(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力電源に直列接続されて入力電圧を断続する主スイッチング素子と、前記主スイッチング素子がオンの期間に前記入力電源により励磁され、オンの期間に蓄えた励磁エネルギーを前記主スイッチング素子がオフの期間に出力に放出する出力インダクタと、前記主スイッチング素子がオフの期間に導通し、前記励磁エネルギーが出力に放出される際の電流経路となる出力ダイオードとを有し、出力に接続された負荷に対して電力を供給する電力変換回路と、
前記主スイッチング素子のオン時間及びオフ時間を制御する制御回路とを備えたスイッチング電源装置において、
前記電力変換回路にはスナバ回路が設けられ、
前記スナバ回路は、前記出力ダイオードのアノードに一端が接続された補助コンデンサと、前記補助コンデンサの他端にソースが接続され、前記出力ダイオードのカソードにドレインが接続されたNチャネルのMOS型FETで成る補助スイッチング素子と、前記補助スイッチング素子のゲートと前記出力ダイオードのアノードとの間を所定の直流電圧で正方向にバイアスする直流バイアス回路とを備え、
前記制御回路は、前記出力インダクタの前記励磁エネルギーが前記出力ダイオードを通じて放出された後、速やかに前記主スイッチン素子をオフからオンに反転させる臨界モードの制御を行い、
前記補助スイッチング素子は、前記主スイッチング素子がオフした後、前記補助コンデンサの電圧が低下することによって自己のゲート・ソース間電圧が上昇し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を超えたタイミングでオフからオンに反転し、その後、前記主スイッチング素子がオンする前に、前記補助コンデンサの電圧が上昇することによって自己のゲート・ソース間電圧が低下し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を下回ったタイミングでオンからオフに反転することを特徴とするスイッチング電源装置。
前記直流バイアス回路の出力と前記補助スイッチング素子のゲートとの間に、カソードが前記直流バイアス回路の側に配された引き抜きダイオードとゲート抵抗との並列回路が挿入され、
前記ゲート抵抗は、前記補助スイッチング素子のゲートに流入する電流を制限することによって前記補助スイッチング素子がオフからオンに反転するタイミングを遅延させる請求項1記載のスイッチング電源装置。
入力電源に直列接続されて入力電圧を断続する主スイッチング素子と、前記主スイッチング素子がオンの期間に前記入力電源により励磁され、オンの期間に蓄えた励磁エネルギーを前記主スイッチング素子がオフの期間に出力に放出する出力インダクタと、前記主スイッチング素子がオフの期間に導通し、前記励磁エネルギーが出力に放出される際の電流経路となる出力ダイオードとを有し、出力に接続された負荷に対して電力を供給する電力変換回路と、
前記主スイッチング素子のオン時間及びオフ時間を制御する制御回路とを備えたスイッチング電源装置において、
前記電力変換回路にはスナバ回路が設けられ、
前記スナバ回路は、前記出力ダイオードのカソードに一端が接続された補助コンデンサと、前記補助コンデンサの他端にソースが接続され、前記出力ダイオードのアノードにドレインが接続されたPチャネルのMOS型FETで成る補助スイッチング素子と、前記補助スイッチング素子のゲートと前記出力ダイオードのカソードとの間を所定の直流電圧で負方向にバイアスする直流バイアス回路とを備え、
前記制御回路は、前記出力インダクタの前記励磁エネルギーが前記出力ダイオードを通じて放出された後、速やかに前記主スイッチン素子をオフからオンに反転させる臨界モードの制御を行い、
前記補助スイッチング素子は、前記主スイッチング素子がオフした後、前記補助コンデンサの電圧が低下することによって自己のゲート・ソース間電圧が上昇し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を超えたタイミングでオフからオンに反転し、その後、前記主スイッチング素子がオンする前に、前記補助コンデンサの電圧が上昇することによって自己のゲート・ソース間電圧が低下し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を下回ったタイミングでオンからオフに反転することを特徴とするスイッチング電源装置。
前記直流バイアス回路の出力と前記補助スイッチング素子のゲートとの間に、アノードが前記直流バイアス回路の側に配された引き抜きダイオードとゲート抵抗との並列回路が挿入され、
前記ゲート抵抗は、前記補助スイッチング素子のゲートから流出する電流を制限することによって前記補助スイッチング素子がオフからオンに反転するタイミングを遅延させる請求項6記載のスイッチング電源装置。
前記制御回路は、前記出力インダクタの前記励磁エネルギーが前記出力ダイオードを通じて放出された後、前記主スイッチング素子の両端電圧が所定電圧まで低下したタイミングで前記主スイッチン素子をオフからオンに反転させる請求項1乃至10のいずれか記載のスイッチング電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスイッチング電源装置が有するスナバ回路は、主スイッチング素子のオン・オフのタイミングに対し、補助スイッチング素子のオン・オフのシーケンスを適切に制御することや、微妙な動作遅延を的確に制御すること等が重要である。しかし、特許文献1には、補助スイッチング素子の駆動回路について具体的な回路構成が開示されていない。
【0005】
電力変換回路には様々な構成があり、補助スイッチング素子と主スイッチング素子がハイサイド側とローサイド側に分かれるケースが少なくない。この場合、各スイッチング素子を互いに絶縁された2つの信号で駆動するため、信号絶縁用の駆動トランスや、ハイサイド及びローサイド駆動用の2出力ドライバIC等を使用する構成にするのが一般的である。したがって、この種のスナバ回路は、シンプルかつ安価に構成するのが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、シンプルな構成のスナバ回路を有し、スナバ回路の補助スイッチング素子を適切なシーケンスで的確に駆動できるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入力電源に直列接続されて入力電圧を断続する主スイッチング素子と、前記主スイッチング素子がオンの期間に前記入力電源により励磁され、オンの期間に蓄えた励磁エネルギーを前記主スイッチング素子がオフの期間に出力に放出する出力インダクタと、前記主スイッチング素子がオフの期間に導通し、前記励磁エネルギーが出力に放出される際の電流経路となる出力ダイオードとを有し、出力に接続された負荷に対して電力を供給する電力変換回路と、前記主スイッチング素子のオン時間及びオフ時間を制御する制御回路とを備えたスイッチング電源装置であって、
