(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の段ボールシートの一方の側面に、第2の段ボールシートの端縁を当接させた状態で、前記第1の段ボールシートと前記第2の段ボールシートとを接合した段ボールシートの接合構造であって、
前記第2の段ボールシートの一方の側面に取り付けられると共に、前記第2の段ボールシートに挿入される第1挿入部と、前記第1の段ボールシートの前記一方の側面から前記第1の段ボールシートに挿入される第2挿入部と、を有する連結部材と、
前記第1の段ボールシートを他方の側面から前記一方の側面まで貫通した先端側を、前記第2の段ボールシート内で、前記第1挿入部に螺入させた有頭ネジと、を有することを特徴とする段ボールシートの接合構造。
前記第1挿入部では、前記金属片の重ね合わせ方向に貫通して、前記有頭ネジが螺入するネジ孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の段ボールシートの接合構造。
前記有頭ネジの頭部と、前記第1の段ボールシートの他方の側面との間には、前記頭部よりも外径の大きいワッシャが介在していることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の段ボールシートの接合構造。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態にかかる接合構造を採用した収容棚を説明する図である。
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態にかかる段ボールシートの接合構造1を採用した収容棚5を説明する図であり、(a)は、収容棚5の斜視図であり、(b)は、収容棚5の側板52を取り外して、接合構造1の構成部品(連結部材2、有頭ネジ3、ワッシャ4)と共に示した、収容棚5の分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、収容棚5は、正面視において長方形形状を成す一対の側板51、52を有しており、これら側板51、52は、収容棚5の幅方向に所定間隔W1をあけて互いに平行に設けられている。
側板51、52の間には、正面視において長方形形状を成す複数の棚板53が、側板51、52の長手方向(
図1における上下方向)に間隔をあけて設けられており、棚板53の各々は、側板51、52に直交する向きで、互いに平行に設けられている。
【0012】
各棚板53の一端側の短辺部531と他端側の短辺部532は、互いに平行な平坦面となっており、棚板53の各々は、これら短辺部531、532を、一方側に位置する側板51と、他方側に位置する側板52に、それぞれ全面に亘って接触させた状態で、側板51、52に連結されている。
【0013】
これら複数の棚板53のうち、側板51、52の上端51a、52a同士を連結する棚板53(
図1において最も上側に位置する棚板53)と、下端51b、52b側同士を連結する棚板53(
図1において最も下側に位置する棚板53)は、収容棚5の天板および底板となっている。
正面視において収容棚5は、一方の側板51と、天板(棚板53)と、他方の側板52と、底板(棚板53)とで囲まれた矩形形状の収容空間を有しており、この収容空間が、他の棚板53により複数に区画されている。
【0014】
ここで、収容棚5を構成する側板51、52と棚板53は、共通の段ボール素材6を、所定の大きさで切り出して作成したものであり、基本構成は同一である。
そこで、側板51、52と棚板53の具体的な構成を、段ボール素材6を例に挙げて説明する。
【0015】
図2は、段ボール素材6を説明する図であり、(a)は、斜視図であり、(b)は、段ボール素材6の側面を拡大して模式的に示した拡大図である。
【0016】
図2の(b)に示すように、段ボール素材6は、波状に加工した紙製の芯材61を、板状を成す紙製のライナ62、62の間に挟んで形成した外壁部材60、60の間に、波状に加工した紙製の中央芯材63を挟んだ基本構成を有している。
【0017】
ライナ62、62の間に位置する芯材61は、当該芯材61を挟んで一方側(
図2の(b)における上側)に位置するライナ62と他方側(
図2の(b)における下側)に位置するライナ62とに、交互に接触して設けられており、芯材61とライナ62、62との接触点Paは、接着剤により接合されている。
