特許第6366695号(P6366695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366695
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】付加製造のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/105 20060101AFI20180723BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20180723BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20180723BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B22F3/105
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B22F3/16
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-514309(P2016-514309)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-526098(P2016-526098A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】EP2014056849
(87)【国際公開番号】WO2014187606
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2017年2月28日
(31)【優先権主張番号】61/826,591
(32)【優先日】2013年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/244,503
(32)【優先日】2014年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513089497
【氏名又は名称】ア−カム アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リュングブラッド,ウルリック
(72)【発明者】
【氏名】スニス,アンダース
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許発明第102011105045(DE,B3)
【文献】 仏国特許出願公開第02980380(FR,A1)
【文献】 米国特許第05393482(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第101607311(CN,A)
【文献】 特開2009−006509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/00− 3/26
B29C64/00−64/40
B33Y10/00−99/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元造形品の連続する断面に対応する粉体層の一部を連続して溶融することによって、前記三次元造形品を形成するための方法であって、前記方法が、
前記三次元造形品のモデルを提供するステップと、
造形テーブル上に第1の粉体層を塗布するステップと、
前記造形テーブル上に第1のエネルギービーム源から第1のエネルギービームを向けることにより、前記モデルに従って第1の選択された場所において前記第1の粉体層を溶融させて、前記三次元造形品の第1の断面の第1の部分を形成するステップと、
前記造形テーブル上に第2のエネルギービームからの第2のエネルギービームを向けることにより、前記モデルに従って第2の選択された位置において前記第1の粉体層を溶融させて、前記三次元造形品の前記第1の断面の第2の部分を形成するステップと
を含み、
前記第1の粉体層の前記第1および第2の場所が、第1の重なり領域において少なくとも部分的に互いに重なり、前記方法が、
それぞれ前記第1および前記第2のエネルギービーム源から、前記第1および第2のエネルギービームを介して同時に前記第1の粉体層の前記第1および第2の場所を溶融するステップと、
少なくとも1回の、前記第1の重なり領域の前記溶融の間に、前記第2のエネルギービームのスポットと少なくとも部分的に前記第1のエネルギービームのスポットを重ねるステップと、
前記第1の重なり領域における前記第1および第2のビームの出力の和を既定の値に維持するステップであって、前記第1の重なり領域における前記第1および前記第2のビームのそれぞれの前記個々の出力が、前記第1の重なり領域の外側の前記第1および前記第2のビームのそれぞれの半分であるか、または前記既定の値が、前記第1の重なり領域の外側の前記第1または前記第2のビームのうちの少なくとも1つの前記個々の出力に等しい、ステップと
をさらに含む、方法。
【請求項2】
三次元造形品の連続する断面に対応する粉体層の一部を連続して溶融することによって、前記三次元造形品を形成するための方法であって、
前記方法が、
前記三次元造形品のモデルを提供するステップと、
造形テーブル上に第1の粉体層を塗布するステップと、
前記造形テーブル上に第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームを向けることにより、前記モデルに従って第1の選択された場所において前記第1の粉体層を溶融させて、前記三次元造形品の第1の断面の第1の部分を形成するステップと、
