特許第6366906号(P6366906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366906
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/02 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   H01C7/02
【請求項の数】44
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-125182(P2013-125182)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2014-3295(P2014-3295A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】CN201210195769.4
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】CN201220281068.8
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508205349
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ マサチューセッツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャンイン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ツォン ジンソン
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−028728(JP,A)
【文献】 特開平09−306704(JP,A)
【文献】 特開2001−326103(JP,A)
【文献】 特開昭51−116966(JP,A)
【文献】 実開昭51−082947(JP,U)
【文献】 実開昭51−056547(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する側に置かれた第1の電極と第2の電極とを有する電子素子と、
第1の端子および第2の端子と、
前記第1の端子に搭載されかつ電気的に接続される第1の支持であって、当該第1の支持は、前記第1の電極に接触しかつ電気的に接続される第1のコンタクト部を含む、前記第1の支持と、
前記第2の端子に搭載されかつ電気的に接続される第2の支持であって、当該第2の支持は、前記第2の電極と接触しかつ電気的に接続される第2のコンタクト部を含む、前記第2の支持と、
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの1つと接触する第3のコンタクト部を含む第3の弾性支持とを含み、
前記電子素子が故障状態で破断するときに、前記第1の支持および前記第2の支持のうちの1つと接触しないよう前記電子素子を押圧するために前記第3の弾性支持が提供される、電子装置。
【請求項2】
前記電子素子が故障状態で破断するときに、前記第3の弾性支持は、前記第1の支持と前記第2の支持のうちの前記1つおよびそこに同様に電気的に接続されている端子から電気的に絶縁される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1の支持と前記第2の支持のうちの前記1つは、剛性の支持である、請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第2の支持は、剛性の支持であり、前記第3のコンタクト部が前記第2のコンタクト部に近接する位置で前記第2の電極と接触する、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第3の弾性支持は、前記第3のコンタクト部を提供する第1の弾性部と、前記第2のコンタクト部および前記第3のコンタクト部と異なる位置で前記第2の電極と接触する第4のコンタクト部を含む第2の弾性部とを含む、請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1のコンタクト部は、前記第2のコンタクト部および前記第4のコンタクト部よりも前記電子素子の中心に近接し、前記第2のコンタクト部と前記第4のコンタクト部とが前記第1のコンタクト部を越えて互いに対向する、請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第2の弾性部が前記電子素子に第2の弾性力を加え、前記第1の弾性部が前記電子素子に第1の弾性力を加え、前記第2の弾性力が前記第1の弾性力よりも大きい、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記電子素子が故障状態で破損するときに、前記電子素子の断片が前記第1の弾性力によって前記第2の支持から離れる方向に押圧され、その結果、前記第2の支持が前記第2の電極と非接触となる、請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
