(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが幼児を抱っこしたり、おんぶしたりする際の補助具として、子守帯が使用されている。一般的な子守帯は、幼児を支持するためのサポート本体と、サポート本体の下端部に連結され、ユーザの腰回りに装着される腰パッドおよび腰ベルトと、ユーザの左右の肩周りに沿うように延在し、それぞれの両端部がサポート本体に結合された左右一対の肩ベルトと、肩ベルト同士を連結するサポートベルトと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図34に示したように、従来の子守帯100のサポートベルト101は、左右の肩ベルト102同士を連結することにより、肩ベルト102がユーザ103から外れないようにするものである。
【0004】
ところが、従来の子守帯100においては、サポートベルト101の上下方向の位置が固定されているため、ユーザ103の体型や好みに合わせてサポートベルト101の位置を調節することができなかった。
【0005】
特に、おんぶと抱っこの両方に使用可能な子守帯100の場合、サポートベルト101の最適な上下位置が、おんぶのときと抱っこのときとで異なる場合が多いので、サポートベルト101の上下方向の位置が固定されていると不便である。
【0006】
この問題を解決するために、従来の子守帯の中には、
図35に示したように、サポートベルト101の両端部を左右の肩ベルト102に巻き付けて、肩ベルト102の外面上をスライドさせてサポートベルト101の上下位置を調整するタイプもある。
【0007】
しかしながら、このタイプの子守帯では、サポートベルト101の端部を肩ベルト102全体に巻き付けているため、サポートベルト101が露出して見栄えが良くない。また、肩ベルト102がサポートベルト101によって引っ張られて曲がってしまい、見栄えが良くないだけでなく、サポートベルト101が肩ベルト102に食い込んでいるので上下調整時の動作を円滑に行うことができない。さらに、サポートベルト101自体を支持するために、肩ベルト102自体に、ある程度の硬さが要求されるので、肩ベルト102の厚みが増してしまうという問題もある。
【0008】
また、従来の子守帯の中には、
図36に示したように、サポートベルト101の端部にクリップ104を設け、このクリップ104によってサポートベルト101を肩ベルト102に着脱自在に連結するタイプもある。
【0009】
しかしながら、このタイプの子守帯は、肩ベルト102へのサポートベルト101の固定がクリップ止めであるため、クリップ104が使用中に外れてしまう懸念がある。また、外からクリップ104が見えてしまうので、見栄えが良くないという問題もある。さらに、クリップ104は硬い部材で形成されているので、ユーザ103の体にクリップ104が当たると強い刺激が加えられてしまうという問題もある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による子守帯の各種の使用形態を示す図であり、(a)は縦対面抱っこ形態、(b)は縦前向き抱っこ形態、(c)は横抱っこ形態、(d)はおんぶ形態をそれぞれ示す。
【
図2】同実施形態による子守帯の各使用形態に応じた参考月齢および限度体重の一例を示した図。
【
図6】同実施形態による子守帯のヘッドサポートバックルおよびその周辺の拡大図。
【
図7】同実施形態による子守帯の股幅調節手段およびその周辺の拡大図であり、拡幅状態を示した正面図。
【
図8】同実施形態による子守帯の本体収納袋およびその周辺の拡大図であり、腰パッドポケットから本体収納袋を取り出した状態を示した正面図。
【
図9】同実施形態による子守帯の股幅調節手段およびその周辺の拡大図であり、狭幅状態を示した正面図。
【
図10】同実施形態による子守帯の本体を本体収納袋の中に収納する様子を示した説明図であり、(a)は腰パッドポケットから本体収納袋を引き出すと共に肩ベルトを折り畳んだ状態を示し、(b)はさらに子守帯本体の上部を折り畳んだ状態を示し、(c)は子守帯本体を本体収納袋の中に収納した状態を示す。
【
図11】同実施形態による子守帯を装着したユーザの後ろ姿を示した図。
【
図12】同実施形態によるサポートベルトおよびその周辺の拡大図であり、(a)はオス側のサポートバックルを含むサポートベルトを示し、(b)はメス側のサポートバックルを含むサポートベルトを示す。
