特許第6366715号(P6366715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イスカル リミテッドの特許一覧

特許6366715弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具
<>
  • 特許6366715-弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具 図000002
  • 特許6366715-弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具 図000003
  • 特許6366715-弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具 図000004
  • 特許6366715-弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具 図000005
  • 特許6366715-弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具 図000006
  • 特許6366715-弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具 図000007
  • 特許6366715-弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366715
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】弾性クランプを備えた取外し可能な切削工具セグメントおよびそのための切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/22 20060101AFI20180723BHJP
   B23C 5/08 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B23C5/22
   B23C5/08 A
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-537427(P2016-537427)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公表番号】特表2016-528055(P2016-528055A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】IL2014050564
(87)【国際公開番号】WO2015029008
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】14/010,270
(32)【優先日】2013年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,ギル
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−173414(JP,A)
【文献】 特開昭58−211804(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/057599(WO,A1)
【文献】 特表2003−526524(JP,A)
【文献】 特表2006−517865(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0290944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/00 − 5/28
B23B 27/16
B23B 29/14
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方向(D、D)に延びる長手方向セグメント軸(A)を有する切削工具セグメント(100、140、100’)であって
前記セグメント軸(A)の両側に配置された上端部(102)および下端部(104)であって、前記下端部(104)が2つの離間した下部当接面(108、110)を有する上端部(102)および下端部(104)と、
前記切削工具セグメント(100、140、100’)の前端部(114)で前記上端部(102)に形成されたインサート保持部分(112)と、
前記上端部(102)に形成された弾性保持アーム(116)であって前記弾性保持アーム(116)の全体が、前記インサート保持部分(112)から後方に配置され、且つ、弾性間隙(117)によって前記インサート保持部分(112)から離間され、前記弾性保持アーム(116)は上部当接面(118)を有する弾性保持アーム(116)とを含み、
前記切削工具セグメント(100、140、100’)の側面において、前記上部当接面(118)および前記下部当接面(108、110)が直線状である、切削工具セグメント(100、140、100’)。
【請求項2】
前記切削工具セグメント(100、140、100’)の側面において、前記上部当接面(118)および前記下部当接面(108、110)が互いに平行である、請求項1に記載の切削工具セグメント(100、140、100’)。
【請求項3】
前記インサート保持部分(112)が、切削インサート(122)を受け入れ且つ摩擦嵌合によって前記切削インサート(122)を保持するように適合されたインサートポケット(120)を含む、請求項1または2に記載の切削工具セグメント(100、140、100’)。
【請求項4】