通常の状態では、前記第1の支持が第1の電極へ力を加え、前記第2の支持が前記第1および第2の弾性力により第2の電極へ力を加え、その結果、前記第1の支持が前記第1の電極と密接な接触を保ち、前記第2の支持が前記第2の電極と密接な接触を保つ、請求項7に記載の電子装置。
【請求項10】
前記第1の弾性部が2つの弾性フォークを含み、前記第2のコンタクト部が当該2つのフォークとの間に位置され、かつ当該2つのフォークとは離間される、請求項5に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第2の弾性部により加えられる前記電子素子上の弾性力は、前記2つのフォークにより加えられる前記電子素子上の弾性力の和よりも大きい、請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記第2のコンタクト部は、前記第2のコンタクト部を前記第4のコンタクト部に接続する線と交差する方向で前記2つのフォークから離間される、請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記第2のコンタクト部と前記2つのフォークとの間の離間された距離が2mmよりも小さい、請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記第1のコンタクト部が前記電子素子の中心に位置され、前記第2のコンタクト部と前記第4のコンタクト部とを接続する線が前記電子素子の中心を通過する、請求項5に記載の電子装置。
【請求項15】
前記電子素子がPTCディスクである、請求項1ないし14いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項16】
前記第1の支持が前記第1の端子と一体である、請求項1ないし14いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項17】
前記第2の支持が前記第2の端子と一体である、請求項1ないし14いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項18】
前記電子装置がさらに、前記第2のコンタクト部および前記第3のコンタクト部と異なる位置で前記第2の電極と接触する第4のコンタクト部を有する第4の弾性支持を含む、請求項4に記載の電子装置。
【請求項19】
前記第1のコンタクト部が前記第2のコンタクト部と前記第4のコンタクト部とよりも前記電子素子の中心に近接し、前記第2のコンタクト部と前記第4のコンタクト部とが前記第1のコンタクト部を越えて互いに対向する、請求項18に記載の電子装置。
【請求項20】
前記第4の弾性支持が前記電子素子に第2の弾性力を加え、前記第3の弾性支持が前記電子素子に第1の弾性力を加え、前記第2の弾性力が前記第1の弾性力よりも大きい、請求項19に記載の電子装置。
【請求項21】
前記電子素子が故障状態で破断するとき、前記電子素子の断片が前記第1の弾性力によって前記第2の支持から遠ざかる方向に押圧され、それにより前記第2の支持が前記第2の電極と非接触となる、請求項20の電子装置。
【請求項22】
通常の状態では、前記第1の支持が第1の電極へ力を加え、前記第2の支持が前記第1および第2の弾性力とにより第2の電極へ力を加え、それにより前記第1の支持が前記第1の電極と密接な接触を保ち、前記第2の支持が前記第2の電極と密接な接触を保つ、請求項20に記載の電子装置。
【請求項23】
前記第3の弾性支持が2つの弾性的なフォークを含み、前記第2のコンタクト部が当該2つのフォークとの間に位置され、かつ当該2つのフォークとは離間される、請求項18に記載の電子装置。
【請求項24】
前記第4の弾性支持により加えられる前記電子素子上の弾性力が、前記2つのフォークにより加えられる前記電子素子上の弾性力の和よりも大きい、請求項23に記載の電子装置。
【請求項25】
前記第2のコンタクト部は、前記第2のコンタクト部と前記第4のコンタクト部とを接続する線と交差する方向で前記2つのフォークから離間される、請求項24に記載の電子装置。
【請求項26】
前記第2のコンタクト部と前記2つのフォークとの間の離間された距離が2mmよりも小さい、請求項25に記載の電子装置。
【請求項27】
