特許第6366656号(P6366656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6366656風車タワー及び風車並びに風車タワーの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366656
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】風車タワー及び風車並びに風車タワーの組立方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20180723BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20180723BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F03D13/25
   E02D27/32 Z
   E02D27/52
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-170715(P2016-170715)
(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-35768(P2018-35768A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】白石 恭章
(72)【発明者】
【氏名】横山 博昭
(72)【発明者】
【氏名】寺本 直人
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−253536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/25
E02D 27/32
E02D 27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記荷重伝達部は、
前記補剛板の上面に接続される下端部と、前記タワー本体の下端部に接続される上端部と、を有する管状部材
を含む
ことを特徴とする風車タワー。
【請求項2】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記補剛板の下方において前記上下方向に沿って延在し、前記筒状体の前記内壁面から前記径方向内側に向かって突出するように設けられた第1リブをさらに備え、
前記補剛板の下面と前記第1リブの上端部とが接合されている
ことを特徴とする風車タワー。
【請求項3】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記タワー本体は、前記タワー本体の前記基部の下端において前記タワー本体の周方向に沿って設けられたタワー本体側フランジを含み、
前記荷重伝達部は、
前記筒状体の内周側かつ前記タワー本体と前記補剛板との間において、前記上下方向に沿って設けられた管状部材と、
前記管状部材の上端部において、前記管状部材の周方向に沿って設けられ、前記タワー本体側フランジと接合された基礎構造側フランジと、を含む
ことを特徴とする風車タワー。
【請求項4】
前記荷重伝達部は、前記タワー本体と前記補剛板との間において前記上下方向に延在するように、前記管状部材の内壁面又は外壁面の少なくとも一方に設けられた第2リブをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の風車タワー。
【請求項5】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記荷重伝達部は、
前記筒状体の内周側において、前記タワー本体と前記補剛板との間に打設されたコンクリートと、
前記タワー本体の荷重を前記コンクリートに伝えるためのアンカーボルトと、
をさらに含むことを特徴とする風車タワー。
【請求項6】
前記荷重伝達部は、前記コンクリートから前記筒状体へ前記荷重を伝達するためのシアキーをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の風車タワー。
【請求項7】
前記基礎構造は、前記筒状体の頂部を被覆する被覆材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の風車タワー。
【請求項8】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記基礎構造は、前記筒状体の頂部を被覆する被覆材をさらに備え、
前記基礎構造は、前記筒状体の前記頂部から前記筒状体の径方向外側に張り出すように設けられ、前記被覆材と一体的に形成された鍔部をさらに有することを特徴とする風車タワー。
【請求項9】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記荷重伝達部は、前記筒状体の軸方向に沿って設けられた空間を有し、
前記筒状体の前記補剛板よりも下方の内部空間と、前記タワー本体の内部空間とは、前記空間を介して連通している
ことを特徴とする風車タワー。
【請求項10】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記筒状体は、地面又は海底に少なくとも部分的に埋設されたモノパイルであることを特徴とする風車タワー。
