(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366618
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20180723BHJP
B60P 3/20 20060101ALI20180723BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
B60P3/20 Z
F25D17/06 302
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-11837(P2016-11837)
(22)【出願日】2016年1月25日
(65)【公開番号】特開2017-133711(P2017-133711A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】591150797
【氏名又は名称】株式会社デンソーエアクール
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 智己
(72)【発明者】
【氏名】松村 秀和
(72)【発明者】
【氏名】米村 光亮
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−059181(JP,U)
【文献】
特開2008−202912(JP,A)
【文献】
特開平10−205972(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0014527(US,A1)
【文献】
特開平06−159787(JP,A)
【文献】
特開2004−150735(JP,A)
【文献】
特開2002−286345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 − 31/00
B60P 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる冷却装置であって、
前記壁面に向いた空気取り入れ口と、
前記壁面に沿って冷却された空気を吹き出す吹出し口と、
第1の平坦部と、前記第1の平坦部から後退した第2の平坦部とを含むハウジングとを有し、
前記第1の平坦部は、前記壁面に取り付けられ、前記第2の平坦部に前記取り入れ口が設けられている、冷却装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ハウジングの前記第1の平坦部の下側の第1の部分に収納されたエバポレータと、
前記ハウジングの前記第2の平坦部の下側の第2の部分に収納された吸い込み用のファンとを有する、冷却装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の部分は、パッキンを介して前記壁面により封鎖される、冷却装置。
【請求項4】
壁面に取り付けられる冷却装置であって、
前記壁面に向いた空気取り入れ口と、
前記壁面に沿って冷却された空気を吹き出す吹出し口とを有し、
前記壁面は天井面である、冷却装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記壁面は天井面であり、
前記ハウジングは、底壁および周壁が一体成型され、ドレンパンを兼ねた下部ハウジングを含む、冷却装置。
【請求項6】
請求項2または3において、
前記壁面は天井面であり、
前記ハウジングは、当該ハウジングの底面の前記第1の部分と前記第2の部分との境界に設けられた凸部を含む、冷却装置。
【請求項7】
請求項2または3において、
前記ファンはターボファンである、冷却装置。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1の平坦部と前記第2の平坦部との高さの差は30mm以上、100mm以下である、冷却装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の冷却装置が天井に装着された車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面などの壁面に取り付けられる冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、特許文献2において、薄形とした限られた寸法制約の中で、必要な送風量を確保するために、ユニット本体の下面に送風ファンへの空気吸い込み口を設け、この空気吸い込み口に対向して鉛直軸回りに回転される送風ファンを設置し、さらに、送風ファンの下流側にエバポレータを配設して、ユニット前面から冷却空気を吹き出すようにした、下面吸い込み、前面吹き出しの風路構成を採用したユニット例が示されており、天井面に吊り下げ設置するタイプの冷凍ユニットとしては、かかる風路構成が一般的とされていることが記載されている。また、特許文献1には、上記した風路構造のものに対し、以下のような問題点が指摘されている。