【0018】
外壁部材60、60の間に位置する中央芯材63もまた、当該中央芯材63を挟んで一方側に位置する外壁部材60のライナ62と他方側に位置する外壁部材60のライナ62とに、交互に接触して設けられており、中央芯材63とライナ62、62との接触点Pbは、接着剤により接合されている。
【0019】
段ボール素材6では、芯材61とライナ62との接触点Paが、所定のピッチP1で並ぶように芯材61が設けられていると共に、中央芯材63とライナ62との接触点Pbが、所定のピッチP2で並ぶように中央芯材63が設けられている。
実施の形態では、中央芯材63における接触点PbのピッチP2が、芯材61における接触点PaのピッチP1よりも大きくなるように設定されている(P2>P1)。
【0020】
段ボール素材6では、外壁部材60、60の間の中央芯材63が位置する領域に、中央芯材63と外壁部材60、60とで囲まれた空間Sが形成されており、この空間Sは、中央芯材63の長手方向(
図2の(b)における左右方向)に連なって複数存在している。
【0021】
実施の形態では、この段ボール素材6から切り出した側板51、52(
図10参照)と、棚板53(
図9参照)を用いて、収容棚5(
図1参照)が組み立てられている。
前記したように収容棚5では、間隔W1を空けて互いに配置された側板51、52の互いに対向する側面515、525(
図1の(a)参照)に、各棚板53の一端側の短辺部531と他端側の短辺部532とが全面に亘って接触しており、この状態において側板51、52と棚板53とは、実施の形態にかかる接合構造1(
図3参照)で互いに連結されている。
【0022】
以下、実施の形態にかかる接合構造1を、棚板53の他端側の短辺部532と側板52とを連結する接合構造1(
図3参照)の場合を例に挙げて説明する。
図3は、接合構造1を説明する図であり、(a)は、棚板53の短辺部532と側板52との連結部の断面図であり、(b)は、(a)における領域Aの拡大図である。
図4は、接合構造1を説明する図であり、(a)は、棚板53の短辺部532と側板52との連結部を斜め下方から見た斜視図であり、(b)は、棚板53の短辺部532と側板52との連結部を斜め上方から見た斜視図である。なお、
図4の(a)、(b)では、説明の便宜上、棚板53と側板52とを離間させて、接合構造1の構成要素(連結部材2、有頭ネジ3、ワッシャ4)と共に示している。
【0023】
実施の形態にかかる収容棚5では、棚板53と側板51、52との接合部が、連結部材2と、有頭ネジ3、ワッシャ4と、を用いた接合構造1で互いに連結されている。
図3に示すように、連結部材2は、棚板53の内部に挿入される第1挿入部21と、側板52の内部に挿入される第2挿入部22とを有しており、これら第1挿入部21と第2挿入部22は、互いに直交する向きで設けられている。
接合構造1において連結部材2は、棚板53に挿入された第1挿入部21で棚板53の長手方向(
図3の(a)における左右方向)への移動が規制されていると共に、側板52に挿入された第2挿入部22で側板52の長手方向(
図3の(a)における上下方向)への移動が規制されている。
【0024】
接合構造1では、側板52を厚み方向(
図3の(a)における左右方向)に貫通した有頭ネジ3の先端31a側が、棚板53の内部で第1挿入部21に螺入されている。
そのため、棚板53は、側板52から離れる方向(
図3における左方向)と、側板52の長手方向(
図3における上下方向)への移動が規制された状態で、連結部材2と有頭ネジ3とにより、側板52に連結されている。
【0025】
以下、接合構造1の各構成要素(連結部材2、有頭ネジ3、ワッシャ4)を、順番に説明する。
図5は、連結部材2を説明する図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、側面図であり(d)は、斜視図である。なお、
図5の(d)では、接合構造1における連結部材2と、有頭ネジ3およびワッシャ4との位置関係を明確にするために、有頭ネジ3とワッシャ4を仮想線で示している。
図6は、連結部材2を一枚の帯状の金属片20から作成する過程を説明する図であり、(a)は、金属片20の平面図であり(b)は、正面図であり、(c)は、金属片20を折り曲げて第1挿入部21を形成する過程での金属片20の形状を示す斜視図であり、(d)は、金属片20の折り曲げにより第1挿入部21を形成した金属片20を示す斜視図であり、(e)は、第1挿入部21にネジ孔210を形成して作製した連結部材2の斜視図である。