前記造形テーブル上に第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームを向けることにより、前記モデルに従って第2の選択された場所において前記第1の粉体層を溶融させて、前記三次元造形品の前記第1の断面の第2の部分を形成するステップと
を含み、
前記第1の粉体層の前記第1および第2の場所が、第1の重なり領域において少なくとも部分的に互いに重なり合い、前記方法が、
それぞれ前記第1および第2のエネルギービーム源からの前記第1および第2のエネルギービームによって、前記第1の粉体層の前記第1および第2の領域を同時に溶融するステップと、
少なくとも1回の、前記第1の重なり領域の前記溶融の間に、前記第1のエネルギービームのスポットを、前記第2のエネルギービームのスポットと少なくとも部分的に重ね合わせるステップと、
前記第1のビームの前記出力を、100%から0%まで、前記重なり領域の第1の端部で開始して前記重なり領域の第2の端部で終了し、直線的に変化させるステップと、
同時に、前記第2のビームの前記出力を、0%から100%まで、前記第1の重なり領域の前記第1の端部で開始して前記重なり領域の前記第2の端部で終了し、直線的に変化させるステップと
をさらに含む、方法。
【請求項3】
前記重なり領域の前記第1および前記第2の端部の間において、前記第1および前記第2のビームの前記可変出力の和が、既定の値に維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記既定の値が、一定の値である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記既定の値が、前記第1の重なり領域の外側の前記第1または前記第2のビームのうちの少なくとも1つの前記個々の出力に等しい、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形品の付加製造のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自由造形または付加製造は、造形テーブルに塗布された粉体層の選択部分を連続的に溶融することによって三次元造形品を形成するための方法である。この技術による方法および装置は、米国特許出願公開第2009/0152771号に開示されている。
【0003】
そのような装置は、その上で三次元造形品を形成する造形テーブルと、粉体層を形成するために造形テーブル上に粉体の薄層を載置するように構成される粉体ディスペンサと、エネルギーを粉体に伝達することにより粉体を溶融させる光線銃と、粉体層の一部を溶融することによって三次元造形品の断面を形成するために、光線銃から粉体層上に放出される光線を制御するための要素と、三次元造形品の連続した断面に関する情報が格納される制御コンピュータとを備え得る。三次元造形品は、粉体ディスペンサによって連続的に載置された粉体層の連続して形成された断面を連続的に溶融することによって形成される。
【0004】
よって、より大きい三次元造形品を造形することができる付加製造技術が求められている。造形容積を増やすには、さらに、ビーム出力源のビーム出力もより大きく、および/またはビーム源の偏向角もより大きくすることが必要になり、そのために、全造形領域にわたってビームスポットの質を等しく保つためのプロセス上の困難を招くことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、エネルギービームスポットの質を犠牲にすることなしに、自由造形または付加製造によって製作される三次元造形品の造形容積を大容積にし得る方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の実施態様では、三次元造形品の連続する断面に対応する粉体層の一部を連続して溶融することによって三次元造形品を形成するための方法を提供する。方法は、三次元造形品のモデルを提供するステップと、造形テーブル上に第1の粉体層を提供するステップと、造形テーブル上に第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第1の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第1の部分を形成するステップと、造形テーブル上に第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第2の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第2の部分を形成するステップとを含み、第1の粉体層の第1および第2の場所が、重なり領域において少なくとも部分的に互いに重なり合う。
【0007】
本発明の様々な実施形態の例示的な利点は、2つのビームが少なくとも部分的に互いに重なり合うことから、ビーム銃の位置のずれがわずかであれば、三次元造形品の全体の品質には影響しないことである。本発明の別の利点は、ビームスポットサイズおよびビーム形状を犠牲にすることなしに、より大きいビームの偏向角を使用してもよいことであり得る。
【0008】
本発明の一実施形態例では、少なくとも部分的に互いに重なり合う第1の紛体層の第1および第2の場所は、それぞれ第1および第2のエネルギービーム源からの第1および第2のエネルギービームによって同時に溶融される。