【0003】
(1)冷凍輸送においては、冷却庫の扉を開閉した際(荷物の積み下ろし時)に庫内に侵入した外気中の水分が、急速に冷却され、小さな氷の結晶となって冷却庫内を浮遊している。一方、冷凍ユニットの空気吸い込み口には、異物や手、指等が入らないように比較的細かい目もしくは隙間を有するファンガード(吸い込みグリル)が設けられており、これが空気の吸い込み抵抗となる。また、空気中の氷の結晶が冷凍ユニットに吸い込まれるときにファンガードに衝突して付着し、霜となって成長堆積する。この霜により空気吸い込み口の開口が縮小または部分閉塞されると、風量がダウンし、性能低下や能力低下を招き、冷却不良を発生するおそれがある。
【0004】
(2)また、上記のようにして堆積された霜は、エバポレータおよびドレンパンをデフロストの際に一部融解されるが、その融解水が、そのまま空気吸い込み口から下方に滴下すると、荷物上に滴下されることになるため、荷物の品質低下あるいは損傷を引き起こすこととなる。
【0005】
(3)冷凍ユニット自体は薄形構造にできるが、冷凍ユニットの下面と、その下方に積載される荷物との間には、冷凍ユニット下面に設けられている空気吸い込み口に庫内空気を導く空気流路が確保されるように、荷物を積載する必要がある。このため、空気流路を形成する空間を差し引いて見ると、実際に荷物を積載できる有効積載可能容積は、期待するほどに増大させることはできない。
【0006】
これに対し特許文献1においては、空気吸い込み口を十分に大きく取ることができるとともに、ユニット側から結露水や霜の融解水が荷物上に滴下するのを抑制することができ、かつ荷物の有効積載可能容積を増大することができる輸送用冷凍ユニットを提供することを目的とすることが記載されている。このため、特許文献1においては、エバポレータと送風ファンとを有するユニット本体が冷却庫の天井面に吊り下げ設置される輸送用冷凍ユニットにおいて、ユニット本体内の一部は、ユニット厚さ方向に上下二層構造とされ、その一方が空気吸い込み流路、他方が空気吹き出し流路とされるとともに、空気吸い込み流路と空気吹き出し流路間には、空気吸い込み流路側から空気を吸い込み、空気吹き出し流路側に吹き出す送風ファンが配設され、空気吸い込み流路への空気吸い込み口が、ユニット本体の一側面に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−202912号公報
【特許文献2】特開2001−82858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さらに空気の取り入れ口を十分に大きく取ることができるとともに、コンパクトな冷却装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、壁面に取り付けられる冷却装置である。この冷却装置は、壁面に向いた空気取り入れ口と、壁面に沿って冷却された空気を吹き出す吹出し口とを有する。この冷却装置においては、空気取り入れ口が、冷却装置が取り付けられた壁面、例えば、天井面、側壁面を向く。このため、薄型の冷却装置であっても、空気取り入れ口を側面に設けるのに対して大きくしやすい。さらに、空気取り入れ口を壁面に向けることにより、空気取り入れ口から異物や手、指等が入りにくくなるので、吸い込みグリルなどの障害物を省くか、または最小限にすることが可能となる。このため、空気取り入れ口の開口面積(開口率)を大きくでき、着霜、着氷などによる風量の低下を抑制できる。
【0010】
さらに、この冷却装置においては、壁面に沿って流路が確保されれば空気を取り入れできる。このため、天井面に取り付けられた冷却装置であれば、冷却装置の下側だけではなく、側面に対しても冷却装置の近傍まで荷物などを置く(積む)ことができ、冷却装置が設置されたスペースをいっそう有効に活用できる。
【0011】
この冷却装置は、壁面に取り付けられる第1の平坦部と、第1の平坦部から後退し、取り入れ口が設けられた第2の平坦部とを含むハウジングを有してもよい。冷却装置の壁面側の全体を壁面から離すように取り付けてもよいが、壁面に直に取り付けられる第1の平坦部を設けることにより、その後方、例えば天井面に取り付けられる場合は第1の平坦部の下側のハウジング内のスペースを広げたり、天井面により密着した冷却装置を提供できる。この冷却装置は、ハウジングの第1の平坦部の下側の第1の部分に収納されたエバポレータと、ハウジングの第2の平坦部の下側の第2の部分に収納された吸い込み用のファンとを有していてもよい。また、第1の平坦部は壁面に密着するので、第1の部分は、パッキンを介して壁面により封鎖されてもよい。
