(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366581
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】改変されたアデノ随伴ウイルスベクター組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20180730BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20180730BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
C12N15/11 ZZNA
C12N15/864 100Z
C12N7/01
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-520166(P2015-520166)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公表番号】特表2015-522280(P2015-522280A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】US2013031644
(87)【国際公開番号】WO2014007858
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】61/668,839
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511293663
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ アイオワ リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デイビッドソン, ビバリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】シェール, マリア
(72)【発明者】
【氏名】ボードロー, ライアン
(72)【発明者】
【氏名】モンテイス, アレハンドロ マス
【審査官】
西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
GRIMM, D. et al.,"Adeno-associated virus vectors for short hairpin RNA expression",Methods Enzymol.,2005年,Vol. 392,pp. 381-405
【文献】
Homo sapiens Chromosome 4p16.3 BAC clone 399e10 containing Huntington's Disease gene; exons 1-67, complete sequence, Database GenBank [online], 21-NOV-1998 uploaded, [retrieved on 2017-01-05], Accession No. AC005516.1,URL,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/AC005516
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12N 1/00−7/08
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素であって、配列番号1または配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する3300〜4200ヌクレオチドの長さの核酸からなり、該AAVフィラー構成要素は、エンハンサー、プロモーター、スプライシング制御因子、非コードRNA、アンチセンス配列、またはコード配列を欠き、該AAVフィラー構成要素が、発現カセットを含むベクター中にあるとき、該AAVフィラー構成要素は、該発現カセットに活性を与えない、AAVフィラー構成要素。
【請求項2】
アデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素であって、配列番号1または配列番号2に対して少なくとも98%の同一性を有する3300〜4200ヌクレオチドの長さの核酸からなり、該AAVフィラー構成要素は、エンハンサー、プロモーター、スプライシング制御因子、非コードRNA、アンチセンス配列、またはコード配列を欠き、該AAVフィラー構成要素が、発現カセットを含むベクター中にあるとき、該AAVフィラー構成要素は、該発現カセットに活性を与えない、AAVフィラー構成要素。
【請求項3】
前記核酸が3500〜4000ヌクレオチドである、請求項1または請求項2に記載のAAVフィラー構成要素。
【請求項4】
前記核酸が3700〜3850ヌクレオチドである、請求項1または請求項2に記載のAAVフィラー構成要素。
【請求項5】
前記核酸が、配列番号1または配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項1に記載のAAVフィラー構成要素。
【請求項6】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィラー構成要素および発現カセットを含む、AAVベクター。
【請求項7】
前記発現カセットがプロモーターを含む、請求項6に記載のAAVベクター。
【請求項8】