【0009】
この実施形態の別の非限定的な利点は、両方のビームを同時に使用することから、比較的時間効率が良いことである。
【0010】
本発明のまた別の実施形態例では、第1の重なり領域が、それぞれ第1および第2のエネルギービーム源からの第1および第2のエネルギービームによって同時に溶融される。
【0011】
この実施形態のまた別の非限定的な利点は、重なり領域に第1および第2のビームが同時に存在することであり、これにより、重なり領域における熱伝達、寸法制御および微細構造の制御に関する柔軟性がいくらか追加され得る。
【0012】
本発明のまた別の実施形態例では、少なくとも部分的に重なり合う第1および第2の場所の少なくとも1回の溶融の間に、第1のエネルギービームのスポットは、第2のエネルギービームのスポットと少なくとも部分的に重なり合う。
【0013】
少なくとも部分的にエネルギービームを重なり合うようにすることによって、互いに重なり合うことが許されない場合にはある融解方法に関する制約がないという利点を有する。
【0014】
別の実施形態例では、重なり領域の全長(L)に沿って第1および第2のエネルギービームを偏向させる間、第1のエネルギービームのスポットおよび第2のエネルギービームのスポットは、粉体層上で少なくとも部分的に互いに重なり合う。
【0015】
この実施形態例の利点は、重なり領域の内側で微細構造が制御され、重なり領域の外側の微細構造に同等または少なくとも極めて類似するように保たれ得ることである。別の利点は、1つのビームから他のビームへの重なりが、延長され、重なり領域の幅によって決まり得ることであり、それによって、システムのビームスポット位置の変更に起因する欠陥を除去または少なくとも低減する。
【0016】
さらに別の実施形態例では、第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームによって、少なくとも部分的に互いに重なり合う第1の粉体層の第1および第2の場所がまず溶融され、そして第1のエネルギービームによる溶融を終えた後、第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームが、少なくとも部分的に互いに重なり合う第1および第2の場所を溶融する。
【0017】
この実施形態は、特定領域の再融解により粉体の欠陥に由来する不良を低減し得る場合に有利であり得る。また、非重なり領域に対して重なり領域の微細構造を変えたい場合にも有利であり得る。
【0018】
本発明のまた別の実施形態例では、重なりにおける第1および第2のビームの出力の和を、重なり領域の長さ(L)に沿って一定であり得る既定の値に保つ。
【0019】
この実施形態は、重なり領域の内側および外側における融解プロセスを確実に可能な限り同様にするという利点を有する。
【0020】
また別の実施形態例では、一定の値は、重なりの外側では第1および/または第2のビームの溶融出力に等しくてもよい。
【0021】
また別の実施形態例では、第1のビームの出力は、100%から0%まで直線的に変化し、重なり領域の第1の端部で開始して重なり領域の第2の端部で終了し、同時に、第2のビームの出力は、0%から100%まで直線的に変化し、重なり領域の第1の端部で開始して重なり領域の第2の端部で終了する。
【0022】
この実施形態の利点は、1つのビームから他のビームへの移行が極めて円滑に行われ得ることである。
【0023】
別の例示的な実施形態は、部分的に溶融される第1の粉体層の上に第2の粉体層を提供するステップと、造形テーブル上に第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第3の選択された場所において第2の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第2の断面の第1の部分を形成するステップと、造形テーブル上に第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第4の選択された場所において第2の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第2の断面の第2の部分を形成するステップとをさらに含み、第2の粉体層の第3および第4の選択された場所が少なくとも部分的に互いに重なり合い、少なくとも部分的に重なり合う第3および第4の場所が、少なくとも部分的に重なり合う第1および第2の場所に関して横方向にシフトしている。
【0024】
この実施形態の非限定的な利点は、重なり領域の位置が1つの層から別の層へとずれていることから、非重なり領域に対する重なり領域におけるあらゆる相違点が直接拡大されないことである。
【0025】
本発明のまた別の実施形態例では、重なり領域の幅は、第1および第2の層で等しい。
【0026】
また別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所ならびに少なくとも部分的に重なる第1および第2の場所が重ならなくなる値に選択される。
【0027】
この実施形態の利点は、第1の層の重なり領域にあるあらゆる欠陥が、隣接する層の重なり領域にあるいかなる欠陥の上にも存在することはないことである。
【0028】
また別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所ならびに少なくとも部分的に重なる第1および第2の場所が重なる値に選択される。
【0029】