【請求項11】
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含み、
前記筒状体は、地面又は海底に少なくとも部分的に埋設されたモノパイルと前記タワー本体との間に設けられたトランジションピースであることを特徴とする風車タワー。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の風車タワーと、
前記風車タワーに支持される風車ロータと、
を備えることを特徴とする風車。
【請求項13】
基礎構造と、タワー本体と、を含む風車タワーの組立方法であって、
前記基礎構造は、前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、前記筒状体の内壁面に設けられた補剛板と、を含み、
前記基礎構造を地面又は海底に少なくとも部分的に埋設させる埋設ステップと、
前記筒状体と前記タワー本体の下端部とを接続して前記基礎構造に前記タワー本体を立設するステップと、
前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部を、前記補剛板と前記タワー本体の前記基部の間に形成するステップと、
を備えることを特徴とする風車タワーの組立方法。
【請求項14】
前記埋設ステップの前に、前記荷重伝達部の少なくとも一部を前記筒状体の内側に形成することを特徴とする請求項13に記載の風車タワーの組立方法。
【請求項15】
前記埋設ステップでは、前記筒状体の頂部を打撃することにより前記筒状体を埋設させ、
前記組立方法は、打撃された前記筒状体の前記頂部を被覆材で被覆するステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の風車タワーの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は風車タワー及び風車並びに風車タワーの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風車のタワーを支持する基礎構造として、筒状の杭を用いたモノパイル式の基礎構造が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、海底に打設されたモノパイルと、該モノパイルによって支持されるタワーと、を含む風車が開示されている。これらの風車においては、モノパイルの上端部に設けられたフランジにタワーの下端部が接続されることによって、タワーがモノパイルの上に立設されている。
【0004】
また、例えば特許文献3には、海底に打設されたモノパイルの上端に取り付けたトランジションピースの上にタワーが設置された風車が記載されている。この風車では、モノパイルとタワーとがトランジションピースを介して固定されており、トランジションピースによってタワーの鉛直度が調整されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/189367号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1770276号明細書
【特許文献3】特開2011−183835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モノパイル式の基礎構造を用いる場合、通常、タワー(タワー本体)とモノパイルとの接続部、あるいはタワーとトランジションピースとの接続部において、接続部材同士の径を合わせる必要がある。
一方、通常、風車が大型化するとタワーも大径化する。また、通常、風車の設置場所の水深が深くなるに従い、モノパイルやトランジションピース(モノパイル等)も大径化する。このような場合、大径化するタワー又はモノパイル等に合わせて、それらの接続相手(モノパイル等又はタワー)の直径を変更するのでは、コストが増大する可能性がある。
そこで、風車が大型化したり、風車設置場所の水深が増大したりする場合であっても、コストの増大を抑制しながら、風車タワーの荷重を確実に受けることが可能な構造が望まれる。
この点、特許文献1〜3には、コストの増大を抑制しながらタワーの荷重を確実に受けてタワーを確実に支持するための具体的な構成は開示されていない。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することが可能な風車タワー及び風車並びに風車タワーの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る風車タワーは、
基礎構造と、
前記基礎構造に立設されるタワー本体と、を備え、
前記基礎構造は、
前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、
前記筒状体の径方向内側に向かって延在するように前記筒状体の内壁面に取付けられた補剛板と、
前記補剛板と前記タワー本体の前記基部との間に位置し、前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部と、
を含む。
【0009】