【0012】
この冷却装置が取り付けられる壁面の好適な例は天井面である。この冷却装置のハウジングは、底壁および周壁が一体成型され、ドレンパンを兼ねた下部ハウジングを含んでもよい。空気取り入れ口が天井面を向くので、ハウジングの底壁および周壁には、少なくとも下側の周壁には、ドレンの排出を除き、基本的には開口は不要であり、一体成型しやすく、ドレンが漏れ出すことが少ない冷却装置を提供できる。
【0013】
さらに、ハウジングは、当該ハウジングの底面の第1の部分と第2の部分との境界に設けられた凸部を含んでいてもよい。天井面に向いて取り入れ口が設けられるハウジングの第2の部分は、天井面に取り付けられる第1の部分よりも下側に配置でき、吹出し口に対して反対側の第2の部分にドレンを貯めやすい。さらに、凸部により、エバポレータが設置された第1の部分と、ファンが設置された第2の部分との間のドレンの流通を制御できる。ファンの一例は風量および風圧ともに確保しやすいターボファンである。
【0014】
本発明の他の態様は、上記の冷却装置が天井に装着された車両である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】冷却装置が天井に装着された車両の概要を示す側面図。
【
図5】ハウジングの下側の部分の構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、冷却装置が荷室の天井に装着された車両の概略構成を斜視図により示している。車両1は、荷物を冷却(冷凍)した状態で保管および輸送する荷室(冷却庫、冷凍庫)2と、荷室2の温度を制御する冷却システム10とを有する。冷却システム10は、荷室2の天井3に取り付けられる冷却装置(室内機)20と、冷却庫2の外に配置される室外機11と、冷却装置20と室外機11との間で冷媒を循環する配管系13とを含む。冷却装置20は、エバポレータ21およびファン22を含む。室外機11は、コンデンサー14とコンプレッサ12とを含む。コンプレッサ12は、エンジンルームなどの他の場所に配置されていてもよい。
【0017】
冷却装置20は、車両後方の荷室2の天井面3に取り付けられたハウジング60と、以降において冷風6の吹き出し方向を前方とすると、ハウジング60の後方に位置し、荷室2の天井面(壁面)3に向いた空気取り入れ口34と、ハウジング60の前方から天井面3に沿って冷却された空気(冷風)6を前方に吹き出す吹出し口41とを有する。冷却装置20の取付方法は本例に限らず、冷風6の吹出し方向は後方でも、横方向であってもよい。冷却装置20は、天井面3を向いた空気取り入れ口34からファン22により吸い込まれた空気(吸気)5をエバポレータ21で冷却し、冷風6を天井面3に沿って吹出す。
【0018】
図2に、冷却装置20を拡大して示している。また、
図2においては冷却装置20の内部構成を断面図により示している。
図3に、冷却装置20の概略構成を斜視図により示している。
図4に、冷却装置20の内部構成を、上ハウジング30を外した状態で平面図により示している。
【0019】
冷却装置20は、天井面3に取り付けられる薄型の冷却装置であり、全体として平板状の、上下方向の厚みに対して、前後および左右方向の長さが大きい(長い)、薄型のハウジング60を含む。ハウジング60は側方から見た形状が、冷風6の吹き出し方向を前方とすると、前後に延びた平たい、あるいは潰れたL字型であり、前方の部分(第1の部分)23の上下方向の寸法(厚み)に対して後方の部分(第2の部分)24の厚みが小さく、第1の部分23が天井面3に直に取り付けられ、第2の部分24がステー35を介して天井面3に対して隙間(スペース)Sを開けた状態で取り付けられている。
【0020】
ハウジング60は、2段になった上面61と、潰れたL字型で下辺の後方が低くなるように傾いた側面63と、ほぼ平坦な下面65とを含む。ハウジング60の上面61は、天井面3に取り付けられる第1の平坦部31と、第1の平坦部31から後退した第2の平坦部32とを含み、第1の平坦部31と第2の平坦部32とは、傾斜した接続部33により接続され、第1の平坦部31と第2の平坦部32とに段差(高低差)が形成されている。ハウジング60の前方(前面)67に冷風6の吹出し口41が設けられており、上面61の後方の第2の平坦部32に、空気5の取り入れ口34が幅方向に並んで設けられている。ハウジング60の前方の第1の平坦部31の下側の第1の部分23にエバポレータ21が収納され、後方の第2の平坦部32の下側の第2の部分24にファン22が収納され、上面61の取り入れ口34からファン22により吸引された空気5が前方のエバポレータ21で冷却され、前方の吹き出し口41から冷風6として出力される。
