【実施例】
【0097】
実施例
実施例1.溶接されたサブアセンブリ−溶接された反応器−圧入伝導性フィン
溶接された反応器を製造し、フィッシャートロプシュを試験反応として使用して、ろう付けされた反応器と等価の性能を検証するために動作させた。反応器は、ストリームに対して2000時間を超える期間動作し、サブアセンブリに対するプロセスフィンを含有する触媒の圧入接触が、反応器の性能に十分であり、同じ設計のろう付けされた反応器による性能に匹敵することを実証した。
【0098】
デバイスの説明
2層フィッシャートロプシュ全溶接デバイスを設計し、製造して、本発明の製造プロセスを検証した。複数チャネルマイクロ反応器設計は、3つの冷却剤反復ユニットの間に交互に配置される2つのプロセス反復ユニットからなる。冷却剤チャネルは、プロセスチャネルに対してクロスフローの配向にある。
【0099】
プロセスチャネルは、長さ15.75cm(6.2インチ)×幅7.62cm(3インチ)及び高さ0.635cm(0.256インチ)の銅製波形から形成される。波形の厚さは、0.015cm(0.006インチ)である。得られるデバイスは、2つの層において274個のプロセスチャネルを有する。これらのチャネルのそれぞれが、幅0.095cm(0.0375インチ)、高さ0.635cm(0.25インチ)及び長さ7.62cm(3インチ)の平均寸法を有する。フィンは、優れた熱接触を保証するために、隣接する端部ストリップの公称寸法から0.006”(0.015cm)だけ大きかった。
【0100】
デバイスの冷却剤チャネルは、50ミクロンから150ミクロンの間の溶接厚さを有する、500ミクロンの頂部プレートを通って1000ミクロンの底部チャネルプレートに進入するがそれを突き破らないYbファイバレーザ(IPGモデル YL −600−SM :600ワットイッテルビウムファイバレーザ、波長1.07ミクロン)で頂部プレートに結合された、レーザ溶接されたサブアセンブリを備えていた。サブアセンブリは、2つのシムから形成され、シムは、頂部又は被覆シート又は壁、及びそれに伴う熱伝達流体用のフローチャネルを含有するチャネルシムを含む。これらの冷却剤サブアセンブリは、約3”L×約10”W×約2.7”H(8cm×25cm×7cm)デバイスにおいて積層され、融接及び隅肉溶接により周縁部にシールされた。
【0101】
コアコンポーネントの溶接後、デバイスを清浄化し、66.5グラムのOxford Catalysts, Limitedから入手した高活性コバルト触媒、及びAtlantic Equipment Engineersから供給された120グリット材料から得た炭化ケイ素を投入した。
最終製造ステップは、ヘッダ及びフッタ溶接(マクロスケールへの、すなわちより大きな配管への外部接続用の冷却剤及びプロセスチャネルのため)及び支持体溶接からなっていた。支持体溶接は、デバイスが圧力格納システム(PCS)を必要とすることなく安全に動作することができるようにもするこの設計に対して、構造的に必要であった。
【0102】
コアコンポーネント製造
全溶接反応器は、銅製波形及びそれぞれ2つのステンレススチール製端部ストリップを備える2つのプロセス層を有する。3つの冷却剤層は、プロセス層と交互に配置され、ステンレススチール製頂部プレート又は壁及びステンレススチール製チャネルシムを互いにレーザ溶接することによりサブアセンブリとして製造される。壁シムは、厚さ0.020”(0.05cm)のストックSSシート材料から小さくせん断された。冷却剤シムは、部分PCM(光化学加工)により厚さ0.040”(0.1cm)のSSシートとして形成された非直線的及び直線的チャネル特徴を有し、直線的チャネルに対しては、深さ0.020”(0.05cm)×幅0.100”(0.25cm)のチャネル及び0.040”(0.1cm)のリブを形成し、非直線的セクションに対しては、深さ0.015”(0.0375cm)×幅0.017”(0.0425cm)のチャネルを形成する。非直線的セクションは、22個の屈曲部を有する波状又は蛇行パターンで構成された。レーザ溶接は、各リブに対して、チャネル間及び最も外側のチャネル間のシールを形成するためにシムの全長に対して、並びに外部からのチャネルをシールするために周縁部に対して行った。次いで、サブアセンブリをリークチェックした。サブアセンブリをリークチェックする能力を有することにより、デバイスにおける組み立て前のリークの識別及び修復、並びに欠陥デバイスの製造の回避が可能になった。冷却剤層をサブアセンブリとして事前に製造することの別の利点は、アセンブリにおいて積層させる部品の少なくとも約20%の削減である。
【0103】
