(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366830
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】回転する構成部材の回転角度を非接触式に検出するためのセンサ装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
G01D5/20 K
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-519248(P2017-519248)
(86)(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公表番号】特表2017-530368(P2017-530368A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015072694
(87)【国際公開番号】WO2016055348
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】102014220446.1
(32)【優先日】2014年10月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ライディヒ
(72)【発明者】
【氏名】イェアク オーバーレンダー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー クライル
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−007796(JP,A)
【文献】
特開2006−133094(JP,A)
【文献】
特開2000−097982(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0253576(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0164869(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0196015(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102007037217(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する構成部材の回転角度を非接触式に検出するためのセンサ装置であって、
前記回転する構成部材は、ディスク状のターゲット(20)に結合されており、当該ターゲット(20)は、少なくとも1つの金属面(24)を有しており、且つ、少なくとも1つの平坦な検出コイル(42,44,46)を備えたコイル装置(40)と共に、前記回転する構成部材の瞬時回転角度を求めるための少なくとも1つの情報を形成し、
少なくとも1つの測定回路(3)が、回転する前記ターゲット(20)の前記少なくとも1つの金属面(24)との重畳度に依存して、渦電流効果によって変化する、対応する平坦な検出コイル(42,44,46)のインダクタンス(L)を測定信号(UM)に変換し、
計算及び制御ユニット(10)が、前記測定信号(UM)を受け取り、当該測定信号(UM)に基づいて、前記回転角度が計算される、センサ装置において、
前記少なくとも1つの測定回路(3)は、複数の電子スイッチ(S1,S2,S3)を有しており、前記計算及び制御ユニット(10)は、前記複数の電子スイッチ(S1,S2,S3)を対応する制御信号(A1,A2,A3)を介して切り換え、前記計算及び制御ユニット(10)は、励磁段階中に、第1の制御信号(A1)を介して第1の電子スイッチ(S1)を切り換え、且つ、第2の制御信号(A2)を介して第2の電子スイッチ(S2)を切り換え、前記第1の電子スイッチ(S1)は、前記検出コイル(42,44,46)を動作電圧(UB)に接続し、且つ、前記第2の電子スイッチ(S2)は、前記検出コイル(42,44,46)を基準電位に接続し、
前記計算及び制御ユニット(10)は、測定過程の開始時に、前記検出コイル(42,44,46)を、前記第2の電子スイッチ(S2)を切り換えて前記基準電位から切り離す、ことを特徴とする、センサ装置。
【請求項2】
