特許第6366920号(P6366920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366920
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】改良型歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/04 20060101AFI20180723BHJP
   A61C 17/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   A46B9/04
   A61C17/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-219842(P2013-219842)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-80596(P2015-80596A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】510296982
【氏名又は名称】鮎澤 義二
(73)【特許権者】
【識別番号】513229451
【氏名又は名称】足立 弘子
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鮎 澤 義 二
(72)【発明者】
【氏名】足 立 弘 子
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0010628(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0036566(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3185736(JP,U)
【文献】 特開2004−016358(JP,A)
【文献】 特開2005−151882(JP,A)
【文献】 実公昭48−010629(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3063597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 9/04
A61C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指によって把持される柄の長さ方向の先端部に所定幅を有した平坦状の取付柄部が形成され、前記柄の長さ方向の中間部に歯磨き時の指懸かりとなる指懸かり部が形成されており、前記取付柄部の一方の面に歯磨き用の毛束が前記柄の長さ方向に沿って3列となって植毛される一方、前記取付柄部の他方の面に舌苔掻き取り歯が突設されることにより前記取付柄部が歯磨き及び舌苔除去の双方に使用可能となっている歯ブラシであって、
前記3列の毛束は、前記取付柄部の幅方向両側部分に植毛された2列の外側毛束部と、
2列の毛束部の間に植毛された1列の内側毛束部とからなり、
前記2列の外側毛束部は前記取付柄部の外側に向かって相互に離れる方向に膨らんだ円弧状に形成された馬蹄形状をなし、
前記内側毛束部は2列の外側毛束部が形成する馬蹄形状の内部に収まる長さを有した直立形状をなしており、
前記舌苔掻き取り歯は前記取付柄部の長さ方向または巾方向に所定間隔で複数が突設されており、
前記舌苔掻き取り歯は、前記取付柄部から離れるに従って先尖状となって前記取付柄部に突設されており、
前記先尖状となって前記取付柄部に突設された舌苔掻き取り歯の断面形状は柄1の把柄部の方向に向かって傾斜したものとなっていることを特徴とする改良型歯ブラシ。
【請求項2】
前記指懸かり部は、少なくとも1本の指が挿入可能な寸法の孔部又は凹み部であること
を特徴とする請求項1に記載の改良型歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良型歯ブラシに係り、より詳しくは、虫歯や歯周病の原因となる歯間のプラークを効率よく除去できるとともに、歯磨き時に口臭の原因となる舌苔を除去できる改良型歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な歯ブラシには、3列ないし6列植毛のものがあり、毛先はラウンドカットまたは0.1mm以下に加工して、歯と歯の間や奥歯の汚れをとりやすくするものや、歯茎を刺激するようにしたものがあり、毛切り(カット)には平切りのほか山切りなどがある。