前記第1のコンタクト部が前記電子素子の中央に位置され、前記第2のコンタクト部と前記第4のコンタクト部とを接続する線が前記電子素子の中心を通過する、請求項18に記載の電子装置。
【請求項28】
前記電子素子がPTCディスクである、請求項18ないし27いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項29】
前記第1の支持は前記第1の端子と一体である、請求項18ないし27いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項30】
前記第2の支持が前記第2の端子と一体である、請求項18ないし27いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項31】
前記第1の支持が剛性の支持であり、前記第3のコンタクト部は、前記第1のコンタクト部に近接する位置で前記第1の電極と接触する、請求項3に記載の電子装置。
【請求項32】
前記電子装置はさらに、前記第2のコンタクト部と異なる位置で前記第2の電極に接触する第5のコンタクト部を備える第5の支持をさらに含む、請求項31に記載の電子装置。
【請求項33】
前記第1のコンタクト部は、前記第2のコンタクト部および前記第5のコンタクト部よりも前記電子素子の中心に近接し、前記第2のコンタクト部と前記第5のコンタクト部とが前記第1のコンタクト部を隔てて互いに対向する、請求項32に記載の電子装置。
【請求項34】
前記第2の支持と前記第5の支持とがそれぞれ弾性支持である、請求項33に記載の電子装置。
【請求項35】
前記第2の支持が前記電子素子上に第2の弾性力を加え、前記第5の支持が前記電子素子上に第5の弾性力を加え、前記第3の弾性支持が前記電子素子上に第1の弾性力を加え、前記第2の弾性力と前記第5の弾性力との和が前記第1の弾性力よりも大きい、請求項34に記載の電子装置。
【請求項36】
前記電子素子が故障状態で破損するとき、前記電子装置の破片が前記第1の弾性力によって前記第1の支持から遠のくように押しやられ、それにより前記第1の支持が前記第1の電極と接触しない、請求項35に記載の電子装置。
【請求項37】
通常状態では、前記第1の支持は、前記第1の弾性力、前記第2の弾性力および前記第5の弾性力とにより前記第1の電極へ力を加え、それにより前記第1の支持が前記第1の電極と密接な接触を保つ、請求項35に記載の電子装置。
【請求項38】
前記第3の弾性支持は、2つの弾性的なフォークを含み、前記第1のコンタクト部が当該2つのフォークの間に位置され、かつ当該2つのフォークから離間される、請求項32に記載の電子装置。
【請求項39】
前記第1のコンタクト部と前記2つのフォークとの間の離間された距離が2mmよりも小さい、請求項38に記載の電子装置。
【請求項40】
前記第1のコンタクト部が前記電子素子の中心に位置され、前記第2のコンタクト部と前記第4のコンタクト部とを接続する線が前記電子素子の中心を通過する、請求項に記載の電子装置。
【請求項41】
前記電子素子がPTCディスクである、請求項31ないし40いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項42】
前記第1の支持が前記第5の支持と一体にされる、請求項32ないし39いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項43】
前記第1の支持および前記第5の支持が前記第1の端子と一体にされる、請求項32ないし39いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項44】
前記第2の支持が前記第2の端子と一体にされる、請求項43に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置に関し、特に正の温度係数(PTC)サーミスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーミスタ装置は、冷蔵庫のような冷却装置のモータ始動回路を含む電流制限回路において広く利用されている。長期間使用されると、従来技術のPTC装置の物理的構造が劣化し得、装置内部の異常発熱を引き起こし、PTC素子を断片に破壊する。これらの断片は依然として端子に接触されることがあるので、アーク放電やオーバーヒート、過電流等の問題が発生する可能性がある。
【0003】
特許文献1は、2つのスプリングコンタクト部と2つの非導電性のコンタクト部とを備える電子装置を導入する。動作中に、4つのコンタクト部はPTCと接触し、2つのスプリングコンタクト部が左側および右側の端子にそれぞれ溶接される。一方で、PTCに近接した材料(非導電性のコンタクト部)は、高温に耐性をもつ必要があり、それゆえ比較的高額である。他方で、PTCが電流を遮断することなく破損された場合には、PTCの断片がなお端子に電気的に接続され、アーク放電やオーバーヒートを引き起こし得る。
