(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜4のいずれかに記載の光学透明粘着シートと、前記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層体。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の光学透明粘着シートは、ポリウレタンからなる光学透明粘着シートであって、上記ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有するポリウレタン組成物の硬化物であり、上記ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含み、カールフィッシャー測定での水分率が400ppm以下であることを特徴とする。なお、本明細書において、「光学透明粘着シート」とは、「光学透明粘着フィルム」と同義である。また、本明細書において、水分率は、光学透明粘着シート全体の重量を基準とした水分の重量の比率を意味する。
【0023】
カールフィッシャー測定での水分率が400ppmを超えると、光学透明粘着シートとタッチパネルとの貼り合わせ界面等で、吸湿した水分のガス化が原因と予想される剥離が起こってしまう。また、光学透明粘着シートとタッチパネルとの貼り合わせ界面に微小な異物が入ることがあり、そのような異物が存在すると、
図1に示したように、ガラス1上に貼りつけられた光学透明粘着シート2内の異物3の周囲で気泡4が大きくなり、剥離を引き起こしやすくなる。なお、
図1は、光学透明粘着シートとタッチパネルとの貼り合わせ界面に微小な異物が入った場合に、異物の周囲で気泡が生じる様子を示した模式図であり、(a)〜(d)の順に時間が経過している。これに対して、光学透明粘着シートを貼り合わせる前にアニールして脱水し、カールフィッシャー測定での水分率を400ppm以下にすれば、アニール前の吸湿量が飽和状態になっていたとしても、貼り合わせ後に剥離が発生することを防止できる。また、異物が界面に混入していても、剥離の発生を防止できる。
【0024】
本発明の光学透明粘着シートは、ポリウレタンからなり、好ましくは、熱硬化ポリウレタンである。ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有するポリウレタン組成物の硬化物である。ポリウレタン組成物の硬化物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られ、下記式(A)に示した構造を有する。
【0026】
上記式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分のNCO基を除いた部位を表し、R’は、ポリオール成分のOH基を除いた部位を表し、nは、繰り返し単位数を表す。
【0027】
ポリウレタン組成物の硬化物は、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。ポリウレタン組成物の硬化物がアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性を損なうことがある。したがって、ポリウレタン組成物の硬化物をアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。上記ポリウレタンは、ポリオール成分に由来する単量体単位と、ポリイソシアネート成分に由来する単量体単位との合計量が、ポリウレタン全体を構成する単量体単位の80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、ポリオール成分に由来する単量体単位及びポリイソシアネート成分に由来する単量体単位のみからなる。
【0028】
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずにポリウレタン組成物の硬化物を得ることができる。タッキファイヤー等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。このように、ポリウレタン組成物の硬化物によって光学透明粘着シートを作製する場合、溶剤の除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができる。このため、本発明の光学透明粘着シートを、表示パネルと透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル)との貼り合わせに用いる場合、ベゼルの段差を被覆することができる。また、本発明の光学透明粘着シートは厚く形成しても光学特性を維持することができるものであり、透明性(ヘイズ)の低下、色付き、発泡(被着体との界面での気泡の発生)を充分に抑制することができる。
【0029】
また、本発明の光学透明粘着シートは、ポリウレタン組成物の硬化物からなり、柔軟であるため、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。更に、本発明の光学透明粘着シートは、柔軟であるとともに厚膜化できることから、耐衝撃性に優れ、透明導電膜を表層に有する透明部材とカバーパネルとの貼り合わせに用いることができ、更に他の部材を用いる場合には、表示パネル、又は、透明導電膜を表層に有する透明部材と、他の部材との貼り合わせにも用いることができる。更に、本発明の光学透明粘着シートは、ポリウレタン組成物の硬化物からなるため、誘電率が高く、従来のアクリル系樹脂組成物からなる光学透明粘着シートよりも高い静電容量が得られる。このため、本発明の光学透明粘着シートは、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適に用いられる。
【0030】
[ポリオール成分]