前記電力変換回路にはスナバ回路が設けられ、前記スナバ回路は、前記出力ダイオードのアノードに一端が接続された補助コンデンサと、前記補助コンデンサの他端にソースが接続され、前記出力ダイオードのカソードにドレインが接続されたNチャネルのMOS型FETで成る補助スイッチング素子と、前記補助スイッチング素子のゲートと前記出力ダイオードのアノードとの間を所定の直流電圧で正方向にバイアスする直流バイアス回路とを備え、前記制御回路は、前記出力インダクタの前記励磁エネルギーが前記出力ダイオードを通じて放出された後、速やかに前記主スイッチン素子をオフからオンに反転させる臨界モードの制御を行い、
前記補助スイッチング素子は、前記主スイッチング素子がオフした後、前記補助コンデンサの電圧が低下することによって自己のゲート・ソース間電圧が上昇し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を超えたタイミングでオフからオンに反転し、その後、前記主スイッチング素子がオンする前に、前記補助コンデンサの電圧が上昇することによって自己のゲート・ソース間電圧が低下し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を下回ったタイミングでオンからオフに反転するスイッチング電源装置である。
【0008】
前記直流バイアス回路の出力と前記補助スイッチング素子のゲートとの間に、カソードが前記直流バイアス回路の側に配された引き抜きダイオードとゲート抵抗との並列回路が挿入され、前記ゲート抵抗は、前記補助スイッチング素子のゲートに流入する電流を制限することによって前記補助スイッチング素子がオフからオンに反転するタイミングを遅延させる構成にすることが好ましい。
【0009】
前記直流バイアス回路は、前記補助スイッチング素子のドレインに一端が接続された充電抵抗と、前記充電抵抗の他端と前記出力ダイオードのアノードとの間に接続された平滑コンデンサと、前記充電抵抗の他端にカソードが接続され、前記出力ダイオードのアノードにアノードが接続されたツェナダイオードとを備え、前記ツェナダイオードのツェナ電圧により規定される前記所定の直流電圧を、前記充電抵抗と前記平滑コンデンサの接続点から出力する構成にすることができる。この場合、前記充電抵抗と直列の位置に、前記平滑コンデンサからの放電電流を阻止する放電阻止ダイオードが挿入されている構成にすることが好ましい。
【0010】
あるいは、前記直流バイアス回路は、前記補助スイッチング素子のドレインに一端が接続されたカップリングコンデンサと、前記カップリングコンデンサの他端にカソードが接続され、前記出力ダイオードのアノードにアノードが接続されたツェナダイオードと、前記ツェナダイオードのカソードにアノードが接続された逆流防止ダイオードと、前記逆流防止ダイオードのカソードと前記出力ダイオードのアノードとの間に接続された平滑コンデンサとを備え、前記ツェナダイオードのツェナ電圧により規定される前記所定の直流電圧を、前記逆流防止ダイオードと前記平滑コンデンサの接続点から出力する構成にすることができる。
【0011】
また、本発明は、入力電源に直列接続されて入力電圧を断続する主スイッチング素子と、前記主スイッチング素子がオンの期間に前記入力電源により励磁され、オンの期間に蓄えた励磁エネルギーを前記主スイッチング素子がオフの期間に出力に放出する出力インダクタと、前記主スイッチング素子がオフの期間に導通し、前記励磁エネルギーが出力に放出される際の電流経路となる出力ダイオードとを有し、出力に接続された負荷に対して電力を供給する電力変換回路と、前記主スイッチング素子のオン時間及びオフ時間を制御する制御回路とを備えたスイッチング電源装置であって、
前記電力変換回路にはスナバ回路が設けられ、前記スナバ回路は、前記出力ダイオードのカソードに一端が接続された補助コンデンサと、前記補助コンデンサの他端にソースが接続され、前記出力ダイオードのアノードにドレインが接続されたPチャネルのMOS型FETで成る補助スイッチング素子と、前記補助スイッチング素子のゲートと前記出力ダイオードのカソードとの間を所定の直流電圧で負方向にバイアスする直流バイアス回路とを備え、前記制御回路は、前記出力インダクタの前記励磁エネルギーが前記出力ダイオードを通じて放出された後、速やかに前記主スイッチン素子をオフからオンに反転させる臨界モードの制御を行い、
前記補助スイッチング素子は、前記主スイッチング素子がオフした後、前記補助コンデンサの電圧が低下することによって自己のゲート・ソース間電圧が上昇し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を超えたタイミングでオフからオンに反転し、その後、前記主スイッチング素子がオンする前に、前記補助コンデンサの電圧が上昇することによって自己のゲート・ソース間電圧が低下し、当該ゲート・ソース間電圧がオン閾値を下回ったタイミングでオンからオフに反転するスイッチング電源装置である。
【0012】
前記直流バイアス回路の出力と前記補助スイッチング素子のゲートとの間に、アノードが前記直流バイアス回路の側に配された引き抜きダイオードとゲート抵抗との並列回路が挿入され、前記ゲート抵抗は、前記補助スイッチング素子のゲートから流出する電流を制限することによって前記補助スイッチング素子がオフからオンに反転するタイミングを遅延させる構成にすることが好ましい。
【0013】
前記直流バイアス回路は、前記補助スイッチング素子のドレインに一端が接続された充電抵抗と、前記充電抵抗の他端と前記出力ダイオードのカソードとの間に接続された平滑コンデンサと、前記充電抵抗の他端にアノードが接続され、前記出力ダイオードのカソードにカソードが接続されたツェナダイオードとを備え、前記ツェナダイオードのツェナ電圧により規定される前記所定の直流電圧を、前記充電抵抗と前記平滑コンデンサの接続点から出力する構成にすることができる。この場合、前記充電抵抗と直列の位置に、前記平滑コンデンサからの放電電流を阻止する放電阻止ダイオードが挿入されている構成にすることが好ましい。
【0014】
あるいは、前記直流バイアス回路は、前記補助スイッチング素子のドレインに一端が接続されたカップリングコンデンサと、前記カップリングコンデンサの他端にアノードが接続され、前記出力ダイオードのカソードにカソードが接続されたツェナダイオードと、前記ツェナダイオードのアノードにカソードが接続された逆流防止ダイオードと、前記逆流防止ダイオードのアノードと前記出力ダイオードのカソードとの間に接続された平滑コンデンサとを備え、前記ツェナダイオードのツェナ電圧により規定される前記所定の直流電圧を、前記逆流防止ダイオードと前記平滑コンデンサの接続点から出力する構成にすることができる。
【0015】
