特許第6366713号(P6366713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オイヒナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング プルス コンパニー コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

特許6366713安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ
<>
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000002
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000003
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000004
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000005
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000006
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000007
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000008
  • 特許6366713-安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366713
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】安全スイッチのアクチュエータ並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 27/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   H01H27/00 J
   H01H27/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-537146(P2016-537146)
(86)(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公表番号】特表2016-529673(P2016-529673A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014001432
(87)【国際公開番号】WO2015028106
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】102013014456.6
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516027731
【氏名又は名称】オイヒナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング プルス コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EUCHNER GmbH + Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター リンク
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ホイスラー
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ヘアマン
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−501698(JP,A)
【文献】 特表平09−502298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(2)の所定の状態を検出してロックするための安全スイッチ(10)のアクチュエータ(1)であって、該アクチュエータ(1)は、前記安全スイッチ(10)のスイッチ部材(16)の読取りインダクタンス(38)と無接触式に信号交換するためのインダクタンス(36)を有しており、前記アクチュエータ(1)は、前記スイッチ部材(16)のロック部材(24)がロック状態で当接可能なロックフランク(50)を有しており、これにより、前記アクチュエータ(1)は前記スイッチ部材(16)においてロック可能になっているものにおいて、
前記インダクタンス(36)は、前記ロックフランク(50)の周り、又は該ロックフランク(50)を形成する、前記アクチュエータ(1)に設けられた切抜き部又は孔の周りに延在する少なくとも1つの巻線を有しており、該少なくとも1つの巻線は、前記アクチュエータ(1)を前記スイッチ部材(16)においてロックしている状態では、前記ロック部材(24)の周り、又は該ロック部材(24)の延長部の周りに延在しており、
前記アクチュエータ(1)は、該アクチュエータ(1)の固定部分(80)と、前記ロックフランク(50)を有するロックフランク部分(44)との間に配置された目標破断箇所(79)を有しており、前記スイッチ部材(16)において前記アクチュエータ(1)がロックされた状態で過大な引っ張り力が生じると、前記目標破断箇所(79)において前記ロックフランク部分(44)が前記固定部分(80)から分断可能になっている、
