【実施例】
【0030】
(実施例1)
移植片46とソケット54の端部との間にある間隙は、本発明により縮小し得る。この利点を評価するために、類似するサイズのバックル同士を比較した。バックルAは‘301特許に記載されている製品に類似する市販の製品であった。バックルBは本明細書中の
図1に図示されているバックル12である。それぞれ長さ12.2mm、幅4.0mm、厚さ1.4mmで、バックルBは下側表面より下向きに中子の底部が垂下しているため中間点における厚さが2.5mmである。バックルには、互いに類似する太さ及び構造のループが縫うようにして通される。試験の実施に使用したループは15〜30mm長さのものである。バックルからループの最も遠く内側部分までに対して、ループのキャリパー測定(caliper measurement)を実施した。対象となった構成は次の2つである。1)ループをバックルに対して直交にかつ下向きに延伸した構成。最終的な固定位置を表す。2)ループをバックルの後端部から延伸してバックルと平行にした構成。バックルを反転する直前にトンネルに通して引っ張り上げるときの位置を表す。これらの測定の差異は反転距離を表す(バックルAの場合は6.6mm、バックルBの場合は3.2mm)。後続の試験では、
図5及び
図6とほぼ同じバックルデザインを使用して、反転距離を2mmに縮小した。
【0031】
反転距離は、移植片46とソケット54の端部との間の間隙を表す。理想的には、この間隙はゼロで、移植片46がソケット54の端部まで延在する。バックルBでは実質的に反転距離が縮小されている。
【0032】
図5及び
図6は、本発明による別の固定バックル60を示す。このバックル60は、バックル12に類似の形状及び機能を含むが、外側フレーム62及びインサート64を含む二部分からなる構造を更に具備する。フレーム62は、第1の端部66に第1のフランジ65を有し、第2の端部70に第2のフランジ68を有する。インサート64はフレーム62内に嵌入しており、フランジ65及び68と嵌合するラベット71を有する。インサート64は第1の端部74に第1の穴72を含み、第2の端部78に第2の穴76を含み、加えて保持中子80を具備する。フレーム62の側壁82は、保持中子80に隣接しており、ループ83(
図6中では図示せず)を収容できるように、わずかに薄くてよい。
【0033】
2部分からなる構造によって組み立てが容易である。
図1の固定装置10を好適に形成するには、保持中子40の周囲にループ14を製織することによってループ14を形成する。これにより、製織プロセスが複雑になる可能性がある。バックル60では、ループ83を別個に製織してから保持中子80上に通し、その後でフレーム62内にインサート64を嵌入してもよい。インサート64は、摩擦嵌合、干渉嵌合、溶接、又は他の適切な手段によってフレーム62に保持できる。フランジ65及び68、並びにインサート62の間の相互作用によって、保持中子80に下方へ印加された力に対して構造的完全性がもたらされる。
【0034】
バックル12及びバックル60に対する改良及び変形態様は、第2の側部が第1の側部をミラーリングするように両側に延在するスロット32と、両端から中央へ向かって下方へ傾斜する保持中子40と、を具備し得る。これにより、外科医は、バックル12をトンネル50に通していずれか一方の端部から引っ張り上げることができる。また、保持中子40の上側表面42に丸みを付けてもよく、そうすることによって、ループ14の上に載せて擦傷を軽減できるようにループ14の表面が改善され得る。
【0035】
スロット32に沿って摺動するときに、上側表面42に沿って、又はバックル12においてループ14に係合し得る他の領域に沿って、例えば、針毛突起(barb)(図示せず)を含むことによって、ループ14が中間点38から離れる方向へ移動するのを防ぐ対策をとることもできる。
図7は、中間点106にてループ14を捉えて保持する顕著な凹窩(dip)104がある中子102を有するバックル100を示す。
図8A〜
図8Dにおいて、同様の部品には、同様の部品番号が付いている。下側に記した番号は図面番号に対応する。
図8Aにおいてバックル110aは、下方へ傾斜する中子114aを画定して中間点116aで終端する一対のスロット112aを備える。スロット112aは、ループ14を挟持して所定位置に保持できるように中間点116aへ向かって幅が狭くなる(
図8A〜
図8D中では図示せず)。