プロセス側の端部ストリップは、標準的材料厚さ(公称厚さ0.250”)(0.625cm)から、並びに必要最小限の機械加工、つまりある長さ及び幅への切断と端部の面取りのみにより製造された。銅製波形は、薄いコイルが規則的に屈曲されて反復フィン構造が生成される、標準的フィン形成プロセスにより製造された。フィンは、高さ0.256”(0.64cm)を有するように作製された。末端プレートもまた、所望の長さ、幅及び面取りを達成するために最小限の機械加工を必要とした。全ての部品は、ろう付けされたデバイスに関連する厳密な厚さの許容差を必要としないので、ストック材料が使用され得る。
【0104】
実施例1のためのデバイスアセンブリ
デバイスのコア(すなわち、2つの末端プレート間に挟まれたプロセス及び冷却剤層)は、交互に配置されたプロセス及び冷却剤層を形成するようにコンポーネントを積層させることにより形成される。プロセス層の数は、FT生成物の所望の容量により決定されるが、冷却剤層の数は、プロセス層がその両面に冷却剤層を有するように、プロセス層の数より1つ多い。積層プロセス中、部品を配列させ、またアセンブリ及び初期溶接ステップ全体にわたり配列を維持するために固定具が必要である。クランプ固定具は、積層するための、及び溶接ステップへの移送のために積層されたコアを固定するためのプラットフォームを形成するように設計された。クランプ固定具は、細長いプラス記号のような形状の2つのプレートからなる。それぞれ、1/2”(1.25cm)の全ねじ棒に適合するように、四(4)つのスロットを有する。支持体プレートは、底部側の全ねじ末端部及びナットのための余地を形成するように、底部クランプの下に配置された。プロセス面の配列のために、c字クランプによりクランプ固定具のいずれかの側に、4つの直線状端部が適所に保持された。5つ目の直線状端部を使用して、2つの冷却剤面の1つを配列させた。
【0105】
積層及び配列固定構成に関して、第1のステップは、クランプ固定具上に末端プレートを配置し、プロセス面の直線状端部の間に中心付けることである。次いで、冷却剤面の直線状端部が、第1の層を積層する前に適所に配置される。積層された第1の層は、冷却剤サブアセンブリであった。プロセス層は、2つの冷却剤層の間に配置される。サブアセンブリは、末端プレート上まで下げられて、冷却剤面の直線状端部に対し適所に摺動され、末端プレート上の面取り面間に中心付けられる(
図6)。配列が十分となったら、第1のプロセス層が、冷却剤サブアセンブリの上に積層された。このステップにおいて、端部ストリップは、冷却剤面と面一であった。融接の場合、これにより端部ストリップと冷却剤サブアセンブリとの間、及び端部ストリップと末端プレートとの間の界面がシールされる。第1の端部ストリップは、冷却剤の直線状端部と面一に配置され、次いで波形が配置され、次いで第2の端部ストリップが配置される。波形は、第1の端部ストリップに対して密接して配置され、冷却剤サブアセンブリ上に中心付けられる。第2の端部ストリップは、波形に対して密接して配置され、他の冷却剤面との配列がチェックされる。両方の冷却剤面上の端部ストリップが、隣接する層の+/−0.010”(0.025cm)以内に配列される場合、配列は許容範囲であった。この冷却剤サブアセンブリ及びプロセス層を積層するプロセスは、もう一度反復され、続いて別の冷却剤サブアセンブリが積層された。全積層は、二(2)つのプロセス層及び三(3)つの冷却剤層からなっていた。積層上に配置されるべき最後のコアコンポーネントは、頂部末端プレートであった。頂部末端プレートは、4つ全てのプロセス側の直線状端部及び冷却剤面の直線状端部と面一に配置される。
【0106】
コア溶接を完了するために、2つの溶接ステップがあった。第1の溶接ステップは、幅2”(5cm)の端部ストリップに沿って隅肉溶接部を作製した。各プロセス面上に6つの隅肉溶接部で充填されたV字溝があった。クランプ固定具上の湾曲切り抜き領域により、これらのV字溝に到達してこの溶接ステップを完了することができた。最初の隅肉溶接部は、波形を損傷することを回避するために、波形に最も近い端部ストリップ末端の寸前で止まるように設計された。後に、隅肉溶接部は、触媒保持アセンブリと一致するように、端部ストリップの内側端部内に充填された。これらの隅肉溶接の前後の写真を、
図7に示す。これらの隅肉溶接が完了したら、クランプ固定具を取り外し、次の溶接ステップのために冷却剤面への到達を可能とした。各冷却剤面上に3つの冷却剤サブアセンブリがあり、したがって、それぞれ面の全長を融接する6つのシーム(各サブアセンブリの上下に1つのシーム)があった。次いで、コアは、清浄化及び触媒投入のための調製の準備が整う。
【0107】
清浄化及び触媒投入
触媒投入前に、デバイスのプロセス側を清浄化し、触媒保持アセンブリを適所に溶接した。
【0108】