【
図14】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図15】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図16】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図17】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図18】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図19】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図20】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図21】同実施形態による子守帯を縦対面抱っこ形態で使用する際の使用方法を説明するための図であり、(a)は股部を拡幅状態で使用すると幼児の膝が延びきってしまう様子を示し、(b)は股部を狭幅状態で使用することにより幼児の両足が自然な状態になる様子を示す。
【
図22】同実施形態による子守帯の股部を拡幅状態から狭幅状態に切り替える様子を示した正面図であり、(a)は拡幅状態を示し、(b)は狭幅状態を示す。
【
図23】同実施形態による子守帯の股部を拡幅状態から狭幅状態に切り替える様子を示した拡大正面図であり、(a)は股幅調節手段のファスナーを外した状態を示し、(b)はさらに股幅調節シート部を折り畳んで腰パットポケットの中に収納した状態を示す。
【
図24】同実施形態による子守帯を前向き抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図25】同実施形態による子守帯を前向き抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図26】同実施形態による子守帯を前向き抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図27】同実施形態による子守帯を前向き抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図28】同実施形態による子守帯を前向き抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図29】同実施形態による子守帯を前向き抱っこ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図30】同実施形態による子守帯をおんぶ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図31】同実施形態による子守帯をおんぶ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図32】同実施形態による子守帯をおんぶ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【
図33】同実施形態による子守帯をおんぶ形態で使用する際の手順を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態による子守帯について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように本実施形態の子守帯1は、ユーザ2が、幼児3を対面状態で抱っこする縦対面抱っこ形態(
図1(a))と、幼児3を前向きの状態で抱っこする縦前向き抱っこ形態(
図1(b))と、幼児3を横向きの姿勢で抱っこする横抱っこ形態(
図1(c))と、幼児3をおんぶするおんぶ形態(
図1(d))の四つの使用形態から、一つの形態を選択して使用することが可能である。
【0024】
図2に示したように、子守帯1の各使用形態に応じてそれに適した参考月齢および限度体重が規定される。但し、
図2の参考月齢および限度体重はあくまでも目安であり、本実施形態による子守帯1の使用方法はこれに限定されるものではない。
【0025】
