(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハンドル(3)が、開回転によって前記ケース(1)の操作開口部(7)から立ち上がる操作入力部(8)と、前記操作入力部(8)の前側から回動中心(9)よりもラッチボルト(2)側へ突き出た操作中継部(10)とを有し、前記操作入力部(8)の後側から開回転操作される前記ハンドル(3)の前記操作中継部(10)の後側が、前記ラッチボルト(2)の前端(11a)を後方に押して後退させるようになっており、
前記復帰ばね(18)が前記ロック部材(17)を前記直線方向に付勢し、前記操作中継部(10)が、前記ハンドル(3)の回動位置に応じて前記ロック部材(17)を前記直線方向に変位させる滑り面(26)と、前記滑り面(26)から段差状に連続する前記開回転方向端(16)と、前進停止位置にある前記ラッチボルト(2)の後端(11b)を固定するトリガー面(27)とを含み、前記解除ボタン(19)と前記ロック部材(17)が、当該解除ボタン(19)の昇降運動と当該ロック部材(17)の前記直線方向の進退運動を相互変換するテーパ状のカム面部(23,24)同士で噛み合っている請求項1に記載の平面ラッチハンドル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の平面ラッチハンドルでは、シリンダー錠を備えていても、その施錠をしない場合、ラッチボルトは、ばね付勢のみで受け穴に突入した状態になる。この場合、悪路通過時の車両扉への衝撃、地震による建物扉の振動といった外的要因により、ラッチボルトが後方へ揺すられ、不正に開錠する可能性がある。
【0005】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ハンドル操作以外の施錠操作に頼らずにラッチボルトをロックして、不正な開錠を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するこの発明は、ケースで直線方向に案内されるラッチボルトと、前記ケースに回動可能に取り付けられたハンドルとを備え、開回転操作される前記ハンドルが前記ラッチボルトを前進停止位置から強制的に後退させる平面ラッチハンドルを前提とする。
ここで、前後方向の概念は、ケースがラッチボルトを案内する直線方向であって、ラッチボルトの先端部がばねの付勢でケースから突出する方を前方、その逆向きを後方とする。また、前進停止位置とは、そのばねの付勢によってラッチボルトを前方に復帰させることが不可能になるラッチボルト位置をいい、ラッチボルトがストライク等の相手側の受け穴に突入し、ケース取り付け先の扉を閉扉状態に維持するためのラッチボルト位置に相当する。この前提の平面ラッチハンドルでは、開けている扉を使用者が閉じるとき、扉を閉じる相手側との当たりでラッチボルトが強制的に後退停止位置まで後退させられてから前進停止位置に復帰するまでの間、ハンドルは、開回転操作でラッチボルトを強制的に後退させるための部分をラッチボルトに押されて、閉回転させられる。
【0007】
この発明は、上記の前提において、前記ラッチボルトの前方復帰動によって閉回転させられた前記ハンドルを前記ケースから立ち上がった状態に支えるバネ部材と、前記ケースに収まるように閉回転操作された前記ハンドルの開回転方向端に係合するロック部材と、前記ロック部材を前記係合する位置に向けて付勢する復帰ばねと、プッシュ操作を受ける解除ボタンとを備え、前記復帰ばねの付勢で前記ロック部材が前記開回転方向端に係合させられることによって前記ハンドルの開回転が阻止されると共に、前記ラッチボルトの後端が前進停止位置で当該ハンドルに固定された状態になり、前記解除ボタンのプッシュ操作によって当該ロック部材が当該ハンドルの開回転を許す位置に押し動かされると、前記バネ部材の弾性反発による当該ハンドルの開回転が当該ラッチボルトとの接触で止まり、この接触状態から開回転操作される当該ハンドルが当該ラッチボルトを後退停止位置まで後退させる構成を採用したものである。
【0008】
