特許第6366829号(P6366829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366829
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】犠牲プローブを用いた腐食速度測定
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   G01N17/00
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-517089(P2017-517089)
(86)(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公表番号】特表2017-530362(P2017-530362A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】US2015047905
(87)【国際公開番号】WO2016053550
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年5月24日
(31)【優先権主張番号】14/501,755
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ヘツキ,ロバート・シー
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02124034(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0162431(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/016594(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0141780(US,A1)
【文献】 特開2002−181692(JP,A)
【文献】 特表2013−523345(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/91411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00 − 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性材料に曝されるように構成された犠牲プローブと、
前記腐食性材料から、前記犠牲プローブの腐食に起因する前記犠牲プローブの物理的変化を検出するように配置されたセンサと、
前記腐食性材料に対する曝露から、前記犠牲プローブの腐食速度を示す出力部を有する前記センサに接続された測定回路機構と、を含み、
前記犠牲プローブが、前記犠牲プローブに非線形速度での腐食を生じさせる物理的特性 を有し、
前記犠牲プローブが、初期期間中に比較的急速な速度で腐食して高感度の腐食測定を提供するように、長期間の使用後により遅い速度で腐食して、継続的な作動及び直ちに交換する必要のない限られた機能性を提供するように、構成される、
腐食速度測定システム。
【請求項2】
前記犠牲プローブが、多層構造体を含む、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項3】
前記犠牲プローブが、エキソ構造体を含む、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項4】
前記犠牲プローブが、異なる腐食速度を有する複数の異なる材料を含む、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項5】
前記犠牲プローブの剛性が、腐食に応じて変化する、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項6】
前記犠牲プローブが、点腐食を検出するように構成される、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項7】
前記犠牲プローブが、支持構造体によって支持された外層を含む、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項8】
前記外層の腐食が、前記腐食性材料が前記支持構造体に接触することを可能にする、請求項7に記載の腐食速度測定システム。
【請求項9】
前記物理的特性が、剛性を含む、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項10】
前記物理的特性が、電気抵抗を含む、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項11】