上記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するものであることが好ましい。すなわち、主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されていることが好ましい。オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。上記ポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。上記ポリウレタンに用いられるポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分を80モル%以上含むことがより好ましく、更に好ましくは、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなる。
【0031】
上記ポリオール成分の数平均分子量は、300以上、5000以下であることが好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が速過ぎてポリウレタン組成物の硬化物を均一なシートに成形することが困難になったり、ポリウレタン組成物の硬化物の柔軟性が低下して脆くなったりすることがある。ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合には、ポリオール成分の粘度が高くなり過ぎてポリウレタン組成物の硬化物を均一なシートに成形することが困難になったり、ポリウレタン組成物の硬化物が結晶化して白濁したりする等の不具合が生じることがある。ポリオール成分の数平均分子量は、500以上、3000以下であることがより好ましい。
【0032】
上記オレフィン骨格を有するポリオール成分のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の水酸基末端ポリイソプレンを水添して得られるポリオレフィンポリオール(「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:2500)、日本曹達社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン(「GI−1000」、数平均分子量:1500)、三菱化学社製のポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー(「ポリテール(登録商標)」)等が挙げられる。
【0033】
[ポリイソシアネート成分]
ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含む。なお、本明細書において、「親水性」とは、ポリイソシアネートのイソシアネート基を除いた構造(上記式(A)中のR)についてFedors法で算出した溶解性パラメータ(SP値)が9.0MPa
1/2以上であることを意味する。上記親水性ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネートと親水性ポリオールとの反応生成物が挙げられ、特に脂肪族変性イソシアネートと親水性ポリオールとの反応生成物が好ましい。上記親水性ポリイソシアネートは、イソシアヌレート構造やビウレット構造のようにイソシアネート基に由来する構造のみによって親水性を向上させたものではなく、親水性を高める官能基(親水基)が付加されたポリイソシアネートであることが好ましい。
【0034】
上記親水性ポリイソシアネートは、分子内にエチレンオキシドユニットを含むことが好ましく、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートであることがより好ましい。脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートを用いることにより、光学透明粘着シートの着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学透明粘着シートの透明性をより確実に確保することができる。また、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(エチレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。なお、エチレンオキシドユニットを含むポリイソシアネート成分を用いる場合には、空気中の水分による吸湿が生じやすいので、本発明のように水分率を調整することが特に重要となる。
【0035】
上記脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及び、脂肪族及び/又は脂環族のジイソシアネートを出発物質として得られるポリイソシアネートの少なくとも一種を意味する。
【0036】
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、それらの変性体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記脂環族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、それらの変性体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記具体例のなかでも、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びそれらの変性体が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその変性体が特に好ましい。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。
【0037】
上記エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類及び/又はアミン類のエチレンオキシド付加物が挙げられ、親水性を高める観点から、1分子当たり3個以上のエチレンオキシドユニットを有するものが好適に用いられる。
【0038】
