特許第6366750号(P6366750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366750
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】真空掃除具
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20180723BHJP
   A47L 9/10 20060101ALI20180723BHJP
   A47L 9/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   A47L9/16
   A47L9/10 D
   A47L9/00 101
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-8261(P2017-8261)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-159022(P2017-159022A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年5月16日
(31)【優先権主張番号】1601218.9
(32)【優先日】2016年1月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローラント・ジェームズ・ピータース
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−045839(JP,A)
【文献】 特開2003−339596(JP,A)
【文献】 特開2014−100572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
A47L 9/00
A47L 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロン式分離装置を備えている真空掃除具において、
前記サイクロン式分離装置が、
第1のサイクロン式分離ユニットと、
前記第1のサイクロン式分離ユニットの下流に配置されている第2のサイクロン式分離ユニットと、
前記第1のサイクロン式分離ユニットによって分離された塵埃を収集するために配置されている第1の塵埃収集器であって、端部壁を備えている前記第1の塵埃収集器と、
前記第2のサイクロン式分離ユニットによって分離された塵埃を収集するために配置されている第2の塵埃収集器であって、外壁と前記第1の塵埃収集器の前記端部壁の少なくとも一部分とを備えている前記第2の塵埃収集器と、
前記第2の塵埃収集器が閉じられているように前記端部壁が前記外壁に当接している、第1の構成と、前記第2の塵埃収集器が塵埃を前記第2の塵埃収集器から取り除くために開放されるように前記端部壁が前記外壁から離隔している、第2の構成との間において、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが、互いに対して移動可能とされる、回り止め機構であって、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが、前記第1の構成から前記第2の構成に移動可能となるように、且つ、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが前記第1の構成に移動することを防止するように配置されている、前記回り止め機構と、
を備えていることを特徴とする真空掃除具。
【請求項2】
前記第1のサイクロン式分離ユニットが、分離ユニット軸線を規定しており、
前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが、前記分離ユニット軸線に対して平行とされる方向において移動制限されていることを特徴とする請求項1に記載の真空掃除具。
【請求項3】
前記第1の塵埃収集器が、塵箱基部を有している塵箱を備えており、
前記塵箱基部が、前記端部壁の少なくとも一部分を形成しており、
前記第1のサイクロン式分離ユニットが、前記塵箱の上側部分を備えており、
前記第1の塵埃収集器が、前記塵箱の下側部分と前記塵箱基部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空掃除具。
【請求項4】
前記第2の塵埃収集器の前記外壁が、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが前記第1の構成とされる場合に前記端部壁を密閉する下側縁部を有している、管状部分を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の真空掃除具。
【請求項5】
前記真空掃除具が、前記回り止め機構を動作不能とするための回り止め機構乗り上げ装置を備えており、
前記回り止め機構乗り上げ装置が、前記第1の塵埃収集器が前記第2の構成となることによって前記回り止め機構が動作不能となるように構成されており、これにより、第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが第1の位置に移動可能とされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の真空掃除具。
【請求項6】
前記真空掃除具が、前記回り止め機構を動作可能とするための回り止め機構初期化装置を備えており、
前記回り止め初期化装置が、前記回り止め機構が動作不能とされる場合に、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが前記第1の構成になることによって、前記回り止め機構が動作可能となるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の真空掃除具。
【請求項7】
前記回り止め機構が、ラチェットを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の真空掃除具。
【請求項8】
前記ラチェットが、一連の歯と、前記歯に係合するように配置されている爪とを備えており、
前記歯が、前記第2の塵埃収集器の前記外壁と共に移動するように配置されており、
前記爪が、前記第1の塵埃収集器に対して固定されており、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが前記第1の構成となるように移動することを防止するために、前記歯それぞれと係合するように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の真空掃除具。
