【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、主軸に装着した工具を回転させて被加工物を加工すると共に、サーボモータを用いて負荷を所定の直線軸方向へ駆動させる送り軸機構を備えた工作機械に設けられ、前記送り軸機構の可動部の位置を位置検出器により検出し、上位装置からの送り軸の位置指令値に従って前記可動部の位置を制御する送り軸の位置制御装置であって、
前記位置指令値と前記位置検出器からの位置検出値との偏差を増幅する速度指令演算器と、
前記位置指令値を微分して得られる速度フィードフォワードと前記速度指令演算器の出力とを加算して速度指令値を出力する第1の加算器と、
前記速度指令値と、前記可動部の速度を速度検出器により検出、あるいは、前記位置検出値を微分して得た速度検出値との偏差を増幅してフィードバックトルクを出力するトルク指令演算器と、
前記速度フィードフォワードを微分し、前記可動部のモータ軸換算イナーシャを乗じて得られるトルクフィードフォワードと前記フィードバックトルクとを加算してトルク指令値を出力する第2の加算器と、
前記トルク指令値に応じて前記サーボモータを駆動する駆動手段と、
前記位置指令値と前記位置検出器からの位置検出値との偏差を参照信号とし、前記上位装置から得られる前記主軸の回転角度情報と前記参照信号とから位置補正量を算出する振れ量補正器と、
前記位置補正量を前記位置指令値に重畳し、前記位置指令値を補正する第3の加算器と、を備え、
前記振れ量補正器は、前記参照信号から前記工具の切れ刃の振れ量を推定し、前記参照信号に現れる各前記切れ刃の影響が平準化されるように前記位置補正量を算出することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、主軸に装着した工具を回転させて被加工物を加工すると共に、サーボモータを用いて負荷を所定の直線軸方向へ駆動させる送り軸機構を備えた工作機械に設けられ、前記送り軸機構の可動部の位置を位置検出器により検出し、上位装置からの送り軸の位置指令値に従って前記可動部の位置を制御する送り軸の位置制御装置であって、
前記位置指令値と前記位置検出器からの位置検出値との偏差を増幅する速度指令演算器と、
前記位置指令値を微分して得られる速度フィードフォワードと前記速度指令演算器の出力とを加算して速度指令値を出力する第1の加算器と、
前記速度指令値と、前記可動部の速度を速度検出器により検出、あるいは、前記位置検出値を微分して得た速度検出値との偏差を増幅してフィードバックトルクを出力するトルク指令演算器と、
前記速度フィードフォワードを微分し、前記可動部のモータ軸換算イナーシャを乗じて得られるトルクフィードフォワードと前記フィードバックトルクとを加算してトルク指令値を出力する第2の加算器と、
前記トルク指令値に応じて前記サーボモータを駆動する駆動手段と、
前記フィードバックトルクを参照信号とし、前記上位装置から得られる前記主軸の回転角度情報と前記参照信号とから位置補正量を算出する振れ量補正器と、
前記位置補正量を前記位置指令値に重畳し、前記位置指令値を補正する第3の加算器と、を備え、
前記振れ量補正器は、前記参照信号から前記工具の切れ刃の振れ量を推定し、前記参照信号に現れる各前記切れ刃の影響が平準化されるように前記位置補正量を算出することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、主軸に装着した工具を回転させて被加工物を加工すると共に、サーボモータを用いて負荷を所定の直線軸方向へ駆動させる送り軸機構を備えた工作機械に設けられ、前記送り軸機構の可動部の位置を位置検出器により検出し、上位装置からの送り軸の位置指令値に従って前記可動部の位置を制御する送り軸の位置制御装置であって、
前記位置指令値と前記位置検出器からの位置検出値との偏差を増幅する速度指令演算器と、
前記位置指令値を微分して得られる速度フィードフォワードと前記速度指令演算器の出力とを加算して速度指令値を出力する第1の加算器と、
前記速度指令値と、前記可動部の速度を速度検出器により検出、あるいは、前記位置検出値を微分して得た速度検出値との偏差を増幅してフィードバックトルクを出力するトルク指令演算器と、