前記制御回路は、前記出力インダクタの前記励磁エネルギーが前記出力ダイオードを通じて放出された後、前記主スイッチング素子の両端電圧が所定電圧まで低下したタイミングで前記主スイッチン素子をオフからオンに反転させる構成にすることが好ましい。また、前記補助スイッチング素子のドレイン・ソース間に、付加コンデンサが接続されている構成にしてもよい。
【0016】
前記電力変換回路は、前記主スイッチング素子がオンの期間、前記入力電源から前記負荷への電力供給を行うと共に前記入力電源により前記出力インダクタを励磁し、前記主スイッチング素子がオフの期間、前記出力インダクタに蓄えた前記励磁エネルギーを出力に放出して前記負荷への電力供給を行うものである。あるいは、前記電力変換回路は、前記主スイッチング素子がオンの期間、前記入力電源から出力への電力供給を行わずに前記入力電源により前記出力インダクタを励磁し、前記主スイッチング素子がオフの期間、前記出力インダクタに蓄えた前記励磁エネルギーを出力に放出して前記負荷への電力供給を行うものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスイッチング電源装置は、いわゆる臨界モードで動作するので、出力ダイオードのリカバリ動作に起因するクロス損失やスイッチングノイズ等(電磁波ノイズ、電圧サージやリンギング等)がほとんど発生しない。また、独特なスナバ回路が設けられているので、主スイッチング素子がターンオフする時のスイッチングノイズ等を小さく抑えることができる。また、主スイッチング素子のZVSを容易に実現することができ、主スイッチング素子がターンオンする時のクロス損失やスイッチングノイズ等を大幅に低減することができる。さらに、補助スイッチング素子のZVSを容易に実現することができ、補助スイッチング素子がターンオンする時のクロス損失やスイッチングノイズ等を小さく抑えることができる。
【0018】
スナバ回路は構成が非常にシンプルなので、スナバ回路の実装スペースやコストの増加が最小限に抑えられる。さらに、上述した低ノイズ化、低損失化の効果により、ノイズフィルタやパワー半導体の放熱器を小さくできるので、電源装置全体の大幅な小型化と低コスト化が可能になる。
【0019】
また、このスナバ回路は、補助スイッチング素子と主スイッチング素子のグランド電位が異なる場合でも問題なく使用できるので、昇圧チョッパ、降圧チョッパ等の非絶縁型コンバータや、フライバックコンバータ等の絶縁型コンバータ等、様々な構成の電力変換回路に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一の実施形態のスイッチング電源装置について、
図1〜
図11に基づいて説明する。第一の実施形態のスイッチング電源装置10は、
図1に示すように、スナバ回路12を有する昇圧チョッパ型の電力変換回路14と、電力変換回路14の動作を制御する制御回路16とで構成されている。
【0022】
電力変換回路14は、入力電源18に直列接続されて入力電圧Viを断続する主スイッチング素子20を備えている。主スイッチング素子20は、例えばNチャネルのMOS型FETであり、ソースが入力電源18のマイナス側に接続され、ドレインが出力インダクタ22を介して入力電源18のプラス側に接続されている。MOS型FETなので、ゲート・ソース間電圧がハイレベルのときにオンし、ローレベルのときにオフする。出力インダクタ22と主スイッチング素子20の接続点には、出力ダイオード24のアノードが接続され、出力ダイード24のカソードと主スイッチング素子20のソースの間に出力コンデンサ26が接続されている。出力コンデンサ26の両端は電力変換回路14の出力であり、電力変換回路14は、出力に接続された負荷28に対して出力電圧Voと出力電流Ioを供給する。
【0023】
制御回路16は、主スイッチング素子20の駆動パルスを生成する回路で、例えば出力電圧Voを目標値に近づけるようにハイレベルの時間(オン時間)及びローレベルの時間(オフ時間)を決定し、生成した駆動パルスを主スイッチング素子20のゲート・ソース間に出力する。
【0024】
出力インダクタ22は、主スイッチング素子20がオンの期間に入力電源18により励磁され、オンの期間に蓄えた励磁エネルギーを主スイッチング素子20がオフ期間に出力に放出する。出力ダイオード24は、主スイッチング素子20がオフの期間に導通し、励磁エネルギーが出力に放出される際の電流経路となる。また、制御回路16は、出力インダクタ22の励磁エネルギーが出力ダイオード24を通じて全て放出された後、速やかに主スイッチン素子20をオフからオンに反転させる臨界モードの制御を行う。ここで、「主スイッチング素子20がオンの期間」とは、後述する寄生ダイオード20bが導通している期間及びFET20aがオンしている期間のことである(
図3における期間t8,t9,t1)。
【0025】
スナバ回路12は、補助コンデンサ30、補助スイッチング素子32、及び直流バイアス回路34で構成されている。補助コンデンサ30は、出力ダイオード24のアノードに一端が接続されている。補助スイッチング素子32は、NチャネルのMOS型FETであり、補助コンデンサ30の他端にソースが接続され、出力ダイオード24のカソードにドレインが接続されている。直流バイアス回路34は、補助スイッチング素子32のゲートと出力ダイオード24のアノードの間を、所定の直流電圧で正方向にバイアスする回路である。
【0026】
直流バイアス回路34の内部構成は、
図2(a)に示すように、補助スイッチング素子32のドレインに一端が接続された充電抵抗36と、充電抵抗36の他端と出力ダイオード24のアノードとの間に接続された平滑コンデンサ38と、充電抵抗36の他端にカソードが接続され、出力ダイオード24のアノードにアノードが接続されたツェナダイオード40(ツェナ電圧Vz40)とで構成されている。直流バイアス回路34は、出力ダイオード24の両端のパルス電圧を充電抵抗36及び平滑コンデンサ38で略平均化する動作を行い、平滑コンデンサ38の両端にツェナ電圧Vz40で規定されるほぼ直流の電圧V38を発生させ、補助スイッチング素子32のゲートと出力ダイオード24のアノードとの間を電圧V38でバイアスする。
【0027】
次に、スイッチング電源装置10の動作について、
図3のタイムチャートに基づいて説明する。
図3に示す電流I22、電圧Vds20、電流Id20は、それぞれ
図1に示すように、出力インダクタ22に流れる電流、主スイッチング素子20のドレイン・ソース間に発生する電圧、主スイッチング素子20のドレインに流れる電流である。
図3に示す電圧V38、電圧V30、電圧Vgs32、電圧Vds32、電流Id32は、それぞれ
図2(b)に示すように、平滑コンデンサ38の両端電圧、補助コンデンサ30の両端電圧、補助スイッチング素子32のゲート・ソース間に発生する電圧、補助スイッチング素子32のドレイン・ソース間に発生する電圧、補助スイッチング素子32のドレインに流れる電流である。