この実施形態の例示的な利点は、重なり領域が、三次元部分の限られた領域に影響することである。
【0030】
また別の実施形態例では、第1のエネルギービームおよび第2のエネルギービームは、レーザービームまたは電子ビームであってもよい。また別の実施形態例では、第1のエネルギービームが、レーザービームであってもよく、第2のエネルギービームが、電子ビームであってもよい。
【0031】
この実施形態の非限定的な利点は、三次元造形品の特定層の同じ領域を融解および/または加熱するために、異なるエネルギービーム源を使用してもよいことである。例えば、レーザーは、加熱により適していてもよく、電子ビームは、融解により適していてもよい。
【0032】
また別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、既定の範囲内で無作為に設定される。
【0033】
この実施形態の例示的な利点は、あらゆる反復的な欠陥は、無作為設定により除去され得ることである。
【0034】
本発明の別の実施態様では、粉体層の一部を連続的に溶融することにより三次元造形品を形成するための装置が提供され、粉体層の一部が、三次元造形品の連続する断面に対応し、装置は、三次元造形品のコンピュータモデルと、造形テーブルの上に第1のエネルギービームを供給することにより、モデルに従って第1の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第1の部分を形成する、第1のエネルギービーム源と造形テーブルの上に第2のエネルギービームを供給することにより、モデルに従って第2の選択された場所において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第1の断面の第2の部分を形成する、第2のエネルギービーム源と、第1の選択された場所および第2の選択された場所の重なり、ならびに重なりにおける第1および第2のエネルギービームの出力を制御するための制御ユニットと、とを備える。
【0035】
このような装置により、品質を管理された大型の造形品を製造し得る。
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、非限定的な方法で本発明の様々な実施形態を詳述する。図面のうちのいくつかの図にわたって、同じ参照符号を使用して、対応する類似の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】第1の溶融粉体層の上面図である。
図1B】第1の実施形態例の第1および第2のビームの出力対位置のグラフである。
図1C】第2の実施形態例の第1および第2のビームの出力対位置のグラフである。
図2】第1および第2の溶融粉体層の本発明による第2の実施形態例の上面図である。
図3】本発明の実施形態による装置を示す図である。
図4】重なり領域の本発明による別の実施形態例の上面図である。
図5】本発明の実施形態による方法の流れ図である。
図6A】2つのビーム源および互いに部分的に重なり合う2つの選択された場所を有する、本発明の実施形態例の斜視図である。
図6B】2つのビーム源および互いに部分的に重なり合う2つの選択された場所を有する、本発明の実施形態例の斜視図である。
図6C】2つのビーム源および互いに部分的に重なり合う2つの選択された場所を有する、本発明の実施形態例の斜視図である。
図7】2つの隣接する層の重なり領域およびその互いの相対的な位置の上面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の様々な実施形態の理解を促すため、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義する用語は、本発明に関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。「a」、「an」および「the」などの用語は、単数の要素を表すことのみを意図されたものではなく、例示のために具体例を使用し得る大まかな集合も包含する。本明細書における専門用語は、本発明の具体的な実施形態を記述するために使用される。ただし、それらの使用は、請求項において範囲を示すことを除き、本発明の範囲を限定するものではない。
【0039】
本明細書で使用する「三次元構造」などの用語は、一般に、特定の目的のために用いられることが意図された、所望の、または実際に製造された(例えば、構成材または複数の構成材の)三次元構成を指す。そのような構造などは、例えば、三次元CADシステムを用いて設計できる。
【0040】
本明細書において、様々な実施形態で用いられる「電子ビーム」の用語は、任意の荷電粒子ビームを意味する。荷電粒子ビームのビーム源として、電子銃、線形加速器などを含むことができる。
【0041】
図3に、本発明による自由造形または付加製造装置300の実施形態例を示す。装置300は、2つの電子銃301、302と、2つの粉体ホッパ306、307と、開始板316と、造形タンク312と、粉体分配器310と、造形プラットフォーム314と、真空チャンバ320と、制御ユニット340とを備える。図3は、便宜上、2つのビーム源のみを開示している。当然のことながら、本発明の説明のために使用する2つのビーム源と同様の方法で、任意の数のビーム源を使用することができる。2つのビーム源のみを使用すること、およびこれを自身の目的に適う任意の具体的な数に応用することは、本明細書に開示された本発明の概念を読めば、当業者には自明である。
【0042】
