(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る作業機の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図13は、本発明に係る作業機1の側面図を示している。
図14は、作業機1の正面図を示している。
図15は、作業機1の平面図を示している。
図13〜
図15では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0015】
作業機1は、機体(車体)2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5とを備えている。
機体2上にはキャビン3が搭載されている。キャビン3内の後部には運転席6が設けられている。本発明において、作業機1の運転席6に着座した運転者の前側(
図13の左側)を前方、運転者の後側(
図13の右側)を後方、運転者の左側(
図13の手前側)を左方、運転者の右側(
図13の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。
図14に示すように、機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0016】
図1に示すように、機体2は、右側の側枠部8と、左側の側枠部9と、前枠部10と、底枠部11と、上枠部12とを有する。
右側の側枠部8は、機体2の右部を構成する。左側の側枠部9は、機体2の左部を構成する。前枠部10は、機体2の前部を構成し、右側の側枠部8と左側の側枠部9の前部同士を連結している。底枠部11は、機体2の底部を構成し、右側の側枠部8と左側の側枠部9の下部同士を連結している。上枠部12は、機体2の後部寄りの上部を構成し、右側の側枠部8と左側の側枠部9の後部寄りの上部同士を連結している。
【0017】
側枠部8,9は、メインフレーム13と、トラックフレーム14と、モータ取付部15と、支持フレーム16とを有している。トラックフレーム14は、メインフレーム13の外側面の下部に取付部材17を介して取り付けられている。モータ取付部15は、メインフレーム13の外側面の後部寄りの上部に設けられている。支持フレーム16は、メインフレーム13の後部に取り付けられている。
【0018】
支持フレーム16は、内壁(第1壁)18と、外壁(第2壁)19と、前壁(第4壁)20と、後壁(第3壁)21とを有している。内壁18と外壁19は、機体幅方向で間隔をおいて対向して設けられている。外壁19は、内壁18の機体内方に位置している。前壁20は、メインフレーム13の機体幅方向の中途部に設けられることで、当該メインフレーム13の機体内方だけでなく、機体外方にも突出している。前壁20の機体外方に突出する部分が、走行装置5の後部を覆うフェンダを構成している。前壁20は、内壁18の前部と外壁19の前部とを連結している。後壁21は、内壁18の後部と外壁19の後部とを連結している。
【0019】
支持フレーム16の内壁18は、外壁19よりも上方まで延びている。右側の内壁18は、エンジンルームの右側壁を形成する。左側の内壁18は、エンジンルームの左側壁を
形成する。右側の内壁18の上部と左側の内壁18の上部は、上枠部12により連結されている。上枠部12は、キャビン3の後方に設けられている。上枠部12は略長方形状の開口部12Aを有している。
図15に示すように、上枠部12の開口部12Aの上方を覆うように上部カバー201が装着される。
【0020】
機体2には作業装置4が装着されている。作業装置4は、ブーム58と作業具59とを有している。本実施形態では、作業具59としてバケットが設けられている。
ブーム58は、機体2の側方であって、キャビン3の側方に上下揺動自在に設けられている。また、ブーム58は、キャビン3の右側及び左側にそれぞれ設けられている。説明の便宜上、左側に設けられたブーム58を左側のブーム58Lといい、右側に設けられたブーム58を右側のブーム58Rという。また、内壁18はブーム58の側方であって、機体内方側に設けられている。また、外壁19は、ブーム62の側方であって内壁18とは反対側(機体外方側)に設けられている。作業具59としてのバケットは、ブーム58に装着されている。詳しく言うと、バケット59は、ブーム58の先端部(前端部)上下揺動自在に設けられている。
