特許第6366905号(P6366905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

特許6366905磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置
<>
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000012
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000013
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000014
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000015
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000016
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000017
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000018
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000019
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000020
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000021
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000022
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000023
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000024
  • 特許6366905-磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置 図000025
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366905
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置及び医用画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20180723BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20180723BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   A61B5/055 380
   A61B6/03 360P
   A61B6/03 330A
   A61B8/00
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-108359(P2013-108359)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-393(P2014-393A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-116643(P2012-116643)
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 修平
(72)【発明者】
【氏名】武口 智行
(72)【発明者】
【氏名】松本 信幸
(72)【発明者】
【氏名】関根 真弘
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/092918(WO,A1)
【文献】 特開2009−078122(JP,A)
【文献】 特開2009−112374(JP,A)
【文献】 特開2009−279218(JP,A)
【文献】 特開平01−134580(JP,A)
【文献】 特表平08−502178(JP,A)
【文献】 特開2000−242766(JP,A)
【文献】 特開2001−014496(JP,A)
【文献】 特開2003−325513(JP,A)
【文献】 特開2004−313651(JP,A)
【文献】 特開2005−143735(JP,A)
【文献】 特表2006−507864(JP,A)
【文献】 特開2009−056032(JP,A)
【文献】 特開2010−042190(JP,A)
【文献】 特開2011−239890(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/038848(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/134512(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/056662(WO,A1)
【文献】 米国特許第08036730(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 6/00 − 6/14
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の心臓を内包する範囲の3次元医用画像データを収集する収集部と、
前記3次元医用画像データから、心臓の解剖学的な構造に基づいて定義される断面像の1つである第1断面像について、当該第1断面像の候補となる複数の候補画像を生成する第1断面像生成部と、
前記3次元医用画像データから前記複数の候補画像と交わる断面像である第2断面像を生成する第2断面像生成部と、
前記複数の候補画像、及び、該複数の候補画像それぞれと前記第2断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した該第2断面像を並べて表示部に表示する表示制御部と
を備え、
前記収集部は、前記複数の候補画像及び前記第2断面像を前記表示部に表示した後、前記複数の候補画像の中から前記第1断面像を選択する操作者からの指示に基づいて、イメージングスキャンを実行する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記複数の候補画像を第1の方向に並べて表示するとともに、前記第2断面像を、前記第1の方向と交わる第2の方向に並べて表示する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直をなす方向である、請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記第1断面像生成部は、前記心臓の長軸を含む断面像である第1断面像の第1候補となる候補画像と、該長軸を軸に前記第1候補を所定角度回転させた断面像である第1断面像の第2候補となる候補画像とを生成する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記第2断面像生成部は、前記心臓の長軸と直交する第2断面像であって、僧帽弁及び心尖部の位置の第2断面像のうち、少なくとも一方を生成する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記第2断面像上に、前記複数の候補画像それぞれと該第2断面像との交差線情報、及び、前記複数の候補画像それぞれに含まれる長軸と該第2断面像との交差点情報のうち、少なくとも一方を重畳表示する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記第1断面像生成部は、操作者の入力に従い前記第1断面像の新たな候補となる新たな候補画像を生成し、