上記アルコール類としては、例えば、1価アルコール類、2価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレンジオール、ネオペンチルグリコール等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0039】
上記フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
上記エチレンオキシドユニットの含有量は、ポリウレタン全体に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。上記含有量が1重量%未満であると、充分に白化を抑制できないおそれがある。上記含有量が20重量%を超えると、低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性が低下することによって、ヘイズ等の光学特性が低下するおそれがある。
【0041】
上記変性ポリイソシアネートの1分子当たりのイソシアネート基の数は、平均で2.0以上であることが好ましい。上記イソシアネート基の数が平均で2.0未満であると、架橋密度の低下により、ポリウレタン組成物が充分に硬化しないおそれがある。
【0042】
ポリウレタン組成物は、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)が1以上であることが好ましい。α比が1未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量が、ポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、ポリウレタン組成物の硬化物が硬くなり、光学透明粘着シートに要求される柔軟性を確保することが困難となる。光学透明粘着シートの柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材を貼り合わせる場合、貼り合わせ面に存在する凹凸及び段差を被覆することができない。また、光学透明粘着シートに要求される粘着力を確保することができないおそれがある。α比は、1<α<2.0を満たすことがより好ましい。α比が2.0以上である場合には、ポリウレタン組成物が充分に硬化しないことがある。
【0043】
[タッキファイヤー]
本発明において、ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートは、その両面において充分な粘着力を有する。
【0044】
上記タッキファイヤーとしては特に限定されず、例えば、石油樹脂系タッキファイヤー、炭化水素樹脂系タッキファイヤー、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー等を含むものが挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
【0045】
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分との相溶性に優れることから、石油樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記石油樹脂系タッキファイヤーの中でも、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物の共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂が好適に用いられる。ジシクロペンタジエンは、C5留分から得られる。上記芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。ジシクロペンタジエンとビニル芳香族化合物との割合は特に限定されないが、重量基準で、ジシクロペンタジエン:ビニル芳香族化合物=70:30〜20:80であることが好ましく、60:40〜40:60であることがより好ましい。上記水添石油樹脂の好ましい軟化点は90〜160℃、好ましいビニル芳香族化合物単位含有量は35質量%以下、好ましい臭素価は0〜30g/100g、好ましい数平均分子量は500〜1100である。上記水添石油樹脂のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の「アイマーブP−100」が挙げられる。
【0046】
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分との相溶性に優れることから、炭化水素樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記炭化水素樹脂系タッキファイヤーの中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が好適に用いられる。上記脂環族飽和炭化水素樹脂のうち公知のものとしては、例えば、荒川化学工業社製の「アルコンP−100」が挙げられる。
【0047】
上記タッキファイヤーは、酸価が1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が1mgKOH/g以下であれば、タッキファイヤーがポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害するのを充分に防止することができる。また、タッキファイヤーの軟化点は、80℃以上、120℃以下であることが好ましく、80℃以上、100℃以下であることがより好ましい。軟化点が80℃以上、120℃以下である場合には、タッキファイヤーをポリオール成分中に溶解させる際に、ポリオール成分が熱によって劣化してしまうのを充分に防止することができる。
【0048】