前記速度フィードフォワードを微分し、前記可動部のモータ軸換算イナーシャを乗じて得られるトルクフィードフォワードと前記フィードバックトルクとを加算してトルク指令値を出力する第2の加算器と、
前記トルク指令値に応じて前記サーボモータを駆動する駆動手段と、
前記速度検出値に、前記サーボモータ及び前記負荷からなる前記送り軸機構のノミナル値の逆特性を乗じて得た値と前記トルク指令値との差分をローパスフィルタに入力し、外乱推定値を得る外乱オブザーバと、
前記外乱推定値を参照信号とし、前記上位装置から得られる前記主軸の回転角度情報と、前記参照信号とから位置補正量を算出する振れ量補正器と、
前記位置補正量を前記位置指令値に重畳し、前記位置指令値を補正する第3の加算器と、を備え、
前記振れ量補正器は、前記参照信号から前記工具の切れ刃の振れ量を推定し、前記参照信号に現れる各前記切れ刃の影響が平準化されるように前記位置補正量を算出することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、前記振れ量補正器は、前記参照信号に各前記切れ刃の影響で現れる波形のピークを各前記切れ刃と対応付けて検出するピーク検出部と、
前記ピーク検出部で検出した前記参照信号の各前記切れ刃に対するピーク値から各前記切れ刃の加工代の増減分を推定する増減分推定部と、
前記増減分推定部で推定した各前記切れ刃の加工代の増減分から各前記切れ刃の振れ量を推定する振れ量推定部と、
各前記切れ刃が前記被加工物を加工するタイミングで、前記振れ量推定部で推定した各前記切れ刃の振れ量に基づいた補正量が印加されるよう前記位置補正量を決定する補正量決定部と、を備えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、前記工作機械は、第1軸と当該第1軸とは別に設置された第2軸とに係る2つの前記送り軸機構を少なくとも備え、
前記振れ量補正器は、
前記第1軸に係る前記参照信号に各前記切れ刃の影響で現れる波形のピークを各前記切れ刃と対応付けて検出するピーク検出部と、
前記ピーク検出部で検出した前記参照信号の各前記切れ刃に対するピーク値から各前記切れ刃の加工代の増減分を推定する増減分推定部と、
前記増減分推定部で推定した各前記切れ刃の加工代の増減分から各前記切れ刃の振れ量を推定する振れ量推定部と、
各前記切れ刃が前記被加工物を加工するタイミングで、前記振れ量推定部で推定した各前記切れ刃の振れ量に基づいた補正量が印加されるよう前記第2軸に係る前記位置補正量を決定する補正量決定部と、を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、前記工作機械は、複数の送り軸に係る前記送り軸機構をそれぞれ備え、
前記振れ量補正器は、
前記参照信号に各前記切れ刃の影響で現れる波形のピークを各前記切れ刃と対応付けて検出するピーク検出部と、
前記ピーク検出部で検出した前記参照信号の各前記切れ刃に対するピーク値から各前記切れ刃の加工代の増減分を推定する増減分推定部と、
前記増減分推定部で推定した各前記切れ刃の加工代の増減分から各前記切れ刃の振れ量を推定する振れ量推定部と、
各前記切れ刃が前記被加工物を加工するタイミングで、前記振れ量推定部で推定した各前記切れ刃の振れ量に基づいた補正量が印加されるよう各前記送り軸ごとの前記位置補正量を決定する補正量決定部と、を備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、前記工作機械は、第1軸と当該第1軸とは別に設置された第2軸とに係る2つの前記送り軸機構を少なくとも備え、
前記振れ量補正器は、
前記第1軸に係る前記参照信号と前記第2軸に係る参照信号とを合成して得られる合成信号に各前記切れ刃の影響で現れる波形のピークを各前記切れ刃と対応付けて検出するピーク検出部と、
前記ピーク検出部で検出した前記合成信号の各前記切れ刃に対するピーク値から各前記切れ刃の加工代の増減分を推定する増減分推定部と、
前記増減分推定部で推定した各前記切れ刃の加工代の増減分から各前記切れ刃の振れ量を推定する振れ量推定部と、
