特許第6366596号(P6366596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366596
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】万年筆
(51)【国際特許分類】
   B43K 5/04 20060101AFI20180723BHJP
   B43K 5/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B43K5/04
   B43K5/06
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-542340(P2015-542340)
(86)(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公表番号】特表2016-501141(P2016-501141A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】FR2013052740
(87)【国際公開番号】WO2014076426
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年11月11日
(31)【優先権主張番号】12306432.1
(32)【優先日】2012年11月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503331735
【氏名又は名称】ルイ ヴィトン マルティエ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・プリジェント
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ロプティン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・タルコ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ・アクアフレスカ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルーカ・マラグーティ
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/092624(WO,A1)
【文献】 実開昭50−098834(JP,U)
【文献】 実開昭57−016383(JP,U)
【文献】 特開2006−224540(JP,A)
【文献】 特表2011−520660(JP,A)
【文献】 実公昭37−025517(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 5/00− 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− インクタンク(24、24A)を受け入れるように構成された内室(22)を画定する細長い中空体(12)と、
− 前記中空体(12)の第1の端部(18)に配置されたペン先(26)と、
− 前記内室(22)および前記ペン先(26)を接続しかつ長手方向軸(XX)に沿って延びるインク流路(34)を画定する接続部分(32)であって、前記インク流路(34)を選択的に開閉するように設計された、前記インク流路(34)を開閉するためのバルブ(36)を備える前記接続部分(32)と、
を備える万年筆(10)において、
前記接続部分(32)が、前記バルブ(36)と前記内室(22)との間に挿入されかつ前記インクタンク(24、24A)と係合して、インクが前記インクタンク(24、24A)と前記ペン先(26)との間を流れることを可能にするように設計されたストライカ(38)を備え
前記ストライカ(38)は、前記長手方向軸(XX)に沿って延び、且つ前記インク流路(34)の一部分を画定する実質的に円筒状のトング(70)を備え、
前記トング(70)は、端部エッジ(72)と、反対側の端部(78)とを備え、
前記ストライカ(38)は周壁(94)を備え、前記周壁(94)は、前記反対側の端部(78)から所定の距離で前記トング(70)の前記反対側の端部(78)を取り囲み、前記反対側の端部(78)と前記周壁(94)との間のスペースを画定し、
前記反対側の端部(78)と前記周壁(94)との間の前記スペースは、漏れない態様で前記インクタンク(24、24A)を受け入れるように構成されることを特徴とする、万年筆(10)。
【請求項2】
前記バルブ(36)は、前記インク流路(34)の一部分を画定しかつ前記インク流路(34)が開いている休止位置と、前記インク流路(34)が閉じている変形位置との間で弾性的に変形可能である中央セクション(56)を備える管状部材(40)を備える、請求項1に記載の万年筆(10)。