真空チャンバ320は、真空システムを用いて真空環境を維持でき、真空システムは、ターボ分子ポンプ、スクロールポンプ、イオンポンプ、および当業者によく知られ、したがって、この文脈においてさらなる説明を必要としない1つまたは複数のバルブを含み得る。真空システムは、制御ユニット340によって制御される。別の実施形態では、周囲空気が供給され、かつ大気圧である、囲繞可能なチャンバ内に造形タンクを提供してもよい。また別の実施形態例では、造形チャンバを、覆うことなしに設けてもよい。
【0043】
電子銃301、302は、開始板316上に提供された粉体材料318を共に融解または溶融するために使用される電子ビームを生成している。電子銃301、302の少なくとも一部分を、真空チャンバ320内に設けてもよい。制御ユニット340を使用して、電子ビーム銃301、302から放出される電子ビームを制御および管理してもよい。第1の電子ビーム源301が、第1の電子ビーム351を放出してもよく、第2の電子ビーム源302が、第2の電子ビーム352を放出してもよい。第1の電子ビーム351を、第1の選択された領域1を画定する、少なくとも第1の極限位置351aと少なくとも第2の極限位置351bとの間で偏向させてもよい。第2の電子ビーム352を、第2の選択された領域2を画定する、少なくとも第1の極限位置352aと少なくとも第2の極限位置352bとの間で偏向させてもよい。第1の電子ビーム351の第1または第2の極限位置351a、351bのうちの少なくとも1つは、第2の電子ビーム352の少なくとも第1または第2の極限位置352a、352bのうちの1つに重なってもよく、それによって、重なり領域3を形成する。
【0044】
少なくとも1つの集束コイル(図示せず)と、少なくとも1つの偏向コイルと、電子ビーム出力供給源とを、制御ユニットに電気的に接続させてもよい。本発明の実施形態例では、第1および第2の電子ビーム源は、加速電圧が約60kVであり、ビーム出力が0〜3kWの範囲内にある集束可能な電子ビームを生成してもよい。エネルギービーム源301、302を用いて層単位で粉体層を溶融することによって三次元造形品を作る場合、真空チャンバ内の圧力は、10−3〜10−6mBarの範囲内であってもよい。
【0045】
2つの電子ビームで粉体材料を融解する代わりに、2つ以上のレーザービームを使用してもよい。各レーザービームは、通常、レーザービーム源と、レーザービームによって溶融される粉体材料が配置される造形テーブルとの間にあるレーザービームの経路に設けた1つまたは複数の可動式の鏡で偏向させてもよい。制御ユニット340は、レーザービームを造形テーブル上の既定の位置に向けるように、鏡の偏向を管理してもよい。
【0046】
粉体ホッパ306、307は、造形タンク312内の開始板316上に提供される粉体材料を含む。粉体材料は、例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、Co−Cr−W合金などの純金属または金属合金であってもよい。2つの粉体ホッパではなく、1つの粉体ホッパを使用してもよい。粉体を供給するための他の設計および/または機構、例えば、高さ調節可能な床を備える粉体タンクを使用してもよい。
【0047】
開始板316上に粉体材料の薄層を載置するように、粉体分配器310を配置する。作業サイクル中、毎回の粉体材料の層の追加後に、光線銃に対して造形プラットフォーム314を連続的に下げる。この動きを可能にするために、造形プラットフォーム314は、本発明の一実施形態では、垂直方向、すなわち矢印Pが示す方向に移動可能に構成される。これは、造形プラットフォーム314が、必要な厚さの第1の粉体材料層が開始板316上に載置された初期位置から開始することを意味する。粉体材料の第1の層は、他の塗布層よりも厚くてもよい。他の層よりも厚い第1の層を用いて開始するのは、第1の層が開始板上に溶け落ちるのを防ぐためである。その後、三次元造形品の新規の断面を形成するために新規の粉体材料層を載置するのに関連して、造形プラットフォームを下げる。造形プラットフォーム314を下げるための手段は、例えば、歯車、調整ネジなどが備え付けられたサーボエンジンを介してもよい。
【0048】
図5には、三次元造形品の連続した断面に対応する粉体層の一部を連続して溶融することにより三次元造形品を形成するための、本発明による方法の実施形態例の流れ図を示してあり、三次元造形品のモデルを提供する第1のステップ502を含む。モデルは、CAD(コンピュータ支援設計)ツールによって生成されるコンピュータモデルであってもよい。
【0049】
第2のステップ504では、開始板316上に第1の粉体層を設ける。いくつかの方法に従って、造形テーブル上に粉体を均一に分配してもよい。粉体を分配する1つの方法には、ホッパ306、307から落下した材料をレーキシステムによって集める方法がある。レーキが造形タンク全体を動くことによって、開始板全体に粉体を分配する。レーキの下部と開始板の上部または直前の粉体層との間の距離によって、開始板全体に分配される粉体の厚さが決まる。粉体層の厚さは、造形プラットフォーム314の高さを調整することによって容易に調整できる。開始板上で三次元造形品の造形を開始する代わりに、取り外し可能であり得る造形プラットフォーム314上で三次元造形品を造形してもよい。さらに別の例示的な実施形態では、三次元造形品は、粉体層上に造形するように開始されてもよい。
【0050】
