(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6366789
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ブレーキ開放制御装置およびブレーキ開放制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/32 20060101AFI20180723BHJP
H02P 29/028 20160101ALI20180723BHJP
【FI】
B66B1/32
H02P29/028
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-131053(P2017-131053)
(22)【出願日】2017年7月4日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 勝己
【審査官】
羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−127261(JP,A)
【文献】
特開2005−030531(JP,A)
【文献】
特開2016−069099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 1/52
H02P 4/00−31/00
H02K 7/00− 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置からのブレーキ開放指令に応じて、ブレーキ開放電流指令値を生成する電流指令器と、
ブレーキ回路に流れる電流値をフィードバック値として受信し、前記電流指令器で生成された前記ブレーキ開放電流指令値と前記フィードバック値との偏差に応じて、前記ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する制御信号生成器と、
前記ブレーキ回路の開放動作中に、前記フィードバック値を監視し、前記フィードバック値があらかじめ設定された電流低下判定値以下となった場合に、ブレーキ電流が低下したことを知らせる警報信号を出力する判定器と
を含む制御器を備えたブレーキ開放制御装置であって、
前記判定器は、前記電流低下判定値と低下継続時間をパラメータとして設定可能であり、前記開放動作中の前記フィードバック値が前記電流低下判定値以下となる状態が前記低下継続時間以上にわたって続いた場合には、ブレーキ強制開放信号を出力し、
前記判定器から前記ブレーキ強制開放信号を受信した場合には、前記電流指令器で生成された前記ブレーキ開放電流指令値に対してあらかじめ設定した増加量を加算するための電流加算指令値を出力する加算器をさらに含み、
制御信号生成器は、前記加算器から前記電流加算指令値が出力された場合には、前記電流指令器で生成された前記ブレーキ開放電流指令値に前記電流加算指令値を加えた値を基準値とし、前記基準値と前記フィードバック値との偏差に応じて、前記ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する
ブレーキ開放制御装置。
【請求項2】
ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する制御部を備えたブレーキ開放制御装置において、前記制御部によって実行されるブレーキ開放制御方法であって、
上位装置からのブレーキ開放指令に応じて、ブレーキ開放電流指令値を生成する電流指令ステップと、
前記ブレーキ回路に流れる電流値をフィードバック値として受信し、前記ブレーキ開放電流指令値と前記フィードバック値との偏差に応じて、前記ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する第1制御信号生成ステップと、
前記ブレーキ回路の開放動作中に、前記フィードバック値を監視し、前記フィードバック値があらかじめ設定された電流低下判定値以下となった場合に、ブレーキ電流が低下したことを知らせる警報信号を出力する第1判定ステップと、
前記電流低下判定値と低下継続時間をパラメータとして設定可能であり、前記開放動作中の前記フィードバック値が前記電流低下判定値以下となる状態が前記低下継続時間以上にわたって続いた場合にブレーキ強制開放信号を出力する第2判定ステップと、
前記ブレーキ強制開放信号を受信した場合には、前記ブレーキ開放電流指令値に対してあらかじめ設定した増加量を加算するための電流加算指令値を出力する加算ステップと、
前記加算ステップにより前記電流加算指令値が出力された場合には、前記ブレーキ開放電流指令値に前記電流加算指令値を加えた値を基準値とし、前記基準値と前記フィードバック値との偏差に応じて、前記ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する第2制御信号生成ステップと
を有するブレーキ開放制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ開放電流の低下に対処することのできるブレーキ開放制御装置およびブレーキ開放制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メカブレーキ開閉状態を検出する機能を有していないブレーキ開放制御装置では、モータ停止時の軸固定用メカブレーキ(以下、単にブレーキと称す)を以下のように制御している。通常動作時には、モータ駆動用インバータ、ブレーキ開放指令を出力する機器などに相当する上位装置から、ブレーキ開放指令がブレーキ開放制御装置に与えられる。
【0003】