【請求項3】
前記ペン先(26)を支持するバレル(30)および前記バレル(30)に取り付けられた一対の対向するピン(66)を備え、前記ピン(66)は、前記中央セクション(56)を変形させるように構成される、請求項2に記載の万年筆(10)。
【請求項4】
前記ピン(66)は、前記バレル(30)に対して前記長手方向軸(XX)に垂直な方向にスライドするように取り付けられる、請求項3に記載の万年筆(10)。
【請求項5】
前記長手方向軸(XX)に沿って前記バレル(30)に取り付けられようにかつ保護キャップ(16)が前記バレル(30)に取り付けられるときに前記ピン(66)を変位させるように設計された、前記ペン先(26)のための前記保護キャップ(16)を備える、請求項3または4に記載の万年筆(10)。
【請求項6】
前記中央セクション(56)は、実質的に正方形状の内部横断面を有する、請求項2から5のいずれか一項に記載の万年筆(10)。
【請求項7】
前記ピン(66)は、前記長手方向軸(XX)の周りで、前記中央セクション(56)の前記正方形内部横断面の対角線に対して角度をオフセットしている、請求項3を引用する、請求項6に記載の万年筆(10)。
【請求項8】
前記オフセットの角度(α)は、実質的に20°に等しい、請求項7に記載の万年筆(10)。
【請求項9】
前記管状部材(40)は、前記中央セクション(56)と前記ストライカ(38)との間に配置されかつ前記インク流路(34)の一部分を画定する端部セクション(48)を備え、前記端部セクション(48)は、内面および前記内面に作成された複数の縦溝(54)を備える、請求項2から8のいずれか一項に記載の万年筆(10)。
【請求項10】
前記管状部材(40)は、前記中央セクション(56)が前記端部セクション(48)に接続するところの前記中央セクション(56)の前記正方形内部横断面に作られた一対の対向する切り込み(58)を備える、請求項6を引用する、請求項9に記載の万年筆(10)。
【請求項11】
前記トング(70)は、2つの段を備えた段付き輪郭を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の万年筆(10)。
【請求項12】
前記トング(70)は、内面および前記内面に作成された複数の縦溝(92)を備える、請求項11に記載の万年筆(10)。
【請求項13】
前記インクタンク(24)を形成しかつ前記ストライカ(38)に取り付けられるコンバータ(24A)をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の万年筆(10)。
【請求項14】
前記インクタンク(24)を形成しかつ前記ストライカ(38)に取り付けられるカートリッジをさらに備え、前記カートリッジは、剛体管、前記剛体管の一端に配置された口、および前記口に挿入された管密閉用プラグを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の万年筆(10)。
【請求項15】
前記口は、前記ストライカ(38)の前記トング(70)の外径よりも大きい内径を有する、請求項11を引用する、請求項14に記載の万年筆(10)。
【請求項16】
記コンバータ(24A)が、長手方向軸(XX)に沿って延びかつ前記接続部分(32)を用いて前記ペン先(26)と流体連通することを意図した柔軟なポーチ(102)と、前記長手方向軸(XX)に沿ってスライドするように取り付けられかつ前記柔軟なポーチ(102)を変形させることを意図したピストン(104)とを備えることを特徴とする、請求項13に記載の万年筆(10)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
- 本明細書ではまた「インク容器」とも呼ばれるインクタンクを受け入れるように設計された内室を画定する細長い中空体と、
- 中空体の第1の端部に配置されたペン先と、
- 内室およびペン先を接続しかつ長手方向軸に沿って延びるインク流路を画定する接続部分であって、インク流路を選択的に開閉するように設計された、インク流路を開閉するためのバルブを備える接続部分とを備える万年筆に関する。
【背景技術】
【0002】
それらの構造のために、従来の万年筆はしばしば、温度および/または圧力の変化を受けるとインクが漏れる。
【0003】
温度の変化は、ユーザーが書いているときに、ユーザーの手が万年筆の本体を温めるので生じる。
【0004】
圧力の変化は、飛行機によって旅行しているときに、航空機の高度の絶えざる変化の結果として生じる。
【0005】
この問題を解決するために、キャップが、万年筆が使用されていないときにペン先を保護するために提供され、キャップが、万年筆の所定の位置にあるときには、キャップが、インク流路を閉じる突出部を用いてバルブと協働する、前述の種類の万年筆が、開発されている。