上記タッキファイヤーの含有量は、ポリウレタン組成物に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。タッキファイヤーの含有量が1重量%未満である場合には、光学透明粘着シートの粘着力を充分に向上できないことがあり、特に、高温・高湿下における粘着力が不充分になることがある。タッキファイヤーの含有量が20重量%を超える場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害し、ポリウレタン組成物の硬化物中にウレタン架橋が充分に形成されなくなることがある。その結果、高温・高湿下において光学透明粘着シートが溶解して形状が変化したり、タッキファイヤーが析出(ブリード)したりすることがある。また、ウレタン架橋を充分に形成するためにポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応時間を長くすると、生産性が低下する。
【0049】
[可塑剤]
本発明において、ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。可塑剤の添加により、低硬度化されることで、本発明の光学透明粘着シートの取り扱い性や段差追従性を向上することができる。なお、可塑剤の添加により接着力は低下するおそれがあるが、本発明の光学透明粘着シートによれば、多少接着力が低下しても充分な接着力を確保できる。
【0050】
上記可塑剤としては、熱可塑性樹脂に柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。上記カルボン酸系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル(フタル酸系可塑剤)や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリ−α−オレフィン等が挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。上記カルボン酸系可塑剤のうち公知のものとしては、例えば、BASF社製の「DINCH」、新日本理化社製の「サンソサイザーDUP」、イネオスオリゴマーズ社製の「Durasyn(登録商標)148」が挙げられる。
【0051】
[触媒]
本発明において、ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン酸錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
【0052】
上記触媒としては、非アミン系触媒が好ましい。アミン系触媒を用いる場合、光学透明粘着シートが変色しやすくなることがある。より好ましい触媒は、ジラウリル酸ジメチル錫である。
【0053】
上記触媒の添加量は、例えば、ポリオール成分、及び、ポリイソシアネート成分の合計量に対して、0.001重量%以上、0.1重量%以下である。
【0054】
[モノイソシアネート成分]
上記ポリウレタン組成物は、更に、モノイソシアネート成分を含有してもよい。モノイソシアネート成分を含有することにより、光学透明粘着シートに要求される柔軟性を損なうことなく、高温・高湿下における粘着力を向上することができる。ポリウレタン組成物のα比が1以上である場合には、硬化物中に未反応のOH基が残存することを防止するために、モノイソシアネート成分が用いられることが好ましい。
【0055】
上記モノイソシアネート成分は、分子内に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、オクタデシルジイソシアネート(ODI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)、イソシアン酸オクチル、イソシアン酸ヘプチル、3−イソシアナートプロピオン酸エチル、イソシアン酸シクロペンチル、イソシアン酸シクロヘキシル、2−メトキシエタンイソシアネート、イソシアナート酢酸エチル、イソシアナート酢酸ブチル、p−トルエンスルフォニルイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。モノイソシアネート成分としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)が好ましい。これは、ポリオール成分との相溶性が良く、疎水性が高いためである。
【0056】
しかしながら、ポリウレタン組成物がモノイソシアネート成分を含有する場合には、モノイソシアネート成分が従来のウレタン骨格を阻害するために特性が低下することがある。また、モノイソシアネート成分が過剰に含有されると、空気中の水分と反応して発泡を引き起こすことがある。このため、本発明の光学透明粘着シートを製造する場合において、設計のロバスト性を考慮すると、ポリウレタン組成物は、モノイソシアネート成分を含有しないことが好ましい。
【0057】
上記ポリウレタン組成物には、光学透明粘着シートの要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
【0058】
本発明の光学透明粘着シートの厚みは特に限定されないが、50μm以上、2000μm以下であることが好ましい。厚みが50μm未満である場合には、光学透明粘着シートの一方の面を光学部材の表面に貼り付けたときに、光学透明粘着シートによって光学部材の表面に存在する凹凸又は段差を被覆することができず、光学透明粘着シートの他方の面と他の光学部材の表面とを充分な接着力で貼り合わせることができないことがある。厚みが2000μmを超える場合には、ヘイズや全光線透過率等の光学特性が充分に得られないことがある。光学透明粘着シートの厚みの、より好ましい下限は100μmであり、更に好ましい下限は200μmであり、特に好ましい下限は250μmである。光学透明粘着シートの厚みの、より好ましい上限は1500μmであり、更に好ましい上限は1000μmである。また、光学透明粘着シートは、被着体の貼り付け面に存在する凹凸又は段差の高さに対して3倍以上の厚みを有することが好ましい。
【0059】