【請求項9】
前記第2のサイクロン式分離ユニットが、スライダを備えており、
前記真空掃除具が、前記スライダが塵箱に対して相対的に移動可能となるように、前記スライダを受容する案内部材を備えていることを特徴とする請求項7に記載の真空掃除具。
【請求項10】
一連の歯が、前記スライダに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の真空掃除具。
【請求項11】
前記回り止め機構乗り上げ装置が、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが前記第2の構成となる場合に前記爪を一連の前記歯から係合解除するように構成されており、
これにより、前記第1の塵埃収集器と前記第2の塵埃収集器の前記外壁とが、前記第1の構成に復帰可能とされることを特徴とする請求項5に従属する場合の請求項8〜10のいずれか一項に記載の真空掃除具。
【請求項12】
前記爪が、前記塵箱に回動可能に接続されていることを特徴とする請求項3に従属する場合の請求項8〜11のいずれか一項に記載の真空掃除具。
【請求項13】
前記爪の回動軸線が、前記第1の位置と第2の位置との間における前記第2の塵埃収集器の前記外壁に対する前記第1の塵埃収集器の移動方向に対して平行とされることを特徴とする請求項12に記載の真空掃除具。
【請求項14】
前記真空掃除具が、本体部分を備えており、
前記爪が、前記爪が前記歯と係合又は係合解除するように回転可能とされるように、前記本体部分に接続されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の真空掃除具。
【請求項15】
前記爪が、前記第1の位置と前記第2の位置との間における前記第2の塵埃収集器の前記外壁に対する前記第1の塵埃収集器の移動方向に対して垂直とされる軸線を中心として回転するように配置されていることを特徴とする請求項14に記載の真空掃除具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクロン式分離器を備えている真空掃除具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1のサイクロン式分離ユニットと第1のサイクロン式分離ユニットの下流に配置されている第2のサイクロン式分離ユニットとを備えている真空掃除機を開示している。第1のサイクロン式分離ユニットは、第1のサイクロン式分離ユニットによって分離された塵埃を収集するための塵箱を備えている。塵箱は、塵埃を取り除いて廃棄するために開放可能とされる基部を有している。さらに、基部は、清掃のために、第2のサイクロン式分離ユニットから取り外し可能とされる。
【0003】
カーペットの繊維束、髪の毛、又は他の嵩張る塵埃が中央のシュラウドと塵箱との間に捕捉されると、利用者は、利用者の指又は適切な機器を利用することによって塵箱基部を通じて塵箱を空にするために、塵箱とシュラウドとの間から塵埃を引っ張り出す必要がある。代替的には、利用者は、空にするために、塵箱を第2のサイクロン式分離ユニットから完全に取り外すことができる。塵箱の取り外し及びその後の交換は不便である。さらに、利用者が塵箱を完全に空にすることができなかった場合には、塵箱に残存する大きい塵埃が第2のサイクロン式分離ユニットのための塵埃収集器と塵箱基部との間に捕捉され、これにより、空気と大きい塵埃とが第1のサイクロン式分離ユニットの下流の流れに直接引き込まれ、モータ前フィルタが目詰まりし、モータが損傷する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許出願公開第2508035号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サイクロン式分離装置を備えている真空掃除具において、サイクロン式分離装置が、第1のサイクロン式分離ユニットと、第1のサイクロン式分離ユニットの下流に配置されている第2のサイクロン式分離ユニットと、第1のサイクロン式分離ユニットによって分離された塵埃を収集するために配置されている第1の塵埃収集器であって、端部壁を備えている第1の塵埃収集器と、第2のサイクロン式分離ユニットによって分離された塵埃を収集するために配置されている第2の塵埃収集器であって、外壁と第1の塵埃収集器の端部壁の少なくとも一部分とを備えている第2の塵埃収集器と、第2の塵埃収集器が閉じられているように端部壁が外壁に当接している、第1の構成と、第2の塵埃収集器が塵埃を第2の塵埃収集器から取り除くために開放されるように端部壁が外壁から離隔している、第2の構成との間において、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが、互いに対して移動可能とされる、回り止め機構であって、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが、第1の構成から第2の構成に移動可能となるように、且つ、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが第1の構成に移動することを防止するように配置されている、回り止め機構と、を備えている真空掃除具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
真空掃除具は、真空掃除機の本体部分に取り外し可能に接続されており、真空掃除機の一部分を形成している。
【0007】
第1のサイクロン式分離ユニットが、分離ユニット軸線を規定しており、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが、分離ユニット軸線に対して平行とされる方向において移動制限されている。
【0008】
第1の塵埃収集器が、塵箱基部を有している塵箱を備えており、塵箱基部が、端部壁の少なくとも一部分を形成している。第1のサイクロン式分離ユニットが、塵箱の上側部分を備えており、第1の塵埃収集器が、塵箱の下側部分と塵箱基部とを備えている。
【0009】
第2の塵埃収集器の外壁が、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが第1の構成とされる場合に端部壁を密閉する下側縁部を有している、管状部分を備えている。
【0010】