前記測定信号(UM)は、電圧信号又は電流信号である、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの測定回路(3)は、コンデンサ(C)を含んでおり、当該コンデンサ(C)は、前記検出コイル(42,44,46)に電気的に並列に接続されており、且つ、測定過程中に前記検出コイル(42,44,46)の前記インダクタンス(L)によって蓄積されたエネルギを受け取る、請求項1又は2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記検出コイル(42,44,46)の前記インダクタンス(L)の磁気エネルギを、整流された電流パルスを用いて、ダイオード(D)を介して前記コンデンサ(C)へと伝達することができ、前記コンデンサ(C)は伝達されたエネルギを電気エネルギとして蓄積する、請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記コンデンサ(C)は、蓄積された前記電気エネルギを、計算過程の間に、前記測定信号(UM)として前記計算及び制御ユニット(10)に出力する、請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記計算及び制御ユニット(10)は、計算過程の開始時に、前記第1の電子スイッチ(S1)を切り換えて、前記少なくとも1つの検出コイル(42,44,46)を動作電圧(UB)から切り離し、且つ、第3の制御信号(A3)を介して第3の電子スイッチ(S3)を切り換え、前記コンデンサ(C)の接続点を基準電位に接続し、
前記計算及び制御ユニット(10)は、前記コンデンサ(C)及び対応する前記検出コイル(42,44,46)の1つの共通の接続点において、前記測定信号(UM)を取り出す、請求項3から5までのいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記計算及び制御ユニット(10)は、前記測定信号(UM)を計算する、A/D変換器を備えたマイクロコントローラを有している、請求項6に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念に記載されている、回転角度を非接触式に検出するためのセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する構成部材の回転角度の測定は、通常の場合、磁気センサを使用して行われる。その際、測定すべき、回転する構成部材には、永久磁石が設けられる。例えば集積回路に集積することができる、対応する磁場センサは、磁場強度を2つ又は3つの空間方向において測定して、角度方向を導出する。
【0003】
更に、従来技術からは、種々の誘導性角度センサが公知である。多くの場合、1つの励磁コイルと1つ又は複数のセンサコイルの結合は、結合素子(ターゲット)の回転角度位置によって影響を受ける。結合係数の評価は、複雑な電子装置を必要とする。
【0004】
独国特許出願公開第19738836号明細書(DE 197 38 836 A1)には、例えば、ステータ部材、ロータ部材及び評価回路を備えた、誘導性角度センサが開示されている。ステータ部材は、周期的な交流電圧が印加される1つの励磁コイル及び複数の受信コイルを有している。ロータ部材は、ステータ部材に対して相対的な自身の角度位置に依存して、励磁コイルと受信コイルの誘導結合の強さを設定する。評価回路は、受信コイルに誘導された電圧信号から、ステータ部材に対して相対的なロータ部材の角度位置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第19738836号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
独立請求項1の特徴を備えている、回転角度を非接触式に検出するための本発明に係るセンサ装置は、これに対して、コイルインダクタンス乃至金属製カバーの少なくとも1つの検出コイルへの作用の評価乃至測定技術的な特定が、コイルインダクタンスの測定信号への変換を介して、有利にはアナログ電圧への変換を介して行われるといる利点を有している。実施される測定原理は、磁気エネルギを電気エネルギに変換する。このことは、検出コイルのインダクタンスの測定技術的な特定を、有利には、僅かなハードウェアコストで実現する。
【0007】
本発明に係るセンサ装置の実施の形態は、アナログ/ディジタル変換器を備えたマイクロコントローラと接続されている廉価な標準的構成部材を使用した、例えばトランジスタ、ダイオード及びコンデンサを使用した、本発明による測定原理の実施を実現する。その種のマイクロコントローラは、既に、大部分の車両に設けられているので、その種の誘導測定を簡単且つ廉価に実施することができる。更に、測定回路を、他の機能のために既にマイクロコントローラを含んでいるコンセプトに随時容易に組み込むことができる。構成部材の数が少ないことに基づき、特別なASICの開発は可能であるが、しかしながら不可欠ではない。従って、測定原理の使用は非常にフレキシブルに実現される。
【0008】