本発明の光学透明粘着シートは、光学透明粘着シートとしての性能を確保するために、ヘイズが1%以下であること、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて測定することができる。ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定され、全光線透過率は、JIS K 7361−1に準拠した方法で測定される。
【0060】
本発明の光学透明粘着シートは、180°剥離試験で測定される粘着力が、常温・常湿下において0.1N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以下であることが好ましい。なかでも、1〜10N/25mmであることがより好ましい。また、上記粘着力が、高温・高湿下において1.0N/25mm以上であることが好ましく、4N/25mm以上、15N/25mm以下であることがより好ましく、10N/25mm以上、15N/25mm以下であることが更に好ましい。光学透明粘着シートの粘着力が15N/25mm以下であれば、光学透明粘着シートをタッチパネル等の光学部材の貼り合わせに用いた場合に、糊残りなく剥がすことができるので、リワーク性に優れる。また、光学透明粘着シートの粘着力が大きくなり過ぎると、光学透明粘着シートと被着体との間に入った気泡を抜くのが困難になることがある。
【0061】
本発明の光学透明粘着シートのマイクロゴムA硬さは、0.1°以上、25°以下であることが好ましい。マイクロゴムA硬さが0.1°未満である場合には、使用時(光学部材への貼り付け時)の取り扱い性が悪く、光学透明粘着シートを変形させてしまうことがある。一方、マイクロゴムA硬さが25°を超える場合には、光学透明粘着シートの柔軟性が低く、光学部材に貼り付ける際に、光学部材の表面形状に追従することができず、空気を噛み込んでしまうことで、光学部材から剥がれる原因となることがある。また、光学透明粘着シートの柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材を貼り合わせる際に、ベゼルの段差を被覆することができないことがある。光学透明粘着シートのマイクロゴムA硬さは、0.5°以上、15°以下であることがより好ましい。マイクロゴムA硬さは、例えば、高分子計器社製のマイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」を用いて測定することができる。マイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」は、スプリング式ゴム硬度計(デュロメータ)A型の約1/5の縮小モデルとして、設計・製作された硬度計であり、測定対象物のサイズが薄くてもスプリング式ゴム硬度計A型の硬度と一致した測定値を取得することができる。
【0062】
本発明の光学透明粘着シートの両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。本発明の光学透明粘着シートと、上記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、上記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものである積層体(以下、「本発明の積層体」ともいう)もまた、本発明の一態様である。第一及び第二の離型フィルムが貼り付けられることにより、本発明の光学透明粘着シートの表面を、被着物に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、粘着性の低下や、異物の付着を防止できる。また、被着物以外に貼りついてしまうことも防止できるので、本発明の光学透明粘着シートの取扱い性を向上することができる。
【0063】
上記第一及び第二の離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。第一の離型フィルムと第二の離型フィルムの材質や厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
本発明の光学透明粘着シートと第一の離型フィルムとの貼り合わせ強度(剥離強度)と、本発明の光学透明粘着シートと第二の離型フィルムとの貼り合わせ強度は、互いに異なることが好ましい。貼り合わせ強度に差があることにより、本発明の積層体から第一及び第二の離型フィルムの一方(貼り合わせ強度が弱い方の離型フィルム)のみを剥離し、露出させた光学透明粘着シートの第一の面と第一の被着体を貼り合わせ、その後に、第一及び第二の離型フィルムの他方(貼り合わせ強度が強い方の離型フィルム)を剥離し、露出させた光学透明粘着シートの第二の面と第二の被着体を貼り合わせることが容易になる。第一の離型フィルムの本発明の光学透明粘着シートと接する側の表面、及び、第二の離型フィルムの本発明の光学透明粘着シートと接する側の表面のいずれか一方、又は、両方に、易剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。易剥離処理としては、例えば、シリコン処理が挙げられる。
【0065】
本発明の光学透明粘着シートの用途は特に限定されないが、例えば、表示パネル、タッチパネル、カバーパネル等を互いに貼り合わせるために用いることができる。本発明の光学透明粘着シートと、表示パネルと、タッチパネルとを備えるタッチパネル付き表示装置(以下、「本発明のタッチパネル付き表示装置」ともいう)もまた、本発明の一態様である。
【0066】
図2は、本発明の光学透明粘着シートを用いたタッチパネル付き表示装置(本発明のタッチパネル付き表示装置)の一例を模式的に示した断面図である。
図2に示す表示装置10では、表示パネル11、光学透明粘着シート12、タッチパネル(ITO透明導電膜付きガラス基板)13、光学透明粘着シート12、及び、透明カバーパネル14が順に積層されている。表示パネル11、タッチパネル13、及び、透明カバーパネル14の3つの光学部材は、2枚の本発明の光学透明粘着シート12により一体化されている。表示パネル11の種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)等を用いることができる。タッチパネル13としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式等の検出方式のものが用いられる。