【0026】
図6に示すように連結部材2は、例えばステンレス製の帯状の金属片20を折り曲げて連結部材2の基本形状(
図5の(d)参照)を形成したのち、第1挿入部21となる領域に、有頭ネジ3が螺入されるネジ孔210を形成することで作製される。
作製された連結部材2は、棚板53の内部に挿入される第1挿入部21と、側板51、52の内部に挿入される第2挿入部22の他に、棚板53の下側の側面535に係止される係止部23を有している。
【0027】
金属片20は、長手方向の全長Lに亘って、同じ幅Wで形成された板状部材であり、長手方向の全長Lに亘って、同じ厚みTを有している
この金属片20の長手方向の一端20a側と他端20b側には、曲面加工が施されており、平面視において金属片20の一端20a側の外周20a1と、他端20b側の外周20b1は、金属片20の幅方向の中間を通る仮想線Lx上に中心C1、C2を位置させた略円弧形状を成している。
【0028】
連結部材2は、金属片20を長手方向における3箇所で折り曲げて形成されており、折り曲げられた領域の重なり合った部分が第1挿入部21となるように、金属片20における折り曲げ位置が設定されている。
【0029】
具体的には、
図6の(a)に示すように、金属片20では、前記した係止部23となる領域と第1挿入部21となる領域との境界線LY1と、第1挿入部21となる領域と第2挿入部22となる領域との境界線LY3とが、金属片20の長手方向に所定距離2H離間して設定されている。
【0030】
そのため、金属片20を、境界線LY1と境界線LY3との中間線LY2が、
図6の(a)における紙面手前側となるように、境界線LY1、LY3に沿って折り曲げたのち、境界線LY1と境界線LY3の間の領域(
図6の(a)におけるハッチングが付された領域)を、中間線LY2を境にして折り返して重ね合わせることで、最終的に第1挿入部21となる領域を形成している。
【0031】
この状態において、第1挿入部21の両側に位置する第2挿入部22と係止部23は、
図6の(d)において仮想線で示す同一平面Ax上に位置しており、第1挿入部21は、平面Axに直交する方向に高さHで形成されている(
図6の(d)参照)。
【0032】
そして、金属片20を重ね合わせて形成した第1挿入部21に、金属片20の重ね合わせ方向に貫通するネジ孔210(
図6の(e)参照)を形成することで、最終的に連結部材2が作製されるようになっている。
【0033】
図5の(c)に示すように、側面視において第1挿入部21は、略矩形形状を成しており、この第1挿入部21の幅方向の略中央部にネジ孔210が形成されている。
そのため、連結部材2では、金属片20が重ね合わせられて厚みが厚くなった領域にネジ孔210が形成されており、ネジ孔210を形成する際に第1挿入部21が過度に変形しないようになっている。
【0034】
次に、接合構造1の他の構成要素(有頭ネジ3、ワッシャ4)を説明する。
図7は、有頭ネジ3を説明する図である。
図8は、ワッシャ4を説明する図であり、(a)は、ワッシャ4の斜視図であり、(b)は、(a)における面Aでワッシャ4を切断した断面であって、ワッシャ4と共に、有頭ネジ3と、側板52の一部である外壁部材60を仮想線で示した図である。
【0035】
図7に示すように、連結部材2のネジ孔210に螺入される有頭ネジ3は、軸部31の長手方向の一端に頭部32を有している。
軸部31の中心線Xa方向において頭部32は、軸部31から離れるにつれて外径が大きくなるテーパ面32bを有しており、テーパ面32bとは反対側の端面32aは、中心線Xaに直交する平坦面となっている。
【0036】
図8に示すように、ワッシャ4は、中央に貫通孔41を有するステンレス製の部材であり、平面視においてリング形状を成す基部40を有している。
貫通孔41は、前記した有頭ネジ3の軸部31の外径D31よりも僅かに大きい内径d4で形成されており、接合構造1において有頭ネジ3の軸部31は、ワッシャ4の貫通孔41を、基部40の一方側(
図8の(b)における右側)から側板52が位置する他方側(
図8の(b)における左側)に貫通している。
【0037】