本発明の種々の実施の形態は、回転する構成部材の回転角度を非接触式に検出するためのセンサ装置を提供し、回転する構成部材は、ディスク状のターゲットに結合されており、このターゲットは、少なくとも1つの金属面を有しており、且つ、少なくとも1つの平坦な検出コイルを備えたコイル装置と共に、回転する構成部材の瞬時回転角度を求めるための少なくとも1つの情報を形成する。本発明によれば、少なくとも1つの測定回路が、回転するターゲットの少なくとも1つの金属面との重畳度に依存して、渦電流効果によって変化する、対応する平坦な検出コイルのインダクタンスを測定信号に変換し、評価及び制御ユニットが、この測定信号を測定技術的に検出し、回転角度を計算するために評価する。
【0009】
本発明において、評価及び制御ユニットとは、例えば検出されたセンサ信号を処理乃至評価する電気装置、例えば制御装置であると解することができる。評価及び制御ユニットは、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって形成することができる、少なくとも1つのインタフェースを有することができる。ハードウェアによって形成される場合には、インタフェースは、例えばいわゆるシステムASICの一部であってよく、このシステムASICは評価及び制御ユニットの種々の機能を含んでいる。しかしながら、インタフェースは固有の集積回路であってもよいし、少なくとも部分的に離散的な構成要素から形成されていてもよい。ソフトウェアによって形成される場合には、インタフェースはソフトウェアモジュールであってよく、このソフトウェアモジュールは、例えばマイクロコントローラにおいて別のソフトウェアモジュールと一緒に設けられている。機械可読担体、例えば半導体メモリ、ハードディスクメモリ又は光学メモリに記憶されている、プログラムが評価及び制御ユニットによって実行されると、評価を実施するために使用されるプログラムコードを備えているコンピュータプログラム製品も有利である。
【0010】
従属請求項に記載されている措置及び発展形態によって、独立請求項1に記載されている、回転角度を非接触式に検出するためのセンサ装置の有利な改善が実現される。
【0011】
特に有利には、少なくとも1つの測定回路がコンデンサを含むことができ、このコンデンサは、評価すべき検出コイルに並列に接続され、また、測定過程中に検出コイルのインダクタンスによって蓄積されたエネルギを受け取ることができる。検出コイルのインダクタンスの磁気エネルギを、有利には、整流された電流パルスを用いて、ダイオードを介してコンデンサへと伝達することができ、このコンデンサは伝達されたエネルギを電気エネルギとして蓄積することができる。評価過程の間に、コンデンサは蓄積された電気エネルギを測定信号として評価及び制御ユニットに出力することができる。有利には、測定信号は、電圧信号又は電流信号である。
【0012】
本発明に係るセンサ装置の有利な構成においては、少なくとも1つの測定回路が、複数の電子スイッチを有することができ、評価及び制御ユニットはそれらの電子スイッチを、対応する制御信号を介して切り替えることができる。電子スイッチは、例えば、トランジスタとして、有利には電界効果トランジスタとして形成することができる。対応する電子スイッチの制御によって、評価及び制御ユニットは、評価すべき検出コイルを、励磁段階中に、動作電圧及び基準電位に接続することができる。測定過程の開始時に、評価及び制御ユニットは、例えば対応する電子スイッチを再度切り替えることによって、評価すべき検出コイルを基準電位から切り離すことができる。評価過程の開始時に、評価及び制御ユニットは、例えば対応する電子スイッチを再度切り替えることによって、少なくとも1つの検出コイルを動作電圧から切り離して、コンデンサの接続点を基準電位に接続することができる。評価及び制御ユニットは、コンデンサ及び対応する検出コイルの1つの共通の接続点において、測定信号を評価のために取り出すことができる。
【0013】
本発明に係るセンサ装置の別の有利な構成において、評価及び制御ユニットは、測定信号を評価することができる、A/D変換器を備えたマイクロコントローラを有することができる。
【0014】
本発明の実施例は図面に示されている。以下の記述において、実施例を詳細に説明する。図中、同一の参照番号は、同一乃至類似の機能を実施する構成部分乃至構成要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】回転角度を非接触式に検出するための本発明に係るセンサ装置の実施例の概略的な平面図を示す。
【
図2】
図1に示した本発明に係るセンサ装置のための測定回路の1つの実施例の概略的な回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態