真空掃除具が、回り止め機構を動作不能とするための回り止め機構乗り上げ装置を備えており、回り止め機構乗り上げ装置が、第1の塵埃収集器が第2の構成となることによって回り止め機構が動作不能となるように構成されており、これにより、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが第1の位置に移動可能とされる。
【0011】
真空掃除具が、回り止め機構を動作可能とするための回り止め機構初期化装置を備えており、回り止め初期化装置が、回り止め機構が動作不能とされる場合に、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが第1の構成になることによって、回り止め機構が動作可能となるように構成されている。
【0012】
回り止め機構が、ラチェットを備えている。ラチェットが、一連の歯と、歯に係合するように配置されている爪とを備えている。一連の歯が、少なくとも3つの歯を、好ましくは少なくとも4つの歯を、例えば6つの歯を備えている。歯が、第2の塵埃収集器の外壁と共に移動するように、且つ、分離器軸線に対して平行に延在するように配置されている。爪が、第1の塵埃収集器に対して固定されており、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが第1の構成となるように移動することを防止するために、歯それぞれと係合するように配置されている。
【0013】
第2のサイクロン式分離ユニットが、スライダを備えており、真空掃除具が、スライダが塵箱に対して相対的に移動可能となるように、スライダを受容する案内部材を備えている。一連の歯が、スライダに設けられている。
【0014】
回り止め機構乗り上げ装置が、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが第2の構成となる場合に爪を一連の歯から係合解除するように構成されており、これにより、第1の塵埃収集器と第2の塵埃収集器の外壁とが、第1の構成に復帰可能とされる。従って、爪は、歯から係合解除された状態で保持されており、当該爪と歯ととの係合が防止されている。
【0015】
爪が、塵箱に回動可能に接続されている。爪の回動軸線が、第1の位置と第2の位置との間における第2の塵埃収集器の外壁に対する第1の塵埃収集器の移動方向に対して平行とされる。
【0016】
真空掃除具が、本体部分を備えており、爪が、爪が歯と係合又は係合解除するように回転可能とされるように、本体部分に接続されている。爪が、第1の位置と第2の位置との間における第2の塵埃収集器の外壁に対する第1の塵埃収集器の移動方向に対して垂直とされる軸線を中心として回転するように配置されている。
【0017】
本発明を良好に理解するために、及び、本発明の効果をより明確に表わすために、本発明について、添付図面を参照しつつ例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】真空掃除機の第1の実施例を表わす。
図2図1に表わす真空掃除機の本体及びサイクロン式分離器を表わす。
図3図2に表わす本体及びサイクロン式分離器の断面図である。
図4図2に表わす本体とサイクロン式分離器とが互いから分離された状態を表わす。
図5図4に表わす本体の正面図である。
図6A】第1の構成における、図2に表わす本体及びサイクロン式分離器の部分的な後面図である。
図6B】第2の構成における、図2に表わす本体及びサイクロン式分離器の部分的な後面図である。
図7】駆動要素を表わす。
図8】真空掃除機の第2の実施例を表わす。
図9図8に表わす真空掃除機のサイクロン式分離器を表わす。
図10図9に表わすサイクロン式分離器の断面図である。
図11図9に表わすサイクロン式分離器の第1の部分を表わす。
図12図9に表わすサイクロン式分離器の第2の部分を表わす。
図13図9に表わすサイクロン式分離器のアクチュエータの一部分を表わす。
図14図13に表わすアクチュエータの一部分についての別の斜視図である。
図15】キャッチを具備する、図9に表わすサイクロン式分離器の一部分を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本体4とサイクロン式分離器6とワンド8と掃除機ヘッド10とを備えているステック型真空掃除機2を表わす。
【0020】
図2及び図3は、本体4及びサイクロン式分離器6のみを表わす。本体4は、モータ及びファンユニット13を収容している上側部分12と、バッテリーパック15の形態をした電力供給源を収容している下側部分14とを有している。利用に際に真空掃除機2を保持するためのハンドル16は、上側部分12から下側部分14に至るまで延在している。
【0021】
サイクロン式分離器6は、本体4に取り外し可能に接続されている。サイクロン式分離器6は、第1のサイクロン式分離ユニット18と第2のサイクロン式分離ユニット20とを備えている。
【0022】
第1のサイクロン式分離ユニット18は、円筒状外壁23を有している塵箱22を備えている。塵箱22の上側部分が、サイクロン式分離チャンバ24を形成しており、サイクロン式分離チャンバ24は、長手方向軸線Xと入口26とを有している。塵箱22の下側部分が、塵埃収集領域28を形成しており、塵埃収集領域28には、流入する空気流から分離された塵埃が蓄積される。入口ダクト30は、入口26に配置されており、サイクロン式分離チャンバ24の内部において回転流を促進するように配置されている。
【0023】
さらに、塵箱22は、塵箱基部32を形成している端部壁を備えている。塵箱基部32は、ヒンジ34を介して円筒状外壁23の下側部分に接続されており、これにより、塵箱基部32が、塵箱基部32が塵埃収集領域28内に塵埃を保持するための閉位置と、塵埃が塵埃収集領域28から除去可能とされる開位置との間において移動可能とされる。塵箱基部32は、塵箱22の下側部分と共に、第1のサイクロン式分離ユニット18によって分離された塵埃を収集するための第1の塵埃収集器を形成している。塵箱基部32は、隆起部分35を備えており、隆起部分35は、塵箱基部32の残りの部分から上方に突出している。塵箱基部32は、キャッチ36によって閉位置に保持されている。図示の実施例では、キャッチ36は、塵箱基部32と一体に形成されているバネクリップを備えている。キャッチ36は、塵箱22の下側外面に設けられている保持形体38に係止されている。
【0024】