基部40は、貫通孔41を囲むリング状の着座部401と、着座部401の外周を全周に亘って囲むフランジ部402と、を有しており、フランジ部402は、有頭ネジ3の頭部32の外径D32よりも大きい外径D4で形成されている。
着座部401は、貫通孔41の中心を当該貫通孔41の貫通方向に延びる中心線Xaに対して所定角度θ傾斜しており、着座部401は、フランジ部402から内径側に離れるにつれて、中心線Xaに直交する方向の内径d5が小さくなっている。
【0038】
実施の形態では、この着座部401の傾斜角(所定角度θ)は、前記した有頭ネジ3のテーパ面32bが全面に亘って着座部401に接触する角度に設定されている。
また、着座部401の中心線Xa方向の深さDxは、有頭ネジ3の頭部32が、着座部401の内側に完全に収容されて、頭部32の端面32aが、フランジ部402の外側面402aよりも外方に突出しない深さDxに設定されている(
図3の(b)参照)。
【0039】
以下、側板52と棚板53との接合構造1を説明する。
図9は、棚板53を説明する図であり、(a)は、下方から見た斜視図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、(b)におけるA−A矢視方向から図である。
【0040】
棚板53は、前記した段ボール素材6(
図2参照)から切り出して得られた板状部材であり、所定の厚みW3(
図1参照)を有している。
図9の(a)に示すように、棚板53は、互いに平行に配置された一対の短辺部531、532と、短辺部531、532の端部同士を繋ぐ一対の長辺部533、534と、を有しており、棚板53の下側の側面535および上側の側面536(
図9の(c)参照)は、平面視において長方形形状を有している。
【0041】
完成品の収容棚5では、断面コ字形状のステンレス製のカバー板54が、長辺部533、534に取り付けられており、このカバー板54により、段ボール素材6の内部構造の断面が露出しないようにされている。
【0042】
実施の形態では、棚板53は、一端側の短辺部531と、他端側の短辺部532を、それぞれ側板51、52の側面515、525(
図1参照)に全面に亘って接触させた状態で、連結部材2と有頭ネジ3とを用いて、側板51、52に連結されている。
【0043】
そのため、棚板53の短辺部531、532には、有頭ネジ3の挿入孔538、538が開口している(
図9の(a)、(c)参照)。
これら挿入孔538、538は、短辺部531、532の長手方向に間隔W5をあけて設けられており、側板51、52を貫通した有頭ネジ3の軸部31が、これら挿入孔538、538を通って、棚板53の内部に挿入されるようになっている。
【0044】
図9の(b)に示すように、棚板53の内部では、波状の中央芯材63と、挿入孔538から挿入された有頭ネジ3の軸部31とが交差する位置に、挿入孔538、538が設けられており、
図3に示すように、有頭ネジ3の軸部31は、当該有頭ネジ3の頭部32がワッシャ4の着座部401に着座するまで、棚板53の内部に挿入されるようになっている。
【0045】
図9の(a)に示すように、棚板53の下側の側面535には、連結部材2の第1挿入部21が挿入されるスリット537が設けられている。
スリット537は、一方側の短辺部531と、他方側の短辺部532の近傍で、短辺部531、532に沿う向きで設けられており、短辺部531側と短辺部532側では、短辺部531の長手方向に間隔W6(W6<W5)をあけて、2つのスリット537、537が設けられている。
【0046】
そのため、棚板53の下側の側面535には、合計4つのスリット537が設けられており、これらスリット537の平面視における開口形状は、前記した連結部材2の第1挿入部21が挿入可能な矩形形状となっている。
【0047】
実施の形態では、短辺部532側から見たスリット537の幅Wの範囲内に挿入孔538が位置するように、短辺部531におけるスリット537の位置が設定されている(
図9の(c)参照)おり、棚板53の空間S内で、有頭ネジ3の軸部31が第1挿入部21に螺入されるようになっている。なお、短辺部531においても同様である。
【0048】
短辺部531側のスリット537、537と、短辺部532側のスリット537、537は、それぞれ短辺部531、532から所定長さL1離間した位置に設けられている(
図9の(a)、(b)参照)。