前記犠牲プローブが複数の層を含み、前記腐食性材料に曝される前記犠牲プローブの層が、前記犠牲プローブのベース層を上回る腐食速度を有する、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項12】
前記犠牲プローブが、前記犠牲プローブの剛性を増大させる構造を含む、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項13】
前記構造が、前記腐食性材料に曝される薄型構造を含む、請求項12に記載の腐食速度測定システム。
【請求項14】
前記犠牲プローブが、付加的なプロセスを通して製作される、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項15】
前記センサが、付与された圧力に基づいて、前記犠牲プローブの撓みを測定する、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【請求項16】
基準プローブを含む、請求項15に記載の腐食速度測定システム。
【請求項17】
前記センサが、前記犠牲プローブの電気抵抗を測定する、請求項1に記載の腐食速度測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の環境でのコンポーネントの腐食に関する。より具体的には、本発明は、そのような環境における腐食速度の測定に関する。
【0002】
腐食は、環境による化学反応または摩耗による材料の段階的な破壊である。腐食は、強度、外観、及び流体に対する透過性を含む、材料及び構造の有用な性質を劣化させる。多くの構造合金は、空気中の水分に対する曝露のみから腐食する。プロセスは、一定の物質への曝露によって加速されることができる。腐食は、局所的に集中して、点食または亀裂を形成する可能性があるか、または広い面積全体にわたって拡大し、表面を一様に腐食させる可能性がある。
【0003】
腐食の測定、制御、及び予防の分野はコストがかかる。腐食測定は、多様な技術を使用して、環境がどの程度腐食性であるか、及び材料損失の速度を判断する。いくつかの腐食測定技術は、オンラインで、常にプロセスに曝されて用いられることができ、一方で他のものは、実験室分析で判断されるオフライン測定を提供する。いくつかの技術は、材料損失または腐食速度を直接測定し、一方で他のものは、腐食性環境が存在し得ることを推測するために用いられる。
【0004】
腐食の速度は、プロセスプラントまたはコンポーネントがどの程度の期間有用かつ安全に動作させることができるかに影響する。腐食の測定及び高い腐食速度を改善するための処置は、もっとも費用効果の高いプラント稼働が達成されると同時に、稼動に付随するライフサイクルコストを低減させることを可能にする。しかしながら、多くの腐食センサは、それらの性質に起因して、頻繁な保守及び交換を必要とする。さらに、「点食」として知られる1つのタイプの局部的な腐食は、測定することが困難である。
【発明の概要】
【0005】
腐食速度測定システムは、腐食性材料に曝されるように構成された犠牲プローブを含む。センサは、腐食性材料から、犠牲プローブの腐食に起因する犠牲プローブの物理的変化を検出するように配置される。測定回路機構は、センサに接続され、腐食性材料に対する曝露から、犠牲プローブの腐食速度を示す出力を提供する。犠牲プローブは、犠牲プローブに非線形速度での腐食を生じさせる物理的特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1犠牲プローブを含む腐食測定システムの簡略化されたブロック図である。
図2図1の犠牲プローブの例示の実施形態の斜視図である。
図3図1の犠牲プローブの例示の実施形態の斜視図である。
図4】局部的な点食を検出するように構成された、図1の犠牲プローブの別の例の実施形態の斜視図である。
図5】犠牲プローブに結合された圧力トランスミッタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
犠牲プローブが、腐食性流体に曝されたときに時間とともに異なる速度で腐食するように構成される、腐食速度測定システムが設けられる。たとえば、プローブは、初期期間中に比較的急速な速度で腐食して、高感度の腐食測定を提供するように構成されることができる。しかしながら、長期間の使用後、プローブは、異なる速度で、たとえばより遅い速度で腐食するように構成されることができる。このことは、プローブが動作し続けて、すぐに交換する必要なく限られた機能性を提供することを可能にする。プローブの感度を高めて、腐食のタイプ、たとえば点食タイプの腐食を特定する構成をさらに提供することができる。
【0008】
種々の介入的及び非介入的な方法は、材料損失を含む腐食、電気化学測定、及び分析測定を監視するために用いられる。技術は、抵抗、渦電流、導電性、超音波、及び音響特性の測定を含む。プロセス産業においてもっとも一般的な技術は、腐食試験片、電気抵抗(ER)、及び線形分極抵抗(LPR)である。