各前記切れ刃が前記被加工物を加工するタイミングで、前記振れ量推定部で推定した各前記切れ刃の振れ量に基づいた補正量が印加されるよう各軸ごとの前記位置補正量を決定する補正量決定部と、を備えることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6の構成において、前記工作機械は、上位装置からの主軸速度指令値に従って前記主軸の回転速度を制御する主軸制御装置を備え、
前記主軸制御装置は、
前記主軸速度指令値と、前記主軸に取り付けられた主軸速度検出器により検出された主軸速度検出値、或いは前記主軸に取り付けられた主軸位置検出器により検出される主軸位置検出値を微分して得た主軸速度検出値との偏差を増幅して主軸トルク指令値を出力するトルク指令演算器と、
前記主軸トルク指令値に応じて主軸モータを駆動する駆動手段と、を備え、
前記振れ量補正器は、
前記主軸制御装置から得られる前記主軸トルク指令値を前記参照信号とすることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項6の構成において、前記工作機械は、上位装置からの主軸速度指令値に従って前記主軸の回転速度を制御する主軸制御装置を備え、
前記主軸制御装置は、
前記主軸速度指令値と、前記主軸に取り付けられた主軸速度検出器により検出された主軸速度検出値、或いは前記主軸に取り付けられた主軸位置検出器により検出される主軸位置検出値を微分して得た主軸速度検出値との偏差を増幅して主軸フィードバックトルクを出力するトルク指令演算器と、
前記主軸速度指令値を微分し、前記主軸の可動部のモータ軸換算イナーシャを乗じて得られる主軸トルクフィードフォワードと前記主軸フィードバックトルクとを加算して主軸トルク指令値を出力する加算器と、
前記主軸トルク指令値に応じて主軸モータを駆動する駆動手段と、を備え、
前記振れ量補正器は、
前記主軸制御装置から得られる前記主軸フィードバックトルクを前記参照信号とすることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項6の構成において、前記工作機械は、上位装置からの主軸速度指令値に従って前記主軸の回転速度を制御する主軸制御装置を備え、
前記主軸制御装置は、
前記主軸速度指令値と、前記主軸に取り付けられた主軸速度検出器により検出された主軸速度検出値、或いは前記主軸に取り付けられた主軸位置検出器により検出される主軸位置検出値を微分して得た主軸速度検出値との偏差を増幅して主軸フィードバックトルクを出力するトルク指令演算器と、
前記主軸速度指令値を微分し、前記主軸の可動部のモータ軸換算イナーシャを乗じて得られる主軸トルクフィードフォワードと前記主軸フィードバックトルクとを加算して主軸トルク指令値を出力する加算器と、
前記主軸トルク指令値に応じて主軸モータを駆動する駆動手段と、
前記主軸速度検出値に、前記主軸モータのノミナル値の逆特性を乗じて得た値と前記主軸トルク指令値との差分をローパスフィルタに入力し、主軸外乱推定値を得る外乱オブザーバと、を備え、
前記振れ量補正器は、
前記主軸制御装置から得られる前記主軸外乱推定値を前記参照信号とすることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10の何れかの構成において、前記位置補正量の大きさが予め設定された前記切れ刃の振れ量のアラーム検出レベルを超えたことを報知する報知手段を設けるか、或いは前記位置補正量を画面出力部に表示するかしてオペレータに注意喚起することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項4乃至7の何れかの構成において、前記振れ量補正器は、前記参照信号に各前記切れ刃の影響で現れる波形のピークによって形成されるピーク間の極小値を監視し、前記ピーク間の極小値が予め設定された推定許可レベル範囲内の場合に前記振れ量推定部で各前記切れ刃の振れ量を推定し、前記ピーク間の極小値が前記推定許可レベルの範囲外の場合は直前の各前記切れ刃の振れ量の推定値を前記振れ量推定部の出力とすることを特徴とする。