以下では、縦対面抱っこ形態および縦前向き抱っこ形態にて使用する場合を中心に、子守帯1について説明する。なお、横抱っこ形態では、横抱っこシート4が追加的に使用されるが、その詳細は本発明の要旨外なので説明を省略する。以下の説明では、縦対面抱っこ形態および縦前向き抱っこ形態を、縦抱っこ形態と総称することがある。
【0026】
図3乃至
図5に示したように、本実施形態の子守帯1は、幼児を支持するためのサポート本体5を備え、このサポート本体5の下端部に、ユーザ2の腰回りに装着される腰パッド6が連結されている。腰パッド6の左右両端部には、左右一対の腰ベルト7A、7Bが連結されている。腰パッド6と腰ベルト7A、7Bによって、腰部装着手段が構成されている。
【0027】
一方の腰ベルト7Aにはオス側腰ベルトバックル8Aが設けられ、他方の腰ベルト7Bにはメス側腰ベルトバックル8Bが設けられており、オス側腰ベルトバックル8Aとメス側腰ベルトバックル8Bとを着脱自在に連結できる。オス側腰ベルトバックル8Aとメス側腰ベルトバックル8Bは、各腰ベルト7A、7Bの長手方向に沿って移動自在であり、これにより、ユーザの腰回りに巻き付ける腰ベルト7A、7B全体の長さを調節することができる。
【0028】
また、子守帯1は、ユーザ2の左右の肩周りに沿うように延在し、それぞれの両端部がサポート本体5に結合された左右一対の肩ベルト9A、9Bを備えている。肩ベルト9A、9Bの上端は、サポート本体5に分離不能に連結されている。肩ベルト9A、9Bの下端にラダー10A、10Bが設けられ、このラダー10A、10Bに脇ベルト11A、11Bの一端が挿通されている。脇ベルト11A、11Bの他端は、サポート本体5に分離不能に連結されており、ラダー10A、10Bを操作することにより、脇ベルト11A、11Bの他端からラダー10A、10Bまでの距離を調節することができる。
【0029】
図4および
図5に示したように、一方の肩ベルト9Bのサポート本体5側の端部の近傍には、ブリッジベルト12の一端が分離不能に連結されている。ブリッジベルト12の他端にはオス側ブリッジバックル13Bが設けられている。他方の肩ベルト9Aのサポート本体5側の端部の近傍には、メス側ブリッジバックル13Aが設けられており、このメス側ブリッジバックル13Aとオス側ブリッジバックル13Bとを着脱自在に連結できる。
【0030】
サポート本体5の上部はヘッドサポート部14によって構成されており、このヘッドサポート部14と左右の肩ベルト9A、9Bとの連結部分の内部には、左右のヘッドサポートベルト15A、15Bが挿通されている。
【0031】
図6に示したように、ヘッドサポートベルト15A(15B)は、その途中にメス側およびオス側のヘッドサポートバックル16が設けられており、これらのヘッドサポートバックル16によって着脱自在且つ長さ調節可能に連結されている。
【0032】
また、
図5に示したように、子守帯1は、左右の肩ベルト9A、9Bを連結するためのサポートベルト17A、17Bを備えている。このサポートベルト17A、17Bは、その途中にメス側およびオス側のサポートベルトバックル18A、18Bが設けられており、これらのサポートベルトバックル18A、18Bによってサポートベルト17A、17Bが着脱自在且つ長さ調節可能に連結されている。
【0033】
図7乃至
図9に示したように、子守帯1は、サポート本体5のうちの幼児3の股部が当たる股部当接部19の幅である股幅を調節するための股幅調節手段として、左右一対のファスナー20A、20Bを備えている。
【0034】
ファスナー20A、20Bは、サポート本体5の左右下部を構成する左右一対の股幅調節シート部21A、21Bを、サポート本体5の残余部分から分離可能とするものである。各股幅調節シート部21A、21Bは、全体として略三角形を成している。ファスナー20A、20Bとしては、例えばセミオートマチック・ロックスライダーを有するファスナーを使用することができる。
【0035】
ファスナー20A、20Bを開放して股部当接部19が狭幅状態にあるとき(
図9)のサポート本体5の残余部分と腰パッド6との連結部分は、分離不能に連結されている。
【0036】
股幅調節手段を構成するファスナー20A、20Bは、股部当接部19を、縦対面抱っこに適した拡幅状態(
図7)と、縦前向き抱っこおよび縦対面抱っこ(小さめの幼児用)に適した狭幅状態(
図9)とで選択的に切り替え可能とする。