【0067】
表示パネル11は、表示面側に開口が設けられたベゼル(表示パネル11の筐体)11A内に収容されており、ベゼル11Aの開口の外縁には、ベゼル11Aの厚みに対応した段差が存在する。光学透明粘着シート12は、表示パネル11、及び、ベゼル11Aの表示面側を覆って貼り付けられており、ベゼル11Aの厚みに対応した段差を被覆している。光学透明粘着シート12には、ベゼル11Aの厚みによって形成される段差を被覆するために、段差部に追従することができる柔軟性と、ベゼル11Aの厚みよりも厚いことが求められる。例えば、ベゼル11Aにより生じる段差が200μmの場合、ベゼル11Aに収容された表示パネル11との貼り合わせに用いられる光学透明粘着シート12の厚みは、600μm以上であることが好ましい。本発明の光学透明粘着シート12は、600μm以上の厚みであっても、充分な光学特性及び柔軟性を有するものであり、ベゼル11Aに収容された表示パネル11との貼り合わせに好適に用いることができる。
【0068】
このような表示装置では、本発明の光学透明粘着シートが用いられているため、種々の環境下で用いても、光学透明粘着シートの粘着力が低下しにくく、長期間に渡って光学部材を互いに密着させることができる。その結果、各光学部材と光学透明粘着シートとの間に空隙が発生しないので、界面反射の増加等による視認性の低下を防止することができる。特に、本発明の光学透明粘着シートは、高い信頼性が求められるカーナビゲーション装置に組み込まれる表示装置等に好適である。
【0069】
本発明の光学透明粘着シートの製法は特に限定されず、例えば、ポリウレタン組成物を調製した後、この組成物を従来公知の方法で熱硬化させつつ成形する方法が挙げられ、好ましくは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を攪拌混合してポリウレタン組成物を調製する工程と、ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含む。
【0070】
製法の具体例としては、まず、所定量のタッキファイヤーを、ポリオール成分に添加し、加温及び攪拌して溶解させることによって、マスターバッチを調製する。続いて、得られたマスターバッチ、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、必要に応じて触媒等の他の成分を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状のポリウレタン組成物を得る。その後、即座にポリウレタン組成物を成形装置に投入し、第一及び第二の離型フィルムによって挟んだ状態でポリウレタン組成物を移動させながら架橋硬化させることで、ポリウレタン組成物が半硬化され、第一及び第二の離型フィルムと一体化されたシートを得る。その後、炉で一定時間架橋反応させることで、ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートが得られ、本発明の積層体が完成する。
【0071】
図3は、本発明の光学透明粘着シートの作製に用いる成形装置の一例を説明するための模式図である。
図3に示す成形装置20では、まず、硬化前の液状又はゲル状のポリウレタン組成物23を、離間して配置された一対のロール22から連続的に送り出される一対の離型フィルム(PETフィルム)21の間隙に流し込む。そして、一対の離型フィルム21の間隙にポリウレタン組成物23を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置24内に搬入する。加熱装置24内において、ポリウレタン組成物23は、一対の離型フィルム(PETフィルム)21間に保持された状態で熱硬化し、ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12の成形が完了する。
【0072】
本発明の光学透明粘着シートの製法としては、硬化前のポリウレタン組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレード等の汎用の成膜装置や成膜方法を用いるものであってもよい。また、遠心成形法を用いて本発明の光学透明粘着シートを作製してもよい。
【0073】
本発明の光学透明粘着シートを基材に貼りつける光学透明粘着シートの貼り合わせ方法もまた、本発明の一態様である。光学透明粘着シートを貼り合わせる前にアニールして脱水し、カールフィッシャー測定での水分率を400ppm以下にすれば、長期保存によって吸湿量がたとえ飽和状態になったとしても、貼り合わせ後に剥離が発生することを防止できる。また、異物が界面に混入していても、剥離の発生を防止できる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0075】
(配合原料)
下記の実施例及び比較例において、ポリウレタン組成物を調製するために用いた配合原料は以下の通りである。
(A)ポリオール成分
・ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:2500)
(B)ポリイソシアネート成分
・HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)
(C)タッキファイヤー
・水添石油樹脂系タッキファイヤー(出光興産社製の「アイマーブP−100」)
(D)触媒
・ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL−28」)
【0076】
なお、HDI系ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)は、HDI及び/又はHDIモノマーを出発物質とするポリイソシアネートに対して、1分子当たり平均3個以上のエチレンオキシドユニットを有するエーテルポリオールを反応させて得られたものである。