実施の形態では、スリット537は、当該スリット537に挿入された連結部材2の第1挿入部21が中央芯材63と干渉しない位置で開口するように長さL1が設定されている。
【0049】
図9の(b)に示すように、正面視において挿入孔538、538は、外壁部材60、60の間に位置する波状の中央芯材63を、棚板53の下側の側面535に沿う方向に横切る向きで設けられており、側板52を貫通して挿入孔538に挿入された有頭ネジ3の軸部31が、中央芯材63の長手方向で連なる複数の空間Sを横断したのち、空間内に位置する連結部材2の第1挿入部21のネジ孔210に螺入されるようになっている(
図3の(a)参照)。
【0050】
図10は、側板52を説明する図であり、(a)は、側板52の斜視図であって、カバー板54を取り外した状態を示す図であり、(b)は、(a)における領域Aを拡大して示す平面図であり、(c)は、(b)におけるB−B断面を拡大して模式的に示した図である。
側板51、52もまた、前記した段ボール素材6から切り出して得られた板状部材であり、所定の厚みW3(
図1参照)を有している。
なお、側板51、52は、同一の構成を有しているので、以下においては、側板52の場合を例に挙げて説明する。
図10に示すように、側板52は、互いに平行に配置された一対の短辺部521、522と、短辺部521、522の端部同士を繋ぐ一対の長辺部523、524と、を有しており、側板52の側面525、526は、平面視において長方形形状を有している。
【0051】
完成品の収容棚5では、短辺部521と、長辺部523に、断面コ字形状のカバー板54が取り付けられており、このカバー板54により、段ボール素材6の内部構造の断面が露出しないようにされている。
また、側板52の短辺部522側の角部には、収容棚5の設置安定性を確保するためのステンレス製の保護部材55が取り付けられている。
【0052】
実施の形態では、側板52の側面525では、前記した棚板53の短辺部532が連結される位置に、連結部材2の第2挿入部22が挿入されるスリット527と、有頭ネジ3が貫通する貫通孔528とが開口している。
貫通孔528は、側板52を厚み方向に貫通して設けられており(
図3参照)、棚板53との連結部毎に2つずつ設けられている。
実施の形態にかかる側板52では、合計8個の貫通孔528が設けられている。
【0053】
棚板53との連結部の各々では、貫通孔528、528が、短辺部531、532の長手方向に間隔W5をあけて設けられており、貫通孔528、528の短辺部532側の下方には、スリット527、527が設けられている。
これらスリット537の平面視における開口形状は、前記した連結部材2の第2挿入部22が挿入可能な矩形形状となっている。
実施の形態では、スリット527は、当該スリット527に挿入された連結部材2の第2挿入部22が中央芯材63と干渉しない位置で開口するように、側板51、52の側面15、525における棚板53が連結される位置が設定されている。
【0054】
図10の(b)に示すように、側面525側から見たスリット527の幅Wの範囲内に貫通孔528が位置するように、側面526におけるスリット527の位置が設定されている。
そして、スリット527に、棚板53に取り付けられた連結部材2の第2挿入部22が挿入されると、棚板53の短辺部532で開口する挿入孔538と、側板52の貫通孔528とが、同軸上に配置されるようになっている(
図3参照)。
【0055】
そのため、有頭ネジ3の軸部31を、側板52の側面526側から貫通孔528に挿入して反対側の側面525から突出させると、側面525から突出する軸部31の先端31a側が棚板53の挿入孔538に挿入されるようになっている。
【0056】
実施の形態では、棚板53の挿入孔538に挿入した軸部31の先端側を、棚板53の内部で、連結部材2の第1挿入部21に螺入して連結するようになっており、有頭ネジ3と連結部材2との連結により、棚板53と側板52とが互いの相対移動が規制された状態で連結されるようになっている。
【0057】
ここで、側板52の側面526と、有頭ネジ3の頭部32との間に、頭部32よりも外径が大きい円板状のワッシャ4が介在している(
図3参照)。
そのため、有頭ネジ3の締結圧が、ワッシャ4の広い面積の分だけ分散して、側板52に作用して、有頭ネジ3の頭部32の側板52内への没入を阻止できるようになっている。
