(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象物に作用する荷重を受けるための一対の面を有する起歪体部と、該起歪体部の前記一対の面のいずれかに対してX軸方向力成分を検出するために取り付けられたX軸用歪ゲージと、前記起歪体部の前記一対の面のいずれかに対してY軸方向力成分を検出するために取り付けられたY軸用歪ゲージと、前記起歪体部の前記一対の面のいずれかに対してZ軸方向力成分を検出するために取り付けられたZ軸用歪ゲージとを備える3軸力センサと、
前記荷重が前記対象物に作用する位置を検出するための曲げセンサと、
前記曲げセンサ及び前記3軸力センサに電気的に接続された信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、前記曲げセンサ及び前記3軸力センサの検出信号に基づいて、前記荷重のX軸方向力成分、前記荷重のY軸方向力成分、及び前記荷重のZ軸方向力成分を算出する、ことを特徴とする3軸力検出装置。
前記信号処理部は、前記曲げセンサの検出信号に基づいて、前記対象物を支持する部材が支持される部位と前記対象物との間のZ軸方向における距離を算出することを特徴とする請求項1記載の3軸力検出装置。
前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージは、前記起歪体部の前記一対の面の一方に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の3軸力検出装置。
前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージは、夫々のグリッド長が前記起歪体部の前記一対の面の一方に現れる歪を電圧の変化として得られる向きに配置されていることを特徴とする請求項3記載の3軸力検出装置。
前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージのいずれか2つが前記起歪体部の前記一対の面の一方に取り付けられ、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージの残りの1つが前記起歪体部の前記一対の面の他方に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の3軸力検出装置。
前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージの前記いずかれ2つは、夫々のグリッド長が前記起歪体部の前記一対の面の一方に現れる歪を電圧の変化として得られる向きに配置されており、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージの前記残りの1つは、そのグリッド長が前記起歪体部の前記一対の面の他方に現れる歪を電圧の変化として得られる向きに配置されていることを特徴とする請求項5記載の3軸力検出装置。
前記起歪体部は、前記対象物に対して前記Y軸方向に離間して前記X軸及び前記Z軸を含む平面に前記一対の面が沿うように配置され、前記曲げセンサは、前記荷重が前記対象物に作用する位置から前記Z軸方向に離間して配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の3軸力検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の3軸力センサでは、1つの検出軸方向の分力の検出値に他の検出軸方向の分力が影響してしまうため、荷重を精度良く検出することが困難であった。
【0005】
このように、従来から、多様な方向から加えられる荷重を精度良く検出することができる3軸力検出装置が求められていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、荷重を従来に比べて精度良く検出することができる3軸力検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明に係る3軸力検出装置は、対象物に作用する荷重を受けるための一対の面を有する起歪体部と、該起歪体部の前記一対の面のいずれかに対してX軸方向力成分を検出するために取り付けられたX軸用歪ゲージと、前記起歪体部の前記一対の面のいずれかに対してY軸方向力成分を検出するために取り付けられたY軸用歪ゲージと、前記起歪体部の前記一対の面のいずれかに対してZ軸方向力成分を検出するために取り付けられたZ軸用歪ゲージとを備える3軸力センサと、前記荷重が前記対象物に作用する位置を検出するための曲げセンサと、前記曲げセンサ及び前記3軸力センサに電気的に接続された信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、前記曲げセンサ及び前記3軸力センサの検出信号に基づいて、前記荷重のX軸方向力成分、前記荷重のY軸方向力成分、及び前記荷重のZ軸方向力成分を算出する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る3軸力検出装置において、前記信号処理部は、前記曲げセンサの検出信号に基づいて、前記対象物を支持する部材が支持される部位と前記対象物との間のZ軸方向における距離を算出する。