【0077】
(実施例1)
まず、100〜150℃に温調したポリオレフィンポリオール(EPOL)に、固形状の水添石油樹脂系タッキファイヤー(アイマーブP−100)を添加し、攪拌することによって、ポリオレフィンポリオール中にタッキファイヤーを溶解させたマスターバッチを得た。このとき、マスターバッチにおけるタッキファイヤーの含有量は30重量%に調整した。次に、ポリオレフィンポリオール(EPOL)100重量部、HDI系ポリイソシアネート36.5重量部、タッキファイヤーマスターバッチ186.9重量部、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫)0.02重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、α比=1.7のポリウレタン組成物を調製した。
【0078】
その後、得られたポリウレタン組成物を
図3に示した成形装置20に注入した。そして、ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)21によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度50〜90℃、炉内時間数分間の条件で架橋硬化させ、離型フィルム21付きのシートを得た。その後、加熱装置24で10〜15時間架橋反応させ、両面に離型フィルム21が設けられた、ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12(以下では、「離型フィルム付き光学透明粘着シート」ともいう)を作製した。
【0079】
図4は、実施例1の離型フィルム付き光学透明粘着シートを模式的に示した断面図である。
図4に示すように、得られた離型フィルム付き光学透明粘着シートは、離型フィルム21、ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12、離型フィルム21の積層体であった。光学透明粘着シート12の厚みは1500μmであった。
【0080】
(光学透明粘着シートの評価)
(1)ディレイバブル試験
実施例1の離型フィルム付き光学透明粘着シートを作製後直ちに、下記(i)〜(v)の手順でガラス板に貼りつけ、常温・常湿環境のクリーンルーム内に放置した。
(i)離型フィルム付き光学透明粘着シートの一方の面から、貼り合わせ強度が弱い方の離型フィルムを剥がした。
(ii)真空貼り合わせ機を用いて、離型フィルムを剥がした面にガラス板を真空中で貼り合わせた。
(iii)離型フィルム付き光学透明粘着シートの他方の面から、貼り合わせ強度が強い方の離型フィルムを剥がした。
(iv)離型フィルムを剥がした面に、球状のガラスビーズ(Φ=200μm)を手で散布した。
(v)真空貼り合わせ機を用いて、ガラスビーズを散布した面にガラス板を真空中で貼り合わせた。
【0081】
その後、4時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、168時間後、192時間後に、放置時間ごとに4つずつ試料を取り出し、光学透明粘着シートとガラス板との界面にディレイバブル(放置後の気泡)が発生しているかを確認した。更に、取り出した試料(光学透明粘着シート単体)の水分率をカールフィッシャー水分計(京都電子工業社製)で測定した。カールフィッシャー水分計は、メインコントロールユニット(型番:MCU−710M/S)と水分気化装置(型番:ADP−611)を備えるものである。試料を水分気化装置内に入れて300℃まで加熱することで、試料内部の水分を気化させ、その量を計測することで、水分率を求めた。
【0082】
確認結果は、以下の通りであった。4つの試料から得られた水分率の測定値のうち、最大値と最小値を除いた測定値の平均を取って測定結果とした。
4時間放置:120ppm
24時間放置:379ppm
48時間放置:374ppm
72時間放置:567ppm
96時間放置:803ppm
168時間放置:588ppm
192時間放置:671ppm
【0083】
上記のように、クリーンルーム内への放置時間が48時間以内の場合には、カールフィッシャー測定での水分率が平均400ppm以下であり、ディレイバブルの発生は見られなかった。また、クリーンルーム内への放置時間が72時間の場合には、カールフィッシャー測定での水分率が平均567ppmとなり、ディレイバブルがわずかに発生した。クリーンルーム内への放置時間が96時間を超えた場合には、カールフィッシャー測定での水分率が平均800ppmを超え、ディレイバブルが発生した。
【0084】
(2)後浮き試験
A.吸湿処理
実施例1の離型フィルム付き光学透明粘着シートを作製後、85℃85%の高温高湿環境に3時間投入し、水分量を飽和状態(2000〜3000ppm)にした。
【0085】
B.プレアニール
吸湿処理後の離型フィルム付き光学透明粘着シートを85℃で乾燥(アニール)し、脱水処理した。アニール時間は、10分間、30分間、1時間の試料を作製した。アニール時間10分の試料はカールフィッシャー測定での水分率が900ppm、アニール時間30分の試料は水分率が550ppm、アニール時間1時間の試料は水分率が400ppmであった。
【0086】
C.貼合わせ
アニールなし、アニール時間10分、アニール時間30分、アニール時間1時間の各試料(光学透明粘着シート)を下記(i)〜(v)の手順でガラス板と貼り合わせた。
(i)離型フィルム付き光学透明粘着シートの一方の面から、貼り合わせ強度が弱い方の離型フィルムを剥がした。
(ii)真空貼り合わせ機を用いて、離型フィルムを剥がした面にガラス板を真空中で貼り合わせた。
(iii)離型フィルム付き光学透明粘着シートの他方の面から、貼り合わせ強度が強い方の離型フィルムを剥がした。
(iv)離型フィルムを剥がした面に、球状のガラスビーズ(Φ=200μm)を手で散布した。
(v)真空貼り合わせ機を用いて、ガラスビーズを散布した面にガラス板を真空中で貼り合わせた。