すなわち、ラッチボルトが前方復帰動で前進停止位置に達したとき、ラッチボルトによって閉回転させられたハンドルは、ケースに収まっておらず、バネ部材によってケースから立ち上げられた状態にある。このハンドルをケースに収めるため、ハンドルの閉回転操作を使用者に要求することができる。ケースに収まるようにハンドルが閉回転操作されると、係合位置に向けて復帰ばねで付勢されたロック部材は、当該ハンドルの開回転方向端に対して係合させられる。ハンドルの開回転方向端との係合なので、この係合中は、ハンドルの開回転を阻止可能である。また、この係合時点で、前進停止位置にあるラッチボルトの後端をハンドルで固定可能である。このような係合状態において、外的要因でラッチボルトが後退しようとする挙動は、そのラッチボルトの後端でハンドルを押して開回転させようとする動きになる。したがって、ハンドルの開回転阻止が維持される限り、外的要因に対してラッチボルトが後退しないようにデッドロックされる。その係合状態は、解除ボタンのプッシュ操作まで維持される。
閉じている扉を開ける場合、使用者が解除ボタンをプッシュ操作すると、バネ部材の弾性反発によって、ハンドルは、強制的に開回転させられる。そのハンドルの開回転トルクは、ラッチボルトを付勢するばね力ほどの強さにする必要性はなく、ラッチボルト側のばね力を開回転トルクに対して十分に強く設定することが可能である。このため、そのハンドルの開回転をラッチボルトとの接触で止めても、ラッチボルトの前進停止位置からの後退量は無視することができる。この接触状態から使用者がハンドルの開回転操作を実施することでラッチボルトが後退停止位置まで後退させられるので、解除ボタンのプッシュ操作によって不意に開錠する心配はない。
扉の閉じ方が悪くてラッチボルトが受け穴に最後まで突入できない状態、つまりラッチボルトが前進停止位置まで未復帰の状態のまま、ケースから立ち上がったハンドルの閉回転操作を始める可能性がある。この場合、ハンドルが早期にラッチボルトの後端に当たり、ロック部材が係合する前にハンドルをそれ以上閉回転させることが困難になるため、使用者に異常を知らせることができる。また、使用者が異常に気付かずにハンドルの閉回転操作を止めたとしても、バネ部材の弾性反発で直ちにハンドルが立ち上がった状態に戻るため、使用者にロックの失敗を知らせることができる。これらのことにより、戸締まり不備をその場で使用者に知らせ、不正な開錠を防止することができる。
このように、この発明は、ハンドル閉回転操作以外の施錠操作に頼らずにラッチボルトをロックして、不正な開錠を防止することができる。
【0009】
この発明は、一般的なハンドル・ラッチボルト連動機構、すなわち、前記ハンドルが、開回転によって前記ケースの操作開口部から立ち上がる操作入力部と、前記操作入力部の前側から回動中心よりもラッチボルト側へ突き出た操作中継部とを有し、前記操作入力部の後側から開回転操作される前記ハンドルの前記操作中継部の後側が、前記ラッチボルトの前端を後方に押して後退させるようになっている機構を用いて実現することができる。
【0010】
具体的には、前記復帰ばねが前記ロック部材を前記直線方向に付勢し、前記操作中継部が、前記ハンドルの回動位置に応じて前記ロック部材を前記直線方向に変位させる滑り面と、前記滑り面から段差状に連続する前記開回転方向端と、前進停止位置にある前記ラッチボルトの後端を固定するトリガー面とを含み、前記解除ボタンと前記ロック部材が、当該解除ボタンの昇降運動と当該ロック部材の前記直線方向の進退運動を相互変換するテーパ状のカム面部同士で噛み合っているようにすれば、操作中継部をラッチボルトの後端固定、並びにロック部材、復帰ばね及び解除ボタンの連動に活用して、ハンドル操作のみによるラッチボルトのロックを実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、上記の構成を採用することにより、ハンドル閉回転操作以外の施錠操作に頼らずにラッチボルトをロックして、不正な開錠を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施形態を添付図面に基いて説明する。
図1に示す平面ラッチハンドルは、ケース1で直線方向に案内されるラッチボルト2と、ケース1に回動可能に取り付けられたハンドル3とを備える。
【0014】
ケース1は、戸枠等に対して軸回りに開閉される扉(図示省略)に取り付けられる。ケース1は、ラッチボルト2を直線方向に案内するガイド部4を有する。ガイド部4は、
