(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音声解析手段が、周波数分析した音声信号について、所定の周波数領域内において、所定以上の強度の周波数帯の数が一定数以上である場合に、牛の発情と判定することを特徴とする、
請求項2に記載の牛の発情検知システム。
飼育対象の牛群から発情予定の牛を絞り込む選定手段、および牛の発情を検知した際に飼育者に通知を行う通知手段、のうち少なくとも何れか1つの手段を更に設けたことを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の牛の発情検知システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献に示す従来技術にも、以下のような問題がある。
<1>検知精度等の観点
(1)何れの特許文献も、牛の発情を検知するための手法が単一的であり、検知精度、検知率の向上に限界がある。
また、検知手法が単一的だと、牛の個体差によっても検知精度に変動が生じやすく、満足のいく検知結果を得ることができない恐れがある。
【0006】
(2)特許文献1に係る発明の場合、牛床マット下面側に配備した温度センサが検知する温度は、[1]外気温(季節変動を含む)[2]牛が横臥した時の体温(熱伝達)[3]牛が起立した時の牛床マット温度(マットの熱容量に依存した降下温度特性をもつ)である。しかし、実際は[1]〜[3]の各温度間には、大きな温度差が無く、マットの熱容量の関係から温度変化の応答性も遅い、という問題がある。また、[2]、[3]のマット温度は非定常・定常状態の熱容量差によりセンサの応答性が変化することとなるため、そのばらつきが誤判定の大きな要因となっている。
【0007】
(3)特許文献2に係る発明の場合、前脚の足踏み回数のみで判定する装置のため、足踏み回数は、牛の個体差によって大きく異なり、判定精度にばらつきが生じやすい。
【0008】
(4)特許文献3〜6に記載の発明のように、牛の身体に何らかのセンサを装着すると、牛が異物を排除すべく、様々な動きをしてしまい、センサ器具の損傷や、不自然な行動パターンとなり、自然な起立・横臥行動パターンから検知する発情兆候に繋がらず、検知精度の低下にも繋がる恐れがある。
【0009】
<2>牛へのストレスの観点
(1)特許文献3〜6に記載の発明のように、牛の身体に何らかのセンサを装着すると、牛にストレスを与えてしまう。
牛はストレスに過敏な動物であり、当該ストレスによってその後の搾乳量が減少する恐れがある。
【0010】
<3>コストの観点
(1)特許文献3〜6に記載の発明の場合、管理対象とする全ての牛にセンサを装着する必要があり、コストの低廉化に限界がある。
なお、コストを低廉にすべく、発情が予測される牛にのみセンサを装着する方法も考えられるが、その都度センサを脱着する行為は、飼育者および牛の双方にとって時間やストレスなどの負担が大きく、非現実的である。
【0011】
以上の通り、本願発明は、従来技術と比較して、より利便性に優れる牛の発情検知システ
ムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、
検知対象の牛一頭を収容する牛房に設置して、牛の発情を検知するためのシステムであって、牛の咆哮音から、牛の発情を検知する第1の検知装置と、牛の行動量から、牛の発情を検知する第2の検知装置と、前記各検知装置の判定結果から、最終的な発情の有無を判定する最終判定手段と、を少なくとも含み、前記第2の検知装置は、
前記牛房に設置する非装着着型のセンサ
でもって牛の上方から牛に照射する赤外線またはレーザーにより該センサと牛との距離を測定することで牛の起立を検知する、行動量検知手段と、前記行動量検知手段から取得した情報が予め設定した条件を満たした場合に、牛の発情と判定する、行動量解析手段と、を少なくとも備えることを特徴とする、牛の発情検知システムを提供する。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記第1の検知装置は、牛房に設置し、牛の咆哮音を取得する、音声取得手段と、音声取得手段から取得した音声を周波数分析し、予め設定した条件を満たした場合に牛の発情と判定する、音声解析手段と、を少なくとも備えることを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第2発明において、前記音声解析手段が、周波数分析した音声信号について、所定の周波数領域内において、所定以上の強度の周波数帯の数が一定数以上である場合に、牛の発情と判定することを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第1乃至第3発明のうち何れか1つの発明において、飼育対象の牛群から発情予定の牛を絞り込む選定手段、および牛の発情を検知した際に飼育者に通知を行う通知手段のうち、少なくとも何れか1つの手段を更に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくともいずれか一つの効果を得ることができる。