上記(1)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受ける筒状体は、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、筒状体の肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(1)の構成では、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介して筒状体に伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(1)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記補剛板の下方において前記上下方向に沿って延在し、前記筒状体の内壁面から前記径方向内側に向かって突出するように設けられた第1リブをさらに備え、
前記補剛板の下面と前記第1リブの上端部とが接合されている。
【0011】
上記(2)の構成によれば、補剛板の下方において上下方向に沿って延在し、筒状体の内壁面から径方向内側に向かって突出するように第1リブが設けられているので、荷重伝達部で受けたタワー基部の荷重を、第1リブを介して筒状体に円滑に伝達することができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記タワー本体は、前記タワー本体の前記基部の下端において前記タワー本体の周方向に沿って設けられたタワー本体側フランジを含み、
前記荷重伝達部は、
前記筒状体の内周側かつ前記タワー本体と前記補剛板との間において、上下方向に沿って設けられた管状部材と、
前記管状部材の上端部において、前記管状部材の周方向に沿って設けられ、前記タワー本体側フランジと接合された基礎構造側フランジと、を含む。
【0013】
上記(3)の構成によれば、タワー本体と補剛板との間に設けられた管状部材の上端部に設けられた基礎構造側フランジとタワー本体側フランジとが接合された簡素な構成で、タワー本体と基礎構造とを接続するとともに、基礎構造側フランジで受けるタワー基部の荷重を、管状部材を介して筒状体に伝達させることができる。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記荷重伝達部は、前記タワー本体と前記補剛板との間において前記上下方向に延在するように、前記管状部材の内壁面又は外壁面の少なくとも一方に設けられた第2リブをさらに備える。
【0015】
上記(4)の構成によれば、タワー本体と補剛板との間に上下方向に延在する第2リブが設けられているので、タワー基部の荷重を、管状部材及び第2リブを介して筒状体に伝達させることができる。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記荷重伝達部は、
前記筒状体の内周側において、前記タワー本体と前記補剛板との間に打設されたコンクリートと、
前記タワー本体の荷重を前記コンクリートに伝えるためのアンカーボルトと、
をさらに含む。
【0017】
上記(5)の構成によれば、アンカーボルト及びタワー本体と補剛板との間に打設されたコンクリートを介して、タワー基部の荷重を筒状体に伝達させることができる。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記荷重伝達部は、前記コンクリートから前記筒状体へ前記荷重を伝達するためのシアキーをさらに含む。
【0019】
上記(6)の構成によれば、タワー基部の荷重は、シアキーを介してコンクリートから筒状体へ伝達される。よって、タワー基部の荷重をより確実に筒状体に伝達することができ、タワー本体をより確実に支持することができる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、前記基礎構造は、前記筒状体の頂部を被覆する被覆材をさらに備える。
【0021】
上記(7)の構成によれば、筒状体の頂部は被覆材で被覆されているので、筒状体の頂部を腐食から保護することができる。
また、筒状体の頂部は、地面又は海底への打設時に打撃されることにより変形する場合がある。この点上記(7)の構成によれば、筒状体の頂部を被覆材で被覆して、形状を整えることができる。これにより、筒状体の頂部の形状(例えば突起)により、基礎構造の上での作業が影響を受けることがなくなる。
【0022】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記基礎構造は、前記筒状体の前記頂部から前記筒状体の径方向外側に張り出すように設けられ、前記被覆材と一体的に形成された鍔部をさらに有する。
【0023】
上記(8)の構成によれば、筒状体の頂部から筒状体の径方向外側に張り出すように鍔部が形成されているので、この鍔部を基礎構造上の作業用スペースとして用いることができる。
【0024】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記荷重伝達部は、前記筒状体の軸方向に沿って設けられた空間 を有し、
前記筒状体の前記補剛板よりも下方の内部空間と、前記タワー本体の内部空間とは、前記空間を介して連通している。
【0025】
上記(9)の構成によれば、荷重伝達部に設けられた空間を介して、筒状体の補剛板よりも下方の内部空間と、タワー本体の内部空間とが連通している。よって、タワー本体の内部と、筒状体の補剛板よりも下方の内部空間との間に、機器や部品を配置したり移動させたりすることができる。例えば、タワー内の空間から基礎構造の下方の空間にわたって、電源ケーブルや通信ケーブルを配置することができる。
