(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366821
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】大便受容袋体、及び介護用具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/44 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
A61F5/44 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-509105(P2017-509105)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】JP2015060476
(87)【国際公開番号】WO2016157496
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591072307
【氏名又は名称】大久保 泰誉
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰誉
【審査官】
山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3048845(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3168828(JP,U)
【文献】
実開平04−065522(JP,U)
【文献】
特開2015−016074(JP,A)
【文献】
特開2001−206391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面と、背面と、前記前面と前記背面との間に折り込まれる左側襠面と、前記前面と前記背面との間に折り込まれる右側襠面とを有し、上辺部を開放させ、下辺部を閉塞させてなる袋体と、
前記袋体の左右寸法と実質的に等しい左右寸法を持つと共に、裏面を前記袋体の外面に対する接着面とし、表面を肛門を取り巻く皮膚面に対する接触面としたシートからなる接触体とを、
前記接触体を前記裏面を内側にして二つ折りにし、折り線が前記袋体の上辺部に沿うように、この折り線を挟んだ一方側を前記袋体の前面に接着し、折り線を挟んだ他方側を前記袋体の背面に接着して前記接触体によって前記袋体の上辺部を封止した後、
前記接触体の範囲内において前記接触体と前記袋体とに前記接触体の前記折り線側において開放された切除部を形成させてなり、
使用状態において、前記左側襠面及び右側襠面により、二つ折りにされた接触体を折り線を挟んだ一方側と他方側とを同面に位置づけるように平面化可能としてなる、大便受容袋体。
【請求項2】
前記接触体は、円形のシートに対し、前記折り線に直交する仮想の第一線分に沿った切断を施して形成される第一直線辺部と、前記折り線に平行の仮想の第二線分に沿った切断を施して形成される第二直線辺部とを備えさせた形態となっている、請求項1に記載の大便受容袋体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の大便受容袋体と、
シート状又はマット状をなし、おむつやパンツの内面に重ねられて用いられると共に、おむつやパンツの着用者の略股下に配される部分に前記大便受容袋体の通し部を備えた面状体とからなる、介護用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、おむつやパンツを着用した状態で大便を排泄しても、おむつやパンツの取り替えを直ちには要しないようにする大便受容袋体、及び、この大便受容袋体を含んで構成される介護用具に関する。
【背景技術】
【0002】
大便に起因した、おむつ全体の取り替えを、できるだけ少なくする目的で開発された袋状補助具がある。この袋状補助具は、おむつの着用に先立って大便を漏洩なく袋内に受容する状態で着用者の肛門を取り巻く皮膚面に袋口を取り付け可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−16074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、大便に起因した、おむつやパンツ全体の取り替えを、できるだけ少なくすることを可能とする大便受容袋体を、合理的且つ適切に提供できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、大便受容袋体を、前面と、背面と、前記前面と前記背面との間に折り込まれる左側襠面と、前記前面と前記背面との間に折り込まれる右側襠面とを有し、上辺部を開放させ、下辺部を閉塞させてなる袋体と、
前記袋体の左右寸法と実質的に等しい左右寸法を持つと共に、
裏面を前記袋体の外面に対する接着面とし、
表面を肛門を取り巻く皮膚面に対する接触面とした
シートからなる接触体とを、
前記接触体を
前記裏面を内側にして二つ折りにし、折り線が前記袋体の上辺部に沿うように、この折り線を挟んだ一方側を前記袋体の前面に接着し、折り線を挟んだ他方側を前記袋体の背面に接着して前記接触体によって前記袋体の上辺部を封止した後、
前記接触体の範囲内において前記接触体と前記袋体とに前記接触体の前記折り線側において開放された切除部を形成させて
なり、
使用状態において、前記左側襠面及び右側襠面により、二つ折りにされた接触体を折り線を挟んだ一方側と他方側とを同面に位置づけるように平面化可能としてなる、ものとした。