【0004】
特許文献2は、3つの弾性支持と、一対の絶縁されたオフセットポストとを備えるサーミスタ装置を導入し、2つの弾性支持が端子に溶接されて、第3の弾性支持が他の端子に溶接される。一対のオフセットポストはサーミスタ素子から離間される。ポストはPTC素子と接触しないので、高温に耐性のある高価な材料を必要としない。しかしながら、サーミスタが電流を遮断することなく壊れる場合には、サーミスタの断片がなお端子に電気的に接続することがあり、アーク放電やオーバーヒートを引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,172,593
【特許文献2】中国特許出願CN102347123
【0006】
それゆえ、現在のサーミスタ装置は、故障して破損された状態でのアーク放電やオーバーヒートといった問題を信頼性良く取り除くことができないおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、サーミスタ素子のような電子素子が破壊された場合に、回路が確実に遮断されることができ、それゆえアーク放電やオーバーヒートの問題を取り除く、電子装置を提供することである。
【0008】
本開示は、互いに対向する側に置かれた第1の電極と第2の電極とを有する電子素子と、第1の端子および第2の端子と、前記第1の端子に搭載されかつ電気的に接続される第1の支持であって、当該第1の支持は、前記第1の電極に接触しかつ電気的に接続される第1のコンタクト部を含む、前記第1の支持と、前記第2の端子に搭載されかつ電気的に接続される第2の支持であって、当該第2の支持は、前記第2の電極と接触しかつ電気的に接続される第2のコンタクト部を含む、前記第2の支持と、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの1つと接触する第3のコンタクト部を含む第3の弾性支持とを含み、前記電子素子が故障状態で破断するときに、前記第1の支持および前記第2の支持のうちの1つと接触しないよう前記電子素子を押圧するために前記第3の弾性支持が提供される、電子装置を提供する。
【0009】
本電子装置によれば、電子部品が破損した場合に、第3の弾性支持の弾性力が電子素子の断片を離れる方向に押しやるので、断片は、第1の支持および第2の支持のうちの1つと接触せず、電子素子と端子の1つとを切断し、回路を遮断し、アーク放電やオーバーヒートの問題を取り除く。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の双方が単に例示的かつ説明的なものであり、請求される本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書の一部に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施例を表し、説明と共に本発明の原則を説明するのに役立つ。
【0012】
図1図1は、組み立てられた状態での本発明の1つの実施例によるPTCサーミスタ装置の斜視図である。
【0013】
図2図2は、分解された状態でのPTCサーミスタ装置の斜視図である。
【0014】
図3図3は、カバーが取り除かれたPTCサーミスタ装置の上面図である。
【0015】
図4図4は、図3のI‐I線に沿って切断された断面図であり、電子素子が透視の方法で表される。
【0016】
図5図5は、通常の動作状態での電子素子と支持との位置関係を示す。
【0017】
図6図6は、故障状態での電子素子と支持との位置関係を示す。
【0018】
図7図7は、本発明の他の実施例によるPTCサーミスタ装置を示す。
【0019】
図8図8は、本発明のさらに別の実施例によるPTCサーミスタ装置を示す。
【0020】
図9図9は、図8の電子装置の故障状態での、電子素子と支持との位置関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、組み立てられた状態での本発明の1つの実施例によるPTCサーミスタ装置のような電子装置100の斜視図である。図2は、分解された状態でのPTCサーミスタ装置の斜視図である。
【0022】
図2に示されるように、電子装置100は、カバー1と、ベース2と、第1の端子3と、第2の端子4と、電子素子5とを含む。電子素子5は、例えばPTCディスクである。電子素子は、それぞれが対向する側に配置された第1の電極51と第2の電極52とを有する。
【0023】
