【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題に鑑み,グレースケール画像に基づいて擬似カラー化処理を施すことで,自然な着色を施すことのできる擬似カラー化画像処理システムを発明した。
【0009】
第1の発明は,グレースケール画像情報を擬似カラー化する擬似カラー化画像処理システムであって,前記擬似カラー化画像処理システムは,
処理対象となるグレースケール画像情報における画像特徴量を用いて,画像特徴量ごとの画像情報を生成する空間画像生成処理部と,前記生成した各空間画像情報に対してそれぞれ対応する色を割り当て,合成することでカラー合成画像情報を生成するカラー合成処理部と,前記グレースケール画像情報と同じ分解能を有する画像情報と前記カラー合成画像情報とを用いて擬似カラー化画像情報を生成する高分解能化処理部と,を有する擬似カラー化画像処理システムである。
【0010】
本発明の擬似カラー化画像処理システムを用いることで,グレースケール画像情報に基づいて擬似カラー化画像情報を生成することができる。その結果,ユーザの視認性を向上させることができる。
【0011】
また,グレースケール画像情報から空間画像情報を用いてカラー画像を生成する場合に,一般的にはその分解能が低下してしまう。そこで本発明ではカラー画像と,もととなるグレースケール画像情報と同じ分解能を有する画像情報とを合成する処理を実行することで分解能を回復することができる。
【0012】
上述のような処理はパンシャープン処理と呼ばれる。従来のパンシャープン処理では,分解能の異なる2つの画像情報を合成することで分解能を向上させる。たとえば,別々に撮像した分解能が10メートルのカラー画像情報と,分解能が2.5メートルのグレースケール画像情報とを合成することで分解能が2.5メートルの分解能のカラー画像情報を擬似的に作っている。しかし,本願発明では,もともと一つのグレースケール画像情報に基づいてパンシャープン処理を実行している。当初のグレースケール画像情報が分解能が2.5メートルであった場合,この2.5メートルのグレースケール画像情報に基づいて,たとえば,分解能が10メートルの擬似カラー化画像情報を生成する。そして,これら2つの画像情報を合成することで,分解能が2.5メートルの擬似カラー化画像情報を生成している。そのため,従来のパンシャープン処理では2つの異なる分解能の画像情報が必要であったが,本願発明を用いることによって,一つの画像情報で処理を実行できる。たとえば,従来であれば,同じ場所を撮像した分解能が10メートルのカラー画像情報と,分解能が2.5メートルのグレースケール画像情報とが必要であった。しかし,本願発明によって,分解能が2.5メートルのグレースケール画像情報のみで処理が実現できる。
【0013】
上述の発明において,
前記擬似カラー化画像処理システムは,さらに,前記グレースケール画像情報の色調補正処理を実行する入力画像色調補正処理部,を有しており,前記空間画像生成処理部は,前記色調補正処理を行ったグレースケール画像情報に基づいてコントラスト強調画像情報を生成するコントラスト強調画像生成処理部と,前記コントラスト強調画像情報を用いてテクスチャ画像情報を生成するテクスチャ画像生成処理部と,前記コントラスト強調画像情報に基づいてエントロピー画像情報を生成するエントロピー画像生成処理部と,前記コントラスト強調画像情報に基づいてエネルギー画像情報を生成するエネルギー画像生成処理部と,を備えており,前記カラー合成処理部は,前記生成したエネルギー画像情報,テクスチャ画像情報,エントロピー画像情報に対してそれぞれ対応する色を割り当て,合成することでカラー合成画像情報を生成する,擬似カラー化画像処理システムのように構成することができる。
【0014】
空間画像情報を生成するには,本発明のように処理を実行することができる。
【0015】
上述の発明において,前記カラー合成処理部は,前記エネルギー画像情報について赤色,前記テクスチャ画像情報について緑色,前記エントロピー画像情報について青色を割り当て,合成する,擬似カラー化画像処理システムのように構成することができる。
【0016】
空間画像情報を構成する各画像情報には,任意の色を割り当てることができるが,カラーモデルとしてRGB系を用いる場合には,本発明のように割り当てると,合成した画像情報が自然に近い着色となる。
【0017】
上述の発明において,前記カラー合成処理部は,さらに前記コントラスト強調画像情報に対しても対応する色を割り当て,前記エネルギー画像情報についてシアン,前記テクスチャ画像情報についてマゼンダ,前記エントロピー画像情報についてイエロー,前記コントラスト強調画像情報について黒を割り当て,合成する,擬似カラー化画像処理システムのように構成することができる。
【0018】
カラーモデルとしてCMYK系を用いる場合には,本発明のように割り当てると,合成した画像情報が自然に近い着色となる。