<1>検知精度等の観点
(1)牛の咆哮音による第1の検知装置と、牛の行動量による第2の検知装置を組み合わせて、同時に異なる検知手法を用いて複合的に牛の発情を検知するため、検知精度の向上が期待できる。また、牛の個体差に起因する検知漏れも極力回避し、検知率の向上も期待できる。
【0014】
(2)選定手段を設けることにより、飼育者は、該選定手段で通知された牛を本発明に係るシステムまたは装置を導入した牛房に連れてくれば良く、監視対象の牛の絞り込みが、より正確となる。
【0015】
<2>飼育者の負担の観点
(1)通知手段を設けることにより、発情兆候情報が自動的に飼育者に通知されるため、飼育者は買い物や食事など農作業以外の活動中であっても牛の発情時期を把握でき、この通知を受けて獣医または人工授精士を呼ぶこともできる。
よって、牛の繁殖効率の向上が期待でき、結果として、酪農・畜産業の安定した経営が可能となる。
【0016】
<3>牛へのストレスの観点
(1)牛に何らの器具も装着しないため、発情候補の牛にストレスを与えない状況で牛の発情監視が可能となる。
よって、搾乳量が減少する恐れや、不自然な行動パターンによる検知精度の低下等の問題を未然に抑止することができる。
【0017】
<4>コストの観点
(1)発情時期が近い牛を優先して本発明に係るシステムまたは装置を導入した牛房に連れてくれば良く、全ての牛にセンサを設ける必要が無い。したがって、全ての牛房に本発明に係るシステムまたは装置を導入する必要がないため、コストの低廉化に寄与する。
【0018】
(2)本発明で設ける選定手段は、一般的な表計算ソフトで実行可能なプログラムの形での提供が可能であるため、発情予定の牛を予測するための高価な専用ソフトを導入する必要が無い。
【0019】
<5>使用方法の簡便性の観点
(1)発情予定の牛を予測する方法として、ブリーディングボード(繁殖管理回転盤)などがあるが、それらと比較して、本発明に係る選定手段は、酪農家毎にデータベース化されている乳検管理データを流用して発情予定の牛を予測することができるため、複雑な操作を要せず、機械操作になれないユーザであっても導入のしきいが低い。
【0020】
<6>咆哮音または行動量による検知手法のメリット
(1)牛に装着する必要の無いマイクやセンサで、牛の発情を検知するため、牛に別途装置を装着する必要が無く、牛にストレスを与えることが無い。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、各図面を参照しながら、本発明の基本構成および応用構成、ならびにこれらの詳細な実施例について説明する。
【0023】
<1>基本構成例
図1は、本発明に係る牛の発情検知システムの基本構成を示すブロック図である。
本構成例に係る牛の発情検知システムは、音声取得手段10と、音声解析手段20と、行動量取得手段30と、行動量解析手段40と、最終判定手段50と、を少なくとも含んでなる。
これらの各装置、各手段および各部は、何れも有線・無線を問わず、公知の通信方法によって、情報を送受信可能に接続されている。
【0024】
(1)音声取得手段10
音声取得手段10は、牛の声(咆哮音)を取得し、取得した音声信号を音声解析手段へ送信するための手段である。
音声取得手段10は、発情予定の牛が繋がれている牛房に一時的あるいは定常的に設置することを想定する。
音声取得手段10は、集音部11と、A/D変換部12とを少なくとも含む。
以下、各要素の詳細について説明する。
【0025】
(1.1)集音部11
集音部11は、牛の咆哮を録音するための機能を備える。
集音部11には、単一指向性の良好なマイクを用いることができる。
【0026】
(1.2)A/D変換部12
A/D変換部12は、集音部11で録音した音声信号をA/D変換するための部材であり、詳細な説明は省略する。
【0027】
(2)音声解析手段20