【0026】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記筒状体は、地面又は海底に少なくとも部分的に埋設されたモノパイルである。
【0027】
上記(10)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受けるモノパイルは、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、モノパイルの肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(10)の構成によれば、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介してモノパイルに伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(10)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0028】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記筒状体は、地面又は海底に少なくとも部分的に埋設されたモノパイルと前記タワー本体との間に設けられたトランジションピースである。
【0029】
上記(11)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受けるトランジションピースは、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、トランジションピースの肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(11)の構成によれば、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介してトランジションピースに伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(11)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0030】
(12)本発明の少なくとも一実施形態に係る風車は、
上記(1)乃至(11)の何れかに記載の風車タワーと、
前記風車タワーに支持される風車ロータと、
を備える。
【0031】
上記(12)の構成では、タワー本体の基部の荷重を受ける筒状体は、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、筒状体の肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(12)の構成では、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介して筒状体に伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(12)の構成によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0032】
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係る風車タワーの組立方法は、
基礎構造と、タワー本体と、を含む風車タワーの組立方法であって、
前記基礎構造は、前記タワー本体の基部の外径よりも大きな内径を有し、上下方向に沿って設けられた筒状体と、前記筒状体の内壁面に設けられた補剛板と、を含み、
前記基礎構造を地面又は海底に少なくとも部分的に埋設させる埋設ステップと、
前記筒状体と前記タワー本体の下端部とを接続して前記基礎構造に前記タワー本体を立設するステップと、
前記タワー本体の前記基部の荷重を前記筒状体に伝達するための荷重伝達部を、前記補剛板と前記タワー本体の前記基部の間に形成するステップと、
を備える。
【0033】
上記(13)の方法では、タワー本体の基部の荷重を受ける筒状体は、タワー本体の基部(タワー基部)の外径よりも大きな内径を有する。よって、タワー基部の外径以下の内径を有する場合に比べて、筒状体の肉厚を薄くしながら強度を維持することができ、これによりコストの増大が抑制可能である。また、上記(13)の方法では、タワー基部の荷重は、荷重伝達部を介して筒状体に伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。よって、上記(13)の方法によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することができる。
【0034】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の方法において、
前記埋設ステップの前に、前記荷重伝達部の少なくとも一部を前記筒状体の内側に形成する。
【0035】
上記(14)の方法によれば、基礎構造を地面又は海底に埋設させる埋設ステップの前に、荷重伝達部の少なくとも一部を筒状体の内側に予め形成する。よって、荷重伝達部の上記一部を筒状体の内側に形成する作業を、例えば、筒状体の製造工場で行うことができ、該作業を風車の設置現場で行う必要がなくなる。よって、効率良く風車を組み立てることができる。
