(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
用語「および/または」は「および」と「または」との双方を意味するように本明細書において使用される。例えば、「Aおよび/またはB」はA、B、またはAとBを意味するものと理解される。
【0009】
移行句「含む」は移行句「から本質的になる」および「からなる」を包含し、かつ「含む」と交換されうる。
【0010】
本明細書において開示されるのは、レジオレギュラーポリチオフェンを含む導電性または半導体ポリマー組成物である。ある実施形態においては、このレジオレギュラーポリチオフェンはレジオレギュラーポリ(アルキルチオフェン)(PAT)、レジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン](PBTTT)、または前述のレジオレギュラーポリチオフェンの少なくとも1種を含む組み合わせを含む。ある典型的な実施形態においては、レジオレギュラーポリ(アルキルフェン)はレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)を含み、一方、レジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]はポリ[2,5−ビス(3−ヘキサデシルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]を含む。
【0011】
また、本明細書において開示されるのは、レジオレギュラーポリチオフェンを含む導電性または半導体ポリマー組成物の結晶質含有量を増大させる方法である。ある典型的な実施形態においては、この方法はポリマー膜を溶融させ、そしてその後、この溶融したポリマー膜を融点温度未満の異なる温度にクエンチングすることを含む。ある実施形態においては、このポリマー膜はその組成物のガラス転移温度と融点温度との間の温度にクエンチされる。それらは5〜1000秒の期間にわたってこの温度でアニールされる。ある典型的な実施形態においては、このポリマー膜は融点温度より100〜175℃低い温度にクエンチされ、その後で、それらは5〜1000秒の期間にわたってこれらの温度でアニールされる。
【0012】
この方法により得られる結晶化度パーセントは他の方法の結晶化で報告されているよりも少なくとも50%高い。ある実施形態においては、レジオレギュラーポリチオフェンは、溶融、および別個の同等の組成物の融点とガラス転移温度との間の温度への冷却を伴わない方法によって結晶化される別個の同等の組成物の結晶化度の量の少なくとも2倍である結晶化度を有する。これら高結晶質サンプルは高水準の電子移動度を示し、これはそれらを薄膜トランジスタにおいて有用にする。この導電性および半導体ポリマーは可撓性であるので、それらは可撓性または非可撓性基体上に配置されることができ、それによりそれらを様々な異なる用途に有用にすることができる。
【0013】
この導電性または半導体ポリマー組成物はレジオレギュラーポリチオフェンオリゴマー;レジオレギュラーポリチオフェンホモポリマー;レジオレギュラーポリチオフェンオリゴマー、ポリチオフェンホモポリマー、もしくはポリチオフェンアイオノマーを含む少なくとも1つのブロックを有するポリチオフェンコポリマー;ポリチオフェンアイオノマー、またはこれらの組み合わせを含む。レジオレギュラーポリチオフェンは他の導電性ポリマーと、または他の電気絶縁性ポリマーと共重合されてもよい。レジオレギュラーポリチオフェンコポリマーはブロックコポリマー、交互コポリマー、交互ブロックコポリマー、星型ブロックコポリマー、または前述のポリチオフェンコポリマーの少なくとも1種を含む組み合わせであり得る。
【0014】
ある実施形態においては、ホモポリマーは概して10,000グラム/モル以上の数平均分子量を有し、一方、オリゴマーは10,000グラム/モル未満の数平均分子量を有する。
【0015】
レジオレギュラーポリマーは、各繰り返し単位が同じ異性体のモノマーから生じているものである。典型的な実施形態においては、レジオレギュラーポリチオフェンは3−置換チオフェンの重合から生じるか、または代替的には、ポリチオフェンの3位置を置換することによって生じる。3−置換チオフェンの非対称性は2位置と5位置との間で2つのモノマーが連結される場合に3つの可能な結合を生じさせる。それらは、2,5’すなわちヘッド−テイル(HT)結合、2,2’すなわちヘッド−ヘッド(HH)結合、または5,5’すなわちテイル−テイル(TT)結合である。これら3種類の結合は、以下の式(I)〜(IV)に示されるような、4つの異なる3つ組を生じさせる。
【0016】
以下の構造(I)はHT−HT結合を有し、
【化1】
【0017】
以下の構造(II)はHH−TH結合を有し、
【化2】
【0018】
以下の構造(III)はHH−TT結合を有し、
【化3】
【0019】
並びに、以下の構造(IV)はTT−HT結合を有し、
【化4】
【0020】
式中、Rは2〜20個の炭素原子を有するアルキル基、2〜20個の炭素を有するアルキレンアルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、または7〜20個の炭素原子を有するアラルキル基である。適するポリアルキレンオキシド基は式−(R
3O)
p−のものであり、ここで、R
3は(C
2−C
6)アルキル基であり、およびpは1〜100、好ましくは1〜50である。典型的なポリアルキレンオキシド基には、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基またはこれらの混合が挙げられる。