【0006】
大便受容袋体の接触体は、前記切除部により、前記袋体に連通した開口を備える。この開口内に肛門を位置させて接触体の接触面が肛門を取り巻く皮膚に接するように大便受容袋体を位置づけ、この位置づけ状態をおむつやパンツによって維持することで、おむつやパンツを着用した状態において大便を排泄したとき大便受容袋体に大便を受容させることができる。これにより、おむつやパンツを着用した状態で大便を排泄したとき、大便を受容した大便受容袋体を交換することで、おむつやパンツの取り替えを直ちには要しないようにすることができる。
【0007】
大便受容袋体は、前記袋体の上辺部に前記のように接触体を接着した後の、前記切除部の形成により、容易且つ適切に生成できる。
【0008】
また、左側襠面及び右側襠面により、二つ折りにされた接触体を使用状態においては折り線を挟んだ一方側と他方側とを同面に位置づけるように平面化することができ、接触体の接触面を肛門を取り巻く皮膚面に都合良く密着させることが可能となる。
【0009】
前記接触体は、円形のシートに対し、前記折り線に直交する仮想の第一線分に沿った切断を施して形成される第一直線辺部と、前記折り線に平行の仮想の第二線分に沿った切断を施して形成される第二直線辺部とを備えさせた形態のものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。
【0010】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、介護用具を、大便受容袋体と、シート状又はマット状をなし、おむつやパンツの内面に重ねられて用いられると共に、おむつやパンツの着用者の略股下に配される部分に前記大便受容袋体の通し部を備えた面状体とからなるものとした。
【0011】
かかる介護用具によれば、大便受容袋体の接触体以外の箇所を面状体とおむつやパンツの内面との間に挟ませた状態でおむつやパンツ内に位置づけさせることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、大便に起因した、おむつやパンツ全体の取り替えを、できるだけ少なくすることを可能とする大便受容袋体を、合理的且つ適切に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、この発明の一実施の形態にかかる大便受容袋体の斜視構成図である。
【
図2】
図2は、前記大便受容袋体を構成する接触体の平面構成図である。
【
図3】
図3は、前記大便受容袋体を構成する接触体と袋体とを分離した状態で示した斜視構成図である。
【
図4】
図4は、前記袋体の上辺部を前記接触体により封止した状態を示した側面構成図である。
【
図5】
図5は、
図4の状態から切除部を形成して生成された大便受容袋体の側面構成図である。
【
図6】
図6は、この発明の一実施の形態にかかる介護用具の平面構成図であり、前記大便受容袋体と面状体とを組み合わせた状態を面状体の内面側から見て示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜
図7に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる大便受容袋体1は、おむつやパンツ(図示は省略する。)を着用した状態で大便を排泄しても、おむつやパンツの取り替えを直ちには要しないようにするものである。すなわち、この実施の形態にかかる大便受容袋体1は、大便に起因した、おむつやパンツの取り替えを、できるだけ少なくするものである。
【0015】
また、この実施の形態にかかる介護用具は、前記大便受容袋体1と、この大便受容袋体1と組み合わされておむつやパンツの内面に重ねられて用いられる面状体2とからなり、かかる面状体2をもって前記大便受容袋体1をおむつやパンツ内に安定的且つ具合良く位置づけることができるようにしたものである。
【0016】
前記大便受容袋体1は、袋体10と、接触体11とを備えている。
【0017】
かかる袋体10は、公知の防水材製のシートやマット、公知の吸水材製のシートやマット、こうした吸水材の表面を防水材で覆ってなるシートやマットなどから構成される。典型的には、かかる袋体10は、合成樹脂製の薄手の袋体から構成される。かかる袋体10は、介護対象者の健康状態を大便から確認しやすいようにする観点からは、透明、あるいは透光性を持った材料から構成することが好ましい。また、前記接触体11は、公知のシートやフィルムなどから構成される。
【0018】
前記袋体10は、前面10aと、背面10bと、前記前面10aと前記背面10bとの間に折り込まれる左側襠面10cと、前記前面10aと前記背面10bとの間に折り込まれる右側襠面10dとを有し、上辺部10eを開放させ、下辺部10fを閉塞させてなる。
【0019】
図示の例では、前記前面10aは左右を幅側とし、上下を長さ側とした、四角形状を呈している。前記背面10bは前記前面10aと同寸同形の四角形状を呈している。左側襠面10cおよび右側襠面10dは、前記前面10a及び背面10bの長さと等しい長さを持つと共に、その幅方向中程の位置において二つ折りされて前記前面10aと背面10bとの間に折り込まれている。また、袋体10の下辺部10fは、左右方向に亘るシール部10gが形成されており、このシール部10gの形成箇所においては前面10a及び背面10bは、左側襠面10c及び右側襠面10dを挟んで、液密に一体化されている。
【0020】