虫歯や歯周病の原因となるのは生きた細菌の固まりである歯垢(プラーク)であり、プラークは、水に溶けにくく、粘着性があるため歯に付着してうがいではとれないものである。
歯磨きの目的は、虫歯や歯周病の原因となるプラークを除去することである。
【0003】
歯磨きの方法には、10数種類あると言われているが、主なものとして、ローリング法、水平法、スクラビング法、フォーンズ法、バス法、縦磨き法などがある。
このうち、プラーク除去効果が優れているものは、バス法と縦磨き法である。
バス法は、歯に軸に対して毛先を45°にし、毛先を歯と歯茎の境に当てて横に加圧振動させるものである。プラーク除去効果、歯肉のマッサージ効果がよいが、決められた通りに磨くのは困難である。
縦磨き法は、毛先を歯面に90度となるように当てて上下方向に往復運動させるものである。プラーク除去効果はよいが、歯肉のマッサージ効果は劣り、決められた通りに磨きにくい歯が多い。
【0004】
上記の通り、歯磨きの方法には、10数種類あるが、決められた通りに磨くのは困難であり、各人が磨きやすい方法で磨いているのが実情である。
そこで、各人が磨きやすい方法で磨いていても歯ブラシの構造上プラークが取れやすく、歯肉のマッサージ効果もあり、併せて用具を交換することなく舌苔も容易に除去出来る歯ブラシが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−16358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、虫歯や歯周病の原因となる歯間のプラークとともに、歯磨き時に口臭の原因となる舌苔を確実に効率よく除去できる歯ブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
指によって把持される柄の長さ方向の先端部に所定幅を有した平坦状の取付柄部が形成され、前記柄の長さ方向の中間部に歯磨き時の指懸かりとなる指懸かり部が形成されており、前記取付柄部の一方の面に歯磨き用の毛束が前記柄の長さ方向に沿って3列となって植毛される一方、前記取付柄部の他方の面に舌苔掻き取り歯が突設されることにより前記取付柄部が歯磨き及び舌苔除去の双方に使用可能となっている歯ブラシであって、
前記3列の毛束は、前記取付柄部の幅方向両側部分に植毛された2列の外側毛束部と、
2列の毛束部の間に植毛された1列の内側毛束部とからなり、
前記2列の外側毛束部は前記取付柄部の外側に向かって相互に離れる方向に膨らんだ円弧状に形成された馬蹄形状をなし、
前記内側毛束部は2列の外側毛束部が形成する馬蹄形状の内部に収まる長さを有した直立形状をなしており、
前記舌苔掻き取り歯は前記取付柄部の長さ方向または巾方向に所定間隔で複数が突設されており、
前記舌苔掻き取り歯は、前記取付柄部から離れるに従って先尖状となって前記取付柄部に突設されており、
前記先尖状となって前記取付柄部に突設された舌苔掻き取り歯の断面形状は柄1の把柄部の方向に向かって傾斜したものとなっていることを特徴とする。
【0009】
前記指懸かり部5は、少なくとも1本の指が挿入可能な寸法の孔部又は凹み部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、馬蹄形断面を有する巾方向両端部に植毛された2列の毛束により歯の表裏面が磨かれるとともに巾方向中央部に植毛された1列の毛束によって歯の上面が同時に磨かれ歯磨きを効率的に行うことができるほか、柄の持ち方を反対にするだけで、柄の先端部で舌苔を除去することができる。
特に舌苔除去実施中は指を指固定穴に挿入して固定することで柄を滑らすことなく効率的に舌苔除去ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による改良型歯ブラシの植毛された面の斜視図である。
図2】本発明による改良型歯ブラシの植毛状態を示す頂部断面の拡大図である。
図3】本発明による改良型歯ブラシの側面図である。
図4】本発明による改良型歯ブラシの舌苔掻き取り歯が設けられた裏面の図である。
図5】本発明による改良型歯ブラシの歯磨き時の歯列との接触状態を示す例示 図である。
図6】本発明による改良型歯ブラシの指懸かり部の活用例である。
図7】本発明による改良型歯ブラシによる舌苔除去状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明による改良型歯ブラシの植毛された面の斜視図、図2は、改良型歯ブラシの植毛状態を示す頂部断面の拡大図、図3は、改良型歯ブラシの側面図、図4は、改良型歯ブラシの舌苔掻き取り歯が設けられた裏面の図、図5は、改良型歯ブラシの歯磨き時の歯列との接触状態を示す例示図、図6は、改良型歯ブラシの指懸かり部の活用例、図7は、改良型歯ブラシによる舌苔除去状況を示す図である。