【0009】
本発明の一態様に係る3軸力検出装置において、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージは、前記起歪体部の前記一対の面の一方に取り付けられている。
【0010】
本発明の一態様に係る3軸力検出装置において、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージは、夫々のグリッド長が前記起歪体部の前記一対の面の一方に現れる歪を電圧の変化として得られる向きに配置されている。
【0011】
本発明の一態様に係る3軸力検出装置において、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージのいずれか2つが前記起歪体部の前記一対の面の一方に取り付けられ、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージの残りの1つが前記起歪体部の前記一対の面の他方に取り付けられている。
【0012】
本発明の一態様に係る3軸力検出装置において、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージの前記いずれか2つは、夫々のグリッド長が前記起歪体部の前記一対の面の一方に現れる歪を電圧の変化として得られる向きに配置されており、前記X軸用歪ゲージ、前記Y軸用歪ゲージ、及び前記Z軸用歪ゲージの前記残りの1つは、そのグリッド長が前記起歪体部の前記一対の面の他方に現れる歪を電圧の変化として得られる向きに配置されている。
【0013】
本発明の一態様に係る3軸力検出装置において、前記曲げセンサは前記X軸周りのモーメントを検出するためのセンサである。
【0014】
本発明の一態様に係る3軸力検出装置において、前記起歪体部は、前記対象物に対して前記Y軸方向に離間して前記X軸及び前記Z軸を含む平面に前記一対の面が沿うように配置され、前記曲げセンサは、前記荷重が前記対象物に作用する位置から前記Z軸方向に離間して配置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る3軸力検出装置よれば、荷重を従来に比べて精度良く検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る3軸力検出装置1の構成を概略的に示すための図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る3軸力検出装置1は、3軸力センサ2と、曲げセンサ3と、信号処理部4とを備えている。3軸力センサ2は、対象物Wに作用する荷重Fを受けるための起歪体部21と、起歪体部21にX軸方向力成分を検出するために取り付けられたX軸用歪ゲージ24と、起歪体部21にY軸方向力成分を検出するために取り付けられたY軸用歪ゲージ25と、起歪体部21にZ軸方向力成分を検出するために取り付けられたZ軸用歪ゲージ26とを備えている。3軸力センサ2は、荷重FのX軸方向力成分(力成分Fx)に応じた検出値DFx、荷重FのY軸方向力成分(力成分Fy)に応じた検出値DFy、及び荷重FのZ軸方向力成分(力成分Fz)に応じた検出値DFzを出力するセンサであり、曲げセンサ3は、荷重Fが対象物Wに作用する位置を検出するためのセンサである。
【0019】
起歪体部21は、後述するように一対の面を有しており、X軸用歪ゲージ24は起歪体部21の一対の面のいずれかに対して取り付けられており、Y軸用歪ゲージ25は起歪体部21の一対の面のいずれかに対して取り付けられており、Z軸用歪ゲージ26は起歪体部21の一対の面のいずれかに対して取り付けられている。
【0020】
図2は、3軸力検出装置1における3軸力センサ2の構成を示す平面図である。3軸力センサ2において、X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26は、起歪体部21の一対の面の一方(表面22)に取り付けられている。X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26は、夫々のグリッド長が起歪体部21の一対の面の一方(表面22)に現れる歪を電圧の変化として得られる向きに配置されている。
【0021】