ブレーキ開放指令を受信したブレーキ開放制御装置は、強制電流をある設定時間通電することで、ブレーキを開放する。さらに、ブレーキ開放制御装置は、設定時間経過後は、強制電流から開保持電流に切り替えて、ブレーキ開放を保持し、モータ駆動を開始する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、モータ停止時もしくは装置の非常停止時には、上位装置からのブレーキ開放指令が落とされることで、ブレーキ開放制御装置にブレーキ閉信号が与えられることとなる。ブレーキ閉指令を受信したブレーキ開放制御装置は、ブレーキへの通電を遮断することで、ブレーキを閉じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−127261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
モータが駆動中であり、かつ、ブレーキ開放指令がブレーキ開放制御装置に入力されている状態で、ブレーキ開放保持電流が低下した場合を考える。この場合には、ブレーキを完全に開放した状態が維持できず、意図せずに、ブレーキが閉じてしまうこととなる。
【0007】
このようにして、意図せずにブレーキが閉じてしまい、かつ、モータ駆動トルクがブレーキ制動トルクを上回る場合には、モータが運転し続け、ブレーキを破損させるといった問題がある。
【0008】
なお、従来のブレーキ開放制御装置は、ブレーキ開放電流を監視し、ブレーキ開放を維持できない電流までブレーキ開放電流が減少すると、上位装置に警報を出力し、装置を停止させるといった制御が行われていた。従って、ブレーキ開放を維持する電流が低下した場合に、装置を停止させることで、ブレーキの破損は防げるものの、装置を継続して運転することはできなかった。
【0009】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、ブレーキの開放状態を維持するための電流が低下した場合にも、装置を直ちに停止させることなく、安定稼働を継続させることが可能なブレーキ開放制御装置およびブレーキ開放制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るブレーキ開放制御装置は、上位装置からのブレーキ開放指令に応じて、ブレーキ開放電流指令値を生成する電流指令器と、ブレーキ回路に流れる電流値をフィードバック値として受信し、電流指令器で生成されたブレーキ開放電流指令値とフィードバック値との偏差に応じて、ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する制御信号生成器と、ブレーキ回路の開放動作中に、フィードバック値を監視し、フィードバック値があらかじめ設定された電流低下判定値以下となった場合に、ブレーキ電流が低下したことを知らせる警報信号を出力する判定器とを含む制御器を備えたブレーキ開放制御装置であって、判定器は、電流低下判定値と低下継続時間をパラメータとして設定可能であり、開放動作中のフィードバック値が電流低下判定値以下となる状態が低下継続時間以上にわたって続いた場合には、ブレーキ強制開放信号を出力し、判定器からブレーキ強制開放信号を受信した場合には、電流指令器で生成されたブレーキ開放電流指令値に対してあらかじめ設定した増加量を加算するための電流加算指令値を出力する加算器をさらに含み、制御信号生成器は、加算器から電流加算指令値が出力された場合には、電流指令器で生成されたブレーキ開放電流指令値に電流加算指令値を加えた値を基準値とし、基準値とフィードバック値との偏差に応じて、ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力するものである。
【0011】
また、本発明に係るブレーキ開放制御方法は、ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する制御部を備えたブレーキ開放制御装置において、制御部によって実行されるブレーキ開放制御方法であって、上位装置からのブレーキ開放指令に応じて、ブレーキ開放電流指令値を生成する電流指令ステップと、ブレーキ回路に流れる電流値をフィードバック値として受信し、ブレーキ開放電流指令値とフィードバック値との偏差に応じて、ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する第1制御信号生成ステップと、ブレーキ回路の開放動作中に、フィードバック値を監視し、フィードバック値があらかじめ設定された電流低下判定値以下となった場合に、ブレーキ電流が低下したことを知らせる警報信号を出力する第1判定ステップと、電流低下判定値と低下継続時間をパラメータとして設定可能であり、開放動作中のフィードバック値が電流低下判定値以下となる状態が低下継続時間以上にわたって続いた場合にブレーキ強制開放信号を出力する第2判定ステップと、ブレーキ強制開放信号を受信した場合には、ブレーキ開放電流指令値に対してあらかじめ設定した増加量を加算するための電流加算指令値を出力する加算ステップと、加算ステップにより電流加算指令値が出力された場合には、ブレーキ開放電流指令値に電流加算指令値を加えた値を基準値とし、基準値とフィードバック値との偏差に応じて、ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する第2制御信号生成ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、強制的に開放電流を増加させることで、ブレーキ開放状態を維持させることのできる構成を備えている。この結果、ブレーキの開放状態を維持するための電流が低下した場合にも、装置を直ちに停止させることなく、安定稼働を継続させることが可能なブレーキ開放制御装置およびブレーキ開放制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るブレーキ開放制御装置の全体構成図である。
【
図2】従来のブレーキ開放制御装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のブレーキ開放制御装置およびブレーキ開放制御方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0015】
実施の形態1.