【0021】
右側のブーム58Rと左側のブーム58Lは、前部同士及び後部同士がそれぞれ連結部材64により連結されている。ブーム58R,58Lの後部(基部)は、機体2の後部寄りの上部に対して上下に揺動自在に支持されている。ブーム58R,58Lが上下に揺動すると、ブーム58R,58Lの前端部は機体2の前方で昇降する。
詳しくは、ブーム58R,58Lの後部は、リフトリンク60及び制御リンク61を介して、機体2の後部寄りの上部に連結されている。リフトリンク60は、縦向きに配置されている。リフトリンク60の上部は、第1枢支軸66を介して後部の連結部材64より後方でブーム58R,58Lの後部と連結されている。リフトリンク60の下部は、支持フレーム16内(内壁18と外壁19の間)に挿入されて第2枢支軸67を介して枢支されている。これにより、リフトリンク60は、前後に移動するように揺動可能となっている。制御リンク61は、前後向きに配置されている。制御リンク61の前部は、支持フレーム16の内壁18と外壁19との間に設けられたリンク取付部41に、第5枢支軸71を介して枢支されている。制御リンク61の後部は、第6枢支軸72を介してブーム58R,58Lの基端部近傍と連結されている。これにより、制御リンク61は、
図13に示す略水平姿勢から後部が上昇する立ち上がり姿勢に揺動可能となっている。
【0022】
ブーム58R,58Lの基部と機体2の後下部との間には、ブームシリンダ62が設けられている。ブームシリンダ62は複動式油圧シリンダからなる。ブームシリンダ62を伸縮させることにより、ブーム58R,58Lが上下に揺動する。
ブームシリンダ62のシリンダチューブは、内壁18と外壁19との間に設けられている。したがって、内壁18はブームシリンダ62の側方であって、機体内方側に設けられている。また、外壁19は、ブームシリンダ62の側方であって内壁18とは反対側(機体外方側)に設けられている。
【0023】
ブームシリンダ62のシリンダチューブの下部は、第4枢支軸70を介して支持フレーム16に連結されている。ブームシリンダ62のシリンダロッドの先端は、第3枢支軸69を介してブーム58R,58Lに連結されている。
第2枢支軸67は、機体2の後端上部付近に位置している。第3枢支軸69は、後部の連結部材64を挟んで第1枢支軸66と反対側に位置している。第4枢支軸70は、機体2の後端下部付近であって第2枢支軸67より僅かに前方に位置している。第5枢支軸71は、第2枢支軸67より僅かに高位置であって、前後位置がキャビン3の後部とオーバーラップする位置に設けられている。第1枢支軸66から第3枢支軸69までの距離は、第1枢支軸66から第6枢支軸72までの距離より長く、第1枢支軸66から第5枢支軸71までの距離より短くなっている。側面から見たとき、ブームシリンダ62は制御リンク61と交差している。
【0024】
図13に示す作業具59が接地したブーム58R,58Lの最下位状態において、リフトリンク60は、第1枢支軸66が第2枢支軸67よりも上方で且つ僅かに後方となる傾斜姿勢である。制御リンク61は、第6枢支軸72が第5枢支軸71よりも僅かに高い後
上がりの傾斜姿勢である。ブーム58R,58Lは、第3枢支軸69が第1枢支軸66より低く且つ第6枢支軸72より高い前下向きの傾斜姿勢である。ブームシリンダ62は、制御リンク61の前後方向の略中央と交差している。
【0025】
ブーム58R,58L、リフトリンク60及び制御リンク61は、第2枢支軸67、第1枢支軸66、第5枢支軸71及び第6枢支軸72を節とする4節リンク構造となっている。ブームシリンダ62を伸長することにより、ブーム58R,58Lは、制御リンク61の拘束を受け且つリフトリンク60の前後への揺動を伴いながら、第1枢支軸66を支点として上方に回動する。制御リンク61は、ブーム58R,58Lの上方への回動に伴って、
図13に示す前傾姿勢から後部が立ち上がる。
【0026】
ブーム58R,58Lの先端部には、装着ブラケット204が横軸回りに回動自在に枢支されている。装着ブラケット204には、作業具59が装着されている。