触媒を投入する前に、コアを垂直位置に配向させながら、触媒を保持するために触媒保持アセンブリを挿入し、1つのプロセス面上の適所に溶接する。触媒保持アセンブリは、スクリーン、スクリーン保持リング、フォーム及びフォーム保持リングの4つの部品からなる。スクリーンは、触媒をデバイス内に保持するように機能する。スクリーン保持リングは、スクリーンをプロセス面に対して密接して適所に保持する薄いSS枠である。スクリーン保持リングの周縁部の周りの小さな溶接部が、スクリーンを適所に固定し、デバイス内での良好な触媒保持を確実にする。また、端部ストリップ上の隅肉溶接部も、端部ストリップの内側端部まで延長され、より良好な触媒保持が提供された。アルミニウム製遮蔽プレートを使用して、スクリーン保持リングに対する周縁部溶接中、銅製波形を保護してもよい。
【0109】
触媒保持アセンブリが1つのプロセス面上の適所にある状態で、触媒投入を行った。投入は、4ステッププロセスであった。4つの末端チャネル(各プロセス層において各末端に1つ)は、部分フィンを有し、スクリーン保持リングによりブロックされ、したがって不活性チャネルとみなされた。これらのチャネルは、第1の投入ステップにおける触媒とほぼ同じ粒径の不活性材料である、炭化ケイ素(SiC)で完全に充填された。残りのチャネルには、3つの層、すなわち、プロセス入口における約0.665”(1.6625cm)のSiC、約1.5”のFT(3.75cm)触媒床、及びプロセス出口における約0.75”(1.875cm)のSiCが投入された。3つの層のそれぞれの深さを得るために、材料を少しずつデバイスに投入し、続いてデバイスの側面(末端プレート)をゴム製ハンバーで叩き、投入した材料を高密度化した。それぞれの少しずつの投入及び高密度化の後、ゲージ高さピンを使用して、全てのチャネルの深さを測定した。所与の層に対してこのプロセスを完了したら、超音波により材料をさらに高密度化し、PABD(材料のex−situ測定充填平均床密度)に可能な限り近い密度を得た。高密度化後に頂部層が端部ストリップと面一に維持された時に、投入を完了した。超音波照射により触媒がさらに高密度化されない時に、触媒床は完全に高密度化されたとみなした。3つ全ての層(2つのSiC層、1つの触媒層)が投入されたら、他のプロセス面に関して以前に説明されたのと同じ手順を使用して、触媒保持アセンブリをデバイスの開いたプロセス面上に設置し、溶接した。
【0110】
実施例1のための最終溶接
3つの最終溶接ステップ、すなわち、プロセス多岐管、冷却剤多岐管及び支持体プレートの取り付けで、デバイス製造が完了した。ろう付けされたデバイスとは異なり、全体的にシールされた全溶接FTデバイス用の内部コンポーネントのみが、冷却剤サブアセンブリである。残りのコンポーネント(波形、端部ストリップ及び末端プレート)は、全て、周縁部で隣接するコンポーネントに取り付けられるのみである。支持体プレートは、動作中の大きな差圧下で完全性を維持するために、デバイスに対し必要な支持を提供する。支持体プレートはまた、ろう付けされたデバイスに使用される圧力格納シェル(PCS)を置き換えるように機能する。ストリーム及び液体の水を別個に除去するために、冷却剤に2つの出口が使用される。
【0111】
プロセス多岐管は、ステンレススチール304Lから構築され、近似的に長さ9.1”(22.75cm)×幅2.7”(6.75cm)×深さ1.9”(4.75cm)である。8.1”×1.7”×1.2”(20.25cm×4.25cm×3.00cm)の近似的寸法を有する内部ポケットは、完全にプロセス波形開口部を封入し、触媒保持機構に支持を提供する。多岐管は、従来のTIG溶接プロセスを使用して、コアの周縁部にわたり溶接される。直径1インチの管が、両方のプロセス多岐管の中心から延在し、コアに対するプロセスガスの流入及び流出を可能にする。多岐管は、動作中のプロセス圧力を支持するために、約0.5”(1.25cm)の最小壁厚を有するように設計される。
図8を参照されたい。
【0112】
冷却剤入口多岐管は、ステンレススチール304Lから構築され、近似的に長さ5.6”(14cm)×幅2.7”(6.75cm)×深さ1.7”(4.25cm)である。4.8”×1.9”×1.3”(12cm×4.75cm×3.25cm)の近似的寸法を有する内部ポケットは、完全に冷却剤入口チャネルを封入し、冷却剤を冷却剤入口面上に等しく分配するように設計される。多岐管は、従来のTIG溶接プロセスを使用して、周縁部にわたり溶接される。直径1インチの管が、多岐管から延在し、コアに対する冷却剤の流入を可能にする。多岐管は、動作中の冷却剤圧力を支持するために、約0.38”(0.95cm)の最小壁厚を有するように設計される。
【0113】