さらに、塵箱22は、プッシュロッドの形態をしたアクチュエータ39を備えており、アクチュエータ39は、塵箱22の側面においてチャネルの内部に捕捉された状態で保持されているので、アクチュエータ39は、第一の位置(非展開位置)と第2の位置(展開位置)との間において、上下方向に(塵箱22の円筒状外壁23に対して平行に)移動可能とされる。塵箱基部32が閉位置に位置している場合には、アクチュエータ39を第1の位置から第2の位置に向かって移動させることによって、アクチュエータ39の下側縁部がキャッチ36と保持形体38との間に強制的に押し込まれるので、キャッチ36が解除されると共に、アクチュエータ39の隣り合う当接部分が塵箱基部32と接触し、これにより、塵箱基部32が強制的に閉位置から外される。
【0025】
管状のスクリーン40が、サイクロン式分離チャンバ24の内部に配置されている。管状のスクリーン40は、サイクロン式分離チャンバ24の長手方向軸線Xと同軸に延在しているシュラウドを形成している。スクリーン40は、例えば金属プレートのような、高剛性の多孔板を備えている。孔は、サイクロン式分離チャンバ24からの流体出口として機能する。
【0026】
環状ワイパー42が、円筒状の塵箱22の上側周縁部に固定されている。環状ワイパー42は、弾性材料から成る錐台状のリングを備えており、当該リングは、塵箱22の上側縁部から内方且つ下方に突出しており、管状のスクリーン40の外面に接触している。
【0027】
第2のサイクロン式分離ユニット20は、複数の第2のサイクロン44と、第2のサイクロン44の固形物用出口の下に配置されている中空の下側部分46を形成するように配置されている外壁と、第2のサイクロン44同士の間に且つ第2のサイクロン44の下流に配置されているモータ前フィルタ48と、2つの隣り合うサイクロンの間に且つ本体4の上側部分12に設けられたモータ入口52の後方に延在している出口ダクト50とを備えている。
【0028】
中空の下側部分46は、管状のスクリーン40の内部において下方に延在している。入口ダクト54は、中空の下側部分46と管状のスクリーン40との間に部分的に形成されていると共に、第2のサイクロン44の外壁によって部分的に形成されており、(スクリーン40の孔によって形成された)サイクロン式分離チャンバ24の流体出口から第2のサイクロン44の入口に至るまで上方に延在している。管状のスクリーン40と中空の下側部分46とが、管状のスクリーン40の端部壁55によって、頂部及び底部において共に結合されており、一体化されたユニットを形成している。
【0029】
中空の下側部分46は、弾性材料から作られている環状の端部セクション56を備えている。端部セクション56は、塵箱基部32の隆起部分35と係合すると共に、塵箱基部32の隆起部分35に対するシールを形成しているので、塵箱基部32及び中空の下側部分46が共に、第2のサイクロン式分離ユニット20によって分離された塵埃を収集するための第2の塵埃収集器を形成している。
【0030】
図4に表わすように、第2のサイクロン式分離ユニット20は、出口ダクト50に隣り合う第2のサイクロン式分離ユニット20の領域から下方に延在している、スライダ58を備えている。スライダ58は、スライダ58の側部それぞれに、第1のレール60及び第2のレール62を備えており、スライダ58の側部それぞれには、第1のレール60と第2のレール62との間に延在しているチャネル64が形成されている。
【0031】
本体4は、本体4の上側部分12から下側部分14に至るまで延在している取付部分66を備えている。取付部分66は、一組の互いに対して反対側に配置された溝68,70を有しており、溝68,70は、第1のレール60及び第2のレール62を滑動可能に受容するようになっている。第2の組の溝72,74は、本体4の上側部分12の端面に形成されており、モータ入口52の側部それぞれに配置されている。第2の組の溝72,74は、第1のレール60及び第2のレール62の上側部分それぞれを滑動可能に受容するようになっている。従って、第2のサイクロン式分離ユニット20は、本体4及び塵箱22に対して相対的に上下に滑動可能とされる。
【0032】
作動要素76が、取付部分66に取り付けられており、スライダ58の動作方向に対して垂直とされる軸線を中心として、当該実施例の場合にはサイクロン式分離チャンバ24の長手方向軸線Xに対して垂直とされる軸線を中心として、取付部分66に対して回転するように配置されている。
【0033】
図5及び図7に表わすように、作動要素76は、3つの丸い突起状構造体78,80,82を、すなわち図7に表わすように作動要素76の回転軸線に沿って離隔している平行面内それぞれにおいて延在している、制限ストッパ構造体78、ラチェット乗り上げ構造体80、及びラチェット構造体82を有している。
【0034】
作動要素76は、制限ストッパ構造体78が取付部分66に隣接するように、且つ、ラチェット構造体82が取付部分66から最も遠位に離隔されるように配置されている。
【0035】
取付部分66は、第1の回動ストッパ84と第2の回動ストッパ86とを有している。第1の回動ストッパ84は、(図5に表わすように)作動要素76を反時計回りに回転させることによって、制限ストッパ構造体78の第1の当接面88が第1の回動ストッパ84と接触し、これにより、さらなる反時計回りの回転が防止されるように配置されている。
【0036】
第2の回動ストッパ86は、(図5に表わすように)作動要素76を時計回りに回転させることによって、制限ストッパ構造体78の第2の当接面90が第2の回動ストッパ86と接触し、これにより、さらなる時計回りの回転が防止されるように配置されている。
【0037】
従って、作動要素76は、第1の位置と第2の位置との間において回転可能とされ、第1の位置では、第1の当接面88が第1の回動ストッパ84と接触しており、第2の位置では、第2の当接面90が第2の回動ストッパ86と接触している。中心を跨ぐバネ91(図5のみに表わす)が、作動要素76が第1の位置に位置している場合にバネ91が作動要素76を第1の位置に向かって付勢するように、且つ、作動要素76が第2の位置に位置している場合にバネ91が作動要素76を第2の位置に向かって付勢するように、取付部分66と作動要素76との間に配置されている。
【0038】
図4に表わすように、第2のサイクロン式分離ユニット20のスライダ58は、第1のレール60の内側に沿って設けられた隆起構造体92を備えている。隆起構造体92は、本体4とサイクロン式分離器6とが共に固定された場合に、隆起構造体92が作動要素76のラチェット構造体82と同一平面内において延在するように、第1のレール60に沿って位置決めされている。ラチェット構造体82は、図示の実施例ではV字状に形成されている尖端を有している。作動要素76が第1の位置に位置している場合には、ラチェット構造体82の尖端が隆起構造体92の上方に配置されている。尖端の輪郭は、隆起構造体92の隣り合う隆起部によって形成されている輪郭に一致しており、これにより、スライダ58が第1の溝68及び第2の溝70の内部において上方に移動し、ラチェット構造体82の尖端が隆起構造体92の隣り合う隆起部同士の間において移動するので、作動要素76がその回転軸線を中心として振動する。