ことを特徴とする、安全スイッチ(10)のアクチュエータ(1)。
【請求項2】
前記ロックフランク(50)を形成する前記切抜き部又は孔は、前記インダクタンス(36)の前記少なくとも1つの巻線内の中心に配置されている、請求項1記載のアクチュエータ(1)。
【請求項3】
前記スイッチ部材(16)との信号交換用に必要とされる、前記アクチュエータ(1)の電気的な構成素子の第1の部分は、前記ロックフランク部分(44)に接続されており、前記スイッチ部材(16)との信号交換用に必要とされる、前記アクチュエータ(1)の電気的な構成素子の第2の部分は、前記固定部分(80)に接続されており、過大な引っ張り力が生じた場合には、前記スイッチ部材(16)との信号交換に必要とされる前記電気的な構成素子の両部分の電気的な接続が切離し可能であり、これにより信号交換が中断されるようになっている、請求項1又は2記載のアクチュエータ(1)。
【請求項4】
前記目標破断箇所(79)は、前記固定部分(80)から前記ロックフランク部分(44)が分断する前に伸長可能であり、前記ロックフランク部分(44)が前記固定部分(80)からまだ分断されていなくても、前記安全スイッチとの信号交換に必要とされる前記電気的な構成素子の両部分の電気的な接続は、切離し可能である、請求項記載のアクチュエータ(1)。
【請求項5】
前記スイッチ部材(16)との信号交換に必要とされる前記アクチュエータ(1)の前記電気的な構成素子の少なくとも1つの部分を有する回路基板(48)が、形状接続により前記アクチュエータ(1)の前記固定部分(80)と接続された係留部分(82)を有している、請求項3又は4までのいずれか1項記載のアクチュエータ(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(1)は、少なくとも2つの重なり合った金属薄板部材を有しており、第1の金属薄板部材(26)は、前記ロックフランク(50)を有する前記ロックフランク部分(44)を形成しており、第2の金属薄板部材(28)は、前記ロックフランク部分(44)を形成する前記第1の金属薄板部材(26)の一方の端部に比べて、後退させられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のアクチュエータ(1)。
【請求項7】
前記装置(2)の所定の状態が、機械(4)の防護装置の閉鎖状態である、請求項1から6までのいずれか1項記載のアクチュエータ(1)。
【請求項8】
装置(2)の所定の状態を検出してロックするための安全スイッチ(10)であって、該安全スイッチ(10)のスイッチ部材(16)は、前記安全スイッチ(10)のアクチュエータ(1)と無接触式に信号交換するための読取りインダクタンス(38)と、その長手方向軸線に沿って制御されて移動可能であり且つ前記アクチュエータ(1)と形状接続することのできるロック部材(24)とを有しているものにおいて、
前記アクチュエータ(1)は、請求項1から7までのいずれか1項に記載されたアクチュエータ(1)であり、前記読取りインダクタンス(38)は、前記ロック部材(24)の周りに延在する少なくとも1つの巻線を有していることを特徴とする、安全スイッチ(10)。
【請求項9】
前記ロック部材(24)の周りに延在するブシュ部材(54)が、強磁性の材料から製造されている、請求項8記載の安全スイッチ(10)。
【請求項10】
前記安全スイッチ(10)は、前記アクチュエータ(1)を挿入するための少なくとも1つの開口(22)を備えたスイッチヘッド(20)を有しており、読取りヘッド(20)は、前記アクチュエータ(1)が完全に当該読取りヘッド(20)に挿入された場合にのみ、前記読取りインダクタンス(38)と前記アクチュエータ(1)のインダクタンス(36)との間の信号交換が可能であるように形成されている、請求項8又は9記載の安全スイッチ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の所定の状態を検出してロックするため、特に機械等の防護装置の閉鎖状態を検出してロックするための安全スイッチのアクチュエータ、並びにこのようなアクチュエータを備えた安全スイッチに関する。
【0002】
安全スイッチは、例えば機械の防護装置の状態を監視するために使用され、例えば工作機械又は産業ロボット用の防護空間の防護扉の閉鎖状態の監視に用いられる。防護装置の閉鎖状態において、安全スイッチは、機械を運転するためのリリース信号を供給可能である。防護装置が開くと、安全スイッチは強制的に、例えば形状接続に基づいて作動させられるべき電気的なコンタクト対を介して、又は電子的な切替え素子を介して、1つ又は複数の回路を中断する。その結果、リリース信号は最早供給されなくなる。このようにして、付属する機械を安全な運転状態に移行させる、例えば遮断することができるか、又は機械の接続を防ぐことができるようになっている。
【0003】
いくつかの用途では、例えば機械の所定の運転状態において防護装置が開けられるようになっていることを防止すべき場合に、防護装置の閉鎖状態が、解除可能にロックすることができるようになっている、ということが必要とされている。機械停止後に初めてロックが解除されて、防護装置を開けることができるようになっている。
【0004】
機械的なアクチュエータを備えた安全スイッチの場合、このようなロック又は閉鎖保持は、DE4328297C1から公知のように、機械的なアクチュエータを、安全スイッチのスイッチヘッドに挿入された状態でロックすることにより行われる。