前記プロモーターがpol IIIプロモーターである、請求項7に記載のAAVベクター。
【請求項9】
前記プロモーターがmU6プロモーターである、請求項8に記載のAAVベクター。
【請求項10】
対象のヌクレオチド配列をさらに含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載のAAVベクター。
【請求項11】
前記対象のヌクレオチド配列がRNAi分子をコードする、請求項10に記載のAAVベクター。
【請求項12】
前記AAVベクターが、5’および3’の機能的な逆方向末端反復配列(ITR)を有する、請求項6〜11のいずれか一項に記載のAAVベクター。
【請求項13】
前記ITRが、AAV−1 ITR、AAV−2 ITR、AAV−3 ITR、AAV−4 ITR、AAV−5 ITR、またはAAV−7 ITR;AAV−1 ITR、AAV−2 ITR、AAV−3 ITR、AAV−4 ITR、AAV−5 ITR、またはAAV−7 ITRの組み合わせ;あるいは、変化したAAV−1 ITR、変化したAAV−2 ITR、変化したAAV−3 ITR、変化したAAV−4 ITR、変化したAAV−5 ITR、または変化したAAV−7 ITRである、請求項12に記載のAAVベクター。
【請求項14】
前記RNAi分子がsiRNAまたはshRNAである、請求項11〜13のいずれか一項に記載のAAVベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2012年7月6日に出願された米国特許出願第61/668,839号の優先権の利益を主張する。米国特許出願第61/668,839号は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
配列表
本出願は、配列表を含み、それはEFS−WebによってASCIIフォーマットで提出され、そしてこれによってその全体が参考として援用される。2013年3月14日に作られた、当該ASCIIコピーは、17023.126WO1−SL.txtと名づけられ、そして39,125バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
背景
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルス科の小さい非病原性ウイルスである。AAVは、その複製についてヘルパーウイルスに依存することによって、この科の他のメンバーと異なる。AAVの約5kbのゲノムは、プラス極性またはマイナス極性のいずれかの1本鎖DNAの1つのセグメントからなる。ゲノムの末端は、短い逆方向末端反復配列であり、それはヘアピン構造に折りたたまれてウイルスDNA複製の起点となり得る。物理的に、パルボウイルスビリオンは、無エンベロープであり、そしてその正二十面体(icosohedral)のカプシドは、直径約20nmである。
【0004】
現在までに、多くの血清学的に異なるAAVが同定され、そしてヒトまたは霊長類から単離された。Govindasamyら、「Structurally Mapping the Diverse Phenotype of Adeno−Associated Virus Serotype 4」、J.Vir.、80(23):11556−11570(2006)。例えば、AAV2のゲノムは、長さ4680ヌクレオチドであり、そして2つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。左のORFは、非構造的Repタンパク質、Rep40、Rep52、Rep68、およびRep78をコードし、それは1本鎖の子孫ゲノムの産生に加えて、複製および転写の調節に関与する。Rep68/78はまた、NTP結合活性、ならびにDNAヘリカーゼ活性およびRNAヘリカーゼ活性を有することが示された。Repタンパク質は、核局在化シグナルならびにいくつかの潜在的なリン酸化部位を有する。これらのキナーゼ部位の1つの変異は、複製活性の喪失を引き起こした。
【0005】
ゲノムの末端は、短い逆方向末端反復配列(ITR)であり、それはウイルスDNA複製の起点となるT型ヘアピン構造に折りたたまれる可能性を有する。ITR領域内で、ITRの機能に中心的である2つのエレメントであるGAGCリピートモチーフおよび末端分離部位(terminal resolution site)(trs)が記載された。リピートモチーフは、ITRが直鎖状またはヘアピンコンフォメーションである場合のいずれも、Repに結合することが示された。この結合は、部位および鎖特異的な方式で起こる、trsにおける切断のためにRep68/78を配置するために役立つ。
【0006】
AAVは以下の特徴のために、遺伝子導入のための魅力的なベクターである。AAVベクターは、広い宿主範囲を有する;インビトロおよびインビボにおいて、分裂細胞および非分裂細胞の両方に形質導入し、そして導入遺伝子の高い発現レベルを維持する。ウイルス粒子は熱安定性であり、溶媒、界面活性剤、pH、温度の変化に耐性であり、そしてCsCl勾配で濃縮され得る。AAVは、いかなる病原性イベントにも関係せず、そしてAAVベクターによる形質導入は、細胞増殖または分化に対して、いかなる持続する負の効果も誘発することが見出されていない。ITRは、パッケージングのために必要な唯一のcisエレメントであることが示され、ベクターシステムを作成するためにウイルス遺伝子を完全に抜き取ることを可能にしている。
【0007】