電子装置100はさらに、第1の電極51と接触しかつ電気的に接続する第1のコンタクト部71を有する第1の支持7と、第2の電極52と接触しかつ電気的に接続する第2のコンタクト部81を有する第2の支持8とを含む。第1の支持7は、第1の端子3に搭載され、かつそこに電気的に接続される。第2の支持8は、第2の端子4に搭載され、かつそこに電気的に接続される。好ましくは、第1の支持7は、第1の端子3と一体に形成される。好ましくは、第2の支持8は、第2の端子4と一体に形成にされる。第2の支持8は、堅牢な支持である。好ましくは、第1の支持7は堅牢な支持である。代替的に第1の支持7は弾性の支持であっても良い。
【0024】
電子装置100はさらに、第3の弾性的な支持6をさらに含む。第3の支持6は、例えばスプリングである。第3の支持6は、第2のコンタクト部81に近接する位置で第2の電極52と接触する第3のコンタクト部63を有する。好ましくは、第3のコンタクト部63は、第2のコンタクト部81から離間される。代替的に、第3のコンタクト部63は、第2のコンタクト部81と接触するか、あるいは重なり合っても良い。
【0025】
第3の支持6は、好ましくは、第1の弾性部61と第2の弾性部62とを含む。第1の弾性部61は、第3のコンタクト部63を提供する。第2の弾性部62は、第4のコンタクト部64を含む。第4のコンタクト部64は、第2のコンタクト部81および第3のコンタクト部63は異なる位置で第2の電極52と接触する。
【0026】
図3は、カバーが取り外されたPTCサーミスタの上面図である。図3に示されるように、第1のコンタクト部71は、第2のコンタクト部81および第4のコンタクト部64よりも電子素子5の中心に近接しており、第2のコンタクト部81および第4のコンタクト部64は、第1のコンタクト部71を越えて互いに対向する。好ましくは、第1のコンタクト部71は、電子素子5の中心に位置決めされ、第のコンタクト部81と第4のコンタクト部64とを接続する線は、電子装置の中心を通過する。言い換えれば、第2のコンタクト部81と第4のコンタクト部64とは、第1のコンタクト部71の2つの半径側に位置決めされる。第1のコンタクト部71は、概ね中心位置で電子素子5の第1の電極51に当接する。第2のコンタクト部81は、電子素子5の第2の電極52に当接する。第1の弾性部61は、第3のコンタクト部63を介して電子素子5に弾性力を加える。第2の弾性部62は、第4のコンタクト部64を介して電子素子5に弾性力を加える。それゆえ、第1の支持7および第2の支持8は、第1の弾性部61および第2の弾性部62の弾性力に抗して電子素子5に向けて力を加え、その結果、第1のコンタクト部71と第1の電極51との間、さらに第2のコンタクト部81と第2の電極52との間に、より緊密な接触が形成され得る。この方法で、電子素子5は、第1の端子3と第2の端子4とのより信頼性のある接続を形成する。
【0027】
第2の弾性部62により電子素子に印加された弾性力が、第1の弾性部61により電子素子に印加されるものよりも大きい必要があり、その結果、第1の支持7および第2の支持8が電子素子5に向かう力を印加して密接な接触を実現し得るということを、当業者は理解する。
【0028】
図5は、通常の動作状態で、第1の支持7(第1のコンタクト部71)、第2の支持8(第2のコンタクト部81)、第1の弾性部61(第3のコンタクト部63)および第2の弾性部62(第4のコンタクト部64)が、電子素子5にそれぞれ力を印加することを示す。第1の支持7によって印加される力は、通常、第2の支持8によって印加される力よりも大きい。故障状態では、電子素子5の中心に近接する第1の支持7によって印加される力は、中心を通過する面が破壊する可能性を増加させる。
【0029】
図6は、故障状態で、電子素子5が中心近傍を通過する面に沿って破断することを示す。第3のコンタクト部63を有する第1の弾性部61の弾性力は、電子素子5の断片を第2のコンタクト部81から離れるように駆動し、断片を第2のコンタクト81から離間する。すなわち、第2の支持8は、第2の電極と非接触となる。第2の支持8は、圧縮しない剛性支持であるため、第1の弾性部61が断片を押しやるとき、第2の支持は、もはや電子素子5と接触しない。故障状態では、第3の弾性支持6は、第2の支持8および第2の端子4から絶縁される。例えば、第3の弾性支持6は絶縁材料で作られる。代替的に、第3の弾性支持6が導電性である場合は、第3の支持6は、第2の支持8および第2の端子4から離間されるか、あるいは絶縁材料を介して離間される。それゆえ、電子素子5と第2の端子4との電気的接続は遮断され、断片は回路から遮断されて、短絡が防止される。
【0030】