【0036】
(15)幾つかの実施形態では、上記(13)又は(14)の方法において、
前記埋設ステップでは、前記筒状体の頂部を打撃することにより前記筒状体を埋設させ、
前記組立方法は、打撃された前記筒状体の前記頂部を被覆材で被覆するステップをさらに備える。
【0037】
上記(15)の方法によれば、筒状体の頂部を被覆材で被覆するので、筒状体の頂部を腐食から保護することができる。
また、筒状体の頂部は、地面又は海底への打設時に打撃されることにより変形する場合がある。この点上記(15)の構成によれば、筒状体の頂部を被覆材で被覆して、形状を整えることができる。これにより、筒状体の頂部の形状(例えば突起)により、基礎構造の上での作業が影響を受けることがなくなる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体を確実に支持することが可能な風車タワー及び風車並びに風車タワーの組立方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】一実施形態に係る風車タワーを備える風車の構成例を示す概略図である。
図2】一実施形態に係る風車タワーを備える風車の構成例を示す概略図である。
図3】一実施形態に係る風車タワーにおける、タワー本体と筒状体との接続部分周辺を示す断面図である。
図4図3に示す風車タワーのIV‐IV断面図である。
図5】一実施形態に係る風車タワーにおける、タワー本体と筒状体との接続部分周辺を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0041】
まず、幾つかの実施形態に係る風車タワーについて説明した後、幾つかの実施形態に係る風車タワーの組立方法について説明する。
【0042】
図1及び図2は、それぞれ、一実施形態に係る風車タワーを備える風車の構成例を示す概略図である。図及び図2に示すように、風車1は、風車タワー2と、風車タワー2により支持されるナセル6と、ナセル6に支持される風車ロータ3と、を備える。すなわち、風車ロータ3は、ナセル6を介して風車タワー2に支持されている。風車ロータ3は、ハブ4と、ハブ4に取付けられる少なくとも一本のブレード5と、により構成される。
【0043】
なお、風車1は風力発電装置を構成するものであってもよい。この場合、ナセル6には、風車ロータ3の回転エネルギーにより駆動される発電機や、風車ロータ3の回転エネルギーを該発電機に伝えるためのドライブトレイン等が収容されていてもよい。
【0044】
風車タワー2は、基礎構造8と、基礎構造8に立設されるタワー本体7と、を備える。図1及び図2に示す実施形態において、基礎構造8は、部分的に海底18に埋設されている。また、タワー本体7は、水面16上において、基礎構造8の上方において上下方向に沿って延びるように設けられ、基礎構造8によって支持されている。
なお、幾つかの実施形態では、基礎構造8は、部分的に地面に埋設されており、陸上に設けられるタワー本体7を支持するようになっていてもよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、基礎構造8は、上下方向に沿って設けられた筒状体10を有する。
図1に示す例示的な実施形態では、筒状体10は、海底18に部分的に埋設されたモノパイル12である。また、図2に示す例示的な実施形態では、筒状体10は、海底18に部分的に埋設されたモノパイル12とタワー本体7との間に設けられたトランジションピース14である。図2に示す実施形態において、タワー本体7は、トランジションピース14を介してモノパイル12に接続されている。
【0046】
以下、図3図5を参照して、幾つかの実施形態に係る風車タワー2についてより詳細に説明する。以下において、実施形態に係る風車タワー2の一例として、図1に示したような、基礎構造8の筒状体10としてモノパイル12を採用した風車タワー2について説明するが、筒状体10として他の部材(例えば上述のトランジションピース14)を用いた場合にも、同様の説明が適用可能である。
図3及び図5は、それぞれ、一実施形態に係る風車タワー2における、タワー本体7とモノパイル12(筒状体10)との接続部分周辺を示す断面図である。図4は、図3に示す風車タワー2のIV‐IV断面図である。
【0047】
図3図4及び図5に示すように、幾つかの実施形態において、基礎構造8は、モノパイル12と、モノパイル12の内壁面12aに取付けられた底板(補剛板)20と、上下方向において底板20とタワー本体7の基部9との間に位置する荷重伝達部30と、を含む。
【0048】
底板20は、モノパイル12の径方向内側に向かって延在するように、モノパイル12の内壁面12aに取付けられている。また、底板20は、中央部に開口21が設けられたドーナツ型の形状を有している。
また、底板20は、上下方向において、モノパイル12の上部に設けられている。モノパイル12の上部とは、モノパイル12のうち、長さ方向においてタワー本体7に近い側の一部のことであり、例えば、モノパイル12のタワー本体7側端部から25%の範囲のことであってもよい。
【0049】
荷重伝達部30は、タワー本体7の基部9の荷重をモノパイル12に伝達するように構成されている。なお、図3及び図5に示す各実施形態における荷重伝達部30の具体的構成については後述する。
【0050】
