい。
図4はバルブ装置9の側面図であり、
図5〜7はそれぞれ、バルブ装置9を異なる方向から見た斜視図である。
図5、6はスライド弁体30が絞り部材20に対して手前に位置した状態を示し、
図7は絞り部材20がスライド弁体30に対して手前に位置した状態を示す。バルブ装置9は、絞り部材20と、スライド弁体30と、アクチュエータ40と、レギュレータ(不図示)と、を含む。
【0020】
絞り部材20は、平面視で略矩形の板状の部材である。絞り部材20は、主面20a、20bが径方向を向いた状態でエアーリング8に対して固定される。絞り部材20には、主面20aと主面20bとを連通するスリット状(すなわち長尺状)の開口22a〜22cが形成されている。開口22a〜22cは、短手方向にこの順に並んでいる。開口22a〜22cは特に、それぞれの長手方向が、スライド弁体30のスライド方向Dに直交する方向と略同一致するよう形成される。
【0021】
スライド弁体30は、絞り部材20と同様、平面視で略矩形の板状の部材である。スライド弁体30は、主面30a、30bが径方向を向くよう配置される。スライド弁体30は特に、その主面30bが、絞り部材20の主面20aと向かい合うよう配置される。スライド弁体30は、アクチュエータ40からの力を受け、主面30bが絞り部材20の主面20aを摺動しながら絞り部材20に対してスライドする。
【0022】
スライド弁体30には、主面30aと主面30bとを連通するスリット状(すなわち長尺状)の開口32a〜32cが形成されている。開口32a〜32cは、短手方向にこの順に並んでいる。開口32a〜32cは特に、それぞれの長手方向が、スライド弁体30のスライド方向Dに直交する方向と略同一方向を向くよう、すなわち開口22a〜22cの長手方向と一致するよう形成される。
【0023】
本実施の形態では、スライド弁体30は、上下方向にスライドする。したがって本実施の形態では、絞り部材20の開口22a〜22cとスライド弁体30の開口32a〜32cとは、それぞれの長手方向が水平方向と略一致するよう形成される。
【0024】
アクチュエータ40は、伸縮部材41と、固定ベース42と、移動ベース43と、2本のガイドバー44と、2つのフランジ部45と、2つのコイルばね46と、連結部材47と、を含む。アクチュエータ40を構成するこれら各部材はすべて、エアーリング8内に配置される。伸縮部材41は、蛇腹状の円筒部41aと、円筒部41aの2つの開口をそれぞれ塞ぐ第1台座41bおよび第2台座41cと、を含む。円筒部41a、第1台座41b、および第2台座41cは、例えばステンレスやアルミニウムなどの金属材料によって形成される。第1台座41bは固定ベース42に固定され、第2台座41cは移動ベース43に固定される。
【0025】
伸縮部材41の内部には、固定ベース42に形成された流体供給口42aおよび第1台座41bに形成された供給口(不図示)を介して、レギュレータから流体(例えば空気)が供給される。あるいは、レギュレータにより流体が吸引される。これにより、伸縮部材41内の流体の圧力が変化し、その圧力に応じて円筒部41aが伸縮する。なお、伸縮部材41内の流体の圧力が大気圧以下になるまで伸縮部材41内の流体を吸引することによって伸縮部材41を縮小させることも可能であるが、本実施の形態では、後述するようにコイルばね46の付勢力によって伸縮部材41を縮小させる。
【0026】
移動ベース43は、伸縮部材41を支持する。また、移動ベース43は、伸縮部材41の伸縮に伴って上下に移動する。2つのガイドバー44はそれぞれ、伸縮部材41の伸縮方向と略平行な方向に延在する円柱状の部材であり、その一端は固定ベース42に固定される。フランジ部45は、ガイドバー44の他端に固定される。ガイドバー44は、移動ベース43を挿通しており、移動ベース43の上下方向の移動を案内するためのガイドとして機能する。
【0027】
2つのコイルばね46はそれぞれ、ガイドバー44を環囲する。コイルばね46の一端は移動ベース43に当接し、他端はフランジ部45に当接する。コイルばね46は、伸縮部材41が最も縮小している状態(すなわち円筒部41aが最も縮小している状態)でも移動ベース43を付勢しうるよう、その長さや付勢力が決定される。
【0028】