【0009】
重量減少法は、もっともよく知られた、もっとも簡易な腐食モニタリング法である。当該方法は、材料の試料(「試験片」と称される)を所与の時間の間プロセス環境に曝し、その後分析のために試料を取り除くことを伴う。腐食試験片から判定される基本的な測定は、重量損失である。腐食速度は密度の積、試験片表面積、及び露出時間で除算された重量損失である。試験片モニタリングは、腐食速度が長期間にわたって著しく変化しない環境において、もっとも有用である。しかしながら、これらは、他の技術との有用な相関関係を提供することができる。
【0010】
ERプローブは、「電子」腐食試験片であると考えられる。ERプローブは、金属損失の基本的な測定を提供し、金属損失値は、プローブが現場にいる間の任意の時に測定されることができる。ER法は、プロセスに曝された腐食金属素子(プローブ)の電気抵抗の変化を測定する。プローブの表面上での腐食の作用は、その電気抵抗の対応する増大に伴うその断面積の減少をもたらす。
【0011】
LPR法は、電気化学的理論に基づく。溶液内の電極(プローブ)に小さな電圧を印加する。プローブにおいて特定の電圧シフト(典型的には10mV)を維持するために必要な電流は、溶液内の電極の表面上での腐食に直接関係する。電流を測定することによって、腐食速度を導き出すことができる。LPR法の利点は、腐食速度の測定が瞬時になされる一方で、腐食速度を判定するために、試験片またはERに対していくらかの期間にわたる曝露が必要とされることである。LPR法は、清浄な水系電解環境でのみ行われることができ、気体中では機能しない。
【0012】
腐食速度を測定するために用いられることができる別の手法は、膜の形状の変化を監視することである。たとえば、より薄い膜は、所与の付与圧力に対して、より厚い膜よりもより大きな程度まで撓む。
【0013】
上述のように、腐食モニタリングシステムは、典型的には、本明細書では「犠牲プローブ」と称されるいくつかのタイプの犠牲要素を含む。この犠牲要素は、時間の経過で腐食し、交換されなければならない。たとえば、1つの典型的な腐食モニタリングシステムは、6〜9か月しか有効寿命を有していない。ERタイプのプローブに関する1つの特有の苦情は、プローブ交換の保守費用が高いことである。いくつかのシステムは、引き込み式のプローブを用いる。しかしながら、この構成は高価であり、プローブを交換するために必要とされる時間がとても少なくなる。
【0014】
図1は、プロセス容器102に結合された腐食速度測定システム100を示す簡略化されたブロック図である。プロセス容器102は、腐食性流体104を運ぶ。システム100は、プロセス流体104に曝される犠牲プローブ106を含む。以下に、犠牲プローブ106の動作をさらに詳細に述べる。センサ110は、腐食に関連する犠牲プローブ106の物理的特性を検知するように配置される。物理的特性の例は、重量、厚さ、剛性、密度、抵抗等の電気パラメータ等を含む。センサ110は、本明細書に具体的に述べられたものを含む任意の適切な技術に従って動作する。センサ110は、電気的及び/または物理的にプローブ106に直接結合されてもよく、またはプローブ106を遠隔監視することができる。1つの構成では、プローブ106は、流体104への曝露から取り除かれた後、センサ110によって測定される。たとえば、プローブ106は、プロセスから取り除かれて、重量測定スケール110を用いて計量されることができる。センサは、非侵襲的な腐食測定のために組み込まれてもよい。たとえば、犠牲プローブ106を、腐食性材料の内部に置き、遠隔測定してもよい。遠隔測定手法の一例は、超音波ベースの腐食測定を利用する。センサ110は、センサ110の特性を測定するように構成された測定回路機構120に結合される。特性の例は、抵抗、静電容量、電圧等を含む。コントローラ122は、測定回路機構120に結合し、メモリ124に記憶された命令に従って動作するように構成される。しかしながら、コントローラは、簡易なコンパレータ等の簡易な回路であることができ、またはマイクロプロセッサ等のより複雑な回路機構を含んでもよい。測定回路機構120からの出力に基づいて、コントローラは、I/O回路機構126を経由して通信し、プローブ106によって検知された腐食速度に関連する出力を提供することができる。
【0015】
図2は、犠牲プローブ106の一例の構成の斜視図である。図2では、プローブ106は、異なるタイプの材料の複数の層で構成される膜として構成される。具体的には、図2の構成は、6つの異なる層150A、150B、150C、150D、150E及び150Fを図示する。特定の構成では、層150Aは、腐食性材料104に直接曝される。150Fを通した各累進層は、より一層の耐食性を提供する。たとえば、層150Aは、炭素鋼に続いて、種々のタイプの材料、たとえば304SS、316SS、316LSS、Haftelloy(登録商標)C276及びチタンを含んでもよい。この構成は、プローブ106が最初に腐食に対する高い感度を有し、種々の層が腐食するにしたがってその感度が低くなる機構を提供する。このことは、プローブの寿命を高め、プローブの交換前に、プローブが低減された感度で動作し続けることを可能にする。他の構成をさらに用いてもよく、腐食に対する種々の層の感度は、所望の通りに高くされるかまたは低くされる。層間で異なる材料を用いることに加えて、異なる厚さ及び/または形状をさらに使用してもよい。