現在、改善されたパッケージングの特徴を有するAAVベクターに対するニーズが存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Govindasamyら、「Structurally Mapping the Diverse Phenotype of Adeno−Associated Virus Serotype4」、J.Vir.、80(23):11556−11570(2006)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施態様において、本発明は、配列番号1または配列番号2と、少なくとも90%の同一性を有する、長さが3300〜4200ヌクレオチドの核酸を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素(filler component)(「スタッファー配列」とも呼ばれる)を提供する。
【0010】
ある実施態様において、本発明は、配列番号1または配列番号2と、少なくとも90%の同一性を有する、長さが3300〜4200ヌクレオチドの核酸からなる、アデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素を提供する。
【0011】
ある実施態様において、本発明は、上記で記載したフィラー構成要素を含むAAVベクターを提供する。
本願は特定の態様において例えば以下の項目を提供する:
(項目1)
アデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素であって、配列番号1または配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する3300〜4200ヌクレオチドの長さの核酸を含む、AAVフィラー構成要素。
(項目2)
アデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素であって、配列番号1または配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する3300〜4200ヌクレオチドの長さの核酸からなる、AAVフィラー構成要素。
(項目3)
前記核酸が3500〜4000ヌクレオチドである、項目1または項目2に記載のAAVフィラー構成要素。
(項目4)
前記核酸が3700〜3850ヌクレオチドである、項目1または項目2に記載のAAVフィラー構成要素。
(項目5)
前記核酸が、配列番号1または配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する、項目1〜4のいずれか一項に記載のAAVフィラー構成要素。
(項目6)
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、発現カセットに作動可能に連結された項目1〜5のいずれか一項に記載のフィラー構成要素を含む、AAVベクター。
(項目7)
前記発現カセットがプロモーターを含む、項目6に記載のAAVベクター。
(項目8)
前記プロモーターがpol IIIプロモーターである、項目7に記載のAAVベクター。
(項目9)
前記プロモーターがmU6プロモーターである、項目8に記載のAAVベクター。
(項目10)
標的配列をさらに含む、項目6〜9のいずれか一項に記載のAAVベクター。
(項目11)
前記標的配列がRNAi分子である、項目10に記載のAAVベクター。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(9110bp)のプラスミドマップである。
【
図2-1】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-2】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-3】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-4】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-5】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-6】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-7】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-8】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-9】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-10】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-11】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-12】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-13】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-14】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図2-15】
図2は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファー(スタッファー#1)の配列である(配列番号3)。