【0039】
隆起構造体92に加えて、スライダ58は、第1のレール60の下側端部に設けられたラチェット係合解除構造体94と、隆起構造体92の最上側隆起部の直下に位置決めされているラチェット初期化構造体96とを有している。ラチェット係合解除構造体94とラチェット初期化構造体96とは、本体4とサイクロン式分離器6とが共に固定された場合に、ラチェット係合解除構造体94とラチェット初期化構造体96との両方が作動要素76のラチェット乗り上げ構造体80と同一平面内に延在するように配置されている。
【0040】
磁石の形態をしたトリガー装置98(図示しない)は、センサ100に面しているスライダ58の下側端部に固定されており、本体4の下側部分14の内部に配置されているリードスイッチ(図示しない)を備えている。センサ100は、制御システムの一部分を形成している。当該制御システムは、磁石98をセンサ100に隣接させることによってセンサ100が動作している場合に真空掃除機2の動作を可能とするように、且つ、磁石98がセンサ100の範囲外に位置している場合に真空掃除機2の動作を防止するように構成されている。
【0041】
さらに、第2のサイクロン式分離ユニット20は、第2のサイクロン式分離ユニット20の後方に回動可能に取り付けられている分離器解除キャッチ102を備えている。分離器解除キャッチ102は、保持形体104を有している。保持形体104は、第2のサイクロン式分離ユニット20が本体4に対して上方に引っ張られることを防止するために、本体4の上側部分12に設けられたラッチ形体105を把持するように構成されている。
【0042】
塵箱解除キャッチ106は、本体4の取付部分66の底部に固定されている。塵箱解除キャッチ106は、塵箱22を片持ち式で支持しており、塵箱22を本体4に固定するために、塵箱22の下側縁部を係合するように配置されている。従って、塵箱解除キャッチ106は、塵箱22と係合及び係合解除するように屈曲可能とされる。
【0043】
利用の際には、モータ及びファンユニット13によって、汚染空気が真空掃除機2を通じて引き込まれる。第1のサイクロン式分離ユニット18によって分離された塵埃は、塵箱基部32と塵箱22の下側部分とによって形成されている第1の塵埃収集器の内部に蓄積される。第2のサイクロン式分離ユニット20によって分離された塵埃は、塵箱基部32の隆起部分35と中空の下側部分46とによって形成されている第2の塵埃収集器の内部に蓄積される。
【0044】
蓄積された塵埃を真空掃除機2から除去するために、操作者は、最初に片手でハンドル16を把持した後に、他方の手で分離器解除キャッチ102を本体4に向かって引き戻し、分離器解除キャッチ102を回動させ、これにより、本体4のラッチ形体105との係合が解除されるように分離器解除キャッチ102の保持形体104を移動させる。
【0045】
その後に、操作者は、分離器解除キャッチ102を上方に引っ張り、これにより、第2のサイクロン式分離ユニット20と管状のスクリーン40とを塵箱22の頂部を通じて上方に引き出す。従って、第2のサイクロン式分離ユニット20と塵箱22との間における密着性が損なわれる。また、中空の下側部分46の弾性的な端部セクション56と塵箱基部32の隆起部分35との間における密着性も損なわれる。
【0046】
第2のサイクロン式分離ユニット20が上方に引き込まれると、第2の塵埃収集器に収集された塵埃が第1の塵埃収集器の内部に流入する。管状のスクリーン40を塵箱から引き出すことによって、第1の塵埃収集器の内部における塵埃のための空間を大きくすることができるので、管状のスクリーン40と塵箱22の外壁との間に捕捉されている塵埃が、第1の塵埃収集器の底部に形成された追加的な空間に落下する。さらに、第2のサイクロン式分離ユニット20が上方に引っ張られると、管状のスクリーン40が、塵箱22に固定されている環状ワイパー42に沿って滑動する。環状ワイパー42は、例えば髪の毛や糸のような、スクリーン40に固着している塵埃をスクリーン40に沿って強制的に擦り取り、当該塵埃をスクリーン40の端部から第1の塵埃収集器の内部に押し出す。管状のスクリーン40が塵箱22から引き出されること、及び、環状ワイパー42によって管状のスクリーン40を清掃することによって、塵箱22の上側部分によって形成されているサイクロン式分離チャンバ24の内部に固着している塵埃の除去が著しく改善される。
【0047】
操作者が、第2のサイクロン式分離ユニット20と塵箱22との間におけるシールと、中空の下側部分46の弾性的な端部セクション56におけるシールとを損なわせてしまうと、望ましくはないが、第2のサイクロン式分離ユニット20が、塵箱22が空になるまで塵箱22の内部に向かって下方に押し戻される。これは、塵埃が弾性的な端部セクション56と塵箱基部32との間に捕捉されるので、シールの再形成が防止され、これにより、サイクロン式分離器6の分離効率を悪化させるからである。さらには、塵箱22が塵埃を含んでいる際に第2のサイクロン式分離ユニット20が塵箱22の内部に押し戻された結果として、第2のサイクロン式分離ユニット20が押し戻されるに従って、空気と塵埃とが、第2のサイクロン式分離ユニット20と塵箱22の頂部との間に形成された間隙を通じて塵箱22の頂部から強制的に流出される。このことは、塵埃が塵箱22の頂部から排出されると、操作者が汚れてしまう原因となり、望ましくないことである。
【0048】
図6A及び図6Bは、スライダ58と作動要素76と塵箱22のアクチュエータ39との相互作用に関する説明を補助するために選択された本体4及びサイクロン式分離器6の構成要素を表わす。図6Aは、分離器解除キャッチ102を上方に引っ張る前における構成とされるサイクロン式分離器6を表わす。
【0049】