第3のステップ506では、開始板316または造形プラットフォーム314上に第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームを向けることにより、モデルに従って第1の選択された場所1において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品330の第1の断面を形成する。第1のエネルギービーム351は、最大偏向角ならびにエネルギービーム源301から造形テーブルまでの距離によって決まる、既定の領域に到達し得る。このため、第1のエネルギービーム351は、全造形領域のうちの一部、すなわち、三次元造形品330の第1の断面の一部分にのみ到達し得る。
【0051】
第1のエネルギービーム351は、電子ビームであってもよいし、レーザービームであってもよい。ビームは、制御ユニット340が与える命令に基づいて開始板316上に向けられる。制御ユニット340には、三次元造形品の各層についてのビーム源301、302の制御方法に関する命令が格納されていてもよい。
【0052】
第4のステップ508では、開始板316上に第2のエネルギービーム源302からの第2のエネルギービーム352を向けることにより、モデルに従って第2の選択された場所2において第1の粉体層を溶融させて、三次元造形品330の第1の断面を形成する。
【0053】
第1のエネルギービーム351と同様に、第2のエネルギービーム352もまた、最大偏向角ならびにエネルギービーム源から開始板316または溶融する粉体層までの距離によって決まる、既定の領域に到達し得る。このため、第2のエネルギービーム352は、全造形領域のうちの一部、すなわち、三次元造形品330の第1の断面の一部分にのみ到達し得る。
【0054】
第1の粉体層の第1および第2の選択された場所1、2は、重なり領域3において少なくとも部分的に互いに重なり合う。第1の粉体層の第1の選択された場所1は、第1のエネルギービーム351で溶融され、第1の粉体層の第2の選択された場所2は、第2のエネルギービーム352で溶融される。三次元造形品の第1の断面全体にわたって溶融を確実に完了させるために、第1の選択された場所1および第2の選択された場所2は、少なくとも部分的に互いに重なり合う。これは、三次元造形品の第1の断面の同じ領域(重なり領域)が、2回、すなわち、第1のエネルギービームで1回、第2のエネルギービームで1回、溶融させてもよいことを意味する。別の実施形態では、第1および第2のエネルギービーム351、352で重なり領域を同時に溶融させてもよい。
【0055】
図1Aは、造形テーブルまたは開始板または粉体層100を示している。第1のエネルギービームは、符号1で示す第1の選択された場所に到達することができる。第2のエネルギービームは、符号2で示す第2の選択された場所に到達することができる。第1および第2の選択された場所は、互いに重なり合って、符号3で示す重なり領域を画定してもよい。重なり領域の長さは、Lで示されている。第1の選択された場所1は、第1の線110で終わってもよく、第2の選択された場所は、第2の線120で終わってもよい。第2の線120は、第1のエネルギービーム351によって溶融され得る第1の選択された場所1の内側に設けられ、第1の線110は、第2のエネルギービーム352によって溶融され得る第2の選択された場所2の内側に設けられる。
【0056】
本発明の実施形態例では、それぞれ第1および第2のエネルギービーム源201、302からの第1および第2のエネルギービーム351、352によって、重なり領域3少なくとも部分的に互いに重なり合う、第1の粉体層の第1および第2の場所1、2を同時に溶融してもよい。
【0057】
重なり領域3において第1および第2のビーム351、352で同時に溶融することは、様々な方法で行ってもよい。
【0058】
重なり領域3において第1の経路で第1のビーム351により第2のビーム352と同時に粉体を溶融または加熱する第1の方法は、第1の経路から隔てられた第2の経路で粉体を溶融または加熱することであってもよい。第1のビームによって溶融された第1の経路は、第1のビームが経路を過ぎた後に第2のビームによって再溶融されてもよい、すなわち、第1および第2のビームは、常に全く同じ位置にはない。
【0059】
第2の方法は、第1および第2のビーム351、352が少なくとも一度は同時に全く同じ位置にあるように、第1および第2のビームで粉体を溶融または加熱することである。図1Bは、第1および第2のビーム351、352が重なり領域3の全く同じ位置を溶融しようとする場合の第1および第2のビーム351、352の1つの可能な制御方法を示している。ビームが互いに重なり合う領域における第1および第2のビーム351、352の出力の和を、一定の値に保ってもよい。このことは、1つのビームではなく、粉体を同時に溶融する2つのビームがある場合、溶融プロセスに加えられる追加出力も溶融プロセスにおいて不足する出力もないことを意味する。
【0060】
非重なり領域における単一のビームの出力と重なり領域における2つのビームの出力とが等しくてもよい。いかなる位置においてもビームの出力を制御することは、最終的な三次元造形品の微細構造を制御するために重要であり得る。図1Bの実施形態例では、出力は、第1および第2の領域を通じて一定となるように示されている。当然のことながら、これは、実際の場合を単純化したものにすぎない。実際の場合には、造形温度および溶融プロセスを既定のスケジュールで確実に進めるために、ビームの出力は、一方の位置から他方の位置へと変わり得る。そのようは場合には、第1および第2のビームの和が合計で、シミュレーションにおいて溶融プロセスに先立って決定され得る所望の値になることを知ることが重要になり得る。