【
図3-1】
図3は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファーの様々な個々の構成要素の配列を提供する(配列番号1、4〜11)。
【
図3-2】
図3は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファーの様々な個々の構成要素の配列を提供する(配列番号1、4〜11)。
【
図3-3】
図3は、5pFBAAVmU6miHDS1スタッファーの様々な個々の構成要素の配列を提供する(配列番号1、4〜11)。
【
図4】
図4は、相対的なHttの発現を示すグラフである。
【
図5】
図5は、5pFBAAVmU6miHDS1−スタッファーのプラスミドマップである。
【
図6-1】
図6は、5pFBAAVmU6miHDS1−スタッファーのプラスミド配列である(配列番号12)。
【
図6-2】
図6は、5pFBAAVmU6miHDS1−スタッファーのプラスミド配列である(配列番号12)。
【
図6-3】
図6は、5pFBAAVmU6miHDS1−スタッファーのプラスミド配列である(配列番号12)。
【
図6-4】
図6は、5pFBAAVmU6miHDS1−スタッファーのプラスミド配列である(配列番号12)。
【
図7-1】
図7は、スタッファー配列(スタッファー#2)を提供する(配列番号2)。
【
図7-2】
図7は、スタッファー配列(スタッファー#2)を提供する(配列番号2)。
【
図8】完全ビリオン対空ビリオンのEM評価。空ビリオンの2つの例を、矢印によって強調する。このプレップは、約4%の空ビリオンしかなく、それはかなり低い。
【
図9】精製ビリオンのカプシド完全性を調査するための銀染色。いくつかの異なるmiRNA発現構築物を、イントロンI/IIスタッファーと共にシャトルベクターへ操作して、野生型ゲノムに近いサイズを産生した。その精製ウイルスは、最適なVP1、VP2、およびVP3タンパク質比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
表1。miR−イントロンI/IIビリオンのパッケージング効率%および混入物%。
【0014】
詳細な説明
AAVベクターおよび発現カセット
本発明のウイルスベクターは、AAVベクターを利用する。「AAV」ベクターは、アデノ随伴ウイルスを指し、そして天然に存在する野生型ウイルス自体またはその誘導体を指すように使用され得る。その用語は、他に必要な場合を除いて、全てのサブタイプ、血清型、および偽型、ならびに天然に存在する、および組換え形式の両方を含む。本明細書中で使用される場合、「血清型」という用語は、規定された抗血清とのカプシドタンパク質反応性に基づいて同定され、そして他のAAVと区別されるAAVを指し、例えば、霊長類AAVの8個の公知の血清型である、AAV−1からAAV−8が存在する。例えば、血清型AAV−2は、AAV−2のcap遺伝子からコードされたカプシドタンパク質、ならびに同じAAV−2血清型由来の5’および3’ITR配列を含むゲノムを含むAAVを指して使用される。
【0015】
偽型AAVは、1つの血清型由来のカプシドタンパク質、および2番目の血清型の5’−3’ITRを含むウイルスゲノムを含むAAVを指す。偽型rAAVは、カプシド血清型の細胞表面結合特性、およびITR血清型と一致する遺伝的特性を有することが予測される。偽型rAAVを、当該分野において記載される標準的な技術を用いて産生する。本明細書中で使用される場合、例えば、rAAV1を、同じ血清型由来のカプシドタンパク質および5’−3’ITRの両方を有するAAVを指して使用し得るか、またはそれは血清型1由来のカプシドタンパク質、および異なるAAV血清型、例えばAAV血清型2由来の5’−3’ITRを有するAAVを指し得る。
【0016】
「rAAV」という省略は、組換えアデノ随伴ウイルスを指し、組換えAAVベクター(または「rAAVベクター」)とも呼ばれる。1つの実施態様において、AAV発現ベクターを、公知の技術を用いて構築し、少なくとも、転写の方向で作動可能に連結した構成要素として、転写開始領域を含む調節エレメント、関心のあるDNA、および転写終結領域を提供する。その調節エレメントを、哺乳類細胞において機能的であるように選択する。作動可能に連結した構成要素を含む、そのできた構築物は、機能的AAV ITR配列に隣接している(5’および3’)。
【0017】
「アデノ随伴ウイルス逆方向末端反復配列」または「AAV ITR」によって、DNA複製の起点として、およびウイルスのパッケージングシグナルとして、cisで共に機能する、AAVゲノムの各末端に見出される、当該分野で認められた領域を意味する。
【0018】
AAV ITR領域のヌクレオチド配列は公知である。本明細書中で使用される場合、「AAV ITR」は、示された野生型ヌクレオチド配列を有する必要はないが、例えばヌクレオチドの挿入、欠失、または置換によって変化し得る。さらに、AAV ITRは、AAV−1、AAV−2、AAV−3、AAV−4、AAV−5、AAV−7等が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかのAAV血清型のいずれか由来であり得る。さらに、AAVベクターにおいて、選択されたヌクレオチド配列に隣接する5’および3’ITRは、それらが意図されたように機能する限り、すなわち宿主細胞ゲノムまたはベクターからの関心のある配列の切り出しおよび救出を可能にする限り、必ずしも同一、または同じAAV血清型もしくは単離物由来である必要はない。
