(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366584
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】改善された下方流空洞を有する弁体
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-529973(P2015-529973)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-526678(P2015-526678A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】US2013056960
(87)【国際公開番号】WO2014042872
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】13/598,950
(32)【優先日】2012年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】ヒルサベック,ジェレミー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,ロニー オスカー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】イングル,チャド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スカー,アンダーズ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フォースマン,ダニエル ハワード
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭61−032224(JP,Y2)
【文献】
米国特許第04384592(US,A)
【文献】
西独国特許出願公開第03519916(DE,A)
【文献】
米国特許第03648718(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0179163(US,A1)
【文献】
独国特許発明第00195158(DE,C2)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0326533(US,A1)
【文献】
特公昭63−057671(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00 − 27/12
F16K 1/00 − 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体であって、
前記弁体の中心軸上の中心に配置される第1の開口部と、
前記中心軸上の中心に配置される第2の開口部と、
トリムアセンブリを収容するために前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に配置された坑道であって、前記中心軸に垂直な坑道軸上に位置する円筒状空間を備える、坑道と、
前記第1の開口部と前記坑道の側面開口部との間に延在する第1の流導管部と、
前記第2の開口部と前記坑道の底面開口部との間に延在する第2の流導管部であって、前記底面開口部の直下に配置された下方空洞副部と、前記下方空洞副部と前記第2の開口部との間に配置された側面空洞副部とを含む、第2の流導管部と、
を備え、
前記下方空洞副部は、エルボ導管部と、前記エルボ導管部と前記坑道の前記底面開口部との間に配置された直円筒状導管部とを備え、前記直円筒状導管部は、前記坑道の前記底面開口部から離れて前記エルボ導管部まで延在し、かつ前記坑道の前記底面開口部の坑道直径以下である導管直径を有し、前記エルボ導管部は、湾曲軸に沿って前記直円筒状導管部から離れて前記側面空洞副部まで延在し、
前記第2の流導管部は、前記坑道の前記底面開口部から前記第2の開口部に、その全体の長さに沿った円形断面を備え、
前記直円筒状導管部の前記導管直径は前記第2の開口部の直径よりも小さく、
前記第2の流導管部の前記円形断面の直径は、前記直円筒状導管部で前記第2の開口部の前記直径から前記導管直径に次第に減少する、
弁体。
【請求項2】
前記下方空洞副部の前記直円筒状導管部は、前記坑道軸上の中心に配置される、請求項1に記載の弁体。
【請求項3】
前記側面空洞副部は、前記直円筒状導管部の前記導管直径よりも大きい側面空洞直径を有する、請求項1または2に記載の弁体。
【請求項4】
前記第1の開口部は、前記弁体の入口であり、かつ前記第2の開口部は、前記弁体の出口である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁体。