【0006】
しかしながら、キャップが開かれると、たとえわずかであっても、常にいくらかのインク漏れがあることが、観察されている。
【0007】
そのような万年筆では、様々な要素を通るインクの流れは、最適でなく、それが、滑らかに書くことを妨げる可能性があることもまた、見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、万年筆がさらされる条件にかかわらず漏れないと同時に、書いているときにはインクの通過を容易にする万年筆を提案することによってこれらの不都合を克服することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、接続部分が、バルブと内室との間に挿入されかつインクタンクと係合して、インクがインクタンクとペン先との間を流れることを可能にするように設計されたストライカ(striker)を備えることを特徴とする、前述の種類の万年筆に関する。
【0010】
これらの配置では、万年筆を通るインクの流れは、促進され、漏れ防止は、改善される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、次の配置の1つまたは複数が、おそらく使用されてもよく、
- バルブは、インク流路の一部分を画定しかつインク流路が開いている休止位置と、インク流路が閉じている変形位置との間で弾性的に変形可能である中央セクションを備える管状部材を備える、
- 万年筆は、ペン先を支持するバレルおよびバレルに取り付けられた一対の対向するピンを備え、ピンは、中央セクションを変形させるように設計される、
- ピンは、バレルに対して長手方向軸に垂直な方向にスライドするように取り付けられる、
- 万年筆は、長手方向軸に沿ってバレルに取り付けられかつ保護キャップがバレルに取り付けられるときにピンを変位させるように設計された、ペン先のための保護キャップを備える、
- 中央セクションは、実質的に正方形状の内部横断面を有する、
- ピンは、長手方向軸の周りで、中央セクションの正方形内部横断面の対角線に対して角度をオフセットしている、
- オフセット角は、実質的に20°に等しい、
- 管状部材は、中央セクションとストライカとの間に配置されかつインク流路の一部分を画定する端部セクションを備え、端部セクションは、内面および内面に作成された複数の縦溝を備える、
- 管状部材は、中央セクションが端部セクションに接続するところの中央セクションの正方形内部横断面に作られた一対の対向する切り込みを備える、
- ストライカは、インク流路の一部分を区切りかつ2つの段を備えた段付き輪郭を有する実質的に円筒状のトング(tongue)を備える、
- トングは、内面および内面に作成された複数の縦溝を備える、
- 万年筆はさらに、インクタンクを形成しかつストライカに取り付けられるコンバータを備える、
- 万年筆はさらに、インクタンクを形成しかつストライカに取り付けられるカートリッジを備え、カートリッジは、剛体管、管の一端に配置された口、および口に挿入された管密閉用プラグを備える、
- 口は、ストライカのトングの外径よりも大きい内径を有する。
【0012】
本発明はまた、上述されたような万年筆のためのインクタンクを形成するコンバータであって、コンバータが、長手方向軸に沿って延びかつ接続部分を用いてペン先と流体連通することを意図した柔軟なポーチと、長手方向軸に沿ってスライドするように取り付けられかつ柔軟なポーチを変形させることを意図したピストンとを備えることを特徴とする、コンバータにも関する。
【0013】
本発明は、添付の図面を参照し、ほんの一例として与えられる本発明の一実施形態の次の説明を読むことによってよりよく理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による万年筆の断面図である。
図2図1でIIと示される細部の拡大図である。
図3図1での万年筆のバルブの部分切り取り斜視図である。
図4図2の平面に関して90°だけ角度オフセットした断面平面での図2のそれに似た図であり、バルブは、休止位置にある。
図5図4のそれに似た図であり、バルブは、変形位置にある。
図6図1の万年筆のストライカの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な図では、同じ参照記号は、同一のまたは同様の要素を指定する。
【0016】
図1は、本発明による万年筆10を例示する。
【0017】
万年筆10は、細長い中空体12と、中空体12に取り付けられたペン先ユニット14と、中空体12に取り付けることを意図したキャップ16とを備える。
【0018】
中空体12は、万年筆10の通常の使用中に、すなわち書いているときに、ユーザーの手によって握られるように設計される。
【0019】