【0019】
AAV ITRを、これを含むAAVベクタープラスミドから切り出し、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press Cold Spring Harbor、NY(2001)において記載されたもののような、標準的なライゲーション技術を用いて、別のベクターに存在する選択された核酸構築物の5’および3’に融合し得る。例えば、20mMのTris−Cl pH7.5、10mMのMgCl2、10mMのDTT、33μg/mlのBSA、10mM〜50mMのNaCl、および0℃における40μMのATP、0.01〜0.02(Weiss)ユニットのT4 DNAリガーゼ(「付着末端」ライゲーション)、または14℃における1mMのATP、0.3〜0.6(Weiss)ユニットのT4 DNAリガーゼ(「平滑末端」ライゲーション)のいずれかで、ライゲーションを達成し得る。分子間「付着末端」ライゲーションを、通常30〜100μg/mlの全DNA濃度(5〜100nMの最終全濃度)で行う。ITRを含むAAVベクターは、例えば米国特許第5,139,941号において記載されている。特に、いくつかのAAVベクターがそこに記載され、それはAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)から、受け入れ番号53222、53223、53224、53225、および53226において入手可能である。
【0020】
アデノ随伴ウイルスは、全長ゲノム、すなわち、天然のゲノムとおよそ同じサイズであり、そして大き過ぎず小さ過ぎないものを優先的にパッケージングする。多くの標的核酸配列、または標的核酸配列をコードする発現カセットは、非常に小さい。断片化したゲノムのパッケージングを回避するために、本発明者らは、発現カセットに連結した場合に、そのサイズが通常に近い長さであるゲノムをITR間に生じる核酸配列をデザインおよび試験した。出発配列は哺乳類起源であるが、この「フィラー構成要素」(「スタッファー配列」とも呼ばれる)が、中でもエンハンサー、プロモーター、スプライシング制御因子、非コードRNAまたはアンチセンス配列を欠くことを保証するように、有意に修飾された。言い換えると、そのスタッファー配列は「サイレント」であり、そして発現カセットに活性を与えない。
【0021】
本発明において、AAVベクターにおいて使用するために適切なDNA分子は、例えばスタッファー配列および本発明のsiRNA分子をコードする発現カセットを含む。多くの発現カセット、例えば阻害RNA(siRNAおよびshRNA)を発現するものは非常に小さい。従って、全長または全長近いAAVゲノムを生じるように、配列をカセットに加える必要がある。もしAAV産生において小さいゲノムのみを使用すれば、組換えビリオンは不均一であり、そして様々なサイズのゲノムを含む。これは、ウイルスは全長ゲノムをパッケージングするのを好むので、そのスペースを埋めるために他のDNA断片をピックアップするからである。野生型ゲノムサイズの105%を超えるAAVゲノムは、一般的にパッケージングされないので、そのスタッファーは、大き過ぎるものとはなりえない。
【0022】
ある実施態様において、本発明は、配列番号1または配列番号2と少なくとも90%の同一性を有する、3300〜4200ヌクレオチドの長さの核酸を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素(「スタッファー配列」とも呼ばれる)を提供する。
【0023】
(配列番号1)
【化1-1】
【化1-2】
【0024】
(配列番号2)
【化2-1】
【化2-2】
【0025】
ある実施態様において、本発明は、配列番号1または配列番号2と少なくとも90%の同一性を有する、3300〜4200ヌクレオチドの長さの核酸からなる、アデノ随伴ウイルス(AAV)フィラー構成要素を提供する。ある実施態様において、そのフィラー構成要素は、配列番号1または配列番号2と少なくとも90%の同一性からなる。ある実施態様において、そのフィラー構成要素は、配列番号1または配列番号2と、95%の同一性、98%の同一性、99%の同一性、または100%の同一性さえも有する。ある実施態様において、そのフィラー構成要素は、約3500〜4000ヌクレオチド、または約3700〜3850ヌクレオチドの長さを有する。本発明において、そのフィラー構成要素は、エンハンサー、プロモーター、スプライシング制御因子、非コードRNA、アンチセンス配列、またはコード配列を欠くという点で、生物学的活性に関して「サイレント」である。
【0026】
「核酸」という用語は、糖、リン酸およびプリンまたはピリミジンのいずれかである塩基を含むモノマー(ヌクレオチド)から構成される、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)および1本鎖または2本鎖形態のいずれかのそのポリマーを指す。具体的に限定されなければ、その用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、そして天然に存在するヌクレオチドと同様の方式で代謝される、天然ヌクレオチドの公知のアナログを含む核酸を包含する。他に示されなければ、特定の核酸配列はまた、その保存的に修飾された変異体(例えば縮重コドン置換)および相補的配列、および明白に示された配列を包含する。具体的には、1つまたはそれより多くの選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を産生することによって、縮重コドン置換を達成し得る。「核酸断片」は、所定の核酸分子の部分である。
