特許第6366756号(P6366756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6366756
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/42 20060101AFI20180723BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20180723BHJP
   B66C 13/12 20060101ALI20180723BHJP
   B60K 5/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B66C23/42 Z
   B66C13/00 Z
   B66C13/12 A
   B60K5/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-19258(P2017-19258)
(22)【出願日】2017年2月6日
【審査請求日】2017年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100142941
【弁理士】
【氏名又は名称】京和 尚
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓登
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−062482(JP,A)
【文献】 特開2009−292610(JP,A)
【文献】 特開2001−207820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00−23/94
B66C 13/00−15/06
B66F 9/00−11/04
E02F 9/00
B60K 1/00− 6/12
B60K 7/00− 8/00
F01M 11/00−13/06
B01D 23/00−35/04
B01D 35/08−37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両フレームと、
前記車両フレームに配置されたリヤアウトリガと、
前記車両フレームの後部切欠き部の内部に搭載されたエンジンと、を備えた作業車であって、
前記リヤアウトリガ後方、かつ前記車両フレーム下方となる空間に前記エンジンよりも低い位置となるよう配置されたエンジンオイルフィルターと、
前記エンジンと前記エンジンオイルフィルターとを連絡するエンジンオイルホースと、を備え、
前記エンジンオイルホースは、前記車両フレームの後部切欠き部の内部であって前記リヤアウトリガの上部となる空間を経由して配管され、前記エンジンと前記エンジンオイルフィルターとの間でエンジンオイルを循環するようにしたことを特徴とする作業車。
【請求項2】
前記車両フレーム下面に取り付けられたサポートを備え、
前記エンジンオイルフィルターは、前記サポートに着脱自在であることを特徴とする、請求項1に記載された作業車。
【請求項3】
前記車両フレーム下面に対し着脱自在なカバーを備え、
前記エンジンオイルフィルターは、装着された前記カバーに覆われることを特徴とする、請求項1又は2に記載された作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両部にアウトリガを備え、車両フレーム後部にエンジンを搭載した作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
車両フレームにフロントアウトリガとリヤアウトリガが配置されると共に、車両フレーム後部にエンジンが搭載された作業車としてラフテレーンクレーン等が知られている。
この種の作業車の車両部は、リヤアウトリガの上部にエンジンが搭載されるレイアウトとなる場合が多い(特許文献1、図1)。
【0003】
作業車のエンジンは、エンジン内部のエンジンオイルが発生したカーボンやゴミなどの不純物で汚れてくるため、エンジンに付属するエンジンオイルフィルターによってそれらの不純物を取り除くようになっている。
通常、オイルフィルターはエンジンのシリンダブロック下方に取り付けられている。エンジンのオイルパンに貯められたエンジンオイルは、エンジンにより駆動されるエンジンオイルポンプにより吸い上げられ、エンジンオイルポンプから吐出されたエンジンオイルはシリンダブロック内のエンジンオイル通路を経てエンジンオイルフィルターに送られ濾過される。濾過されたエンジンオイルはエンジン各部を循環し、エンジンの摺動部を潤滑する。
【0004】