前記下端部(104)がさらに、前記下部当接面(108、110)の間に配置された固定用凹部(124)を有し、前記固定用凹部(124)が固定用部材(126)を部分的に受け入れるように適合されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削工具セグメント(100)。
【請求項5】
前記切削工具セグメント(100、140)の前記前端部(114)に配置されたストッパ部分(128)をさらに含み、前記ストッパ部分(128)が、前記セグメント軸(A)に対して横方向に延在する後方に面するストッパ面(130)を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の切削工具セグメント(100、140)。
【請求項6】
工具ホルダ本体(152)であって、その周囲面(156)に形成された少なくとも1つのセグメントポケット(154、154’)を有する工具ホルダ本体(152)と、
前記少なくとも1つのセグメントポケット(154、154’)内に保持される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの切削工具セグメント(100、140、100’)とを含む、切削工具(150、150’)。
【請求項7】
請求項6に記載の切削工具(150、150’)であって、
前記工具ホルダ本体(152)において、各セグメントポケット(154、154’)が上部ポケット面(158)と、反対側の下部ポケット面(160)とを有し、前記上部ポケット面(158)が上部クランプ面(162)を有し、且つ前記下部ポケット面(160)が2つの離間した下部クランプ面(168、170)を有し、
各切削工具セグメント(100、140、100’)において、前記上部当接面(118)が前記各セグメントポケット(154)の前記上部クランプ面(162)と当接し、前記下部当接面(108、110)が前記各セグメントポケット(154、154’)の前記下部クランプ面(168、170)と当接し、且つ前記保持アーム(116)が前記セグメント軸(A)の方に弾性的に押され、および
少なくとも1つの切削インサート(122)が、前記少なくとも1つの切削工具セグメント(100、140、100’)の前記インサート保持部分(112)内に保持される、切削工具(150、150’)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの切削工具セグメント(100、140)がさらに、前記少なくとも1つの切削工具セグメント(100、140)の前記前端部(114)に配置されたストッパ部分(128)を含み、前記ストッパ部分(128)が、前記セグメント軸(A)に対して横方向に延在する後方に面するストッパ面(130)を有し、
前記ストッパ面(130)が前記工具ホルダ本体(152)の前記周囲面(156)と当接する、請求項6または7に記載の切削工具(150)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの切削工具セグメント(100)の前記下端部(104)がさらに、前記下部当接面(108、110)の間に配置された固定用凹部(124)を有し、
前記少なくとも1つのセグメントポケット(154)の前記下部ポケット面(160)が、前記下部クランプ面(168、170)の間に形成されたポケット凹部(166)を有し、前記ポケット凹部(166)が前記固定用凹部(124)に面し且つ、前記固定用凹部(124)とともに固定用開口(172)を形成し、前記固定用開口(172)は、前記固定用開口(172)を通して固定用部材(126)を受け入れるように適合されている、請求項6〜8のいずれか一項に記載の切削工具(150)。
【請求項10】
前記固定用部材(126)がカム部材であり、前記カム部材は、前記セグメント軸(A)を横切るカム軸(C)の周りで回転させられると、前記各切削工具セグメント(100)をそのセグメントポケット(154)内に確実に固定する、請求項9に記載の切削工具(150)。
【請求項11】
前記カム部材(126)が部分的外形(174)を有し、前記部分的外形(174)は、前記カム部材が前記カム軸(C)の周りで回転させられると、前記固定用開口(172)の内側面(176)と相互作用する、請求項10に記載の切削工具(150)。
【請求項12】
前記切削工具セグメント(100、140、100’)は、前記切削工具セグメント(100、140、100’)に形成されたセグメントキー開口(132)を有し、および前記ホルダ本体(152)は、前記ホルダ本体(152)に形成されたホルダキー開口(164)を有し、前記セグメントキー開口(132)および前記ホルダキー開口(164)は作動キーの各突起を同時に受け入れるように適合されている、請求項6または7に記載の切削工具(150、150’)。
【請求項13】
前記切削インサートが摩擦嵌合によって前記インサート保持部分(112)内に保持される、請求項6〜12のいずれか一項に記載の切削工具(150、150’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[001]本発明は、概して、円周方向に保持された切削インサートを有する切削工具に関し、詳細には、切削インサートを保持する取外し可能なセグメントを有するそのような切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[002]溝削りカッターおよびソーなどの切削工具は、それらの周囲面に保持される複数の切削インサートを有する。切削インサートは切削工具要素内に保持可能であり、切削工具要素は工具ホルダ本体から分離可能である。そのような切削工具要素は様々な形態で工具ホルダ本体と結合されることが知られている。切削インサートまたは切削工具要素の中には、それらの位置を維持するカムによって、各ポケットまたは凹部内に保持されるものもある。