装着ブラケット204とブーム58の前部寄りの中途部との間には、作業具シリンダ63が介装されている。作業具シリンダ63は複動式油圧シリンダからなる。作業具シリンダ63の伸縮によって、作業具59としてのバケットが揺動動作(スクイ・ダンプ動作)する。
【0027】
作業具59は、バケットの他に、油圧圧砕機,油圧ブレーカ,アングルブルーム,アースオーガー,パレットフォーク,スイーパー,モア,スノウブロア等である。作業具59は、装着ブラケット204に対して着脱自在とされている。作業具59を取り外して装着ブラケット204に別の作業具59を取り付けると様々な作業が可能となる。
走行装置5は、機体2の右側と左側に設けられている。
【0028】
走行装置5は、クローラ式走行装置であり、駆動輪53と、従動輪54F,54Rと、転輪57と、クローラベルト56とを有する。従動輪は、前側の従動輪54Fと後側の従動輪54Rとから構成されている。駆動輪53は、前側の従動輪54Fと後側の従動輪54Rとの間の上部且つ後部寄りに配置されている。転輪57は、前側の従動輪54Fと後側の従動輪54Rとの間に複数設けられている。クローラベルト56は、無端帯状であって、従動輪54F,54R、駆動輪53及び転輪57に渡って巻き掛けられている。
【0029】
従動輪54F,54R及び転輪57は、トラックフレーム14に横軸回りに回転自在に取り付けられている。駆動輪53は、トラックフレーム14に取り付けられた油圧駆動式の走行モータ55の回転ドラムに装着されている。走行モータ55は、モータ取付部15に取り付けられている。走行モータ55の駆動によって、駆動輪53を横軸回りに回転することができる。これにより、クローラベルト56が周方向に循環され、作業機1が前進又は後進する。なお、走行装置5は、
図16に示すように、車輪型の走行装置5であってもよい。
【0030】
図13に示すように、機体2の前部には、作動油タンク84が搭載されている。作動油タンク84は、油圧アクチュエータを作動させる作動油を貯留するタンクであり、機体2の前部右側に配置されている。作動油タンク84の後方には、制御弁205が配置されている。
作動油タンク84の一側方(左方)には、複数の油圧ポンプ78,79,80,81が前後に並べて設けられている。本実施形態では、油圧ポンプ78は走行ポンプ、油圧ポンプ79はメインポンプ、油圧ポンプ80はサブポンプ、油圧ポンプ81はパイロットポンプである。これらの油圧ポンプ78,79,80,81は、作動油タンク84内の作動油を、制御弁205を介して所定の油圧機器に供給する。
【0031】
走行ポンプ78は、
図12に示す走行モータ55を駆動する油圧ポンプである。走行ポンプ78は、走行モータ55と共に静油圧式無段変速機の一部を構成する可変容量油圧ポンプである。
メインポンプ79と、サブポンプ80と、パイロットポンプ81は、定容量型のギヤポンプである。メインポンプ79は、作業装置4に装備されたブームシリンダ62や作業具シリンダ63等の油圧アクチュエータを駆動する油圧ポンプである。サブポンプ80は、油圧アクチュエータに供給する作動油を増量するために使用される油圧ポンプである。パイロットポンプ81は、主として、制御信号圧力の供給用に使用される。
【0032】
機体2の後部に設けられたエンジンルーム内にはエンジン73が収容されている。エンジン73の後方には、ラジエータ及びオイルクーラ(いずれも図示略)が配置されている。ラジエータは、エンジン73に供給される冷却水を冷却する。オイルクーラは、作動油を冷却する。
本発明に係る作業機は、油圧ポンプ(メインポンプ)79から供給される作動油を外部に取り出して、作業具(バケット)59とは異なる別の作業具(以下、アタッチメントという)を駆動することが可能である。アタッチメント(作業具)は、例えば、バケット、油圧圧砕機,油圧ブレーカ,アングルブルーム,アースオーガー,パレットフォーク,スイーパー,モア,スノウブロア等である。
【0033】
図11は、複数のアタッチメントのうち、任意の2つのアタッチメントを選び、それぞれのアタッチメントを個別に接続する場合の油圧回路図を示している。本実施形態では、2つのアタッチメントのうち、一方のアタッチメントを第1アタッチメント260A、他方のアタッチメントを第2アタッチメント260Bと称す。
