【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る風車タワーは、
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含む。
【0009】
上記(1)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受ける筒状体は、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、筒状体の肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(1)の構成では、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介して筒状体に伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(1)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記補剛板の下方において前記上下方向に沿って延在し、前記筒状体の内壁面から前記径方向内側に向かって突出するように設けられた第1リブをさらに備え、
前記補剛板の下面と前記第1リブの上端部とが接合されている。
【0011】
上記(2)の構成によれば、補剛板の下方において上下方向に沿って延在し、筒状体の内壁面から径方向内側に向かって突出するように第1リブが設けられているので、荷重伝達部で受けたタワー基部の荷重を、第1リブを介して筒状体に円滑に伝達することができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記タワー本体は、前記タワー本体の前記基部の下端において前記タワー本体の周方向に沿って設けられたタワー本体側フランジを含み、
前記荷重伝達部は、
前記筒状体の内周側かつ前記タワー本体と前記補剛板との間において、上下方向に沿って設けられた管状部材と、
前記管状部材の上端部において、前記管状部材の周方向に沿って設けられ、前記タワー本体側フランジと接合された基礎構造側フランジと、を含む。
【0013】
上記(3)の構成によれば、タワー本体と補剛板との間に設けられた管状部材の上端部に設けられた基礎構造側フランジとタワー本体側フランジとが接合された簡素な構成で、タワー本体と基礎構造とを接続するとともに、基礎構造側フランジで受けるタワー基部の荷重を、管状部材を介して筒状体に伝達させることができる。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記荷重伝達部は、前記タワー本体と前記補剛板との間において前記上下方向に延在するように、前記管状部材の内壁面又は外壁面の少なくとも一方に設けられた第2リブをさらに備える。
【0015】
上記(4)の構成によれば、タワー本体と補剛板との間に上下方向に延在する第2リブが設けられているので、タワー基部の荷重を、管状部材及び第2リブを介して筒状体に伝達させることができる。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記荷重伝達部は、
前記筒状体の内周側において、前記タワー本体と前記補剛板との間に打設されたコンクリートと、
前記タワー本体の荷重を前記コンクリートに伝えるためのアンカーボルトと、
をさらに含む。
【0017】
上記(5)の構成によれば、アンカーボルト及びタワー本体と補剛板との間に打設されたコンクリートを介して、タワー基部の荷重を筒状体に伝達させることができる。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記荷重伝達部は、前記コンクリートから前記筒状体へ前記荷重を伝達するためのシアキーをさらに含む。
【0019】
上記(6)の構成によれば、タワー基部の荷重は、シアキーを介してコンクリートから筒状体へ伝達される。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、前記基礎構造は、前記筒状体の頂部を被覆する被覆材をさらに備える。
【0021】
上記(7)の構成によれば、筒状体の頂部は被覆材で被覆されているので、筒状体の頂部を腐食から保護することができる。
また、筒状体の頂部は、地面又は海底への打設時に打撃されることにより変形する場合がある。この点上記(7)の構成によれば、筒状体の頂部を被覆材で被覆して、形状を整えることができる。これにより、筒状体の頂部の形状(例えば突起)により、基礎構造の上での作業が影響を受けることがなくなる。
【0022】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記基礎構造は、前記筒状体の前記頂部から前記筒状体の径方向外側に張り出すように設けられ、前記被覆材と一体的に形成された鍔部をさらに有する。
【0023】
上記(8)の構成によれば、筒状体の頂部から筒状体の径方向外側に張り出すように鍔部が形成されているので、この鍔部を基礎構造上の作業用スペースとして用いることができる。
【0024】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記荷重伝達部は、前記筒状体の軸方向に沿って設けられた空間 を有し、
前記筒状体の前記補剛板よりも下方の内部空間と、前記タワー本体の内部空間とは、前記空間を介して連通している。
【0025】
上記(9)の構成によれば、荷重伝達部に設けられた空間を介して、筒状体の補剛板よりも下方の内部空間と、タワー本体の内部空間とが連通している。よって、タワー本体の内部と、筒状体の補剛板よりも下方の内部空間との間に、機器や部品を配置したり移動させたりすることができる。例えば、タワー内の空間から基礎構造の下方の空間にわたって、電源ケーブルや通信ケーブルを配置することができる。
【0026】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記筒状体は、地面又は海底に少なくとも部分的に埋設されたモノパイルである。
【0027】
上記(10)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受けるモノパイルは、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、モノパイルの肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(10)の構成によれば、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介してモノパイルに伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(10)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0028】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記筒状体は、地面又は海底に少なくとも部分的に埋設されたモノパイルと前記タワー本体との間に設けられたトランジションピースである。
【0029】
上記(11)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受けるトランジションピースは、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、トランジションピースの肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(11)の構成によれば、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介してトランジションピースに伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(11)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0030】
(12)本発明の少なくとも一実施形態に係る風車は、
上記(1)乃至(11)の何れかに記載の風車タワーと、
前記風車タワーに支持される風車ロータと、
を備える。
【0031】
上記(12)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受ける筒状体は、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、筒状体の肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(12)の構成では、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介して筒状体に伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(12)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0032】
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係る風車タワーの組立方法は、
基礎構造と、タワー本体と、を含む風車タワーの組立方法であって、
前記基礎構造は、前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、前記筒状体の内壁面に設けられた補剛板と、を含み、
前記基礎構造を地面又は海底に少なくとも部分的に埋設させる埋設ステップと、
前記筒状体と前記タワー本体の下端部とを接続して前記基礎構造に前記タワー本体を立設するステップと、
前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部を、前記補剛板と前記タワー本体の前記基部の間に形成するステップと、
を備える。
【0033】
上記(13)の方法では、タワー本体の基部の荷重を受ける筒状体は、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、筒状体の肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(13)の方法では、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介して筒状体に伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(13)の方法によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0034】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の方法において、
前記埋設ステップの前に、前記荷重伝達部の少なくとも一部を前記筒状体の内側に形成する。
【0035】
上記(14)の方法によれば、基礎構造を地面又は海底に埋設させる埋設ステップの前に、荷重伝達部の少なくとも一部を筒状体の内側に予め形成する。よって、荷重伝達部の上記一部を筒状体の内側に形成する作業を、例えば、筒状体の製造工場で行うことができ、該作業を風車の設置現場で行う必要がなくなる。よって、効率良く風車を組み立てることができる。
【0036】
(15)幾つかの実施形態では、上記(13)又は(14)の方法において、
前記埋設ステップでは、前記筒状体の頂部を打撃することにより前記筒状体を埋設させ、
前記組立方法は、打撃された前記筒状体の前記頂部を被覆材で被覆するステップをさらに備える。
【0037】
上記(15)の方法によれば、筒状体の頂部を被覆材で被覆するので、筒状体の頂部を腐食から保護することができる。
また、筒状体の頂部は、地面又は海底への打設時に打撃されることにより変形する場合がある。この点上記(15)の構成によれば、筒状体の頂部を被覆材で被覆して、形状を整えることができる。これにより、筒状体の頂部の形状(例えば突起)により、基礎構造の上での作業が影響を受けることがなくなる。