図8Bは、中間点116bへ向かってスロット112b同士の距離が狭くなるバックル110bを示す。ループ14にかかる引っ張り力によって、ループ14が横に閉塞して中間点116bにおける停留が促される。ループ14が中間点116bから離れる方向へ移動するのを防ぐための一連の針毛突起117もまた、図示されている。
図8Cも仕組みは同様であるが、中間点116cにてスロット112cが明確な内向きの移行部118を有する。
図8Dでは、一対でなく1つのスロット112d、及びループ14が縫うようにして通る開口120が存在している。このため、バックル110dの中間点116dに向かって下方へ傾斜する表面122に沿って、ループの14の一部だけが摺動している。
【0036】
スロット32の構成において、ループ14をバックルに取り付けるための中子40を形成し、ループ14を動かせるようにすることが、構造の材料の単純性、強度及び経済性の点で好ましい。ただし、ループをバックル12の第1の端部付近の位置からバックル12の中間点付近の位置まで移動できる他の装着技術も企図されており、それらの技術も本発明の範囲内に入る。バックルは、特にACL修復に適しているが、他の修復(例えば、上腕二頭筋腱の再接合)に有用であり得る。
【0037】
本発明について、その好ましい実施形態に関連して説明してきた。明らかに、先の詳細な説明を読み理解すると、修正及び変更が他者にも思いつくであろう。そのような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びその等価物の範疇に入る限り、本発明はそのような修正及び変更のすべてを含むと解釈されるものとする。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 移植片靭帯を骨トンネルに固定するための方法であって、
a)固定バックルから垂下するループ上に前記移植片靭帯を掛着して移植片構造物を形成する工程であって、前記バックルが長手方向軸に沿った最大横寸法の少なくとも2倍の長さを有し、前記トンネルが前記骨から抜け出す出口を有し、前記長さが出口の最大幅を超える長さでもある、工程と、
b)前記移植片構造物を前記骨トンネルにくぐらせて引っ張り上げる工程であって、前記ループを前記バックルの前記長さの中間点よりも下方に位置する第1の位置で前記バックルから垂下させた状態で前記バックルを前記トンネルに縦方向に貫通させる、工程と、
c)前記バックルが前記トンネルの中へ退却しないように、前記バックルを前記出口を通して前記トンネルから引っ張り、その長手方向軸が前記トンネルに対して十分にずれるように回転させる工程と、
d)前記第1の位置から前記バックルの前記中間点付近にある第2の位置まで前記ループを前記バックルに沿って移動させる工程と、
e)前記出口で前記骨に前記バックルを係合させ、前記ループを前記バックルの前記第2の位置から前記トンネル内に垂下させる工程と、を含む、方法。
(2) 前記ループが前記バックル上の少なくとも1つの細長いスロットを通して受容され、前記少なくとも1つの細長いスロットに沿って摺動して前記第1の位置から前記第2の位置まで移動する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記少なくとも1つのスロットが前記バックルの前記中間点付近に端部を有し、前記ループが前記第2の位置に移動したときに前記スロットの前記端部と係合する、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記ループが前記バックルの表面に沿って前記第1の位置と前記第2の位置との間を摺動し、前記表面が前記バックルの前記中間点に近づくにつれて下方へ傾斜する、実施態様1に記載の方法。
(5) 工程e)の後に前記ループが第1の長さだけ前記トンネル内に垂下し、工程c)の間に前記ループが前記第1の長さより短い第2の長さだけ前記トンネル内に垂下し、前記工程c)の実行中に前記第2の長さが前記第1の長さよりも最大3.5mmまで短い長さである、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記移植片靭帯がACLの代替であり、前記骨トンネルが脛骨を通って形成される、実施態様1に記載の方法。
(7) 移植片保持装置であって、
第1の端部と第2の端部とを有し、それら両端部の間に中間点を有する細長い胴体と、
前記細長い胴体に沿って前記第1の端部に隣接する第1の位置から前記中間点付近にある第2の位置まで移動できるように、前記細長い胴体に摺動可能に添着されている移植片保持ループと、