冷却剤出口多岐管は、ステンレススチール304Lから構築され、近似的に長さ5.6”(14cm)×幅2.7”(6.75cm)×深さ4.4”(11cm)である。4.8”×1.9”×4.0”(12cm×4.75cm×10cm)の近似的寸法を有する内部ポケットは、完全に冷却剤出力チャネルを封入し、障害なしに冷却剤流を反応器コアから流出させるように設計される。多岐管は、従来のTIG溶接プロセスを使用して、周縁部にわたり溶接される。反対側から、直径1”(2.5cm)の2つの管が多岐管から延在する。上の管は、スチーム蒸気を流出させ、下の管は、液体の水を流出させる。多岐管は、動作中の冷却剤圧力を支持するために、約0.38”(0.95cm)の最小壁厚を有するように設計される。
【0114】
2つの冷却剤多岐管は、固体金属コア末端プレート及びプロセス多岐管に直接溶接される。そうすることにより、コア溶接部は、完全にプロセス及び冷却剤多岐管のパラメータ内に封入され、したがって、反応器のいかなる外部表面にも直接露出しない。
図9を参照されたい。
【0115】
次いで、支持体(外骨格)が、従来のTIG溶接プロセスを使用して追加される。垂直(プロセス流)方向に反応器を覆う支持体の4つの組、及び冷却剤出口多岐管上を水平に延在する1つの追加の組がある。垂直支持体の各組は、長さ8.8”(22cm)×高さ3.3”(8.25cm)×厚さ0.25”(0.625cm)の近似的な全体寸法を有する、ステンレススチール304Lの2つの同一の部品から構築される。支持体の各組は、それらの末端が接触する点で互いに溶接されると共に、その周縁部にわたり反応器にステッチ溶接される。支持体の4つの組は、約2”(5cm)だけ互いに離間しており、第1の組は、冷却剤入口多岐管の端部から約2.7”(6.75cm)の位置にある。垂直な支持体の4つの組は、反応器コア及びプロセス多岐管に対する支持を提供するが、水平な組は、大きすぎる冷却剤出口多岐管への追加的支持を提供する。2つの水平な支持体は、ステンレススチール304Lから構築され、近似的に長さ5.4”(13.5cm)×高さ2’(60cm)×厚さ0.25”(0.625cm)である。それらは、冷却剤出口多岐管のいずれかの側に中心付けられてその多岐管に溶接されると共に、コアの末端プレート及び最も外側の垂直支持体に溶接される。
【0116】
実施例1のための実験装置
プロセス側
フィッシャー・トロプシュ合成マイクロチャネル固定床反応器に供給される合成ガス(シンガス)の流量及び組成は、Brooks質量流コントローラを使用して個々のガス(一酸化炭素、水素、及び窒素)の流速を設定することにより制御された。ガスは、いかなる不純物も除去するために、活性炭及び分子篩13×トラップを通して供給された。供給物は、反応器に進入する前に、ステンレススチール製マイクロチャネル熱交換器内で予熱された。反応器は、クラムシェル型3000W Watlow加熱器内に封入され、さらに、熱損失を最小限化するために断熱された。動作データは、圧力変換機及び316SSシースK熱電対を使用して測定された。
【0117】
生成物ストリームは、高圧の3つの回収容器を通して配送され、水相と共に、より重質の炭化水素生成物からより軽質の炭化水素生成物を大まかに分離するために、段階的に冷却された。第1の生成物タンク(約100℃に保持)及び第2のタンク(周囲温度、約25℃に保持)が、生成物の大部分を回収した。水相及びより重質の炭化水素(ワックス)生成物は、第1のタンクに回収され、一方水相及び透明な液体炭化水素相は、第2のタンクに回収された。第3のタンクからの排ガスは、換気された。
反応器のちょうど下流側及び第1の生成物回収タンクの上流側に位置する試料ポートから、生成物ガス試料を回収し、2つのカラム、分子篩5A及びPlotQを備えるAgilent M200H マイクロガスクロマトグラフを使用して分析した。
【0118】
冷却剤側
冷却水を格納するために、20ガロン(76L)炭素鋼タンクを使用した。水の化学的性質は、Cortrol OS5300及びOptisperse AP302の追加により維持された。タンクは、蒸気ループ圧力を維持するために窒素で加圧された。Catポンプ(モデル231.3000)を使用して、冷却回路に水をポンピングした。Appleton FLSC−62A流量計を使用して、冷却剤流量を測定及び制御した。供給水は、反応器に進入する前に、25cm、5ミクロン微粒子フィルタバンク及び60ミクロンSwagelokフィルタに通過させた。反応器蒸気出口は、冷却剤圧力を制御するために窒素源に接続され、一方、水(冷却剤フッタにおいて分離される)は、2リットルのステンレススチール製Swagelok容器に流入するが、これはシステム内の適切な水レベルを維持するために使用された。
【0119】
性能データ
本発明の全溶接反応器は、圧力格納シェルを使用せずに、約2150時間動作した。反応器は、この高圧反応に対し圧力支持を提供するために、外部に溶接された外骨格を有していた。