好ましい方法では、第1の弾性部61は、第2の電極52と接触する2つの第3のコンタクト63を有する2つの弾性フォーク61a、61bを含む。図4に示されるように、第2のコンタクト部81は、2つの第3のコンタクト部63の間に位置され、かつそれらと離間される。第2のコンタクト部81と第4のコンタクト部64とを接続する線に交差する方向で、第2のコンタクト部81と第3のコンタクト部63は離間される。好ましくは、第2のコンタクト部81と第4のコンタクト部64とを接続する線に概ね垂直の方向で、第2のコンタクト部81は、第3のコンタクト部63から離間される。冷却スタータ内のPTC装置では、第2のコンタクト部81と第3のコンタクト部63との間の離間された距離は、通常、約2mmよりも小さいが、その値に限定されるのではない。第2の弾性部62により電子素子5に印加される弾性力は、2つの弾性フォーク61a、61bにより印加される弾性力の和よりも大きい。通常の動作状態では、第1の支持7および第2の支持8が電子素子5に力を加えて密接な接触を実現する。故障状態では、2つの弾性フォーク61a、61bが電子素子5の断片を第2のコンタクト部81から離れるように押し、その結果、第2の支持8は、第2の電極52と非接触となり、断片が回路から切断される。
【0031】
第1の弾性部61が2つの弾性フォーク61a、61bを含むことに限定されず、電子装置100のバランスが維持されることができ、かつ故障状態で断片が第2のコンタクト部から離れるように押圧される限り、他の数のフォークを含んでも良いことを当業者は理解する。
第2の実施例
【0032】
図7は、本発明の第2の実施例によるPTCサーミスタ装置100’を示す。第3の弾性支持6’を除いて、他の部分は第1の実施例と実質的に同一であり、それゆえ、それらの説明を省略する。
【0033】
電子装置100’は、第3の弾性支持6’と第4の弾性支持9’とを含む。第3の弾性支持6’は、第2のコンタクト部81’に近接する位置で第2の電極52’と接触する第3のコンタクト部63’を含む。好ましくは、第3のコンタクト部63’は、第2のコンタクト部81’から離間される。代替的に、第3のコンタクト部63’は、第2のコンタクト部81’と接触してもよいし、あるいは重なり合っても良い。
【0034】
第4の弾性支持9’は、第2のコンタクト部81’および第3のコンタクト部63’と異なる位置で第2の電極52’と接触する第4のコンタクト部64’を含む。
【0035】
第1のコンタクト部71’は、第2のコンタクト部81’および第4のコンタクト部64’よりも電子素子5’の中心に近接し、第2のコンタクト部81’および第4のコンタクト部64’は、第1のコンタクト部71’を越えて互いに対向する。好ましくは、第1のコンタクト部71’は、電子素子5’の中心に位置され、他方で第2のコンタクト部81’と第4のコンタクト部64’とを接続する線は、電子素子5’の中心を通過する。第1のコンタクト部71’は、電子素子5’の第1の電極51’の概ね中心に当接し、第2のコンタクト部81’は、電子素子5’の第2の電極52’の側面に当接する。第3の弾性支持6’は、第3のコンタクト部63’を介して電子素子5’に弾性力を加える。第4の弾性支持9’は、第4のコンタクト部64’を介して電子素子5’に弾性力を加える。それゆえ、第1の支持7’および第2の支持8’が、第3の支持6’および第4の支持9’の弾性力に抗して電子素子5へ向かう力を生成し、その結果、第1のコンタクト部71’と第1の電極51’との間、および第2のコンタクト部81’と第2の電極52’との間に、より密接した接触が形成される。この方法で、電子素子5’と第1の端子3’と第2の端子4’との間に信頼性のある接続が形成される。
【0036】
第4の支持9’により電子素子に加えられる弾性力が、第3の支持6’により電子素子に加えられるものよりも大きい必要があり、その結果、第1の支持7’と第2の支持8’とが電子素子5’へ力を加えて密接な接触を実現し得ることを当業者は理解する。
【0037】
故障状態では、電子素子5’は、中心付近を通過する面に沿って破断する。第3のコンタクト63’を有する第3の弾性支持6’の弾性力は、電子素子5’の断片を第2のコンタクト部81’から遠ざけるように駆動し、断片を第2のコンタクト部81’から離間する。すなわち、第2の支持8’は、第2の電極52’と非接触となる。第2の支持8’が圧縮しない剛性の支持であるので、第3の弾性支持6’が断片を押しやるとき、第2の支持8’は、もはや電子素子5’と接触しない。故障状態では、第3の弾性支持6’および第4の支持9’が、第2の支持8’および第2の端子4’から絶縁される。例えば、第3の弾性支持6’および第4の弾性支持9’は絶縁材料で作られる。代替的に、第3の弾性支持6’および第4の弾性支持9’が導電性である場合には、第3の弾性支持6’および第4の弾性支持9’が、第2の支持8’と第2の端子4’とから離間されるか、あるいは絶縁材料を介して離間されても良い。それゆえ、電子素子5’と第2の端子4’との間の電気的接続が切断され、断片が回路から切断され、短絡が防止される。
【0038】