【0005】
WO98/43351A1から公知の安全スイッチは、安全スイッチ、特に安全スイッチの読取りヘッドと無接触式に信号交換するためのインダクタンスを有するアクチュエータを備えている。
【0006】
本発明の根底を成す課題は、大幅に改良された動作特性を有する、安全スイッチ用のアクチュエータ、及び付属する安全スイッチを提供することにある。1つの実施形態ではいずれにせよ既に、安全スイッチの高い運転確実性が大幅に向上されるようにしたい。特に、アクチュエータが安全スイッチに正しく位置決め若しくはロックされていないにも関わらず、安全スイッチが例えば電子構成部品の故障又は試みられた操作に基づいて、アクチュエータの存在又はロックを、延いては例えば機械の防護装置が閉鎖され且つロックされた状態にあることを信号化することは、確実に排除されるようにしたい。
【0007】
この場合、アクチュエータ及び/又は閉鎖保持機構は、できるだけコンパクトな構成形状を有していることが望ましい。
【0008】
前記課題は、請求項1に規定されたアクチュエータ、及び補助請求項に規定された安全スイッチにより解決されている。本発明の特別な実施形態は、下位請求項及び以下の説明に定められている。
【0009】
1つの実施形態において本発明は、装置の所定の状態を検出してロックするため、特に機械等の防護装置の閉鎖状態を検出してロックするための安全スイッチのアクチュエータに関する。このアクチュエータは、例えば安全スイッチの読取りヘッド内に配置されていてよい安全スイッチの読取りインダクタンスと無接触式に信号交換するためのインダクタンスを有している。該インダクタンスには、同調コンデンサ及び/又はアクチュエータの一義的な識別を可能にすることのできるトランスポンダチップが接続されていてよい。読取りインダクタンスは、読取り/書込みインダクタンスとして、且つ/又はアクチュエータの電気エネルギ供給用のエネルギ供給インダクタンスとして、形成されていてもよい。
【0010】
アクチュエータは、安全スイッチのロック部材がロック状態で当接可能なロックフランクを有しており、これにより、アクチュエータは安全スイッチにおいてロック可能になっている。インダクタンスは、ロックフランクの周り、又はロックフランクを形成する、アクチュエータに設けられた切抜き部又は孔の周りに延在する少なくとも1つの巻線を有しており、これによりこの少なくとも1つの巻線は、アクチュエータを安全スイッチにおいてロックしている状態では、ロック部材の周り、又はロック部材の延長部の周りに延在することになる。インダクタンスは、特に複数の巻線を有するコイルによって形成されていてよく、この場合、このコイルは複数の又は全ての巻線で以てロックフランクの周りに延在していてよい。アクチュエータに形成された切抜き部又は孔は、例えば長孔によって形成されていてよい。ロックフランクは、例えば切抜き部、孔又は溝の縁部によって形成されていてよい。特に、ロックフランクは、該ロックフランクを取り囲んでいる巻線内の中心に配置されていてよい。アクチュエータをロックしている状態では、ロック部材が巻線を貫通して係合していてよいか、又は巻線が好適には中心に近づいて、インダクタンスの巻線がいずれにしろロック部材の仮想延長部の周りに延在することになり、好適にはロック部材のロックフランクとの形状接続により確実なロックが保証されていると共に、確実な信号伝達が保証されている。
【0011】
1つの実施形態において、ロックフランクを形成する切抜き部又は孔は、インダクタンスの少なくとも1つの巻線内の中心に配置されている。切抜き部又は孔は、基本的にはロック部材の進入に十分な大きさを有する円筒状であってよい。切抜き部又は孔は、長円形又は方形の輪郭を有していてよく、これにより切抜き部又は孔にロック部材が進入した後でも、アクチュエータは安全スイッチのスイッチ部材内、特にスイッチヘッド内でまだ移動可能であるにもかかわらず、アクチュエータを確実にロックすることができるようになっている。
【0012】
1つの実施形態において、アクチュエータは、該アクチュエータの固定部分と、ロックフランクを有するロックフランク部分との間に配置された目標破断箇所を有している。安全スイッチにおいてアクチュエータがロックされた状態で過大な引っ張り力が生じると、目標破断箇所においてロックフランク部分が固定部分から分断可能になっていてよい。目標破断箇所は、特にこの目標破断箇所を形成しているアクチュエータの部分の局所的な材料薄化部により形成されていてよい。例えば舌片状のアクチュエータは、ロックフランクを形成する切抜き部又は孔の両側に目標破断箇所を有していてもよい。目標破断箇所においてロックフランク部分を分断するために必要とされる力は、好適には、この力によって安全スイッチの、例えばロック部材の、機械的な損傷は一切生じないように選択される。これにより、過大な引っ張り力によってはアクチュエータだけが損傷されて交換されねばならない一方で、安全スイッチは損傷されないままであり、引き続き使用することができるようになっている。
【0013】
1つの実施形態において、安全スイッチとの信号交換用に必要とされる、アクチュエータの電気的な構成素子の第1の部分は、ロックフランク部分に接続されている。安全スイッチとの信号交換用に必要とされる、アクチュエータの構成素子の第2の部分は、固定部分に接続されている。過大な引っ張り力が生じた場合には、信号交換に必要とされる電気的な構成素子の両部分の電気的な接続が切離し可能であり、これにより信号交換は中断されることになる。これにより、アクチュエータの破断が確実に電気的に検出可能になっており、特に安全スイッチは、これに付随する危険な運転状態を即座に検知するようになっている。