【0120】
反応器は、熱散逸の点(プロセス側で約70ミリ秒の接触時間)まで、徐々に厳しい動作条件で動作した。熱散逸事象の後、触媒に対する損傷の程度を評価するために、反応器を再生した。再生後、触媒は、初期活性の約50%を回復した。
【0121】
始動及び妥当性確認試験
反応器の始動は、以下のように行った:触媒活性化の完了後、反応器を周囲温度まで冷却し、次いで350psig(2413kPa)まで加圧した。冷却水を目標流速で冷却剤ループに導入し、反応器を約170℃のシンガス導入温度まで加熱した。次いで、段階的にシンガスの流動を開始し、反応器を目標動作温度まで加熱した。
【0122】
始動の完了後、反応器は、H
2:CO=2.0、P=350psig(2413kPa)、希釈剤約16.8%、CT約290msの条件に到達した。2列の熱電対を、触媒床の開始から約1.17cm(0.46in)及び3.2cm(1.26in)(反応器入口から3.20cm及び5.23cm)で外部反応器表面上にタック溶接した。本発明の全溶接マイクロチャネル反応器は、完全な等温反応器動作を行わなかったが、測定された温度勾配は、約5℃未満であった。さらに、FT触媒での内部勾配は測定されなかったが、反応器壁において測定される測定熱勾配よりも大きいと予測される。
反応器の面にわたる温度プロファイルは、平均温度の±2℃以内に制御された。
【0123】
同じフィッシャートロプシュ触媒に基づく本発明の(全溶接)反応器の性能とろう付けされた反応器との直接的比較を、表1にまとめる。
【表1】
*注:温度測定箇所は、2つの反応器の間で若干異なる。ろう付けされた反応器の場合、温度は冷却剤シム表面で測定され、一方本発明の(全溶接)反応器の場合、反応器壁表面の外部上で測定されている。
【0124】
本発明の全溶接反応器の稼動時間性能は、同じ条件において、他のろう付けされた単一チャネルの反応器に匹敵する。
この妥当性確認期間中に回収された生成物ワックスを、炭素数分布について分析した。結果は、短い及び長い単一チャネル反応器を用いた同様の条件における以前の試験、並びにろう付けされたパイロット規模反応器の試験からのワックスとの優れた一致を示した。
【0125】
プロセスの乱れに対する堅牢性
約211時間の稼動時に、冷却剤流量計が故障してインターロック事象を引き起こした。冷却剤流量計の故障は、(ポンプは正常に機能しているにもかかわらず)ゼロ流量アラームを誘引し、バックアップ用ポンプを始動させ、著しく高い冷却剤流量をもたらしてインターロックを引き起こした。5分以内に、システムはリセットされた。反応器は、その期間中、約197℃まで冷却された。システムがリセットされると、CO及びH
2流が即時にONになった。N
2流は、2分後にONになった。反応器温度は即時に増加し始め、冷却剤流がないために、(システムリセットから)9分以内に反応器外側表面上で記録される最高温度が約240Cに達した(冷却剤チャネルが排水されなかったため、以前の動作からの水のプールが冷却剤側に滞留し、これが蒸発し始めた可能性がある)。温度が240℃に達した時に(システムリセットから9分)、冷却剤ポンプが手動で始動された。反応器温度は、再び正常なレベルまで降下し始めた。28分(システムリセットから37分)以内には、状況は制御下にあり、反応器は約192Cまで冷却された。次いで、反応器温度は、インターロック前の値(約206.6C)まで徐々に増加した。リセット後、H2流量は目標より高い値に設定され、H2:CO比は(2.00ではなく)2.17となった。
【0126】
この実験結果は、冷却剤供給を失った数秒以内には熱散逸が生じないという点、及び冷却剤の損失と40℃を超える反応器温度の上昇との間に9分が経過しているという点で、驚くべき結果であった。冷却剤を再始動し、目標温度に到達した後、触媒性能は期待されるレベルまで回復した。触媒体積に対する金属反応器ブロック体積の高い比が、システムの乱れが逆転する間の数分間、反応の発熱を吸収するための熱シンクを生成する。これは、冷却剤の一時的損失が熱散逸事象及び触媒性能の損失をもたらす従来の管状固定床FT反応器に比べて、特に有利である。本発明のFT反応器は、冷却剤流がない9分後に期待される性能に戻ることが示された通り、望ましくない熱的乱れに対する適度な一時的緩衝をもたらす。反応器温度は、期待されるように上昇したが、金属構造の高い熱容量が、触媒の永久的な焼結を回避した。
【0127】
全溶接パイロット反応器において、触媒体積は前反応器体積の約7%であった(0.934Lの反応器ブロック−10”×3”×1.9”(25cm×7.5cm×4.75cm))において63.1mlの触媒)。約14:1の触媒体積に対する反応器体積のこの比において、冷却剤のない9分の熱シンク時間が許容されることが示された。