前記表示制御部は、前記新たな候補画像が生成された場合には、前記複数の候補画像とともに、若しくは前記複数の候補画像に替えて、該新たな候補画像を表示するとともに、前記第2断面像上に、該新たな候補画像と該第2断面像との位置関係を示す情報を重畳表示する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記第1断面像生成部は、前記操作者の入力として、各候補画像の中間の角度で回転させた断面像、又は、各候補画像を更に所定角度回転させた断面像の生成指示を受け付け、受け付けた生成指示に従い、前記新たな候補画像を生成する、請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記第1断面像生成部は、前記操作者の入力として、前記第2断面像上に重畳表示された交差線情報及び交差点情報のうち、少なくとも一方に対する変更指示を受け付け、受け付けた変更指示に従い、前記新たな候補画像を生成する、請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記第1断面像生成部は、前記操作者の入力として、前記第1断面像の候補となる候補画像の数、及び前記心臓の長軸を軸に回転させる角度のうち、少なくとも一つを受け付け、受け付けた内容に従い、前記新たな候補画像を生成する、請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記第2断面像生成部は、操作者の入力として、前記第2断面像の数、及び前記第2断面像の位置のうち、少なくとも一つを受け付け、受け付けた内容に従い、前記第2断面像を生成する、請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記第1断面像生成部及び前記第2断面像生成部は、本撮像のための位置決め用に収集された前記3次元医用画像データから、位置決め用の画像として複数種類の第1断面像を生成し、複数種類の第1断面像の中から、第1断面像の第1候補となる候補画像と、前記第1候補となる候補画像に対応する第2断面像とを特定する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記第1断面像生成部及び前記第2断面像生成部は、前記複数種類の第1断面像の中から、心臓の長軸を含む第1断面像を前記第1候補となる候補画像として特定し、心臓の短軸を含む第1断面像を前記第2断面像として特定する、請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
被検体の所定の部位を内包する範囲の3次元医用画像データを収集する収集部と、
前記3次元医用画像データから、心臓の解剖学的な構造に基づいて定義される断面像の1つである第1断面像について、当該第1断面像の候補となる複数の候補画像を生成する第1断面像生成部と、
前記3次元医用画像データから前記複数の候補画像と交わる断面像である第2断面像を生成する第2断面像生成部と、
前記複数の候補画像、及び、該複数の候補画像それぞれと前記第2断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した該第2断面像を並べて表示部に表示する表示制御部と
を備え、
前記収集部は、前記複数の候補画像及び前記第2断面像を前記表示部に表示した後、前記複数の候補画像の中から前記第1断面像を選択する操作者からの指示に基づいて、イメージングスキャンを実行する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項15】
心臓が撮像された3次元医用画像データから第1断面像の候補を複数生成する第1断面像生成部と、
前記3次元医用画像データから前記第1断面像の各候補と交わる断面像である第2断面像を生成する第2断面像生成部と、
前記第1断面像の各候補、及び、該第1断面像の各候補と前記第2断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した該第2断面像を並べて表示部に表示する表示制御部と
を備え、
前記表示制御部は、前記第1断面像の各候補の確からしさの度合いに応じて、各候補の表示態様を変更する、医用画像診断装置。
【請求項16】
心臓が撮像された3次元医用画像データから第1断面像の候補を複数生成する第1断面像生成部と、
前記3次元医用画像データから前記第1断面像の各候補と交わる断面像である第2断面像を生成する第2断面像生成部と、
前記第1断面像の各候補、及び、該第1断面像の各候補と前記第2断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した該第2断面像を並べて表示部に表示する表示制御部と
を備え、
前記表示制御部は、前記第1断面像の各候補の確からしさの度合いに応じて、各断面像の大きさ、各断面像の枠の線種、及び背景色のうち、少なくとも一つを変更する、医用画像診断装置。
【請求項17】
心臓が撮像された3次元医用画像データから第1断面像の候補を複数生成する第1断面像生成部と、
前記3次元医用画像データから前記第1断面像の各候補と交わる断面像である第2断面像を生成する第2断面像生成部と、
前記第1断面像の各候補、及び、該第1断面像の各候補と前記第2断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した該第2断面像を並べて表示部に表示する表示制御部と
を備え、
前記表示制御部は、前記第1断面像の各候補の確からしさの度合いに応じて、各候補の表示態様を変更し、
前記第1断面像生成部は、前記第1断面像の各候補の確からしさの度合いに応じて、前記第1断面像の候補の数、及び前記心臓の長軸を軸に回転させる角度のうち、少なくとも一つを調整する、医用画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置やX線CT(Computed Tomography)装置、超音波診断装置等の医用画像診断装置は、対象部位の3次元医用画像データ(以下「ボリュームデータ」)を収集し、収集したボリュームデータから、所望の断面像を生成する。「基本断面像」等と称される断面像は、医用画像診断装置や画像表示装置によって表示されることで、所望の部位の診断等に役立てられる。一方、「基本断面像」と交わる断面像は「補助断面像」等と称され、「基本断面像」が正しく設定されたか否かの確認等に役立てられる。
【0003】
例えば、MRI装置は、心臓が撮像されたボリュームデータから、基本断面像及び補助断面像を生成し、基本断面像及び補助断面像を並べて表示部に表示する。この場合、操作者は、表示部に表示された各断面像を閲覧しながら、基本断面像の修正や確認を繰り返し行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/021254号
【特許文献2】特許第4018303号公報
【特許文献3】特開2002−140689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、断面像の確認を適切に行うことができる医用画像診断装置及び画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、収集部と、第1断面像生成部と、第2断面像生成部と、表示制御部とを備える。前記収集部は、被検体の心臓を内包する範囲の3次元医用画像データを収集する。前記第1断面像生成部は、前記3次元医用画像データから、心臓の解剖学的な構造に基づいて定義される断面像の1つである第1断面像について、当該第1断面像の候補となる複数の候補画像を生成する。前記第2断面像生成部は、前記3次元医用画像データから前記複数の候補画像と交わる断面像である第2断面像を生成する。前記表示制御部は、前記複数の候補画像、及び、該複数の候補画像それぞれと前記第2断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した該第2断面像を並べて表示部に表示する。前記収集部は、前記複数の候補画像及び前記第2断面像を前記表示部に表示した後、前記複数の候補画像の中から前記第1断面像を選択する操作者からの指示に基づいて、イメージングスキャンを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係るMRI装置を示すブロック図。
図2図2は、本実施形態における基本断面像の各候補を説明するための図。
図3図3は、本実施形態における補助断面像を説明するための図。