【0021】
ハウジング60は、大きく2つの構成に分割されており、上面61を構成する上ハウジング(フレーム)30と、側面63および下面65を構成し、上ハウジング30を覆うように取り付けられる下ハウジング(カバー)40とを有する。カバー40は、樹脂または金属製で一体成型された部材であり、ドレンパンとしての機能を備える。
【0022】
フレーム30の第1の平坦部31は、前方の吹き出し口41に向いて開いたコの字型の開口37と、その両側に設けられたネジ穴36とを含み、天井面3に対し直に取り付けられる。第2の平坦部32は、幅方向に並んだ2つの空気取り入れ口34と、これらの取り入れ口34を挟むように配置された3つのステー(支持部材)35とを含む。各ステー35にネジ穴36が設けられており、第2の平坦部32は、ステー35を介して天井面3に取り付けられ、天井面3と第2の平坦部32との間に隙間Sが設けられるようになっている。第2の平坦部32に設けられる取り入れ口34の数は、1つでもよく、3つ以上であってもよい。また、ステー35の数も1つまたは2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
【0023】
上述したように、冷却装置20により吸引される空気5には、冷却された荷室2が開け閉めされることが多いので、荷室2内の水分の一部が、凍結されて形成された微細な氷(昇華した粒子)として含まれ、ファンガードに付着して吸い込み口を閉塞させたり、ドレンとなって荷物の上に滴下させたりする問題が報告されている。特に荷室2が冷蔵庫または冷凍庫として使用されている場合は、この問題は大きな課題である。また、下面から空気5を吸い込むタイプであると、冷却装置を薄型にしても、冷却装置の下側に空気流路を確保する必要があり、有効積載可能容量の増大が見込めないという問題も報告されている。
【0024】
本例の冷却装置20を荷室2の天井面3に装着した場合は、冷却装置20の空気取り入れ口34が天井面3を向く。このため、冷却装置20の下方に空気5を取り込むためのスペースを確保する必要がない。さらに、ハウジング60の側面63においても、空気5を取り込むためには、天井面3の近くにスペースが確保できればよい。したがって、この荷室2には、冷却装置20の側面に達するまで荷物を積載することができ、冷却装置20を設置したことによる有効積載可能容量の増大が期待できる。さらに、天井面3の近くの最も温度の高い空気5を吸引して冷風6として循環できるので、効率よく荷室2を冷却できる。
【0025】
また、薄型で平坦なハウジング60の天井面3を向いた上面61、具体的には第2の平坦部32に空気5の取り入れ口34が配置される。薄型のハウジング60において、側面63に対して上面61の面積は大きく、取り入れ口34の開口面積を大きく確保できる。さらに、取り入れ口34が天井面3を向くので、稼働中は、取り入れ口34に簡単にはアクセスできない。このため、異物や手などが入らないための目の細かなファンガードは不要であり、本例の冷却装置20のように、ファンガードを設けなくてもよい。したがって、取り入れ口34の開口率を大きくでき、取り入れ口34の通過風速を低減でき、取り入れ口34に霜が着氷したり、取り入れ口34が霜により縮小または閉塞することを抑制できる。さらに、取り入れ口34の開口面積を大きくできるので、ファン22の消費電力を低減でき、通過音の発生も抑制できる。
【0026】
さらに、この冷却装置20を天井面3に取り付けた場合は、天井面3と第2の平坦部32との間が、空気5が通過するスペース(ダクトスペース)Sとなり、第2の平坦部32と向かい合う天井面3の部分3aに沿って空気5が流入する。第2の平坦部32は、薄型で平板状のハウジング60の上面61の一部であり、面積を広く確保でき、第2の平坦部32と向かい合う天井部分3aの面積も大きくできる。このため、ファン22や取り入れ口34に流入する空気5は、流入する前に第2の平坦部32と向かい合う天井部分3aに沿って流れ、空気5に氷の結晶が含まれている場合も、取り入れ口34に流入する前に面積が広い天井部分3aに着霜させることができる。
【0027】
また、第2の平坦部32の面積も大きく、取り入れ口34として十分な面積の開口を確保しても、その周縁部32aの面積を確保でき、周縁部(取り入れ口34の左右および後方)32aを着霜のための領域として使用できる。これらの部分(領域)は、第2の平坦部32の周囲の広範囲に渡るため、ある程度着霜が成長しても、全体が塞がれる事態は発生しにくく、風量の低下を抑制しやすい。したがって、新たに着霜を防止するための構造や、着霜した氷を融解するための構成等を設ける必要はなく、コンパクトで、冷却能率のよい冷却装置20を提供できる。