【0128】
触媒体積に対する反応器体積の比が14:1未満、より典型的には10:1未満、さらにより好ましくは3:1又は2:1未満である、より大型のデバイスにおいては、冷却剤流のない許容される時間は9分未満であり、5分以内、いくつかの実施形態においては30秒以内であることが予測される。いくつかの好ましい実施形態において、反応器体積に対する触媒体積の比は、2%から60%の間であり、本発明による反応器のいくつかの実施形態においては、5%から40%の間であり、全反応器体積は、チャネル、チャネル壁、一体化された多岐管、及び外壁の体積を含むが、外部配管又は圧力格納容器を含まない。
【0129】
さらに、約346時間の稼動時に、出口流量に対する低い乾式試験メータ(DTM)読取値のため、一酸化炭素質量流コントローラを交換した。新しいCO MFCを、目標よりも低い値に設定すると、増加したH2:CO比が得られた。その後の17時間の期間中(最大約363時間の稼動)、H2:CO比は、約2.36であり、CO変換率は、85%を超える値まで増加した。
【0130】
驚くべきことに、我々は、高いCO変換率であっても、不活性化の速度は増加せず、供給比を調節した後、性能は以前のレベルに復帰することを発見した。反応器は、COに対するH2のより高いレベルを含む、様々な範囲の条件に対する堅牢な動作を有していた。従来の管状固定床FT反応器は、反応からの放出熱の急激な増加を含む熱出力の迅速な変化に対して、良好に応答しない。本発明の反応器は、反応熱がより高いH2対CO比を伴って増加しても、安定に動作し続けた。さらに、シンガス比が目標値に復旧された後、性能は、期待される性能に戻った。
【0131】
部分沸騰評価実験
本発明の反応器の実証の次の段階において、冷却剤の部分沸騰を試験し、沸騰流制御特徴(主要冷却剤チャネルの前の入口側におけるより小さい断面積のチャネルの22個の波状屈曲部)のみを、波状特徴の輪郭に沿うのではなく、平行波状特徴の間の線形シームに沿ってシールした本発明の全溶接反応器の熱制御及び安定性を検証した。冷却剤フローチャネル当たり1つの波状形状セクションがあり、平行冷却剤チャネルの間の単純な線形シールは、高い熱フラックス部分沸騰制御反応における安定な動作を維持するのに十分であり、例えば、流動は、前線の圧力降下を低め、沸騰中の冷却剤流の不安定化をもたらす可能性がある蛇行特徴に隣接するランドに沿った屈曲部を迂回しないようであった。
【0132】
「ホーム」条件(H
2:CO=2.0、P=350psig(2413kPa)、希釈剤約16.8%、CT約290ms)に相当する動作条件が維持された。約634時間の稼動時に開始して、冷却剤流量は、約1〜3%沸騰の出口蒸気品質が達成されるように、約2LPMから低下した。反応器温度はまた、約70%のCO変換率を維持するように調節された。約679時間の稼動時に、冷却水流速は0.4LPMに減少し、1.5%の出口蒸気品質が達成された。反応器温度は、目標CO変換率を維持するために、204.3℃に低下させた。性能は、単一相動作と実質的に同様であった。さらに、部分沸騰の使用により、反応器は、最初の290msよりも短い接触時間で動作されたFT反応器からの、より高い正味熱フラックス又は発熱を伴って動作することができる。
【0133】
部分沸騰条件は、約300時間の稼動期間保持されたが、この期間中の性能は
図10に要約される。
本発明の反応器は、290msの「ホーム」条件において、水の部分沸騰及び1.5%の出口蒸気品質を伴って250時間を越える稼動期間動作し、単一相冷却剤の性能に実質的に匹敵した。
【0134】
熱安定性評価実験
次の試験段階において、反応の熱負荷を増加させることにより、熱を効果的に除去する本発明の反応器の能力を試験した(接触時間を短縮することによってより多くのシンガスを処理するとともに、温度を調節することによってCO変換率を維持する)。プロセスフィンは、冷却剤サブアセンブリに接触する圧入のみであったことが留意される。冷却剤サブアセンブリとの圧入プロセスフィンの接触抵抗は、発熱FT反応器の性能を実質的に変化させなかった。
さらに、1つの壁に対するフィンの圧入は、サブアセンブリを製造するレーザ溶接法に起因する、高さ約0.013mmから0.13mm(0.5ミルから5ミル)、及び幅0.025mmから0.508mm(1ミルから20ミル)の、隆起したリブ又は突起により妨げられた。
【0135】
16.5%希釈、H2:CO=2、及び350psig(2413kPa)の動作圧力を維持しながら、プロセス反応接触時間を290msから約70msまで段階的に低減した。例えば、66.5グラムの触媒及び63.1cm