前記ループが前記第2の位置を通り越して前記第2の端部の方へ摺動するのを防ぐ前記細長い胴体上のストッパーと、を含む、移植片保持装置。
(8) 前記細長い胴体の第2の端部に着脱自在に添着されている前端糸を更に含む、実施態様7に記載の移植片保持装置。
(9) 前記細長い胴体の第1の端部に着脱自在に添着されている後端糸を更に含む、実施態様7に記載の移植片保持装置。
(10) 前記細長い胴体が、前記第1の端部に隣接したところから前記中間点付近まで延在してそれらの間に中子を画定する一対の細長いスロットを含み、前記ループが前記スロットを貫通して前記中子に巻着している、実施態様7に記載の移植片保持装置。
【0039】
(11) 前記細長い棒材が上側表面を有し、前記中子が上側表面を有し、前記中子が前記中間点に近づくにつれて、前記中子の前記上側表面が前記バックルの前記上側表面から離れる方向に下方へ傾斜する、実施態様10に記載の移植片保持装置。
(12) 前記細長い胴体及び前記ループが無菌であり、移植可能な生体適合性材料から形成される、実施態様7に記載の移植片保持装置。
(13) 前記細長い棒材の第1の端部と第2の端部との間に、前記棒材の長さの中央25%の範囲内に前記第2の位置がある、実施態様7に記載の移植片保持装置。
(14) 前記ループが前記第2の位置から移動するのを防ぐための保持器を、前記細長い胴体に更に具備する、実施態様7に記載の移植片保持装置。
(15) 前記保持器が1つ又は2つ以上の針毛突起を含む、実施態様14に記載の移植片保持装置。
(16) 3.5mm以下の反転距離を有する、実施態様7に記載の移植片保持装置。
(17) 2mm以下の反転距離を有する、実施態様16に記載の移植片保持装置。
(18) 前記胴体の第1の端部と第2の端部との間における前記胴体の最大長さの1/3以下の反転距離を有する、実施態様7に記載の移植片保持装置。
(19) 前記胴体の前記最大長さの1/4以下の反転距離を有する、実施態様18に記載の移植片保持装置。
(20) 移植片保持装置であって、
第1の端部と第2の端部とを有する細長い胴体と、
前記第1の端部に隣接する第1の位置から前記中間点付近にある第2の位置まで前記細長い胴体に沿って移動できるように、前記細長い胴体に摺動可能に添着されている移植片保持ループと、を具備し、
前記ループが前記細長い胴体から下向きに垂下し、摺動面に沿って前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動可能であり、前記第2の位置にて前記摺動面が前記第1の位置よりも下側にあり、これにより前記ループが前記第2の位置の方へと移動するのを促す、移植片保持装置。
【0040】
(21) 前記細長い胴体の第2の端部に着脱自在に添着されている前端糸を更に含む、実施態様20に記載の移植片保持装置。
(22) 前記細長い胴体の第1の端部に着脱自在に添着されている後端糸を更に含む、実施態様20に記載の移植片保持装置。
(23) 前記細長い胴体及び前記ループが無菌であり、移植可能な生体適合性材料から形成される、実施態様20に記載の移植片保持装置。
(24) 前記細長い胴体が、前記第1の端部に隣接したところから前記中間点付近まで延在してそれらの間に中子を画定する一対の細長いスロットを含み、前記ループが前記スロットを貫通して、前記摺動面を形成する前記中子に巻着している、実施態様20に記載の移植片保持装置。
(25) 前記ループが前記第2の位置から移動するのを防ぐための保持器を、前記細長い胴体に更に具備する、実施態様24に記載の移植片保持装置。
(26) 前記保持器が1つ又は2つ以上の針毛突起を含む、実施態様25に記載の移植片保持装置。
(27) 前記保持器が前記中間点にて前記スロット同士の間にある前記中子の狭窄部を含む、実施態様25に記載の移植片保持装置。
(28) 前記保持器が前記中子の前記上側表面に陥凹を含み、前記陥凹が前記中子との移行部によって少なくとも部分的に画定されている、実施態様25に記載の移植片保持装置。
(29) 3.5mm以下の反転距離を有する、実施態様20に記載の移植片保持装置。
(30) 2mm以下の反転距離を有する、実施態様29に記載の移植片保持装置。
【0041】
(31) 前記胴体の第1の端部と第2の端部との間における前記胴体の最大長さの1/3以下の反転距離を有する、実施態様20に記載の移植片保持装置。
(32) 前記胴体の前記最大長さの1/4以下の反転距離を有する、実施態様31に記載の移植片保持装置。