中空体12は、長手方向軸XXに沿って延びる実質的に円筒状の形状を有し、開いた第1の端部18および開いた第1の端部18の反対側の閉じた第2の端部20を備える。
【0020】
第1および第2の端部18、20の間で、中空体12は、以下でより詳細に説明されることになるように、インクタンク24を受け入れるように構成された内室22を画定する。
【0021】
ペン先ユニット14は従来、ペン先26と、インクをペン先26に供給するための管28(一般に「フィーダー」または供給口と呼ばれる)と、ペン先26およびフィーダー28を支持するバレル30とを備える。
【0022】
ペン先ユニット14は、特にねじ込みによって、中空体12の第1の端部18に取り付けられる。
【0023】
ペン先ユニット14は、当技術分野でよく知られたタイプであり、従って以下では詳細に述べられないことになる。
【0024】
万年筆10が使用されていないときにペン先26を保護するためのキャップ16は、特にそれを所定の位置にスナップ式で取り付けるまたはねじ込むことによって、長手方向軸XXに沿ってバレル30上に取り付けられかつ中空体12に一時的に固定されるように設計される。
【0025】
万年筆10はさらに、内室22およびペン先26/フィーダー28アセンブリを接続し、かつ長手方向軸XXに沿って延びるインク流路34を画定する接続部分32を備える。
【0026】
接続部分32は、インク流路34を開閉するためのバルブ36およびバルブ36と内室22との間に挿入されるストライカ38を備える。
【0027】
図2および図3で最もよくわかるように、バルブ36は、長手方向軸XXに沿って延びかつインク流路34の一部分を画定する管状部材40を備える。
【0028】
管状部材40は、ペン先26/フィーダー28アセンブリの対応する端部を漏れない態様で受け入れるように構成された第1の端部セクション42を備える。
【0029】
第1の端部セクション42は、実質的に円形の内部横断面を有する第1の部分44、および第1の部分44に隣接する第2の部分46を備える。
【0030】
第2の部分46は、第1の部分44のそれよりも小さい実質的に円形の内部横断面を有する。
【0031】
バルブ36はそれ故に、異なる寸法の端部を有するペン先ユニット14に適している。
【0032】
管状部材40は、第1の端部セクション42の反対側にありかつストライカ38と協働するように設計された第2の端部セクション48を備える。
【0033】
第2の端部セクション48は、実質的に円形でかつ一定の内部横断面を有する第1の部分50および第1の部分50に隣接する第2の部分52を備える。
【0034】
第2の部分52は、第1の部分50からストライカ38の方へ広がる実質的に円形の内部横断面を有する。
【0035】
バルブ36は、第2の端部セクション48の内面に作成された複数の縦溝54を備える。
【0036】
管状部材40は、第1および第2の端部セクション42、48を接続する中央セクション56を備える。
【0037】
中央セクション56は、実質的に正方形の内部横断面を有し、各辺は、実質的に1mmから1.50mmの間であり、好ましくは実質的に1.35mmに等しい。
【0038】
この正方形の形状は、バルブ36を通るインクの流れを最適化する。
【0039】
バルブ36は、中央セクション56の正方形内部横断面の2つの対向する頂点に作られた、形が実質的にピラミッド状である、一対の対向する切り込み58(図3)を備え、そこで中央セクション56は、第2の端部セクション48を連結する。
【0040】
これらの切り込み58は、インクタンク24からペン先ユニット14へのインクの通過を容易にする。
【0041】
バルブ36はさらに、第2の端部セクション48の第2の部分52を取り囲みかつ漏れない密閉を形成するためにストライカ38と係合するように構成されたカラー60を備える。
【0042】
バルブ36は、第2の端部セクション48の第1の部分50とカラー60との間に放射状に延びる、2つの対向する指標付け突出部62を備える。
【0043】
指標付け突出部62は、長手方向軸XXの周りで切り込み58に対して、従って中央セクション56の正方形内部横断面の対角線に対して、オフセット角α(アルファ)だけ角度オフセットしている。
【0044】
オフセット角αは、実質的に20°に等しい。
【0045】
指標付け突出部62は、以下で説明されるように、バルブ36の作動ピンに対して中央セクション56の正方形内部横断面を最適に位置決めすることを可能にする。
【0046】
バルブ36は、中央セクション56の弾性変形によってインク流路34を選択的に開閉するように構成される。
【0047】
より具体的には、バルブ36の中央セクション56は、インク流路34が開いている休止位置(図4)と、インク流路34が閉じている変形位置(図5)との間で弾性的に変形可能である。
【0048】
特に、休止位置では、中央セクション56の正方形内部横断面の内面は、互いに離れて間隔が空いている。