起歪体部21は、具体的には、
図2に示すように、全体H字状を有する板状のダイアフラムからなる部材であり、一対の面である表面22及び裏面23を有している。起歪体部21において、表面22及び裏面23は互いに背向する平面又は略平面状の面である。X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26は、起歪体部21の一対の面の一方である表面22のほぼ中央に集中して配置されている。
【0022】
起歪体部21は、その四隅に他部材に取り付けるための貫通孔である取付用孔21a〜21dが設けられている。これら取付用孔21a〜21dは、他部材に形成された取付用の孔と対応した位置に配置されている。起歪体部21の材料には、アルミ合金、合金工具鋼、ステンレス鋼、セラミック、樹脂、プラスチック等が用いられ、対象物Wが受けた荷重の方向及び強さに応じて撓む。
【0023】
X軸用歪ゲージ24は、対象物Wに作用する荷重FのX軸方向の力成分Fxを検出するためのセンサであり、例えば4つの歪ゲージ24a〜24dを有している。また、Y軸用歪ゲージ25は、対象物Wに作用する荷重FのY軸方向の力成分Fyを検出するためのセンサであり、例えば4つの歪ゲージ25a〜25dを有している。また、Z軸用歪ゲージ26は、対象物Wに作用する荷重FのZ軸方向の力成分Fzを検出するためのセンサであり、例えば4つの歪ゲージ26a〜26dを有している。歪ゲージ24a〜24d,25a〜25d,26a〜26dは、起歪体部21の表面22に貼り付けられて取り付けられている。
【0024】
X軸用歪ゲージ24の歪ゲージ24a〜24dは、対象物WにX軸方向の荷重が付与された場合に、使用状態において起歪体部21が取り付けられる他の部材を介して伝えられる力によって、起歪体部21の表面22が最も大きく歪む部分に配置されている。また、X軸用歪ゲージ24の歪ゲージ24a〜24dは、起歪体部21の表面22に現れる歪を最も効率良く電圧の変化として得られるように、歪ゲージ24a〜24dにおける配線パターンのグリッド長(ゲージ長)の向きを各々所定の向きに合わせた状態で配置されている。例えば、
図2に示すように、歪ゲージ24a,24dは各グリッド長が同じ向きに向くように配置され、歪ゲージ24b,24cは各グリッド長が同じ向きに向くように配置され、また、歪ゲージ24a,24dは各グリッド長の向きが歪ゲージ24b,24cの各グリッド長の向きと互いに直交するように配置されている。
【0025】
Y軸用歪ゲージ25の歪ゲージ25a〜25dは、対象物WにY軸方向の荷重が付与された場合に、他の部材を介して起歪体部21に伝えられる力によって、起歪体部21の表面22が最も大きく歪む部分に配置されている。具体的には、Y軸用歪ゲージ25の歪ゲージ25a〜25dは、X軸用歪ゲージ24を中心として左右(
図2上)に分けられ、歪ゲージ25a,25bが
図2中左側、また、歪ゲージ25c,25dが
図2中右側に配置されている。また、Y軸用歪ゲージ25の歪ゲージ25a〜25dは、起歪体部21の表面22に現れる歪を最も効率良く電圧の変化として得られるように、歪ゲージ25a〜25dにおける配線パターンのグリッド長の向きを各々所定の向きに合わせた状態で配置されている。例えば、
図2に示すように、歪ゲージ25a〜25dは各グリッド長が全て同じ向きに向くように配置され、また、歪ゲージ25a〜25dは、X軸用歪ゲージ24の歪ゲージ24a〜24dのグリッド長の向きに対して45度又は約45度の角度差を持った向きに各グリッド長が向くように配置されている。
【0026】
Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dは、対象物WにZ軸方向の荷重が付与された場合に、他の部材を介して起歪体部21に伝えられる力によって、起歪体部21の表面22が最も大きく歪む部分に配置されている。具体的には、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dは、X軸用歪ゲージ24と、Y軸用歪ゲージ25の歪ゲージ25a,25bとの間に配置されている。つまり、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dは、
図2において、X軸用歪ゲージ24の左側に隣接して配置されている。また、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dは、起歪体部21の表面22に現れる歪を最も効率良く電圧の変化として得られるように、歪ゲージ26a〜26dにおける配線パターンのグリッド長の向きを各々所定の向きに合わせた状態で配置されている。例えば、