本発明の特徴をより明確に説明するために、まずは、従来のブレーキ開放制御装置の構成および制御内容について、図面を用いて説明する。
図2は、従来のブレーキ開放制御装置の全体構成図である。従来のブレーキ開放制御装置100は、インバータ装置または上位コントローラ装置(以下、上位装置1と総称する)と信号の送受信を行うとともに、ブレーキ2の制御を行っている。
【0016】
従来のブレーキ開放制御装置10は、主回路部20および制御部30を備えて構成されている。主回路部20は、ブレーキ2に流れる電流を可変とするためのブリッジ回路21と、ブリッジ回路に供給される電流値を検出する電流センサ22を含んで構成されている。
【0017】
一方、制御部30は、上位装置1からの指令、および電流センサ22の検出結果に基づいて、ブリッジ回路21を制御するためのゲートパルスGPを出力することで、ブレーキ2に流れるブレーキ開放電流を制御している。具体的には、制御部30は、AND回路31、ブレーキ開放電流指令器32、電流低下判定器33、およびゲートパルス生成器34を含んで構成されている。
【0018】
通常動作時には、上位装置1からブレーキ開放指令BR−OPが出力され、ブレーキ開放制御装置に与えられる。制御部30内のAND回路31は、制御部がハードウェア的に正常な状態であることを示す信号CONT−NOMと、ブレーキ開放指令BR−OPとがともに入力されることで、ブレーキ開放指令BR−OPENを出力する。
【0019】
ブレーキ開放電流指令器32は、ブレーキ開放指令BR−OPENを受信すると、強制電流Ibfをある設定時間T1に渡って通電するためのブレーキ開放電流指令I−ref1を生成する。
【0020】
さらに、ブレーキ開放電流指令器32は、設定時間T1が経過した後は、強制電流Ibfから開保持電流Ibhに切り替えて、開保持電流Ibhを通電するためのブレーキ開放電流指令I−ref1を生成する。
【0021】
ゲートパルス生成器34は、ブレーキ開放電流指令器32から得られるブレーキ開放電流指令I−ref1を基準値とし、電流センサ22による検出信号I−fbkをフィードバック信号とし、偏差(ブレーキ開放電流指令I−ref1−検出信号I−fbk)に基づいて、ブリッジ回路21を制御するためのゲートパルスGPを生成する。
【0022】
また、電流低下判定器33は、電流センサ22による検出信号I−fbkが、あらかじめ設定された電流低下判定値以下となった場合に、ブレーキ電流が低下したことを知らせる警報信号BR−UCを上位装置1に出力する。なお、この電流低下判定値は、一例として、開保持電流Ibhの60%の値として設定される。
【0023】
このようにして、電流低下判定器33は、ブレーキ開放電流を監視し、ブレーキ開放を維持できない電流までブレーキ開放電流が減少したと判定した場合に、上位装置1に警報信号BR−UCを出力する。
【0024】
上位装置1は、警報信号BR−UCを受信すると、インバータを停止させる制御を行うとともに、ブレーキ開放指令BR−OPをOFFとして、ブレーキ開放電流が流れないように制御する。
【0025】
このような制御を行うことで、意図せずにブレーキが閉じてしまい、モータが運転し続けることで、ブレーキを破損してしまうことは回避できる。しかしながら、従来のブレーキ開放制御装置は、ブレーキの破損を回避するために、装置を止めているため、継続して装置を運転することができなかった。
【0026】
そこで、このような問題を解決するための、本実施の形態1におけるブレーキ開放制御装置の構成および制御内容について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るブレーキ開放制御装置の全体構成図である。
【0027】
本実施の形態1におけるブレーキ開放制御装置10は、先の
図2に示した従来のブレーキ開放制御装置10と比較すると、制御部30内に強制開放電流加算器35をさらに備えている点が異なっている。そこで、この相違点を中心に、以下に説明する。
【0028】
AND回路31、ブレーキ開放電流指令器32、および電流低下判定器33の動作は、従来のブレーキ開放制御装置10において説明した内容と同一であり、詳細な説明を省略する。そこで、新たに追加になった強制開放電流加算器35、およびその追加に伴うゲートパルス生成器34の動作について、以下に詳述する。
【0029】
上位装置1は、電流センサ22による検出信号I−fbkが、あらかじめ設定された電流低下判定値以下となったことで、電流低下判定器33から警報信号BR−UCを受信した場合には、ブレーキ開放電流を強制的に高くするブレーキ強制開放信号BR−Fを制御部30に対して出力する。
【0030】
