特許第6366886号(P6366886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366886
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/12 20090101AFI20180723BHJP
   H04W 76/20 20180101ALI20180723BHJP
【FI】
   H04W36/12
   H04W76/20
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-516890(P2018-516890)
(86)(22)【出願日】2017年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2017013625
(87)【国際公開番号】WO2017195497
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2018年4月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-95593(P2016-95593)
(32)【優先日】2016年5月11日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】カップチョアン ステファン
(72)【発明者】
【氏名】岩科 滋
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅純
【審査官】 石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/047374(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/053435(WO,A1)
【文献】 3GPP TS 23.401 V13.6.1,2016年 3月24日,pp.210-216
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末が在圏可能なセル毎に設けられる複数の基地局装置に含まれる第1基地局装置及び第2基地局装置と、前記基地局装置に対応付けられると共に前記ユーザ端末のデータの送受信を制御する装置である複数のゲートウェイ装置と、前記複数の基地局装置の何れかを経由し前記複数のゲートウェイ装置に含まれるゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に設けられる通信経路の確立及び切断に係る処理を行う接続制御装置と、を含む通信システムにおいて、前記ユーザ端末が前記第1基地局装置の配下のセルから前記第2基地局装置の配下のセルに対して移動する際の通信方法であって、
前記接続制御装置は、前記基地局装置に対応付けられる前記ゲートウェイ装置を特定する情報を記憶する制御情報記憶部を有し、
前記ユーザ端末は、前記第1基地局装置を経由して、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間で第1通信経路を有し、
前記接続制御装置が、前記第1基地局装置から、前記第1通信経路を前記第2基地局装置を経由する経路に変更する要求を受信する経路変更要求受信ステップと、
前記接続制御装置が、前記制御情報記憶部に記憶されている情報を参照して、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致するか否かを判定するゲートウェイ装置判定ステップと、
前記ゲートウェイ装置判定ステップにおいて、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致しないと判定された場合に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を前記第2基地局装置を経由する経路に変更する第1通信経路変更ステップと、
前記第1通信経路変更ステップの後に、前記接続制御装置が、前記ユーザ端末と、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間に、前記第2基地局装置を経由する第2通信経路を設ける第2通信経路新規確立ステップと、
前記第2通信経路新規確立ステップの後に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を切断する変更後第1通信経路切断ステップと、
を有する通信方法。
【請求項2】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末が在圏可能なセル毎に設けられる複数の基地局装置に含まれる第1基地局装置及び第2基地局装置と、前記基地局装置に対応付けられると共に前記ユーザ端末のデータの送受信を制御する装置である複数のゲートウェイ装置と、前記複数の基地局装置の何れかを経由し前記複数のゲートウェイ装置に含まれるゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に設けられる通信経路の確立及び切断に係る処理を行う接続制御装置と、を含む通信システムにおいて、前記ユーザ端末が前記第1基地局装置の配下のセルから前記第2基地局装置の配下のセルに対して移動する際の通信方法であって、
前記第1基地局装置及び前記第2基地局装置は、それぞれ自装置が対応付けられている前記ゲートウェイ装置に係る情報を記憶し、
前記ユーザ端末は、前記第1基地局装置を経由して、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間で第1通信経路を有し、
前記第1基地局装置が、前記第2基地局装置から前記第2基地局装置に対応付けられている前記ゲートウェイ装置を特定する情報を取得する制御装置情報取得ステップと、
前記第1基地局装置が、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致するか否かを判定する対応装置判定ステップと、
前記対応装置判定ステップにおいて、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致しないと判定された場合に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を維持した状態で、前記ユーザ端末と、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間に、前記第2基地局装置を経由する第2通信経路を設ける第2通信経路確立ステップと、
前記第2通信経路確立ステップの後に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路に対応する制御用の通信経路を維持した状態で、前記第1通信経路を切断する第1通信経路切断ステップと、
前記接続制御装置が、前記制御用の通信経路を、前記第2通信経路に対応した経路に変更する制御経路変更ステップと、