【0037】
腰パッド6の中央前面には、分離された股幅調節シート部21A、21Bを折り畳んで収納するための腰パッドポケット22が上方に開口して設けられている。腰パッドポケット22の内側に、サポート本体5および肩ベルト7A、7Bを収納するための本体収納袋23が、腰パッドポケット22から引出し可能に一部固定して設けられている(
図8)。
【0038】
腰パッド6の左右前面には、左右の腰ベルト7A、7Bを収納するために側方に開口した左右の腰ベルト収納ポケット24A、24Bが設けられている。横抱っこ形態にて子守帯1を使用する際には、腰ベルト7A、7Bを腰ベルト収納ポケット24A、24Bの中に収納する。
【0039】
図7および
図8に示したように、子守帯1は、閉じた状態のファスナー20A、20Bの引手25(
図14参照)を覆うことにより、引手25が意図せずに操作されてファスナー20A、20Bが開いてしまうことを防止するためのカバー手段26A、26B、27A、27Bを有する。
【0040】
このカバー手段は、股幅調節シート部21A、21Bに設けられたシート状の引手カバー26A、26Bと、引手カバー26A、26Bをサポート本体5の残余部分に分離可能に結合するための引手カバーホック27A、27Bとを有する。なお、変形例としては、引手カバー26A、26Bを、股幅調節シート部21A、21B側ではなく、サポート本体5の残余部分側に設けることもできる。
【0041】
そして、ファスナー20A、20Bを閉じた状態でその引手25を引手カバー26A、26Bによって覆うことにより、引手25が意図せずに操作されることが防止され、子守帯1の使用中にファスナー20A、20Bが意図せずに開放することを確実に防止することができる。
【0042】
また、本実施形態による子守帯1においては、ファスナー20A、20Bの延在方向と、股幅調節シート部21A、21Bの下縁とが成す角度が、45度よりも大きく設定されており、好ましくは略75度に設定される。これにより、ファスナー20A、20Bのかみ合い部分であるエレメント同士を引き離す方向への外力の大きさを抑制することができる。
【0043】
ファスナー20A、20Bは、そのスライダーをサポート本体5の側縁から腰パッド6の上縁に向けて斜め下方に移動させて閉じるように配置されている。これにより、ファスナー20A、20Bのかみ合い部分であるエレメント同士を引き離す方向への外力が加えられた場合でも、エレメント同士が意図せずに開放してしまうことを確実に防止できる。
【0044】
図9に示したように、本実施形態による子守帯1においては、股幅調節シート部21A、21Bをサポート本体5の残余部分から分離した狭幅状態において幼児3の股部に当接されるサポート本体5の股縁部28を外した位置に股部縫製ライン29が配置されている。これにより、狭幅状態で子守帯1を使用する際に、幼児3の股繰り部(足の付け根の部分)に股部縫製ライン29が当たって強い刺激が加えれることを防止することができる。
【0045】
図10に示したように、子守帯1においては、ユーザ2の腰回りに腰パッド6を装着したままの状態で、左右の肩ベルト7A、7Bを内側に折り畳み(
図10(a))、さらにサポート本体5の上部を内側に折り畳み(
図10(b))、最後にサポート本体5および肩ベルト7A、7Bを全体的に折り畳んで本体収納袋23の中に収納することができる。
【0046】
図11は、ユーザ2が子守帯1を縦抱っこ形態で装着した状態を示しており、この状態においては、サポートベルト17A、17Bおよび腰ベルト7A、7Bがユーザ2の背面側に位置している。
【0047】
図12および
図13に示したように、本実施形態による子守帯1は、サポートベルト17A、17Bの上下方向の位置を調節するためのサポートベルト位置調節手段30A、30B、31A、31Bを備えている。
【0048】
具体的には、このサポートベルト位置調節手段は、左右の肩ベルト9A、9Bの長手方向に沿って延在し、その両端部が肩ベルト9A、9Bに結合された左右一対のスライドベルト30A、30Bを有する。そして、サポートベルト17A、17Bの一方の端部を折り返してサポートベルト自身にその一部を結合することにより、スライドベルト30A、30Bがその内部に挿通された平坦な環状部31A、31Bが形成されている。
【0049】