図2(a),(b)に示すように、直線方向に沿った溝部4a及びベース板4bからなる。ラッチボルト2は、溝部4aに嵌合する断面形状をもち、ガイド部4との摺接によって直線方向に案内される。ラッチボルト2とガイド部4の直線方向終端壁との間に、付勢ばね5が組み込まれている。付勢ばね5は、圧縮コイルばねからなり、ガイド部4によって直線方向に沿った向きに支持されている。ここで、ケース1のガイド部4がラッチボルト2を案内する直線方向であって、ラッチボルト2が付勢ばね5の弾性反発でケース1から突出する方が前方(図中左方)となり、その逆向きが後方(図中右方)となる。付勢ばね5は、常にラッチボルト2を前方へ付勢するように組み込まれている。ラッチボルト2の前進停止位置は、付勢ばね5の付勢によってラッチボルト2を前方へ復帰させることが不可能になる位置である。
図2(a),(b)は、ラッチボルト2が前進停止位置にある状態を描いている。ラッチボルト2には、ベース板4bの切欠き内に挿入されたボルト軸2aが設けられている。付勢ばね5の付勢によるラッチボルト2の前進は、ボルト軸2aがベース板4bの切欠きに係合することによって停止させられ、それ以上、ラッチボルト2を前方へ復帰させることが不可能になる。
【0015】
前進停止位置にあるラッチボルト2の後退が自由な状態で、開けている扉の閉回転が開始されるとき、ラッチボルト2が自己の傾斜面から扉枠等の相手側に当たって、後向きに押される。これにより、付勢ばね5が圧縮させられるので、ラッチボルト2が強制的に後退させられる。ラッチボルト2が相手側の受け穴6と直線方向に正対する状態まで扉が閉回転されたとき、ラッチボルト2は、付勢ばね5の弾性反発で前進停止位置に復帰し終え、受け穴6に最後まで突入している。受け穴6は、例えば、ストライクからなる。
【0016】
ケース1は、ハンドル3を収めるための操作開口部7を有する。ハンドル3は、操作開口部7に対して回動可能に支持されたレバーハンドルになっている。
図2(b),
図3(b),
図4(b)のハンドル3の位置比較から明らかなように、ハンドル3は、開回転によって操作開口部7から立ち上がる操作入力部8と、ガイド部4に平行かつ直角な向きの回動中心9よりもラッチボルト2側へ突き出た操作中継部10とを有する。ハンドル3の開回転操作は、使用者が操作入力部8を操作開口部7から立ち上げる側へ回転させる操作となる。ハンドル3の閉回転操作は、使用者が操作入力部8を操作開口部7に収める側へ回転させる操作となる。ラッチボルト2は、操作中継部10を先端側から挿入された伝達口部11を有する。操作開口部7には、操作中継部10を伝達口部11に挿入するための通し孔が形成されている。また、操作開口部7は、ハンドル3の開回転の限界位置をハンドル3との接触で定める後方規制部12と、ハンドル3の閉回転の限界位置をハンドル3との接触で定める前方規制部13とを有する。
【0017】
なお、図示の平面ラッチハンドルは、3箇所錠止型の平面ラッチハンドルへの適用例となっている。操作開口部7及び溝部4aは、それぞれベース板4bに結合する部材になっている。ベース板4bと操作開口部7は、
図2(a),
図3(a),
図4(a)に示す錠ロッド連結用端部14の位置比較から明らかなように、2箇所の錠ロッド連結用端部14をラッチボルト2の直線方向運動に連動させるためのリンク機構のアーム枢軸を挟持している。錠ロッド連結用端部14に連結された錠ロッド(図示省略)は、ラッチボルト2の前進に連動して扉から突出して相手側の受け穴に突入することができ、ラッチボルト2の後退に連動して受け穴から抜けることができる。
【0018】
図4(b),
図3(b)のラッチボルト2及びハンドル3の位置比較から明らかなように、ハンドル3は、ラッチボルト2の前方復帰動によって操作中継部10の後側を前方に押されることにより、閉回転させられる。ラッチボルト2が前進停止位置まで復帰したとき、
図3(b)に示すように、操作中継部10の前側が前方規制部13に非接触で、操作中継部10の後側がラッチボルト2の伝達口部11内の前端11aに接し、かつ操作入力部8が操作開口部7から立ち上がった状態になる。この
図3(b)の状態からハンドル3が閉回転操作され、
図2(b)に示すように、操作中継部10の前側が閉回転方向に前方規制部13に接触したとき、操作中継部10の前側がラッチボルト2の伝達口部11内の後端11bに接し、操作入力部8が操作開口部7に収まった状態になる。逆に、
図3(b)の状態からハンドル3が操作入力部8の後側から開回転操作されると、