を有する通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザ端末が在圏するセルを移動する際には、ユーザ端末から基地局装置を経由してゲートウェイ装置を経由して設けられる通信経路の経路を変更する処理が行われる。例えば、特許文献1では、ユーザ端末が移動したために複数のゲートウェイ装置を経由して冗長となった通信経路を修正する等の構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許第2011/118196号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、従来は多数の基地局装置に対して集約して配置されていたゲートウェイ装置を分散配置することで、通信の遅延を低減することが検討されている。しかしながら、特許文献1に示すように、ユーザ端末の移動に応じて複数のゲートウェイ装置を経由する通信経路を設けながらのユーザ端末の移動を許容すると、通信の遅延が増大することが考えられる。一方、ゲートウェイ装置の変更が必要なセル間の移動が発生する際に適切な通信経路を確保しようとすると、通信経路の再設定等が必要となり、通信が瞬断される可能性がある。
【0005】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、ユーザ端末がセル間を移動する際の通信を好適に継続することが可能な通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る通信方法は、ユーザ端末と、前記ユーザ端末が在圏可能なセル毎に設けられる複数の基地局装置に含まれる第1基地局装置及び第2基地局装置と、前記基地局装置に対応付けられると共に前記ユーザ端末のデータの送受信を制御する装置である複数のゲートウェイ装置と、前記複数の基地局装置の何れかを経由し前記複数のゲートウェイ装置に含まれるゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に設けられる通信経路の確立及び切断に係る処理を行う接続制御装置と、を含む通信システムにおいて、前記ユーザ端末が前記第1基地局装置の配下のセルから前記第2基地局装置の配下のセルに対して移動する際の通信方法であって、前記接続制御装置は、前記基地局装置に対応付けられる前記ゲートウェイ装置を特定する情報を記憶する制御情報記憶部を有し、前記ユーザ端末は、前記第1基地局装置を経由して、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間で第1通信経路を有し、前記接続制御装置が、前記第1基地局装置から、前記第1通信経路を前記第2基地局装置を経由する経路に変更する要求を受信する経路変更要求受信ステップと、前記接続制御装置が、前記制御情報記憶部に記憶されている情報を参照して、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致するか否かを判定するゲートウェイ装置判定ステップと、前記ゲートウェイ装置判定ステップにおいて、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致しないと判定された場合に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を前記第2基地局装置を経由する経路に変更する第1通信経路変更ステップと、前記第1通信経路変更ステップの後に、前記接続制御装置が、前記ユーザ端末と、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間に、前記第2基地局装置を経由する第2通信経路を設ける第2通信経路新規確立ステップと、前記第2通信経路新規確立ステップの後に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を切断する変更後第1通信経路切断ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザ端末がセル間を移動する際の通信を好適に継続することが可能な通信方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一形態に係る通信方法が実行される通信システムの概略構成を説明する図である。
図2】通信システムに含まれる各装置のハードウェア構成を説明する図である。
図3】eNB及びMMEの機能ブロックを説明する図である。
図4】第1の方法の概略を説明する図である。
図5】第1の方法で用いられる情報の例を説明する図である。
図6】第1の方法について説明するシーケンス図である。
図7】第2の方法の概略を説明する図である。
図8】第2の方法について説明するシーケンス図である。
図9】第2の方法について説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一形態に係る通信方法が実行される通信システム1の概略構成を説明する図である。図1に示すように、通信システム1は、LTE(Long Term Evolution)ネットワークの通信規格(通信プロトコル)に準拠して、端末装置に対してVoLTE(Voice over LTE)等のデータ通信を提供する通信システムである。通信システム1は、第1eNB(eNodeB)20A、第2eNB20B、MME(Mobility Management Entity)30、第1S/PGW(Serving Gateway/Packet Data Gateway)40A、第2S/PGW40B、第1MEC(Mobile Edge Computing)サーバ50A、第2MECサーバ50Bを含んで構成されている。スマートフォン、タブレット端末等により実現されるUE(User Equipment)10(ユーザ端末)は、この通信システム1と通信接続することにより通信を行う。図1では、UE10が移動手段により移動中である場合を示しているため、UE10として車両を示している。なお、図面においては、第1eNB、第2eNB、第1S/PGW、及び第2S/PGW、第1MECサーバ、及び第2MECサーバは、それぞれ、eNB1、eNB2、S/PGW1、S/GW2、MEC1、MEC2と表示している。
【0011】
第1eNB20A(第1基地局装置),第2eNB20B(第2基地局装置)は、MME30に接続された無線基地局であるとともに、無線アクセス制御機能を有した基地局装置である。第1eNB20A,第2eNB20Bは、それぞれUE10が在圏可能なセルを管理し、セル内に在圏するUE10から発信があった際の受付制御機能、及び、他のUE10等からUE10に着信があった際にUE10を呼び出すページング機能を基本機能として有している。
【0012】
MME30(通信制御装置)は、ネットワークに在圏するUE10の位置管理、認証制御、及び第1S/PGW40A,第2SS/PGW40BとeNB20との間のユーザデータの通信経路の設定処理を行う部分である。MME30は、eNB20の配下のUE10と、第1S/PGW40A,第2S/PGW40Bとの通信経路(PDNコネクション)の設定処理に係る情報を保持すると共に、経路情報に基づいてPDNコネクションの確立及び解放に係る制御を行う。すなわち、MME30は、本実施形態における接続制御装置として機能する。