図4図4は、本実施形態に係る処理手順を示すフローチャート。
図5図5は、本実施形態における表示例を示す図。
図6図6は、本実施形態における新候補の表示例を示す図。
図7図7は、本実施形態における新候補の表示例を示す図。
図8図8は、他の実施形態における表示例を示す図。
図9図9は、他の実施形態における表示例を示す図。
図10図10は、他の実施形態における表示例を示す図。
図11図11は、他の実施形態における表示例を示す図。
図12図12は、他の実施形態に係る画像表示装置を示すブロック図。
図13図13は、他の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
図14図14は、他の実施形態における位置決め画像の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る医用画像診断装置及び画像表示装置を説明する。なお、本実施形態においては、医用画像診断装置としてMRI装置を想定する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。被検体P(図1において点線の枠内)は、MRI装置100に含まれない。静磁場磁石1は、中空の円筒状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石1は、例えば、永久磁石、超伝導磁石等である。傾斜磁場コイル2は、中空の円筒状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。具体的には、傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置され、傾斜磁場電源3から傾斜磁場パルスの供給を受けて、傾斜磁場を発生する。傾斜磁場電源3は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、傾斜磁場パルスを傾斜磁場コイル2に供給する。
【0010】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、天板4aを、被検体Pが載置された状態で、撮像口である傾斜磁場コイル2の空洞内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0011】
送信コイル6は、磁場を発生する。具体的には、送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7からRF(Radio Frequency)パルスの供給を受けて、磁場を発生する。送信部7は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル6に供給する。
【0012】
受信コイル8は、磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号)を受信する。具体的には、受信コイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、磁場の影響によって被検体Pから放射されるMR信号を受信する。また、受信コイル8は、受信したMR信号を受信部9に出力する。
【0013】
受信部9は、シーケンス制御部10から送られる制御信号に従って、受信コイル8から出力されたMR信号に基づきMR信号データを生成する。具体的には、受信部9は、受信コイル8から出力されたMR信号をデジタル変換することによってMR信号データを生成し、生成したMR信号データを、シーケンス制御部10を介して計算機システム20に送信する。なお、受信部9は、静磁場磁石1や傾斜磁場コイル2等を備える架台装置側に備えられていてもよい。
【0014】
シーケンス制御部10は、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9を制御する。具体的には、シーケンス制御部10は、計算機システム20から送信されたパルスシーケンス実行データに基づく制御信号を、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。例えば、シーケンス制御部10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0015】
計算機システム20は、インタフェース部21と、画像再構成部22と、記憶部23と、入力部24と、表示部25と、制御部26とを備える。インタフェース部21は、シーケンス制御部10に接続され、シーケンス制御部10と計算機システム20との間で送受信されるデータの入出力を制御する。画像再構成部22は、シーケンス制御部10から送信されたMR信号データから画像データを再構成し、再構成した画像データを記憶部23に格納する。
【0016】
記憶部23は、画像再構成部22によって格納された画像データや、MRI装置100において用いられるその他のデータを記憶する。例えば、記憶部23は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0017】
入力部24は、各種指示を操作者から受け付ける。例えば、入力部24は、マウス、キーボード、トラックボール、タッチパッド等のユーザインタフェースである。表示部25は、画像データ等を表示する。例えば、表示部25は、液晶ディスプレイ等である。
【0018】
制御部26は、上述した各部を制御することによってMRI装置100を総括的に制御する。例えば、制御部26は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。
【0019】
ここで、本実施形態に係る制御部26は、図1に示すように、収集部26aと、基本断面像生成部26bと、補助断面像生成部26cと、表示制御部26dとを備える。また、制御部26は、被検体Pの心臓のボリュームデータを収集し、収集したボリュームデータから基本断面像の候補や補助断面像を生成し、生成した各断面像を表示部25に表示する。
【0020】
まず、収集部26aは、被検体Pの心臓を内包する範囲のボリュームデータを収集し、収集したボリュームデータを、基本断面像生成部26b及び補助断面像生成部26cそれぞれに出力する。例えば、収集部26aは、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9を制御するためのパルスシーケンス実行データを生成し、生成したパルスシーケンス実行データをシーケンス制御部10に送信する。
【0021】
また、基本断面像生成部26bは、収集部26aによって収集されたボリュームデータから、基本断面像の候補を複数生成し、生成した基本断面像の候補を表示制御部26dに出力する。例えば、基本断面像生成部26bは、収集部26aによって収集されたボリュームデータから、基本断面像の各候補の位置を算出し、算出した各候補の位置に従い、ボリュームデータから各候補を生成する。
【0022】
また、補助断面像生成部26cは、収集部26aによって収集されたボリュームデータから、基本断面像の各候補と交わる断面像である補助断面像を生成し、生成した補助断面像を表示制御部26dに出力する。例えば、補助断面像生成部26cは、収集部26aによって収集されたボリュームデータから、補助断面像の位置を算出し、算出した補助断面像の位置に従い、ボリュームデータから補助断面像を生成する。
【0023】
また、表示制御部26dは、基本断面像の各候補及び補助断面像をマトリックス状に配置して表示部25に表示する。例えば、表示制御部26dは、基本断面像の各候補を水平方向又は垂直方向に並べて表示するとともに、補助断面像を、各候補とは異なる垂直方向又は水平方向に並べて表示する。なお、表示制御部26dは、補助断面像上に、基本断面像の各候補との位置関係を示す情報を重畳表示する。
【0024】
図2は、本実施形態における基本断面像の各候補を説明するための図である。なお、本実施形態においては、基本断面像として「四腔断面(4 chamber)像」を想定するが、実施形態はこれに限られるものではない。心臓の場合、基本断面像は、心臓の長軸像であればよく、垂直長軸像、水平長軸像、二腔断面(2 chamber)像、三腔断面(3 chamber)像等でもよい。
【0025】