【0021】
ある実施形態においては、レジオレギュラーポリチオフェンは全てHH構造、全てTT構造、全てHTまたは全てTH構造を有することができる。ポリチオフェンにおいて示されるように、このHHまたはTT構造がHTまたはTH構造と組み合わせられる場合には、HH、TT、HTまたはTH構造の1つを含む第2のブロックと共重合されたHH、TT、HTまたはTH構造の1つを含む第1のブロックを少なくとも有し、これらブロックの少なくとも1つが少なくとも5またはそれより多い繰り返し単位を有し、並びに第1のブロックに含まれる構造が、第2のブロックに含まれる構造と同じではないことが望ましい。
【0022】
ある実施形態においては、レジオレギュラーポリチオフェンは、式(V)の構造を有するポリアルキルチオフェンであり:
【化5】
式中、Rは2〜20個の炭素原子を有するアルキル基、2〜20個の炭素を有するアルキレンアルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、または7〜20個の炭素原子を有するアラルキル基である。適するポリアルキレンオキシド基は式−(R
3O)
p−のものであり、ここで、R
3は(C
2−C
6)アルキル基であり、およびpは1〜100、好ましくは1〜50である。典型的なポリアルキレンオキシド基には、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基またはこれらの混合が挙げられる。ある典型的な実施形態においては、Rは2〜15個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子を有するアルキル基である。別の典型的な実施形態においては、Rはヘキシル基であり、およびレジオレギュラーポリアルキルチオフェンはポリ(3−ヘキシルチオフェン)である。式(V)において、nは5〜10,000である。
【0023】
上述のように、式(V)のポリアルキルチオフェンは他の電気絶縁性ポリマーと共重合されることができ、導電性または半導体ポリマー組成物を形成することができる。他の電気絶縁性ポリマーの例は、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリアクリル、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリーラート、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルクロリド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリフタライド、ポリアセタール、ポリアンハイドライド、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリビニルハライド、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホナート、ポリスルフィド、ポリチオエステル、ポリスルホン、ポリスルホンアミド、ポリウレア、ポリホスファゼン、ポリシラザンなど、または前述の電気絶縁性ポリマーの少なくとも1種を含む組み合わせである。
【0024】
ある実施形態においては、レジオレギュラーポリチオフェンは式(VI)の構造を有するポリアルキルチオフェンのブロックコポリマーでありうる:
【化6】
式中、R
1およびR
2は同じかまたは異なっていてよく、かつ独立して、水素、2〜20個の炭素原子を有するアルキル基、2〜20個の炭素を有するアルキレンアルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、または7〜20個の炭素原子を有するアラルキル基である。適するポリアルキレンオキシド基は式−(R
3O)
p−のものであり、ここで、R
3は(C
2−C
6)アルキル基であり、およびpは1〜100、好ましくは1〜50である。典型的なポリアルキレンオキシド基には、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基またはこれらの混合が挙げられる。式(VI)においては、nは5〜1000であり、およびmは5〜1000である。n:mの比率は100:1から5:1まで、および1:5から1:100まで変化しうる。式(VI)のブロックコポリマーはジブロック、トリブロック、または交互ブロックコポリマーであり得る。ある典型的な実施形態においては、R
1およびR
2はヘキシル基である。別の典型的な実施形態においては、R
1はヘキシル基であり、一方R
2は水素である。
【0025】
さらに別の実施形態においては、レジオレギュラーポリチオフェンは式(VII)の構造を有するポリアルキルチオフェンの交互コポリマーでありうる:
【化7】
式中、R
1およびR
2は同じかまたは異なっていてよく、かつ独立して、水素、2〜20個の炭素原子を有するアルキル基、2〜20個の炭素を有するアルキレンアルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、または7〜20個の炭素原子を有するアラルキル基である。適するポリアルキレンオキシド基は式−(R
3O)
p−のものであり、ここで、R
3は(C
2−C
6)アルキル基であり、およびpは1〜100、好ましくは1〜50である。典型的なポリアルキレンオキシド基には、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基またはこれらの混合が挙げられる。式(VII)においては、nは5〜10,000である。ある典型的な実施形態においては、R