【0013】
第1S/PGW40A,第2S/PGW40Bは、それぞれ、SGW及びPGWをまとめて示したものである。SGWは、PGWとの間でユーザデータの送受信を行うと共に、eNBを介してUE10とも接続されてUE10との間でデータの伝送を行う交換機として機能する。また、PGWは、SGW4と接続可能にされ、音声サービス、インターネット接続サービス等の通信サービスを提供するパケットネットワークとの接続点であるゲートウェイ(交換機)として機能する。本実施形態では、PGWをゲートウェイ装置と呼ぶ。したがって、SGWとPGWとが一体化されたS/PGWについてもゲートウェイ装置として説明する場合がある。また、本実施形態では、SGW及びPGWをまとめてS/PGWとして表示しているが、従来通りこれらの装置は独立していてもよい。上記のMME,SGW及びPGWは、LTEネットワークにおけるEPC(Evolved Packet Core)を構成するノードである。
【0014】
なお、本実施形態では、第1S/PGW40Aは、第1eNB20Aに対して接続し、第2S/PGW40Bは、第2eNB20Bに対して接続している。すなわち、第1eNB20A及び第2eNB20Bは、互いに異なるS/PGWに対して接続している。本実施形態では、この状態を、それぞれ、第1eNB20Aは第1S/PGW40Aに対応付けられている、第2eNB20Bは第2S/PGW40Bに対応付けられている、という。
【0015】
第1MECサーバ50A、第2MECサーバ50Bは、それぞれ第1S/PGW40A、第2S/PGW40Bに対して接続するサービス提供装置であり、UE10に対してサービスを提供する機能を有する。MECサーバが提供するサービスとは、例えば、車両の自動運転等が挙げられる。本実施形態では、サービス提供装置の一つとしてMECサーバを示しているが、サービス提供装置はMECサーバに限定されない。
【0016】
図1に示す第1eNB20A、第2eNB20B、MME30、第1S/PGW40A、第2S/PGW40Bは、それぞれ、図2に示すように、CPU101(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM102(Random Access Memory)及びROM103(Read Only Memory)、データ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等に例示される補助記憶装置105、入力デバイスであるタッチパネル及びキーボード等に例示される入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されていてもよい。上記の各装置では、それぞれ、図2に示すCPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102及び/又は補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで、各装置における一連の機能が実現される。図2で説明したブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0017】
また、第1eNB20A、第2eNB20B、MME30、第1S/PGW40A、第2S/PGW40Bは、それぞれ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0018】
図1に戻り、通信システム1におけるUE10との接続に関して説明する。UE10がMECサーバにより提供されるサービスを利用する場合、UE10とMECサーバ(例えば、第1MECサーバ50A)との間にデータの送受信を行うためのPDN(Packet Data Network)コネクション(通信経路)が設けられる。PDNコネクションは、UE10から、eNB(例えば、第1eNB20A)及びS/PGW(例えば、第1S/PGW40A)を経由し、MECサーバ(例えば、第1MECサーバ50A)に到達することを目的として設けられる。PDNコネクションの接続及び切断に係る処理を制御するのがMME30である。また、eNBは、UE10の移動に伴いセル間の移動が必要となった場合に、MME30に対してセル間の移動に対応するPDNコネクションの変更(ハンドオーバ)を要求する機能を有する。
【0019】
したがって、図3に示すように、eNB(第1eNB20A,第2eNB20B)は、PDNコネクションに係る監視及び制御を行う経路制御部21を有する。また、MME30は、eNBからPDNコネクションの変更要求等を受信する制御要求受信部31と、eNBからの要求等に基づいてPDNコネクションの接続(確立)、切断及び変更等の処理を行う制御処理部32と、制御処理部32が行うPDNコネクションの接続等を行うための情報が記憶された制御情報記憶部33と、を有する。制御情報記憶部33では、例えば、UE10の接続するS/PGWに係る情報、及び、S/PGWとセル(eNB)との対応関係を示す情報等が記憶されるが、制御情報記憶部33で記憶される情報については後述する。
【0020】
なお、PDNコネクションとは、UE10とMECサーバ等のサービス提供装置との間でユーザデータを送受信するための通信経路である。ただし、PDNコネクションを設ける際には、UE10とMME30との間でeNBを経由して制御信号を送受信する制御用の通信経路としての制御コネクションも設けられる。制御コネクションは、PDNコネクションと同一のeNBを経由してMME30と接続される。制御コネクションは、UE10が最初にネットワークに接続(Attach)した際に、eNBを経由してMME30との間で設けられ、UE10の移動と共に経由するeNBを変更(ハンドオーバ)しながら、接続が維持される通信経路である。
【0021】
ここで、本実施形態に係る通信システム1では、前提としてS/PGWが複数のeNB毎に設けられると共に、サービス提供装置がS/PGW毎に複数設けられているとする。具体的には、図1に示すように、第1S/PGW40Aの配下に第1eNB20Aを含む複数のeNBが設けられると共に、第1S/PGW40Aは、第1MECサーバ50Aと接続されているとする。また、第2S/PGW40Bの配下に第2eNB20Bを含む複数のeNBが設けられると共に、第2S/PGW40Bは、第2MECサーバ50Bと接続されているとする。従来から、S/PGW及びMECは、それぞれ地理的に集約されている構成である場合が多く、例えば、1台のS/PGWに対して多数のeNBが接続されている一方で、PDNコネクションの折り返し等が多く発生するため通信の遅延が発生する可能性があった。本実施形態に係る通信システム1は、上記の従来からの遅延という課題に対応すべく、S/PGW及びサービス提供装置を分散配置することで、通信の遅延を抑制することを試みている。
【0022】