図2(a)は、四腔断面像100の解剖学的な位置づけを示し、図2(b)は、四腔断面像100の例を示す。図2(b)に示すように、四腔断面像100は、4つの腔(左心室LV(left ventricle)、左心房LA(left atrium)、右心室RV(right ventricle)、及び右心房RA(right atrium))全てが見えており、また、心臓の特徴部位である僧帽弁MV(mitral valve)及び心尖部CA(Cardiac Apex)を通る断面像である。図2(b)に示すCは「左室中心」と呼ばれる部位であり、僧帽弁MVと心尖部CAとの中点に位置する。左室中心Cから心尖部CAへと向かうベクトルを「長軸Y」と呼び、四腔断面像100上で長軸Yと直交するベクトルを「短軸X」と呼ぶ。本実施形態において、基本断面像生成部26bは、心臓の長軸Yを含む断面像である基本断面像の第1候補と、この長軸Yを軸に第1候補を所定角度回転させた断面像である基本断面像の第2候補とを生成する。すなわち、基本断面像の各候補は、図2に示す四腔断面像100を長軸Yを軸に所定角度回転させた場合の回転角の異なる断面像である。
【0026】
次に、図3は、本実施形態における補助断面像を説明するための図である。なお、本実施形態においては、補助断面像として長軸Yと交差する「左室短軸像」を想定するが、実施形態はこれに限られるものではなく、基本断面像と交わる断面像であればよい。
【0027】
図3(a)及び(c)は、左室短軸像200及び201の解剖学的な位置づけを示し、図3(b)及び(d)は、左室短軸像200及び201の例を示す。図2及び図3から分かるように、左室短軸像は、長軸Yと直交する断面像である。本実施形態のように、僧帽弁MVや心尖部CAの位置で長軸Yに対して直交する断面像とすると効果的である。
【0028】
図4は、本実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施形態において、基本断面像生成部26bは、予め、入力部24を介した操作者の入力として、基本断面像の候補の数や、心臓の長軸を軸に回転させる角度を受け付け、図示しない記憶部にパラメータとして記憶しているものとする。そして、基本断面像生成部26bは、このパラメータに従って、基本断面像の各候補を生成する。また、補助断面像生成部26cも同様に、予め、入力部24を介した操作者の入力として、補助断面像の数や、補助断面像の位置を受け付け、図示しない記憶部にパラメータとして記憶しているものとする。そして、補助断面像生成部26cは、このパラメータに従って、補助断面像を生成する。基本断面像生成部26bや補助断面像生成部26cは、かかるパラメータを変更する指示を操作者から受け付けた場合には、指示の内容に従い、生成する断面像を変更すればよい。また、かかるパラメータは、操作者の入力として受け付けるのではなく、MRI装置100に予め設定されていてもよい。
【0029】
まず、収集部26aが、被検体Pの心臓を対象部位として撮像を行い、心臓のボリュームデータを収集する(ステップS1)。
【0030】
次に、基本断面像生成部26bが、ステップS1で収集されたボリュームデータから、基本断面像の第1候補の位置を算出し、算出した第1候補の位置に従い、ボリュームデータから、基本断面像の第1候補を生成する(ステップS2)。
【0031】
ここで、基本断面像の各候補の位置の算出を説明する。具体的には、基本断面像生成部26bは、基本断面像上に少なくとも長軸Yが含まれるように、ボリュームデータの3次元画像空間中に基本断面像の候補を設定する。各候補の位置とは、この3次元画像空間における基本断面像の候補の空間的な位置を意味し、ボリュームデータから基本断面像の候補が一意に決まるパラメータ(以下「位置パラメータ」)で表される。
【0032】
例えば、位置パラメータは、式(1)で決まる、基本断面像の候補の中心座標点oと、式(2)で決まる、基本断面像の候補上にある直交する2本のベクトルu及びvとで表現できる。
【数1】
【数2】
【0033】
なお、この2本のベクトルu及びvは、平行でなければ、基本断面像の各候補の位置を一意に決めることができる。本実施形態においては、説明の便宜上、直交する2本のベクトルとし、uを短軸X、vを長軸Yとして表現する。また、oを左室中心Cとして表現する。すなわち、基本断面像の各候補の位置の算出とは、この位置パラメータo、u、vを求めることである。なお、この基本断面像の各候補の位置の算出は、公知の技術で実現することができる。例えば、基本断面像生成部26bは、基本断面像のテンプレート画像を予め用意し、このテンプレート画像とのテンプレートマッチングによって、左室中心Cや、短軸X、長軸Yを特定し、これらを表現する位置パラメータを算出すればよい。また、例えば、基本断面像生成部26bは、基本断面像を識別する識別器を用いて、左室中心Cや、短軸X、長軸Yを特定し、これらを表現する位置パラメータを算出すればよい。その他、位置パラメータは、手動で設定されてもよい。
【0034】
なお、この位置パラメータは、この表現方法に限定されず、例えば、僧帽弁MV、心尖部CAの位置、及び短軸ベクトルuで表現してもよく、少なくとも、基本断面像の各候補の位置を一意に決めることができ、且つ長軸Yの情報が含まれている表現方法であればよい。
【0035】
続いて、基本断面像生成部26bは、ボリュームデータから、基本断面像の第2候補の位置を算出し、算出した第2候補の位置に従い、ボリュームデータから、基本断面像の第2候補を生成する(ステップS3)。
【0036】
基本断面像の第2候補とは、短軸Xを所定角度ずらした場合の断面像を確認するために補助的に求める断面像であって、長軸Yを軸に、基本断面像の第1候補を所定角度回転させた断面像である。
【0037】
本実施形態において、基本断面像の第2候補は、式(3)で決まる、中心座標点o1と、式(4)で決まる、補助断面像上にある直交する2本のベクトルu1及びv1とで表現できる。なお、「θ」は、基本断面像の第1候補の位置から長軸Yを軸として回転した所定の回転角度であり、「×」は、外積計算である。
【数3】
【数4】
【0038】
次に、補助断面像生成部26cが、ボリュームデータから、基本断面像の各候補と交わる断面である補助断面像の位置を算出し、算出した補助断面像の位置に従い、ボリュームデータから、補助断面像を生成する(ステップS4)。
【0039】
補助断面像とは、基本断面像の各候補の位置や長軸Yを確認しやすくするために補助的に求める断面像であって、長軸Yと交差する断面像であり、例えば、2以上生成される。
【0040】
本実施形態において、補助断面像である左室短軸像は、式(5)で決まる、中心座標点o2と、式(6)で決まる、補助断面上にある直交する2本のベクトルu2及びv2とで表現できる。なお、「a」は、任意の定数であり、「×」は、外積計算である。
【数5】
【数6】
【0041】
本実施形態において、図3に示すように、補助断面像生成部26cは、補助断面像が、僧帽弁MVの位置と心尖部CAの位置となるように「a」を2つ設定する。本実施形態のように、長軸Yと直交する断面像を補助断面像とすることは、より効果的に、基本断面像の各候補の位置や長軸Yの位置を確認できる。また、断面位置o2が、僧帽弁MVと心尖部CAとなるように設定するとより効果的である。
【0042】
続いて、表示制御部26dが、基本断面像の各候補と補助断面像との相対的な位置関係を算出する(ステップS5)。例えば、表示制御部26dは、基本断面像の第1候補と補助断面像との交差線情報、基本断面像の第2候補と補助断面像との交差線情報、及び、補助断面像と長軸との交差点情報を算出する。
【0043】
図5は、本実施形態における表示例を示す図である。位置関係の算出例を図5を用いて説明する。表示制御部26dが算出する交差線情報とは、本実施形態においては、図5に示す100L及び101Lである。100Lは、補助断面像200及び201における基本断面像の第1候補100との交差線であり、短軸Xの方向を示している。また、101Lは、補助断面像200及び201における基本断面像の第2候補101との交差線であり、第1候補100上の短軸Xを、長軸Yを軸に所定角度回転させた方向を示している。
【0044】