音声解析手段20は、前記音声取得手段10から取得した、音声信号を周波数解析するとともに、牛の発情の有無を判定するための手段である。
音声解析手段20は、パソコンやサーバなどの制御装置A上において、ソフトウェアの実行によって実現されることを想定する。
音声解析手段20を備えた制御装置Aは、牛房の近くに設置してもよいし、飼育者の詰所など牛房から離れた場所に設置しておいてもよい。
音声解析手段20は、解析部21と、判定部22とを少なくとも含む。
以下、各要素の詳細について説明する。
【0028】
(2.1)解析部21
解析部21は、牛の音声信号を解析するための機能を備える。
より詳細に説明すると、解析部21は、音声信号のノイズ除去の後、高速フーリエ変換(FFT)を用いた解析によって、牛の音声情報を周波数情報へ変換して処理を行う。
これらの解析には、周知のソフトウェアを用いることができ、例えば「Sonoic Visualizer」などのフリーソフトが該当する。
【0029】
図2は、FFT解析によって得られた牛の音声信号のスペクトル解析画像の一例である。
図2では、時間を横軸、周波数を縦軸としており、各周波数の強弱を色分けして示している。
この解析画像のうち、所定以上の強度の周波数帯を説明の便宜上「節211」と定義する。
【0030】
(2.2)判定部22
判定部22は、前記スペクトル情報から、牛の発情の有無を判定するための機能を備える。
より詳細に説明すると、判定部22は、前記スペクトル解析から得られる、全体の節211の数や、特定の周波数帯での節211の数などを、事前に設定してある判定条件を満足するものであるか否かによって、牛の発情の有無を判定する処理を行う。
【0031】
[判定条件の種類]
前記判定条件は、発情時の牛および被発情時の牛の音声サンプルを収集し、発情時の牛に共通する条件を抽出するなどして、事前に決定しておけばよい。
現段階での判定条件としては、0〜2000Hz内に存在する節の数の制約、且つ800〜1000Hz内に存在する節の数の制約の中で、一定時間内にその咆哮音をある回数以上検知した場合に、発情状態と判定している。
なお、今後、収集サンプルの増加に伴い、より検知精度の高い判定条件が見出されるものと推測されるが、何れの条件であっても、牛の咆哮に係る音声信号から牛の発情の有無を判定する処理を行う限り、本発明の範囲内に含まれることを付言する。
【0032】
(3)行動量取得手段30
行動量取得手段30は、牛の行動量を取得し、取得した行動データを、行動量解析手段へ送信するための手段である。
行動量取得手段30は、発情予定の牛が繋がれている牛房に一時的あるいは定常的に設置することを想定する。
行動量検知手段30は、行動検知部31と、A/D変換部32とを少なくとも含む。
以下、各要素の詳細について説明する。
【0033】
(3.1)行動検知部31
行動検知部31は、牛の行動を検知するための機能を備える。
より詳細に説明すると、行動検知部31は、牛に装着しない、非装着型のセンサによって、牛の起立・横臥の態様を検知する機能を備える。
【0034】
[非装着型センサの構成]
非装着型のセンサとしては、牛房に敷設する牛床マットの内部に圧電センサや圧力センサをセットして、牛の起立・横臥や足踏み状態を検知する構成や、赤外線センサやレーザーセンサなどを所定の位置・高さにセットし、前記センサと牛との距離情報によって牛の起立・横臥を検知する構成などを用いることができる。
【0035】
(3.2)A/D変換部
A/D変換部32は、行動検知部31で検知した活動信号を、A/D変換してデジタル信号として出力するための部材であり、詳細な説明は省略する。
【0036】
(4)行動量解析手段40
行動量解析手段40は、前記行動量取得手段30から取得した活動信号から牛の発情の有無を判定するための手段である。
行動量解析手段40は、パソコンやサーバなどの制御装置A上において、ソフトウェアの実行によって実現されることを想定する。
行動量解析手段40は、牛房の近くに設置してもよいし、飼育者の詰所など牛房から離れた場所に設置しておいてもよい。
行動量解析手段40は、行動量演算部41と、判定部42とを少なくとも含む。
以下、各要素の詳細について説明する。
【0037】
(4.1)行動量演算部41
行動量演算部41は、前記行動量取得手段30から取得した活動信号から、牛の行動状態を導出するための機能を備える。
より詳細に説明すると、行動量演算部41は、前記行動量取得手段30から取得した活動信号を毎時分割して、牛の起立または横臥についての回数や時間を算出し、行動データを生成する処理を行う。