ここで、UE10が第1eNB20Aの配下のセルから、第2eNB20Bの配下のセルへ移動するとする。従来のようにS/PGWが集約されている場合には、セル間をUE10が移動する際にはハンドオーバが行われる。すなわち、1つのPDNコネクションを維持しながら経由する基地局装置を変更する処理が行われる。一方、第1eNB20Aから第2eNB20BへのUE10の移動のように、eNBに対応するS/PGW(特にPGW)が変更となる移動の場合には、これまで使用していたPDNコネクションを切断すると共にPDNコネクションを新たに設ける、すなわち、PDNの再接続を行う必要がある。図1に示す例では、UE10が移動先の第2eNB20Bでもサービス提供装置から提供されるサービスを受けようとする場合、第1eNB20A側の第1のPDNコネクション(図1中のPDN1)を切断すると共に、第2eNB20B側の第2のPDNコネクション(図1中のPDN2)を設ける必要がある。一般に、PDNコネクションの再接続は、PDNコネクションの切断及び接続という処理が発生し、PDNコネクションを利用できない時間が増大し処理が遅延する可能性がある。処理の遅延は、サービス提供装置からのサービスを好適に受けることができない可能性がある。
【0023】
そこで、本実施形態に係る通信システム1による通信方法では、上記の問題、すなわち、PDNコネクションの再接続が必要なセル間の移動、すなわち、基地局装置に対応するゲートウェイ装置が互いに異なる基地局装置間の移動において、通信の遅延を防ぐための構成を有している。すなわち、PDNコネクションの切断及び接続に係る処理を工夫することで、PDNコネクションを利用できない時間を低減し、サービス提供装置からのサービスを好適に受けることが可能な構成を実現している。以下の実施形態では、上記の課題を解決する手法を有する通信手法である2つの方法について説明する。
【0024】
(第1の方法)
本実施形態に係る通信方法のうち、第1の方法の概略について図4を参照しながら説明する。第1の方法は、先に設けていたPDNコネクションのハンドオーバを実施し、当該PDNコネクションを維持した状態で新たなPDNコネクションを設ける手法である。この第1の方法は、第1eNB20A、第2eNB20Bに対して、自装置が従来接続するSGW(例えば、第1eNB20Aの場合には、第1S/PGW40A)以外の周辺のSGW(第1eNB20Aの場合には第2S/PGW40Bが該当し、第2eNB20Bの場合には第1S/PGW40Aが該当する)と接続するS1インタフェースを持たせることに基づいて実現可能となる。また、第1の方法では、このS1インタフェースを利用したS1ハンドオーバを利用する。また、第1の方法では、MMEにおいてPDNコネクションのハンドオーバ及び新たなPDNコネクションの接続に係る判断を行うことを特徴とする。
【0025】
具体的には、図4(A)に示すように、UE10が第1eNB20Aの配下のセルから、第2eNB20Bの配下のセルへ移動する際に、UE10から第1eNB20A、第1S/PGW40A、第1MECサーバ50Aを接続する第1PDNコネクション(PDN1)についてハンドオーバを実施する。その後、図4(B)に示すように、UE10が移動先のセルで用いる第2PDNコネクション(PDN2)を接続した後に、第1PDNコネクションを削除する方法である。
【0026】
図4に示す処理を実行するためには、UE10の移動に伴うハンドオーバ要求を第1eNB20Aから受信した場合に、MME30において、移動先のeNBに対応したS/PGWのうち、特にPGWが移動前に接続しているPGWと同じであるか否かを判断する必要がある。すなわち、移動先のeNBに対応したPGWが移動前に接続しているPGWとは異なる場合には、上記の図4に示す処理、すなわちPDNコネクションの再接続が必要となるためである。
【0027】
そのため、MME30の制御情報記憶部33には、図5(A)〜図5(C)に示す情報が保持される。図5(A)は、UEを特定する情報に対応付けて記憶されるUEが接続するゲートウェイ装置(S/PGW)を特定する情報である。図5(A)に示す情報に基づいて、UEが接続するS/PGWを特定することが可能である。図5(B)は、ゲートウェイ装置とセルとの対応関係とを示す情報であり、ゲートウェイ装置を特定する情報(ここでは、SGWを特定する情報)と、セルを特定する情報(すなわち、eNBを特定する情報に対応する)と、が対応付けられている。MME30では、移動先のセル(eNB)を特定できるため、図5(B)に示す情報を利用することで、eNBに対応するSGWと特定することが可能となる。さらに、図5(C)は、SGWとPGWとの対応関係を示す情報である。本実施形態では、SGWとPGWとが一対の装置となっている場合について説明しているが、実際には、SGWとPGWとは一対一の関係とはなっていない場合がある。したがって、SGWに対応するPGWを特定する情報として、図5(C)に示すような情報を保持することで、UE10の移動に伴ってUE10が接続するeNBが変更することで、移動先のeNBに対応するPGWが変更となるか否かをMME30が把握できる。そして、PGWが変更となる場合には、上記の図4で示したようなPDNコネクションの再接続に係る処理が発生するということになる。
【0028】
なお、第1の方法を実現するためには、他のS/PGWに対応するeNBの配下のセルが近接に存在する場合に、eNBは自装置に対応するSGWとは異なるSGWとの接続可能なS1インタフェースを備えていることが前提である。eNBがS1インタフェースを備えていることで、近接する他のS/PGWに対応するeNBの配下にUE10が移動した場合の第1PDNコネクションのハンドオーバが可能となる。
【0029】
第1の手法に係る一連の流れを、図6のシーケンス図を参照しながら説明する。
【0030】
まず、前提として、UE10が図4(A)に示すように、第1eNB20A及び第1S/PGW40Aを経由する第1PDNコネクション(PDN1)を設けているとする(S01)。次に、UE10における通信品質測定等の結果、UE10についてハンドオーバが必要であると第1eNB20Aが判断したとする(Handover Decision:S02)。このとき、第1eNB20AからMME30に対して、第1PDNコネクションの変更要求(ハンドオーバ要求)を送信する(Path Switch Request:S03:経路変更要求受信ステップ)。PDNコネクションの変更要求(ハンドオーバ要求)には、UE10からの通信品質測定結果に基づくUE10の移動先のセルを指示する情報が含まれる。
【0031】
MME30の制御要求受信部31が第1eNB20Aからの要求を受信すると、制御処理部32において、第1eNB20Aから送信されたUE10の移動先のセルに係る情報と、制御情報記憶部33に記憶された情報とに基づいて、UE10の移動先のeNBに対応するPGWが変更となるか、すなわち、PDNコネクションの再接続に係る処理が必要であるかを判断する(S04:ゲートウェイ装置判定ステップ)。具体的には、制御情報記憶部33に記憶された情報に基づいて、ハンドオーバ先のセルのeNBに対応するPGWが移動前のセルのeNBに対応するPGWと一致するか否かに基づいて、PDNコネクションの再接続が必要であるか否かを判定する。なお、UE10の移動先のeNBに対応するPGWが複数ある場合も考えられる。その場合には、予め定められているポリシー等に基づいて、MME30が適切なPGWを選択する。