そして、スライドベルト30A、30Bと平坦な環状部31A、31Bとの間の摩擦力によって、サポートベルト17A、17Bの、スライドベルト30A、30Bに対する移動に所望の抵抗が付与される。これにより、子守帯1の使用中にサポートベルト17A、17Bに外力が加えられた場合でも、サポートベルト17A、17Bが意図せずに上下に移動してしまうことを防止できる。
【0050】
サポートベルト17A、17Bの端部に形成された平坦な環状部31A、31Bは、サポートベルト17A、17Bの端部をサポートベルト自身に縫い付けることにより形成されており、その際の縫製ライン32の位置を調整することで摩擦力が最適化されている。
図13に示したように、一対の縫製ライン32が、スライドベルト30B(30A)の両側縁の僅かに外側に位置決めされている。
【0051】
また、肩ベルト9A、9Bの少なくとも一部が、肩ベルト外面シート33と肩ベルト内面シート34とを重ね合わせて形成されている。スライドベルト30A、30Bは、肩ベルト外面シート33と肩ベルト内面シート34との間に配置されている。これにより、スライドベルト30A、30Bおよび平坦な環状部31A、31Bから成るサポートベルト位置調節手段が外側から見えないので、サポートベルト位置調節手段を設けた場合でも子守帯1の見栄えが悪くなることがなく、すっきりとした外観を実現できる。
【0052】
次に、本実施形態による子守帯1を縦対面抱っこ形態(
図1(a))で使用する際の手順について、
図14乃至
図20を参照して説明する。
【0053】
図14に示したように、まず準備段階として、ブリッジバックル13A、13Bを分離状態としておく。左右のヘッドサポートバックル16が連結されていることを確認する。ファスナー20A、20Bが閉じられており、引手カバー26A、26Bのホック27A、27Bが留め付けられていることを確認する。なお、ファスナー20A、20Bの引手25は、図示の如くファスナー20A、20Bのエレメント側に引き倒すようにする。
【0054】
ここで、本実施形態による子守帯1においては、引手カバー26A、26Bによってファスナー20A、20Bの引手25が覆われているので、子守帯1の使用中に引手25が意図せずに操作されてファスナー20A、20Bが開いてしまうことを確実に防止できる。
【0055】
特に、セミオートマチック・ロックスライダーを有するファスナーの場合、引手25を引き上げることによってロックが外れるように構成されているので、引手25を引手カバー26A、26Bで覆うことによりファスナーのロック状態を確実に維持することができる。
【0056】
次に、
図15に示したように、幼児3を子守帯1の上に乗せ、図示の如く両腕と両足を各所に通す。このとき、幼児3の頭がヘッドサポート14の上に乗るようにする。
【0057】
次に、
図16に示したように、ブリッジバックル13A、13Bとサポートバックル18A、18Bをそれぞれ連結する。左右の脇ベルト11A、11Bが幼児3の股の間を通っていることを確認する。続いて、
図17に示したように、腰パッド6をユーザ2の腰に巻き、腰ベルトバックル8A、8Bを連結する。
【0058】
次に、
図18に示したように、左右の肩ベルト9A、9Bとブリッジベルト12とサポートベルト17A、17Bによって形成された輪の中に、サポートベルト17A、17Bの下をくぐるようにしてユーザ2の頭を内側から通す。このとき、ユーザ2がくぐりやすくするために、予め脇ベルト11A、11Bは長めに調節しておくようにする。
【0059】
次に、
図19に示したように、脇ベルト11A、11Bの先端を手前に引き、ユーザ2の身体にフィットさせる。このとき、脇ベルト11A、11Bの余りが左右同じ長さになるように調節する。もし脇ベルト11A、11Bを短くし過ぎたときは、
図20に示したようにラダー10A、10Bを指で上に起こし、脇ベルト11A、11Bを引っ張って長さを調節する。
【0060】
本実施形態による子守帯1を縦対面抱っこ形態(
図1(a))で使用する際の手順は上記の通りであるが、低月齢の小さめの幼児の場合には、
図21(a)に示したように両膝が子守帯1の内側に来てしまい、両足が伸びきった状態になってしまうことがある。
【0061】
そこで、低月齢の小さめの幼児を縦対面抱っこする際には、子守帯1を、
図22(a)に示した拡幅状態から、