【0027】
「ヌクレオチド配列」は、1本鎖または2本鎖であり得、DNAまたはRNAポリマーに組み込まれ得る、合成、非天然、または変化したヌクレオチド塩基を必要に応じて含む、DNAまたはRNAのポリマーである。「核酸」、「核酸分子」、「核酸断片」、「核酸配列またはセグメント」、または「ポリヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用され、そしてまた遺伝子、cDNA、DNAおよび遺伝子によってコードされるRNAと交換可能に使用され得る。
【0028】
本発明は、単離された、または実質的に精製された核酸組成物を包含する。本発明の関係において、「単離された」または「精製された」DNA分子またはRNA分子は、その天然環境から離れて存在し、従って天然の産物ではない、DNA分子またはRNA分子である。単離されたDNA分子またはRNA分子は、精製された形態で存在し得るか、または例えばトランスジェニック宿主細胞のような、非天然環境に存在し得る。例えば、「単離された」または「精製された」核酸分子またはその生物学的に活性な部分は、組換え技術によって産生された場合、実質的に他の細胞物質または培養培地を含まない、または化学的に合成された場合、実質的に化学的前駆体または他の化学物質を含まない。1つの実施態様において、「単離された」核酸は、その核酸が由来する生物のゲノムDNAにおいて、その核酸に天然に隣接する配列(すなわち、その核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、様々な実施態様において、その単離された核酸分子は、その核酸が由来する細胞のゲノムDNAにおいて、その核酸分子に天然に隣接する、約5kb未満、約4kb未満、約3kb未満、約2kb未満、約1kb未満、約0.5kb未満、または約0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。開示されたヌクレオチド配列の断片およびバリアントも、本発明によって包含される。「断片」または「部分」によって、全長または全長未満のヌクレオチド配列を意味する。
【0029】
「天然に存在する」、「天然」、または「野生型」は、人工的に産生されたものとは異なる、天然において見出し得るものを説明するために使用される。例えば、天然の供給源から単離され得る、および研究室の人によって意図的に改変されていない、生物(ウイルスを含む)に存在するタンパク質配列またはヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0030】
「ゲノム」は、生物の完全な遺伝物質を指す。
【0031】
「ベクター」は、とりわけ、自己伝染性または動員可能であり得るか、またはそうでないかもしれず、そして原核生物宿主または真核生物宿主を形質転換し得る、2本鎖または1本鎖で、直鎖状または環状の形態の、あらゆるウイルスベクター、およびあらゆるプラスミド、コスミド、ファージ、またはバイナリーベクターを包含するよう定義される。
【0032】
AAV ITR
「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質(好ましくは、野生型AAVの全てのカプシドタンパク質による)およびカプシド形成したポリヌクレオチドから構成されるウイルス粒子を指す。もしその粒子が異種のポリヌクレオチド(すなわち、哺乳類細胞に伝達される導入遺伝子のような、野生型AAVゲノムではないポリヌクレオチド)を含むなら、それは典型的には「rAAV」と呼ばれる。
【0033】
1つの実施態様において、そのAAV発現ベクターは、転写の方向で作動可能に連結した構成要素として、転写開始領域を含む調節エレメント、関心のあるDNA、および転写終止領域を少なくとも提供するために、公知の技術を用いて構築される。その調節エレメントは、哺乳類細胞において機能的であるように選択される。作動可能に連結した構成要素を含む、できた構築物は、機能的AAV ITR配列に隣接している(5’および3’)。
【0034】
「アデノ随伴ウイルス逆方向末端反復配列」または「AAV ITR」によって、AAVゲノムの各末端において見出される、DNA複製起点として、およびウイルスのパッケージングシグナルとして、cisで共に機能する、当該分野で認められる領域を意味する。AAV ITRは、AAV repコード領域と共に、それらを発現するプラスミドからの効率的な切り出しを提供する。
【0035】
AAV ITR領域のヌクレオチド配列は公知である。本明細書中で使用される場合、「AAV ITR」は、示された野生型ヌクレオチド配列を有する必要はないが、例えばヌクレオチドの挿入、欠失、または置換によって変化し得る。さらに、AAV ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7等が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかのAAV血清型のいずれか由来であり得る。さらに、AAVベクターにおいて選択されたヌクレオチド配列に隣接する5’ITRおよび3’ITRは、それらが意図されるように機能する限り、すなわち関心のある配列のベクターからの切り出しおよび救出を可能にし、そして望ましいゲノムをAAVビリオンへパッケージングする限り、必ずしも同一である必要はなく、または同じAAV血清型または単離物由来である必要はない。
【0036】