【0032】
なお、第1の方法では、判定結果に依らず、第1PDNコネクションのハンドオーバ自体は行われるので、第2eNB20Bを経由するように、ハンドオーバに係る処理を行う(S05:第1通信経路変更ステップ)。ハンドオーバに係る処理は既存の処理である。ハンドオーバの結果、第1PDNコネクション(PDN1)は、第2eNB20B及び第1S/PGW40Aを経由するコネクションとなる(S06)。なお、第1PDNコネクションのハンドオーバと同時に、制御コネクションのハンドオーバも行われる。制御コネクションのハンドオーバは公知の処理であるので、詳細の説明を省略する。
【0033】
上記のPDNコネクションの再接続に係る処理の要否に係る判定(S04)の結果、再接続に係る処理が不要であると判定された場合(S04−NO)には、ここまでの処理で終了する。一方、PDNコネクションの再接続に係る処理の要否に係る判定(S04)の結果、再接続に係る処理が必要であると判定された場合(S04−YES)には、以下の処理が行われる。ハンドオーバ先のセルのeNBに対応するPGWが移動前のセルのeNBに対応するPGWと一致しない場合、新たなPGWを経由するPDNコネクションを接続するための処理を行う(S07:第2通信経路新規確立ステップ)。PDNコネクションの接続に係る処理自体は、公知の技術を適用できる。このPDNコネクションの接続に係る処理が完了することで、第2eNB20B及び第2S/PGW40Bを経由する第2PDNコネクション(PDN2)が設けられ、第2MECサーバ50Bを利用したデータの送受信が開始される(S08)。その後、MME30が第1PDNコネクション(PDN1)の切断処理を行う(S09:変更後第1通信経路切断ステップ)。第1PDNコネクションの切断処理は公知の処理である。
【0034】
以上の処理により、セルを移動した後のUE10のデータの送受信には、新たに設けられた第2PDNコネクション(PDN2)が利用されると共に、第1PDNコネクション(PDN1)は切断される。
【0035】
このように、本実施形態に係る通信方法の第1の方法によれば、対応するゲートウェイ装置(PGW)が互いに異なるセル間をUE10が移動する際に、まず、PGWを変更せずに第1PDNコネクションをハンドオーバして移動先のセルの基地局装置(eNB)を経由する経路に変更した後、移動先の基地局装置及びゲートウェイ装置を経由する第2PDNコネクションを設ける。そして、第2PDNコネクションを設けた後に、第1PDNコネクションを切断する。このような構成とすることで、第1PDNコネクションから第2PDNコネクションへの切り替えのために通信が途絶える時間を短くできるため、UE10とサービス提供装置(MECサーバ)との間の通信をより好適に継続できる。
【0036】
また、上記の構成を実現するためには、MME30が基地局装置(eNB)に対応付けられたゲートウェイ装置(PGW)の情報を制御情報記憶部33に記憶している。第1の方法では、MME30が基地局装置(eNB)に対応付けられたゲートウェイ装置(PGW)の情報を集約して保持しているため、MME30が主導となって通信経路(PDNコネクション)の確立及び切断を制御している。
【0037】
また、上記のような通信の遅延等を防ぐ手法として、UE10が複数のPDNコネクションを設けること自体は検討されていた。ただし、従来は、UE10が第2eNB20B配下のセルへ移動する前、すなわち、第1eNB20A配下のセルに在圏している状態で、予め第2のPDNコネクションに相当するコネクションを設ける。そして、UE10の移動に伴って使用するPDNコネクションをハンドオーバさせる手法が考えられていた。しかしながら、この場合には、予め設けられるPDNコネクションに係る通信量が増大するという問題が考えられる。
【0038】
例えば、本実施形態では、第1eNB20A配下のセルから第2eNB20B配下のセルへUE10が移動する場合について説明しているが、実際には、第1eNB20A配下のセルに近接するセルとして、第2eNB20Bに対応する第2S/PGW40Bとは異なるS/PGWに対応するeNBの配下のセルも存在する可能性がある。ここで、UE10が第1eNB20A配下のセルに在圏している状態で、予め第2のPDNコネクションに相当するコネクションを設ける場合、UE10がどのセルに移動するかは事前には分からないため、通信を継続するためには、近接するセルの全てに対応したPDNコネクションを予め設ける必要がある。そのため、場合によっては、2以上のPDNコネクションを事前に設ける必要がある。また、UE10が実際にセルを跨ぐ移動をした場合には、事前に設けたPDNコネクションのハンドオーバに係る処理、及び/又は、不要なPDNコネクションを切断する処理等が発生するため、制御信号の送受信等も発生する。このように、移動先のS/PGWに対応したPDNコネクションを事前に設ける構成とする場合には、通信量の増大という新たな課題が発生することが考えられる。
【0039】
これに対して、上記の第1の手法によれば、事前に第2PDNコネクションを設けるのではなく、従来のハンドオーバの手法を用いて第1PDNコネクションをハンドオーバさせた後に、移動先のセルのeNBに対応したS/PGWを必要に応じて設ける構成とする。この結果、第2PDNコネクションを設けるための通信量を抑制しながら、UE10とサービス提供装置(MECサーバ)との間の通信をより好適に継続できる。第1の手法は、MME30であればeNBからUE10に係るハンドオーバ要求を受信した場合に移動先のeNBを特定することが可能である点、且つ、MME30では、eNBに対応するS/PGWを特定することが可能である点を利用した構成である。
【0040】
(第2の方法)
次に、本実施形態に係る通信方法のうち、第2の方法の概略について図を参照しながら説明する。第1の方法は、先に設けていたPDNコネクションのハンドオーバを実施し、当該PDNコネクションを維持した状態で新たなPDNコネクションを設ける手法であったが、上述したように、eNBがS1インタフェースを備えていることを前提としていた。これに対して、第2の方法では、S1インタフェースを利用することに代えて、UE10が複数の基地局装置に対して同時に接続して通信を行うDual Connectivityを利用する。
【0041】
具体的には、図7(A)に示すように、UE10が第1eNB20Aの配下のセルから、第2eNB20Bの配下のセルへ移動する際の境界部において、UE10から第1eNB20A、第1S/PGW40A、第1MECサーバ50Aを接続する第1PDNコネクション(PDN1)とは別に、UE10から第2eNB20B、第2S/PGW40B、第2MECサーバ50Bを接続する第2PDNコネクション(PDN2)を新たに設ける。次に、図7(B)に示すように、第1PDNコネクションを切断する。このとき、MME30と第1eNB20Aとを接続する制御コネクションはそのままとする。その後、図7(C)に示すように、制御コネクションをハンドオーバし、MME30と第2eNB20ABとを接続する経路での制御コネクションとする方法である。