連結部材47は、移動ベース43とスライド弁体30とを連結する。したがって、伸縮部材41の伸縮によって移動ベース43が上下に移動すると、これに伴ってスライド弁体30も上下に移動する。具体的には伸縮部材41が伸張すると移動ベース43は下方に移動し、これに伴ってスライド弁体30も下方に移動する。伸縮部材41が縮小すると移動ベース43は上方に移動し、これに伴ってスライド弁体30も上方に移動する。このようにして、アクチュエータ40は、スライド弁体30を上下に移動させる。
【0029】
スライド弁体30が移動すると、径方向から見たときにおける、絞り部材20の開口22a〜22dと、スライド弁体30の開口32a〜32dとの重なり度合が変化する。具体的には、絞り部材20の開口22a〜22dと、スライド弁体30の開口32a〜32dとが全く重なっていない状態、つまり絞り部材20の開口22a〜22dが塞がれている閉状態から、絞り部材20の開口22a〜22dと、スライド弁体30の開口32a〜32dとが完全に重なっている状態、つまり絞り部材20の開口22a〜22dがまったく塞がれていない全開状態まで変化する。このようにしてバルブ装置9の開度が調節される。本実施の形態では、伸縮部材41が最も縮小している状態では全開状態となり、伸縮部材41が最も伸張している状態では閉状態となるよう構成される。
【0030】
図8は、制御装置7の機能および構成を模式的に示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0031】
制御装置7は、関係情報保持部60と、取得部61と、演算部62と、バルブ制御部63と、を含む。関係情報保持部60は、伸縮部材41内の流体の圧力と、その圧力がかかっているときの伸縮部材41の伸縮量に関する情報とを対応づけて保持する。取得部61は、厚みセンサ6による測定結果を取得する。演算部62は、取得部61が取得した測定結果に基づき、フィルムの偏肉を把握する。演算部62は、偏肉を小さくするよう各バルブ装置9の開度を算出する。バルブ制御部63は、演算部62によって算出された開度となるよう各バルブ装置9を制御する。具体的には、バルブ制御部63は、各バルブ装置9のスライド弁体30が所定量だけ移動するように、すなわち伸縮部材41が所定量だけ伸縮するように、レギュレータを制御する。この際、バルブ制御部63は、関係情報保持部60を参照し、伸縮部材41を所定量だけ伸縮させために、レギュレータが伸縮部材41に供給するべき流体の圧力を算出する。
【0032】
以上のように構成されたバルブ装置9の動作を説明する。
制御装置7は、厚みセンサ6による測定結果によりフィルムの偏肉を把握し、その偏肉を小さくするようバルブ装置9を制御する。各バルブ装置9は、制御装置7からの指示を受けて開閉する。通風路を開くよう指示を受けると、伸縮部材41内の流体を吸引して伸縮部材41の空気の圧力を低くする。流体が空気の場合は、伸縮部材41内を大気に開放することによって伸縮部材41の空気の圧力を低くしてもよい。すると、移動ベース43を伸縮部材41に向かって付勢するコイルばね46の付勢力によって伸縮部材41は縮小し、絞り部材20は上方に移動する。こうして通風路が開く。通風路の開度を小さくするあるいは通風路を閉じるよう指示を受けると、伸縮部材41内に流体を供給して伸縮部材41内の流体の圧力を高くする。すると、伸縮部材41は伸張し、絞り部材20は下方に移動する。こうして流風路の開度が小さくなるあるいは通風路が閉じる。
【0033】
以上、説明した本実施の形態に係るバルブ装置9によると、レギュレータから供給される流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材41の伸縮量によってバルブ装置9の開度が調節される。このレギュレータは、流体供給口42aとの間を接続するホースにより、エアーリング8から離れた位置に配置することができる。したがって、ダイ2の近辺は樹脂を溶融させるための熱で高温になるところ、レギュレータが比較的高温になるのを避けることが可能となる。そのため、例えばバルブ装置9の開度を調節するための動力源としてモータを用いた場合と比べ、バルブ装置9の耐久性を向上できる。
【0034】