【0058】
また、有頭ネジ3と連結部材2とを連結した状態で、有頭ネジ3の頭部32が、着座部401の内側に完全に収容されて、頭部32の端面32aが、フランジ部402の外側面402aよりも外方に突出しないようになっている(
図3の(b)参照)。
側面526から有頭ネジ3の頭部32が突出していると、頭部32の突出した部分が、他の素材などの引っ掛かりとなる可能性があるが、頭部32が突出していないことで、かかる事態の発生を好適に防止できる。
【0059】
以上の通り、実施の形態では、
(1)側板51、52(第1の段ボールシート)の互いに対向する側面515、525(一方の側面)に、棚板53(第2の段ボールシート)の一端側の短辺部531(端縁)と他端側の短辺部532(端縁)を当接させた状態で、側板51、52と棚板53とを接合した段ボールシートの接合構造1であって、
棚板53に挿入される第1挿入部21と、側板51、52の側面515、525から側板51、52に挿入される第2挿入部22と、を有すると共に、棚板53の厚み方向の一方の側面535に取り付けられる連結部材2と、
側板51、52の他方の側面516、526から一方の側面515、525まで貫通した先端31a側を、棚板53内で、第1挿入部21に螺入させた有頭ネジ3と、を有する構成とした。
【0060】
このように構成すると、有頭ネジ3の先端31a側が第1挿入部21に螺入されて、有頭ネジ3と連結部材2との位置関係が固定されると、側板51、52(第1の段ボールシート)と棚板53(第2の段ボールシート)は、側板51、52の厚み方向(
図3の(a)では左右方向)と、この厚み方向に直交する方向(
図3の(a)では上下方向)での相対移動が規制されると共に、棚板53の短辺部531、532が全面に亘って、側板51、52の一方の側面515、525にそれぞれ圧接する。
これにより、側板51、52と棚板53は、互いの相対移動が規制された状態で強固に接合されるので、側板51、52と棚板53を接合する際の接合強度を高めることができる。
【0061】
(2)側板51、52および棚板53は、波状に加工した紙製の芯材61を、板状を成す紙製のライナ62の間に挟んで形成した外壁部材60、60の間に、波状に加工した紙製の中央芯材63を挟んだ基本構成を有する段ボール素材6から形成されており、
第1挿入部21と第2挿入部22は、外壁部材60、60の間の中央芯材63が位置する領域内で、中央芯材63との干渉を避けて位置している構成とした。
【0062】
側板51、52や棚板53に挿入された第1挿入部21や第2挿入部22が、中央芯材63に干渉していると、中央芯材63の機能が損なわれる可能性があるが、上記のように構成することで、かかる事態の発生を好適に防止できる。
【0063】
(3)連結部材2は、帯状の金属片20から形成されており、
帯状の金属片20を長手方向の途中位置で折り返して重ね合わせた部位が、第1挿入部21であり、
帯状の金属片20の長手方向の一端20a側の部位であって、重ね合わせた部位(第1挿入部21)から外れた部位が、第2挿入部22である構成とした。
【0064】
このように構成すると、金属片20が重ね合わせられた剛性強度の高い部位が、有頭ネジ3が螺入する第1挿入部210となるので、有頭ネジ3を第1挿入部210に螺入する際の変形を好適に防止できる。
また、第1挿入部21と第2挿入部22とが、一枚の金属片20を折り曲げて形成されるので、連結部材2における第1挿入部21と第2挿入部22の位置精度を確保することができる。これにより、側板51、52と棚板53を、位置精度良く連結することができ、連結された側板51、52と棚板53とのガタツキを適切に抑制できる。
【0065】
(4)棚板53の下側の側面535には、第1挿入部21が挿入されるスリット537が開口しており、帯状の金属片20の長手方向の他端20b側の部位であって、重ね合わせた部位(第1挿入部21)から外れた部位である係止部23が、第1挿入部21とスリット537との間の隙間を覆う構成とした。
【0066】
このように構成すると、
図4の(a)に示すように、棚板53の下側の側面535に開口するスリット537を、係止部23で隠すことができるので、棚板53と側板51、52との連結部周りの見栄えが悪くなることを好適に防止できる。