【0038】
(4.2)判定部42
判定部42は、前記行動データから、牛の発情の有無を判定するための機能を備える。
より詳細に説明すると、判定部42は、前記行動データが、事前に設定してある判定条件を満足するものであるか否かによって、牛の発情の有無を判定する処理を行う。
【0039】
[判定条件の種類]
前記判定条件は、発情時の牛および非発情時の牛の行動データのサンプルを収集し、発情時の牛に共通する条件を抽出したり、既知の条件を用いたりするなどして、事前に決定しておけばよい。
なお、今後、判定条件が如何なる条件であっても、牛の行動に起因する行動データから牛の発情の有無を判定する処理を行う限り、本発明の範囲内に含まれることを付言する。
【0040】
(5)最終判定手段50
最終判定手段50は、前記音声解析手段30および行動量解析手段40から得られる判定結果に基づいて、最終的に発情の有無を判定する手段である。
最終判定手段50による判定結果は、前記音声解析手段30および行動量解析手段40から得られる判定結果を、論理積あるいは論理和する処理がある。
【0041】
[論理積によるメリット]
論理積による結果であれば、異なる判定手法の何れでも発情と判定された結果となるため、発情の有無をより確実に検知することができる面から、利便性の向上が期待できる。
【0042】
[論理和によるメリット]
論理和による結果であれば、単一の判定手法では見逃されていた発情の予兆を、異なる判定手法によって把握し得ることができるため、発情可能性のある牛の検知率の向上が期待できる。
【0043】
(6)本例の作用・効果
本構成によれば、各検知装置でもって、牛の発情を検知することにより、システム全体での検知精度、検知率の向上に寄与する。
【0044】
(7)各検知装置の独立構成について
以上、本発明の牛の発情検知システムを構成する各手段の詳細について説明したが、本発明は、当該システムの一部を、別途検知装置として切り出して構成してもよい。
たとえば、牛の咆哮音から牛の発情を検知する装置として、前記音声取得手段10および音声解析手段20でもって、独立した第1の検知装置Bとすることができる。
同様に、牛の行動量から牛の発情を検知する検知装置として、前記行動量取得手段30および行動量解析手段40でもって、独立した第2の検知装置Cとすることができる。
このように、各検知装置を独立した検知装置として使用する場合には、最終判定手段50は不要である。
【0045】
<2>第1応用例
本発明の第1応用例について説明する。
図3は、本発明の第1応用例を示すブロック図である。
本発明は、前記した基本構成例に加えて、前記した音声取得手段10および行動量取得手段30を設置した牛房に連れてくる牛を絞り込むための選定手段60を設けることができる。
以下、選定手段60の詳細について説明する。
【0046】
(1)選定手段60
選定手段60は、飼育対象の牛群から発情予定の牛を絞り込むための手段である。
選定手段60は、パソコンやサーバなどの制御装置A上において、ソフトウェアの実行によって実現されることを想定する。
選定手段60を備えた制御装置Aは、牛房の近くに設置してもよいし、飼育者の詰所など牛房から離れた場所に設置しておいてもよい。
【0047】
選定手段60は、飼育牛の繁殖管理記録等と、牛の発情が21日周期であることに着目して、自動的に各牛の発情時期を推定して、カレンダー上に表示する機能を備える。
【0048】
飼育牛の繁殖管理記録等は、例えば、道内の殆どの酪農家が加入している、公益社団法人北海道酪農検定検査協会で提供する乳検管理データなどから取得することができる。
この乳検管理データは、会員の酪農家1戸毎に、保有する牛の月ごとの分娩記録や乳量、乳成分、最近受精日数、分娩後日数、受精回数、購入飼料給与量、繁殖管理記録、管理状態などがデータベース化されており、酪農家はウェブサイト上から自己の保有する牛のデータベースについて、CSVデータによる取得が可能である。
【0049】
図4は、牛の発情時期を示すカレンダーの一例を示す図である。
選定手段60は、当該CSVデータをCSV選択領域61で選択して更新ボタン62を選択することにより、自動的に各牛の発情時期を推定して、制御装置Aで備えるディスプレイにカレンダー形式で表示するよう構成する。
【0050】
図4のように、発情予定の牛の名前をカレンダー上に視覚的に表示することで、本発明に係る牛の発情検知システムを導入した牛房の使用スケジュールを予測することができる。
また、前記した通り、牛の発情は21日周期であるため、