【0061】
図1Bおよび図6A図6Cに、既定の領域を溶融するために2つのビーム源301、302を使用する実施形態例を示す。第1の選択された場所1は、第1のビーム351で溶融される。第1のビームが重なり領域3に到達すると、第2のビーム352は、重なり領域3の第1のビーム351と同じ位置で重なり領域3の溶融を同時に開始する。第1のビーム351が重なり領域3内へと偏向し続けるにつれてその出力が低下し、それと同時に、第2のビーム352の出力が増加する。第1および第2のビーム351、352の和を重なり領域3において一定に保ってもよい。第2の選択された場所2は、第2のビーム352のみで溶融される。第1のビームは、第1の線110で停止させた。
【0062】
本発明によるまた別の実施形態例を図1Cに示す。図1Cでは、第1および第2のビーム351、352がそれぞれ、必要な出力の半分を有している、すなわち、第1のビーム351で必要な出力の50%、第2のビーム352で必要な出力の50%を有していることが示されている。あるいは、これらの数字は均等に分割しなくてもよく、例えば、第1のビームが必要な出力の30%を有し、第2のビームが必要な出力の70%を有してもよい。
【0063】
電子ビーム銃においては、ビームの質は、偏向角によって決まる。偏向角がない、あるいは少ない場合、望ましいビームスポットサイズが、ほぼ実際のビームスポットサイズとなる。偏向角が大きくなるにつれて、スポットサイズは大きくなり、および/またはスポット形状は円形から離れていく。ビームのうちの1つが、既定の値よりも大きい偏向角を有する場合、ビーム出力を1つのビームから2つのビームに切り替えてもよい。所望のビーム出力に達するために、1つのビームだけを使用とする場合にそれぞれが必要な出力よりも低い出力を有する2つのビームを使用することにより、偏向角が比較的大きくても、ビームスポットサイズおよび形状を制御可能に保つことができる。これは、ビーム出力が低いビームは、ビーム出力が高いビームに比べてスポットサイズが小さいためである。高出力のビームを使用するのではなく、低出力の2つのビームを使用することにより、ビームのうちの少なくとも1つが比較的大きい偏向角を有する位置における合成ビームの形状およびサイズが、既定の値よりも大きくなることはない、または既定の値を超えて円形から逸脱しない。重なり領域では、偏向角が大きい、第1のビーム源からの第1のビームと、第1のビームよりも偏向角が小さい、第2のビーム源からの第2のビームとが存在し得る。
【0064】
2つ以上のエネルギービーム源を使用することにより、三次元造形の造形温度は、1つのビーム源を使用した場合よりも容易に維持され得る。これは、2つのビームは、1つのビームよりも同時により多くの場所に存在し得るためである。ビーム源の数を増やすことによって、造形温度の制御がさらに容易になる。複数のエネルギービーム源を使用することにより、造形温度を既定の温度範囲内に保つために、第1のエネルギービーム源を粉体材料の融解に使用してもよく、第2のエネルギービーム源を粉体材料の加熱に使用してもよい。
【0065】
第1の層が完成した後、すなわち、三次元造形品の第1の層を作るための粉体材料の溶融後、第2の粉体層が造形テーブル316上に提供される。第2の粉体層は、特定の実施形態では、直前の層と同じ方法で分配される。しかしながら、同じ付加製造機械において造形テーブル上に粉体を分配するための他の方法もあり得る。例えば、第1の層を第1の粉体分配器で提供してもよく、第2の層を別の粉体分配器で提供してもよい。粉体分配器の設計は、制御ユニットからの命令に従って自動的に変更される。単一レーキシステム、すなわち、1つのレーキが左側粉体ホッパ306および右側粉体ホッパ307の両方から落下した粉体を受ける形態の粉体分配器では、レーキはそれに応じて設計を変更できる。
【0066】
第2の粉体層を造形テーブル316上に分配させた後、造形テーブル316上に第1のエネルギービーム源301からの第1のエネルギービーム351を向けることにより、モデルに従って第3の選択された場所において第2の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第2の断面を形成する。
【0067】
第2の層の溶融部分を、第1の層の溶融部分に結合させてもよい。最上層の粉体を融解することに加えて、最上層の直下の層の厚さの少なくともごく一部も再融解することによって、第1および第2の層の溶融部分を共に融解してもよい。
【0068】
造形テーブル316上に第2のエネルギービーム源302からの第2のエネルギービーム352を向けることにより、モデルに従って第4の選択された場所において第2の粉体層を溶融させて、三次元造形品の第2の断面を形成してもよく、第2の粉体層の第3および第4の選択された場所が、少なくとも部分的に互いに重なり合ってもよく、少なくとも部分的に重なり合う第3および第4の場所4、5が、少なくとも部分的に重なり合う第1および第2の場所1、2に対して横方向にシフトしている。図7を参照されたい。図7では、第2の層の重なり領域6が、第1の層の重なり領域3に対して横方向にシフトしていることが示されている。シフトは、重なり領域3、6が互いに重なり合わないほど大きくてもよい。シフトは、重なり領域が依然として互いに重なり合うような既定の範囲内であってもよい。重なり領域の長さLは、層ごとに変わってもよい。
【0069】