スライダ58が図6Aに表わす構成から上方に移動すると、隆起構造体92の上方隆起がラチェット構造体82と接触し、ラチェット構造体82の尖端を上方に押すので、作動要素76が(図6Aに表わすように)反時計回りに回転する。従って、上方隆起は、ラチェット構造体82が遠位に移動すると、ラチェット構造体82の尖端を押しのける。上方隆起が当該尖端を飛び越えると、バネ91が作動要素76を時計回りに付勢して引き戻すので、当該尖端が上方隆起の直下において隆起と係合する。このことは、スライダ58が上方に移動すると、隆起それぞれについて繰り返される。操作者が、ラチェット構造体82が隆起構造体92と係合した状態において、第2のサイクロン式分離器ユニット20を塵箱22の内部に押し戻そうとした場合には、制限ストッパ構造体78の第1の当接面88が第1の回動ストッパ84と接触するので、作動要素76が(図6Aに表わすように)時計回りに回転することが防止されると共に、隆起構造体92の隆起がラチェット構造体82の尖端を押しのけることも防止される。従って、隆起構造体92とラチェット構造体82とは、ラチェットの形態をした回り止め機構を形成しており、当該回り止め機構は、塵箱22からの塵埃除去プロセスが開始されると、第2のサイクロン式分離ユニット20が塵箱22の内部に押し戻されることを防止する。
【0050】
隆起構造体92がラチェット構造体82を飛び越えると、第2のサイクロン式分離ユニット20がさらに上方に移動し、これにより、ラチェット係合解除構造体94がラチェット乗り上げ構造体80の尖端と接触する。ラチェット係合解除構造体94が作動要素76を通過して引き込まれる際に、ラチェット係合解除構造体94はラチェット乗り上げ構造体80を上方に押すので、作動要素76が反時計回りに回転する。ラチェット乗り上げ構造体80の長さは、作動要素76の回転角度が隆起構造体92とラチェット構造体82との係合によって生じる作動要素76の回転角度より大きくなるように決定されている。同時に、制限ストッパ構造体78の丸い突出部が、塵箱22のキャッチ36を解除するためのアクチュエータ39の頂部と接触するので、カムが塵箱アクチュエータ39を押し下げ、これにより図6Bに表わすように、キャッチ36が解除され、塵箱基部32が開放される。ラチェット係合解除構造体94が作動要素76を回転させることによって、作動要素76がバネ91のオーバーセンター点を通過して回転する。従って、作動要素76は、バネ91によって第2の位置に保持され、制限ストッパ構造体78の丸い突出部が、操作者が塵箱基部32を閉じることを防止する。
【0051】
塵箱基部32を閉じるために、最初に、操作者は、塵箱22と第2のサイクロン式分離ユニット20との間にシールが再び形成されるように、管状のスクリーン40と共に第2のサイクロン式分離ユニット20を塵箱22の内部に押し戻す必要がある。押し戻す際に、スライダ58のラチェット初期化構造体96が作動要素76のラチェット乗り上げ構造体80に対して下向きに押されるので、作動要素76が時計回りに回転され、第1の位置に復帰する。従って、操作者が塵箱基部32を閉じることを防止した制限ストッパ構造体78の丸い突出部は、アクチュエータ39の頂部から離隔するように移動されるので、利用者は、塵箱基部32を閉じることができる。
【0052】
当該機構の利点は、塵埃除去プロセスが開始されると、塵箱基部32を開くことによって操作者が処理を完了させた後に、塵箱基部32が再び閉塞可能となる前に、第2のサイクロン式分離ユニット20を塵箱基部22の内部に押し戻す必要があることである。これにより、操作者は、塵箱22から第2のサイクロン式分離ユニット20を部分的に取り外した後に、塵埃が依然として塵箱22に残存している状態において、第2のサイクロン式分離ユニット20を塵箱22の内部に押し戻すことが困難になる。また、操作者にとって、塵箱基部32が閉じられた状態において真空掃除機を組み立てることも、その後に第2のサイクロン式分離ユニット20を塵箱22の内部に押し込むことも困難になるので、これにより、排出された塵埃によって操作者が汚れることが防止される。
【0053】
第2のサイクロン式分離ユニット20が塵箱20から引き出され、本体4から離隔されると、出口ダクト50とモータ入口52とが互いに対して芯ずれするように移動される。真空掃除機2が動作可能とされる場合には、塵埃がサイクロン式分離器6を迂回して直接モータの内部に引き込まれる恐れがあり、この場合にはモータが損傷することになる。しかしながら、第2のサイクロン式分離ユニット20が上方に移動されると、磁石がセンサ100の検出範囲から外れるので、真空掃除機2が使用不能となり、操作者が不注意で真空掃除機2を操作してしまうことは防止される。このことは、モータ入口52が露出している際における真空掃除機2の偶発的な動作に対する安全装置として機能する。
【0054】
図8は、本体204と本体204に取り外し可能に取り付けられているサイクロン式分離器206とを備えている円筒形真空掃除機202を表わす。
【0055】
図9及び図10は、サイクロン式分離器206単体を表わす。サイクロン式分離器206は、第1のサイクロン式分離ユニット208と第2のサイクロン式分離ユニット210とを備えている。第1のサイクロン式分離ユニット208と第2のサイクロン式分離ユニット210とは、図1に表わす真空掃除機2の第1のサイクロン式分離ユニット18及び第2のサイクロン式分離ユニット20の構成に類似する構成を有している。従って、第1のサイクロン式分離ユニット208は、円筒状外壁213を有している塵箱212と、ヒンジ220を介して円筒状外壁213に接続されていると共に塵箱解除キャッチ222によって閉位置に保持されている塵箱基部218とを備えており、円筒状外壁213が、サイクロン式分離チャンバ214及び第1の塵埃収集領域216を形成しており、塵箱解除キャッチ222が、塵箱212の下側外面に設けられている保持形体223を係止している。塵箱基部218が、例えばエラストマー材料のような弾性材料から成るダイアフラム219を備えている。環状外壁213の下側部分と塵箱基部218とが共に、第1のサイクロン式分離ユニット208によって分離された塵埃を収集するための第1の塵埃収集器を形成している。管状のスクリーン224は、サイクロン式分離チャンバ214の内部に配置されており、サイクロン式分離チャンバ214のための入口226が、管状のスクリーン224を貫通して設けられており、サイクロン式分離チャンバ214に向かってラジアル方向外方に開口している。環状のワイパー228は、エラストマー材料から成るリングとされ、塵箱212の上側部分に固定されている。
【0056】
第2のサイクロン式分離ユニット210は、第1のサイクロン式分離ユニット208の下流に配置されている複数の第2のサイクロン230と、モータ前フィルタ(図示しない)と、2つの隣り合うサイクロンの間で後方に延在している出口ダクト232とを備えている。中空の下側部分234が、第2のサイクロン230の固形物用出口の下方に配置されており、管状のスクリーン224の内部において下方に延在している。中空の下側部分234と塵箱基部218のダイアフラム219とが共に、第2のサイクロン式分離ユニット210によって分離された塵埃を収集するための第2の塵埃収集器を形成している。ハンドル235は、第2のサイクロン式分離ユニット210の頂部に設けられており、ハンドル235によって、第2のサイクロン式分離ユニット210が本体204から取り外され、第2のサイクロン式分離ユニット210が運搬可能とされる。