【0014】
電気的な構成素子の、ロックフランク部分と固定部分との接続は、適当な回路基板又は回路基板部分を介して行われてよく、過大な引っ張り力が生じると、回路基板又は回路基板部分自体が破断することにより、好適には固定部分からロックフランク部分が分断される前に、電気的な接続を中断する。アクチュエータのインダクタンスは、例えばロックフランク部分に接続されていてよく、特にロックされた状態において安全スイッチのロック部材は、インダクタンスの巻線内に係合することができるようになっており、過大な引っ張り力が生じると、インダクタンスの接続線路が中断され且つ/又はインダクタンス全体が破断されるようになっている。
【0015】
1つの実施形態において、アクチュエータの目標破断箇所は、固定部分からロックフランク部分が分断する前に、可塑性伸長を含め、伸長可能である。この場合、ロックフランク部分が固定部分からまだ分断されていなくても、安全スイッチとの信号交換に必要とされる構成素子の2つの部分の電気的な接続は、既に切離し可能になっている。このことは例えば、電気的な接続の中断が、例えば脆性の回路基板の破断、接続線路の裂断、又は回路基板の電気的な構成素子の剪断によって生ぜしめられる一方で、目標破断箇所は、アクチュエータの好適には金属の材料の適当な延性特性に基づき、比較的大きな可塑性伸長領域を有していることによって生ぜしめられてよい。これにより、閉鎖保持は未だ作動状態にあり、特にアクチュエータはまだ安全スイッチにおいてロックされているが、制御装置は既に電気的な接続の中断に基づいて、故障を検知することができる、ということが達成される。
【0016】
1つの実施形態において、安全スイッチとの信号交換に必要とされる電気的な構成素子の少なくとも1つの部分が配置された回路基板は、形状接続によりアクチュエータの固定部分と動作接続された係留部分を有している。例えば、このような係留部分は、固定部分の開口に挿入されていてよく、この開口自体は、係留部分で埋められるアンダカットを有している。好適には、ロックフランク部分が固定部分から分断される前に、回路基板が固定部分に移行する部分において破断する。このときに、電気的な接続が中断される。
【0017】
1つの実施形態において、アクチュエータは、好適にはストリップ状の、少なくとも2つの重なり合った金属薄板部材を有しており、これらの金属薄板部材の一方は、その上に位置する他方の金属薄板部材と、この他方の金属薄板部材の、ロックフランク部分を形成している軸方向端部とに比べて、後退させられている。この後退により空いた部分には、その上に位置する他方の金属薄板部材に接してインダクタンス、例えばコイルが載置された回路基板、が配置されていてよい。後退部は別にして、これらの金属薄板部材は少なくとも部分的に整合しており、例えば打抜き部材として製造されていてよい。これにより、特にアクチュエータの輪郭が、場合によっては設けられる目標破断箇所を含めて、簡単且つ再現可能に生ぜしめられることになる。
【0018】
本発明は、装置の所定の状態を検出してロックするため、特に機械等の防護装置の閉鎖状態を検出してロックするための安全スイッチにも関する。この安全スイッチは、アクチュエータと無接触式に信号交換するための読取りインダクタンスと、その長手方向軸線に沿って制御されて移動可能であり且つアクチュエータとの形状接続状態にもたらすことのできるロック部材とを有している。ロック部材は、例えば可動子部分を有しており、安全スイッチケーシング内でその長手方向に電磁式に可動であってよい。
【0019】
アクチュエータは上述したように形成されており、読取りインダクタンスは、ロック部材の周りに延在する少なくとも1つの巻線を有している。これにより、アクチュエータのインダクタンスとの、特に良好で確実な電磁結合が保証されている。アクチュエータと読取りヘッドのインダクタンス、特に付属する巻線又はコイルは、それぞれアクチュエータを安全スイッチにおいてロックしている状態において、ほぼ同心的であるか、又はそれどころか整合していてよい。読取りインダクタンスは、例えば円形の輪郭を有していてよく、読取りインダクタンスの中心は、アクチュエータの、長円形の輪郭を有するインダクタンスの中心と、ほぼ一致していてよい。
【0020】
1つの実施形態において、ロック部材の周りに延在するブシュ部材は、特に強磁性の金属材料から製造されている。ブシュ部材は、特に安全スイッチのスイッチ部材のスイッチケーシングのほぼ中心に配置された、内側に位置するロック部材と、外側に位置する読取りコイルとの間に配置されていてよい。ブシュ部材により、読取りインダクタンスによって誘起される電磁界の有利な形成が達成可能であり、特に所望の応答範囲内でのアクチュエータとの信号結合が改善され得る。
【0021】