エンジンの稼働を長時間継続しているとエンジンオイルが不純物により劣化するとともに、エンジンオイルフィルター内のフィルタエレメントに不純物が溜まってくる。そのため、定期的にエンジンオイルの点検・交換及びエンジンオイルフィルターの点検・交換作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000―62482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、この種の作業車は特許文献1の図1に記載されているように、アウトリガの真上にエンジンがレイアウトされており、エンジンオイルフィルターもアウトリガ外箱の上方に位置するようになる。そのため、アウトリガのスライド外箱がじゃまになってエンジンオイルフィルターの点検・交換作業がやり難いものとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、エンジンオイルフィルターの機能を損なうことなく、エンジンのシリンダブロックから作業車の適所にエンジンオイルフィルターを移設することにより、エンジンオイルフィルターの点検・交換作業性に優れた作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の作業車は、車両フレームと、前記車両フレームに配置されたリヤアウトリガと、前記車両フレームの後部切欠き部の内部に搭載されたエンジンと、を備えた作業車であって、前記リヤアウトリガ後方、かつ前記車両フレーム下方となる空間に前記エンジンよりも低い位置となるよう配置されたエンジンオイルフィルターと、前記エンジンと前記エンジンオイルフィルターとを連絡するエンジンオイルホースと、を備え、前記エンジンオイルホースは、前記車両フレームの後部切欠き部の内部であって前記リヤアウトリガの上部となる空間を経由して配管され、前記エンジンと前記エンジンオイルフィルターとの間でエンジンオイルを循環するようにしたことを特徴とする。
【0009】
第1の発明の作業車は、アクセス性の良い場所である、作業車のリヤアウトリガ後方であって、車両フレーム下方の空間に前記エンジンよりも低い位置となるようエンジンオイルフィルターを配置したので、エンジンオイルフィルターの点検・交換の作業性が向上する。
また、前記エンジンオイルホースは、前記車両フレームの後部切欠き部の内部であって前記リヤアウトリガの上部となる空間を経由して配管されるので、クランプによって車両フレームの切欠き部の内側の壁面に固定され、スライド外箱によって走行中の飛び石等からガードされる。
さらに、エンジンのシリンダブロックのエンジンオイルホース接続口とエンジンオイルフィルターとを結ぶ、ほぼ同じ高さでエンジンオイルホースが配管され送油されるエンジンオイルに大きな圧損が発生しないので、エンジンオイルフィルターの良好な不純物捕捉機能を発揮できる。
【0010】
第2の発明の作業車は、車両フレーム下面に取り付けられたサポートを備え、エンジンオイルフィルターは、そのサポートに着脱自在であることを特徴とする。
第2の発明の作業車では、車両フレーム下面に取り付けられたサポートにエンジンオイルフィルターが着脱自在とされるので、アウトリガ張出・格納によりスライド外箱が変位するX型アウトリガに対しても、リヤアウトリガ後方であって車両フレーム下方の空間にエンジンオイルフィルターを配置できる。
また、車両フレーム下面に取り付けられたサポートに対しエンジンオイルフィルターが着脱自在なので、エンジンオイルフィルターの交換作業を容易に行うことができる。
【0011】
第3の発明の作業車は、車両フレーム下面に対し着脱自在なカバーを備え、エンジンオイルフィルターは、装着されたカバーにより覆われることを特徴とする。
第3の発明の作業車では、エンジンオイルフィルターがカバーにより覆われるので、走行中の飛び石等により損傷、あるいは飛散する泥などによる汚れを防止できる。
また、車両フレーム下面からカバーを取り外すせば、必要なときにエンジンオイルフィルターの点検・交換を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の作業車は、エンジンオイルフィルターの機能を損なうことなく、エンジンのシリンダブロックから作業車の適所にエンジンオイルフィルターを移設することができる。また、エンジンオイルフィルターの点検・交換作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るエンジンオイルフィルター配置がされたラフテレーンクレーンである。
図2】車両フレームの後部のエンジンとエンジンオイルフィルターを側方から見た図である。
図3図2のA矢視図である。
図4図2のB矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係るエンジンオイルフィルター配置がされたラフテレーンクレーン1である。ラフテレーンクレーン1は走行姿勢となっている。
ラフテレーンクレーン1は、車両フレーム2と、車両フレーム2の前方に配置されたフロントアウトリガ3と、車両フレーム2の後方に配置されたリヤアウトリガ4とを備えている。車両フレーム2後部にはエンジン5(図示しない)が搭載されており、エンジン5はエンジンカバー6により覆われている。
【0016】
図1に示すラフテレーンクレーン1は、前輪7と後輪8を有する2軸車である。また、車両フレーム2の上部には旋回ベアリング10を介して旋回フレーム11が旋回自在に搭載されている。旋回フレーム11には、伸縮ブーム12が伸縮・起伏自在となるよう搭載されている。13は、ラフテレーンクレーン1の走行とクレーン操作を行う運転室である。運転室13は、伸縮ブーム12の反対側となる旋回フレーム11上に搭載されている。
【0017】
図2は、ラフテレーンクレーン1の車両フレーム2の後部のエンジン5とエンジンオイルフィルター20を側方から見た図である。