【0049】
変形位置では、中央セクション56の内部正方形横断面の対向する内面は、互いに接触している。
【0050】
バルブ36は、例えばシリコーンから作られ、シリコーンは、よりよいインクの流れを可能にする表面処理および/または物理的処理を受けることができる。
【0051】
図4および図5を参照すると、万年筆10は、バルブ36の中央セクション56を変形させるのに適した、バルブ36のためのアクチュエータ64を備える。
【0052】
アクチュエータ64は、ペン先ユニット14に提供されるキャップ16および一対の対向するピン66を備える。
【0053】
ピン66は、ペン先ユニット14のバレル30に形成された、対応する対向放射状穴68に置かれる。
【0054】
ピン66は、長手方向軸XXの周りでバルブ36の指標付け突出部62に対して、実質的に90°に等しい角度だけ、角度オフセットしている。
【0055】
それ故に、ピン66は、長手方向軸XXの周りでバルブ36での切り込み58に対して、従ってバルブ36の中央セクション56の正方形内部横断面の対角線に対して、角度オフセットしている。
【0056】
このオフセット角は、オフセット角α(アルファ)に対応する。
【0057】
ピン66は、初期位置と、中央セクション56を変形させてインク流路34を閉じる力が中央セクション56に加えられる動作位置との間で、長手方向軸XXに垂直な方向にスライド可能であるようにバレル30に対して取り付けられる。
【0058】
図4で示されるようなピン66の初期位置では、ピン66は、中央セクション56に面する端部およびバレル30から放射状に突き出る反対側の端部を有する。
【0059】
この初期位置では、中央セクション56は、その休止位置にあり、変形されない。
【0060】
ピン66を動作位置の方へ動かすために、キャップ16が、長手方向軸XXに沿ってバレル30上にねじ込まれ、キャップ16の内面はその結果、ピン66を互いの方へ押しやる。
【0061】
図5で表されるピン66の動作位置では、ピン66は、中央セクション56が、インク流路34が閉じられるその変形位置を取るように、中央セクション56に力を加える。
【0062】
ピン66とバルブ36の中央セクション56の正方形内部横断面の対角線との間で実質的に20°に等しいオフセット角は、インク流路34が実際に閉じられることを確実にする。
【0063】
中央セクション56およびピン66は、キャップ16が中空体12上に留められているまたはねじ込まれている限り、それらの変形した動作位置に保持される。
【0064】
逆に、キャップ16が、中空体12から取り外され、長手方向軸XXに沿ってバレル30から除去されると、中央セクション56は、その初期形状を取り戻し、同時にピン66を外側へ押し、それは、インク流路34を開通させる。
【0065】
万年筆10はその結果、使える状態にある。
【0066】
図6は、接続部分32のストライカ38を詳細に示す。
【0067】
ストライカ38は、インクタンク24と協働して、インクがインクタンク24とペン先26/フィーダー28アセンブリとの間を流れることを可能にするように構成される。
【0068】
ストライカ38は、実質的に長手方向軸XXに沿って延びかつインク流路34の一部分を画定する、実質的に円筒状のトング70を備える。
【0069】
トング70は、2つの肩部を備えた段付き輪郭、または言い換えれば、階段に似ている輪郭を有し、それは、バルブ36により近いインクの供給量を増加させる。
【0070】
より具体的には、トング70は、長手方向軸XXに実質的に垂直な平面で延びる平坦部分74を有する端部エッジ72を備える。
【0071】
端部エッジ72は、長手方向軸XXに対して、トング70の反対側の端部78の方へ傾いている第1の部分76を平坦部分74の両側に備える。
【0072】
端部エッジ72は、長手方向軸XXに実質的に平行でかつ第1の部分76を反対側の端部78の方へ延長する第2の部分82、および第2の部分82に実質的に垂直な第3の部分84によって形成される第1の段または肩部80を備える。
【0073】
端部エッジ72は、長手方向軸XXに実質的に平行でかつ第3の部分84を反対側の端部78の方へ延長する第4の部分88、および第4の部分88に実質的に垂直な第5の部分90によって形成される第2の段または肩部86を備える。
【0074】
トング70は、その内面に作成された複数の縦溝92を備える。
【0075】
溝92は、インク流路34を通るインクの流れを容易にする。
【0076】
トング70は、例えば長手方向軸XXの周りでトング70の内面に規則的に分配された24本の溝92を備える。
【0077】
ストライカ38はさらに、トング70の反対側の端部78を取り囲みかつ反対側の端部78から少し離れた周壁94を備える。
【0078】