図2に示すように、歪ゲージ26a,26cは各グリッド長が互いに同じ向きに向くように配置され、歪ゲージ26b,26dは各グリッド長が互いに同じ向きに向くように配置される。また、歪ゲージ26b,26dは、各グリッド長が、歪ゲージ26a,26cのグリッド長の向きとは直交する向きに向くように配置されている。
【0027】
これらのX軸用歪ゲージ24の歪ゲージ24a〜24d、Y軸用歪ゲージ25の歪ゲージ25a〜25d、及びZ軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dは、夫々センサ出力取り出し用のボンディングパッド27に電気的に接続されている。3軸力検出装置1において、ボンディングパッド27は、信号処理部4に電気的に接続されており、X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26の検出値が信号処理部4に送信可能になっている。
【0028】
3軸力検出装置1が対象物Wに作用する荷重Fを検出するために用いられている状態である使用状態において、3軸力センサ2は、起歪体部21が対象物Wに対してY軸方向に離間してX軸及びZ軸を含む平面に一対の面である表面22及び裏面23が沿うように配設される。また、使用状態において、起歪体部21の表面22が対象物W側に面するように、また、
図2において左側から右側にZ軸が向かうように、3軸力センサ2は配設される。
【0029】
従って、3軸力検出装置1の使用状態において、X軸用歪ゲージ24の歪ゲージ24a,24dの各グリッド長は、Z軸から135度又は略135度傾いて延びており、X軸用歪ゲージ24の歪ゲージ24b,24cの各グリッド長は、Z軸から45度又は略45度傾いて延びている。また、Y軸用歪ゲージ25の歪ゲージ25a〜25dの各グリッド長はZ軸と平行に又は略平行に延びている。また、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a,26cの各グリッド長は、Z軸と平行に又は略平行に延びており、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26b,26dの各グリッド長は、X軸と平行に又は略平行に延びている。
【0030】
図3は、曲げセンサ3の構成を概略的に示すための概略図である。曲げセンサ3は、対象物Wに作用する荷重FのY軸方向力成分である分力Fyによって発生するX軸周りの曲げモーメントM(Fy)を検出するためのセンサであり、より具体的には、3軸力検出装置1が使用される部材や装置において、対象物Wを支持する部材(
図3において部材35)が支持される部位(
図3において部位36)におけるモーメントM(Fy)を検出するためのセンサである。曲げセンサ3の検出するモーメントM(Fy)により、部位36と対象物Wとの間のZ軸方向における距離である距離Lを算出することができる。
【0031】
曲げセンサ3は、モーメントM(Fy)を検出することができる構成であればよく、モーメントM(Fy)を検出することができるあらゆる公知の曲げセンサを含む。曲げセンサ3は、例えば
図3に示すように、4つの歪ゲージ31〜34を有しており、歪ゲージ31〜34は、Y軸及びX軸を含む平面に平行な平面(略平面)であって、部位36を含む平面上において、Y軸方向に並んで配置される。また、歪ゲージ31,32は、Y軸方向において対象物Wに対して一方の側(
図3において上側)に、歪ゲージ33,34は、Y軸方向において対象物Wに対して他方の側(
図3において下側)に配置される。
【0032】
信号処理部4は、曲げセンサ3の検出値であるモーメントM(Fy)値に基づいて、3軸力センサ2の出力する荷重Fの力成分Fxに応じた検出値DFx、荷重Fの力成分Fyに応じた検出値DFy、及び荷重Fの力成分Fzに応じた検出値DFzを補正する。信号処理部4の実行する補正処理は、具体的には、1つの軸方向の力成分に対応する検出値に対する他の軸方向の力成分の干渉の低減又は除去を図る処理であり、予め用意された補正データPを用いて、曲げセンサ3及び3軸力センサの検出値であるモーメントM(Fy)及び検出値DFx,DFy,DFzに対して計算処理を行うことにより検出値DFx,DFy,DFzを補正する。上述の予め用意された補正データPは、例えば、行列データやマップデータである。例えば、信号処理部4は、補正データPとして行列データを有している。この補正データPは、4×4の行列データであり、行列データの各値は予め求められた値である。補正処理は、この行列データと検出値M(Fy),DFx,DFy,DFzとを積算する処理であり、行列データと検出値M(Fy),DFx,DFy,DFzとの積により補正された荷重Fの力成分Fx,Fy,Fzの検出値が算出される。このような、信号処理部4における補正処理により、他の力成分の干渉が低減された荷重Fの各力成分Fx,Fy,Fzの値を精度良く検出することができる。