【請求項5】
前記第2の開口部は、前記弁体の入口であり、かつ前記第1の開口部は、前記弁体の出口である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁体。
【請求項6】
前記直円筒状導管部は、前記導管直径よりも小さい長手方向寸法を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弁体。
【請求項7】
弁体であって、
前記弁体の中心軸上の中心に配置される第1の開口部と、
前記中心軸上の中心に配置される第2の開口部と、 トリムアセンブリを収容するために、前記第1の開口部と第2の開口部との間に配置された坑道であって、前記中心軸に垂直な坑道軸上に位置する円筒状空間を備える、坑道と、
前記第1の開口部と前記坑道の側面開口部との間に延在する第1の流導管部と、
前記第2の開口部と前記坑道の底面開口部との間に延在する第2の流導管部と、
前記第1の開口部と前記坑道の前記側面開口部との間の前記第1の流導管部の中心に沿って延在する第1の流れ軸と、
前記第2の開口部と前記坑道の前記底面開口部との間の前記第2の流導管部の中心に沿って延在する第2の流れ軸であって、前記第2の流れ軸の少なくとも一部は、前記坑道の前記底面開口部に直接隣接する位置において、前記坑道軸と位置合わせされる、第2の流れ軸と、を備え、
前記第2の流導管部は、エルボ導管部及び前記エルボ導管部と前記坑道の前記底面開口部との間の直円筒状導管部を備え、前記直円筒状導管部は、前記坑道の前記底面開口部から前記エルボ導管部へ延在し、
前記第2の流導管部は、前記坑道の前記底面開口部から前記第2の開口部に、その全体長さに沿った円形断面を有し、
前記直円筒状導管部は、前記第2の開口部の直径より小さい導管直径を有し、
前記第2の流導管部の前記円形断面の直径は、前記直円筒状導管部で前記第2の開口部から前記導管直径に次第に減少する、
弁体。
【請求項8】
前記第2の流導管部は、前記坑道の前記底面開口部の直下に配置された下方空洞副部と、前記下方空洞副部と前記第2の開口部との間に配置された側面空洞副部とを含み、
前記下方空洞副部は、前記直円筒状導管部を備え、前記直円筒状導管部は、前記坑道の前記底面開口部に隣接して配置され、かつ前記第2の流れ軸および前記坑道軸に沿って中央配置される、請求項7に記載の弁体。
【請求項9】
前記側面空洞副部は、前記直円筒状導管部の前記導管直径よりも大きい側面空洞直径を有する、請求項8に記載の弁体。
【請求項10】
前記直円筒状導管部の前記導管直径は、前記坑道の前記底面開口部の坑道直径以下である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の弁体。
【請求項11】
前記第1の開口部は、前記弁体の入口であり、かつ前記第2の開口部は、前記弁体の出口である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の弁体。
【請求項12】
前記第2の開口部は、前記弁体の入口であり、かつ前記第1の開口部は、前記弁体の出口である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の弁体。
【請求項13】
前記直円筒状導管部は、前記導管直径よりも小さい長手方向寸法を備える、請求項7〜12のいずれか一項に記載の弁体。
【請求項14】
前記直円筒状導管部の前記導管直径は、前記坑道の前記底面開口部の前記坑道直径と等しい、
請求項1に記載の弁体。
【請求項15】
前記第1の流導管部の断面の直径は、前記第1の開口部から前記坑道の前記側面開口部に減少する、
請求項1に記載の弁体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弁体に関し、特に、球型弁体に関する。
【背景技術】
【0002】
球型弁体は、一般的に、多くの流体の非効率性をもたらす蛇行流路を有する。さらに、球型弁体は、入口/出口開口部における円形断面から、弁口の下の位置における楕円形断面に変化する、流路を備える傾向にある。流路の楕円形部分は、一般に、弁口の直径よりも寸法がはるかに大きく、これにより、効率性をさらに低減させる流路における急激な制限が生じる。この形状の変化はまた、流体の流れにおいて乱れを引き起こし、これは、ノイズおよび振動を発生および/または増大させ得る。流れの効率性に対するマイナス効果は、任意の所与の球型弁体の全体的なフランジからフランジまでの長さが短くなるとさらに大きくなる。これは、結局、流路が圧縮され、より蛇行するからである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様は、第1の開口部と、第2の開口部と、坑道と、第1の流導管部と、第2の流導管部と、を備える弁体を提供する。