1およびR
2はヘキシル基である。別の典型的な実施形態においては、R
1はヘキシル基であり、一方、R
2は水素である。
【0026】
別の実施形態においては、導電性または半導体ポリマー組成物は、式(VIII)の構造を有するレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]を含む
【化8】
式中、R
1およびR
2は同じかまたは異なっていてよく、かつ独立して、水素、2〜20個の炭素原子を有するアルキル基、2〜20個の炭素を有するアルキレンアルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、または7〜20個の炭素原子を有するアラルキル基である。適するポリアルキレンオキシド基は式−(R
3O)
p−のものであり、ここで、R
3は(C
2−C
6)アルキル基であり、およびpは1〜100、好ましくは1〜50である。典型的なポリアルキレンオキシド基には、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基またはこれらの混合が挙げられる。式(VIII)においては、nは5〜10,000である。ある典型的な実施形態においては、R
1およびR
2はヘキシルデシル基である。別の典型的な実施形態においては、R
1はヘキサデシル基またはヘキシルデシル基であり、一方、R
2は水素である。
【0027】
レジオレギュラーポリチオフェンまたはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]が10,000〜100,00グラム/モル、25,000〜75,000グラム/モル、およびより好ましくは45,000〜55,000グラム/モルの数平均分子量を有することが望ましい。
【0028】
ある実施形態においては、高結晶質の導電性または半導体ポリマー組成物を製造する一方法においては、レジオレギュラーポリチオフェンまたはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]が最初に適切な温度で溶媒に溶解される。この溶媒が水を含まないこと、すなわちこの溶媒が無水であることが望ましい。
【0029】
レジオレギュラーポリチオフェンまたはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]を溶解させるのに適する溶媒は、芳香族または脂肪族炭化水素;脂肪族カルボン酸エステル;塩化炭化水素、脂肪族もしくはアラリファティック(araliphatic)エーテル、または前述の溶媒の少なくとも1種を含む組み合わせである。有効な溶媒の例は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロホルム、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンなど、または前述の溶媒の少なくとも1種を含む組み合わせである。
【0030】
溶媒中のレジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]の重量パーセントは、レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]と溶媒との全重量を基準にして0.1〜10重量%である。
【0031】
レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]と溶媒との混合物は室温で2〜30時間、好ましくは4〜30時間、およびより好ましくは8〜14時間の期間にわたって攪拌され、その後、キャスティング前に、60〜100℃の高温で5〜120分間にわたって攪拌される。
【0032】
この高温は概して溶媒の気化温度より低く、かつレジオレギュラーポリチオフェンまたはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]の分解温度より低い。
【0033】
溶媒に溶解されたレジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]は、次いで基体上に配置され、そしてこの溶媒は蒸発させられる。ポリマーはディップコーティング、スプレーコーティング、スピンキャスティング、カーテンコーティング、ドクターブレーディングまたは前述の方法の少なくとも1つを含む組み合わせによって基体上に配置されうる。ある実施形態においては、レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]はスピンキャスティングによって基体上に配置される。スピンキャスティングは500〜5,000回転/分、好ましくは750〜1,250回転/分の速度で、30秒〜5分間、好ましくは45秒〜90秒の期間にわたって行われた。
【0034】
基体はシリコン基体、石英基体、ポリマー基体などである。スピンキャスト膜を有する基体は、次いで、レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]を溶融させるために、レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]の融点より高い温度に、30秒〜5分、好ましくは45秒〜2分の期間にわたって加熱された。
【0035】