なお、一般的に、基本断面像の各候補と補助断面像との交差線ベクトルlは、基本断面像の各候補の法線ベクトルnと補助断面像の法線ベクトルn´とを用いて式(7)で表現でき、このベクトルlを補助断面像に射影することで、補助断面像200及び201における、基本断面像の各候補との交差線情報を算出できる。なお「b」は、任意の定数、「p」は、基本断面像の各候補と補助断面像とが交差する線上の任意の点であり、基本断面像の各候補及び補助断面像の平面の方程式を解くことで計算できる。
【数7】
【0045】
また、一般的に、長軸Yと補助断面像との3次元画像空間中の交差点(x、y、z)は、補助断面像200又は201の平面の方程式を式(8)、直線lの方程式を式(9)とすると、式(10)によって求めることができる。なお「t」は、媒介変数である。式(10)によって得られた3次元画像空間中の交差点を補助断面像200又は201に射影することにより、画像中の交差点情報を算出できる。
【数8】
【数9】
【数10】
【0046】
そして、表示制御部26dは、基本断面像の各候補、及び、ステップS5において算出した位置関係を示す情報を重畳表示した補助断面像を並べて、表示部25に表示する(ステップS6)。例えば、表示制御部26dは、補助断面像上に、基本断面像の各候補と補助断面像との交差線情報や長軸Yとの交差点情報を合成して表示する。
【0047】
例えば、表示制御部26dは、図5に示すように、補助断面像200及び201上に、基本断面像の第1候補100との交差線100L、第2候補101との交差線101L、長軸Yとの交差点MV(例えば、図5に示す□印のマーク)又は交差点CA(例えば、図5に示す△印のマーク)を合成して表示する。
【0048】
次に、基本断面像生成部26bは、操作者から、基本断面像の新たな候補(以下「新候補」)の生成指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS7)、受け付けた場合には(ステップS7,Yes)、新候補の位置を算出し、算出した新候補の位置に従い、ボリュームデータから、基本断面像の新候補を生成する(ステップS8)。
【0049】
その後、表示制御部26dが、基本断面像の新候補と補助断面像との相対的な位置関係を更に算出し(ステップS5)、基本断面像の新候補を表示するとともに、補助断面像上に、新候補と補助断面像との位置関係を示す情報を重畳表示する(ステップS6)。このように、ステップS5からS8の処理が繰り返される。一方、基本断面像生成部26bは、操作者から新候補の生成指示を受け付けずに、例えば基本断面像の選択指示を受け付けた場合には(ステップS7,No)、処理を終了し、操作者によって選択された候補を、基本断面像に設定する。
【0050】
なお、実施形態は、上述した処理手順に限られるものではない。例えば、基本断面像の各候補や補助断面像の表示は、各断面像の生成のタイミングで行われてもよい。すなわち、例えば、表示制御部26dは、基本断面像生成部26bによって各候補が生成されるステップS2やステップS3のタイミングで、表示部25に各候補を表示してもよい。また、例えば、表示制御部26dは、補助断面像生成部26cによって補助断面像が生成されるステップS4のタイミングで、表示部25に補助断面像を表示してもよい。
【0051】
ここで、上述した新候補の生成について、図5を用いて説明する。操作者は、表示部25を見ると、補助断面像200における基本断面像の第1候補100との交差線100L(つまり短軸Xの方向)、第2候補101との交差線101L(つまり短軸Xを、長軸Yを軸に所定角度回転させた方向)から、基本断面像の第1候補100及び第2候補101が空間的にどの方向に設定されているかを直観的に理解することができる。
【0052】
また、操作者は、表示部25を見ると、補助断面像200における長軸Yとの交差点MV、補助断面像201における長軸Yとの交差点CAから、現在の長軸Yの位置が左心室LVの中心を通っているかどうかも直観的に理解することができる。
【0053】
補助断面像200である基支部付近の左室短軸像上で基本断面像の第1候補100である四腔断面像の短軸X方向は、右心室RVの角と長軸を通るという医学的知見があるが、被検体による心臓の形状には個人差があるため、長軸Yを軸に短軸Xを回転させながら微修正して確認する必要がある。この点、本実施形態のように、短軸Xを微修正する後と前の画像を並べて比較でき、かつ、その時の短軸Xが空間的にどの方向になるかを補助断面像200及び201から確認できる。
【0054】
本実施形態において、例えば、操作者は、表示部25で表示中の第2候補101を、入力部24のマウスを介して選択し、第2候補101を第1候補に設定する指示を入力する。すると、基本断面像生成部26bは、第2候補101を新第1候補に設定する指示であって、基本断面像の新候補を更に生成する生成指示を受け付けたと判定する。この場合の新候補は、例えば、基本断面像の候補101(旧第2候補)を更に所定角度回転させた断面像である。すなわち、基本断面像生成部26bは、候補101(旧第2候補)の短軸を、長軸Yを軸に所定角度回転させ、新たな短軸Xとする。また、基本断面像生成部26bは、候補101(旧第2候補)を、長軸Yを軸に更に所定角度回転させ、新第2候補とする。
【0055】
図6は、本実施形態における新候補の表示例を示す図である。例えば、表示制御部26dは、図6に示すように、基本断面の各候補として、新第1候補となった候補101と、新第2候補である候補102とを水平方向に並べて表示する。また、表示制御部26dは、図6に示すように、各候補の下に、補助断面像200及び201を垂直方向に並べて表示する。この場合、表示制御部26dは、例えば、補助断面像200及び201上に、新第2候補102と、補助断面像200及び201との位置関係を示す交差線情報102Lを重畳表示する。
【0056】
なお、実施形態はこれに限られるものではない。図7は、本実施形態における新候補の表示例を示す図である。例えば、表示制御部26dは、各断面像を表示部25に表示する際に、図7に示す新候補生成指示ボタンbを併せて表示してもよい。図7の例において、新候補生成指示ボタンbは、長軸Yを軸に回転して新候補を生成する際の回転方向を示す。例えば、操作者が、右方向の新候補生成指示ボタンbを押下したとする。すると、基本断面像生成部26bは、第1候補100や第2候補101とは別に、基本断面像の新候補である第3候補102を更に生成する生成指示を受け付けたと判定する。この場合の第3候補102は、例えば、第2候補101を更に所定角度回転させた断面像である。すなわち、基本断面像生成部26bは、第2候補101を、長軸Yを軸に更に所定角度回転させた基本断面像を、第3候補102とする。
【0057】
そして、例えば、表示制御部26dは、図7の下段に示すように、基本断面の各候補として、第1候補100及び第2候補101とともに第3候補102を表示するとともに、補助断面像200及び201上に、第3候補102と、補助断面像200及び201との位置関係を示す交差線情報102Lを更に重畳表示する。
【0058】
なお、新候補の生成指示はこれに限られるものではなく、例えば、操作者は、第1候補101と第2候補102との間を入力部24のマウスでクリックすることで、第1候補101と第2候補102との中間の角度で長軸Yを軸に回転した新候補の生成を指示してもよい。
【0059】
また、例えば、操作者は、補助断面像上に重畳表示された交差線情報や交差点情報に対する変更指示を入力することで、新候補の生成指示としてもよい。この場合、基本断面像生成部26bは、交差線情報や交差点情報に対する変更指示を受け付けると、受け付けた変更指示に従い、基本断面像の新候補を生成する。例えば、操作者は、入力部24のマウスを介して、表示部25で表示中の補助断面像上の長軸Yとの交差点MV若しくはCAを移動させる。すると、基本断面像生成部26bは、補助断面像上の変更された長軸Yの交差点に基づいて長軸Yを変更する。例えば、基本断面像生成部26bは、変更された長軸Yの交差点と、変更されなかったもう一方の長軸Yとの交差点とを結ぶ線分を新たな長軸Yへと設定する。又は、基本断面像生成部26bは、変更された長軸Yの交差点の移動量分だけ長軸Yを平行移動させる。この変更に伴い、基本断面像生成部26bは、基本断面像の新候補を生成する。また、例えば、操作者は、入力部24のマウスを介して、補助断面像上の交差線情報の向きを変更する。すると、基本断面像生成部26bは、変更後の角度を短軸Xの方向とする基本断面像の新候補を生成する。