第1の開口部および第2の開口部は、弁体の中心軸上の中心に配置される。坑道は、トリムアセンブリを収容するために、第1の開口部と第2の開口部との間に配置され、中心軸に垂直な坑道軸上に位置する円筒状空間を備える。第1の流導管部は、第1の開口部と坑道の側面開口部との間に延在する。第2の流導管部は、第2の開口部と坑道の底面開口部との間に延在する。さらに、第2の流導管部は、底面開口部の直下に配置される下方空洞副部と、下方空洞副部と第2の開口部との間に配置される側面空洞副部とを備える。下方空洞副部は、エルボ導管部と、エルボ導管部と坑道の底面開口部との間に配置される直円筒状導管部とを備える。直円筒状導管部は、坑道の底面開口部から離れて延在し、坑道の底面開口部の坑道直径以下の導管直径を有する。エルボ導管部は、湾曲軸に沿って直円筒状導管部から離れて側面空洞副部まで延在する。
【0004】
本開示の別の態様は、第1の開口部と、第2の開口部と、坑道と、第1の流導管部と、第2の流導管部と、第1の流れ軸と、第2の流れ軸と、を備える弁体を提供する。第1の開口部および第2の開口部は、弁体の中心軸上の中心に配置される。坑道は、トリムアセンブリを収容するために、第1の開口部と第2の開口部との間に配置され、中心軸に垂直な坑道軸上に位置する円筒状空間を備える。第1の流導管部は、第1の開口部と坑道の側面開口部との間に延在する。第2の流導管部は、第2の開口部と坑道の底面開口部との間に延在する。第1の流れ軸は、第1の開口部と坑道の側面開口部との間の第1の流導管部の中心に沿って延在する。第2の流れ軸は、第2の開口部と坑道の底面開口部との間の第2の流導管部の中心に沿って延在する。第2の流れ軸の少なくとも一部は、坑道の底面開口部に直接隣接した位置において坑道軸と位置合わせされる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の原理に従って構成された球型弁体の断面側面図である。
【
図2】
図1が完全な弁体であるとした場合の、
図1の線2〜2の断面図であって、代替のバージョンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、本開示の原理に従って構成された球型弁体10の断面側面図を示す。弁体10は、第1の開口部12と、第2の開口部14と、第1の開口部12と第2の開口部14と
の間に配置された坑道16と、を備える。開口部12,14はそれぞれ、水平な弁体10の中心軸Ac上の中心に配置される円形開口部を備える。示されたバージョンでは、第1の開口部12および第2の開口部14は、配管系において接続するためのフランジ付開口部であるが、他のバージョンは、溶接端部に適合した開口部、または他のタイプの接続に適合した開口部を提供してもよい。坑道16は、既知の方法で、シートリング、ケージなどのトリムアセンブリ(図示しない)および可動制御要素(図示しない)を収容するように適合される。坑道16は、垂直な、ゆえに弁体10の中心軸Acに垂直である坑道軸Ag上に位置する略円筒状の空間を備える。
【0007】
弁体10は、弁体10を通る流路Pを規定する、第1の流導管部P1と第2の流導管部P2とを備える。示されるように、第1の流導管部P1は、第1の開口部12と坑道16の側面開口部18との間の、その中心に沿って延在する第1の流れ軸A1を備える。第2の流導管部P2は、第2の開口部14と坑道16の底面開口部20との間の、その中心に沿って延在する第2の流れ軸A2を備える。
【0008】
図1において破線で示されるように、第2の流導管部P2は、坑道16の底面開口部20の直下に配置された下方空洞副部22と、下方空洞副部22と第2の開口部14との間に配置された側面空洞副部24とを備えるものとして説明され得る。さらに、破線でまた示されるように、下方空洞副部22は、エルボ導管部22aと直円筒状導管部22bとを備えるものとして説明され得る。直円筒状導管部22bは、エルボ導管部22aと坑道16の底面開口部20との間に配置され、坑道軸Agに沿って、坑道16の底面開口部20と連通し、および坑道16の底面開口部20から離れて延在する。すなわち、直円筒状導管部22bは、坑道軸Agと位置合わせされた中心軸Aaを備える。エルボ導管部22aは、第2の流れ軸A2の湾曲部に沿って直円筒状導管部22bから離れて第2の流導管部P2の側面空洞副部24に向かって延在する。
【0009】
弁体10の開示されたバージョンでは、直円筒状導管部22bは、直径d1および長手方向中心寸法Lを備えることができる。直円筒状導管部22bの直径d1は、一定、かつ坑道16の底面開口部20の直径d2以下とすることができる。加えて、直円筒状導管部22bの直径d1は、第2の開口部14の直径d3以下とすることができる。さらに、弁体10の示されたバージョンでは、直円筒状導管部22bの長手方向寸法Lは、その直径d1よりも小さく、または言い換えると、直円筒状導管部22bの直径d1は、その長手方向寸法Lよりも大きい。当然、他のバージョンでは、異なった寸法とすることができる。
