【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の実施態様では、三次元造形品の連続する断面に対応する粉体層の一部を連続して溶融することによって三次元造形品を形成するための方法を提供する。方法は、三次元造形品のモデルを提供するステップと、造形テーブル上に第1の粉体層を提供するステップと、造形テーブル上に第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第1の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第1の部分を形成するステップと、造形テーブル上に第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第2の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第2の部分を形成するステップとを含み、第1の粉体層の第1および第2の場所が、重なり領域において少なくとも部分的に互いに重なり合う。
【0007】
本発明の様々な実施形態の例示的な利点は、2つのビームが少なくとも部分的に互いに重なり合うことから、ビーム銃の位置のずれがわずかであれば、三次元造形品の全体の品質には影響しないことである。本発明の別の利点は、ビームスポットサイズおよびビーム形状を犠牲にすることなしに、より大きいビームの偏向角を使用してもよいことであり得る。
【0008】
本発明の一実施形態例では、少なくとも部分的に互いに重なり合う第1の紛体層の第1および第2の場所は、それぞれ第1および第2のエネルギービーム源からの第1および第2のエネルギービームによって同時に溶融される。
【0009】
この実施形態の別の非限定的な利点は、両方のビームを同時に使用することから、比較的時間効率が良いことである。
【0010】
本発明のまた別の実施形態例では、第1の重なり領域が、それぞれ第1および第2のエネルギービーム源からの第1および第2のエネルギービームによって同時に溶融される。
【0011】
この実施形態のまた別の非限定的な利点は、重なり領域に第1および第2のビームが同時に存在することであり、これにより、重なり領域における熱伝達、寸法制御および微細構造の制御に関する柔軟性がいくらか追加され得る。
【0012】
本発明のまた別の実施形態例では、少なくとも部分的に重なり合う第1および第2の場所の少なくとも1回の溶融の間に、第1のエネルギービームのスポットは、第2のエネルギービームのスポットと少なくとも部分的に重なり合う。
【0013】
少なくとも部分的にエネルギービームを重なり合うようにすることによって、互いに重なり合うことが許されない場合にはある融解方法に関する制約がないという利点を有する。
【0014】
別の実施形態例では、重なり領域の全長(L)に沿って第1および第2のエネルギービームを偏向させる間、第1のエネルギービームのスポットおよび第2のエネルギービームのスポットは、粉体層上で少なくとも部分的に互いに重なり合う。
【0015】
この実施形態例の利点は、重なり領域の内側で微細構造が制御され、重なり領域の外側の微細構造に同等または少なくとも極めて類似するように保たれ得ることである。別の利点は、1つのビームから他のビームへの重なりが、延長され、重なり領域の幅によって決まり得ることであり、それによって、システムのビームスポット位置の変更に起因する欠陥を除去または少なくとも低減する。
【0016】
さらに別の実施形態例では、第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームによって、少なくとも部分的に互いに重なり合う第1の粉体層の第1および第2の場所がまず溶融され、そして第1のエネルギービームによる溶融を終えた後、第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームが、少なくとも部分的に互いに重なり合う第1および第2の場所を溶融する。
【0017】
この実施形態は、特定領域の再融解により粉体の欠陥に由来する不良を低減し得る場合に有利であり得る。また、非重なり領域に対して重なり領域の微細構造を変えたい場合にも有利であり得る。
【0018】
本発明のまた別の実施形態例では、重なりにおける第1および第2のビームの出力の和を、重なり領域の長さ(L)に沿って一定であり得る既定の値に保つ。
【0019】
この実施形態は、重なり領域の内側および外側における融解プロセスを確実に可能な限り同様にするという利点を有する。
【0020】
また別の実施形態例では、一定の値は、重なりの外側では第1および/または第2のビームの溶融出力に等しくてもよい。
【0021】
また別の実施形態例では、第1のビームの出力は、100%から0%まで直線的に変化し、重なり領域の第1の端部で開始して重なり領域の第2の端部で終了し、同時に、第2のビームの出力は、0%から100%まで直線的に変化し、重なり領域の第1の端部で開始して重なり領域の第2の端部で終了する。
【0022】
この実施形態の利点は、1つのビームから他のビームへの移行が極めて円滑に行われ得ることである。
【0023】
別の例示的な実施形態は、部分的に溶融される第1の粉体層の上に第2の粉体層を提供するステップと、造形テーブル上に第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第3の選択された場所において第2の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第2の断面の第1の部分を形成するステップと、造形テーブル上に第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第4の選択された場所において第2の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第2の断面の第2の部分を形成するステップとをさらに含み、第2の粉体層の第3および第4の選択された場所が少なくとも部分的に互いに重なり合い、少なくとも部分的に重なり合う第3および第4の場所が、少なくとも部分的に重なり合う第1および第2の場所に関して横方向にシフトしている。
【0024】
この実施形態の非限定的な利点は、重なり領域の位置が1つの層から別の層へとずれていることから、非重なり領域に対する重なり領域におけるあらゆる相違点が直接拡大されないことである。
【0025】
本発明のまた別の実施形態例では、重なり領域の幅は、第1および第2の層で等しい。
【0026】
また別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所ならびに少なくとも部分的に重なる第1および第2の場所が重ならなくなる値に選択される。
【0027】
この実施形態の利点は、第1の層の重なり領域にあるあらゆる欠陥が、隣接する層の重なり領域にあるいかなる欠陥の上にも存在することはないことである。
【0028】
また別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所ならびに少なくとも部分的に重なる第1および第2の場所が重なる値に選択される。
【0029】
この実施形態の例示的な利点は、重なり領域が、三次元部分の限られた領域に影響することである。
【0030】
また別の実施形態例では、第1のエネルギービームおよび第2のエネルギービームは、レーザービームまたは電子ビームであってもよい。また別の実施形態例では、第1のエネルギービームが、レーザービームであってもよく、第2のエネルギービームが、電子ビームであってもよい。
【0031】
この実施形態の非限定的な利点は、三次元造形品の特定層の同じ領域を融解および/または加熱するために、異なるエネルギービーム源を使用してもよいことである。例えば、レーザーは、加熱により適していてもよく、電子ビームは、融解により適していてもよい。
【0032】
また別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、既定の範囲内で無作為に設定される。
【0033】
この実施形態の例示的な利点は、あらゆる反復的な欠陥は、無作為設定により除去され得ることである。
【0034】
本発明の別の実施態様では、粉体層の一部を連続的に溶融することにより三次元造形品を形成するための装置が提供され、粉体層の一部が、三次元造形品の連続する断面に対応し、装置は、三次元造形品のコンピュータモデルと、造形テーブルの上に第1のエネルギービームを供給することにより、モデルに従って第1の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第1の部分を形成する、第1のエネルギービーム源と造形テーブルの上に第2のエネルギービームを供給することにより、モデルに従って第2の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第2の部分を形成する、第2のエネルギービーム源と、第1の選択された場所および第2の選択された場所の重なり、ならびに重なりにおける第1および第2のエネルギービームの出力を制御するための制御ユニットと、とを備える。
【0035】
このような装置により、品質を管理された大型の造形品を製造し得る。
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、非限定的な方法で本発明の様々な実施形態を詳述する。図面のうちのいくつかの図にわたって、同じ参照符号を使用して、対応する類似の部分を示している。