【0060】
また、例えば、操作者は、入力部24のキーボードを介して、基本断面像の候補の数や、表示部25に表示中の各候補の位置との所定の角度差を入力することで、新候補の生成指示としてもよい。第2候補101を、入力された角度分、長軸Yを軸に更に回転させた基本断面像を、第3候補102とする。
【0061】
以上のことから、操作者は、入力部24で変更した基本断面像の新候補を新たに見ることができ、その後、操作者によって選択された候補が基本断面像に設定されることで、操作者は、この基本断面像を診断に用いることができる。
【0062】
上述してきたように、本実施形態によれば、MRI装置100は、長軸を軸に基本断面像を所定角度回転させた少なくとも1以上の候補を水平(又は垂直)方向に配置し、長軸と交差し、例えば2以上の第2補助断面を垂直(又は水平)方向に配置する。また、MRI装置100は、各補助断面像上に、長軸との交差点、及び基本断面像の各候補との交差線を表示する。このことにより、基本断面像の位置の確認と、長軸の向きの確認と、短軸を所定角度長軸を軸に回転させた場合の断面像の確認とを、効率良く行うことができる。こうして、本実施形態によれば、基本断面像の複数の『候補』や、各『候補』と補助断面像との位置関係が一覧表示されることで、操作者は、複数の候補間で、断面像そのものや、短軸・長軸の位置関係を容易に比較でき、基本断面像を適切に確認できる。
【0063】
(他の実施形態)
実施形態は、上述した本実施形態に限られるものではない。
【0064】
図8図11は、他の実施形態における表示例を示す図である。上述の実施形態においては、図5に例示したように、基本断面像の各候補に共通の補助断面像を表示し、1つの補助断面像上に、複数の候補との交差線情報を表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、候補に対応する数だけ補助断面像をそれぞれ表示してもよい。例えば、表示制御部26dは、図8に示すように、基本断面像の各候補を水平方向に並べて表示するとともに、各候補に対応する補助断面像それぞれを垂直方向に並べて表示してもよい。
【0065】
また、上述の実施形態においては、図5に例示したように、基本断面像の候補として2つの候補を表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、3つ以上の候補を表示してもよい。また、上述の実施形態においては、図5に例示したように、2箇所の補助断面像を表示することとしたが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、3箇所以上の補助断面像を表示してもよい。例えば、表示制御部26dは、図9に示すように、基本断面像の候補として、例えば5つの候補を表示し、また、3箇所の補助断面像を表示してもよい。
【0066】
また、表示制御部26dは、基本断面像の各候補の確からしさの度合いに応じて、各候補の表示態様を変更してもよい。例えば、表示制御部26dは、図10に示すように、基本断面像生成部26bにより算出される基本断面像の位置の確からしさの度合いに基づいて、画像の大きさを変えるとより効果的である。ここで、基本断面像の位置の確からしさの度合いとは、例えば、テンプレートマッチングによるマッチング誤差でもよいし、学習した識別器が出力する尤度でもよく、例えば、基本断面像生成部26bが、確からしさの度合いを数値化した情報として算出すればよい。また、表示制御部26dは、確からしさの度合いに応じて画像の大きさを変更する替わりに、若しくは画像の大きさを変更するとともに、例えば、画像枠の線種や、背景の色を変更してもよい。あるいは、表示制御部26dは、画像内に確からしさの度合いを数値化して表示してもよい。また、表示制御部26dは、基本断面像の大きさ等を変更する替わりに、若しくは基本断面像の大きさ等を変更するとともに、補助断面像の大きさ等を変更してもよい。操作者は、一見して、基本断面像の各候補間の優劣(確からしさの度合いの違い)を把握することができる。
【0067】
なお、基本断面像生成部26bは、基本断面像の各候補を生成する際に、基本断面像の各候補の確からしさの度合いに応じて、基本断面像の候補の数や、長軸を軸に回転させる角度を調整してもよい。例えば、基本断面像生成部26bは、基本断面像の第1候補を生成した際に、この第1候補の確からしさの度合いが所定閾値を上回る場合には、例えば、基本断面像の候補の数を減らしたり、例えば、長軸を軸に回転させる角度を小さく設定する。これは、第1候補の確からしさの度合いが高いため、その他の候補も、それほど数が必要ではなく、また、正しい基本断面像は、第1候補から大きく離れないと想定されるからである。一方、例えば、基本断面像生成部26bは、基本断面像の第1候補の確からしさの度合いが所定閾値を下回る場合には、例えば、基本断面像の候補の数を増やしたり、例えば、長軸を軸に回転させる角度を大きく設定する。これは、第1候補の確からしさの度合いが低いため、その他の候補は、ある程度数が必要であり、また、正しい基本断面像は、第1候補からある程度離れると想定されるからである。なお、この調整はこれに限られるものではなく、運用の形態に応じて任意に変更することができる。
【0068】
また、上述の実施形態においては、図5に例示したように、2箇所の補助断面像を表示することとしたが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、図11に示すように、1箇所の補助断面像を表示するだけでもよい。
【0069】
また、上述の実施形態においては、医用画像診断装置としてMRI装置を想定したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、医用画像診断装置は、X線診断装置、X線CT装置、超音波診断装置などでもよい。また、例えば、医用画像診断装置に替わり、画像表示装置や、医用画像診断装置と画像表示装置とを含む画像処理システムが、上述した各種処理を実行してもよい。ここで、画像表示装置とは、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像保管装置(画像サーバ)やビューワ、電子カルテシステムの各種装置などである。例えば、画像表示装置は、各種医用画像診断装置にて収集されたボリュームデータであって、処理の対象となるボリュームデータの入力を、医用画像診断装置から受け付けてもよい。また、例えば、画像表示装置は、PACSの画像サーバ等に保存されたボリュームデータの入力を受け付けて、処理の対象としてもよい。
【0070】
例えば、画像表示装置は、表示部と、表示制御部とを備える。表示制御部は、心臓の長軸を含む基本断面像の各候補を、水平方向又は垂直方向に並べて表示部に表示するとともに、基本断面像の各候補と交わる断面像であって各候補との位置関係を重畳表示する補助断面像を、各候補とは異なる垂直方向又は水平方向に並べて表示部に表示する。
【0071】
図12は、他の実施形態に係る画像表示装置を示すブロック図である。例えば、画像表示装置200は、図12に示すように、基本断面像生成部200aと、補助断面像生成部200bと、表示制御部200cと、表示部200dとを備える。基本断面像生成部200a、補助断面像生成部200b、表示制御部200c、及び表示部200dは、それぞれ、上述した実施形態における、基本断面像生成部26b、補助断面像生成部26c、表示制御部26d、及び表示部25に対応する機能を有する。
【0072】
(位置決め画像として表示される基本断面像)
上述した実施形態においては、ボリュームデータから生成された基本断面像が、後段の本撮像(イメージングスキャン)で収集される画像の位置決め画像として生成されたものであるか、あるいは解析や診断に用いられる画像として生成されたものであるかについて、限定するものではない。この点、以下では、基本断面像が位置決め画像として生成された場合を想定して具体的に説明する。
【0073】