また、例えばバルブ装置9の開度を調節するための動力源としてモータを用いた場合、回転運動を直線運動に変換し、この直線運動によりスライド弁体30を移動させてバルブ装置9の開度を調整する。つまり、回転運動を直線運動に変換する複雑な機構が必要になる。これに対し、本実施の形態に係るバルブ装置9によると、単純な構成である伸縮部材41により流体の圧力が伸縮運動すなわち直線運動に変換される。したがって、バルブ装置9の構成を比較的シンプルにできる。
【0035】
また、本実施の形態に係るバルブ装置9によると、アクチュエータ40はエアーリング8内に配置される。これにより、例えばアクチュエータ40がエアーリング8の外に配置される場合に必要な動的シールが不要となり、冷却装置3の製造コストが低減する。
【0036】
ダイ2の周辺は、上述したように、樹脂を溶融させるための熱で比較的高温になる。ここで、例えば、一般的なエアシリンダをアクチュエータとして用い、ロッドの伸縮移動によってスライド弁体30を移動させ、バルブ装置の開度を調節する場合、エアシリンダ内の流体が熱で膨張すると、ロッドの伸縮移動の移動量、スライド弁体の移動量、ひいてはバルブ装置の開度の調節に悪影響を及ぼしうる。これに対し、本実施の形態に係るバルブ装置9では、アクチュエータ40は、伸縮部材41の伸縮によってスライド弁体30を移動させ、バルブ装置9の開度を調節する。この伸縮部材41には、その内部の流体が熱で膨張していようがいまいが、その内部の流体の圧力が制御装置7が算出した圧力となるよう流体が供給または吸引される。そして伸縮部材41は、その内部に供給される流体の圧力に応じて伸縮する。したがって、本実施の形態に係るバルブ装置9によれば、伸縮部材41内の流体が熱で膨張しても伸縮部材41の伸縮量、スライド弁体30の移動量、ひいてはバルブ装置の開度の調節に悪影響を及ぼさない。そのため、フィルムの偏肉精度を向上できる。
【0037】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るフィルム成形装置のバルブ装置と第1の実施の形態に係るフィルム成形装置1のバルブ装置9との主な相違点は、アクチュエータの構造である。
図9〜12は、第2の実施の形態に係るバルブ装置109を示す。
図9〜12はそれぞれ、
図4〜7に対応する。バルブ装置109は、絞り部材20と、スライド弁体30と、アクチュエータ140と、レギュレータ(不図示)と、を含む。アクチュエータ140は、第1伸縮部材141と、第1固定ベース142と、移動ベース43と、2本のガイドバー44と、第2伸縮部材148と、第2固定ベース149と、を含む。第1伸縮部材141、第1固定ベース142はそれぞれ、第1の実施の形態の伸縮部材41、固定ベース42に対応する。
【0038】
第2伸縮部材148は、円筒部148aと、第1台座148bと、第2台座148cと、を含む。第2伸縮部材148の円筒部148a、第1台座148b、第2台座148cはそれぞれ、第1伸縮部材141の円筒部41a、第1台座41b、第2台座41c、と同様に構成される。第1台座148bは移動ベース43に固定され、第2台座148cは第2固定ベース149に固定される。
【0039】
第2伸縮部材148の内部には、第2固定ベース149に形成された流体供給口149aおよび第2伸縮部材148の第2台座148cに形成された供給口(不図示)を介して、レギュレータから流体が供給される。これにより、第2伸縮部材148内の流体の圧力が変化し、その圧力に応じて円筒部が伸縮する。
【0040】
移動ベース43は、本実施の形態では、スライド弁体30に直接連結される。第2固定ベース149は、2つのガイドバー44の下端に固定される。第2固定ベース149は、第2伸縮部材148を支持する。
【0041】
第1伸縮部材141に流体を供給して第1伸縮部材141内の流体の圧力を高めるとともに、第2伸縮部材148内の流体を吸引して第2伸縮部材148内の流体の圧力を低めると、第1伸縮部材141が伸張し、第2伸縮部材148が縮小する。すると、移動ベース143は下方に移動し、これに伴ってスライド弁体30も下方に移動する。反対に、第2伸縮部材148に流体を供給して第2伸縮部材148内の流体の圧力を高めるとともに、第1伸縮部材141内の流体を吸引して第1伸縮部材141内の流体の圧力を低めると、第2伸縮部材148が伸張し、第1伸縮部材141が縮小する。すると、移動ベース43は上方に移動し、これに伴ってスライド弁体30も上方に移動する。