図4(b)に示すように、操作中継部10の後側は、前進停止位置にあるラッチボルト2の前端11aを後方に押してラッチボルト2を強制的に後退させる。この後退の間、付勢ばね5が圧縮される。操作中継部10の後側が後方規制部12に接触すると、それ以上の開回転操作を行えず、ラッチボルト2を強制的に後退させることが不可能になる。このとき、ラッチボルト2は、受け穴6から抜け、扉の開回転を許す位置にある。
【0019】
操作開口部7とハンドル3間にバネ部材15が介装されている。バネ部材15は、
図3(b)に示すように、ラッチボルト2の前方復帰動によって閉回転させられたハンドル3を操作入力部8が操作開口部7から立ち上がった状態に支える。バネ部材15は、操作開口部7に対して操作入力部8を開回転方向に蹴り上げるトーションばねからなり、
図4(b)に示すように、ハンドル3の開回転の限界位置から任意に閉回転されたハンドル3を開回転の限界位置まで復帰させ得るものとなっている。
【0020】
図2(a),(b)に示すように、ケース1には、ケース1に収まるように閉回転操作されたハンドル3の開回転方向端16に係合するロック部材17と、ロック部材17を前記係合する方向に向けて付勢する復帰ばね18と、プッシュ操作を受ける解除ボタン19とが備わっている。
図2(a),(b)、
図5(a),(b)に示すように、解除ボタン19は、操作開口部7の前方に設けられたボタン穴部20によって昇降方向に案内され、ボタン穴部20の穴縁に上昇方向に引っ掛かる両肩部をもっている。ロック部材17は、ボタン穴部20とガイド部4の間で通し孔12に向って開口するロック案内部21によって直線方向に案内される。復帰ばね18は、ロック部材17とロック案内部21の後面壁間に介在するコイルばねになっている。復帰ばね18は、ロック部材17の前面中央部で前方に突き出たばね受け軸22及びロック案内部21の後面壁によって直線方向に向くように支持されている。解除ボタン19とロック部材17は、解除ボタン19の昇降運動とロック部材17の直線方向の進退運動を相互変換するテーパ状のカム面部23,24同士で噛み合っている。解除ボタン19の昇降方向の位置は、ロック部材17側のカム面部24の直線方向位置によって決まるようになっている。なお、ロック部材17は、操作中継部10との位置関係を安定させるため、常に操作中継部10を回動中心9方向の両側から均等に挟むようになっている。また、解除ボタン19は、カム面部23のところでロック部材17を常に回動中心9方向の両側から均等に挟み、解除ボタン19とボタン穴部20の案内を利用してロック部材17の直線方向及び回動中心9方向の案内性を強化している。
【0021】
ロック部材17は、直線方向及び回動中心9に平行な平面に沿った平坦面と、直線方向に直角かつ回動中心9に平行な平面に沿った平坦面とが交わる後端隅部25を有する。操作中継部10は、ハンドル3の回動位置に応じてロック部材17を直線方向に変位させる滑り面26と、滑り面26から段差状に連続する開回転方向端16と、前進停止位置にあるラッチボルト2の後端11bを固定するトリガー面27とを含んでいる。開回転方向端16は、ハンドル3が閉回転の限界位置にあるとき、直線方向及び回動中心9に平行な平面に沿う向きの平坦面になっている。滑り面26は、ハンドル3が閉回転の限界位置にあるとき、直線方向に直角かつ回動中心9に平行な平面に沿う向きの平坦面になっている。
トリガー面27は、ハンドル3が閉回転の限界位置にあるとき、回動中心9に沿い、かつ直線方向に直角な平面に沿う向きの平坦面になっている。ハンドル3が
図4(b)の開回転の限界位置から閉回転される間、後端隅部25と滑り面26の接触が続き、
図3(b)に示すように、滑り面26によって後端隅部25が前方に押される。このため、圧縮された復帰ばね18が、ロック部材17を直線方向後向きに付勢する。ハンドル3の閉回転に伴い、滑り面26と後端隅部25の接触箇所が次第に開回転方向端16に近づき、ロック部材17が次第に前方へ変位させられ、復帰ばね18の付勢が次第に強化され、解除ボタン19が次第に下降する。
図2(b)に示すように、ハンドル3が閉回転の限界位置に達したとき、後端隅部25が滑り面26から外れて段差状の空間に臨み、復帰ばね18の弾性反発でロック部材17が開回転方向端16に係合する方向(すなわち直線方向後向きに)弾かれるので、後端隅部25が開回転方向端16に係合させられ、解除ボタン19が最も上昇した位置になる。このとき、バネ部材15は、ハンドル3を開回転方向に付勢しているが、その後端隅部25のハンドル3に対する開回転方向の係合によって、ハンドル3の開回転が阻止されると共に、ラッチボルト2の後端11bがここに接するトリガー面27によって固定された状態になる。この係合状態でラッチボルト2が外的要因によって後方に動こうとしても、後端11bがトリガー面27を後方に押してハンドル3を開回転させようとすることになる。ロック部材17の係合でハンドル3の開回転が阻止されているので、トリガー面27が後端11bから外れない。したがって、ラッチボルト2が外的要因に対して後退しないようにデッドロックされる。その係合状態は、解除ボタン19のプッシュ操作まで維持される。