【0033】
このように、本発明の実施の形態に係る3軸力検出装置によれば、荷重Wを従来に比べて精度良く検出することができる。
【0034】
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5について説明する。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5の構成を概略的に示すための図である。
図4に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る3軸力検出装置1に対して、3軸力センサの構造が異なる。以下、上述の本発明の第1の実施の形態に係る3軸力検出装置1と同一の又は類似する機能を有する構成について同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0035】
図5は、3軸力検出装置5の備える3軸力センサ6の構成を示すための図であり、
図5(A)は平面図であり、
図5(B)は背面図である。
図5(A)に示すように、3軸力センサ6においては、対象物Wに作用する荷重FのX軸方向の力成分Fxを検出するX軸用歪ゲージ24(歪ゲージ24a〜24d)と、対象物Wに作用する荷重FのY軸方向の力成分Fyを検出するY軸用歪ゲージ25(歪ゲージ25a〜25d)とは、上述の3軸力センサ2と同様に、起歪体部21の表面22に取り付けられている。そして、対象物Wに作用する荷重FのZ軸方向の力成分Fzを検出するZ軸用歪ゲージ26(26a〜26d)は、
図5(B)に示すように、起歪体部21の裏面23に取り付けられている。
【0036】
起歪体部21の表面22において、X軸用歪ゲージ24(歪ゲージ24a〜24d)は、対象物WにX軸方向の荷重が付与された場合に、使用状態において起歪体部21が取り付けられる他の部材を介して伝えられる力によって、起歪体部21の表面22が最も大きく歪む部分に配置されている。Y軸用歪ゲージ25の歪ゲージ25a〜25dは、対象物WにY軸方向の荷重が付与された場合に、他の部材を介して起歪体部21に伝えられる力によって、起歪体部21の表面22が最も大きく歪む部分に配置されている。一方、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dは、起歪体部21の裏面23において、対象物WにZ軸方向の荷重が付与された場合に、他の部材を介して起歪体部21に伝えられる力によって、起歪体部21の裏面23が最も大きく歪む部分に配置されている。
【0037】
このように3軸力センサ6においては、起歪体部21の表面22及び裏面23に、X軸用歪ゲージ24とY軸用歪ゲージ25とを、及びZ軸用歪ゲージ26を夫々振り分けて配置した。これにより、歪ゲージ24〜26の配置の自由度が高まり、歪ゲージ24,25と歪ゲージ26との配置上の重なりを気にすることなく、最も大きなセンサ出力が得られる最適な位置に歪ゲージ24〜26を夫々取り付けることができる。
【0038】
なお、X軸用歪ゲージ24の各歪ゲージ24a〜24dのグリッド長(ゲージ長)の向きは上述の3軸力センサ2のものと同じであり、また、Y軸用歪ゲージ25の各歪ゲージ25a〜25dのグリッド長の向きは上述の3軸力センサ2のものと同じである。また、X軸用歪ゲージ24(歪ゲージ24a〜24d)とY軸用歪ゲージ25(歪ゲージ25a〜25d)との間の相対位置も、上述の3軸力センサ2のものと同じである。
【0039】
また、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dのグリッド長は、本実施の形態において起歪体部21の裏面23に現れる歪を最も効率良く電圧の変化として得られるように、その向きが向けられている。具体的には、
図5(B)に示すように、Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dの内歪ゲージ26a,26cは、起歪体部21の裏面23の中央よりも一方の側(
図5(B)において左側)に配置されており、歪ゲージ26b,26dは、起歪体部21の裏面23の中央よりも他方の側(
図5(B)において右側)に配置されている。また、歪ゲージ26a〜26dのグリッド長は全て同じ向きに向いており、歪ゲージ26a〜26dは、グリッド長が使用状態においてX軸方向(
図5(B)において上下方向)に向かうように配置されている。Z軸用歪ゲージ26の歪ゲージ26a〜26dは、裏面23において、夫々センサ出力取り出し用のボンディングパッド28に電気的に接続されている。
【0040】