【0016】
図3は、犠牲プローブ106の別の例の実施形態を示す。図3では、補強構造60を設けて、強度を付加し、プローブ106の柔軟性を低減させている。構造160は、その体積に対して比較的広い表面積を有しているため、これらは、プローブ106及びベース162の大部分と比較して増大した速度で腐食する。この構成は、本明細書においては概して「エキソ構造体」と称される。図3の構成は、補強構造の単なる一例の実施形態であり、プローブ106に剛性を付加するために用いられ得る。別の例では、構造160は、プローブ106の残りの部分162とは異なる電気特性を有する材料で形成されてもよい。たとえば、構造160は、プローブ106のベース162よりも高い導電性を有する材料で形成されてもよい。Iビーム形状、ハニカムパターン等を含む他の構造が組み込まれてもよい。構造160は、プローブ106に著しい剛性を付加する。以下に述べるように、剛性は、プローブ106に圧力を付加して、変形量を監視することによって測定されることができる。構造160は、腐食性材料に接触する比較的広い表面積を提供し、かつ構造160は比較的薄いため、プローブ106の残りの部分よりも速い速度で腐食する傾向がある。このことは、腐食に対する高い初期感度に続いて、製品の長寿命を提供する。別の構成の例は、プローブ106内部への深さとともに次第に固形化し腐食性材料に曝されるプローブ106の側部に大きな開放面を有する構造である。他の例の変形形態は、異なる材料、構造構成及び厚さを用いることを含む。
【0017】
典型的な腐食測定装置は、一様な腐食の測定に効果的であるが、典型的には、局部的な腐食の測定においては同様に動作しない。局部的な腐食は、種々の原因を有し、検出することが困難である。局部的な腐食の一例は、比較的小さな表面積が侵食されて腐食する点食である。点食は、見てわかるようになる前の数か月または数年で発生する場合がある。しかしながら、いくつかの高腐食環境では、わずか2〜3日のうちにステンレス鋼に深刻な点食が生じる可能性がある。点食は、いったん始まると、絶えず増加する速度で貫通し、点食された面積が増大するにしたがって表面を削り取る傾向がある。点食は、普通は重力方向に成長する。点食は、典型的には、固形の犠牲プローブを用いては容易には検出されない。たとえば、膜の撓み量が点食を特定するために用いられる場合、点食に起因して圧力が除去された面積は、典型的には、膜の剛性には最小限にしか影響しない。
【0018】
図4は、局部的な腐食を測定するために高められた感度を提供する、プローブ106の一例の構成の斜視図である。本構成では、プローブ106は、上部犠牲層170を含む。犠牲層170は、プローブ106のベース174から延びる複数の柱または他の支持部172によって支持される。柱172は、プローブ106における剛性を助長する形状及び間隔を有することができる。上部層170が点腐食によって侵食された場合、この剛性に著しい変化はない。しかしながら、いくつかの点では、点腐食は上部犠牲層170を通って貫通し、腐食性材料が柱172に接触することを可能にする。このことは、柱172を急速に腐食させ、それによって、プローブ106の剛性は実質的な段階的変化を経る。点食によって層を通した貫通を生じさせることを可能にする異なる材料、異なる層、異なる支持構造体、異なる技術等を含む他の例をさらに使用してもよい。上記の柱は、外層を支持するために用いられる支持構造体の一例である。
【0019】
本明細書に記載された例示の構成は、試験片を含む材料の損失を測定する任意の腐食プローブに加えて、ER型プローブに適用可能である。そのようなERプローブは、多数の材料層によって作られることができる。急速な材料損失によって、プローブが初期に腐食に対する高い感度を有し、続いてプローブ寿命を延ばすようにゆっくりとした材料損失を有することが可能になる。図4に図示された柱状のプローブを用いて、点腐食を検出することができる。外層を通る貫通によって、電気抵抗が急速に変化する、より影響を受けやすい内層が曝露される。構成及び材料において、層、構造、厚さ等に対して、任意の数の変形形態を使用してもよい。ここで述べられた種々の構成は、任意の適切な手法を用いて製作されることができる。1つの例示的な手法は、3D印刷によって提供されるような付加的な製造技術を用いる。
【0020】