【0057】
図11に表わすように、第2のサイクロン式分離ユニット210は、出口ダクト232の下方において第2のサイクロン式分離ユニット210の領域から下方に延在しているスライダ236をさらに備えている。スライダ236は、スライダ236の側面それぞれに沿って延在している第1のレール238及び第2のレール240を備えている。スライダ236は、第2のレール240に隣り合って且つスライダ236の中間部分に沿って延在している隆起構造体242を有している。隆起構造体242は、複数の隆起を、図示の実施例では6つの隆起を有しており、隆起それぞれが、スライダ236から離隔するように下方に延在している上側傾斜面244と、スライダ236の長手方向に対して垂直に延在している下側面246とを有している。最後の最下側隆起248は、隆起構造体242の下方に設けられている。また、最下側隆起248は、スライダ236から離隔するように下方に傾斜している上側面250を有している。最下側隆起248の最大高さは、隆起構造体242の隆起の最大高さより大きい。キャッチ停止構造体252が、最下側隆起248の底部に設けられている。矩形状の形態とされる停止開口部254は、隆起構造体242の直上においてスライダ236を貫通して設けられている。シールド構造体256は、停止開口部254からキャッチ停止構造体252に至るまで、隆起構造体242に並行して延在している。間隙258は、最下側隆起248に隣り合っているシールド構造体256に設けられている。
【0058】
図12図15に表わすように、塵箱212は、アクチュエータ260と塵箱保持キャッチ262とラッチ要素263とを備えている(図15に表わす)。アクチュエータ260は、プッシュロッドの形態とされ、アクチュエータ260が第1の位置(未展開位置)と第2の位置(展開位置)との間において上下動可能とされるように(すなわち、塵箱212の円筒状外壁213に対して平行とされるように)、塵箱212の側面を捕捉した状態で溝265に保持されている。塵箱基部218が閉位置に位置している場合に、第1の位置から第2の位置に至るまでアクチュエータ260が移動されることによって、アクチュエータ260の下側縁部がキャッチ222とキャッチ保持形体223との間に押し進められ、キャッチ222が解除される。
【0059】
図13及び図14はアクチュエータ260単体を表わすが、アクチュエータ260は、桿体状の動作部分264と、桿体状の動作部分264に結合している接続部分266と、接続部分264から上方に延在している保護部分268と、保護部分268の頂部に配置されているプッシュボタンの形態をした押下部分270とを備えている。
【0060】
動作部分264は、塵箱212の反対側に面している動作部分264の側面に、キャッチ解除構造体272を備えている。キャッチ解除構造体272は、塵箱212に向かって下方に延在している表面を有している。さらに、動作部分264は、キャッチ解除構造体272の直上に配置されているストッパ構造体274を備えている。ストッパ構造体274は、アクチュエータ260の動作方向に対して直角に延在している下側表面を有している。さらに、動作部分264は、塵箱212に面している動作部分264の表面に、凹所の形態をした保持構造体276を備えている。保持構造体276は、キャッチ解除構造体272及びストッパ構造体274の上方に配置されている。
【0061】
保護部分268は、押下部分270の直下に且つ保護部分268の下面に、凹所277を有している。
【0062】
塵箱保持キャッチ262は、塵箱212の円筒状外壁213に回動可能に接続されている。図15に表わすように、塵箱保持キャッチ262は、ピボットから最も遠位に位置する塵箱保持キャッチ262の端部に、第1の突起278を備えている。第1の突起278は、塵箱保持キャッチ262の下面に設けられており、塵箱212の円筒状外壁に向かって内方に突出している。第2の突起280は、塵箱保持キャッチ262に沿って中間に位置決めされている。また、第2の突起280は、塵箱212の円筒状外壁に向かって内方に突出している。捩じりバネ282が、塵箱保持キャッチ262が塵箱212の円筒状外壁213に向かって付勢されるように、塵箱212の円筒状外壁213と塵箱保持キャッチ262との間に配置されている。
【0063】
ラッチ要素263は、板バネ284の一方の端部において塵箱212の環状外壁に固定されている板バネ284を備えており、アクチュエータ係合要素286が、板バネ284の他方の端部に固定されている。ラッチ要素263は、アクチュエータ係合要素286が塵箱212の環状外壁から離隔するように外方に付勢されるように配置されている。
【0064】
図14は、図13に表わすアクチュエータ260を図示する別の斜視図であるが、引張バネ288は、アクチュエータ260の下面において凹所の内部に配置されている。引張バネ288の一方の端部が、塵箱212の環状外壁に接続されており、引張バネ288の他方の端部が、アクチュエータ260が第1の位置に向かって上方に付勢されるように、アクチュエータ260に接続されている。
【0065】
蓄積された塵埃を第1の塵埃収集器及び第2の塵埃収集器から取り除くために、操作者は、一方の手でハンドル235を把持し、他方の手でアクチュエータ260の押下部分270を下方に押し下げる。押し下げる前に、アクチュエータ260は、塵箱212の溝265の上側端面と当接且つ係合するように動作部分264の頂部を付勢する引張バネ288によって、第1の位置に保持されている。第1の位置では、塵箱保持キャッチ262の上面に形成された第1の突起278は、スライダ236を貫通した状態で停止開口部254に配置されているので、塵箱212がスライダ236ひいては第2のサイクロン式分離ユニット210に対して相対的に移動することを防止する。
【0066】
塵箱保持キャッチ262の下面に形成された第2の突起280は、キャッチ解除構造体272の直下に位置決めされている(図13参照)。従って、アクチュエータ260が塵箱212に対して下方に押されると、第2の突起280がアクチュエータ260のストッパ構造体274と接触した状態においてキャッチ解除構造体272に乗り上がるように、キャッチ解除構造体272が第2の突起280の下方において滑動する。これにより、塵箱保持キャッチ262が塵箱212の外壁に対して回動されるので、第1の突起278が停止開口部254から係合解除されるように移動され、スライダ236に対して相対的に移動するために塵箱212が取り外される。ストッパ構造体274は、アクチュエータ260が塵箱212に対して相対的にさらに移動することを防止する。従って、操作者がアクチュエータ260を押し下げると、塵箱212がスライダ236に沿って滑動する。塵箱212が下方に移動すると、塵箱保持キャッチ262の第1の突起278が隆起構造体242の上側傾斜面244に沿って乗り上がる。下側面246は垂直とされるので、反対方向(上方向)への移動を防止する。