本発明の第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5も、上述の3軸力検出装置1と同様に作動し、信号処理部4における補正処理により、他の力成分の干渉が低減された荷重Fの各力成分Fx,Fy,Fzの値を精度良く検出することができる。また、3軸力検出装置5においては、3軸力センサ6において、X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26が上述の3軸力センサ2に比べて、より大きなセンサ出力が得られるように起歪体部21の表面22及び裏面23取り付けられているので、X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26の検出値の精度をより高めることができる。このため、本第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5は、上述の3軸力検出装置1に対して、荷重Fの各力成分Fx,Fy,Fzをより精度良く検出することができる。
【0041】
このように、本発明の第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5によれば、荷重Wを従来に比べて精度良く検出することができる。
【0042】
なお、上述の第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5においては、X軸用歪ゲージ24及びY軸用歪ゲージ25が起歪体部21の表面22に、Z軸用歪ゲージ26が起歪体部21の裏面23に取り付けられているとしたが、各軸用歪センサ24〜26の配置位置はこれに限られない。3軸力検出装置5においては、X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26のいずれか2つが、起歪体部21の一対の面の一方である表面22に取り付けられており、X軸用歪ゲージ24、Y軸用歪ゲージ25、及びZ軸用歪ゲージ26の残りの1つが、起歪体部21の一対の面の他方である裏面23に取り付けられていてもよい。
【0043】
次いで、本発明に係る3軸力検出装置の適用例について説明する。以下、本発明の第1の実施の形態に係る3軸力検出装置1の適用例について説明するが、本発明の第2の実施の形態に係る3軸力検出装置5も同様に適用することができる。また、本発明に係る3軸力検出装置の適用対象は、以下の具体例に限定されず、本発明に係る3軸力検出装置を適用可能のもの全てを含む。以下、本発明の第1の実施の形態に係る3軸力検出装置1がマッサージ機50に適用された適用例について説明する。
【0044】
図6に示すように、マッサージ機50は、腰掛け椅子式の電動マッサージ機であって、幅方向の両側に肘掛け部51a、51aを有する座部51と、座部51の後端部から上方に立設された背当部52とを備えている。背当部52は、その内部に、2個の揉み玉53を有する施療ユニット60が設けられている。
【0045】
図7に示すように施療ユニット60は、支軸62に取り付けられたフレーム板61に対し、2つの施療ユニット支持体63,63が一体に設けられ、その施療ユニット支持体63,63に対して対象物Wとしての揉み玉53が取り付けられたセンサ構造体70が固定されている。
【0046】
図8に示すように、センサ構造体70は、支持アーム71と、支持アーム71の先端の垂直部72に取り付けられた軸支持カバー75とを備えている。
【0047】
支持アーム71は、施療ユニット支持体63から離間するように段差状に延びて形成された例えば金属性の板状部材である。支持アーム71は、施療ユニット支持体63から延びた腕部66と、腕部66に対して略直交するように図中水平方向へ延びる水平部67と、腕部66及び水平部67とを約90度の角度で一体に繋ぐ湾曲部68と、水平部67に対して略直交するように水平部67の先端から垂直方向へ延びる垂直部69とを備えている。
【0048】
腕部66は、施療ユニット60の施療ユニット支持体63に固定されている。水平部67は、垂直部69と一体に取り付けられた軸支持カバー75とは離れて折り曲げられた、腕部66と垂直部69とを繋ぐ部分であり、軸支持カバー75を介して取り付けられる揉み玉53の外周面と対向する平坦面67aを有するが、揉み玉53と接触することはない。また、水平部67には貫通孔67hが形成されている。
【0049】
支持アーム71の垂直部69は、揉み玉53を保持する保持体としての軸支持カバー75が一体となって取り付けられる部分であって、
図8においては、軸支持カバー75が取り付けられることによって垂直部69が隠された状態にある。
【0050】
図9に示すように、軸支持カバー75は、カバー本体76と、カバー本体76の平坦な支持板77に一体に取り付けられた軸部54とを備えている。軸部54に対して揉み玉53が軸支された状態で保持されている。従って、軸支持カバー75は、揉み玉53に対する外部からの荷重に応じて、