3の触媒床体積を仮定すると、290ms(13.1SLPM流量)から70msまでの変化は、反応器へのシンガス流量を54.1SLPMに増加させる。シンガスの組成及び遷移の詳細を、以下の表2に示す。温度を約206.6℃から約263℃まで増加させ、約70%のCO変換率を維持した。このより高い熱負荷の結果として、熱を除去する冷却剤の能力を試験した。この動作段階中の主要データを、以下の表2に示す。
【0136】
【表2】
【0137】
上記データに基づき、本発明の溶接された反応器設計は、290ミリ秒の接触時間条件で生成された熱負荷よりも4倍を超える熱負荷に対応することができる(平均蒸気品質は、約1.5%から約10%に増加する)。
【0138】
動作の個々の段階及び他のデバイス(ろう付けされた単一チャネル反応器)を用いた試験からの同様の試験条件との比較を、以下に示す。
【0139】
本発明の溶接された反応器を、945時間から1131時間の稼動時間、210msの接触時間で試験した。他のプロセスパラメータは、H
2:CO=2.0、P=350psig(2413kPa)、希釈剤約16.5%で一定に保持した。反応器温度は、目標CO変換率を維持するために、約214.6℃に増加させた。
【0140】
本発明の溶接された反応器を、1132時間から1182時間の稼動時間、150msの接触時間で試験した。他のプロセスパラメータは、H
2:CO=2.0、P=350psig(2413kPa)、希釈剤約16.5%で一定に保持した。反応器温度は、目標CO変換率を維持するために、約221.7℃に増加させた。
【0141】
本発明の反応器を、1205時間から1350時間の稼動時間、100msの接触時間で試験した。他のプロセスパラメータは、H
2:CO=2.0、P=350psig(2413kPa)、希釈剤約16.5%で一定に保持した。反応器温度は、目標CO変換率を維持するために、約241.2℃に増加させた。約1221〜1228時間の稼動期間中、水滴によりCO質量流コントローラが故障してインターロック事象を引き起こし、交換しなければならなかった。
【0142】
次いで、接触時間をより緩やかに5msずつ100msから70msに短縮した。他のプロセスパラメータは、H
2:CO=2.0、P=350psig(2413kPa)、希釈剤約16.5%で一定に保持した。70msの接触時間及び約263.1℃(約1542時間の稼動)の反応温度で、反応器上の複数の熱電対の場所で不安定な散逸挙動が見られた。
図11中のグラフに示されるように、一定条件において(反応器温度を低下させることにより散逸が制御される前に)温度の急激な増加が見られる。
【0143】
図22において説明される温度は、最も外側の冷却剤チャネルと接触している厚さ1.27cm(0.5in)の支持体プレートの反対表面上にある反応器の外部金属壁上で測定される。金属温度上昇は10℃未満であるが、50℃を超えると予測される触媒床上の温度上昇を示す。
【0144】
この動作期間中、本発明の溶接された反応器のより高い容量もまた実証された。290ms、210ms及び150ms接触時間動作からのワックス材料を分析して、アルファ数を計算した。デバイス性能は、以下の表3に要約される。
表3.生成物ワックスに対し0.89以上のアルファ値を有する、本発明の全溶接反応器の実証された高容量性能。210ミリ秒を超える接触時間の間、アルファ値は、0.91以上であった。アルファは、古典的にフィッシャートロプシュ化学の分野における当業者により知られているように定義される。
【表3】
【0145】
蒸気品質/部分沸騰安定性評価実験
1662時間の稼動から1783時間の稼動までの研究のこの部分において、冷却剤流量は、0.5LPM(他の動作パラメータをH2:CO=2、16.5%希釈、350psig(2413kPa)プロセス圧力)で一定に保持)から低下し、同じ熱負荷で沸騰の程度を増加させ、より高い出口蒸気品質を達成した。約1712時間の稼動時に、0.2LPMの流量で、流量計はその読取下限値に達し、水流速度はそれ以上低下しなかった。この試験段階中の平均蒸気品質は、以下の表4に示されるように、約15%に増加した。
【0146】
【表4】
【0147】
レーザ溶接サブアセンブリに対する圧力