図1及び
図2から見て取れるように、回転する構成部材の回転角度を非接触式に検出するための本発明に係るセンサ装置1の図示されている実施例は、回転する構成部材に結合されており、且つ、少なくとも1つの金属面24を備えたリングディスク状のベースボディ22を有しているターゲット20と、少なくとも1つの平坦な検出コイル42,44,46を備えており、且つ、円形の導体板30に配置されているコイル装置40と、を含んでいる。勿論、導体板30は円形である必要はなく、導体板30は他の適当な形状を有していてもよい。ターゲット20は、コイル装置40と共に、回転する構成部材の瞬時回転角度を求めるための少なくとも1つの情報を形成する。本発明によれば、少なくとも1つの測定回路3が、回転するターゲット20の少なくとも1つの金属面24との重畳度に依存して、渦電流効果によって変化する、対応する平坦な検出コイル42,44,46のインダクタンスLを測定信号U
Mに変換し、評価及び制御ユニット10がこの測定信号U
Mを測定技術的に検出し、回転角度を計算するために評価する。
【0017】
図示されている実施例において、コイル装置40は、3つの平坦な検出コイル42,44,46を含んでおり、それらの検出コイル42,44,46は円周部に均等に分散されて配置されており、また、回転するターゲット20は、2つの金属面24を含んでおり、それらの金属面24は、渦電流効果によって、平坦な検出コイル42,44,46のインダクタンスLに、重畳度に依存する影響を及ぼす。この際、測定回路3は、各検出コイル42,44,46のインダクタンス変化を表す測定信号U
Mを形成する。図示されている実施例において、センサ装置1は3つの測定回路3を含んでおり、各測定回路3は検出コイル42,44,46のうちの1つに対応付けられている。
【0018】
図1から更に見て取れるように、コイル装置40は、図示されている実施の形態において、円形の導体板30に配置されており、且つ、評価及び制御ユニット10と電気的に接続されている。図面においては透明なものとして表されている、ターゲット20のリングディスク状のベースボディ22は、軸線方向において所定の一定の距離を置いて、導体板30の上又は下に配置されている。検出コイル42,44,46と導電性の金属面24との重畳によって、交流電流による検出コイル42,44,46の励磁段階中に、誘導電圧が形成され、この誘導電圧が金属によって短絡される。電流は磁場を形成し、この磁場はその原因に反して作用する。これによって、最終的に、検出コイル42,44,46のインダクタンスLはより小さくなる。インダクタンスLの測定によって、重畳度を特定することができ、従って、回転角度を特定することができる。図示されている実施例において、詳細には図示していない回転する構成部材は、十分な側方の遊びを伴って、導体板30における円形の開口部を通って案内されており、且つ、ターゲット20のベースボディ22と相対回動不能に接続されている軸であってよい。
【0019】
図2から更に見て取れるように、少なくとも1つの測定回路3はコンデンサCを含んでおり、このコンデンサCは、評価すべき検出コイル42,44,46に電気的に並列に接続されており、また、測定過程中に検出コイル42,44,46のインダクタンスLによって蓄積されたエネルギを受け取る。図示されている実施例において、検出コイル42,44,46のインダクタンスLの磁気エネルギを、整流された電流パルスを用いて、ダイオードDを介してコンデンサCへと伝達することができ、このコンデンサCは、伝達されたエネルギを電気エネルギとして蓄積する。評価過程の間に、コンデンサCは、蓄積された電気エネルギを測定信号U
Mとして評価及び制御ユニット10に出力する。更に、少なくとも1つの測定回路3は、複数の電子スイッチS1,S2,S3を有しており、評価及び制御ユニット10は、それらの電子スイッチS1,S2,S3を、対応する制御信号A1,A2,
A3を介して切り替える。電子スイッチS1,S2,S3は、図示されている実施例において、トランジスタとして、有利には電界効果トランジスタとして形成されている。
【0020】
図2から更に見て取れるように、検出コイル42,44,46は、それぞれ、評価及び制御ユニット10によって第1の制御信号A1を介して切り替え可能である第1の電子スイッチS1を介して、動作電圧U
Bと接続されており、また、評価及び制御ユニット10によって第2の制御信号A2を介して切り替え可能である第2の電子スイッチS2を介して基準電位と、ここではアース電位と接続可能である。励磁段階中に、評価及び制御ユニット10は、評価すべき検出コイル42,44,46を、第1の電子スイッチS1の切り替えによって動作電圧U