【0003】
[003]上に記載したような切削工具セグメントまたは切削インサートを有する切削工具は、例えば、以下の米国特許公開:米国特許第4,604,004号、米国特許第4,898,054号、米国特許第6,325,574号、米国特許第4,492,140号、米国特許第3,887,975号、米国特許第2,860,863号、米国特許第341,187号および米国特許第207,003号、ならびに独国特許公開、独国実用新案第8513350U1号および独国特許出願公開第10010223B4号に示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[004]改良された新規切削工具セグメントを提供することが本出願の主題の目的であり、この改良された新規切削工具セグメントは、切削工具セグメント内に切削インサートを保持しているにもかかわらず、工具ホルダ本体内に弾性的に保持され、および工具ホルダ本体から取外し可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
[005]本出願の主題によれば、切削工具セグメントであって、前後方向に延びる長手方向セグメント軸を有し、且つ、
セグメント軸の両側に配置された上端部および下端部であって、下端部が2つの離間した下部当接面を有する上端部および下端部と、
切削工具セグメントの前端部で上端部に形成されたインサート保持部分と、
上端部に形成され、インサート保持部分から後方に離間された弾性保持アームであって、上部当接面を有する弾性保持アームと
を含み、
切削工具セグメントの側面において、上部および下部当接面が直線状である、切削工具セグメントが提供される。
【0006】
[006]本出願の主題によれば、工具ホルダ本体であって、その周囲面に形成された少なくとも1つのセグメントポケットを有する工具ホルダ本体と、少なくとも1つのセグメントポケット内に保持される、上に記載されるような少なくとも1つの切削工具セグメントとを含む、切削工具が提供される。
【0007】
[007]切削工具の工具ホルダ本体において、各セグメントポケットは上部ポケット面と、反対側の下部ポケット面とを有し、上部ポケット面は上部クランプ面を有し、且つ下部ポケット面は2つの離間した下部クランプ面を有し、切削工具セグメントの上部当接面はセグメントポケットの上部クランプ面と当接し、切削工具セグメントの下部当接面はセグメントポケットの下部クランプ面と当接し、且つ保持アームはセグメント軸の方に弾性的に押される。少なくとも1つの切削インサートが、少なくとも1つの切削工具セグメントのインサート保持部分内に保持される。
【0008】
図面の簡単な説明
[008]本出願をより良く理解するため、および本出願を実際にどのように実行できるかを示すため、次に添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による切削工具の概略的な説明側面図である。
図2図1の切削工具の一部の斜視図である。
図3図2の切削工具の一部の側面図である。
図4図2の切削工具の一部の分解側面図である。
図5】本発明の別の実施形態による切削工具の一部の側面図である。
図6図5の切削工具の一部の分解側面図である。
図7】本発明のさらなる実施形態による切削工具の一部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[009]説明を簡単および明確にするために、図面に示される要素は必ずしも一定の縮尺比で描かれていないことは認識されよう。例えば、一部の要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して誇張されている場合があり、またはいくつかの物理的構成要素が1つの機能的ブロックまたは要素の中に含まれている場合がある。さらに、適切と考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために、参照番号は図面を通して繰り返される場合がある。
【0011】
発明の詳細な説明
[010]以下の記載において、本発明の様々な態様が記載される。説明のため、特定の構成および詳細が、本発明の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明は本明細書に示した特定の詳細なしに実行できることも当業者には明らかであろう。さらに、周知の特徴は、本発明を曖昧にしないように、省略または単純化される場合がある。
【0012】
[011]次に、本発明の実施形態による切削工具150の様々な図を示す図1〜4を参照する。切削工具150は工具ホルダ本体152を含み、工具ホルダ本体152は2つの本体側面155と、それらの間に延在する周囲面156とを有する。複数のセグメントポケット154が、工具ホルダ本体152の周囲面156に形成される。切削工具150はまた、複数の切削工具セグメント100を含み、各切削工具セグメント100は、各セグメントポケット154に取外し可能に保持される。切削工具150は、中心回転軸Bを有する回転切削工具として示されている。作動中、切削工具150は中心軸Bの周りでワークピースに対して回転し、ワークピースから材料を切り取る。
【0013】
[012]特に図3〜4を参照すると、各セグメントポケット154は、上部ポケット面158と、反対側の下部ポケット面160とを有する。ポケット後面178が上部ポケット面158と下部ポケット面160との間に延在する。上部ポケット面158は上部クランプ面162を有し、下部ポケット面160は2つの離間した下部クランプ面168、170を有する。