図11では、説明の便宜上、第1アタッチメント260Aと第2アタッチメント260Bとを同時に接続した場合を例示しているが、第1アタッチメント260A又は第2アタッチメント260Bのいずれかを接続する。
【0034】
アタッチメント260A,260Bは、油圧シリンダや油圧モータ等の油圧アクチュエータを有している。以下、第1アタッチメント260Aの油圧アクチュエータを第1油圧アクチュエータ270Aと称し、第2アタッチメント260Bの油圧アクチュエータを第2油圧アクチュエータ270Bと称する。
なお、第1油圧アクチュエータ270Aと第2油圧アクチュエータ270Bは、使用油量が同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0035】
次に、アタッチメント260A,260Bの油圧アクチュエータ270A,270Bを個別に接続するための構造について説明する。即ち、油圧アクチュエータ270A,270Bのそれぞれに作動油を供給するための油圧取り出し構造について説明する。
図2及び
図3に示すように、右側又は左側のブーム(本実施形態では左側のブーム58L)の内側面(機体内方側の面)に沿って、一対の油圧取り出し用の配管(以下、第1管材261という)と排油管283が配策されている。第1管材261及び排油管283は、複数の留め具268により左側のブーム58Lの内側面に固定されている。第1管材261及び排油管283としては、金属製のパイプを使用してもよいし、ゴムホース等からなる油圧ホースを使用してもよい、
第1管材261及び排油管283は、ブーム58Lの前後方向に沿って延びている。第1管材261の一端部(後端部)は制御弁205に接続され、他端部(前端部)は接続部材263に接続されている。排油管283は、一端部(後端部)が作動油タンク84に接続され、他端部(前端部)が接続部材263に接続されている。尚、
図2では、第1管材261及び排油管283の他端部から中途部までのみを示し、中途部から一端部までは省略している。
【0036】
図11に示すように、一対の第1管材261はそれぞれ、接続部材263等を介して、油圧アクチュエータ270A,270Bに接続された油圧受け取り用の配管(以下、第2管材262という)と接続される。第2管材262としては、例えば油圧ホースが使用される。第2管材262の一端部は接続部材263に接続され、他端部は油圧アクチュエータ270A,270Bに接続される。言い換えれば、油圧アクチュエータ270A,270Bは、第2管材262を介して接続部材263に接続される。
【0037】
接続部材263は作業装置4に設けられている。具体的には、接続部材263は、第1管材261及び排油管283が配策された側のブーム(本実施形態では左側のブーム58L)の上面に配置されている。詳しくは、
図2及び
図3に示すように、接続部材263は、左側のブーム58Lの前部寄りの上面58Uに配置されている。左側のブーム58Lの内側面の前部寄り位置には、金属板で形成されたステー264がボルトB1により固定されている。ステー264の上部は、左側のブーム58Lの上面58Uより上方に突出している。
図6に示すように、接続部材263の右側面には、一対のねじ孔265が設けられ
ている。
図3に示すように、接続部材263は、このねじ孔265にボルトB2を螺合することにより、ステー264の上部の左側面に取り付けられる。これにより、接続部材263は、ステー264を介してブーム58Lに装着される。
【0038】
なお、本実施形態では、接続部材263をブーム58Lの上方(上面)に配置しているが、
図17及び
図20に示すように、接続部材263をブーム58Lの前方に配置してもよい。また、
図18に示すように、接続部材263をブーム58Lの機体内方側に配置してもよい。また、
図19に示すように、接続部材263をブーム58Lの機体外方側に配置してもよい。また、接続部材263を右側のブーム58Rの上方、前方、機体内方側又は機体外方側に配置してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、第1管材261及び排油管283をブーム58Lの内側面に沿って配置しているが、接続部材263の位置に応じて配置を変更することができる。例えば、