【0028】
図3は、スイッチング動作の1周期を期間t1〜t9に分け、各期間の波形を模式的に描いたものであり、ここでは波形を見やすくするため、期間t2,t3,t4の時間軸を少し拡大して描いてある。
図3では、期間t2,t3,t4の合計時間が期間t1の約1/2に描いてあるが、実際は、期間t1の約1/10程度の短い時間である。
【0029】
以下、期間t1〜t9の各動作について、
図4〜
図8の等価回路を用いて順に説明する。なお、等価回路では、NチャネルのMOS型FETである補助スイッチング素子32を、FET32a(オン・オフの状態をスイッチで示している)、ドレイン・ソース間の寄生ダイオード32b、ドレイン・ソース間の寄生コンデンサ32cに分けて表記している。電流Id32は、FET32a、寄生ダイオード32b及び寄生コンデンサ32cに流れる電流を合成した波形である。同様に、NチャネルのMOS型FETである主スイッチング素子20は、FET20a(オン・オフの状態をスイッチで示している)、ドレイン・ソース間の寄生ダイオード20b、ドレイン・ソース間の寄生コンデンサ20cに分けて表記している。電流Id20は、FET20a、寄生ダイオード20b及び寄生コンデンサ20cに流れる電流を合成した波形である。
【0030】
また、説明を容易にするため、各部のダイオード素子に順方向電流が流れたときの電圧降下は十分小さいとして無視する。また、補助スイッチング素子32のオン・オフが切り替わるゲート閾値電圧をVth32とする。また、補助コンデンサ30の容量は、寄生コンデンサ20c,32cよりも十分大きく、出力コンデンサ26よりも十分小さいとする。
【0031】
期間t1は、
図3、
図4(a)に示すように、主スイッチング素子20のFET20aがオンしている。出力インダクタ22の電流I22は右肩上がりに増加しており、電流I22は、入力電源18、出力インダクタ22、FET20aの経路に流れ、出力インダクタ22が励磁される。FET20aがオンして電圧Vds20がほぼゼロになっているので、出力ダイオード24は、両端に逆電圧Voが印加されて非導通となっている。直流バイアス回路34の平滑コンデンサ38は、充電抵抗36により充電され、電圧V38はツェナ電圧Vz40になっている。補助コンデンサ30の電圧V30の値は、V30pとなっている。電圧値V30pは電圧V30のピーク値であり、後述する期間t7の動作により決定される。期間t1は、「Vgs32=V38―V30=Vz40−V30p<Vth32」の関係が成立し、補助スイッチング素子32のFET32aはオフしている。負荷28に流れる出力電流Ioは、出力コンデンサ26から供給される。期間t1は、制御回路16の制御により、主スイッチング素子20のFET20aがオフに転じた時に終了する。
【0032】
期間t2は、
図3、
図4(b)に示すように、出力インダクタ22が期間t1の終了時の電流I22を継続して流そうとする動作を行い、電流I22が、出力インダクタ22、寄生コンデンサ20c、入力電源18の経路と、出力インダクタ22、補助コンデンサ30、寄生コンデンサ32c、出力コンデンサ26、入力電源18の経路に分流する。前者の経路に流れる電流は、電流Id20の波形に現れる正の電流であり、これによって寄生コンデンサ20cが充電され、電圧Vds20が急峻に上昇する。後者の経路に流れる電流は、電流Id32の波形に現れる負の電流であり、これによって寄生コンデンサ32cが放電されて電圧Vds32が急峻に低下し、補助コンデンサ30も少し放電されて電圧V30が緩やかに低下する。
【0033】
主スイッチング素子20の電圧Vds20が上昇することによって、充電抵抗36を通じて平滑コンデンサ38を充電する電流が徐々に減少し、直流バイアス回路34は、平滑コンデンサ38の電圧V38をツェナ電圧Vz40に保持する能力が弱くなる。また、補助スイッチング素子32のゲート・ソース間に図示しない寄生コンデンサが存在するので、補助コンデンサ30の電圧V30が低下することにより、平滑コンデンサ38が放電される。したがって、電圧V38がツェナ電圧Vz40を保持できず、途中で僅かに低下している。しかし、期間t2は「Vgs32=V38―V30<Vth32」の関係が成立しており、補助スイッチング素子32のFET32aはオフしている。期間t2は、電圧Vds32がゼロボルトまで低下し、補助スイッチング素子32の寄生ダイオード32bが導通し始めた時に終了する。このとき、電圧Vds20は、出力電圧Voから補助コンデンサ30の電圧V30を差し引いた値まで上昇している。
【0034】
期間t3は、
図3、
図5(a)に示すように、出力インダクタ22が期間t2の終了時の電流I22を継続して流そうとする動作を行い、電流I22が、出力インダクタ22、寄生コンデンサ20c、入力電源18の経路と、出力インダクタ22、補助コンデンサ30、寄生ダイオード32b、出力コンデンサ26、入力電源18の経路に分流する。後者の経路に流れる電流は、期間t2と同様に電流Id32の波形に現れる負の電流であるが、寄生コンデンサ32cではなく、インピーダンスが低い寄生ダイオード32bに流れるようになるので、電流I22の大部分がこの経路に流れるようになり、補助コンデンサ30の放電が加速されて電圧V30の低下速度が速くなる。前者の経路に流れる電流は、期間t2と同様に、電流Id20の波形に現れる正の電流であり、電流量は期間t2よりも少ないが、寄生コンデンサ20cが徐々に充電され、電圧Vds20が緩やかに上昇する。
【0035】
また、期間t3に入ると、充電抵抗36には、平滑コンデンサ38を放電する向きに電流が流れるようになる。また、補助スイッチング素子32のゲート・ソース間に寄生容量が存在するので、補助コンデンサ30の電圧V30の低下に伴って平滑コンデンサ38も放電され、電圧V38もやや低下する。期間t3は、電圧V30の顕著な低下により「Vgs32=V38―V30≧Vth32」となって、補助スイッチング素子32のFET32aがオンに転じた時に終了する。
【0036】
期間t4は、
図3、
図5(b)に示すように動作する。期間t3との違いは、補助スイッチング素子32の寄生ダイオード32bに流れていた電流がFET32aに流れるようになるという点であるが、寄生ダイオード32bとFET32aは共にインピーダンスが低い素子なので、各部の波形に大きな変化は現れない。
【0037】
ここで特徴的なのは、FET32aが、電圧Vds32がほぼゼロボルトの時にオフからオンに反転する点であり、いわゆるZVSにより補助スイッチング素子32のクロス損失が小さく抑えられるという効果が得られる。また、スナバ回路12が無ければ電圧Vds20に大きいサージ電圧が発生するところ、期間t3,t4の間に、補助コンデンサ30がサージ電圧のエネルギーを吸収するので、電圧Vds20にほとんどサージ電圧が発生しない。期間t4は、主スイッチング素子の電圧Vds20が出力電圧Voに達し、出力ダイオード24が導通し始めた時に終了する。このとき、電圧V30はほぼゼロボルトまで低下しているが、電圧V38は所定の電圧に保持されている。