図5のように、2ヶ月単位での表示とすると、閲覧性に優れ、将来の予定がたてやすい。
その他、選定手段60は、カレンダーを年間、週間単位で表示する切替ボタン63を設けることで、ユーザに閲覧性の選択肢を提供しても良い。
また、カレンダーの印刷ボタン64を設けておくと、機械操作に不慣れなユーザにとっても、紙での持ち運びが可能となり、有益である。
【0051】
[選定手段の効果]
本発明の選定手段60によれば、飼育者は、該選定手段60で通知された牛を本発明に係る検知システムまたは装置を導入した牛房に連れてくれば良く、検知対象の牛の選定精度の正確性向上に寄与する。
また、全ての牛房に、本発明に係るシステムまたは装置を導入する必要が無くなることから、システム全体のコストの低廉化に寄与する。
【0052】
[その他の構成例]
その他、当日の発情予定の牛の有無を担当者にメールで通知する通知機能を設けておくと、さらなる利便性の向上に寄与する。
【0053】
<3>第2応用例
本発明の第2応用例について説明する。
図5は、本発明の第2応用例を示すブロック図である。
本発明は、前記した基本構成例に加えて、前記最終判定手段50によって牛の発情を検知した際に、担当者に通知を行う通知手段70を設けることができる。
以下、通知手段70の詳細について説明する。
【0054】
(1)通知手段70
通知手段70は、牛の発情を検知した際に、担当者に通知を行うための手段である。
通知手段70は、パソコンやサーバなどの制御装置A上において、ソフトウェアの実行によって実現されることを想定する。
通知手段70を備えた制御装置Aは、牛房の近くに設置してもよいし、飼育者の詰所など牛房から離れた場所に設置しておいてもよい。
通知手段70は、予め登録した飼育者のメールアドレスに自動でメールを送信するなどの方法を用いることができる。
【0055】
[選定手段の効果]
本発明の通知手段70を設けることにより、監視対象の牛の発情兆候情報が自動的に飼育者(担当者)に通知されるため、飼育者は買い物や食事など農作業以外の行動中であっても、牛の発情時期を把握でき、この通報を受けて獣医または人工授精士を呼ぶこともできる。
よって、牛の繁殖効率の向上が期待でき、結果として、酪農・畜産業の安定した経営が可能となる。
【実施例1】
【0056】
以下、本発明に係る牛の発情検知システムの、より具体的な実施例について説明する。
図6は、本発明の具体的な実施例を示す概略図である。
図7は、
図6に係る構成を機能毎に示したブロック図である。
【0057】
[監視対象牛の選定]
コンピュータeには、前記選定手段60に相当するプログラムがインストールされている。
当該選定手段60によって選定された発情時期の近い牛を、本発明の発情検知システムが設置されている牛房へと案内することとなる。
【0058】
[牛の咆哮音による検知装置の態様]
牛房の中央天井部位には前記集音部11に相当するマイクaを設置しておき、マイクaから取得した音声信号は、前記A/D変換器12の機能を備えた音声信号発信機bを介して、コンピュータeへと送られる。
【0059】
[牛の行動量による検知装置の態様]
牛房内には、前記行動検知部31に相当する、圧電素子を配備した牛床マットcを設置しておき、牛床マットcから得られた圧電信号からなる行動信号、または牛房の天井部位にセットした赤外線センサ、またはレーザーセンサ
である距離測定
装置fからの距離信号は、前記A/D変換器32の機能を備えた行動信号発信機dを介して、コンピュータeへと送られる。
【0060】
[コンピュータによる判定処理]
コンピュータeには、前記音声解析手段20、行動量解析手段40、最終判定手段50、および通知手段70に相当するプログラムがインストールされている。
コンピュータeは、前記音声信号とおよび行動信号をそれぞれ受信し、前記音声解析手段20、行動量解析手段40および最終判定手段50によって牛の発情の有無を判定し、牛は発情状態であると判定した際には、飼育者に発情の検知を通知手段70によってメール等で通知する。
【実施例2】
【0061】
実施例1で説明した各装置、各手段および各部は、全ての機能を一つの装置に一体化してもよいし、これらの機能を任意に複数の装置に振り分けて実現してもよい。
例えば、音声信号発信機bや、行動信号発信機dを、複数のマイクaや牛床マットcに対応するように構成することができる。
また、マイクa、音声信号発信機b、行動信号発信機dおよびコンピュータeを、通信機能を備えた情報処理装置(例:携帯電話、スマートフォン、タブレット)に統合して構成することができる。