1つの実施態様において、AAV ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7等が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかのAAV血清型のいずれか由来であり得る。さらに、AAV発現ベクターにおいて、選択されたヌクレオチド配列に隣接する5’ITRおよび3’ITRは、それらが意図されるように機能する限り、すなわち関心のある配列のベクターからの切り出しおよび救出を可能にし、そして望ましいゲノムのAAVビリオンへのパッケージングを可能にする限り、必ずしも同一である必要はなく、または同じAAV血清型または単離物由来である必要はない。
【0037】
ある実施態様において、本発明は、発現カセットに作動可能に連結した、上記で記載したようなフィラー構成要素を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを提供する。ある実施態様において、その発現カセットは、プロモーターを含む。ある実施態様において、そのプロモーターは、polIIIプロモーターである。ある実施態様において、そのプロモーターは、mU6プロモーターである。ある実施態様において、そのAAVベクターは、さらに標的配列を含む。ある実施態様において、その標的配列は、RNAi分子である。
【0038】
本明細書中で使用される「発現カセット」は、適切な宿主細胞において、特定のヌクレオチド配列の発現を指示し得る核酸配列を意味し、それは終止シグナルに作動可能に連結し得る関心のあるヌクレオチド配列に作動可能に連結したプロモーターを含み得る。そのコード領域は通常、関心のある機能的RNA、例えばRNAi分子をコードする。関心のあるヌクレオチド配列を含む発現カセットは、キメラであり得る。その発現カセットはまた、天然に存在するが、異種性の発現のために有用な組換え形態で得たものであり得る。
【0039】
2本鎖RNA(dsRNA)は、多くの生物において、RNA干渉(RNAi)として公知である過程による、配列特異的転写後遺伝子サイレンシングを誘導し得る。RNA断片は、RNAiの配列特異的メディエーターである。これらのRNA干渉(RNAi)分子による、遺伝子発現の干渉は、現在多くの生物の細胞において、遺伝子をサイレンシングするための天然に存在する戦略として認識されている。
【0040】
本発明のある実施態様は、単離されたRNAi分子をコードするベクターを提供する。本明細書中で使用される場合、「〜によってコードされる」という用語は、特許用語における「含む」という用語と同様に、広い意味で使用される。RNAi分子は、siRNA、shRNA、および例えばRNA干渉によって標的遺伝子の発現を調節し得る、またはする能力のある、他の小さいRNAを含む。そのような小さいRNAとしては、shRNAおよびマイクロRNA(miRNA)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
「作動可能に連結した」は、配列の1つの機能が、別の配列によって影響されるような、単一の核酸断片に対する核酸配列の結合を指す。例えば、もしその2つの配列が、調節性DNA配列がコードDNA配列の発現に影響を与える(すなわち、コード配列または機能的RNAが、プロモーターの転写調節下にある)ように位置するなら、その調節性DNA配列は、RNAまたはポリペプチドをコードするDNA配列と、「作動可能に連結している」または「結合している」と言われる。コード配列は、センスまたはアンチセンスの方向で、調節配列に作動可能に連結し得る。
【0042】
作動可能に連結した核酸は、別の核酸配列と機能的関係におかれた核酸である。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、もしそれが配列の転写に影響を与えるなら、そのコード配列に作動可能に連結している;またはリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を促進するよう配置されているなら、そのコード配列に作動可能に連結している。一般的に、作動可能に連結したDNA配列および連結したDNA配列は、近接している。しかし、エンハンサーは、近接している必要はない。連結は、都合のよい制限部位におけるライゲーションによって達成される。もしそのような部位が存在しないなら、従来の慣習に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用する。
【0043】
本発明を、以下の制限しない実施例によって説明する。
【実施例】
【0044】
実施例1
AAV2ITR、mU6プロモーター、miHDS1標的配列、フィラー構成要素スタッファー、およびAAVバックボーンを含む、プラスミドFBAAVmU6miHDS1スタッファーを産生した(
図1)。5pFBAAVmU6miHDS1AAVスタッファーの配列を、
図2において提供し、そのプラスミドの個々の構成要素の配列を、
図3において提供する。全長フィラー構成要素(「スタッファー配列」)は、3776ヌクレオチドからなっていた。
【0045】
実施例2
miHDS1を発現するベクターの、インビボにおけるサイレンシング効率を比較した。4つのベクター:(1)コントロール配列(miSAFE)を発現し、そしてコントロール配列(eGFP)を含むベクター、(2)標的配列(miHDS1)を発現し、そしてコントロール配列(eGFP)を含むベクター、(3)コントロール配列(miSAFE)を発現し、そして実施例1で記載したスタッファー配列を含むベクター、および(4)標的配列(miHDS1)を発現し、そして実施例1で記載したスタッファー配列を含むベクターを構築した。