前記接触体11は、前記袋体10の左右寸法と実質的に等しい左右寸法を持つと共に、一面を前記袋体10の外面に対する接着面11aとし、他面を肛門を取り巻く皮膚面に対する接触面11bとしている。
【0021】
かかる接触体11の接触面11bは、皮膚に対して違和感なく、あるいは、違和感少なく、密着あるいは粘着するように構成することが好ましい。かかる接触体11の接触面11bを粘着するように構成した場合、かかる接触面11bは使用時に剥離可能な剥離シート(図示は省略する。)で被覆しておくことが好ましい。
【0022】
そして、この実施の形態にかかる大便受容袋体101は、前記接触体11を二つ折りにし、折り線11cが前記袋体10の上辺部11eに沿うように、この折り線11cを挟んだ一方側を前記袋体10の前面10aに接着し、折り線11cを挟んだ他方側を前記袋体10の背面10bに接着して前記接触体11によって前記袋体10の上辺部10eを封止した後(
図4)、前記接触体11の範囲内において前記接触体11と前記袋体10とに前記接触体11の前記折り線11c側において開放された切除部12を形成することで(
図5)、生成されるようになっている。かかる切除部12は、典型的には、打ち抜き加工により形成される。
【0023】
図示の例では、前記切除部12は、左側襠面10cと右側襠面10dとの間において、接触体11と袋体10の上辺部10eに施された半円状のものとなっている。
【0024】
大便受容袋体1の接触体11は、前記切除部12により、前記袋体10に連通した開口13を備える。図示の例では、かかる開口13は円形となる。この開口13内に肛門を位置させて接触体11の接触面11bが肛門を取り巻く皮膚に接するように大便受容袋体1を位置づけ、この位置づけ状態をおむつやパンツによって維持することで、おむつやパンツを着用した状態において大便を排泄したとき大便受容袋体1に大便を受容させることができる。これにより、おむつやパンツを着用した状態で大便を排泄したとき、大便を受容した大便受容袋体1を交換することで、おむつやパンツの取り替えを直ちには要しないようにすることができる。
【0025】
大便受容袋体1は、前記袋体10の上辺部10eに前記のように接触体11を接着した後の、前記切除部12の形成により、容易且つ適切に生成できる。
【0026】
また、左側襠面10c及び右側襠面10dにより、二つ折りにされた接触体11を使用状態においては折り線11cを挟んだ一方側と他方側とを同面に位置づけるように平面化することができ、接触体11の接触面11bを肛門を取り巻く皮膚面に都合良く密着させることが可能となる。
【0027】
この実施の形態にあっては、前記接触体11は、円形のシートに対し、前記折り線11cに直交する仮想の第一線分xに沿った切断を施して形成される第一直線辺部11dと、前記折り線11cに平行の仮想の第二線分yに沿った切断を施して形成される第二直線辺部11eとを備えさせた形態のものとなっている。
【0028】
かかる第一直線辺部11d及び第二直線辺部11eはそれぞれ一箇所づつ形成されている。前記接触体11における前記第一直線辺部11d及び第二直線辺部11e以外の外周部は、円弧状を呈している。前記第一直線辺部11dとこれに対向する外周部との間の距離、および、前記第二直線辺部11eとこれに対向する外周部との間の距離はそれぞれ、前記袋体10の左右寸法と実質的に等しくなっている。このような形態を持った接触体11は、予め用意された円形のシートに前記のような切断を施して生成されるような形態を持てば足りるものであり、例えば、原材料となるシートを打ち抜くことで生成しても構わない。
【0029】
着用者の陰部側が前記第一直線辺部11dの外側に位置される向きで着用者の肛門を巡る皮膚面に接触体11を密着させるか、着用者の陰部側が前記第二直線辺部11eの外側に位置される向きで着用者の肛門を巡る皮膚面に接触体11を密着させるようにすることで、接触体11がかかる陰部に触れないようにした態様で着用者の肛門を取り巻く皮膚面の広い範囲に接触体11を密着させることができる。
【0030】
図6及び
図7は、以上に説明した大便受容袋体1と組み合わされて介護用具を構成する面状体2を使って、かかる大便受容袋体1をおむつやパンツ内に位置づけさせるようにした例を示している。
【0031】
かかる面状体2は、シート状又はマット状をなし、おむつやパンツの内面に重ねられて用いられると共に、おむつやパンツの着用者の略股下に配される部分に前記大便受容袋体1の通し部20を備えている。かかる面状体2は、尿取りパッドとして機能するものであり、典型的には、尿取りパッドに前記通し部20を形成することで構成される。
【0032】
面状体2は、おむつやパンツにおける前記股下部分の幅よりもやや小さい幅とを備えた、幅広の帯状を呈している。かかる面状体2は、典型的には、公知の吸水材製の柔軟性を持ったシートやマットから、あるいは、これらのシートやマットを主体として構成される。
【0033】
図示の例では、面状体2は、マット状の吸水材21の表裏をそれぞれ水分を通すシート22で覆ってなる。また、面状体2は、その長さ方向略中程の位置とその一端との間に位置される箇所に穴状をなす前記通し部20を備えている。この通し部20に大便受容袋体1を、大便受容袋体1の下辺部10fを先にして、接触体11を面状体2の内面23(皮膚に当たる側)側に残した状態で、挿通できるようなっている。すなわち、面状体2と大便受容袋体1とは、面状体2の内面23に大便受容袋体1の接触体11を位置させると共に、大便受容袋体1のその余の箇所を面状体2の外面24(面状体2におけるおむつやパンツの内面に接する側の面)側に位置させた状態で、組み合わせることができるようになっている。