1つの実施形態において、安全スイッチは、アクチュエータを挿入するための、少なくとも1つの開口を備えたスイッチヘッドを有している。読取りヘッドは、アクチュエータが完全にこの読取りヘッドに挿入された場合にのみ、読取りインダクタンスとアクチュエータのインダクタンスとの間の信号交換が可能であるように形成されている。これにより例えば、外部でスイッチヘッドに接しているに過ぎないアクチュエータが、未だ読取りインダクタンスの応答範囲内に位置しており、これにより安全スイッチが誤って、アクチュエータはスイッチヘッドに挿入されている、ということを信号化することが防止され得る。このことを達成するためには、複数の手段が個別に、又は互いに組み合わされて設けられていてよく、例えば読取りヘッドにアクチュエータを挿入するための開口を形成するフードは、特に強磁性の材料から製造されていてよい。択一的又は補足的に、読取りヘッド内には、読取りインダクタンスにより形成された電磁界の望ましくない副ローブを低減させるか、又は主ローブを制限し、延いては読取りインダクタンスの応答範囲もスイッチヘッド内の範囲に限定する、補償コイルが配置されていてよい。スイッチヘッドにおけるロック部材の中心配置及び/又は読取りインダクタンスの中心配置により、アクチュエータが、特に互いに90°の角度を成す4つの異なる方向からスイッチヘッドに挿入され得る安全スイッチが実現可能である。
【0022】
本発明の別の利点、特徴及び詳細は、従属請求項並びに図面につき複数の実施例を個別に説明した以下の説明から明らかである。請求項及び説明中に述べた特徴は、それぞれそれ自体が個々で、又は任意に組み合わされて、本発明の基本となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】安全スイッチを備える装置の全体配置を上から見た概略図である。
図2】本発明による安全スイッチの斜視図である。
図3図2に示したスイッチヘッドとアクチュエータの領域の一部を拡大して示す図である。
図4】アクチュエータが挿入されたスイッチ部材の上部の断面図である。
図5】アクチュエータを上から見た斜視図である。
図6】アクチュエータを下から見た斜視図である。
図7】ロック若しくは閉鎖保持が非作動状態のときの、スイッチ部材の上下の領域を示した図である。
図8】付属する切替え行程線図を示した図である。
図9】アクチュエータが読取りヘッドにまだ完全には挿入されていない状態の、スイッチ部材の上下の領域を示した図である。
図10】付属する切替え行程線図を示した図である。
【0024】
図1には、装置2、例えば本実施例では工作機械又は溶接用ロボットであってよい機械4の防護装置、の全体配置を上から見た概略図が示されている。装置2は、運転中の機械4による危険から、例えば作業者を防護する。装置2は、好適には固定式の第1の部分6、例えば装置2のフレーム、を有している。第1の部分6は、二重矢印14に相応して第1の部分6に対して可動の、装置2の第2の部分12、例えば防護扉、によって閉鎖可能な開口8を有している。装置2には安全スイッチ10が取り付けられており、安全スイッチ10は、好適には固定式の第1の部分6に配置されたスイッチ部材16と、好適には可動の第2の部分12に配置されたアクチュエータ1とを有している。安全スイッチ10は、機械4を制御する制御装置19に接続されている。
【0025】
図2には、スイッチ部材16とアクチュエータ1とを備えた本発明による安全スイッチ10の斜視図が示されている。スイッチ部材16は、スイッチ機構とスイッチ電子機器とが収納されたスイッチケーシング18を有している。スイッチケーシング18の上端部には、実質的に立方体のスイッチヘッド20が配置されており、スイッチヘッド20は、スイッチケーシング18に取外し可能に固定されており、且つ合計4つの側面に、アクチュエータ1をスイッチヘッド20に挿入するための各1つの入口開口22を有している。好適にはスイッチヘッド20の内部の中心に、スイッチヘッド20及びスイッチケーシング18内でその長手方向軸線の方向に制御式に可動のロック部材24が配置されており、ロック部材24は、スイッチケーシング18から進出した位置(図2に図示)において、スイッチヘッド20に挿入されたアクチュエータ1をスイッチ部材16においてロックするようになっている。
【0026】
アクチュエータ1は、重ね合わされて配置された2つのストリップ状の金属薄板部材26,28を有しており、これらの金属薄板部材26,28は、スイッチヘッド20に面した側の端部を、好適にはプラスチックから成るカバー30によって包囲されている。反対側の端部において、両金属薄板部材26,28は、2つの固定用開口32,34を備えた固定部分80を形成しており、これらの固定用開口32,34を介して、アクチュエータ1は装置2の第2の部分12に固定することができるようになっている。
【0027】
図3には、図2に示したスイッチヘッド20とアクチュエータ1の領域を、部分的にそれぞれ断面して拡大した図が示されている。図4には、スイッチ部材16の上部が、スイッチヘッド20に挿入され、そこでロックされたアクチュエータ1と共に断面して示されている。
【0028】
アクチュエータ1は、本実施例では複数の巻線を有するコイルによって形成されたインダクタンス36を有している。インダクタンス36は、図4に示した状態において、スイッチヘッド20内に配置された読取りインダクタンス38と、無接触式に信号交換可能である。読取りインダクタンス(コイル)38の応答範囲40は、図3に破線で示されている。アクチュエータ1のインダクタンス36が応答範囲40内にあるときには、読取りコイル38との信号交換が可能であり、安全スイッチ10は、アクチュエータ1がスイッチヘッド20に完全に挿入されており、よって装置2は閉鎖されていることを信号化することができる。このためにアクチュエータ1は、インダクタンス36の他に、例えば同調コンデンサ、トランスポンダチップ、又は無線周波数識別タグ(RF−IDタグ)を有していてよい。スイッチヘッド20のフード42又は適当なシールド用に、金属材料又はそれどころか強磁性材料を使用することにより、応答範囲40は、スイッチヘッド20又はスイッチケーシング18内にのみ延在する空間範囲に制限されている。