上述のように、犠牲プローブ106の腐食を測定するために用いられるセンサ110の特有の手法及び技術は、任意の適切な技術に従ってもよい。犠牲プローブの腐食を測定するために用いられることができる1つの手法は、付与された圧力に応じた犠牲膜の撓みを測定することによる。図5は、腐食測定システム100で用いられる圧力トランスミッタ210を示す、簡略化された断面図である。図5の構成は、例示を目的としており、最高性能を提供するものではない場合がある。トランスミッタ210は、以下に記載されるように、犠牲プローブ106及び基準プローブ198に結合される。トランスミッタ210は、本体212、フランジ213及びセンサ本体214を含む。トランスミッタ回路機構220は、本体212内に担持され、図1に図示されたコントローラ及び測定回路機構を提供するように動作する。
【0021】
図5に図示されるように、充填流体224で充填された通路190は、犠牲プローブを分離ダイヤフラム248と結合させる。同様に、基準プローブ198は、通路188内で運ばれる分離流体226を通して分離ダイヤフラム252に結合される。基準プローブ198は、腐食性材料104に対する曝露に応じてほぼ腐食しない材料で作られることができる。プローブ106、198によって形成された膜が撓むと、分離ダイヤフラム248及び252にそれぞれ圧力が付与される。これによって、分離充填流体をさらに運ぶ通路180及び182を通して、差圧センサ216に差圧が付与される。腐食に起因してプローブ106の撓み量が変化すると、基準プローブ198を通して付与された圧力に対する圧力変化は、プローブ106の厚さに関連付けられることができる。この圧力変化は、プローブ198を基準として、プローブ106が経た腐食量を示す。プローブ106は、全体的及び/または局部的な腐食を検出するために、上述された技術によって製作されることができる。センサ回路機構218を用いて、圧力差を測定し、トランスミッタ回路機構220に出力222を供給する。トランスミッタ回路機構220は、腐食を示す局所的な出力を提供することができるか、またはたとえば2線式プロセス制御ループ、ワイヤレス接続等を経由して、腐食情報を別の場所に送信してもよい。
【0022】
本明細書に記載された構成は、ユーザが特定用途に基づくことができるカスタマイズ可能な腐食プローブを有することを可能にする。これによって、プローブの寿命を延ばすような、及び/または点腐食を測定するような能力が提供される。プローブの精度と耐用年数との間のトレードオフは、プローブの寿命全体にわたって制御され得る。さらに、センサは、腐食が1つの領域から他に遷移するにしたがって、プローブの腐食における相対的な段階的変化を出力する。これによって、どの程度プローブが腐食したかに関する判断が可能になる。この情報を、腐食センサの較正に用いることができる。さらに、プローブの腐食が1つの材料から他に遷移すると、継続的な測定精度のために、腐食速度較正を更新する必要がある。そのような腐食速度に関連する較正情報は、図1に示されたメモリ124に記憶されてもよい。
【0023】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者においては、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、形式及び詳細に変更がなされてもよいことが認識されよう。犠牲プローブは、任意の適切な材料、層、層の物理的構成等を、単独でまたは所望のように組み合わせて作られることができる。上述では、多材プローブ、エキソ構造体を備えるプローブ、柱状の犠牲プローブ、及びそれらの組み合わせの例が提供されている。犠牲プローブの腐食は、プローブの剛性の変更、プローブの電気抵抗、プローブの重量等の電気パラメータの変更を含む任意の適切な手法、または他の手法を用いて測定されることができる。具体的には、圧力センサが例示されているが、1つの構成では、センサ110は、ERセンサ、または腐食に関連付けることができるプローブの物理的特性を検知する他の何らかのセンサを含む。犠牲プローブは、3D印刷等の付加的な技術を含む、任意の適切な手法に従って製造されてもよい。別の例の犠牲構成のプローブは、音叉等の共振構造のものであることができる。そのような構成では、プローブの共振周波数は、プローブ材料が腐食するにしたがって変化する。1つの構成では、犠牲プローブは、膜として動作する略平面構造である。上記の例では、プローブは、腐食性材料に曝されたときにその腐食速度が非線形であるように製作される。用語「非線形」が用いられているが、プローブが所与の腐食性材料に曝されたときに腐食する速度が、腐食が進行するにしたがって変化する他の用語が同様に適用可能であり得る。変化は、速い腐食速度からより遅い腐食速度まで、遅い腐食速度からより早い腐食速度までであってもよく、多重速度変化のように中間段階をさらに含んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5