図20に示すように、第1管材261及び排油管283を、ブーム58L又はブーム58Rの内部空間を通してもよい。また、第1管材261及び排油管283をブーム58L又はブーム58Rの外側面(機体外方側の面)に沿って配置してもよいし、ブーム58Rの内側面に沿って配置してもよい。
【0040】
接続部材263は、本体250に対して、後述する管接続用の各種部材(第1取出カプラ281、第2取出カプラ282、排油カプラ280、管継手266及び管継手267)を取り付けることにより構成される。
本体250は、複数の部材(配管や継手等)を組み合わせて形成されるのではなく、一体物(単一部材)として形成されている。本体250を一体物として形成することにより、部品点数を削減することができるとともに、接続部材263を小型化することが可能となる。本体250は鋳物で形成することが好ましい。鋳物で形成することによって、本体250の強度及び量産性に優れたものとなる。
【0041】
図3、5に示すように、接続部材263は、複数の第1接続部271と、複数の第2接続部272と、分岐油路273とを有している。第1接続部271、第2接続部272及び分岐油路273は、鋳物等で構成された本体250により形成されている。第1接続部271及び第2接続部272は、筒状(環状)に形成されている。
具体的には、本体250の後部には、2つの第1接続部271が形成されている。2つの第1接続部271のうち、一方の第1接続部271Lは、本体250の左側に配置され、他方の第1接続部271Rは本体250の右側に配置されている。一方の第1接続部271L及び他方の第1接続部271Rは機体幅方向に並んで配置されている。以下、便宜的に、第1接続部271Lを第1ポート、第1接続部271Rを第2ポートと称する場合がある。
【0042】
第1接続部271L(第1ポート)及び第1接続部271R(第2ポート)には、それぞれ管継手266が接続されている。各管継手266には、それぞれ第1管材261の他端部が接続される。ここで、第1接続部271L(第1ポート)に接続された第1管材261、及び、第1接続部271R(第2ポート)に接続された第1管材261に関して、いずれか一方が制御弁205から供給される作動油を流通させるための供給路となり、残りの他方が制御弁205へと戻る作動油を流通させるための戻り路となる。それゆえ、第1接続部271L及び第1接続部271Rは対であって、本体250には、少なくとも一対の第1接続部271(271L、271R)が形成されていることが必要である。
【0043】
さて、
図4に示すように、本体250の前部には、4つの第2接続部272が形成されている。具体的には、本体250の前部の上部には、4つの第2接続部272のうち、2つの第2接続部272UL、272URが配置されている。本体250の前部の下部には、残りの2つの第2接続部272DL、272DRが配置されている。以下、便宜的に、第2接続部272DLを第3ポート、第2接続部272ULを第4ポート、第2接続部272DRを第5ポート、第2接続部272URを第6ポートと称する場合がある。
【0044】
第2接続部272UL(第4ポート)は、本体250の左側に配置され、第2接続部272UR(第6ポート)は本体250の右側に配置され、第2接続部272UL(第4ポート)及び第2接続部272UR(第6ポート)は機体幅方向に並んでいる。また、第2
接続部272DL(第3ポート)は、本体250の左側に配置され、第2接続部272DR(第5ポート)は本体250の右側に配置され、第2接続部272DL(第3ポート)及び第2接続部272DR(第5ポート)は機体幅方向に並んでいる。
【0045】
本体250の左側に配置された第2接続部272UL(第4ポート)及び第2接続部272DL(第3ポート)は、分岐油路273を介して第1接続部271L(第1ポート)に連通している。また、本体250の右側に配置された第2接続部272UR(第6ポート)及び第2接続部272DR(第5ポート)は、分岐油路273を介して第1接続部271R(第2ポート)に連通している。
【0046】
第2接続部272UL、272URには、取出カプラ281SL、281SRが装着され、第2接続部272DL、272DRには、取出カプラ282BL、282BRが装着されている。取出カプラ281SL、281SRは、第2管材262の一端部に設けられた受取カプラ276Sに接続可能である。取出カプラ282BL、282BRは、第2管材262の一端部に設けられた受取カプラ276Bに接続可能である。