【0029】
応答範囲40を制限することにより、例えばスイッチヘッド20の上面に支持されているに過ぎない、スイッチヘッド20に挿入はされていない、よってロックすることもできない、誤って取り付けられたアクチュエータ1が、安全スイッチ10の誤った信号につながることが防がれる。これにより更に、例えばアクチュエータ1のトランスポンダが、アクチュエータ1がスイッチヘッド20にまだ又はまだ完全には挿入されていないときに既に認識され、これにより例えば「防護扉は閉鎖され、既に閉鎖保持状態にある」等の正しくない信号が、安全スイッチ10から誤って送信される、ということが排除されている。
【0030】
更に、例えば読取りインダクタンス38の過大な感度を招くことがある、安全スイッチ10の電子構成部材の欠陥により、スイッチヘッド20に不正確に挿入されたアクチュエータ1が認識されてしまう恐れがある、ということが確実に防止されている。主磁界方向に対して横方向に、且つ読取りインダクタンス38の副ローブの上方にインダクタンス36が挿入されることにより、前記欠陥の場合でも遮断距離と、いわゆる「安全な遮断距離(Sar)」とは特に近接している。なぜならば、例えば欠陥に起因して磁界が強まると、主に鉛直方向を向いた磁界の主ローブが拡大するが、主ローブはフード42によって遮蔽されているからである。
【0031】
アクチュエータ1の第1の金属薄板部材26は、スイッチヘッド20に面した側の端部において、ロックフランク部分44(図3)で以て第2の金属薄板部材28を越えて突出しており、且つ長孔46を有している。この長孔46をロック部材24が貫通することができるようになっており、これにより、図4に図示した位置で、アクチュエータ1をスイッチ部材16においてロックするようになっている。インダクタンス36は、回路基板48上に配置されており、回路基板48自体もやはり、ロック部材24が貫通するための、第1の金属薄板部材26の長孔46よりも大きな長孔を有している。金属薄板部材26の長孔46又はこの領域に設けられたカバー30は、ロック部材24のためのロックフランク50を形成している。
【0032】
読取りインダクタンス38は、スイッチヘッド20内で回路基板とコイル枠とを有するコイル支持体52上に配置されており、コイル支持体52もやはり読取りインダクタンス38と同様に、ロック部材24の周りに環状に延在していてよい。読取りインダクタンス38とロック部材24との間に配置されたブシュ部材54は、好適には強磁性材料から成り且つその長手方向に移動可能なロック部材24をガイド又は支持するための、スリーブ状の部分を有している。ブシュ部材54の、アクチュエータ1に面した側の端部付近において、ロック部材24には、ブシュ部材54の端面側の端部に挿入された掻取り部材56が、特に弾性変形可能な環状の掻取りリップで以て当接している。ロック部材24の、アクチュエータ1とは反対の側の端部において、ロック部材24は、連行体58に動作接続(結合)されており、連行体58もやはり、ロック部材24とは反対の側の端部において、スイッチケーシング18に突入する可動子プランジャ60と動作接続(結合)されている。
【0033】
スイッチヘッド20に対してスイッチケーシング18をシールするために、スイッチ部材16は、好適には回転対称的なシール部材を有している。このシール部材の半径方向外側の第1のシール部分61は、ブシュ部材54の好適には環状且つ/又は平らな端面と、スイッチケーシング18の好適には横断面が円錐状に間隔を狭めて延在しているシール縁部との間に挟まれてシールしている。シール部材の半径方向内側の第2のシール部分63は、ブシュ部材54の好適には環状且つ/又は平らな端面と、連行体58の先細部分の好適には環状の段付き面との間に挟まれてシールしている。両シール部分61,63は、一方ではスイッチケーシング18のシールに役立ち且つ他方では連行体58の行程運動に関して十分な長手方向可動性を有する、一体的に形成された、蛇行するメアンダ状のダイヤフラム62を介して互いに接続されている。
【0034】
スイッチケーシング18内の可動子プランジャ60の領域には、行程磁石の固定子64が配置されており、固定子64は、可動子プランジャ60に動作接続(結合)された可動子部材66と協働する。固定子64は、例えば電磁石のコイルによって形成されていてよく、このコイルの給電時に、可動子部材66延いては可動子プランジャ60、連行体58、並びにロック部材24がスイッチケーシング18内に進入させられ、これによりアクチュエータ1のロックが解除されるようになっている。可動子プランジャ60と可動子部材66との間の第1の中空円筒形の自由空間68内には、可動子部材66の過剰行程のためのばね部材(図示せず)が配置されていてよい。可動子プランジャ60と可動子部材66との間の第2の中空円筒形の自由空間70内には、スイッチヘッド20に向かって可動子部材66に予荷重を加えるためのばね部材が配置されていてよい。
【0035】
可動子プランジャ60の、スイッチヘッド20とは反対の側の端部、特に該端部に配置された切替え片72は、固定子64から突出している。可動子プランジャ60のこの下端部は、その位置に応じて、可動子プランジャ60延いてはロック部材24の軸方向位置を検出可能な、相前後して配置された2つの位置センサ74,76と協働する。この実施例では、2つの位置センサ74,76は、それぞれライトバリアである。
【0036】