エンジン5は、車両フレーム2後部に搭載されている。21はリヤアウトリガ4のスライド外箱であって、スライド外箱21にはスライド内箱(図示しない)がスライド自在に嵌装される。
【0018】
リヤアウトリガ4のスライド外箱21の後方であって、車両フレーム2の下方となる空間にエンジンオイルフィルター20が配置されている。
エンジンオイルフィルター20は、車両フレーム下面22に取り付けられたサポート23に着脱自在となっている。
24は、エンジン5のエンジンオイル吐出口25とエンジンオイルフィルター20のエンジンオイル吸入口26とを連絡するエンジンオイルホースである。
また、30は、エンジンオイルフィルター20のエンジンオイル吐出口31とエンジン5のエンジンオイル吸入口25を連絡するエンジンオイルホースである。
【0019】
図3図2のA矢視図であって、エンジン5とエンジンオイルフィルター20を上方から見た図である。図3に示されているように、エンジンオイルフィルター20は、車両フレーム2の左右方向の中心よりもやや右側に配置されている。エンジンオイルホース24、30は、エンジン5の左側にある吐出口25、吸入口32と連絡されている。
また、図3に示されるように、エンジン5、エンジンオイルフィルター20及びエンジンオイルホース25、30は、全てが車両フレーム2の後部切欠き部33内部に納められている。
【0020】
図2図3に示されるように、エンジンオイルホース24と30は、結束バンド34によって互いに束ねられている。また、エンジンオイルホース24と30は、クランプ35によって、車両フレーム2の切欠き部33の内側の壁面に固定されている。
図2に示すように、エンジンオイルホース24、30は、リヤアウトリガ4のスライド外箱21の上部を経由して配管され、エンジン5とエンジンオイルフィルター20との間でエンジンオイルを循環するようになっている。
【0021】
そのため、エンジンオイルホース24、30がスライド外箱21によって走行中の飛び石等からガードされる。また、エンジン5のシリンダブロックのエンジンオイルホース接続口25,32とエンジンオイルフィルター20とを結びほぼ同じ高さでエンジンオイルホース23,30が配管されるので送油されるエンジンオイルに大きな圧損が発生せず、エンジンオイルフィルター20の機能が十分に発揮できる。
【0022】
図2に示す40は、車両フレーム下面22に対し着脱自在なカバーである。エンジンオイルフィルター20は、カバー40によって覆われている。
図4図2のB矢視図であって、車両フレーム下面22に取り付けられたエンジンオイルフィルター20とカバー40の詳細を示している。
【0023】
図4に示すように、サポート23は車両フレーム下面22に溶接付けされたプレート41にボルト42により取付けられている。そして、エンジンオイルフィルター20は、サポート23に対しボルト43によって取り付けられている。
また、カバー40は図示しないボルトによって、車両フレーム下面22に取り付けられている。
【0024】
そのため、車両フレーム下面22に取り付けられたサポート23にエンジンオイルフィルター20が着脱自在とされるので、H型アウトリガだけでなく、アウトリガ張出・格納によりスライド外箱が変位するX型アウトリガに対しても、エンジンオイルフィルター20を配置できる。またその際のエンジンオイルフィルター20の交換作業を容易に行うことができる。
【0025】
図2又は図3に示すように、エンジンオイルフィルター20が、リヤアウトリガ4の後方、かつ車両フレーム下方となる空間に配置され、周りに障害物が無いため容易にエンジンオイルフィルター20にアクセスすることができる。
そして、カバー20を車両フレーム下面22から取り外すことでエンジンオイルフィルター20を点検することができる。
また、図4に示すボルト43を回すことで、容易にエンジンオイルフィルターをサポート22から取り外すことができる。
【0026】
なお、本発明の実施の形態を、図1に示したラフテレーンクレーン20に適用した例に基づき説明したが、本発明はエンジンとアウトリガについて同様のレイアウトを採用する他の作業車にも適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
2:車両フレーム
3:フロントアウトリガ
4:リヤアウトリガ
5:エンジン
20:エンジンオイルフィルター
21:スライド外箱
23:サポート
24:エンジンオイルホース
25:エンジンオイルホース
40:カバー
【要約】
【課題】 リヤアウトリガの真上にエンジンがレイアウトされ、エンジンオイルフィルターがアウトリガ外箱の上方に位置する作業車では、アウトリガのスライド外箱がじゃまになってエンジンオイルフィルターの点検・交換作業がやり難いものとなっていた。
【解決手段】 リヤアウトリガ4後方、かつ車両フレーム2下方となる空間にエンジンオイルフィルター20を移設し、エンジン5とエンジンオイルフィルター20とをエンジンオイルホース24、30により連絡し、エンジン5とエンジンオイルフィルター20との間でエンジンオイルを循環するようにした。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4