図13は、他の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。まず、収集部26aが、被検体Pの心臓を対象部位として撮像を行い、心臓のボリュームデータを収集する(ステップS101)。例えば、収集部26aは、所定の撮像範囲に従い、マルチスライス像のデータを収集する。所定の撮像範囲のうち、スライス方向の撮像範囲は、例えば、心臓の上端から頭方向にオフセットを取った位置と、心臓の下端から足方向にオフセットを取った位置とで定まる範囲である。また、例えば、収集部26aは、2D FFE(Fast Field Echo)や2D SSFP(Steady−State Free Precession)、2D FASE(Fast Asymmetric Spin Echo)を用いて、マルチスライス像のデータを収集する。この収集は、心臓の断面像を特定できる程度の高分解能で行われる。
【0074】
その後、画像再構成部22が、収集されたデータから被検体Pの体軸方向に沿った複数のアキシャル断面像を再構成することで、ボリュームデータを生成する。例えば、ボリュームデータは、画像再構成部22によって再構成された20枚のアキシャル断面像群である。なお、画像再構成部22は、再構成後のボリュームデータに対して、等方化処理(x、y、zの3方向がそれぞれ等距離間隔となるように行う補間処理)を施した上で、後段の処理にボリュームデータとして提供してもよい。あるいは、画像再構成部22は、等方化処理を施さないボリュームデータを後段の処理に提供してもよい。
【0075】
続いて、基本断面像生成部26bが、ステップS101で収集されたボリュームデータから、6種類の基本断面像の位置を算出し、算出した位置に従い、ボリュームデータから、6種類の基本断面像を生成する(ステップS102)。ここで生成された6種類の基本断面像は、後段のイメージングスキャンで収集される画像の位置決め画像として生成されたものである。また、操作者による位置決め終了前の画像という意味で、第1候補の基本断面像である。また、後述するように、各基本断面像は、他の基本断面像の補助断面像となり得る。
【0076】
そして、基本断面像生成部26bは、ステップS102で生成した6種類の基本断面像を表示部25に表示する(ステップS103)。図14は、他の実施形態における位置決め画像の表示例を示す図である。例えば、基本断面像生成部26bは、図14に示すように、位置決め画像として、垂直長軸像(VLA(Vertical Long Axis))、水平長軸像(HLA(Horizontal Long Axis))、左室短軸像(SA(Short Axis))、四腔断面像(4ch)、二腔断面像(2ch)、三腔断面像(3ch)を並べて表示する。なお、基本断面像生成部26bは、図14に示すように、各断面像上に、他の断面像との交差線情報を重畳表示してもよい。なお、図14においては説明の便宜上表現を省略したが、6種類の各断面像は、例えば色分けされた枠に囲まれて表示され、その枠の色と交差線情報の色とを一致させることで、各断面像上に示される交差線が、どの断面像との交差線であるかを表現してもよい。
【0077】
続いて、基本断面像生成部26bは、これら位置決め画像としての6種類の基本断面像上で、操作者から、基本断面像の選択を受け付けるか、若しくは、位置決め終了の指示を受け付けるかを判定する(ステップS104)。
【0078】
基本断面像の選択を受け付けた場合、基本断面像生成部26bは、ステップS105〜S107の処理を経た後、上述した実施形態と同様、選択された基本断面像の各候補及び補助断面像をマトリックス状に配置して(例えば、図5を参照)、表示部25に表示する(ステップS108)。なお、このマトリックス状の表示は、ステップS103で表示された6種類の基本断面像のウィンドウとは異なるウィンドウで表示されてもよい。あるいは、例えば1画面内におさまる場合には、マトリックス状の表示は、ステップS103で表示された6種類の基本断面像と並べて表示されてもよい。
【0079】
例えば、基本断面像生成部26bは、基本断面像の選択を受け付けると、上述した実施形態と同様、選択された基本断面像の第2候補の位置を算出し、算出した第2候補の位置に従い、ボリュームデータから、基本断面像の第2候補を生成する(ステップS105)。
【0080】
また、補助断面像生成部26cは、ステップS104で選択された基本断面像に対応する補助断面像を、例えばステップS102で生成した6種類の基本断面像の中から特定する(ステップS106)。例えば、ステップS104で操作者により選択された基本断面像が四腔断面像の場合、補助断面像生成部26cは、対応する補助断面像として、基本断面像のうちの1つである左室短軸像を特定する。
【0081】
ここで、補助断面像を特定する手法として、例えば、以下の3つの手法が考えられる。手法1は、基本断面像と補助断面像との組合せを予め設定しておく手法である。例えば、補助断面像生成部26cは、操作者による事前入力によって、四腔断面像と左室短軸像との組合せや、その他の組合せを予め記憶しておく。そして、補助断面像生成部26cは、ステップS104で操作者により選択された基本断面像が四腔断面像の場合、予め記憶した組合せを参照し、補助断面像として、左室短軸像を特定する。なお、例えば、補助断面像生成部26cは、四腔断面像や左室短軸像をより抽象化した組合せとして、「長軸像」と「短軸像」とを組合せとして予め記憶してもよい。例えば、補助断面像生成部26cは、ステップS104で操作者により選択された基本断面像が「長軸像」である四腔断面像の場合、6種類の基本断面像の中から「短軸像」を探索し、補助断面像として、短軸像である左室短軸像を特定する。
【0082】
また、手法2は、基本断面像相互の相対的な位置関係から適応的に決定する手法である。例えば、補助断面像生成部26cは、ステップS104で操作者により選択された基本断面像について、他の基本断面像との相対的な位置関係を求め、断面像同士のなす角度が直角に近いか否かを判定基準として補助断面像を特定する。また、手法3は、補助断面像の指定を受け付ける手法である。例えば、補助断面像生成部26cは、基本断面像と同様、補助断面像についても、操作者から指定を受け付ける。なお、補助断面像を特定する手法は、上述した手法に限られるものではない。
【0083】
さて、補助断面像生成部26cは、必要に応じて、基本断面像の中から特定した補助断面像の他に、例えばもう1つの補助断面像を更に生成する。例えば、補助断面像生成部26cは、基本断面像として生成済みの左室短軸像が僧帽弁MVの位置の断面像である場合、もう1つの補助断面像として心尖部CAの位置の左室短軸像を生成してもよい。
【0084】
続いて、上述した実施形態と同様、表示制御部26dが、基本断面像の各候補と補助断面像との相対的な位置関係を算出し(ステップ107)、ステップS108の表示に至る。なお、図13においては省略したが、この場合にも、例えば、基本断面像生成部26bは、操作者から、基本断面像の新候補の生成指示を受け付けると、ボリュームデータから基本断面像の新候補を生成し、再びステップS107及びS108の処理を繰り返してもよい。また、図14に示した基本断面像上には、他の断面像との交差線情報が重畳表示されていたが、例えば、このステップS108の表示においては、操作者による確認の目的に必要でない情報として、これらの交差線情報を非表示としてもよい。
【0085】
その後、基本断面像生成部26bは、複数の基本断面像の候補の中から1つの基本断面像の選択を受け付けると(ステップS109,Yes)、基本断面像の確認処理を終了し、再び、6種類の基本断面像を表示部25に表示する処理に戻る(ステップS103)。このとき、6種類の基本断面像のうち、ステップS104で選択済みの基本断面像については、ステップS109で操作者から選択された基本断面像が表示される。なお、明示的に1つの基本断面像の選択を受け付ける場合に限られず、例えば、確認終了ボタンの押下を受け付けることで、ステップS103で表示された第1候補の基本断面像を承認したことと等価であるとして、基本断面像の選択に替えてもよい。
【0086】
一方、ステップS104で、基本断面像生成部26bが、操作者から、位置決め終了の指示を受け付けると、次に、収集部26aが、上述した処理により確定した各基本断面像の位置に従って、イメージングスキャンを実行する(ステップS110)。
【0087】