図5には、特にアクチュエータ1のスイッチヘッド20に面したロックフランク部分44を上から見た斜視図が示されており、図6には、特にアクチュエータ1のスイッチヘッド20に面したロックフランク部分44を下から見た斜視図が示されている。特にストリップ状の第1の金属薄板部材26は、図5及び図6では透視図で示されたカバー30により輪郭が形成された長円形の長孔46の領域に、第1の金属薄板部材26に属する、やや大きく寸法決めされた長孔47を画成する2つの脚部78を細くすることにより形成された、目標破断箇所79を有している。アクチュエータ1のロック状態において、過大な引っ張り力が生じた場合には、この目標破断箇所79において、ロックフランク50を有するロックフランク部分44が、アクチュエータ1の固定部分80から分断可能になっている。このために脚部78の外側は、長孔47の長さの50%を上回る長さにわたって細く絞られている。
【0037】
第1の金属薄板部材26の機械的な目標破断箇所79は、アクチュエータ1が所定の位置で破断する、ということが保証されているように、意図的に設計されている。第1の金属薄板部材26に配置され、アクチュエータ1の、スイッチ部材16と、その読取りインダクタンス38との無接触式の信号交換用に必要とされる構成素子88が突入している切抜き部86は、例えばトランスポンダチップ又は同調コンデンサであってよい構成素子88が、アクチュエータ1に過剰な負荷が掛けられた場合に、固定部分80と共にスイッチヘッド20から引き出され、次いで直ちにアクチュエータ1とスイッチ部材16との間の無接触式の接続が中断され、安全スイッチ10が相応の出力信号を送出する、ということを保証する。
【0038】
択一的又は補足的に、第1の金属薄板部材26が目標破断箇所79で破断する力の限界値は、スイッチヘッド20及びスイッチ部材16も、アクチュエータ1の破断にかかわらず損傷されないままであり、特に完全に機能することができると共に引き続き使用可能であり続けるように設定されている。よって、このように過剰な負荷が掛けられた場合には、アクチュエータ1だけを交換し、スイッチ部材16は交換せずに済む。
【0039】
構成素子88及び付属する回路基板48の構成高さは、スイッチヘッド20内でのアクチュエータ1の鉛直方向遊びよりも大きいので、カバー30が破壊されても、構成素子88が切抜き部86を通過して落下することはなく、むしろ形状接続(形状による束縛、例えば係合による結合)に基づいて回路基板48から分断されるようになっており、このことは直ちに安全信号の中断を生ぜしめる。
【0040】
第1の金属薄板部材26の、スイッチヘッド20に面した側の端部、又はその付近、好適には目標破断箇所79の領域において、第1の金属薄板部材26の下面には、インダクタンス36が取り付けられた回路基板48が配置されている。回路基板48とインダクタンス36とは、それぞれロック部材24の貫通用の、好適には長円形の開口を有している。回路基板48は、係留部分82を有しており(図6)、この係留部分82は、先細部分84を介して、インダクタンス36用の支持体領域と結合されている。係留部分82内には、インダクタンス36の少なくとも1つの接続線路83が通じている。この場合、係留部分82が、第2の金属薄板部材28のアンダカットを有する切抜き部85に挿入されていることにより、係留部分82は、アクチュエータ1の固定部分80と形状接続的に結合されている。
【0041】
このことは、ロック状態における過大な引っ張り力によりアクチュエータ1に過剰な機械的負荷が掛けられた場合には、アクチュエータ1が破断する前に、脚部78により形成された目標破断箇所79が伸長して、コイル36の接続線路83が、係留部分82の破断に基づき中断される、ということをもたらす。このことは、過剰負荷に際しては、まず最初に安全信号が中断される一方で、機械的な閉鎖保持は、未だ有効であり続ける、ということをもたらす。より高い過剰負荷が掛けられて初めて、アクチュエータ1の機械的な目標破断箇所79も裂断することになる。
【0042】
第1の金属薄板部材26は、ロック部材24からアクチュエータ1の固定部まで直接に力を伝達されて、閉鎖保持力の最大部分を吸収するようになっており、且つ目標破断箇所79を備えている。第2の金属薄板部材28は、形状接続部を介してトランスポンダ回路基板48の係留部分82と結合されており、トランスポンダ回路基板48は先細部分84に基づき、小さな力だけを吸収可能な別の目標破断箇所を備えている。閉鎖保持において過剰負荷が生じた場合、第1の金属薄板部材の目標破断箇所79は、本実施例では可塑性の領域を含めて最大数mmだけ伸長する一方で、トランスポンダ回路基板48の目標破断箇所は、裂断するようになっている。
【0043】
図7には、スイッチヘッド20を備えたスイッチ部材16の上部領域の断面図、及びスイッチヘッド20にアクチュエータ1が挿入されてはいるが、ロック若しくは閉鎖保持は非作動状態にあるスイッチ部材16の下部領域が示されている。図8には、付属する切替え行程線図、つまりロック部材24又は閉鎖保持ピンの行程h(mm)が、図7に図示した出発位置71から矢印90の方向に出発するアクチュエータ1の移動距離s(mm)に応じて示されている。アクチュエータ1のs=0の位置は、アクチュエータ1がストップ位置までスイッチヘッド20に挿入された状態に相当する。
【0044】