(1)AAV2/1 mU6miSAFE−eGFP(4.81E12μg/ml)
(2)AAV2/1 mU6miHDS1−eGFP(4.81E12μg/ml)
(3)AAV2/1 mU6miSAFE−スタッファー(4.81E12μg/ml)
(4)AAV2/1 mU6miHDS1−スタッファー(4.81E12μg/ml)
【0046】
miSAFEおよびmiHDS1の配列は、以前に議論された(PCT/US2012/024904を参照のこと、それはこれによってその全体として本明細書中で参考として援用される)。野生型マウスの線条体に、4つのベクターを注射した。1ヶ月後、マウスを屠殺し、そしてHttの発現を、QPCRによって、Actbの発現レベルと比較して決定した。
図4は、misafe/eGFP発現カセットとmiHDS1/eGFP発現カセットとの間には、発現の20%の減少があり、一方misafe/スタッファー発現カセットとmiHDS1/スタッファー発現カセットとの間には、発現の60%の減少があったこと、すなわち、スタッファーを使用した場合、発現の60%の減少があったことを示す。
【0047】
実施例3
AAV2 ITR、mU6プロモーター、miHDS1標的配列、フィラー構成要素スタッファー、およびAAVバックボーンを含む、プラスミド5pFBAAVmU6miHDS1スタッファーを産生した(
図5)。プラスミド5pFBAAVmU6miHDS1AAV−スタッファーの配列を、
図6において提供する。そのスタッファー(スタッファー#2)の配列を、
図7において提供する。
【0048】
実施例4
AAVパッケージングに関して考慮する点の1つは、最適なゲノムサイズを維持することである。これが起こる場合、ゲノムを欠くものを形成するビリオンの比は、最小限になる。新しいスタッファー配列のパッケージング効率を試験する実験を行い、そして高い効率のパッケージングを見出した。例えば、表1「Average empty」および
図8を参照のこと。パッケージングされた遺伝物質が、非miRNA:イントロンスタッファー配列を含んでいるかどうかも測定した。ウイルス産生に使用した意図しないゲノム物質の組み込みは、非常に低いことが見出された(Cap/rAAV、Amp/rAAV、Gent/rAAV)。最後に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動の後に、銀染色によって、ウイルスの質を分析し、そして適切な割合の様々なカプシドタンパク質(VP1、VP2、およびVP3;
図9)を含むことが見出された。要約すると、イントロンI/IIスタッファー配列は、望ましい導入遺伝子のAAVカプシドへの最適なパッケージングを可能にする。
【0049】
全ての出版物、特許、および特許出願は、本明細書中で参考として援用される。前述の明細書において、本発明はそのある好ましい実施態様に関連して記載され、そして多くの詳細が説明の目的のために述べられたが、本発明は、さらなる実施態様が可能であり、そして本明細書中で記載された詳細のいくらかは、本発明の基本的な原理から離れることなく、かなり変化し得ることが、当業者に明らかである。
【0050】
本発明の説明に関して、「a」および「an」および「the」という用語および同様の指示対象の使用は、本明細書中で他に示されなければ、または文脈によって明らかに否定されなければ、単数形および複数形の両方を含むと解釈される。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」および「含む(containing)」という用語は、他に示されなければ、制限のない用語であると解釈される(すなわち、「が挙げられるがこれらに限定されない」を意味する)。本明細書中の値の範囲の引用は単に、本明細書中で他に示されなければ、その範囲内に含まれる別々の値それぞれを個々に指す省略した方法となることが意図され、そして別々の値それぞれは、それが個々に本明細書中で引用されたかのように、明細書中に組み込まれる。本明細書中で記載される全ての方法を、本明細書中で他に示されなければ、または文脈によって明らかに否定されなければ、あらゆる適切な順番で行い得る。本明細書中で提供される、あらゆるおよび全ての例または代表的な言語(例えば「〜のような」)の使用は単に、本発明をより良く明らかにすることが意図され、そして他に請求されなければ、本発明の範囲に制限をかけない。明細書中のどの言語も、その請求されない要素も本発明の実施に必須であると示すと解釈されるべきではない。
【0051】
本発明を実施するために発明者らに公知である最良の方式を含む、本発明の実施態様を本明細書中で記載する。それらの実施態様のバリエーションが、前述の説明を読むと当業者に明らかとなり得る。発明者らは、当業者がそのようなバリエーションを適切に採用することを期待し、そして発明者らは、本発明が、本明細書中で具体的に記載されたのとは異なる方法で実施されることを意図する。よって、本発明は、準拠法によって許可されるように、ここに付随する請求項において引用される主題の全ての修飾および同等物を含む。さらに、本明細書中で他に示されなければ、または文脈によって明らかに否定されなければ、上記で記載した要素の、その全ての可能なバリエーションにおけるあらゆる組み合わせが、本発明によって包含される。
【表1】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]