【0028】
また、第2の平坦部32に対向する天井部分3aに着霜した氷が融解したドレンは対面する第2の平坦部32に滴下し、第2の平坦部32の上に着霜した氷が融解したドレンも第2の平坦部32を流れて、取り入れ口34からハウジング60内に入り、ドレンパンを兼ねたカバー40で回収される。したがって、これらの部分に発生した着氷による融解水が荷物上に滴下することを防止できる。
【0029】
天井面3と第2の平坦部32との隙間(スペース)Sの高さ、または、第1の平坦部31と第2の平坦部32との高さの差、すなわち、ステー35の高さは、多少の着霜があっても風量が下がりすぎたり、風速が上がりすぎたりすることがないことを考慮すると、30mm以上であることが好ましく、35mm以上であることがさらに好ましい。30mmより薄くなると、ファン22で風量を確保することが難しくなる。また、ステー35の高さが高くなると、有効積載可能容量の低下につながるので、100mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがさらに好ましく、50mm以下であれば着霜を抑制できるとともに、手などが入ることもなくいっそう好ましい。
【0030】
本例の冷却装置20は、2つのターボファン22を含み、第2の平坦部32の2つの取り入れ口34から空気5を吸引するように第2の平坦部32から吊り下げられるようにして固定されている。ファン22により吸引された空気5は、ターボファン22の側方から吹き出され、ハウジング60内を通って第1の部分23に収納されたエバポレータ21により冷却されて、吹き出し口41から荷室2へ送風される。ファン22は、シロッコファンやプロペラファンなどであってもよいが、ターボファンとすることにより風量および風圧を確保しやすいとともに、冷却装置20を薄型化しやすい。
【0031】
冷却装置20のハウジング60の上面61の第1の平坦部31は開口37を含み、エバポレータ21が開口37に表れるように、フレーム30から吊り下げられるようにして固定されている。冷却装置20は、この開口37を覆うように配置されたパッキン(シール)25を含み、第1の平坦部31を天井面3に取り付けると、開口37は、パッキン25を介して天井面3により封鎖されている状態となる。この冷却装置20においては、フレーム30の開口37を挟んだ部分が天井面3に冷却装置20を取り付ける部分となっており、開口37を設けても強度を確保できる。このため、開口37を設けることにより軽量化でき、または経済的なメリットもある。さらに、ハウジング60の内部においては、ファン22の上方に開口した取り入れ口34から空気5がファン22に取り込まれ、ハウジング60内の底面69に沿って流れて、エバポレータ21に供給される。このため、ハウジング60の上面に当たる開口37はパッキン25で封鎖する程度で風圧等に対応できる。パッキン25は、フレーム30とエバポレータ21との間に配置して開口37を封鎖してもよく、第1の平坦部31と天井面3との間に配置し開口37を封鎖してもよい。第1の平坦部31を含む上ハウジング(フレーム)30の取り付け面の構造を簡略化できる。したがって、冷却庫2内に設置される冷却装置20を薄型化、軽量化できる。
【0032】
図5に、下ハウジング(カバー)40の概略構成を斜視図により示している。冷却装置20のカバー40は、底壁45および周壁46を一体形成した部材であり、ドレンパンとしての機能を兼ねている。周壁46には、天井面3に固定されたフレーム30に、カバー40を固定するためのネジ穴46aが形成されている。カバー40は、金属などで構成してもよいが、樹脂で一体成形することにより、成形後に隙間等を塞いだりする必要がなく、冷却装置20を簡素化、軽量化できる。
【0033】
カバー40の底壁45の内面、すなわち底面69は、ハウジング60の前方の第1の部分23のドレンパンとして機能する第1のドレンパン43と、後方の第2の部分24のドレンパンとして機能する第2のドレンパン44と、ドレンパン43とドレンパン44との境界に、第1の部分23および第2の部分24のそれぞれで発生するドレンの流通を制御する凸部(第1の凸部、堰、堤防)42とを含む。第2のドレンパン44の両端部51には、ドレンを冷却装置20の外部へ排出するドレンパイプ47が取り付けられており、カバー40の両端にドレンパイプ47を配置するために内側に凹んだ部分53が設けられている。また、カバー40の後方に上部に立ち上がった形状49が設けられており、カバー40を中央のステー35に固定するためのねじ穴49aが設けられている。カバー40の中央部を天井面3に対して支持できるとともに、ネジ穴49aからドレンが漏れ出すことを防止できる。