なお、ブレーキ強制開放信号BR−Fは、上位装置1経由で強制開放電流加算器35に入力される場合に限定されない。本実施の形態1における電流低下判定器33は、電流センサ22による検出信号I−fbkが、あらかじめ設定された電流低下判定値以下となった場合に、ブレーキ電流が低下したことを知らせる警報信号BR−UCを上位装置1に出力するとともに、ブレーキ強制開放信号BR−Fを生成して、直接、強制開放電流加算器35に対してブレーキ強制開放信号BR−Fを出力することも可能である。
【0031】
ブレーキ強制開放信号BR−Fを受信した制御部30内の強制開放電流加算器35は、開保持電流Ibhに対して、あらかじめ決められた加算電流値を加えるための電流加算指令I−ref2を出力する。
【0032】
ゲートパルス生成器34は、ブレーキ開放電流指令器32から得られるブレーキ開放電流指令I−ref1と、強制開放電流加算器35から得られる電流加算指令I−ref2を加算した値を基準値として読み込む。そして、ゲートパルス生成器34は、電流センサ22による検出信号I−fbkをフィードバック値とし、基準値とフィードバック値の偏差に基づいて、ブリッジ回路21を制御するためのゲートパルスGPを生成する。
【0033】
このような制御を行うことで、開保持電流Ibhを基準値として制御していた場合には、ブレーキ開放状態が維持できないとしても、開保持電流Ibhに対して加算電流値を加えた値を新たな基準値として制御することで、ブレーキの開放状態を維持させて、装置の運転を継続させることが可能となる。
【0034】
なお、強制開放電流加算器35は、開保持電流Ibhに対して加算電流値を加えた値が、強制電流Ibfと等しい値となるように、電流加算指令I−ref2を生成することができる。
【0035】
次に、ブレーキ強制開放信号BR−Fの生成タイミングについて説明する。以下の説明では、電流低下判定器33によりブレーキ強制開放信号BR−Fを生成する場合について説明する。本実施の形態1における電流低下判定器33は、ブレーキ強制開放信号BR−Fを生成するに当たって、電流低下判定値と低下継続時間の2つのパラメータを設定可能となっている。
【0036】
具体的な設定例としては、電流低下判定値を開保持電流Ibhの60%の値として設定し、低下継続時間を100msとして設定する場合が考えられる。このようなパラメータ値を用いた場合には、電流低下判定器33は、電流センサ22による検出信号I−fbkの値が、開保持電流Ibhの60%以下となった状態が、100ms以上継続した時点で、ブレーキ強制開放信号BR−Fを生成することができる。
【0037】
電流低下判定値と低下継続時間の2つのパラメータは、ブレーキの種類、特性に応じて決定される所望の値としてあらかじめ設定しておくことができる。この結果、本実施の形態1におけるブレーキ開放制御装置10は、電流低下判定値と低下継続時間の2つのパラメータを最適設定することで、仕様の異なる種々のブレーキに対して適用可能となる。
【0038】
以上のように、実施の形態1によれば、ブレーキの開放状態を維持するための電流が低下した場合にも、強制的に開放電流を増加させることで、ブレーキ開放状態を維持させることのできる構成を備えている。この結果、ブレーキの開放状態を維持するための電流が低下した場合にも、装置を直ちに停止させることなく、安定稼働を継続させることが可能となる。
【0039】
さらに、強制的に開放電流を加算するべきかを判定する際に、電流低下判定値と低下継続時間の2つのパラメータの設定により判定条件を可変にできる構成を備えている。この結果、ブレーキの種類や特性毎に回路を変更する必要なく、パラメータの設定値変更により容易に対応可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 上位装置、2 ブレーキ、10 ブレーキ開放制御装置、20 主回路部、21 ブリッジ回路、22 電流センサ、30 制御部、31 AND回路、32 ブレーキ開放電流指令器(電流指令器)、33 電流低下判定器(判定器)、34 ゲートパルス生成器(制御信号生成器)、35 強制開放電流加算器(加算器)。
【要約】 (修正有)
【課題】ブレーキの開放状態を維持するための電流が低下した場合にも、装置を直ちに停止させることなく、安定稼働を継続させる。
【解決手段】電流指令器32と制御信号生成器34と判定器33と加算器を備えたブレーキ開放制御装置10であって、判定器33は、電流低下判定値と低下継続時間をパラメータとして設定可能であり、開放動作中のフィードバック値が電流低下判定値以下となる状態が低下継続時間以上にわたって続いた場合には、ブレーキ強制開放信号を出力し、加算器35は、ブレーキ強制開放信号を受信した場合には、ブレーキ開放電流指令値に対して所定の増加量を加算するための電流加算指令値を出力し、制御信号生成器34は、ブレーキ開放電流指令値に電流加算指令値を加えた値を基準値とし、基準値とフィードバック値との偏差に応じて、ブレーキ回路に供給する電流値を制御するための制御信号を出力する。
【選択図】
図1