【0047】
複数の第2接続部272には、径(接続径)が異なるポートが設けられる。第1接続部271Lに連通する2つの第2接続部272(272UL、272DL)には、それぞれ径の異なるポートが設けられ、第1接続部271Rに連通する2つの第2接続部272(272UR、272DR)には、それぞれ径の異なるポートが設けられる。つまり、第1接続部271L、或いは、第1接続部271Rに対応して連通する少なくとも2つの第2接続部272は、互いに接続径が異なるポートを有している。
【0048】
本実施形態では、上下に配置された第2接続部272UL、272DLのうち、第2接続部272DLには、大径ポート272BLが設けられ、第2接続部272ULには、大径ポート272BLよりも径(接続径)が小さい小径ポート272SLが設けられている。上下に配置された第2接続部272UR、272DRのうち、第2接続部272DRには、大径ポート272BRが設けられ、第2接続部272URには、大径ポート272BRよりも径(接続径)が小さい小径ポート272SRが設けられている。
【0049】
大径ポート272BLは、第2接続部272DLに装着した取出カプラ282BLのソケットの前端開口部(前端の開口)により構成される。大径ポート272BRは、第2接続部272DRに装着した取出カプラ282BRのプラグの前端開口部により構成される。大径ポート272BLと大径ポート272BRとは同一径である。
小径ポート272SLは、第2接続部272ULに装着した取出カプラ281SLのソケットの前端開口部により構成される。小径ポート272SRは、第2取出カプラ281のプラグの前端開口部により構成される。小径ポート272SLと小径ポート272SRとは同一径である。
【0050】
大径ポート272BL、272BRの径は、小径ポート272SL、272SRの径に比べて大きく、当該大径ポートは、第2接続部272に設けた複数のポートのうち、最も径が大きいポートである。
つまり、大径ポート272BL,272BRに接続可能な第2管材262の径は、小径ポート272SL、272SRに接続可能な第2管材262の径に比べて大きい。径が大きい大径ポート272BL、272BRには、使用油量が多い第1アクチュエータ270Aを接続することができる。径が小さい小径ポート272SL、272SRには、使用油量が少ない第2アクチュエータ270Bを接続することができる。なお、大径ポートと小径ポートの配置を入れ替えてもよいし、プラグとソケットの配置を入れ替えてもよい。
【0051】
図7、
図8及び
図11に示すように、分岐油路273は、本体250の後部に設けた複数の第1接続部271と、本体250の前部に設けた複数の第2接続部272とを繋ぐ油路である。
分岐油路273は、第1分岐油路273Lと第2分岐油路273Rとを有している。
第1分岐油路273Lは、一対の第1接続部271L、271Rのうち、一方の第1接続部271Lから第2接続部272に向けて延び、本体250の内部で少なくとも2つに分岐している。第1分岐油路273Lの分岐後の分岐路は、特定の2つ以上の第2接続部272に繋がる。詳しくは、第1分岐油路273Lの分岐路は、複数の第2接続部272
のうち、第1接続部271Lと同一側に設けられた第2接続部272であって、大径ポート及び小径ポートを有する第2接続部272UL、272DLにそれぞれ接続されている。即ち、第1分岐油路273Lは、対である第1接続部271のうちの一方の第1接続部271と、複数の第2接続部272のうち接続径が異なる特定の第2接続部272とを繋ぐ油路である。
【0052】
本実施形態の場合、第1分岐油路273Lは、第1接続部271L(第1ポート)から第2接続部272DL(第3ポート)及び第2接続部272UL(第4ポート)に向けて延び、本体250の内部で2つに分岐して、第2接続部272DL(第3ポート)及び第2接続部272UL(第4ポート)に繋がっている。
第2分岐油路273Rは、一対の第1接続部271L、271Rのうち、他方の第1接続部271Rから第2接続部272に向けて延び、本体250の内部で少なくとも2つに分岐している。