【0042】
本実施の形態では、第1伸縮部材141が最も縮小し、第2伸縮部材148が最も伸張しているときに全開状態となり、第1伸縮部材141および第2伸縮部材148のどちらも伸縮していない(第1伸縮部材141および第2伸縮部材148が中立状態)のときに閉状態となるよう構成される。この場合、第1伸縮部材141は常に縮小し、第2伸縮部材148は常に伸張しており、伸張している状態から縮小している状態に、あるいは縮小している状態から伸張している状態に切り替わらないため、そうした切り替わり時に生じうる伸縮量の制御への悪影響を抑止できる。もちろん、第1伸縮部材141が最も伸張し、第2伸縮部材148が最も縮小している閉状態となるよう構成されてもよい。
【0043】
本実施の形態に係るバルブ装置109によれば、第1の実施の形態に係るバルブ装置9と同様の作用効果を奏することができる。加えて、本実施の形態に係るバルブ装置109によれば、移動ベース43を挟む2つの伸縮部材の伸縮によって移動ベース43の移動が制御される。これにより、例えば1つの伸縮部材の伸縮によって移動ベース43の移動が制御される場合に比べ、より高い制御性を実現できる。その結果、スライド弁体30の移動の制御性ひいてはバルブ装置9の開度調節の制御性が向上する。
【0044】
以上、実施の形態に係る撓み噛合い式歯車装置の構成と動作ついて説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
(変形例1)
第1〜2の実施の形態では、関係情報保持部60は、伸縮部材41内の流体の圧力と、その圧力がかかっているときの伸縮部材41の伸縮量に関する情報とを対応づけて保持する場合について説明したが、これに限られない。関係情報保持部60は、伸縮部材41内の流体の圧力と、伸縮部材41の伸縮量との関係に関する情報を保持していればよい。例えば、関係情報保持部60は、伸縮部材41内の流体の圧力と、その圧力がかかっているときの伸縮部材41の伸縮量との関係を示す関係式を保持してもよい。この場合、バルブ制御部63は、その関係式を用いて、伸縮部材41を所定量だけ伸縮させために、レギュレータが伸縮部材41に供給するべき流体の圧力を算出すればよい。
【0046】
(変形例2)
第1〜2の実施の形態では特に言及しなかったが、エアーリング8内に加熱装置をさらに設け、冷却風の温度を円周方向で部分的に制御することによってフィルムの偏肉をさらに調整してもよい。
【0047】
(変形例3)
第1〜2の実施の形態では、絞り部材20、スライド弁体30が板状の部材である場合について説明したが、これに限られない。絞り部材20、スライド弁体30の少なくとも一方は、ブロック状、その他の形状であってもよい。
【0048】
(変形例4)
第1〜2の実施の形態では、絞り部材20、スライド弁体30に形成されるスリット状の開口がそれぞれ3つである場合について説明したが、これに限られない。絞り部材20、スライド弁体30に形成されるスリット状の開口は、それぞれ1つ、2つ、または4つ以上であってもよい。
【0049】
(変形例5)
第2の実施の形態では、第1伸縮部材141内に流体を供給するとともに第2伸縮部材148内から流体を吸引するまたは第2伸縮部材148内に流体を供給するとともに第1伸縮部材141内から流体を吸引する、すなわち第1伸縮部材141内と第2伸縮部材148内の両方の流体の量を変化させることにより移動ベース43を移動させる場合について説明したが、これに限られない。第1伸縮部材141内または第2伸縮部材148内のいずれか一方の流体の量を変化させることにより、移動ベース43を移動させてもよい。この場合、他方の伸縮部材には、最も伸張した状態でも内部の流体の圧力が大気圧より高い圧力となる量の流体を予め供給しておいてもよい。
【0050】
(変形例6)
第1〜2の実施の形態では特に言及しなかったが、複数の伸縮部材を直列に接続してもよい。この場合、複数の伸縮部材の全体としての伸縮量を大きくできる。また、複数の伸縮部材を並列に配置してもよい。
【0051】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。