【0067】
従って、隆起構造体242と塵箱保持キャッチ262とが、ラチェット機構を形成しており、当該ラチェット機構は、塵箱212がスライダ236に対して下方に移動することを可能とするが、上方への移動を防止する。このことは、塵埃除去プロセスが開始されると、塵箱212を空にする前における、利用者による塵箱212の交換が困難になることを確実にする。このことの利点は、図1に表わす真空掃除機に関する説明の通りである。
【0068】
塵箱212の行程の最大距離において、塵箱保持キャッチ262は、スライダ236のキャッチ停止構造体252と接触する。接触すると、塵箱保持キャッチ262の第1の突起278が最下側隆起248に乗り上がる。これにより、塵箱保持キャッチ262の端部が、第2の突起280を持ち上げている塵箱212の環状外壁からさらに外側に回動され、アクチュエータ260のストッパ構造体274から係合解除される。従って、アクチュエータ260は、塵箱212に対して、第2の位置に向かってさらに下方に押し下げ可能とされるので、アクチュエータ260の端部は、塵箱解除キャッチ222と保持形体223との間において押し進められ、塵箱解除キャッチ222が、塵箱基部218が第1の塵埃収集器及び第2の塵埃収集器を空にするために開放可能となるように解除される。アクチュエータ260が第2の位置に移動すると、ラッチ要素263のアクチュエータ係合要素286は、板バネ284によって、保持構造体276と係合するように付勢されるので、アクチュエータ260は、ラッチ要素263によって第2の位置に保持される。これにより、塵箱基部218が閉位置に戻ることが防止される。さらに、第1の突起278が隆起構造体242と係合することなく、塵箱212がスライダ236に沿って滑動して元の位置に復帰することができるように、ラッチ要素263は上昇位置においてキャッチを保持する。
【0069】
第2の位置に位置している場合には、保護部分268の凹所277が塵箱保持キャッチ262の上方に位置決めされている。これにより、塵箱保持キャッチ262を塵箱212の環状外壁213からさらに離隔するように回動させるための空間が形成されるので、塵箱保持キャッチ262の端部をキャッチ停止構造体252の上方に持ち上げることができ、塵箱212をスライダ236から完全に取り外すことができる。
【0070】
塵箱212がスライダ236に沿って塵箱212の初期位置に復帰すると、スライダ236の縁部290が、ラッチ要素263のアクチュエータ係合要素286を保持構造体276から強制的に外し、環状外壁213に向かって移動させる。ラッチ要素263が解除されると、引張バネ288が、アクチュエータ266をアクチュエータ266の第1の位置に復帰させる。従って、使用のために、サイクロン式分離器206を本体204に戻すことができる。
【符号の説明】
【0071】
2 スティック型真空掃除機
4 本体
6 サイクロン式分離器
8 ワンド
10 掃除機ヘッド
12 (本体4の)上側部分
13 ファンユニット
14 (本体4の)下側部分
15 バッテリーパック
16 ハンドル
18 第1のサイクロン式分離ユニット
20 第2のサイクロン式分離ユニット
22 塵箱
23 (塵箱22の)円筒状外壁
24 サイクロン式分離チャンバ
26 (サイクロン式分離チャンバ24の)入口
28 塵埃収集領域
30 入口ダクト
32 塵箱基部
34 ヒンジ
35 (塵箱基部32の)隆起部分
36 キャッチ
38 保持形体
39 アクチュエータ
40 スクリーン
42 環状ワイパー
44 第2のサイクロン
46 下側部分
48 モータ前フィルタ
50 出口ダクト
52 モータ入口
54 入口ダクト
55 端部壁
56 端部セクション
58 スライダ
60 第1のレール
62 第2のレール
64 チャネル
66 (本体4の)取付部分
68 (第1の)溝
70 (第2の)溝
72 (第2の組の)溝
74 (第2の組の)溝
76 作動要素
78 制限ストッパ構造体
80 ラチェット乗り上げ構造体
82 ラチェット構造体
84 第1の回動ストッパ
86 第2の回動ストッパ
88 (制限ストッパ構造体78の)第1の当接面
90 (制限ストッパ構造体78の)第2の当接面
91 バネ
92 (第2のサイクロン式分離ユニット20の)隆起構造体
94 ラチェット係合解除構造体
96 ラチェット初期化構造体
98 トリガー装置(磁石)
100 センサ
102 (第2のサイクロン式分離ユニット20の)分離器解除キャッチ
104 (分離器解除キャッチ102の)保持形体
105 ラッチ形体
106 塵箱解除キャッチ
202 円筒形真空掃除機
204 本体
206 サイクロン式分離器
208 第1のサイクロン式分離ユニット
210 第2のサイクロン式分離ユニット
212 塵箱
213 円筒状外壁
214 サイクロン式分離チャンバ
216 第1の塵埃収集領域
218 塵箱基部
219 ダイアフラム
220 ヒンジ
222 塵箱解除キャッチ
223 保持形体
224 スクリーン
226 (サイクロン式分離チャンバ214のための)入口
228 ワイパー
230 第2のサイクロン
232 出口ダクト
234 下側部分
235 ハンドル
236 スライダ
238 第1のレール
240 第2のレール
242 隆起構造体
244 (隆起の)上側傾斜面
246 (隆起の)下側面
248 最下側隆起
250 (最下側隆起248の)上側面
252 キャッチ停止構造体
254 停止開口部
256 シールド構造体
258 間隙
260 アクチュエータ
262 塵箱保持キャッチ
263 ラッチ要素
264 動作部分
265 溝
266 接続部分
268 保護部分
270 押下部分
272 キャッチ解除構造体
274 ストッパ構造体
276 保持構造体
277 凹所
278 第1の突起
280 第2の突起
282 捩じりバネ
284 板バネ
286 アクチュエータ係合要素
288 引張バネ
290 (スライダ236の)縁部
X (サイクロン式分離チャンバ24の)長手方向軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15