なお、上述した例も一例に過ぎない。上述では、ボリュームデータから位置決め画像として6種類の基本断面像を生成し(ステップS102を参照)、また、前段の処理で確定した各基本断面像の位置に従ってイメージングスキャンを実行する(ステップS110を参照)例を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。まず、ボリュームデータから位置決め画像として生成する断面像の数、種類、また、これを一覧表示するか個別表示するか等は、任意に変更することができる。例えば、基本断面像生成部26bは、2種類以上の断面像を生成すればよい。また、イメージングスキャンで収集する断面像についても、その数、種類等を、任意に変更することができる。例えば、収集部26aは、1種類以上の断面像を収集すればよい。
【0088】
また、位置決め画像として生成する断面像の数、種類は、イメージングスキャンで収集する断面像の数、種類に必ずしも依存するものではない。例えば、当初の計画では予定していなかった断面像を後の計画変更で収集する場合もある。新たな断面像を収集するたび基本断面像の位置決めからやり直すとすると、その分操作者に手間が生じることにもなる。この点、例えば、イメージングスキャンで予定されている断面像よりも多くの種類の断面像についてその位置決めが事前に終了していれば、このような計画変更にも柔軟に対応することが可能になる。
【0089】
また、ここでは、上述した実施形態のうちの一例(例えば、図5及び図6の表示)を適用した場合を想定して説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、上述した実施形態のうちのいずれの形態にも同様に適用することができる。また、上述した例においては、基本断面像として四腔断面像が選択され、対応する補助断面像が左室短軸像である例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、交差する関係にある断面像の組み合わせが適宜選択されればよい。即ち、例えば、6種類の基本断面像のうち、確認を要する基本断面像として選択された基本断面像以外の5種類の基本断面像が、補助断面像となり得る。もっとも、確認を要する基本断面像として長軸像が選択され、これに対応する補助断面像として短軸像が特定される、という組み合わせが望ましい。また、上述した例のように、基本断面像生成部26bによって生成された基本断面像のうちの1つが、補助断面像となり得る場合、基本断面像生成部26bと補助断面像生成部26cとは、1つの処理部として構成されてもよい。
【0090】
(イメージングスキャン後の処理で表示される基本断面像)
さて、これまで、ボリュームデータから生成された基本断面像がイメージングスキャンで収集される画像の位置決め画像として生成され、表示される場合を想定して説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、上述した基本断面像生成部26b、補助断面像生成部26c、及び表示制御部26dによる処理は、イメージングスキャンで収集されたボリュームデータに対する後処理として行われてもよい。例えば、解析や診用に用いられる画像として、適切な画像を見つけるための処理として行われてもよい。上述したように、医用画像診断装置は、MRI装置に限られず、X線診断装置やX線CT装置、超音波診断装置等でもよい。この点、上述した処理は、例えば、これらの医用画像診断装置により高分解能で収集されたボリュームデータから、診断に用いられるMPR(Multi-Planar Reconstruction)画像を生成するための確認や調整の目的で行われてもよい。
【0091】
(処理の順番)
また、上述した実施形態において例示した処理手順(図4及び図13に示すフローチャート等)は、任意に変更することができる。例えば、上述した実施形態においては、断面像の位置の算出と生成とを連続して行う例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。各断面像の生成自体は、表示制御部26dによって表示部25に表示されるまでのタイミングで行われればよい。もっとも、先に生成された断面像を後段の処理に活用することもできる。例えば、基本断面像生成部26bは、第1候補の基本断面像を生成した段階で、この第1候補の基本断面像の確からしさを判定し、この判定結果に基づいて、基本断面像の候補の数や、長軸を軸に回転させる角度を調整することができる。
【0092】
また、例えば、基本断面像の第1候補の位置が算出された後、基本断面像の第2候補の位置を算出するのか、あるいは、補助断面像の位置を算出するのかについても、適宜順番を変更することができる。このように、上述した実施形態において例示した処理手順は、候補となる複数の断面像間で関連して算出される位置のように依存関係にあるものを除いては、任意に変更することができる。
【0093】
(その他の部位)
上述した実施形態においては、対象部位として「心臓」を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、他の対象部位を撮像する場合にも、同様に適用することができる。例えば、「肩」や「膝」といった関節の撮像にも、同様に適用することができ、表示制御部26dは、基本断面像の各候補、及び、これらの基本断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した補助断面像を並べて、表示部25に表示する。
【0094】
肩関節の撮像においては、例えば、アキシャル断面像上で、肩甲骨に平行な斜位コロナル断面像や、肩甲骨に直交する斜位サジタル断面像のイメージングスキャン用の位置決めが行われる場合がある。この場合、例えば、基本断面像生成部26bは、位置決め用に、比較的低分解能で収集したボリュームデータから、基本断面像として斜位コロナル断面像や斜位サジタル断面像の第1候補を生成し、表示する。また、例えば、基本断面像生成部26bは、操作者から基本断面像の選択を受け付けると、選択された基本断面像の第2候補を生成する。一方、補助断面像生成部26cは、ボリュームデータから、選択された基本断面像に対応する補助断面像として、アキシャル断面像を生成する。そして、表示制御部26dは、基本断面像(例えば、斜位コロナル断面像)の第1候補及び第2候補、並びに、これらの基本断面像との位置関係を示す情報を重畳表示した補助断面像(例えば、アキシャル断面像)を並べて、表示部25に表示する。
【0095】
(断面像、方向)
また、上述した実施形態においては、ボリュームデータから生成される各種断面像を、その用途に応じて、適宜「基本断面像」若しくは「補助断面像」と称し、表示制御部が、「基本断面像」の各候補、及び、「補助断面像」を表示するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではなく、これらの断面像は、必ずしも、「基本断面像」や「補助断面像」といった種別を持たなくてもよい。即ち、医用画像診断装置や画像表示装置は、単に、断面像(第1断面像、第1断面像と交わる第2断面像)をボリュームデータから生成したり、表示したりするものであればよい。また、上述した実施形態においては、基本断面像の各候補を水平(又は垂直)方向に配置し、補助断面像を垂直(又は水平)方向に配置する例を説明した。ここでいう「水平方向」や「垂直方向」とは、例えば、矩形状の表示部の2辺それぞれに略平行な方向である。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではなく、基本断面像の各候補や補助断面像は、第1の方向、及びこれと交わる第2の方向に配置されればよい。また、典型的には、第2方向は、第1の方向に対して垂直をなす方向である。
【0096】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の医用画像診断装置及び画像表示装置によれば、断面像の確認を適切に行うことができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
100 MRI装置
26 制御部
26a 収集部
26b 基本断面像生成部
26c 補助断面像生成部
26d 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14