特許第6366743号(P6366743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366743
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ドローン方式救命装備の投下装置
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/02 20060101AFI20180723BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20180723BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20180723BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20180723BHJP
   B64D 25/00 20060101ALI20180723BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B64D1/02
   B64C39/02
   B64C27/08
   B64D47/08
   B64D25/00
   B64C13/20 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-571066(P2016-571066)
(86)(22)【出願日】2015年12月4日
(65)【公表番号】特表2017-516709(P2017-516709A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】KR2015013217
(87)【国際公開番号】WO2016159481
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0046385
(32)【優先日】2015年4月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516360535
【氏名又は名称】スーンビ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】オー、インソン
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−037187(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1373038(KR,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0032034(US,A1)
【文献】 特開2002−293298(JP,A)
【文献】 特開2010−203602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 1/02 − 1/14
B64C 13/20
B64C 27/04 − 27/18
B64C 39/02
B64D 47/08
A62B 99/00
B63C 9/00
B63C 9/08 − 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転羽根(4)及びこれを回転させるローター(3)を有する無人飛行体(2)と、
この無人飛行体(2)に配設され、無線調整により解除可能な救命装備保持手段(10)と、
前記保持手段(10)に取り外し自在に取着され、保持手段(10)からの取り外し時に落下するように構成される救命装備と、を備え
前記保持手段(10)は、少なくとも一つの水平フレーム(12)と、この水平フレーム(12)上において周方向に伸縮自在に配設される複数の支持アーム(14)と、前記水平フレーム(12)の中央部に配置されるモーター(13)と、前記モーター(13)及び支持アーム(14)の基端部を連結し、前記モーター(13)の正逆転を前記支持アーム(14)の伸縮運動に切り換えるリンク部材(15)と、を備え、
前記保持手段(10)は、支持アーム(14)が伸張して救命浮き輪(20)の内周面に形成された凹部(22)に係合されるか、救命浮き輪(20)の内周面に押し付けられるか、又は救命浮き輪(20)の底面部に延び、救命浮き輪(20)を搭載することにより救命浮き輪(20)を支持する、第1の状態(A)と、支持アーム(14)が収縮して救命浮き輪(20)を保持手段(10)から取り外す、第2の状態(B)とを切り替え可能なことを特徴とする、
ドローン方式救命装備の投下装置。
【請求項2】
記無人飛行体(2)には無線で制御され、映像を無線伝送するカメラ(8)が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載のドローン方式救命装備の投下装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン方式救命装備の投下装置に係り、さらに詳しくは、無線調整可能な無人飛行体であるドローンを用いて水上遭難者等に速やかに近付いて救命浮き輪やその他の救命装備を投下することのできる新たな構造のドローン方式救命装備の投下装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海や江における船舶の沈没事故が発生したり、海水浴場や海岸における津波、風浪又は離岸流により人間が海又は江又は湖に落ちたりする場合には、人命を救助するために迅速な救助作業が必要である。もし、救助作業が迅速に行われなければ、命を助けることができない。