【0034】
凸部42は、第2の部分24に収納される2つのファン22を囲うように平面視で前方(エバポレータ21の方向)に凸のコの字型に形成されている。底面69の第1のドレンパン43の部分は、後方の第2のドレンパン44の部分向かって下方に傾斜しており、主にエバポレータ21などで発生したドレン28は、第1の凸部42に沿って両端部51に集められ、ドレンパイプ47から排出される。底面69の第1のドレンパン43の部分にはエバポレータ21が着霜等した際に、その溶解を促進するドレンヒータが配置されていてもよく、さらにドレンヒータの熱を伝熱しやすくするために伝熱板等を配置してもよい。
【0035】
底面69の第2のドレンパン44の部分は、天井面3に対してほぼフラットであり、ファン22や、着霜した氷が解けて取り入れ口34から流入したドレン29は、第1の凸部42の両端に形成された隙間52を通って、ドレンパイプ47から外部に排出される。第2のドレンパン44の底が、それぞれの隙間52に向かってわずかに傾斜するように構成してもよい。
【0036】
底面69の第1のドレンパン43の部分と第2のドレンパン44の部分との境界に第1の凸部42を設けることにより、エバポレータ21などの前方の第1の部分23で発生したドレン28が、後方の第2の部分24に配置されたファン22等にかかることを抑制できる。また、第2の部分24で発生したドレン29がファン22の吹き出す風圧に巻き込まれてエバポレータ21等にかかることを抑制できる。
【0037】
カバー40は、周壁46および底壁45が一体成型された部材であり、前方上部に設けられた吹き出し口41と、後方上部に設けられた配管系13や、配線等を外部に出すための開口部48と、周壁46の上部に設けられたフレーム30との接続用のねじ孔46aを除き、切欠きや孔はなく、カバー40に集められたドレン28および29は、カバー40の下側で唯一接続されているドレンパイプ47を通って排出される。したがって、ドレン28および29が冷却装置20から漏れ出すことを抑制できる。
【0038】
以上に説明したように、冷却装置20においては、ハウジング60の上面61が天井面3に取り付けられる第1の平坦部31と、第1の平坦部31から後退した第2の平坦部32とを含み、第2の平坦部32に天井面3を向いた空気の取り入れ口34を設けている。冷却装置20は、ハウジング60の上面61の全体が平坦で、ハウジング60を上面61と天井面3との間に適当な隙間Sが形成されるように天井面3に取り付けられ、天井面3に向いた取り入れ口34から空気5が取り入れられるようになっているものであってもよい。天井面3に取り付けられる第1の平坦部31を設けることにより、冷却装置20が天井面3から突き出る距離を小さくできる。この冷却装置20は、下面65を超えて側面63に達するまで荷物を積み込むことができるが、下面65を天井面3に近づけることにより、荷室2の有効積載可能容積をさらに大きくできる。また、取り入れ口34と吹出し口41との間を第1の平坦部31で遮断できるので冷風6が短絡して取り入れ口34に入ることを抑制できる。
【0039】
ハウジング60の下側を覆うカバー40は、一体型ではなく、分割された構造であってもよい。しかしながら、冷却装置20は、天井面3に向けて空気取り入れ口34が配置されるので、下面および側面に取り入れ口などの開口や切欠きをなくすことが可能であり、冷却装置20のハウジング60の下側のカバー40を、一体形成することによりドレン28および29が冷却装置20の外部に漏れ出しにくい構造にすることが容易となる。したがって、冷却装置20内またはダクトスペースSで発生したドレンが冷却装置20の外部に漏れ出し、荷物等を濡らしたりすることを抑制できる。
【0040】
なお、以上の説明においては、トラック1の荷室2の天井面3に冷却装置20が取り付けられた例をもとに説明を行ったが、冷却装置20は、側壁等に取り付けてもよい。冷却装置20は、トラックの荷室2に限らず、トラック、電車や船で搬送される冷凍コンテナや、倉庫、建物内部の冷却エリア等に取り付けて使用してもよい。冷却装置20は、ヒーターなどの暖房用の機器を搭載した空調装置であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
20 冷却装置、 21 エバポレータ、 22 ファン
30 上ハウジング
31 第1の平坦部、 32 第2の平坦部、 34 空気取り入れ口
40 下ハウジング、 41 吹き出し口、 42 凸部(第1の凸部)
60 ハウジング