【0038】
期間t5は、出力インダクタ22が励磁エネルギーを出力に向けて放出する期間であり、
図3、
図6(a)に示すように、励磁エネルギーを放出する右肩下がりの電流I22が、出力インダクタ22、出力ダイオード24、出力コンデンサ26及び負荷28、入力電源18の経路に流れる。したがって、負荷28に流れる出力電流Ioは、出力インダクタ22及び出力コンデンサ26から供給されることになる。充電抵抗36には、平滑コンデンサ38を放電する向きに小さい電流が流れ続けるが、電圧V38はあまり低下せず所定の値に保持される。期間t5は、出力インダクタ22の電流I22がゼロアンペアに達して出力ダイオード24が非導通になった時に終了する。
【0039】
期間t6は、
図3、
図6(b)に示すように、出力インダクタ22、入力電源18、出力コンデンサ26、FET32a、補助コンデンサ30の経路と、出力インダクタ22、入力電源18、寄生コンデンサ20cを通る経路に電流が流れる。出力インダクタ22の電流I22の波形に現れる負の電流は、前者の経路と後者の経路に分流している各電流を合成したものである。
【0040】
前者の経路に流れる電流は、電流Id32の波形に現れる正の電流であり、この電流によって補助コンデンサ30が充電されて電圧V30が上昇する。後者の経路に流れる電流は、電流Id20の波形に現れる負の電流であり、寄生コンデンサ20cを放電する電流であるが、寄生コンデンサ20cの容量が補助コンデンサ30よりも十分小さいので、その電流量は非常に小さく、電圧Vds20は緩やかに少しだけ低下する。また、電圧Vds20が低下することによって、充電抵抗36に、平滑コンデンサ38を充電する方向の電流が流れ、電圧V38が少し上昇する。
【0041】
ここで特徴的なのは、いわゆる臨界モードの制御により、出力ダイオード24の順方向電流がゼロアンペアになった時に出力ダイオード24に逆電圧が印加される点と、電圧Vds20の低下が緩やかなため、出力ダイオード24の逆電圧が急激に大きくならないという点である。これらの特徴的な動作により、出力ダイオード24のリカバリ動作がほとんど発生しないので、リカバリ動作に起因するスイッチングノイズやクロス損失が大幅に低減される。期間t6は、電圧V30の顕著な上昇により「Vgs32=V38―V30≦Vth32」となって、補助スイッチング素子32のFET32aがオフに転じた時に終了する。
【0042】
期間t7は、
図3、
図7(a)に示すように、出力インダクタ22が期間t6の終了時の電流I22を継続して流そうとする動作を行い、電流I22が、出力インダクタ22、入力電源18、出力コンデンサ26、寄生コンデンサ32c、補助コンデンサ30の経路と、出力インダクタ22、入力電源18、寄生コンデンサ20cの経路に分流する。前者の経路に流れる電流は、期間t6と同様に、電流Id32の波形に現れる負の電流であるが、FET32aではなく、インピーダンスが高い寄生コンデンサ32cに流れるようになるので、電流I22のうちの後者の経路に流れる電流量が増加するようになり、補助コンデンサ30の充電が緩やかになって電圧V30の上昇が緩やかになる。後者の経路に流れる電流は、期間t6と同様に、電流Id20の波形に現れる正の電流であり、電流量が期間t6よりも多くなり、寄生コンデンサ20cが充電されて電圧Vds20が急峻に低下する。
【0043】
また、電圧Vds20が低下すると、充電抵抗36を通じて十分な電流が平滑コンデンサ38及びツェナダイオード40に流れ、電圧V38がツェナ電圧Vz40に保持される。期間t7は、電圧Vds20がゼロボルトまで低下し、主スイッチング素子20の寄生ダイオード20bが導通し始めた時に終了する。寄生ダイオード20bが導通し始めるのは、主スイッチング素子20がオンの期間(期間t8,t9,t1)に出力インダクタ22に蓄えられた励磁エネルギーが全て放出されたタイミングである。また、補助コンデンサ30の電圧V30はV30pまで上昇しており、「Vgs32=V38―V30=Vz40−V30p<Vth32」の関係が成立している。
【0044】
期間t8は、寄生ダイオード20bが導通することによって主スイッチング素子20がオンし、
図3、
図7(b)に示すように、電流I22が、出力インダクタ22、入力電源18、寄生ダイオード20bを通る経路に流れ、出力インダクタ22が励磁される。この経路は非常にインピーダンスが低いので、電流I22は、期間t7における出力インダクタ22、入力電源18、出力コンデンサ26、寄生コンデンサ32c、補助コンデンサ30の経路には分流しなくなり、補助コンデンサ20の電圧V30は、期間t7の終了時のV30pに保持される。平滑コンデンサ38の電圧V38は、期間t7と同様にツェナ電圧Vz40に保持される。期間t8は、制御回路16の制御により、主スイッチング素子20のFET20aがオンに転じた時に終了する。
【0045】
期間t9は、
図3、
図8に示すように動作する。期間t8との違いは、寄生ダイオード20bに流れていた電流がFET20aに流れるようになるという点であるが、寄生ダイオード20bとFET20aは共にインピーダンスが低い素子なので、各部の波形に大きな変化は現れない。また、期間t9と期間t1を比べると電流I22,Id20の波形が負か正かという違いがあるが、期間t9の実質的な動作は期間t1と同様である。
【0046】
ここで特徴的なのは、FET20aが、電圧Vds20がほぼゼロボルトの時にオフからオンに反転する点であり、いわゆるZVSにより主スイッチング素子20のクロス損失が小さく抑えられるという効果が得られる。期間t9は、電流I22,Id20が負から正方向に切り替わったタイミングで終了し、その後、上述した期間t1〜t9の動作を繰り返す。
【0047】
上述した一連の動作の中で、期間t6は、補助コンデンサ30が充電されて電圧V30が上昇し、「V30≧V38−Vth32」になるまでの期間であり、例えば、補助コンデンサ30の容量を大きくすることによって、期間t6の時間を長くすることができる。期間t6の時間を長くすると、出力電流Ioが小さい時にスイッチング周波数が高くなり過ぎるのを防止することができ、半導体のクロス損失の増大を抑制できる等の利点がある。しかし、期間t6の時間を長くし過ぎると、電流I22の波形に現れる負の電流(入力への回生電流)が大きくなって、負荷28への電力供給に関係ない損失が増加する可能性があるので注意が必要である。したがって、補助コンデンサ30の容量は、電流I22の波形に現れる負の電流のピーク値が、正の電流(出力電力となる電流)のピーク値の1/10〜1/3程度になるように設定するのが好ましい。
【0048】