ところが、実際に人間が水に落ちた場合に命を助けられるゴールデンタイムは僅か数分に過ぎない。このため、海岸の海難救助隊において人間が水に落ちたことを確認して救命ボートの始動をかけてボートを運転して遭難者に近付いて救命浮き輪を投下しようとしても、ほとんどの場合ゴールデンタイムが経過して残念ながら人命の救助に失敗する場合が頻繁に起こる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述したような従来の水上遭難事故の問題点に着目して提案されたものであり、本発明は、船舶の沈没や津波、離岸流その他の事由により人間が水に落ちた場合に速やかに救命浮き輪やその他の救命装備を事故現場に運んで遭難者に投下可能なように構成される新たな構造のドローン方式の救命装備の投下装置を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一特徴によれば、回転羽根4及びこれを回転させるローター3を有する無人飛行体2と、この無人飛行体2に配設され、無線調整により解除可能な救命装備保持手段10と、前記保持手段10に取り外し自在に取着され、保持手段10からの取り外し時に落下するように構成される救命装備と、を備えることを特徴とするドローン方式救命装備の投下装置が提供される。
本発明の他の特徴によれば、前記救命装備は救命浮き輪20であり、前記保持手段10は、前記救命浮き輪20を把持又は支持する第1の状態と、前記救命浮き輪20の把持を解除したり救命浮き輪の支持位置から後退する第2の状態との間で互いに切り換えられ、前記無人飛行体2には無線で制御され、映像を無線伝送するカメラ8が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載のドローン方式救命装備の投下装置が提供される。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記保持手段10は、少なくとも一つの水平フレーム12と、この水平フレーム12上において周方向に伸縮自在に配設される複数の支持アーム14と、前記水平フレーム12の中央部に配置されるモーター13と、前記モーター13及び支持アーム14の基端部を連結し、前記モーター13の正逆転を前記支持アーム14の伸縮運動に切り換えるリンク部材15と、を備え、前記保持手段10は、第1の状態Aで支持アーム14が伸張して救命浮き輪20の内周面に形成された凹部22に係合されたり、救命浮き輪20の内周面に押し付けられたり、救命浮き輪20の底面部に延び、救命浮き輪20を搭載することにより救命浮き輪20を支持し、第2の状態Bで支持アーム14が収縮して救命浮き輪20が保持手段10から取り外されることを特徴とするドローン方式救命装備の投下装置が提供される。
本発明のさらに他の特徴によれば、監視者の識別、第3者からの遭難情報の入手又は監視装置を用いた探知を通じて海、江又は湖における遭難事故の発生及び遭難事故の位置情報を入手するステップと、無線調整により解除可能な救命装備保持手段10及び映像を撮影して無線伝送するカメラ8が配設された無人飛行体2を無人飛行又は自動航法で遭難地点に急派して遭難現場に近づけるステップと、遭難現場で撮影されるカメラ8の映像を見て遠隔地の監視者が救命装備の適切な落下地点を把握して無人飛行体2を落下地点に位置合わせし、保持手段10を遠隔制御で解除して救命装備を落下するステップと、を含むことを特徴とするドローン方式救命装備の投下装置を用いた救助方法が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、無人飛行体2に救命浮き輪20などの救命装備を保持手段10により搭載し、この無人飛行体2を無線調整又は自動航法により事故現場に近づき、遠隔制御により保持手段10から救命装備を取り外して落下することにより、海上の沈没事故や水上安全事故、その他の事故現場への救命ボートの迅速な近づき及び救命装備の投入が行われ難い場合に、無人飛行を通じていかなる障害物もなしに事故地点に最短距離で迅速且つ正確に近付いて遭難者に救命装備を投下することができて、ゴールデンタイム内に遭難者の人命を救助可能な可能性を極大化させることができる。
また、本発明によれば、救命装備をリング状の救命チューブ、すなわち、救命浮き輪20にするが、保持手段10を救命浮き輪20を把持したり支持したりする第1の状態と、把持解除又は支持位置から後退する第2の状態との間で互いに切り換えられ、且つ、無人飛行体2は無線で遠隔制御され、撮影した映像をリアルタイムにて伝送するカメラ8を備えることにより、海辺や監視哨又は官制タワーなどで人間が水に落ちたことを見付けた監視者が速やかに本発明に係る無人飛行方式の無人飛行体2を浮かべて無線調整や自動航法で事故地点に急派し、事故現場に近付いて遠隔操作により救命浮き輪20を遭難者に落下することにより、救命浮き輪20を最短時間に最短距離で近づけて提供することができてゴールデンタイム内に人命を救助可能な可能性が非常に高くなる。このとき、無人飛行体2に取り付けられたカメラ8を用いて事故地点までの飛行経路及び周りに関する映像をリアルタイムにて撮影して無線伝送することにより、監視者はこれを受信して目視で遭難位置を正確に把握して無人飛行体2を近づけ、且つ、救命浮き輪を投下することができて手軽に且つ確実に遭難地点への迅速且つ正確な近付きが可能になってゴールデンタイム内の人命救助を保証することができる。
さらに、救難装備である救命浮き輪の保持手段10は、少なくとも一つの水平フレーム12と、この水平フレーム12上において周方向に伸縮される複数の支持アーム14と、水平フレーム12の中央部に配置されるモーター13と、このモーター13及び支持アーム14の基端部を連結するリンク部材15と、で構成することにより、簡単な構成により支持アーム14の先端部が伸張して救命浮き輪20の内周面の凹部22に係合されたり、押し付けられたり、救命浮き輪20の底面部に延びて支持するようにし、解除時には支持アーム14が収縮して救命浮き輪20が保持手段10から取り外されて落下するようにすることにより、救命浮き輪20の取着及び取り外し落下動作を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】発明の実施形態の斜視図である。