反対側の端部78と周壁94との間のスペースは、漏れない態様でインクタンク24を受け入れるように構成される。
【0079】
周壁94は、その内面の自由端に形成された、面取りした面96を有し、それは、インクタンク24をストライカ38に取り付けるのを容易にする。
【0080】
トング70の反対側の端部78および周壁94は、バルブ36の第2の端部セクション48の第2の部分52およびカラー60と接触して密閉するように置かれる。
【0081】
ストライカ38は、それがバルブ36をわずかに圧縮し、それ故にバルブ36を変形させることなくバルブ36との密閉を形成するように、例えばねじ込みによって、ペン先ユニット14のバレル30に付着される。
【0082】
ストライカ38は、異なる種類のインクタンク24で動作するように設計される。
【0083】
インクタンクを形成するコンバータ24Aは、図1で例示される。
【0084】
コンバータ24Aは、トング70と周壁94との間のスペースに、流体密閉の態様でストライカ38に受け入れられる口100を備える。
【0085】
コンバータ24Aは、実質的に長手方向軸XXに沿って延びかつインク流路34と流体連通する、柔軟なポーチ102を備える。
【0086】
柔軟なポーチ102は、変形可能であり、例えばシリコーンから作られる。
【0087】
柔軟なポーチ102は、0.8mLから0.9mLの間の、好ましくは実質的に0.85mLに等しい容積を有する。
【0088】
コンバータ24Aはさらに、柔軟なポーチ102を変形させるために、それが長手方向軸XXに沿ってスライドすることを可能にするように取り付けられたピストン104と、ピストン104を動かすために、それが長手方向軸XXの周りで回転することを可能にするように取り付けられたピストンアクチュエータ106とを備える。
【0089】
ストライカ38はまた、インクタンクを形成するカートリッジでも動作するように設計される。
【0090】
そのようなカートリッジは、剛体管、管の一端に配置された口、および口の内部に挿入された管密閉用プラグを備える。
【0091】
口は、トング70と周壁94との間のスペースに、流体密閉の態様でストライカ38に受け入れられるように構成される。
【0092】
それ故に、口は、ストライカ38のトング70の外径よりも大きい内径を有する。
【0093】
例えば、内径は、6.8mmから7.3mmの間であり、好ましくは実質的に7.1mmに等しい。
【0094】
管密閉用プラグは、カートリッジがストライカ38に取り付けられる前は、実質的に口の中央で、口の内側に強制的に挿入され、実質的に長手方向軸XXに垂直に延びる。
【0095】
カートリッジが、ストライカ38に取り付けられると、トング70の段付き輪郭は、プラグを傾け、それを管中に押し戻し、プラグはその結果、実質的に長手方向軸XXに沿って位置し、トング70の第1の肩部80の上にある。
【0096】
管の内面は、インクを口の方へより効率的に流すための縦溝を備えてもよい。
【0097】
これらの配置では、かなりの流量のインクが、ペン先ユニット14に供給される可能性がある。
【0098】
本発明は従って、温度および/または圧力の変動を含む、それが受ける条件にかかわらず、閉じた位置で密閉され、インクタンクからペン先への最適なインク循環を確実にする、万年筆を提供する。
【0099】
実際、バルブおよびストライカならびにそれらの相対配置の特徴は、キャップが開かれるときのインクの漏れを低減するだけでなく、また万年筆内でのインクの流れも改善する。
【0100】
さらに、この「汎用の」ストライカを有する、本発明の万年筆は、コンバータであろうとカートリッジであろうと、様々な種類の取り外し可能なインクタンクで使用されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10 万年筆
12 中空体
14 ペン先ユニット
16 キャップ
18 第1の端部
20 第2の端部
22 内室
24 インクタンク
24A コンバータ
26 ペン先
28 フィーダー
30 バレル
32 接続部分
34 インク流路
36 バルブ
38 ストライカ
40 管状部材
42 第1の端部セクション
44 第1の部分
46 第2の部分
48 第2の端部セクション
50 第1の部分
52 第2の部分
54 縦溝
56 中央セクション
58 切り込み
60 カラー
62 指標付け突出部
64 アクチュエータ
66 ピン
68 放射状穴
70 トング
72 端部エッジ
74 平坦部分
76 第1の部分
78 反対側の端部
80 第1の段または肩部
82 第2の部分
84 第3の部分
86 第2の段または肩部
88 第4の部分
90 第5の部分
92 溝
94 周壁
96 面取りした面
100 口
102 柔軟なポーチ
104 ピストン
106 ピストンアクチュエータ
XX 長手方向軸
II 細部
α オフセット角
図1
図2
図3
図4
図5
図6