Bに接続し、また、第2の電子スイッチS2の切り替えによって基準電位に接続する。測定過程の開始時に、評価及び制御ユニット10は、第2の電子スイッチS2を再度切り替えることによって、評価すべき検出コイル42,44,46を基準電位から切り離す。第2のスイッチS2の再度の切り替え過程後に、対応する検出コイル42,44,46のエネルギは、ダイオードDによってコンデンサCに伝達される。コンデンサCにおける電圧U
Mは、次式(1)及び(2)によっておおよそ計算することができる。
【数1】
【0021】
評価過程の開始時に、評価及び制御ユニット10は、第1のスイッチS1を再度切り替えることによって、少なくとも1つの検出コイル42,44,46を動作電圧U
Bから切り離す。この際、第2のスイッチS2は、既に開かれている。第3のスイッチS3の切り替えによって、評価及び制御ユニット10は、コンデンサCの接続点を基準電位に接続する。これによって、評価及び制御ユニット10は、コンデンサC及び対応する検出コイル42,44,46の1つの共通の接続点において、測定信号U
Mを取り出すことができる。従って、測定信号U
Mを、基準電位に対する、検出コイル42,44,46とコンデンサCとの間の接続点におけるアナログ電圧信号として測定することができる。測定信号U
Mを評価するために、評価及び制御ユニット10は、アナログ測定信号U
Mをディジタル信号に変換するA/D変換器を備えたマイクロコントローラを有している。
【0022】
上述の測定原理の利点は、好適な標準的構成部材を使用することによって、例えばトランジスタS1,S2,S3、ダイオードD及びコンデンサCを使用することによって、A/D変換器を備えたマイクロコントローラを用いて、既に、インダクタンスLの測定を実施することができ、従って、インダクタンスLの測定を、他の機能のために既にマイクロコントローラを含んでいる構想に随時容易に組み込めるということである。構成部材の数が少ないことに基づき、特別なASICの開発は可能であるが、しかしながら不可欠ではない。従って、測定原理の使用は非常にフレキシブルである。
【0023】
70°の回転角度にわたり、且つ、100pFの蓄積コンデンサCを介して、インダクタンスLが例えば1.25μHから1.0μHに変化した場合、対応する検出コイル42,44,46における56mAの電流Iは、約4.38V乃至5.0Vの、コンデンサCにおける電圧U
Mをもたらすことになる(−60%の変換効率)。電流Iを前置抵抗Rによって制限することができ、この前置抵抗Rは、例えば約50Ωの値を有している。再充電過程は約1μsである。従って、測定時間は潜在的に非常に短い。0.1°の角度を分解するために、約1mVの電圧差を検出することが重要である。A/D変換器の測定範囲が、約4.0から5.0Vの必要範囲に限定されない場合には、13ビットの分解能を使用することができる。
【0024】
コンデンサにおける直流電圧の測定は、有利には、比較的ノイズが少なく実現される。1mV以下へのノイズ振幅の低減が実現される。しかしながら、測定信号はコンデンサCの容量に直接的に依存し、このコンデンサCは、温度計数(<30ppm/K)の影響を受ける。コンデンサCの容量の電圧依存性及び経年変化は、NP0誘電体の使用によって十分に最小化することができる。測定中、有利にはショットキーダイオードとして形成されているダイオードDは、コンデンサCに並列に接続されている。ダイオードDの対応する漏れ電流は、温度に強く依存しており、また、例えば−25°において10
-4μA及び125°において100μAの値を取る可能性がある。測定電圧が5Vの場合には、このことは、最小で50kΩの放電抵抗に相当する。従って、対応するRC素子の時定数は、最小で5μsである。A/D変換器は、有利には200kSを超える(>200kSの)サンプリングレートを有している。2つ又はそれ以上のサンプルを採用することによって、指数関数的な電圧降下を特定することができ、また、本来の測定電圧を外挿することができる。更には、ダイオード漏れ電流と温度との公知の関係を介して、温度を特定することができる。この情報を有利には、十分な温度補正のために使用することができる。
【0025】
対応する検出コイル42,44,46の磁気エネルギの、コンデンサCの電気エネルギへの変換は、整流された電流パルスによって行われ、この際、ダイオードDは還流を阻止する。EMCノイズは、交流信号によって生じる。これを、ダイオードDによって整流することが可能である。場合によっては、ダイオードの効果が打ち消されることなく、交流磁場に関するバイパスを実現することができる。システムは原則として、ノイズを識別することができる。コンデンサ電圧の測定は、コイル励磁が不活性である際に行われるので、誘導されたノイズ信号の電圧を、有利には、測定信号U
Mと区別することができる。