ここで、モノパイル12の内径Dは、タワー本体7の基部9の外径Dよりも大きく構成されている。
【0051】
このように、タワー本体7の基部9の荷重を受けるモノパイル12は、タワー本体7の基部9(タワー基部9)の外径Dよりも大きな内径Dを有する。よって、タワー基部9の外径D以下の内径を有する場合に比べて、モノパイル12の肉厚を薄くしながら強度を維持することができる。したがって、コストの増大を抑制することができる。
また、上述の実施形態では、タワー基部9の荷重は、荷重伝達部30を介してモノパイル12に伝達されるので、タワー本体7を確実に支持することができる。よって、上述の実施形態によれば、コストの増大を抑制しながらタワー本体7を確実に支持することができる。
【0052】
図3図4に示す例示的な実施形態では、荷重伝達部30は、モノパイル12の内周側かつタワー本体7と底板20との間において、上下方向に沿って設けられた管状部材32を含む。管状部材32は、鋼材により構成された鋼管であってもよい。底板20の上面20bと管状部材32の下端部32cとは溶接により接続されていてもよい。
また、タワー本体7は、タワー基部9の下端においてタワー本体7の周方向に沿って設けられたタワー本体側フランジ24を含み、荷重伝達部30は、管状部材32の上端部において、管状部材32の周方向に沿って設けられ、タワー本体側フランジ24と接合された基礎構造側フランジ26と、を含む。
【0053】
この場合、タワー本体7と底板20との間に設けられた管状部材32の上端部に設けられた基礎構造側フランジ26とタワー本体側フランジ24とが接合された簡素な構成で、タワー本体7と基礎構造8とを接続するとともに、基礎構造側フランジ26で受けるタワー基部9の荷重を、管状部材32を介してモノパイル12に伝達させることができる。よって、タワー基部9の荷重をより確実にモノパイル12に伝達することができ、タワー本体7をより確実に支持することができる。
【0054】
なお、図3に示す例では、タワー本体側フランジ24と基礎構造側フランジ26とは、ボルト28によって接続されている。
タワー本体側フランジ24及び基礎構造側フランジ26は、タワー基部9の下端又はモノパイル12の上端部において、タワー本体7又は管状部材32の径方向の外向き及び内向きに突出するように設けられたT字型のフランジであってもよい。
また、タワー本体側フランジ24と基礎構造側フランジ26とを接続するボルト28は、タワー本体7及びモノパイル12の周方向に沿って複数設けられていてもよい。
【0055】
図3図4に示す例示的な実施形態において、荷重伝達部30は、タワー本体7と底板20との間において上下方向に延在するように、管状部材32の内壁面32a又は外壁面32bの少なくとも一方に設けられた第2リブをさらに備える。
図3図4に示す実施形態では、管状部材32の内壁面32aに設けられた第2リブ34、及び、管状部材32の外壁面32bに設けられた第2リブ36を備えている。
図4に示されるように、第2リブ34,36は、それぞれ、モノパイル12の中心軸Oの周囲にモノパイル12の径方向に沿って放射状に延在するように複数設けられていてもよい。
【0056】
このように、タワー本体7と底板20との間に上下方向に延在する第2リブ34又は36が設けられていれば、タワー基部9の荷重を、管状部材32及び第2リブ34又は36を介してモノパイル12に伝達させることができる。よって、タワー基部9の荷重をより確実にモノパイル12に伝達することができ、タワー本体7をより確実に支持することができる。
【0057】
図3図4に示す例示的な実施形態では、荷重伝達部30は、さらに、上下方向において底板20とタワー基部9との間に位置し、モノパイル12の径方向内側に向かって延在するようにモノパイル12の内壁面12aに取付けられた上側補剛板38を有していてもよい。図3図4に示す上側補剛板38は、中央部に開口39が設けられたドーナツ型の形状を有している。また、上述の第2リブ34,36の上端部は、上側補剛板38の下面に溶接等により接合されていてもよい。
【0058】
また、荷重伝達部30は、モノパイル12の内周側においてモノパイル12の軸方向に沿って設けられる筒状壁27を有していてもよい。筒状壁27は、底板20と上側補剛板38の間に延びるように設けられていてもよい。
【0059】
荷重伝達部30は、さらに、上側補剛板38の上方において上下方向に沿って延在し、モノパイル12の内壁面12aから径方向内側に向かって突出するように設けられた第3リブ40を有していてもよい。第3リブ40の下端部は、上側補剛板38の上面に溶接等により接合されていてもよい。第3リブ40は、モノパイル12の中心軸Oの周囲にモノパイル12の径方向に沿って放射状に延在するように複数設けられていてもよい。
【0060】
このように、荷重伝達部30が上側補剛板38、筒状壁27、又は第3リブ40を有することにより、基礎構造8の剛性を高めることができ、タワー本体7をより確実に支持することができる。
【0061】
図5に示す例示的な実施形態では、荷重伝達部30は、モノパイル12の内周側において、タワー本体7と底板20との間に打設されたコンクリート42と、タワー本体7の荷重をコンクリート42に伝えるためのアンカーボルト44と、を含む。
【0062】
この場合、アンカーボルト44及びタワー本体7と底板20との間に打設されたコンクリート42を介して、タワー基部9の荷重をモノパイル12に伝達させることができる。よって、タワー基部9の荷重を確実にモノパイル12に伝達することができ、タワー本体7を確実に支持することができる。