図2】前記実施形態の正断面図である。
図3】前記実施形態の平面図である。
図4】前記実施形態の底面図である。
図5】前記実施形態の救命浮き輪を取り外した状態の斜視図である。
図6】前記実施形態の保持手段の結合状態の図である。
図7】前記実施形態の保持手段の解除状態の図である。
図8】本発明に用いられる救命浮き輪の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。図1から図4は、本発明の好適な実施形態による救命装備の投下装置の構成図である。図示の如く、本発明によれば、4つの回転羽根4及びこれらをそれぞれ回転駆動する4つのローター3を有する、無線調整又は自動航法で運行可能な無人飛行体2が提供される。このような無人飛行体をいわゆる「ドローン(drone)」と称する。
この無人飛行体2は、メインボディ5と、このメインボディ5から放射状に延びる延長アーム6と、を備え、前記ローター3及び回転羽根4は延長アーム6の先端に配置される。また、無人飛行体2のメインボディ5の上面には、無人飛行体2のGPS情報を送受信するGPSアンテナ7、バッテリ9及び監視者又は官制センターの主装置又は遠隔制御装置と送受信可能な図示しない無線送受信機が配設される。
また、このメインボディ5の下部には、救命装備、具体的には、救命浮き輪20を結合して吊り下げる保持手段10が配設される。この保持手段10は、救命浮き輪20を結合して無人飛行体2に搭載し、事故現場に着くと、遠隔地の監視者が無線操作により解除して救命浮き輪20を落下するように構成されるものである。
この保持手段10は、図5から図7に示すように、周りに沿って所定の間隔を隔てて垂直に延びる垂直フレーム11と、この垂直フレーム11に上下に離れて取り付けられる複数のリング状の水平フレーム12と、を備える。また、この水平フレーム12の中央部にはモーター13が配置され、水平フレーム12の周りに沿って外側に伸張又は収縮する複数の支持アーム14が配設される。モーター13の回転軸は十字状のリンク部材15を介して支持アーム14の基端部とリンク連結される。このため、モーター13の正逆転に応じて支持アーム14は伸張又収縮可能である。すなわち、支持アーム14は、伸張状態では、図6に示すように、その長手方向の中心軸線がこの水平フレーム12の中心を通るように放射状に拡張され、収縮状態では、図7に示すように、その長手方向の中心軸線が水平フレーム12の中心から外れるように捩れられながら収縮される。なお、本発明の好適な実施形態による救命浮き輪20は、図8に示すように、内周面に凹部22が形成され、外周面には把持部24が形成された構造の公認規格の救命浮き輪である。
【0008】
このような構造を有する保持手段10の結合及び解除作動について説明すると、まず、支持アーム14が伸張される第1の状態では、図2に示すように、支持アーム14の先端部が救命浮き輪20の内周面に形成された凹部22に係合されて救命浮き輪20が支持アーム14に結合される。また、支持アーム14が収縮される第2の状態では、救命浮き輪20の凹部22から後退されて、救命浮き輪20は支持アーム14との係合が解除されて自重により落下可能になる。図示の実施形態においては、支持アーム14が救命浮き輪20の内側の凹部22と係合される場合を例示したが、これとは異なり、支持アーム14の先端部が救命浮き輪20に押し付けられて支持したり、救命浮き輪20の底面部に嵌め込まれて救命浮き輪20を搭載することにより支持したりしてもよい。
図示の実施形態においては3つの救命浮き輪20が上下方向に積層されて搭載されるが、救助現場での救命浮き輪の落下に際しては、まず、最下端の救命浮き輪20を先に落下し、必要に応じて、その上の救命浮き輪20を順次落下してもよい。これは、遭難者が多数である場合に個々の遭難者にそれぞれ救命浮き輪20を投下可能にするだけではなく、単一の遭難者である場合であっても一次的に投下した救命浮き輪20に対して遭難者が近付き難い場合にさらに近付き易い位置から再び救命浮き輪20を投下可能にする。救命浮き輪20の設置数は、無人飛行体2の性能や遭難事故の特性などを考慮して適切に選択される。
一方、保持手段10の下部には遠隔制御されるカメラ8が搭載されて、監視者は携帯したコントローラーを用いてカメラ8が伝送するリアルタイム映像を見て無人飛行体2の飛行方向や遭難事故現場の位置などを視認しながら現場に迅速且つ正確に近付くようにし、カメラ8が提供する事故現場の映像で把握しながら無人飛行体2の正確な位置調節及び救命浮き輪20の適切な投下などの救助作業を行うことができる。なお、本発明に係る無人飛行体2には、必要に応じて、スピーカー及びマイクが設けられて、監視者又は救助者が遭難者に救助に必要な指示を増大されたボリュームの音声で伝えることができ、救助者及び遭難者間の音声対話を通じて効率よい救助活動を展開することができる。
本発明に係るドローン方式救命装備の投下装置を用いて水上救難システムを構築する場合には、海水浴場などの災難監視センターに無人飛行体2に対する遠隔無線調整装置及びカメラ8が送出した映像を見る映像受信装置などが配設されてもよく、且つ、救命装備が取り付けられていない監視目的のドローン無人飛行体がさらに配設されて、監視区域や危険区域に対する無人飛行を用いた災難事故の発生の有無又は事故の可否などを予め把握するようにしてもよい。
【0009】
本発明は、主として水上安全事故への適用が最も好適であるが、救命装備を適切に変更して構成することにより、建物の火災や山岳事故、雪崩、地震など種々の災難事故にも好適に適用可能である。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8