【0014】
[013]切削工具セグメント100は、前後方向D、Dに延びる長手方向セグメント軸Aを有する。切削工具セグメント100は、上端部102と下端部104とを含み、それらはセグメント軸Aの両側に配置されている。下端部104は、2つの離間した下部当接面108、110を有する下部面106を有する。切削工具セグメント100は、2つのセグメント側面107と、それらの間に延在するセグメント周囲面109とを有する。セグメント後面134が、切削工具セグメント100の後側において下部面106と弾性保持アーム116の後部との間に延在する。
【0015】
[014]インサート保持部分112が、切削工具セグメント100の前端部114において上端部102に形成される。弾性保持アーム116は上端部102に形成され、上部当接面118を有する。保持アーム116はインサート保持部分110から後方に離間される。
【0016】
[015]図3および図4に示されるように、切削工具セグメント100の側面において、上部および下部当接面118、108、110は直線状である。切削工具セグメント100の側面において、上部当接面118は上部ラインI1に沿って位置し、下部当接面108、110は下部ラインI2に沿って位置する。いくつかの実施形態では、上部ラインI1および下部ラインI2は、切削工具150のいくつかの位置において(例えば、切削工具セグメント100がセグメントポケット154に取り付けられるとき)、互いに平行であり得る。そのような上部および下部当接面118、108、110(すなわち側面において直線状)は、例えば側面において湾曲した当接面と比べて、製造しやすいことに注目すべきである。さらに、そのような当接面は、湾曲した当接面と比べて、より研削しやすい。上部および下部当接面118、108、110は、切削工具セグメント100とセグメントポケット154との間の確実な当接のために、V字形面であり得ることは認識されよう。下部当接面108、110は、単一の直線状面、すなわち下部面106の2つの離間したセクションであり得ることがさらに注目される。
【0017】
[016]切削工具150において、少なくとも1つの切削工具セグメント100のそれぞれは、各セグメントポケット154に取外し可能に保持され、その結果、切削工具セグメント100の上部当接面118はセグメントポケット154の上部クランプ面162に当接する。さらに、切削工具セグメント100の下部当接面108、110は、それぞれセグメントポケット154の下部クランプ面168、170と確実に当接する。切削工具セグメント100がセグメントポケット154の中へ後方に進められるとき、保持アーム116はセグメント軸Aの方に弾性的に押される。保持アーム116の移動は、それに隣接して形成される弾性間隙117によって起こり得る。確実な摩擦嵌合が、切削工具セグメント100の上部および下部当接面118、108、110の間に、それぞれセグメントポケット154の上部および下部クランプ面162、168、170によって形成される。
【0018】
[017]切削工具セグメント100のそれぞれにおいて、切削インサート122がインサート保持部分112に保持される。インサート保持部分112は、切削インサート122を保持するためのいずれかの構成を含み得る。本出願の図に示される切削工具セグメント100は、摩擦嵌合によって(すなわち、その内容が参照により組み込まれる米国特許第7,163,361号で見られるものなど、ねじ等としての締結部材なしに)切削インサート122を保持するための摩擦嵌合弾性保持部分を含む。従って、インサート保持部分112は、切削インサートを保持するためのクランプねじまたは他のクランプを受け入れるためのねじ穴がない。しかしながら、他のいずれかの種類のインサート保持が利用されてもよく、例えば、そのようなものには、その内容が参照により組み込まれる米国特許第7,090,443号で見られるものなどの締結部材が含まれる。
【0019】
[018]いずれの場合においても、弾性保持アーム116は、インサート保持部分112から後方に離間される。従って、セグメントポケット154内でその保持によって切削工具セグメント100に適用される力は、インサート保持部分112内の切削インサート122の保持によって適用される力に寄与せず、およびその力と干渉しない。従って、切削工具セグメント100を切削工具本体152に取り付けた状態で切削インサート122を取り外し、および切削工具セグメント100に取り付けることが可能である。
【0020】
[019]本発明の別の実施形態を示す図5〜6をさらに参照する。この実施形態では、切削工具150は、切削工具本体152と、少なくとも1つの切削工具セグメント140とを含む。切削工具セグメント140は切削工具セグメント100に類似しているが、切削工具セグメント140の下部面106は、下部当接面108、110の間に形成された固定用凹部124を有する。固定用凹部124は下部面106からセグメント軸Aの方に窪められ、固定用部材126を部分的に受け入れるように適合される。
【0021】
[020]セグメントポケット154の下部ポケット面160は、下部クランプ面168、170の間に形成されたポケット凹部166を有する。切削工具セグメント140がセグメントポケット154内に配置されるとき、ポケット凹部166は切削工具セグメント100の固定用凹部124に面する。ポケット凹部166および固定用凹部124は、従って、それを通して固定用部材126を受け入れるように適合された固定用開口172をともに形成する。固定用開口172は内側面176を有する。固定用部材126はカム部材であってもよく、カム部材は、セグメント軸Aを横切るカム軸Cの周りでカム部材が回転されるとき、各切削工具セグメント100をそのセグメントポケット154内に確実に固定する。