また、期間t4の開始時に補助スイッチング素子32のFET32aをZVSさせるためには、期間t1が終了した後、補助コンデンサ30の電圧V30が低下して「V30≦V38−Vth32」になるまで、所定の時間を設ける必要がある(期間t2,t3の時間)。期間t2,t3の時間は、例えば、期間t7における電圧V30の上昇幅を大きくすることによって長くすることができる。期間t7は、
図7(a)に示すように、出力インダクタ22の電流I22が2つの経路に分流する期間であり、電圧V30の上昇幅は、補助コンデンサ30を充電する経路の電流量の多い少ないによって決まる。電流I22の分流比は、2つの経路のインピーダンスの比、つまり補助スイッチング素子32の寄生コンデンサ32cと主スイッチング素子20の寄生コンデンサ20cの容量比によってほぼ決まるので、期間t7における電圧V30の上昇分を大きくしたいときは、寄生コンデンサ32cの容量が大きい補助スイッチング素子32を選択することが好ましい。補助スイッチング素子32を変更できないときは、寄生コンデンサ32cと並列の位置に付加コンデンサを接続して容量比を調節してもよい。
【0049】
また、
図3では、主スイッチング素子20の寄生ダイオード20bが導通して電圧Vds20がほぼゼロボルトになり(期間t8)、その後、FET20aがオンする(期間t9)という動作を行い、主スイッチング素子20のZVSを実現している。しかし、FET20aがオンするタイミングは、寄生ダイオード20bが導通する前でもよく、電圧Vds20が一定以下の低い電圧になったタイミングでオンするように設定すれば、主スイッチング素子20のクロス損失を小さく抑えることができる。同様に、
図3では、補助スイッチング素子32の寄生ダイオード32bが導通して電圧Vds32がほぼゼロボルトになり(期間t3)、その後、FET32aがオンする(期間t4)という動作を行い、補助スイッチング素子32のZVSを実現している。しかし、FET32aがオンするタイミングは、寄生ダイオード32bが導通する前でもよく、電圧Vds32が一定以下の低い電圧になったタイミングでオンするように設定すれば、補助スイッチング素子32のクロス損失を小さく抑えることができる。
【0050】
また、補助スイッチング素子32は、寄生ダイオード32bの順方向電圧が大きい場合、期間t3に電流が流れて導通損失が発生し、小型パッケージの部品を使用すると発熱が大きくなるので、例えば、寄生ダイオード32bと並列の位置に順方向電圧の小さい付加ダイオードを接続し、MOS型FETと付加ダイオードを組み合わせて補助スイッチング素子32としてもよい。
【0051】
以上説明したように、スイッチング電源装置10は、いわゆる臨界モードで動作するので、出力ダイオード24のリカバリ動作に起因するクロス損失やスイッチングノイズ等(電磁波ノイズ、電圧サージやリンギング等)がほとんど発生しない。また、独特なスナバ回路12を備えているので、主スイッチング素子20がターンオフする時のスイッチングノイズ等を小さく抑えることができる。また、主スイッチング素子20と補助スイッチング素子32がZVSしているので、各スイッチング素子20、32がターンオンする時にクロス損失やスイッチングノイズ等がほとんど発生しない。
【0052】
また、スナバ回路12は構成が非常にシンプルなので、スナバ回路12の実装スペースやコストの増加は最小限に抑えられる。さらに、上述した低ノイズ化、低損失化の効果により、ノイズフィルタやパワー半導体の放熱器を小さくできるので、装置全体の大幅な小型化と低コスト化が可能になる。
【0053】
次に、スイッチング電源装置10のスナバ回路12の一変形例について、
図9に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この変形例のスナバ回路42は、
図2(a)に示すスナバ回路12の構成に加え、直流バイアス回路34の出力と補助スイッチング素子32のゲートとの間に、カソードが直流バイアス回路34の側に配された引き抜きダイオード44とゲート抵抗46との並列回路が挿入されている。ゲート抵抗46は、補助スイッチング素子32のゲートに流入する電流(ゲート・ソース間の寄生コンデンサ32dを充電する電流)を制限し、FET32aがオフからオンに反転するタイミングを遅延させる働きをする。引き抜きダイオード44は、補助スイッチング素子32のゲートから流出する電流(寄生コンデンサ32dを放電する電流)がゲート抵抗46によって制限されるのを防止し、FET32aがオンからオフに反転するタイミングが遅延しないようにする働きをする。ゲート抵抗46を設けることによって、寄生ダイオード32bが導通した後でFET32aをオンさせるよう設定するのが容易になり、補助スイッチング素子32のZVSをより確実に実現することができる(
図3の期間t3,t4)。
【0054】
次に、スイッチング電源装置10の直流バイアス回路34の変形例について、
図10、
図11に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
第一の変形例の直流バイアス回路48は、
図10(a)に示すように、
図2(a)に示す直流バイアス回路34の構成に加え、充電抵抗36と直列の位置に、平滑コンデンサ38からの放電電流を阻止する放電阻止ダイオード50が挿入されている。放電阻止ダイオード50を設けることによって、期間t3〜t7の期間における電圧V38の低下幅を小さくすることができ、補助スイッチング素子32のFET32aがオン・オフするタイミングの設定が容易になる。
【0056】
第二の変形例の直流バイアス回路52は、
図10(b)に示すように、補助スイッチング素子32のドレインに一端が接続されたカップリングコンデンサ54と、カップリングコンデンサ54の他端にカソードが接続され、出力ダイオード24のアノードにアノードが接続されたツェナダイオード40とを備え、さらに、ツェナダイオード40のカソードにアノードが接続された逆流防止ダイオード56と、逆流防止ダイオード56のカソードと出力ダイオード24のアノードとの間に接続された平滑コンデンサ38とを備えている。直流バイアス回路52は、特に出力ダイオード24の両端に発生する逆電圧が非常に高い場合に好適であり、上記の直流バイアス回路34,48の場合は充電抵抗36にある程度の損失が発生するところ、直流バイアス回路52の場合、損失を小さくできるという利点がある。
【0057】
第三の変形例の直流バイアス回路58は、