図7に示した位置において、ロック部材24はアクチュエータ1の貫通開口にやや突入しているが、アクチュエータ1をロックしてはいない。これに相応して、ロック部材24は、スイッチヘッド20内へ最大には移動させられていない状態にある。よって、第2の位置センサ76を形成する第2のライトバリアの光路L2は、切替え片72から解放されている。これに相応して安全スイッチ10は、移動距離sの73の部分では、例えばアクチュエータ1が固定されている防護扉は閉鎖されていて、閉鎖状態を保持する準備ができてはいるが、防護扉の閉鎖状態は、まだ保持されてはいない(閉鎖保持は非作動)、ということを信号化することができるようになっている。
【0045】
アクチュエータ1がスイッチヘッド20から矢印90の方向に引き出されると、アクチュエータ1の移動方向90と相まってほぼ直角を成すロックフランク50に隣接する傾斜面92がロック部材24に当接して、ロック部材24をスイッチケーシング18内へ押し込む。この移動の間に、光路L2が中断される。
【0046】
次に、ロック部材24がアクチュエータ1の端面94に当接し、まず最初に接続ポイント95に到達する切替え行程線図部分が続く。接続ポイント95では、アクチュエータ1がスイッチヘッド20に挿入されたときに、安全スイッチ10が最初にアクチュエータ1の存在を信号化する。次いで遮断ポイント97に到達すると、安全スイッチ10は、アクチュエータ1が挿入されていないことを信号化する。接続ポイント95と遮断ポイント97とは、アクチュエータ1の僅かな移動に基づく安全スイッチ10の出力信号の望ましくない急速な変化を避けるために、十分に間隔を開けておく必要がある。
【0047】
ロック部材24がまだ端面94に当接している間に、アクチュエータ1が更に引き出されると、安全な遮断距離(Sar)の切替えポイント99に到達する。この切替えポイント99では、例えば誤って磁界が強まり、これに相応して読取りインダクタンス38の応答範囲40が拡大された場合でも、安全スイッチ10の確実な遮断がいずれにせよ保証されている。
【0048】
アクチュエータ1がスイッチヘッド20から更に離されると、ロック部材24はカバー30の挿入斜面96に当接することにより、例えばばね予荷重に基づいて、スイッチヘッド20内へ移動する。このとき切替え片72から、まず最初に光路L2が解放され、次いで第1の位置センサ74を形成する第1のライトバリアの光路L1も解放される。
【0049】
アクチュエータ1がスイッチヘッド20から完全に導出されると、ロック部材24は切替え行程線図にマーキングした終端位置75に到達する。アクチュエータ1の、特にカバー30によって形成されている、ロック部材24に面した輪郭は、切替え行程線図における行程hの推移を反映したものである。
【0050】
図9には、スイッチ部材16の上部領域の断面図と、アクチュエータ1がまだ完全には読取りヘッド(スイッチヘッド)20に挿入されていない状態にあるスイッチ部材16の下部領域とが示されている。図10には、付属する切替え行程線図、つまりロック部材24又は閉鎖保持ピンの行程h(mm)が、図9に示した出発位置77から矢印98の方向に出発するアクチュエータ1の移動距離s(mm)に応じて示されている。
【0051】
図9に示した位置において、ロック部材24はちょうど、カバー30により形成された第1の挿入斜面96に当接する。アクチュエータ1が更に挿入されると、ロック部材24はスイッチ部材16内に押し込められ、これによりまず最初に、第1の位置センサ74を形成する第1のライトバリアの光路L1が中断され、次いで第2の位置センサ76を形成する第2のライトバリア76の光路L2も中断される。次に、ロック部材24はアクチュエータ1の端面94に当接する。更にアクチュエータ1を挿入する過程において、アクチュエータ1のインダクタンス36が、読取りインダクタンス38の応答範囲40(図3)内に到達する。このとき、まず最初に図10の切替え行程線図における遮断ポイント97に到達し、次いで接続ポイント95に到達する。アクチュエータ1のこの位置から、アクチュエータ1は安全スイッチ10の読取りコイル38により検出される。安全スイッチ10は、アクチュエータ1の検出を、2つの位置センサ74,76の少なくとも一方の信号と論理的に結合し、場合によっては相応する出力信号を送出する。
【0052】
アクチュエータ1が更に挿入されると、ロック部材24は傾斜面92に当接し、これに相応して再びスイッチヘッド20内へ、やや移動する。この移動過程中に、切替え片72は第2のライトバリアの光路L2を解放する。
【0053】
この時点から次の行程部分73において、安全スイッチ10は、該安全スイッチ10がアクチュエータ1を閉鎖保持若しくはロックするための準備ができていることを信号化する。
【0054】
アクチュエータ1が更に挿入されると、例えば固定子64の給電又はばね予荷重に基づき閉鎖保持が作動して、ロック部材24はアクチュエータ1の、カバー30により形成された長孔46内へ完全に進入すると共に、全体的にスイッチヘッド20の内部に移動するので、第1のライトバリアの光路L1も解放されることになる。これに応じて安全スイッチ10は行程部分81において、アクチュエータ1は十分に全体が挿入されてロックもされた状態にあり、よって例えば機械4の防護装置はロックされていると共に閉鎖保持されており、延いては安全な状態にあることを信号化する。アクチュエータ1に引っ張り力が加えられた場合には、ロックフランク50がロック部材24に形状接続的に当接し、延いてはアクチュエータ1をスイッチ部材16において動かないようにロックするようになっている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-8】
図9-10】