【0010】
1つのバージョンでは、直円筒状導管部22bおよび坑道16の底面開口部20の直径d1,d2は、約6”(152.4ミリメートル)とすることができ、第2の開口部14の直径d3は、約7.5”(190ミリメートル)とすることができる。この直径の減少は、第2の流導管部P2において、第2の開口部14から直円筒状導管部22bにかけて一般に次第に現れ得る。
【0011】
上述のように、開示された弁体10の第1の開口部12および第2の開口部14は、円形開口部であり、直円筒状導管部22bもまた、断面において円形である。1つのバージョンでは、第2の流導管部P2は、第2の開口部14と坑道16の底面開口部20との間に延在する、その全体の長さに沿った円形断面を備える。開示された弁体10の別のバージョンでは、第2の流導管部P2のエルボ導管部22aの一部は、長円形の断面を有することができる。本明細書で使用される用語「長円形」は、例えば、卵型、楕円、レーストラック形状等を含んで使用されてもよい、任意の非円形状を意味する。
【0012】
弁体10の1つのバージョンでは、第2の流導管部P2は、
図1において線2〜2が弁
体10を通るところに該当する領域において、長円形の断面を備えることができる。例えば、流体の流れの効率性を犠牲にすることなく、或る製造上の制約を満たすよう要求されることがあるため、
図2に示すように、この代替バージョンでの線2〜2の領域における第2の流導管部P2の断面は、ごくわずかに長円形とすることができる。線2〜2をの断面は、このわずかな長円形を含むことができるが、その断面積は、それに直接隣接する第2の流導管部P2の円形断面領域に対しておおむね一定のままとなるであろう。このような、第2の流導管部P2が上述の長円形断面領域を備えるバージョンにおいてさえ、第2の流導管部P2の下方空洞副部22および側面空洞副部24の残りの部分は、全体にわたって円形断面を備える。
【0013】
所望の動作上の構成に応じて、第2の開口部14が弁体10の入口となり、および第1の開口部12が出口となるように、本開示の弁体10を、逆流(flow−up)構成に配置することができ、または、第1の開口部12が入口となり、および第2の開口部14が出口となるように、それを順流(flow−down)構成に配置することができる。
【0014】
上述の構造に基づいて、第1の流導管部P1、第2の流導管部P2、および坑道16の配置は、弁10を通じた流体の流れの効率性を合理化および増大させるように協調する。例えば、逆流構成では、流体は、第2の開口部14において弁体10に流れ込み、および第2の流れ軸A2に沿って第2の流導管部P2を通って流れる。流体が下方空洞副部22を通って流れる場合、坑道16の底面開口部20に到達する前に、それは最初に、エルボ導管部22aを通って流れ、その後、直円筒状導管部22bを通って流れる。
【0015】
直円筒状導管部22bは一直線であり、かつ底面開口部20の直径d2以下である一定の直径d1を備えるため、流体は、第2の流導管部P2から坑道16へと自由に流れる。言い換えると、第2の流導管部P2と坑道16との間を流れる流体を妨げるような弁体10の態様はない。この流体の自由な流れは、第2の流れ軸A2が、直円筒状導管部22bの全体にわたる坑道軸Agと位置合わせされるという事実によってさらに援助される。言い換えると、上述したように、直円筒状導管部22bおよび坑道16は、同軸的に位置合わせされる(すなわち、それらは共通の直線軸に沿って延在し、および共通の直線軸上の中心に配置される)。さらにまた、弁体10を通る流体の自由な流れを援助する、本開示の別の態様は、下方空洞副部22のエルボ導管部22a全体が、断面において円形であり、それによって、それを通って流れる流体が、坑道16の内または外への自然な湾曲流路をとることが可能となる、という事実である。
【0016】
上述したことから、本開示は、少なくとも坑道の下の位置を含む種々の位置における流路に沿って乱れを効率的に低減および/または排除する、改善された弁体を有利に提供することを理解することができる。この乱れの低減および/または排除は有利にも、そのような乱れた流体の流れによって生じるノイズおよび振動を低減および/または排除することができる。
【0017】
上述の開示は、本発明の弁体の種々のバージョンを提供するが、本開示は、開示された特定のものに限定されない。むしろ、本開示は本質的には例示にすぎない。本発明は、以下の特許請求の範囲および全てのその同等物の精神および範囲によって決定および定義される。