図11(a)に示すように、直流バイアス回路48の充電抵抗36及び放電阻止ダイオード50の直列回路の一端を、補助スイッチング素子32のドレインではなくソースに接続し、さらに、補助スイッチング素子32のドレインとツェナダイオード40のカソードとの間に起動用抵抗60を設けた構成になっている。起動用抵抗60は、入力電源18を投入したとき、補助スイッチング素子32を最初にオンさせるための抵抗であり、直流バイアス回路48の充電抵抗36とは役割が異なる。したがって、起動用抵抗60は、抵抗値を非常に大きくすることが可能であり、起動用抵抗60に発生する損失を低減できるという利点がある。補助スイッチング素子32が最初にオンした後は、平滑コンデンサ38は充電抵抗36を通じて充電され、起動用抵抗60に関係なく、必要な電圧V38が確保される。充電抵抗36の両端電圧は一定以下の低い電圧しか発生しないので、損失は非常に小さい。
【0058】
第四の変形例の直流バイアス回路102は、第一の変形例の直流バイアス回路48の一部の構成を変更したものであり、
図11(a)に示すように、補助スイッチング素子32のドレインに一端が接続されたコンデンサ104と、コンデンサ104の他端にカソードが接続され、補助スイッチング素子32のソースにアノードが接続されたツェナダイオード106とが設けられ、放電阻止ダイオード50のアノードがコンデンサ104とツェナダイオード106との接続点に接続され、放電阻止ダイオード50のカソードがツェナダイオード40のカソードに接続され、充電抵抗36が省略されている。コンデンサ104の容量は、補助コンデンサ30と平滑コンデンサ38よりも十分小さい。
【0059】
直流バイアス回路102は、特に、出力ダイオード24の両端に発生する逆電圧が非常に高い場合(例えば、数百ボルトの場合)に好適である。上記の直流バイアス回路48の場合、充電抵抗36や逆流阻止ダイオード50の両端に高い電圧が発生するので、充電抵抗36に一定の損失が発生するという問題や、小型で高耐圧のダイオード素子が入手しにくい等の問題が考えられる。これに対して、直流バイアス回路102の場合、放電阻止ダイオード50の両端に低い電圧(ツェナダイオード106のツェナ電圧に近い電圧)しか発生しないので、入手しやすい小型で低耐圧のダイオード素子を使用でき、充電抵抗36も不要になるので損失も抑えられるという利点がある。
【0060】
なお、
図10(b)に示す直流バイアス回路52、
図11(b)に示す直流バイアス回路102は、内部の各コンデンサにサージ電流が繰り返し流れる可能性があるので、サージ電流のピーク値を抑えるため、抵抗値の小さい抵抗素子を適宜の位置に挿入することが好ましい。
【0061】
次に、本発明のスイッチング電源装置の他の実施形態について、
図12〜
図19に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。第二の実施形態のスイッチング電源装置62は、
図12に示すように、降圧チョッパ型の電力変換回路64を備え、出力ダイオード24の両端にスナバ回路12が設けられている。制御回路16が臨界モードの制御を行う点は同様である。 上述した昇圧チョッパ型の電力変換回路14の場合、主スイッチング素子20がオンの期間、入力電源18から出力への電力供給を行わずに入力電源18により出力インダクタ22を励磁し、主スイッチング素子20がオフの期間、出力インダクタ22に蓄えた励磁エネルギーを出力に放出して負荷28への電力供給を行う。これに対して、降圧チョッパ型の電力変換回路64は、主スイッチング素子20がオンの期間、入力電源18から負荷28への電力供給を行うと共に入力電源18により出力インダクタ22を励磁し、主スイッチング素子20がオフの期間、出力インダクタ22に蓄えた励磁エネルギーを出力に放出して負荷28への電力供給を行う動作上の違いがある。
【0062】
しかしながら、降圧チョッパ型のスイッチング電源装置62も、制御回路16が臨界モードの制御を行い、スナバ回路12が動作することによって、スイッチング電源装置10と同様の優れた効果が得られる。
【0063】
第三の実施形態のスイッチング電源装置66は、
図13に示すように、昇降圧チョッパ型の電力変換回路68を備え、出力ダイオード24の両端に上記のスナバ回路12が設けられている。制御回路16が臨界モードの制御を行う点は同様である。
【0064】
昇降圧チョッパ型の電力変換回路68は、上述した昇圧チョッパ型の電力変換回路14と同様に、主スイッチング素子20がオンの期間、入力電源18から出力への電力供給を行わずに入力電源18により出力インダクタ22を励磁し、主スイッチング素子20がオフの期間、出力インダクタ22に蓄えた励磁エネルギーを出力に放出して負荷28への電力供給を行う。昇降圧チョッパ型のスイッチング電源装置66も、制御回路16が臨界モードの制御を行い、スナバ回路12が動作することによって、スイッチング電源装置10等と同様の優れた効果が得られる。
【0065】
第四の実施形態のスイッチング電源装置70は、
図14に示すように、Hブリッジコンバータと呼ばれる昇降圧チョッパ型の電力変換回路72を備えている。電力変換回路72は、互いに同位相でオン・オフする2つの主スイッチング素子20(1),20(2)と、互いに同位相で導通・非導通となる2つの出力ダイオード24(1),24(2)を有し、出力インダクタ22を中央に配置してブリッジ状に接続されている。そして、出力ダイオード24(1),24(2)の両端に、上記と同様のスナバ回路12(1),12(2)が設けられている。制御回路16が臨界モードの制御を行う点は同様である。
【0066】
昇降圧チョッパ型の電力変換回路72は、上述した昇降圧チョッパ型の電力変換回路68と同様に、主スイッチング素子20がオンの期間、入力電源18から出力への電力供給を行わずに入力電源18により出力インダクタ22を励磁し、主スイッチング素子20がオフの期間、出力インダクタ22に蓄えた励磁エネルギーを出力に放出して負荷28への電力供給を行う。電力変換回路72の場合、電力変換回路68とは異なり、入力電圧Viと出力電圧Voのグランドを同電位にできる等の特徴がある。
【0067】
昇降圧チョッパ型のスイッチング電源装置70も、制御回路16が臨界モードの制御を行い、スナバ回路12(1),12(2)が動作することによって、スイッチング電源装置10等と同様の優れた効果が得られる。
【0068】
第五の実施形態のスイッチング電源装置74は、
図15に示すように、フライバックコンバータと呼ばれる絶縁型の電力変換回路76を備え、出力ダイオード24の両端に上記のスナバ回路12が設けられている。電力変換回路76は、互いに磁気結合した2つの巻線22(1),22(2)を有するトランスが出力インダクタ22となる。制御回路16が臨界モードの制御を行う点は同様である。
【0069】
絶縁型の電力変換回路76は、上述した昇圧チョッパ型の電力変換回路14と同様に、主スイッチング素子20がオンの期間、入力電源18から出力への電力供給を行わずに入力電源18により出力インダクタ22を励磁し、主スイッチング素子20がオフの期間、出力インダクタ22に蓄えた励磁エネルギーを出力に放出して負荷28への電力供給を行う。電力変換回路76の場合は、出力インダクタ22を励磁する動作が巻線22(1)を通じて行われ、励磁エネルギ―を放出する動作が巻線22(2)を通じて行われるという特徴がある。