図22(b)に示した狭幅状態に切り替えて使用する。このとき、
図23(a)に示したようにファスナー20A、20Bを開けて分離された股幅調節シート部21A、21Bは、
図23(b)に示したように折り畳まれて腰パッドポケット22の中に収納される。
【0062】
次に、本実施形態による子守帯1を縦前向き抱っこ形態(
図1(b))で使用する際の手順について、
図24乃至
図29を参照して説明する。
【0063】
縦前向き抱っこ形態での使用に際しては、準備段階して、上述の
図22(b)に示したように子守帯1を狭幅状態としておく。そして、
図24に示したように肩ベルト9A、9Bを肩にかけて、サポートバックル18A、18Bを背中(
図24上段)または首の後ろ(
図24下段)で連結する。
【0064】
上述したようにサポートベルト17A、17Bの位置は、サポートベルト位置調節手段30A、30B、31A、31Bによって上下に容易に調節可能であるので、肩ベルト9A、9Bを肩にかける前、および/または肩にかけた後で、サポートベルト17A、17Bを上下に移動させて最適な位置に容易に調節することができる。
【0065】
また、サポートベルト位置調節手段30A、30B、31A、31Bは、肩ベルト9A、9Bの中に隠れて外側からは見えないので、使用状態において子守帯1の見栄えを良くして、すっきりさせることができる。
【0066】
次に、
図25に示したように、腰パッド6を腰に巻き、腰ベルトバックル8A、8Bをユーザ2の背後で連結する。続いて、
図26に示したように、左右のヘッドサポートバックル16を分離した後、
図27に示したように幼児3を子守帯1に乗せる。
【0067】
次に、
図28に示したように、ヘッドサポート14を外側に折り畳み、幼児3の顔周りを締め付け過ぎないようにヘッドサポートベルト15A、15Bの長さを調節した後、ヘッドサポートバックル16を連結する。続いて、
図29に示したようにブリッジバックル13A、13Bを連結する。
【0068】
上述したように本実施形態による子守帯1においては、ファスナー20A、20Bを開放して股幅調節シート部21A、21Bを腰パッドポケット部22に収納して、子守帯1を狭幅状態(
図9)とすることができるので、
図1(b)に示したように幼児3の足を自然な状態として縦前向き抱っこを行うことができる。
【0069】
また、
図9に示したように股部縫製ライン29を股縁部28を外して外面側に配置したので、股部縫製ライン29が幼児3の股繰り(足の付け根の部分)に当たって強い刺激を与えることを防止できる。
【0070】
次に、本実施形態による子守帯1をおんぶ形態(
図1(d))で使用する際の手順について、
図30乃至
図33を参照して説明する。
【0071】
子守帯1をおんぶ形態で使用する際には、上述した縦対面抱っこ形態の場合と同様に(
図14)、ファスナー20A、20Bを閉じて拡幅状態としておく。この状態で幼児3を子守帯1の上に乗せ、
図30に示したように、肩ベルト9A、9Bの付け根部分をしっかりと持って立ち上がる。
【0072】
次に、サポートベルト17A、17Bの長さと高さを調節し、
図31に示したようにサポートバックルを連結する。ここで、本実施形態による子守帯1においては、サポートベルト位置調節手段30A、30B、31A、31Bによってサポートベルト17A、17Bの上下方向の位置を容易に調節することができる。
【0073】
また、サポートベルト位置調節手段30A、30B、31A、31Bは、肩ベルト9A、9Bの中に隠れて外側からは見えないので、使用状態において子守帯1の見栄えを良くして、すっきりさせることができる。
【0074】
次に、
図32に示したようにユーザ2の腰に腰パッド6を巻いて、腰ベルトバックル8A、8Bを連結する。続いて、
図33に示したように、脇ベルト11A、11Bの先端を引き、ユーザ2の身体にフィットさせる。このとき、脇ベルト11A、11Bの余りが左右同じ長さになるように調節する。もし脇ベルト11A、11Bを短くし過ぎたときは、ラダー10A、10Bを指で上に起こし、脇ベルト11A、11Bを引っ張って長さを調節する(
図20)。
【0075】
上述したように本実施形態による子守帯1によれば、引手カバー26A、26Bと引手カバーホック27A、27Bとから成るカバー手段を備えているので、ファスナー20A、20Bを閉じた状態でその引手25を引手カバー26A、26Bによって覆うことにより、引手25が意図せずに操作されることが防止され、子守帯1の使用中にファスナー20A、20Bが意図せずに開放することを確実に防止することができる。