【0087】
D.加速試験
ガラス板と貼り合わせた試料を、95℃の乾燥環境のオーブン中に投入した。オーブン投入後、剥離(後浮き)が発生しているかを確認した。
【0088】
上記手順で実施した後浮き試験の結果、アニールなしの試料は、オーブン投入後に顕著な後浮きが発生した。一方、アニール時間10分及びアニール時間30分の試料は、オーブン投入後にわずかな後浮きが発生した。わずかな後浮きは、オートクレーブで加圧することで消失させることができた。アニール時間1時間の試料は、オーブン投入後に後浮きが発生しなかった。
【0089】
(3)マイクロゴムA硬さ
離型フィルム付き光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。各試験片について、高分子計器社製のマイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」を用いて、常温における硬度を測定した。なお、本測定では、直径が0.16mmの円柱形で、高さが0.5mmの押針を用いた。また、1つの試験片を準備して4回ずつ測定した。得られた4つの測定値のメジアン(中央値)は9.2°であった。
【0090】
(4)粘着力
下記の方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。
図5は、光学透明粘着シートの粘着力の評価方法を説明するための模式図である。まず、実施例1で作製した離型フィルム付き光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート12とスライドガラス31とを貼り合わせた。次に、スライドガラス31とは反対側の離型フィルムを剥離し、
図5(a)に示すように、光学透明粘着シート12のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)32を貼り合わせた。
【0091】
その後、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)下で12時間放置した後、
図5(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、光学透明粘着シート12をスライドガラス31との界面で剥離させ、スライドガラス31に対する光学透明粘着シート12の粘着力を測定した。なお、各実施例及び比較例に対しては、2つの試験片を準備して測定した。得られた2つの測定値の平均値は、8.5(N/25mm)であった。
【0092】
(5)光学特性
離型フィルム付き光学透明粘着シートの片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート側をスライドガラスに貼り付け、圧力0.4Mpaで30分間保持し、光学透明粘着シートとスライドガラスとを貼り合わせた。その後、スライドガラスとは反対側の離型フィルムを剥離し、以下の測定を行った。
【0093】
(5−1)ヘイズ
日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて、JIS K 7136に準拠した方法でヘイズを測定した。なお、3つの試験片を準備し、常温・常湿下で測定した。得られた3つの測定値の平均値は、0.31%であった。
【0094】
(5−2)全光線透過率
日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて、JIS K 7361−1に準拠した方法で全光線透過率を測定した。なお、3つの試験片を準備し、常温・常湿下で測定した。得られた3つの測定値の平均値は、91.5%であった。
【0095】
(6)紫外線暴露後の黄変
離型フィルム付き光学透明粘着シートの両面から離型フィルムを剥離し、両面がスライドガラスに挟み込まれた光学透明粘着シートの試験片を準備した。この試験片を、スーパーキセノンウェザーメーターを用いて、照射波長:300〜400nm、照度:68W/m
2、60℃固定(降雨なし)の条件下に72時間暴露した。その後、色差計(スガ試験機社製の「Colour Cute i」)のΔYI値を評価指標として黄変度を評価した。なお、紫外線暴露後の黄変度は、車載用途等において長期(例えば、10年間)に渡って紫外線に晒されたとしても透明度を維持できる性能が求められることを考慮し、1.0以下を目標値とした。測定結果は、0.37であった。
【0096】
(7)耐久性
離型フィルム付き光学透明粘着シートの片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート側をスライドガラス(ソーダガラス製)に貼り付け、圧力0.4Mpaで30分間保持し、光学透明粘着シートとスライドガラスとを貼り合わせた。その後、スライドガラスとは反対側の離型フィルムを剥離し、高温・常湿下(95℃)、高温・高湿下(85℃、85%)でそれぞれ168時間放置した後、目視により光学透明粘着シートの状態を観察した。なお、高温・常湿条件では、送風オーブンにより温度のみを95℃に設定し、湿度の設定はしなかった。
【0097】
上記観察の結果、高温・常湿下での外観変化はなく、高温・高湿下での外観変化もなかった。
【0098】
以上の結果から分かるように、実施例1の光学透明粘着シートは、マイクロゴムA硬さ、粘着力、光学特性(透明性)、紫外線暴露後の黄変度及び耐久性のいずれについても良好な結果であった。
本発明は、柔軟性に優れ、厚膜化が可能なポリウレタンを用いて、アウトガス等に起因する貼合わせ後の剥離を抑制し、耐環境性に優れた光学透明粘着シートを提供する。本発明の光学透明粘着シートは、ポリウレタンからなる光学透明粘着シートであって、上記ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有するポリウレタン組成物の硬化物であり、上記ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含み、カールフィッシャー測定での水分率が400ppm以下である。