溶融したスピンキャストされたレジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]は、次いでそれぞれのポリチオフェンのガラス転移温度と融点温度との間の温度にクエンチされた。ポリ(3−ヘキシルチオフェン)については、ガラス転移温度は0℃であり、一方、融点温度は230℃である。溶融したスピンキャストされたレジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]は、次いで、レジオレギュラーポリチオフェンまたはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]の融点より50〜175℃低い、好ましくはその融点より75〜160℃低い温度にクエンチされる。レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]のこの加熱およびクエンチングは不活性ガスまたは不活性ガスの組み合わせを含む雰囲気で行われる。このクエンチングは20℃〜40℃/秒の速度で行われる。
【0036】
レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]から製造された結晶質薄膜は薄膜トランジスタおよび電界効果トランジスタにおいて使用される。ある実施形態においては、これら薄膜はソースおよびドレイン電極を収容する基体上に配置されることができ、薄膜トランジスタを形成することができる。レジオレギュラーポリチオフェンおよび/またはレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン]を用いて製造される薄膜トランジスタはディスプレイ用途、太陽電池、光起電力電池などに使用されうる。
【0037】
結晶質膜を製造する方法は、それが安価で、他の既知の方法よりも高い水準の結晶化度を生じさせ、かつ低電力消費電子デバイスに使用されうるので有利である。結晶質膜を製造するこの方法は、溶融の後にクエンチングおよびアニーリングを伴わない方法によって製造される他の同様の膜よりも少なくとも50%大きい、好ましくは少なくとも75%大きい、およびより好ましくは少なくとも100%大きい結晶化度レベルを生じさせる。
【0038】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例】
【0039】
実施例1
この実施例は高結晶質のサンプルを製造する方法を示し、かつ商業的におよび科学文献において入手可能な他の同様の結晶質生成物と結晶化度を比較するために行われた。この実施例は、上述の結晶化の方法を用いて達成されうる高水準の結晶化度も示す。以下に詳述されるボトムゲート型電界効果トランジスタを使用して電気的特性も測定された。
【0040】
レジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)(P3HT)(96%H−Tレジオレギュラー、M
n(数平均分子量)=50kg/モル、多分散度=2.0、メルクから市販)およびレジオレギュラーポリ[2,5−ビス(3−ヘキサデシルチオフェン−2−イル)チエノ(3,2−b)チオフェン](PBTTT)(M
n=50kg/モル、多分散度=1.9、メルクから市販)の溶液がN
2グローブボックス内で無水クロロベンゼン(シグマ−アルドリッチ)を用いて製造された。
【0041】
P3HTを用いて製造された溶液は最低12時間にわたって攪拌され、そして溶解を確実にするために使用前に75℃に30秒間加熱された。クロロベンゼンに溶解されたPBTTTについては、溶液は12時間攪拌した後で、90℃で5分間加熱された。膜は、10mg/mL溶液から、1000rpmで基体上で1分間にわたってスピンキャストされた。この基体はシリコン(Si)ウェハ基体から成っていた。
【0042】
相対結晶化度を測定するためにX線回折(XRD)実験が使用された。シリコン(100)ウェハ基体(シリコンセンス(Silicon Sense)から市販)がアセトンおよびイソプロパノールアルコール中での超音波処理(それぞれ20分間)によってクリーニングされ、次いで、10分間のUV−Oクリーニングを行った。X線測定はペンシルベニア州立大学の物質評価研究所(Material Characterization Laboratory)でリガク(Rigaku)DMAX−ラピッドマイクロ回折計を用いて、2次元検出器を使用して行われた。x線波長λは1.54Åであった。データ蓄積中にサンプルをロッキングさせ(±0.2°)、およびP3HTサンプルについては(100)ピークおよびPBTTTサンプルについては(200)ピークのトラックを維持することによってロッキング曲線が得られた。±0.019Å
−1qウィンドウ(q=4πSin(θ/2)/λ)にわたって積分することにより、方位角(θ)の関数としての強度が得られた。調査対象のブラッグ(Bragg)ピークから離れる強度を用いて、このロッキング曲線データから線形バックグラウンドが引かれた。
【0043】
ゲート絶縁体としてとしての300nm厚さの熱成長シリカ(SiO
2)層(静電容量=10.6nF/Cm
2、プロセススペシャリティーズから市販)を備えたゲート電極として重度にドープされたp型シリコンウェハを用いて、ボトムコンタクトボトムゲート型電界効果トランジスタが製造された。ウェハはアセトン中で20分間にわたって超音波処理し、次いでイソプロパノール中で20分間にわたって超音波処理することによりクリーニングされた。220マイクロメートル(μm)のチャンネル幅および20μmの長さで、従来の二層リソグラフィを用いることによって金ソースおよびドレイン電極(それぞれ、厚さ〜100ナノメートル(nm))が配置された。
【0044】