【0076】
また、本実施形態による子守帯1によれば、抱っこ時の使用形態(対面抱っこおよび前向き抱っこ)や幼児の大きさ(成長)に応じて、子守帯1の股部の幅を、ファスナー20A、20Bから成る股幅調節手段によって拡幅状態と狭幅状態とで適宜切り替えて、幼児3およびユーザ2にとって最適の抱っこ状態(無理のない、しっかりとしたホールド状態であり、また、前向き抱っこ時の幼児の足の動きを妨げない状態)を達成することができる。
【0077】
特に、本実施形態による子守帯1は、狭幅状態における子守帯1の股幅を、低月齢の小さめの幼児を縦対面抱っこ形態で抱っこする際に適した寸法に設定しているので、幼児の大きさ(成長)に応じた最適の抱っこ状態を達成することができる。
【0078】
また、本実施形態による子守帯1によれば、股部縫製ライン29を、サポート本体5の股縁部28から外側に外したので(
図9)、股部縫製ライン29が幼児の股繰りに当たって強い刺激を与えることを防止できる。特に、狭幅状態では幼児の足の付け根に近い敏感な部分に股縁部28が来るので、股部縫製ライン29をこの股縁部28から外すことのメリットは大きい。
【0079】
また、本実施形態による子守帯1によれば、ファスナー20A、20Bを開放して股部当接部19が狭幅状態にあるときのサポート本体5と腰パッド6との連結部分は分離不能に連結されているので、子守帯1の構造の簡素化を図ることができると共に、製造コストを低減することができる。
【0080】
また、本実施形態による子守帯1によれば、ファスナー20A、20Bの延在方向と、股幅調節シート部21A、21Bの下縁とが成す角度が45度よりも大きく設定されており、好ましくは略75度に設定されているので、子守帯1の使用中において、ファスナー20A、20Bのかみ合い部分であるエレメント同士を引き離す方向への外力の大きさを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態による子守帯1は、サポートベルト17A、17Bの端部を折り返して平坦な環状部31A、31Bを形成し、この平坦な環状部31A、31Bの中に、肩ベルト9A、9Bに設けたスライドベルト30A、30Bを挿通することにより、簡素な構造にて安価なサポートベルト位置調節手段を実現している。
【0082】
また、このサポートベルト位置調節手段30A、30B、31A、31Bは肩ベルト9A、9Bの中に配置されており、外からは見えないので、サポートベルト位置調節手段の存在によって子守帯1の外観が劣化することがなく、すっきりとした外観を実現することができる。
【0083】
また、サポートベルト位置調節手段30A、30B、31A、31Bは全体として平坦な形状なので、肩ベルト9A、9Bの中にサポートベルト位置調節手段を埋め込んでも、肩ベルト9A、9Bの厚みが大幅に増してしまうようなことがない。
【0084】
また、サポートベルト17A、17Bの上下方向の移動は、容易に動き過ぎると子守帯1を使用しているうちにサポートベルト17A、17Bの位置が変わり、適正な位置からずれてしまうことがある。一方、過度に動き難いと、子守帯1の装着時に、動かしたい位置にサポートベルト17A、17Bを思うように動かせず、一度幼児を降ろして位置を変えるか、そのまま我慢して使うことになってしまう。
【0085】
従って、サポートベルト17A、17Bには適度な動き易さ/動き難さが必要とされるが、本実施形態による子守帯1においては、サポートベルト17A、17Bの端部に平坦な環状部31A、31Bを形成する際の縫製ライン32の位置を、スライドベルト30A、30Bの両側縁の僅かに外側に位置決めすることにより、サポートベルト17A、17Bの動き易さ/動き難さを最適化している。
【0086】
なお、本実施形態による子守帯1においては、サポートベルト位置調節手段を構成するスライドベルト30A、30Bおよび平坦な環状部31A、31Bを覆い隠すための部材として、肩ベルト9A、9B自身を構成する部材を利用するようにしたが、これに代えて、肩ベルト自身の部材とは別に設けた部材によってサポートベルト位置調節手段を覆い隠すようにすることもできる。