第2分岐油路273Rの分岐後の分岐路は、特定の2つ以上の第2接続部272に繋がる。詳しくは、第2分岐油路273Rの分岐路は、複数の第2接続部272のうち、第1接続部271Rと同一側に設けられた第2接続部272であって、大径ポート及び小径ポートを有する第2接続部272UR、272DRにそれぞれ接続されている。即ち、
第2分岐油路273Rは、対である第1接続部271のうちの他方の第1接続部271と、第1分岐油路273Lが接続されない別の第2接続部272(第1分岐油路273に繋がる特定の第2接続部272とは異なる第2接続部272)であって接続径が異なる第2接続部272とを繋ぐ油路である。
【0053】
本実施形態の場合、第2分岐油路273Rは、第1接続部271R(第2ポート)から第2接続部272DR(第5ポート)及び第2接続部272UR(第6ポート)に向けて延び、本体250の内部で2つに分岐して、第2接続部272DR(第5ポート)及び第2接続部272UR(第6ポート)に繋がっている。
以上の構成によれば、
図11に示すように、大径ポート272SL,272SRは、一対の第2管材262を介して第1アタッチメント260Aの第1油圧アクチュエータ270Aと接続することができる。小径ポート272BR,272BLは、一対の第2管材262を介して第2アタッチメント260Bの第2油圧アクチュエータ270Bと接続することができる。
【0054】
第1アタッチメント260Aの第1油圧アクチュエータ270Aと、第2アタッチメント260Bの第2油圧アクチュエータ270Bは、いずれか一方が一対の第2管材262を介して接続部材263と接続される。第1油圧アクチュエータ270Aを接続する場合は、接続部材263の大径ポート272SL,272SRが使用される。第2油圧アクチュエータ270Bを接続する場合は、接続部材263の小径ポート272BR,272BLが使用される。
【0055】
接続部材263は、
排油路274を有している。排油路274は、第1分岐油路273L及び第2分岐油路273Rと同様に、本体250の内部に設けられている。本実施形態では、
図7に示すように、排油路274は、本体250の上部を前後方向に貫通している。但し、排油路274の配置は適宜変更することができる。
排油路274の前端部には排油カプラ280が装着されている。
図6等に示すように、排油路274の後端部には管継手267が装着されている。尚、
図7〜
図10では、管継手266,267の図示を省略している。
【0056】
排油カプラ280は内部に逆止弁を有している。
図3に示すように、本実施形態では、排油カプラ280は、正面視において小径ポート272URを構成するプラグの上方に配置されている。なお、排油カプラ280の配置は、上述した排油路274の配置に合わせて適宜変更することができる。
排油路274の後部には排油管283が接続される。排油管283は作動油タンク84と接続される。第1アタッチメント260Aが排油路274Aを有する場合には、排油路274Aの排油カプラ289を排油カプラ280に接続することにより、排油路274Aから作動油タンク84へと油を送ることができる。
図11は、第1アタッチメント260Aが排油路274Aを有する場合を示しているが、第2アタッチメント260Bが排油路
を有していてもよい。
【0057】
図4、
図7、
図9及び
図11に示すように、圧抜き路は、第1圧抜き路275Aと第2圧抜き路275Bとから構成されている。第1圧抜き路275Aは、小径ポート272SRに続く第2分岐油路273Rと排油路274とを連通可能である。第2圧抜き路275Bは、小径ポート272SRに続く第2分岐油路273Rと、小径ポート272SLに続く第1分岐油路273Lとを連通可能である。
【0058】
第2接続部272に設けられた取出カプラのうち、第1圧抜き路275A及び第2圧抜き路275Bと連通するポートを構成する取出カプラは、圧抜き弁を備えたカプラである。本実施形態では、小径ポート272SRを構成する取出カプラ281SRと、小径ポート272SLを構成する取出カプラ281SLとは、圧抜き弁を備えたカプラである。
図11に示すように、圧抜き弁284は、第1圧抜き路275A及び第2圧抜き路275Bと、排油路274との連通を許容又は遮断することができる。
【0059】