【0063】
タワー本体7と底板20との間に打設されるコンクリート42は、例えば、鉄筋コンクリート又は繊維強化コンクリートであってもよい。
コンクリート42は、タワー本体7よりも下方において、モノパイル12の内壁面12aと、底板20と、モノパイル12の内周側においてモノパイル12の軸方向に沿って設けられる筒状壁29とによって囲まれる空間に設けられていてもよい。
【0064】
また、図5に示す実施形態において、荷重伝達部30は、コンクリート42からモノパイル12へ荷重を伝達するためのシアキーをさらに含む。
図5に示す実施形態では、シアキーとして、スタッドジベル48及びリブプレート43が用いられている。
スタッドジベル48は、モノパイル12の内壁面12aから径方向内側に延在するように設けられており、モノパイル12の内壁面12aに対して溶接によって接合されている。
リブプレート43は、L時形状を有し、モノパイル12の中心軸Oの周囲にモノパイル12の径方向に沿って放射状に延在するように設けられている。図5に示すように、リブプレート43には、鉄筋を通すための穴47が設けられていてもよい。
【0065】
このように、荷重伝達部30がスタッドジベル48又はリブプレート43のようなシアキーを含む場合、これらのシアキーを介してタワー基部9の荷重がコンクリート42からモノパイル12へ伝達される。よって、タワー基部9の荷重をより確実にモノパイル12に伝達することができ、タワー本体7をより確実に支持することができる。
【0066】
なお、図5に示す実施形態において、上下方向において、タワー本体側フランジ45と底板20との間には、モノパイル12の周方向に沿ってアンカープレート49が設けられている。また、タワー本体7には、タワー基部9の下端においてタワー本体7の周方向に沿って設けられたタワー本体側フランジ45が設けられており、タワー本体側フランジ45とアンカープレート49とは、アンカーボルト44によって接続されている。
このようなアンカープレート49をコンクリート42の打設前に設けることにより、コンクリート42打設時のアンカーボルト44の位置決めを適切に行うことができる。
【0067】
以上に説明した荷重伝達部30を介して、タワー基部9の荷重がモノパイル12に確実に伝達されるので、タワー本体を確実に支持することができる。
【0068】
図3図4及び図5に示す例示的な実施形態では、基礎構造8は、底板20の下方において上下方向に沿って延在し、モノパイル12の内壁面12aから径方向内側に向かって突出するように設けられた第1リブ22をさらに備えている。そして、底板20の下面20aと第1リブ22の上端部22aとが接合されている。
【0069】
なお、基礎構造8は、モノパイル12の中心軸Oの周囲にモノパイル12の径方向に沿って放射状に延在するように設けられた複数の第1リブ22を有していてもよい。
また、底板20の下面20aと第1リブ22の上端部22aとは、溶接により接合されていてもよい。
【0070】
このような第1リブ22により、荷重伝達部30で受けたタワー基部9の荷重を、第1リブ22を介してモノパイル12に円滑に伝達することができる。
【0071】
図3図4及び図5に示す実施形態では、基礎構造8は、モノパイル12の頂部50を被覆する被覆材52をさらに備える。
モノパイル12の頂部50を被覆材52で被覆することにより、モノパイルの頂部50を腐食から保護することができる。
また、モノパイル12の頂部50は、モノパイル12の地面又は海底への打設時に打撃されることにより変形する場合がある。この点、上述の実施形態では、モノパイル12の頂部50が被覆材52で被覆されているので、モノパイル12の頂部50付近の形状を整えることができる。これにより、モノパイル12の頂部50の形状(例えば、突起)による影響を受けずに、基礎構造8の上での作業を行うことができる。
【0072】
被覆材52は、例えば、モルタル、コンクリート、又は、繊維補強コンクリート等により構成されていてもよい。
【0073】
図3図4及び図5に示す実施形態において、基礎構造8は、モノパイル12の頂部50からモノパイル12の径方向外側に張り出すように設けられ、被覆材52と一体的に形成された鍔部54をさらに有する。
鍔部54は、モノパイル12の外壁面12bから径方向外側に張り出すように設けられた型枠56により形成される空間にモルタル、コンクリート、又は、繊維補強コンクリート等を打設することによって形成されていてもよい。
また、該鍔部54は、モノパイル12の径方向外向きに放射状に延在するように設けられたリブ58によって補強されていてもよい。
【0074】
このように、モノパイル12の頂部50からモノパイル12の径方向外側に張り出すように鍔部54が形成されていることにより、この鍔部54を基礎構造8上の作業用スペースとして用いることができる。
【0075】
図3図4及び図5に示す実施形態において、荷重伝達部30は、モノパイル12の軸方向に沿って設けられた空間60を有する。そして、モノパイル12の底板20よりも下方の内部空間62と、タワー本体7の内部空間64とは、空間60を介して連通している。
【0076】