【0013】
本発明の改良型歯ブラシは、図1、4,5に示す通り、歯ブラシ本体である柄1と、柄1の長さ方向の先端部に所定幅を有した平坦状の取付柄部2と、柄1の長さ方向中間部の歯磨き時の指懸かりとなる指懸かり部5と、取付柄部2の一方の面の歯磨き用毛束3と、取付柄部2の他方の面の舌苔掻き取り歯4と、を含んで構成される。
図1,2に示す通り、3列の毛束3は、取付柄部2の幅方向両側部分に植毛された2列の外側毛束部6と、2列の外側毛束部6の間に植毛された1列の内側毛束部7とからなり、2列の外側毛束部6は取付柄部2の外側に向かって相互に離れる方向に膨らんだ円弧状に形成された馬蹄形状をなし、内側毛束部7は2列の外側毛束部6が形成する馬蹄形状の内部に収まる長さを有した直立形状をなしており、舌苔掻き取り歯4は取付柄部2の長さ方向に所定間隔で複数が突設されている。
【0014】
本発明の実施例では、柄1の長さは165mm、取付柄部2の長さは、30mm、取付柄部2の巾は10mm、柄1の先端から60mmから75mmの位置に巾7〜12mmの指懸かり部5を設けるため、柄1の指懸かり部5の部分は、柄1の巾が25mmに拡張されている。
2列の外側毛束部6は、各々柄1の両側面から1mmの所に植毛されており、内側毛束部7は、柄1の巾方向中央部に植毛されている。
図2に示す通り、外側毛束部6は柄1の巾方向断面が馬蹄形をしており、2列の外側毛束部6が柄1のベースから伸びて外側毛束部6の先端で対置する位置までのベースからの高さは10mm、馬蹄形断面の最大の巾が11mmであり、巾方向中央部に植毛された内側毛束部7の高さは4mmである。
【0015】
図4に示す通り、本発明の実施例では、毛束3が植毛された面と反対の面に設けられた舌苔掻き取り用の舌苔除去部4は、柄と一体成形の樹脂製で、山形の突出部4個のものと2個のものからなっており、その断面形状は図4の拡大図に示す通り、柄1の把柄部に方向に向かって傾斜したものとなっている。この形状により、歯ブラシを柄1を把柄部方向に移動させる際に舌苔が除去しやすいようになっている。
本発明の実施例では、舌苔掻き取り歯4が、樹脂製の山形突出部からなっているが、舌苔掻き取り歯4の形状は、柄1の巾方向に平行方向、直角方向または柄の巾方向に対して任意の傾斜を有する連続突出部、あるいは、断面が円形、または多角形の複数の樹脂製突出部から形成されてもよく、毛束そのものでもよい。
【0016】
図5は、本発明の改良型歯ブラシと使用した歯磨き時の歯列との接触状態を示す図である。
本発明の改良型歯ブラシは、馬蹄形の外側毛束部6と、柄1の巾方向中央部の内側毛束部7を備えているため、図5に示す通り、歯列の上部から歯列に沿ってブラシを動かした場合には、外側毛束部6の先端が、歯の表と裏に、内側毛束部7の先端が歯の頂部に接触可能であるため、これらを同時に磨くことが出来効率的である。
さらに、この状態で若干柄1に力を加えて外側毛束部6を歯肉部に接触させて歯肉部を効率的にマッサージすることができる。
健康な歯肉は薄いピンク色で、歯肉内部の毛細血管では酸素や栄養の補給と代謝産物の排せつが活発に行われているため、歯肉マッサージは歯肉の表面を丈夫にし、血流を促進して代謝を促す効果があると言われている。
【0017】
図6は、指懸かり部5に親指を固定して歯磨、歯肉のマッサージきまたは舌苔除去を行う状況を示す図である。歯磨きの方法によっては、親指でなく人差し指などを固定することも効果がある。
図7は、本発明の改良型歯ブラシによる舌苔除去の様子を示す図であり、山形突出物が柄1の巾方向に平行方向(A)、及び直角方向(B)の場合の舌苔除去の様子を示している。
本発明の改良型歯ブラシでは、歯ブラシと同時に舌苔状況を行うことが出来大変便利である。
【0018】
本発明によれば、馬蹄形断面を有する巾方向両端部に植毛された2列の毛束により歯の表裏面が磨かれるとともに巾方向中央部に植毛された1列の毛束によって歯の上面が同時に磨かれ歯磨きを効率的に行うことができるほか、柄の持ち方を反対にするだけで、柄の先端部で舌苔を除去することができる。
特に舌苔除去実施中は指を指固定穴に挿入して固定することで柄を滑らすことなく効率的に舌苔除去ができる。
【符号の説明】
【0019】
1 柄
2 取付柄部
3 毛束
4 舌苔掻き取り歯
5 指懸かり部
6 外側毛束部
7 内側毛束部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7