圧抜き弁284は、取出カプラ281SR及び取出カプラ281SLの筒体279に形成された貫通孔(図示略)とスプリング278とから構成されている。筒体279に形成された貫通孔は、取出カプラ281SR及び取出カプラ281SLの内部(内部流路)と外部を連通している。圧抜き弁284による圧抜きは、当該貫通孔と、第1圧抜き路275A又は第2圧抜き路275Bとを連通させることにより行われる。
【0060】
図7に示す取出カプラ281SRについて、筒体279をスプリング278の付勢力に抗して後部に向けて移動させると、筒体279の貫通孔と第1圧抜き路275Aとが連通し、第2分岐油路273Rと第1圧抜き路275Aとが連通する。これにより、第2分岐油路273Rと排油路274とが連通し、第2分岐油路273Rの内部の作動油を、第1圧抜き路275Aを介して排油路274へと流して油圧を抜くことができる。即ち、小径ポート272SRの内部の圧抜きを行うことができる。
【0061】
また、
図8に示す取出カプラ281SLについて、筒体279をスプリング278の付勢力に抗して後部に向けて移動させると、筒体279の貫通孔と第2圧抜き路275Bとが連通し、第1分岐油路273Lと第2圧抜き路275Bとが連通する。これにより、第1分岐油路273Lと排油路274とが連通し、第1分岐油路273Lの内部の作動油を、第1圧抜き路275A及び第2圧抜き路275Bを介して排油路274へと流して油圧を抜くことができる。即ち、小径ポート272SLの内部の圧抜きを行うことができる。
【0062】
このように、小径ポート272SR,272SLの内部の圧抜きを行うことにより、大径ポート272BR,272BLの内部の圧抜きも同時に行うことができる。
接続部材263は、別の接続部材(以下、第2接続部材290という)を取り付けるための取付部286を有している。
図6に示すように、取付部286は、接続部材263の後面に設けられた一対のボルト孔から構成されている。取付部286を構成するボルト孔は、排油路274の後端部に接続された管継手267の下方であって、第1接続部271A,271Bの上方且つ前方に設けられている。
【0063】
図12は、接続部材263に対して第2接続部材290を取り付けた例を示す図である。第2接続部材290は、金属板からなるステー287を介して接続部材263に固定される。ステー287の下部は、接続部材263の取付部286にボルトで固定される。ステー287の上部は、第2接続部272UL(第4ポート)の上方であって排油カプラ280の右方に突出する。第2接続部材290は、このステー287の突出部分にボルトで固定される。
【0064】
第2接続部材290は、前後方向に延びる油路を内部に有する筒体からなる。第2接続部材290は、前端部に第2管材を接続可能であり、後端部に第1管材を接続可能である。第2接続部材290に接続される第1管材及び第2管材は、接続部材263に接続された第1管材261及び第2管材262とは別の管材である。つまり、第2接続部材290を接続部材263に取り付けることで、既に接続部材263に接続されている第1管材及び第2管材とは別に、第1管材及び第2管材を追加で接続することが可能となる。第1管材及び第2管材を追加で接続することで、アタッチメントを追加で接続することが可能となる。
【0065】
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、接続部材263について、第1接続部271が一対(2つ)で、第2接続部272が二対(4つ)の場合を例に挙げて説明したが、第1接続部271及び第2接続部272の数は、この実施形態に限定されない。他の実施形態としては、第1接続部271が一対(2つ)で第2接続部272が三対(6つ)以上の形態を例示することができる。
【0066】
また、第1分岐油路273L及び第2分岐油路273Rの分岐の数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。第1分岐油路273L及び第2分岐油路273Rの分岐の数は、第2接続部272の対の数に合わせて設定される。第2接続部272が3対以上設けられる場合、第1分岐油路273L及び第2分岐油路273Rはそれぞれ3つ以上に分岐され、各分岐路がそれぞれ異なる第2接続部に繋がる。