【0022】
[021]カム部材126の一部は、部分的外形(portion contour)174(例えば、らせん状外形または楕円形外形)を有し、部分的外形174は、カム軸Cの周りで回転されるとき、固定用開口172の内側面176の一部と相互作用する、すなわちポケット凹部166および固定用凹部124と同時に相互作用する。カム部材126がカム軸Cの周りで回転されるとき、その部分的外形174は、固定用凹部124およびポケット凹部166の壁の各部分を押す。これにより切削工具セグメント100とセグメントポケット154との間により確実な保持が形成される。
【0023】
[022]切削工具セグメント100、140はさらに、セグメント側面107の少なくとも1つに開口するセグメントキー開口132を有し得、およびホルダ本体152は、本体側面155の少なくとも1つに開口するホルダキー開口164を有する。セグメントおよびホルダキー開口132、164は、作動キーの各突起を同時に受け入れるように適合され、作動キーは切削工具セグメント100、140をセグメントポケット154の中へおよび外へ進める役割を果たす。作動キーは、第1の方向に回転されるとき、切削工具セグメント100、140を、セグメントポケット154の方へ進め、反対方向に回転されるとき、切削工具セグメント100、140を引き抜くように構成される。第2実施形態が使用されるとき(図5〜6)、切削工具セグメント140はセグメントポケット154の中へ進められ、続いて固定用部材126が固定用開口172に配置され、次に切削工具セグメント100をセグメントポケット154内に締結するために、カム軸Cの周りで回転される。
【0024】
[023]切削工具セグメント100、140はさらに、その前端部114に配置されたストッパ部分128を含み得る。ストッパ部分128は、セグメント軸Aから離れる方向に、切削工具セグメント100、140の下部面から突出する。ストッパ部分128は、セグメント軸Aに対して横方向に延在する実質的に後方に面するストッパ面130を有する。切削工具150を組み立てると、切削工具セグメント100、140は、ストッパ面130が工具ホルダ本体152の周囲面156に当接するまで、各セグメントポケット154の中に進められる。切削工具セグメント100、140およびセグメントポケット154は、切削工具セグメント100、140とセグメントポケット154のポケット後面178との接触がないように形成され、すなわち、切削工具セグメント100、140は、セグメント後面134がポケット後面178と接触する前に停止される。
【0025】
[024]切削工具150は、例えば図1に示されるような回転切削工具150中に、複数の切削工具セグメント100、140を、従って複数の切削インサート122を有する。効果的な切削動作を保証するために、全ての切削インサート122の切れ刃を、切削工具150の中心軸Bから同様の距離のところに有することが望ましい。全ての切削工具セグメント100、140がストッパ部分128を有するとき、それらは中心軸Bから同様の距離のところで工具ホルダ本体152の周囲面156で停止される。このようにして、ストッパ部分128は、中心軸Bに対して切れ刃を均一に配置する。切削工具セグメント100、140を、ポケット後面178(その位置が様々なセグメントポケット154間で変わり得る)に対して停止する代わりに、周囲面156に対して停止することによって、切れ刃の位置を定めることがより簡単であることは認識されよう。
【0026】
[025]次に、本発明のさらなる実施形態による切削工具150’の一部を示す図7を参照する。切削工具150’はセグメントポケット154’を有する。この実施形態によれば、切削工具セグメント100’は切削工具セグメント100に類似しているが、切削工具セグメント100’はストッパ部分128を備えずに形成される。代わりに、切削工具セグメント100’がセグメントポケット154’に取り付けられるとき、切削工具セグメント100’のセグメント後面134が、セグメントポケット154’のポケット後面178に当接する。この実施形態では、切削インサート122の切れ刃の位置は、セグメントポケット154’のポケット後面178に対して切削工具セグメント100’を停止することによって定められる。
【0027】
[026]図1をさらに参照すると、切削工具150は、複数のセグメントポケット154と切削工具セグメント100とを有するディスク状回転溝削りカッターとして示されている。しかしながら、本発明による切削工具は、他のいずれかの種類のカッターであってもよく、また、切削インサートをその中に保持する少なくとも1つの切削工具セグメントを含んでもよく、例えば、単一セグメントポケットとその中に保持される単一切削工具セグメントとを有する旋削カッターを含んでもよい。
【0028】
[027]本発明による切削工具本体152は、鋼から構成されてもよい。切削工具セグメント100、140も鋼から構成されてよい。切削インサート122は、超硬合金等など、金属の切削に適した硬質材料から構成されるであろう。
【0029】
[028]本発明を1つまたは複数の特定の実施形態を参照して記載してきたが、本記載は全体として説明に役立つことを目的とし、示される実施形態に本発明を限定するように本記載を解釈すべきでない。本明細書に特に示さないが、本発明の範囲内にある様々な修正形態を当業者が想到し得ることが認識される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7