レーザービームでも電子ビームであってもよいエネルギービームは、最後に施した粉体層を融解するだけではなく、粉体材料および直前の溶融プロセスで既に融解した材料を含む融解結果の粉体層の下の少なくとも材料層を融解する。
【0070】
本発明によるまた別の実施形態例では、重なり領域の幅190、192は、第1および第2の層で等しい。他の実施形態では、重なり領域の長さ190、192は、第2の層と比べて第1の層で異なってもよい。また別の実施形態例では、重なり領域の長さは、少なくとも1つの層のための既定の最小値および最大値の間で無作為に設定してもよい。
【0071】
本発明のまた別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所ならびに少なくとも部分的に重なる第1および第2の場所が重ならなくなる値に選択されてもよい。これは、第1の層では、重なり領域が第1の位置に配置されることを意味している。第2の層では、重なり領域は、第1の層の第1の位置と重なり合わない第2の位置に配置される。これにより、2つの隣接する層では互いの上に重なりが提供されないことから、三次元造形品の造形品質が改善され得る。
【0072】
また別の実施形態例では、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所ならびに少なくとも部分的に重なる第1および第2の場所が重なる値に選択されてもよい。2つの隣接する層の重なりが互いに重なり合うが、第2の層が第1の層に対してシフトしている、図2を参照されたい。
【0073】
第3および第4の少なくとも部分的に重なる場所の横方向シフト距離は、既定の範囲内で無作為に設定されてもよい。
【0074】
図4は、重なり領域の本発明による別の実施形態例の上面図を示している。図4では、異なるエネルギービーム源が使用され、これらのそれぞれが、粉体層の既定の領域を溶融できる。第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームは、符号41で示される第1の領域を溶融してもよい。第2のエネルギービーム源からの第2のエネルギービームは、符号42で示される第2の領域を溶融してもよい。第3のエネルギービーム源からの第3のエネルギービームは、符号43で示される第3の領域を溶融してもよい。第4のエネルギービーム源からの第4のエネルギービームは、符号44で示される第4の領域を溶融してもよい。
【0075】
第1の領域41および第2の領域42は、符号45で示される第1の重なり領域において互いに重なり合ってもよい。第1の領域41および第3の領域43は、符号47で示される第3の重なり領域において互いに重なり合ってもよい。第3の領域43および第4の領域44は、符号46で示される第2の重なり領域において互いに重なり合ってもよい。第4の領域44および第2の領域42は、符号48で示される第4の重なり領域において互いに重なり合ってもよい。第1、第2、第3および第4の領域はすべて、符号49で示される第5の重なり領域において互いに重なり合う。例えば、第1の重なり領域45は、第1および第2のビームの限界を画定する、すなわち、第1の重なり領域45の最も左にある実線は、第2のエネルギービームの最も左の位置を画定し、第1の重なり領域の最も右にある実線は、第1のエネルギービームの最も右の位置を画定する。第1の重なり領域内において、実際の重なり領域を画定し配置してもよい。必要な変更を加えた上で、第2、第3、第4および第5の重なり領域46、47、48および49も同様である。
【0076】
第1の層では、第1の領域41および第2の領域42の重なり領域140を、重なり領域45内の第1の位置に配置してもよい。第2の層では、第1の領域41および第2の領域42の重なり領域140を、重なり領域45内の第2の位置に配置してもよい。第1および第2の位置は、部分的に互いに重ね合わせてもよいし、完全に互いに重ね合わせてもよいし、あるいは重ならなくてもよい。各層および各重なり領域に関して、重なり領域の第1および第2の位置を無作為に設定してもよい。重なり領域140、150、160、170の長さは、同じ層内の異なる重なり領域で異なっていてもよく、また異なる層の同じ重なり領域で異なっていてもよい。
【0077】
三次元造形品の連続する断面に対応する粉体層の一部を連続して溶融することによって三次元造形品を形成するための装置のまた別の実施形態例において。装置が、三次元造形品の第1の断面を形成するために、モデルに従って第1の選択された場所において第1の粉体層を溶融するように適合される第1のエネルギービーム源を備える。装置が、三次元造形品の第1の断面を形成するために、モデルに従って第2の選択された場所において第1の粉体層を溶融するように適合される第2のエネルギービーム源をさらに備える。装置が、第1の粉体層の第1および第2の場所が少なくとも部分的に互いに重なり合うように第1および第2のエネルギービーム源を制御するように適合される制御ユニットをさらに備える。
【0078】
本発明が上述の実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲内において多くの修正が可能であることを理解されたい。そのような修正は、例えば、レーザービームなどの例示された電子ビームとは異なるエネルギービーム源を使用することを含んでもよい。追加的または代替的に、非限定的な例であるがポリマーの粉体またはセラミックの粉体などの、金属粉体以外の材料が用いられてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7