また、係止部23が、第1挿入部21の傾きを防止するためのリブとして機能するので、第1挿入部21に有頭ネジ3を螺入した際の締結力によって、第1挿入部21が予定された位置から外れて傾くことを好適に防止できる。
【0067】
(5)第1挿入部21では、金属片20の重ね合わせ方向に貫通して、有頭ネジ3が螺入するネジ孔210が形成されている構成とした。
【0068】
このように構成すると、重ねられた金属片20が強固に連結された領域に、有頭ネジ3が螺入されるので、連結部材2と有頭ネジ3を用いて互いに連結された側板51、52と棚板53の接合強度を高めることができ、連結された側板51、52と棚板53とのガタツキを適切に抑制できる。
【0069】
(6)棚板53においてネジ孔210は、中央芯材63と外壁部材60、60とで囲まれた空間S内に位置している構成とした。
【0070】
このように構成すると、波状に加工した中央芯材63の形状を大きく損なうことなく、第1挿入部21のネジ孔210に、有頭ネジ3を速やかに連結できる。
この場合において、中央芯材63と有頭ネジ3の軸部31との干渉により、中央芯材63の機能が損なわれることを防止するために、中央芯材63の挿入孔538が、有頭ネジ3の軸部31の外径D31よりも僅かに大きい外径であることが好ましい。
【0071】
(7)有頭ネジ3の頭部32と、側板51、52の他方の側面516、526との間には、頭部32よりも外径の大きいワッシャ4が介在しており、有頭ネジ3の締結圧が、ワッシャ4を介して側板51、52に作用している構成とした。
【0072】
このように構成すると、有頭ネジ3の締結圧が、ワッシャ4の広い面積の分だけ分散して、側板52に作用して、有頭ネジ3の頭部32の側板52内への没入を阻止できる。
また、有頭ネジ3の締結力を、ワッシャ4が介在していない場合よりも高くすることができるので、締結力が高くなった分だけ、側板51(第1の段ボールシート)と棚板53(第2の段ボールシート)とを、互いの相対移動を規制しつつ、より強固に接合できる。
【0073】
(8)互いに間隔を空けて互いに平行に配置された一対の側板51、52と、
一対の側板51、52の間で、一対の側板51、52に直交する向きで間隔をあけて配置された複数の棚板53と、から構成された収容棚5であって、
棚板53の各々は、当該棚板53の一端側の短辺部531と他端側の短辺部532を、それぞれ側板51、52の側面515、525に、全長に亘って接触させて設けられており、
棚板53の短辺部531、532と、側板51、52との接合に、上記した接合構造1を採用した構成とした。
【0074】
このように構成すると、側板51、52と棚板53とが、互いの相対移動が規制された状態で強固に接合されるので、剛性強度の高い収容棚5を得ることができる。
【0075】
(9)第2挿入部22の先端22a側は、金属片20の幅方向の中間を通る仮想線Lx上に中心C1、C2を位置させた略円弧形状の外周を有している構成とした。
【0076】
このように構成すると、第2挿入部22のスリット527への挿入が容易になる。
【0077】
(10)係止部23の先端23a側は円弧形状の20b1を有している構成とした。
【0078】
係止部23は、棚板53の下側の側面で露出する部位であり、係止部23が矩形形状で形成されている場合よりも、円弧状形状に形成されているほうが、収容棚5の意匠性を大きく損なうことがない。
また、有頭ネジ3と第1挿入部21との締結より作用する応力や、棚板53の載置物から棚板53に作用する荷重によって、係止部23の先端23a側の棚板53に押しつける方向の応力が作用した場合には、矩形形状の係止部の場合には、角部が棚板53に食い込む可能性があるが、円弧形状の係止部23とすることで、かかる事態の発生を好適に防止できる。
【0079】
(11)棚板53においてスリット537は、収容棚5の設置方向における下側の側面535に開口している構成とした。
【0080】
このようにすると、棚板53の下側の側面535を、側板51、52に第2挿入部22を挿入した連結部材2が支持することになるので、棚板53の支持が強固になる。
【0081】
実施の形態では、段ボールシートの接合構造1の場合を例に挙げて説明をしたが、接合構造1は、合板や木質系の板状素材の接合構造や、金属系の板状素材の接合構造にも適用可能である。
さらに、実施の形態では、連結部材2がステンレス製である場合を例示したが、連結部材2は、他の金属素材、合金などで形成したものであっても良い。