第3の弾性支持6’は、2つあるいはその他の数のフォークを含んでも良いことを当業者は理解し、それについての説明は省略する。
第3の実施例
【0039】
図8は、本発明の第3の実施例によるPTCサーミスタ装置を示す。
【0040】
電子装置100’’は、第1の電極51’’と接触しかつ電気的に接続する第1のコンタクト部71’’を有する第1の支持7’’と、第2の電極52’’と接触しかつ電気的に接続する第2のコンタクト部81’’を有する第2の支持8’’と、第2のコンタクト部81’’と異なる位置で第2の電極52’’と接触しかつ電気的に接続する第5のコンタクト部82’’を有する第5の支持10’’とを含む。第1の支持7’’は、第1の端子3’’に搭載され、かつそこに電気的に接続される。第2の支持8’’および第5の支持10’’は、第2の端子4’’に搭載され、かつそこに電気的に接続される。好ましくは、第2の支持8’’は、第5の支持’’に一体に形成されることができる。好ましくは、第2の支持8’’と第5の支持10’’とは、第2の端子4’’に一体に形成され得る。好ましくは、第1の支持7’’は、第1の端子3’’と一体に形成され得る。好ましくは、第1の支持7’’は剛性の支持である。好ましくは、第2の支持8’’と第5の支持10’’とは、弾性的な支持である。
【0041】
電子装置100’’は、第3の弾性支持6’’をさらに含む。第3の弾性支持6’’は例えばスプリングである。第3の弾性支持は、第1のコンタクト部71’’に近接する位置で第1の電極51’’と接触する第3のコンタクト部63’’を有する。好ましくは、第3のコンタクト部63’’は、第1のコンタクト部71’’から離間される。代替的に、第3のコンタクト部63’’は、第1のコンタクト部71’’と接触するか、あるいは重なり合っても良い。
【0042】
第1の実施例と同様に、第3の弾性支持6’’は、2つあるいはその他の数のフォークを含み得る。第1のコンタクト部71’’は、2つの弾性フォークとの間に位置され、かつそれらから離間される。好ましくは、第1のコンタクト部71’’と2つのフォークとの間の離間された距離は、2mmよりも小さい。
【0043】
第1のコンタクト部71’’は、第2のコンタクト部81’’および第5のコンタクト部82’’よりも電子素子5’’の中心に近接し、第2のコンタクト部81’’と第5のコンタクト部82’’とは、第1のコンタクト部71’’を隔てて互いに対向する。好ましくは、第1のコンタクト部71’’は、電子素子5’の中心に位置され、他方で第2のコンタクト部81’’と第5のコンタクト部82’’とを接続する線は、電子素子5’’の中心を通過する。
【0044】
弾性の第2の支持8’’は、電子素子に第2の弾性力を加える。弾性の第5の支持10’’は、電子素子に第4の弾性力を加える。第3の弾性支持6’’は、電子素子に第1の弾性力を加える。第2の弾性力と第5の弾性力との和は、第1の弾性力よりも大きい。それゆえ、通常の動作状態では、第1の支持7’’は、第1の弾性力、第2の弾性力、第5の弾性力により第1の電極51’’へ力を生成し、その結果、第1の支持7’’および第1の電極51’’は、密接な接触を維持する。
【0045】
故障状態で電子素子が破断するとき、第1の弾性力は、電子素子のフラグメントを第1の支持7’’から遠ざかるように駆動し、図9に示すように、第1の支持7’’を第1の電極51’’に非接触にさせる。第1の支持7’’は、圧縮をしない剛性の支持であるので、第3の弾性支持6’’が断片を押しやるとき、第1の支持7’’は、もはや電子素子5’’と接触しない。故障状態では、第3の弾性支持6’’は、第1の支持7’’と第1の端子3’’とから絶縁される。例えば、第3の弾性支持6’’は絶縁材料で作られる。代替的に、第3の弾性支持6’’が導電性である場合には、第3の弾性支持6’’は、第1の支持7’’および第1の端子3’’から離間されるか、あるいは絶縁材料を介して離間されても良い。それゆえ、電子素子5’’と第1の端子3’’との間の電気的接触が遮断され、断片は回路から遮断され、短絡が防止される。
【0046】
前述の明細書では、様々な好ましい実施例が添付の図面を参照して説明された。しかしながら、以下の請求項で明記される本発明のより広い範囲から逸脱することなく、様々な他の修正および変更がなされることができ、追加の実施例が実施され得ることは明白である。明細書および図面はそれゆえ限定的な意味よりもむしろ説明的な意味で考慮されるべきである。
【0047】
本開示の他の実施例が、本稿で開示された開示の明細書および実施を考慮して、当業者には明らかである。明細書および実施例は単に例示的なものとして解されることを意図しており、本発明の範囲と精神は以下の請求項により示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9