【0019】
第
5の発明は,
合成開口レーダで単偏波観測により撮影したグレースケール画像情報を擬似カラー化する擬似カラー化画像処理システムであって,前記擬似カラー化画像処理システムは,
前記グレースケール画像情報の入力を受け付ける画像入力受付処理部と,前記グレースケール画像情報に基づいて
生成した複数の画像情報に対してそれぞれ対応する色を割り当てて一つの画像情報として合成した合成画像情報と,前記グレースケール画像情報と同じ分解能を有する画像情報とを用いて擬似カラー化画像情報を生成する高分解能化処理部と,を有する擬似カラー化画像処理システムである。
【0020】
本発明のように構成することで,第1の発明と同様の技術的効果を得ることができる。とくに,分解能を維持するパンシャープン処理について,一つの画像情報で処理を実行することができる。
【0021】
上述の発明において,前記擬似カラー化画像処理システムは,前記生成した擬似カラー化画像情報に対する色調補正処理の入力を受け付ける,または色調補正処理を実行することで出力画像を生成する出力画像色調補正処理部,を有する擬似カラー化画像処理システムのように構成することができる。
【0022】
生成した擬似カラー化画像情報について,さらに色調補正処理を施すことで,より自然に近い着色とすることができる。
【0023】
上述の発明において,前記グレースケール画像情報は,単偏波観測による合成開口レーダで撮像した画像情報である,擬似カラー化画像処理システムのように構成することができる。
【0024】
単偏波観測による合成開口レーダではグレースケール画像しか撮像できない。一方,複数偏波観測による合成開口レーダで撮像をした場合,分解能が低下してしまう。とくに合成開口レーダによる撮像の場合,通常の画像情報よりも分解能が重視されることがある。そうすると視認性がグレースケール画像よりも良いものの,複数偏波観測による合成開口レーダでの撮像を用いることは,不利である。そこで,分解能を維持したままグレースケール画像に基づいて擬似的なカラー画像を生成できるので,本発明は視認性の向上と分解能の維持という相反する点を解決することができる。
【0025】
第1の発明は,本発明のプログラムをコンピュータで読み込むことで実現できる。すなわち,コンピュータを,
処理対象となるグレースケール画像情報における画像特徴量を用いて,画像特徴量ごとの画像情報を生成する空間画像生成処理部,前記生成した各空間画像情報に対してそれぞれ対応する色を割り当て,合成することでカラー合成画像情報を生成するカラー合成処理部,前記グレースケール画像情報と同じ分解能を有する画像情報と前記カラー合成画像情報とを用いて擬似カラー化画像情報を生成する高分解能化処理部,として機能させる擬似カラー化画像処理プログラムである。
【0026】
また第
5の発明は,本発明のプログラムをコンピュータで読み込むことで実現できる。すなわち,コンピュータを,
合成開口レーダで単偏波観測により撮影したグレースケール画像情報の入力を受け付ける画像入力受付処理部,前記グレースケール画像情報に基づいて
生成した複数の画像情報に対してそれぞれ対応する色を割り当てて一つの画像情報として合成した合成画像情報と,前記グレースケール画像情報と同じ分解能を有する画像情報とを用いて擬似カラー化画像情報を生成する高分解能化処理部,として機能させる擬似カラー化画像処理プログラムである。
【0027】
本発明の画像生成方法をコンピュータで実行することで,グレースケール画像情報に基づいて擬似カラー化画像情報を生成することができる。すなわち,グレースケール画像情報に基づいて擬似カラー化画像情報を生成する擬似カラー化画像情報の生成方法であって,コンピュータにおいて,
処理対象となるグレースケール画像情報における画像特徴量を用いて,画像特徴量ごとの画像情報を生成するステップと,前記生成した各空間画像情報に対してそれぞれ対応する色を割り当て,合成することでカラー合成画像情報を生成するステップと,前記グレースケール画像情報と同じ分解能を有する画像情報と前記カラー合成画像情報とを用いて擬似カラー化画像情報を生成するステップと,を有する擬似カラー化画像情報の生成方法である。
【0028】
本発明の画像生成方法をコンピュータで実行することで,グレースケール画像情報に基づいて擬似カラー化画像情報を生成することができる。すなわち,
合成開口レーダで単偏波観測により撮影したグレースケール画像情報に基づいて擬似カラー化画像情報を生成する擬似カラー化画像情報の生成方法であって,コンピュータにおいて,
前記グレースケール画像情報の入力を受け付けるステップと,前記グレースケール画像情報に基づいて
生成した複数の画像情報に対してそれぞれ対応する色を割り当てて一つの画像情報として合成した合成画像情報と,前記グレースケール画像情報と同じ分解能を有する画像情報とを用いて擬似カラー化画像情報を生成するステップと,を有する擬似カラー化画像情報の生成方法である。