x線回折またはトランジスタ測定のためのサンプル(スピンキャスティング後の)は、240℃に設置された温度の較正されたデジタルホットプレート上に、1分間にわたって配置されて、スピンキャスト膜を溶融させた。これらサンプルは直ちに、100または150℃(結晶化温度)に設置された温度の別のホットプレート上に置かれ(クエンチされ)、そして時間(結晶化時間)の関数としてアニールされた。膜を移すのに必要な時間は2秒以内であった。全ての溶解、スピンキャスティング、熱アニーリングおよび電気的測定は窒素グローブボックス内で窒素の不活性雰囲気下で行われた。
【0045】
P3HTおよびPBTTT薄膜の結晶化反応速度(crystallization kinetics)はP3HTサンプルについては(100)ピーク、およびPBTTTサンプルについては(200)ピークのロッキング曲線を測定することにより決定された。線形的バックグラウンドを引いた後、積分ピーク強度はサンプルの結晶化度を表す。
図1は2つの異なるクエンチング(結晶化)温度(それぞれ、100および150℃)での(a)P3HTおよび(b)PBTTTの等温結晶化を示す。結晶化度は、実験において得られたそれぞれのポリマーの最高の結晶化度に正規化される。結果は、P3HTおよびPBTTTのいずれについても、より高いクエンチング温度はより早い結晶化速度およびより高い結晶化度を生じさせることを示す。
【0046】
温度に限定されないが、ポリマーにおける結晶成長速度は温度の単調関数ではない。低い温度においては、鎖移動性/拡散が制限され(拡散制御され)、一方で、高い温度においては、核形成速度が抑制され(核形成制御され)る。P3HTおよびPBTTT結晶化の後の段階は拡散抑制される。よって、クエンチの温度を高めることは結果的に、より高い鎖運動およびそのけっかとしてのより高い結晶成長速度を生じさせる。
【0047】
図1における点線は2つの異なる結晶化速度について、クエンチング時間を変えることによって、同じ結晶化度が達成されうることを示す。このことは、等しい結晶化度を有するが異なる処理履歴を有するサンプル間での比較を可能にする。
【0048】
上に詳述したように、P3HTおよびPBTTTを通る電荷移動に対する結晶化反応速度の変動の影響を試験するために、ボトムコンタクトボトムゲート型薄膜トランジスタは製造された。
図2は
(a)P3HTおよび
(b)PBTTTから製造された薄膜トランジスタの移動特性を示す。それぞれの場合において、アクティブ層が等しい結晶化度を有する様に、結晶化温度および時間が注意深く制御された。
図2はP3HTおよびPBTTTデバイスの双方について、電流レベル、およびその結果としての移動度が、結晶化速度が高かったサンプルについてより高いことを示す。
【0049】
図3は、クエンチング時間および結晶化度の関数としての速いおよび遅い結晶化反応速度についてのP3HTおよびPBTTT薄膜の正孔移動度(飽和での薄膜トランジスタ測定値から抽出、V
SD=−50V)をまとめる。一般に、正孔移動度はクエンチング時間および結晶化度と共に増大する。さらに、正孔移動度は常に、P3HTおよびPBTTTデバイスの双方について、より速い結晶化速度についてはより高い。理論に拘束されないが、結晶化反応速度と電荷移動度との間の相関は、晶子間の相互連結性およびタイチェーンの数における変動に起因することが考えられる。アクティブ層のより速い結晶化反応速度は結晶質領域間により多くのタイチェーンをもたらし、その結果としてデバイスにおけるより高い電荷移動度をもたらす。
【0050】
実施例2
この実施例は、本方法によって製造されたポリアルキルチオフェンサンプル、および文献に記載されている他の方法によって製造されたもの(比較例)の結晶化度を詳述する。
【0051】
これらの結果は以下の表1および2に示される。結果は、スピンキャストされ、240℃で溶融され、そして150℃で5分間クエンチされたサンプルに対して正規化される。スピンキャストされ、240℃で溶融され、そして150℃で5分間クエンチされたサンプルは、ここで開示されたどのサンプルについても測定された最も高い結晶化度を有していた。全ての他のサンプルの結晶化度は、この特定のサンプルの結晶化度に対して評価され、そして結果が表1に示される。表1は、データが得られた文献、並びにサンプルがかけられた処理の種類およびそのサンプルが溶媒から凝結させられたその溶媒を列挙する。結果(表1における)は比較のサンプルにおける結晶化度の水準は、本明細書に開示された方法によって製造されたサンプルにおいて発現した結晶化度よりも少なくとも50%低かった。
【0052】
表2は、様々な溶媒から凝結し、そして結晶化度を増大させるために通常とは異なって長い期間にわたって150℃の温度でアニールされたP3HTサンプルについての最も高い水準の結晶化度を示す。これらのサンプルは、それらを150℃で表2に示された期間にわたってアニーリングする前に、その融点まで加熱されなかった。長いアニーリング時間の後でさえ、表2に示されたサンプルは、最初に240℃で溶融され次いで150℃で5分間クエンチされたP3HTサンプルによって示された結晶化度の63%を達成しただけである。
【0053】
【表1】
【0054】
*CF=クロロホルム;TL=トルエン;CB=クロロベンゼン;TCB=トリクロロベンゼン;DCB=ジクロロベンゼン
**240℃で溶融され、次いで150℃で5分間クエンチされたサンプルで得られた結晶化度に正規化された結晶化度。
【0055】
【表2】
【0056】
*CF=クロロホルム;CB=クロロベンゼン;TCB=トリクロロベンゼン;DCB=ジクロロベンゼン
**240℃で溶融され、次いで150℃で5分間クエンチされたサンプルで得られた結晶化度に正規化された結晶化度。