【0042】
図7に示す処理を実行するためには、また、UE10からの通信品質情報に基づいて第1eNB20AがUE10のハンドオーバが必要であると判断した場合に、移動先となるセルのeNBに対してハンドオーバ要求を送信する際に、移動先のeNBから対応するPGWの情報を取得し、自装置と一致するか否かを判断する。そして、判断結果に基づいて、必要であれば、すなわち、移動先のeNBに対応するPGWが自装置に対応するPGWと一致しない場合には、第2のPDNコネクションを設けて、2つのコネクションを両立させる。すなわち、eNBがそれぞれ自装置に対応するゲートウェイ装置を把握していることを前提とする。また、MME30の制御情報記憶部33には、図5(A)〜図5(C)に示す情報のうち、図5(A),(B)の情報のみが記憶される。eNBが自装置に対応するゲートウェイ装置の情報を保持するため、MME30では、図5(C)に対応する情報は不要となる。
【0043】
また、第1の方法では、第1のPDNコネクションのハンドオーバと同時に制御コネクションのハンドオーバを行っていたが、第2の方法では、制御コネクションのハンドオーバは、第2のPDNコネクションが設けられた後に行われる。すなわち、PDNコネクションの接続及び切断とは異なるタイミングで制御コネクションのハンドオーバが行われる。
【0044】
第2の手法に係る一連の流れを、図8及び図9のシーケンス図を参照しながら説明する。
【0045】
まず、図8を参照しながら説明する。前提として、UE10が図7(A)に示すように、第1eNB20A及び第1S/PGW40Aを経由する第1PDNコネクション(PDN1)を設けているとする(S11)。次に、UE10における通信品質測定等の結果、UE10についてハンドオーバが必要であると第1eNB20Aが判断したとする(Handover Decision:S12)。このとき、第1eNB20Aから移動先の第2eNB20Bに対して、第1PDNコネクションの変更要求(ハンドオーバ要求)を送信する(Handover Request:S13:制御装置情報取得ステップ)。第2の方法では、PDNコネクションのハンドオーバは、eNB同士の通信に基づいて行われていることを想定している。したがって、第1eNB20Aは、UE10からの通信品質測定結果に基づき、UE10の移動先のセルを特定すると共に、移動先のセルに対応する第2eNB20Bに対してハンドオーバ要求を送信している。なお、第1eNB20Aは、第2eNB20Bに対して、自装置に対応するゲートウェイ装置であるPGWを特定する情報を併せて送信し、第2eNB20Bに対して対応するPGWを特定する情報の送信を要求している。第1eNB20Aから第2eNB20Bに対しては自装置のPGWを特定する情報を通知しなくてもよいが、少なくとも第1eNB20Aは、第2eNB20Bに対応するPGWを特定する情報を取得する必要がある。
【0046】
第2eNB20Bは、第1eNB20Aからのハンドオーバ要求を受信すると、それに対して返信すると共に、第2eNB20Bに対応するゲートウェイ装置であるPGWを特定する情報を返信する(S14:制御装置情報取得ステップ)。本実施形態では、第2S/PGW40Bを特定する情報を通知する。
【0047】
この処理により、第1eNB20Aは、UE10の移動先のeNBに対応するPGWが変更となるか、すなわち、PDNコネクションの再接続に係る処理が必要であるかを判断する(S15:対応装置判定ステップ)。具体的には、第2eNB20Bからの情報に基づいて、第2eNB20Bに対応するPGWが移動前の自装置(第1eNB20A)に対応するPGWと一致するか否かに基づいて、PDNコネクションの再接続が必要であるか否かを判定する。
【0048】
上記のPDNコネクションの再接続に係る処理の要否に係る判定(S15)の結果、再接続に係る処理が必要であると判定された場合(S15−YES)には、以下の処理が行われる。
【0049】
まず、第1eNB20Aの経路制御部21は、MME30に対して、第2eNB20Bに対応するPGW、すなわち、本実施形態では第2S/PGW40Bを経由する経路のPDNコネクションを追加する要求を送信する(S16:第2通信経路確立ステップ)。MME30の制御要求受信部31が第1eNB20AからのPDNコネクションの追加要求を受信すると、制御処理部32において、新たに第2S/PGW40Bを経由するPDNコネクションを接続するための処理(S17:第2通信経路確立ステップ)を行う。このPDNコネクションの接続に係る処理自体は、公知の技術を適用できる。図8に示す第2S/PGW40Bを経由するPDNコネクションを接続するための一連の処理(S17)のうち、「eNB2 addition Request」〜「SN Status Transfer」までが、Dual Connectivityの実行に伴う処理である。このPDNコネクションの接続に係る処理が完了することで、第2eNB20B及び第2S/PGW40Bを経由する第2PDNコネクション(PDN2)が設けられ、第2MECサーバ50Bを利用したデータの送受信が可能な状態となる(S18)。なお、この段階では制御コネクションの経路変更は行われていない。
【0050】
その後、MME30が第1PDNコネクション(PDN1)の切断処理を行う(S19:第1通信経路切断ステップ)。第1PDNコネクションの切断処理は公知の処理である。さらに、制御コネクションのハンドオーバに係る処理が行われる(S20:制御経路変更ステップ)。
【0051】
制御コネクションのハンドオーバに係る処理は、図9のシーケンス図で示す処理である。具体的には、図9に示すように、第1eNB20Aから第2eNB20Bに対して制御コネクションのハンドオーバに係る通知を行った後(S31)、第1eNB20AからUE10に対して指示を行うことで、UE10と第2eNB20Bとの間での制御コネクションの設定に係る処理を行う(S32)。さらに、第2eNB20BからMME30に対して制御コネクションのハンドオーバに係る通知を行うことで、必要に応じてMME30で記憶されている情報の更新等の処理が行われる(S33)。その後、第2eNB20Bから第1eNB20Aに対してハンドオーバ完了に係る信号の送信が行われ(S34)、制御コネクションのハンドオーバが完了する。上記の制御コネクションのハンドオーバに係る処理自体は、公知の技術を適用できる。
【0052】
以上の処理により、セルを移動した後のUE10のデータの送受信には、新たに設けられた第2PDNコネクション(PDN2)が利用されると共に、制御コネクションについても第2PDNコネクションと同様に第2eNB20Bを経由する経路で設けられる。
【0053】
なお、図8におけるPDNコネクションの再接続に係る処理の要否に係る判定(S15)の結果、再接続に係る処理が不要であると判定された場合(S15−NO)には、通常のハンドオーバに係る処理が行われる(S21)。その結果、第1PDNコネクション(PDN1)が、UE10、第2eNB20B及び第1S/PGW40Aを経由する経路に変更される(S22)。