このように、荷重伝達部30に設けられた空間60を介して、モノパイル12の底板20よりも下方の内部空間62と、タワー本体7の内部空間64とが連通していれば、タワー本体7の内部と、モノパイル12の底板20よりも下方の内部空間62との間に、機器や部品を配置したり移動させたりすることができる。例えば、タワー内の空間64から基礎構造8の下方の空間にわたって、電源ケーブルや通信ケーブルを配置することができる。
【0077】
次に、上述した構成の風車タワー2の組立方法について説明する。
幾つかの実施形態に係る風車タワー2の組立方法は、基礎構造8(モノパイル12)を地面又は海底に少なくとも部分的に埋設させる埋設ステップと、モノパイル12とタワー本体7の下端部とを接続して基礎構造8にタワー本体7を立設するステップと、タワー本体7の基部9の荷重をモノパイル12に伝達するための荷重伝達部30を、底板20とタワー本体7の基部9の間に形成するステップと、を備える。
【0078】
埋設ステップでは、モノパイル12の頂部50をハンマー等で打撃することにより、モノパイル12を地面又は海底に少なくとも部分的に埋設させてもよい。
【0079】
一実施形態では、基礎構造8にタワー本体7を立設するステップにおいて、図3図4に示すように、タワー本体側フランジ24と、基礎構造側フランジ26とを、ボルト28により接続して、基礎構造8にタワー本体7を立設してもよい。
あるいは、一実施形態では、基礎構造8にタワー本体7を立設するステップにおいて、図5に示す実施形態のように、上下方向において、タワー本体側フランジ45と底板20との間に、モノパイル12の周方向に沿ってアンカープレート49を設け、アンカープレート49にアンカーボルト44を設置してから、モノパイル12の内周側において、タワー本体7と底板20との間にコンクリート42を打設してもよい。そして、タワー基部9の下端においてタワー本体7の周方向に沿ってタワー本体7に設けられたタワー本体側フランジ45とアンカープレート49とをアンカーボルト44によって接続して、基礎構造8にタワー本体7を立設してもよい。この際、タワー本体7の立設後、タワー基部9とコンクリート42との間にグラウト66を施工し、グラウト66の硬化後にアンカーボルト44を締付ける。
なお、アンカープレート49及びアンカーボルト44は、予め地上で組んだものを底板20の上に設置してもよい。
また、コンクリート42を打設する場合、その前に、タワー本体7と底板20との間に鉄筋(不図示)を適宜配置するようにしてもよい。
【0080】
一実施形態では、埋設ステップの前に、荷重伝達部30の少なくとも一部をモノパイル12の内側に形成してもよい。すなわち、埋設ステップを行う前に、荷重伝達部30を形成するステップの少なくとも一部を行ってもよい。
【0081】
この場合、基礎構造8を地面又は海底に埋設させる埋設ステップの前に、荷重伝達部30の少なくとも一部(例えば、底板20や、図3図4に示す管状部材32及び第2リブ34,36等)をモノパイル12の内側に予め形成する。よって、荷重伝達部30の上記一部をモノパイル12の内側に形成する作業を、例えば、モノパイル12の製造工場で行うことができ、該作業を風車1の設置現場で行う必要がなくなる。よって、効率良く風車1を組み立てることができる。
【0082】
一実施形態では、埋設ステップにおいて、モノパイル12の頂部50を打撃することによりモノパイル12を埋設させ、その後、打撃されたモノパイル12の頂部50を被覆材52で被覆するステップをさらに備える。
被覆材52は、例えば、モルタル、コンクリート、又は、繊維補強コンクリート等により構成されていてもよい。
【0083】
このように、モノパイル12の頂部50を被覆材52で被覆することにより、モノパイルの頂部50を腐食から保護することができる。
また、モノパイル12の頂部50は、モノパイル12の地面又は海底への打設時に打撃されることにより変形する場合がある。この点、上述の実施形態では、モノパイル12の頂部50を被覆材52で被覆するので、モノパイル12の頂部50付近の形状を整えることができる。これにより、モノパイル12の頂部50の形状(例えば、突起)による影響を受けずに、基礎構造8の上での作業を行うことができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0085】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0086】
1 風車
2 風車タワー
3 風車ロータ
4 ハブ
5 ブレード
6 ナセル
7 タワー本体
8 基礎構造
9 基部
10 筒状体
12 モノパイル
12a 内壁面
12b 外壁面
14 トランジションピース
16 水面
18 海底
20 底板(補剛板)
20a 下面
20b 上面
21 開口
22 第1リブ
22a 上端部
24 タワー本体側フランジ
26 基礎構造側フランジ
27 筒状壁
28 ボルト
29 筒状壁
30 荷重伝達部
32 管状部材
32a 内壁面
32b 外壁面
32c 下端部
34 第2リブ
36 第2リブ
38 上側補剛板
39 開口
40 第3リブ
42 コンクリート
43 リブプレート
44 アンカーボルト
45 タワー本体側フランジ
47 穴
48 スタッドジベル
49 アンカープレート
50 頂部
52 被覆材
54 鍔部
56 型枠
58 リブ
60 空間
62 内部空間
64 内部空間
O 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5