【0022】
プッシュ操作される解除ボタン19がボタン穴部20に対して下降すると、ロック部材17のカム面部24がカム面部23によって前方に押され、やがて、ロック部材17がハンドル3の開回転を許す位置(すなわち、後端隅部25が開回転方向端16に開回転方向に係合できなくなる位置)に押し動かされる。これにより、バネ部材15、復帰ばね18の弾性反発によってハンドル3が直ちに開回転させられ、
図3(b)に示すように、操作中継部10の後側が、前進停止位置にあるラッチボルト2の前端11aに接触することになる。ここで、この開回転トルクは、ラッチボルト2の後退に抵抗する付勢ばね5のばね力よりも十分に小さい。このため、ハンドル3の開回転は、操作中継部10の後側とラッチボルト2の前端11aとの接触で止まり、このとき、ラッチボルト2が実質的に後退させられることはない。したがって、解除ボタン19のプッシュ操作によって、平面ラッチハンドルが不意に開錠する心配はない。この接触状態からハンドル3が開回転操作されると、
図4(b)に示すようにハンドル3の開回転の限界位置まで、操作中継部10の後側がラッチボルト2の前端11aを後方に押してラッチボルト2を強制的に後退させることができる。なお、ハンドル3の開回転中は、滑り面26と後端隅部25の接触箇所が次第に開回転方向端16から遠ざかり、ロック部材17がバネ部材15の弾性反発で次第に後方へ変位させられ、解除ボタン19が次第に上昇する。
【0023】
図3(b)のようにロック部材17が未係合で、前進停止位置にあるラッチボルト2の後退が自由な状態で開けている扉を閉じることになる。扉の閉じ方が悪くてラッチボルト2の傾斜面先端角付近が受け穴6の穴縁付近に突き当たってしまうと、ラッチボルト2が受け穴6に最後まで突入できず、ラッチボルト2が前進停止位置まで未復帰の状態のままとなる可能性がある。この場合、
図2(b),
図3(b)に示す前進停止位置のラッチボルト2及びハンドル3と比して、ラッチボルト2がより後方に位置することになり、ハンドル3の操作入力部8がより立ち上がった状態になる。使用者がハンドル3の立ち上がり様に違和感をもたずに閉回転操作を始めたとしても、操作中継部10のトリガー面27は、正規よりも後方に位置しているラッチボルト2の後端11bに当たるため、後端隅部25が滑り面26から外れて
図2(b)のようにロック部材17の係合が生じる前に、ハンドル3をそれ以上閉回転させることができなくなる。これにより、使用者に異常を知らせることができる。また、使用者が異常に気付かずにハンドル3の閉回転操作を止めたとしても、バネ部材15の弾性反発で直ちに操作入力部8が操作開口部7から立ち上がった状態に戻るため、使用者にロックの失敗を知らせることができる。これらのことにより、戸締まり不備をその場で使用者に知らせ、不正な開錠を防止することができる。
【0024】
上述のように、この平面ラッチハンドルは、操作中継部10をラッチボルト2の後端11bの固定、並びにロック部材17、復帰ばね18及び解除ボタン19の連動に活用して、ハンドル3の閉回転操作以外の施錠操作に頼らずにラッチボルト2をロックし、不正な開錠を防止することができる。開回転方向端16、操作中継部10の滑り面26,トリガー面27、ロック部材17、ラッチボルト2の前端11a,後端11bの各形状等は、ハンドル3の操作のみでラッチボルト2をデッドロックすることができる限り、適宜に変更することができる。
【0025】
なお、ハンドル3は、
図2(b)の状態でシリンダーキー28を施錠することによって開回転しないようにロック可能となっている。シリンダーキー28によるハンドル3の二重ロックは、防犯上の目的だけでなく、ロック部材17の係合時、外的要因に対して開回転方向端16や後端隅部25の負担を軽減することができる点でも有利である。この発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。