【0054】
このように、本実施形態に係る通信方法の第2の方法では、対応するゲートウェイ装置(PGW)が互いに異なるセル間をUE10が移動する際に、まず、第1PDNコネクションを維持しつつ、移動先の基地局装置及びゲートウェイ装置を経由する第2PDNコネクションを設ける。そして、第2PDNコネクションを設けた後に、制御コネクションを維持した状態で、第1PDNコネクションを切断する。その後、制御コネクションを第1PDNコネクションに対応した経路から、第2PDNコネクションに対応した経路にハンドオーバする。このような構成とすることで、第1PDNコネクションから第2PDNコネクションへの切り替えのために通信が途絶える時間を短くできるため、UE10とサービス提供装置(MECサーバ)との間の通信をより好適に継続できる。
【0055】
また、上記の構成を実現するためには、第1eNB20A及び第2eNB20Bにおいて、自装置(基地局装置)に対応付けられたゲートウェイ装置(PGW)の情報を記憶し、記憶された情報がeNB同士で送受信される。第1の方法では、基地局装置(eNB)に対応付けられたゲートウェイ装置(PGW)の情報をMME30が集約して保持していたが、第2の方法では、MME30で集約して保持することに代えて、基地局装置のそれぞれが対応付けられたゲートウェイ装置(PGW)の情報を保持しているため、通信経路(PDNコネクション)の確立及び切断等の制御が基地局装置(eNB)主導で行われる。
【0056】
以上の通り、本発明の一形態に係る通信方法は、ユーザ端末と、前記ユーザ端末が在圏可能なセル毎に設けられる複数の基地局装置に含まれる第1基地局装置及び第2基地局装置と、前記基地局装置に対応付けられると共に前記ユーザ端末のデータの送受信を制御する装置である複数のゲートウェイ装置と、前記複数の基地局装置の何れかを経由し前記複数のゲートウェイ装置に含まれるゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に設けられる通信経路の確立及び切断に係る処理を行う接続制御装置と、を含む通信システムにおいて、前記ユーザ端末が前記第1基地局装置の配下のセルから前記第2基地局装置の配下のセルに対して移動する際の通信方法であって、前記接続制御装置は、前記基地局装置に対応付けられる前記ゲートウェイ装置を特定する情報を記憶する制御情報記憶部を有し、前記ユーザ端末は、前記第1基地局装置を経由して、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間で第1通信経路を有し、前記接続制御装置が、前記第1基地局装置から、前記第1通信経路を前記第2基地局装置を経由する経路に変更する要求を受信する経路変更要求受信ステップと、前記接続制御装置が、前記制御情報記憶部に記憶されている情報を参照して、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致するか否かを判定するゲートウェイ装置判定ステップと、前記ゲートウェイ装置判定ステップにおいて、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致しないと判定された場合に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を前記第2基地局装置を経由する経路に変更する第1通信経路変更ステップと、前記第1通信経路変更ステップの後に、前記接続制御装置が、前記ユーザ端末と、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間に、前記第2基地局装置を経由する第2通信経路を設ける第2通信経路新規確立ステップと、前記第2通信経路新規確立ステップの後に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を切断する変更後第1通信経路切断ステップと、を有する。
【0057】
上記の通信方法によれば、対応するゲートウェイ装置が互いに異なるセル間をユーザ端末が移動する際に、まず、ゲートウェイ装置を変更せずに第1通信経路の経路を移動先のセルに対応する第2基地局装置を経由する経路に変更される。その後、移動先の第2基地局装置と第2基地局装置に対応付けられたゲートウェイ装置を経由する第2通信経路が設けられる。そして、第2通信経路を設けた後に、第1通信経路が切断される。このような構成とすることで、第1通信経路から第2通信経路への切り替えのために通信が途絶える時間を短くできるため、ユーザ端末がセル間を移動する際の通信を好適に継続できる。
【0058】
また、本発明の一形態に係る通信方法は、ユーザ端末と、前記ユーザ端末が在圏可能なセル毎に設けられる複数の基地局装置に含まれる第1基地局装置及び第2基地局装置と、前記基地局装置に対応付けられると共に前記ユーザ端末のデータの送受信を制御する装置である複数のゲートウェイ装置と、前記複数の基地局装置の何れかを経由し前記複数のゲートウェイ装置に含まれるゲートウェイ装置と前記ユーザ端末との間に設けられる通信経路の確立及び切断に係る処理を行う接続制御装置と、を含む通信システムにおいて、前記ユーザ端末が前記第1基地局装置の配下のセルから前記第2基地局装置の配下のセルに対して移動する際の通信方法であって、前記第1基地局装置及び前記第2基地局装置は、それぞれ自装置が対応付けられている前記ゲートウェイ装置に係る情報を記憶し、前記ユーザ端末は、前記第1基地局装置を経由して、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間で第1通信経路を有し、前記第1基地局装置が、前記第2基地局装置から前記第2基地局装置に対応付けられている前記ゲートウェイ装置を特定する情報を取得する制御装置情報取得ステップと、前記第1基地局装置が、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致するか否かを判定する対応装置判定ステップと、前記対応装置判定ステップにおいて、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置が、前記第1基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置と一致しないと判定された場合に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路を維持した状態で、前記ユーザ端末と、前記第2基地局装置に対応付けられた前記ゲートウェイ装置との間に、前記第2基地局装置を経由する第2通信経路を設ける第2通信経路確立ステップと、前記第2通信経路確立ステップの後に、前記接続制御装置が、前記第1通信経路に対応する制御用の通信経路を維持した状態で、前記第1通信経路を切断する第1通信経路切断ステップと、前記接続制御装置が、前記制御用の通信経路を、前記第2通信経路に対応した経路に変更する制御経路変更ステップと、を有する。
【0059】