【0070】
スイッチング電源装置74も、制御回路16が臨界モードの制御を行い、スナバ回路12が動作することによって、スイッチング電源装置10等と同様の優れた効果が得られる。
【0071】
第六の実施形態のスイッチング電源装置78は、
図16(a)に示すように、昇圧チョッパ型の電力変換回路14を備え、出力ダイオード24の両端に新規なスナバ回路80が設けられている。制御回路16が臨界モードの制御を行う点は同様である。
【0072】
スナバ回路80は、補助コンデンサ30、補助スイッチング素子82、及び直流バイアス回路84で構成されている。補助コンデンサ30は、出力ダイオード24のカソードに一端が接続されている。補助スイッチング素子82は、PチャネルのMOS型FETであり、補助コンデンサ30の他端にソースが接続され、出力ダイオード24のアノードにドレインが接続されている。直流バイアス回路84は、補助スイッチング素子82のゲートと出力ダイオード24のカソードの間を、所定の直流電圧で負方向にバイアスする回路である。
【0073】
直流バイアス回路84の内部構成は、
図16(b)に示すように、補助スイッチング素子82のドレインに一端が接続された充電抵抗36と、充電抵抗36の他端と出力ダイオード24のカソードとの間に接続された平滑コンデンサ38と、充電抵抗36の他端にアノードが接続され、出力ダイオード24のカソードにカソードが接続されたツェナダイオード40(ツェナ電圧Vz40)とが設けられている。直流バイアス回路84は、出力ダイオード24の両端のパルス電圧を充電抵抗36及び平滑コンデンサ38で略平均化する動作を行い、平滑コンデンサ38の両端に、ツェナ電圧Vz40で規定されるほぼ直流の電圧V38(負の電圧)を発生させ、補助スイッチング素子32のゲートと出力ダイオード24のカソードとの間をバイアスする。
【0074】
スナバ回路80は、NチャネルのMOS型FETを用いたスナバ回路12のコンプリメンタリ回路であり、基本な動作は同様である。したがって、スイッチング電源装置78も、制御回路16が臨界モードの制御を行い、スナバ回路80が動作することによって、スイッチング電源装置10等と同様の優れた効果が得られる。
【0075】
図17は、スナバ回路80の一変形例を示している。この変形例のスナバ回路86は、直流バイアス回路84の出力と補助スイッチング素子82のゲートとの間に、アノードが直流バイアス回路84の側に配された引き抜きダイオード44とゲート抵抗46との並列回路が挿入されている。このスナバ回路86は、
図9に示すスナバ回路42のコンプリメンタリ回路であり、同様の作用効果が得られるものである。
【0076】
図18(a)は、直流バイアス回路84の第一の変形例を示している。第一の変形例の直流バイアス回路88は、直流バイアス回路84の構成に加え、充電抵抗36と直列の位置に、平滑コンデンサ38からの放電電流を阻止する放電阻止ダイオード50が挿入されている。この直流バイアス回路88は、
図10(a)に示す直流バイアス回路48のコンプリメンタリ回路であり、同様の作用効果が得られるものである。
【0077】
図18(b)は、直流バイアス回路84の第二の変形例を示している。第二の変形例の直流バイアス回路90は、補助スイッチング素子82のドレインに一端が接続されたカップリングコンデンサ54と、カップリングコンデンサ54の他端にアノードが接続され、出力ダイオード24のカソードにカソードが接続されたツェナダイオード40とを備え、さらに、ツェナダイオード40のアノードにカソードが接続された逆流防止ダイオード56と、逆流防止ダイオード56のアノードと出力ダイオード24のカソードとの間に接続された平滑コンデンサ38とを備えている。この直流バイアス回路90は、
図10(b)に示す直流バイアス回路52のコンプリメンタリ回路であり、同様の作用効果が得られるものである。
【0078】
さらに、
図19は、直流バイアス回路84の第三の変形例を示している。第三の変形例の直流バイアス回路92は、直流バイアス回路88の充電抵抗36及び放電阻止ダイオード50の直列回路の一端を、補助スイッチング素子82のドレインではなくソースに接続し、さらに、補助スイッチング素子82のドレインとツェナダイオード40のアノードとの間に起動用抵抗60を設けた構成になっている。この直流バイアス回路92は、
図11に示す直流バイアス回路58のコンプリメンタリ回路であり、同様の作用効果が得られるものである。
【0079】
なお、本発明のスイッチング電源装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電力変換回路は、所定の主スイッチング素子、出力ダイオード、及び出力インダクタを備え、制御回路が臨界モードの制御を行うことができるよう構成された回路であればよく、上記実施形態の電力変換回路以外の構成にしてもよい。
【0080】
主スイッチング素子はMOS型FETが好適であるが、双方向に導通可能な他のトランジスタ素子を使用してもよい。バイポーラトランジスタのように一方向にしか導通しない素子を用いる場合は、逆方向に電流を流すための並列ダイオードと組み合わせて1つの主スイッチング素子とすることができる。
【0081】
スナバ回路の補助スイッチング素子は、N又はPチャネルのMOS型FETが好適であるが、条件が合えば、バイポーラトランジスタ、IGBT、SCR等の他の半導体を使用して同様の動作を実現することができる。例えば、
図20に示すように、NPN型のバイポーラトランジスタ94、ダイオード96、ベース抵抗98、補助コンデンサ30、直流バイアス回路34を組み合わせたスナバ回路100により、スナバ回路12と同様の動作を実現できる。ただ、スナバ回路100の場合、スナバ回路12よりも部品点数が増加し、また、バイポーラトランジスタ94に特有の課題(例えば、スイッチング周波数が非常に高い場合、バイポーラトランジスタ94を適切なタイミングで高速にターンオフさせるのが容易ではないこと等)が想定されるので、各素子の定数を設定する際に注意が必要である。その他の半導体を使用した場合も、同様の注意が必要である。
【0082】
スナバ回路に設けられる直流バイアス回路は、上述した平滑コンデンサ38の電圧V38に対応する所定の直流電圧を発生する回路であればよく、上記実施形態及び変形例の構成以外の構成に変更することができる。例えば、何らかの目的で出力インダクタに別巻線が設けられている場合、その別巻線に発生する電圧を整流平滑することによって、電圧V38に対応する直流電圧を生成する構成にすることができる。また、昇圧チョッパのように主スイッチング素子がローサイド側で補助スイッチング素子がハイサイド側に設けられている場合、主スイッチング素子を駆動するIC等に供給される直流電圧を、ダイオードとコンデンサ等を用いてブートストラップすることにより、電圧V38に対応する直流電圧を生成してもよい。