図8に示したような3次元のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向へ、揉み玉53を可動自在に保持する。
【0051】
カバー本体76は、支持板77の周縁から支持板77とは垂直に立設された隔壁78を備えている。隔壁78は、支持板77の全周縁に亘って立設されているのではなく、支持アーム71の垂直部69の幅に相当する大きさの開口78hを有している。
【0052】
カバー本体76の支持板77には、支持アーム71の垂直部69に対してネジ止めによりカバー本体76を取り付けるためのネジ貫通孔76a,76b,76cが支持板77の周辺に設けられている。また支持板77には、ネジ貫通孔76a,76cから略同じ距離だけ離間した位置に貫通した取付孔76hが設けられている。
【0053】
軸部54は、揉み玉53を直接軸支すると共に揉み玉53に対する荷重を受け、軸部54は、その付け根部分が支持板77の接続部77aに接続して、支持板77から延びている。軸部54は、揉み玉53の軸孔(図示せず)の内径と同一の外径を有し、揉み玉53を軸支可能な所定の長さを有している。この軸部54に対して揉み玉53が回転可能に固定されている。
【0054】
支持板77の接続部77aは、所定の厚さを有する円盤状の部分であり、軸部54よりも外周側に広がっている。揉み玉53を介して軸部54が受けた荷重の方向及び強さに応じて撓み、ダイアフラムとして機能する。マッサージ機50は軸支持カバー75を有しておらず、軸部54が支持アーム71の垂直部69に対して直接形成されていてもよい。この場合接続部77aは垂直部69に形成される。
【0055】
上述のマッサージ機50において、曲げセンサ2は、軸支持カバー75の支持板77において接続部77aの軸部54側ではない裏面側に取り付けられており、歪ゲージ31〜34が
図9(B)に示すように、Y軸方向に並んで取り付けられている。つまり、軸部54が
図3における部材35に相当し、接続部77aに
図3の部位36が存在している。また、
図10に示すように、3軸力センサ2は、支持アーム71の水平部67に形成された矩形状の貫通孔67hを覆うように水平部67に固定されている。支持アーム71の水平部67に形成された貫通孔67hは、揉み玉53に対する荷重の影響が水平部67に歪として容易に現れるようにするために必要な孔であり、意図的に水平部67の強度を低下するために設けられている。貫通孔67hは、所定の大きさの矩形状であるが、これに限るものではなく、その大きさや形状は水平部67の強度や3軸力センサ2のセンサ出力の感度に応じて設定される。
【0056】
マッサージ機50において、対象物Wとしての揉み玉53に作用する荷重Fは、軸部54、軸支持カバー75、支持アーム71の垂直部69を伝って、水平部67に伝達される。このように伝えられた荷重Fの伝達力が水平部67に加わり、荷重Fが水平部67に固定された3軸力センサ2の起歪体部21に歪(撓み)として現れる。また、揉み玉53に作用する荷重F(力成分Fy)によってX軸周りの曲げモーメントが軸支持カバー75の接続部77aに発生する。揉み玉53に荷重Fが作用する位置と接続部77aとの間のZ軸方向における間隔が
図3に示す距離Lに相当する。
【0057】
そして、3軸力検出装置1は、上述のように作用して、曲げセンサ3がモーメントM(Fy)を検出し、3軸力センサ3が荷重Fの力成分Fx,Fy,Fzに夫々対応する検出値DFx,DFy,DFzを出力し、これらのモーメントM(Fy)及び検出値DFx,DFy,DFzに対して信号処理部4が計算処理を行うことにより検出値DFx,DFy,DFzが補正される。これにより、他の力成分の干渉が低減された荷重Fの各力成分Fx,Fy,Fzを精度良く検出することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に係る3軸力検出装置1,5に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【解決手段】3軸力検出装置1は、3軸力センサ2と、曲げセンサ3と、信号処理部とを備えている。3軸力センサ2は、対象物Wに作用する荷重Fを受けるための起歪体部21と、起歪体部21に取り付けられた、X軸方向力成分を検出するX軸用歪ゲージ24と、Y軸方向力成分を検出するY軸用歪ゲージ25と、Z軸方向力成分を検出するZ軸用歪ゲージ26とを備えている。3軸力センサ2は、荷重Fの力成分Fx,Fy,Fzに応じた検出値DFx,DFy,DFzを出力するセンサであり、曲げセンサ3は、荷重Fが対象物Wに作用する位置を検出するためのセンサである。信号処理部4は曲げセンサ3及び3軸力センサ2に電気的に接続されており、曲げセンサ3及び3軸力センサ2の検出信号に基づいて、荷重のX軸方向力成分、Y軸方向力成分、及びZ軸方向力成分を算出する。