上記の通信方法によれば、対応するゲートウェイ装置が互いに異なるセル間をユーザ端末が移動する際に、まず、第1通信経路を維持しつつ、移動先の基地局装置及びゲートウェイ装置を経由する第2通信経路が設けられる。そして、第2通信経路が設けられた後に、制御用の通信経路を維持した状態で、第1通信経路を切断する。その後、制御用の通信経路を第1通信経路に対応した経路から、第2通信経路に対応した経路に変更する。このような構成とすることで、第1通信経路から第2通信経路への切り替えのために通信が途絶える時間を短くできるため、ユーザ端末がセル間を移動する際の通信を好適に継続できる。
【0060】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態で説明した通信システム1に含まれる各装置は複数台の装置を組み合わせて構成されていてもよい。また、通信システム1に含まれる複数台の装置が1台の装置によって実現されていてもよい。
【0062】
また、上記実施形態で説明した通信経路(PDNコネクション)確立及び切断の処理で用いられている信号名称は一例である。すなわち、通信経路(PDNコネクション)確立及び切断に係る一連の処理において、通信システム1の各装置間で送受信される信号は、上記実施形態で説明した構成に限定されない。また、必要に応じて処理の順序についても適宜変更してよい。
【0063】
また、上記実施形態では、通信システム1がLTEネットワークの通信規格に準拠したシステムである場合について説明したが、本発明に係る通信システムによる通信方法は、他の無線方式のネットワークにも適用できる。その場合には、上記実施形態で説明した通信システム1に含まれる各装置は、各無線方式に対応した装置に変更できる。また、通信システム1が複数の無線方式に対応していてもよく、その場合に、第1基地局装置と第2基地局装置との間で、基地局装置が制御可能なネットワークの種類が一部異なっていてもよい。
【0064】
(その他)
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0065】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0066】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0067】
本明細書において特定の装置によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。例えば、特定の装置がeNBであった場合においては、当該基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局および/または基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS-GW)であってもよい。
【0068】
情報等は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0069】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0070】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0071】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0072】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0073】
本開示で説明した「情報」は、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0074】
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0075】
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0076】
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素(例えば、TPCなど)は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
【0077】
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)の(セクタとも呼ばれる)セルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、および/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、および「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0078】
移動通信端末であるユーザ端末は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0079】
本開示で使用した「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0080】
本開示で使用した「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0081】
本開示で使用した「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0082】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本開示で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0083】
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
【0084】
本開示で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0085】
本開示で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0086】
本開示で使用した「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。むしろ、これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0087】
本開示の全体において、単数形の「a」,「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。従って、例えば、「装置」について述べる場合は、単数の装置と共に複数のそのような装置であるケースをも包含する。
【符号の説明】
【0088】
1…通信システム、10…UE、20A…第1eNB、20B…第2eNB、30…MME、40A…第1S/PGW、40B…第2S/PGW、50A…第1MECサーバ、50B…第2MECサーバ。
図1
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図9