FT反応器の動作中、レーザ溶接されたサブアセンブリは、冷却剤サブアセンブリ内の流体圧力が稼動時間と共に増加すると、サブアセンブリに対する圧縮から引張へと推移する。具体的には、プロセス層に隣接する冷却剤サブアセンブリのセクションは、冷却剤サブアセンブリ全体より小さい。この例において説明される全溶接反応器において、サブアセンブリの約60%が、フィン付プロセス層に隣接し、圧縮及び引張下で変化する。24”×24”(60cm×60cm)サブアセンブリを有するより大型の反応器は、沸騰温度が圧力と共に変化すると圧縮と引張との間で移行する、サブアセンブリ表面積の80%超を有する。反応温度は、触媒がワックスの蓄積により不活性化するため、フィッシャートロプシュ反応においては典型的に増加する。典型的な開始温度は、200℃と210℃との間であり、蒸気曲線からの沸騰温度は、約210psigから260psig(1448kPaから1793kPa)の間である。プロセス供給圧力は、典型的には、250psigから450psig(1724kPaから3101kPa)の間である。温度は、冷却剤側の圧力を増加させることにより上昇する。220℃において、沸騰(フィッシャートロプシュの反応の発熱を除去するための好ましい方法)中の蒸気圧は、約320psig(2206kPa)である。230℃において、蒸気圧は、約380psig(2620kPa)である。この例において説明される実験において、プロセス温度は250℃超に上昇したが、蒸気圧は約560psig(3861kPa)であり、プロセス反応圧力を大幅に超える。実験の開始時、レーザ溶接部は、フィン又はプロセス側でのより高い圧力により圧縮下にあった。最高温度において、レーザ溶接部は圧縮下にあり、圧力は高く、プロセス側よりも冷却剤側において332psig(2289kPa)高かった。再生前及び再生後、反応温度は220℃未満まで降下し、レーザ溶接部は、引張下に置かれるのではなく圧縮に戻った。レーザ溶接されたサブアセンブリは、圧縮及び引張下の両方で動作し、1000時間を超える稼動期間内で圧縮に戻る程堅牢であった。さらに、レーザ溶接部が圧縮又は引張下で動作して再び戻る程堅牢であるだけでなく、フィン及び触媒圧密の熱接触は、デバイス内の圧力変化により影響を受けなかった。本発明の反応器の良好な性能を維持するための重要なパラメータは、良好に投入された触媒床であり、好ましくは、触媒充填密度は、微粒子材料に対するASTM法により外部で決定されるように、理論的PABD(充填平均床密度)の2%以内、好ましくは1%である。低温流動圧力降下試験を使用して、実際の圧力降下とErgunの式から予測される圧力降下とを比較してもよい。圧力降下が、Ergunの式からの予測値の5%以内でない場合(2%が好ましい)、床の充填は低い。床の充填が低い場合、反応器内のフローチャネルに悪影響がある可能性があり、プロセス及び冷却剤チャネルに関して、圧縮と引張との間の変化は、磨耗又は研削が生じ得るように触媒粒子への望ましくない力の増加をもたらす可能性がある。触媒粒子が粉砕された場合、結果生じる微小粒子が、いくつかのチャネルにおいて他のチャネルより大きな圧力降下をもたらす可能性があり、また、流動の不均衡配分、高温点、又は時期尚早の熱散逸をもたらし得る。
【0148】
要約すると、全溶接反応器の性能が検証され、ろう付け及び/又は拡散接合が必要ではないことが実証された。全溶接製造技術により可能となった熱接触は、望ましい結果を提供した。
【0149】
プロセス圧力を超える初期冷却剤圧力は、本発明の反応器のレーザ溶接部のサイズ、及び同様のサイズのレーザ溶接された部品のバースト試験に基づいて、冷却剤チャネルの間の溶接部の破裂及び波形の変形を防止するために、約50psi(345kPa)に制限された。実験中、この過剰の圧力を約332psi(2289kPa)に増加させたが、外部から認め得る変形は見られなかった。試験後、反応器の分解により、反応器内部が圧縮若しくは変形していない、又は別様に望ましくない変化を示していないことが確認された。この驚くべき結果は、触媒が投入されたフィンが、これらの幅0.002インチ(0.005cm)の小さいレーザ溶接部に対し構造的支持を提供したことを示唆している。レーザ溶接部は、触媒投入プロセスチャネルからの支持を必要とすることなく冷却剤に対する十分に高い圧力を可能とするために、より広く、例えば0.006インチ(0.0150cm)以上とすることができる。したがって、好ましい実施形態において、本発明による装置及び方法は、0.015cm以上の幅を有するレーザ溶接部を使用する。
【0150】
実施例3 大型シートレーザ溶接部
レーザ溶接されたサブアセンブリの異なる部品厚さの影響を示すために、本発明の反応器に対し3種類の部品を試験した。本来、溶接部を形成するために入力されるエネルギーがより低いことから、より薄い頂部シートはより小さい歪みを形成すると理論付けられた。驚くべきことに、より薄い頂部シートは、より小さいのではなくより大きな歪みをもたらすことが判明した。より厚い頂部シートが好ましかった。
【0151】
・冷却剤チャネルシムに溶接された頂部シートは、0.020”(0.05cm)壁、0.010”(0.025cm)壁、及び0.005”(0.025cm)(0.125cm)壁の範囲であった。
・部品の固定を補助するために、断続的レーザ溶接で初期溶接を行った(例えば、5列毎)。長いシーム溶接線が作製される前に、溶接長さ寸法に沿った断続的レーザ溶接を、5列毎に追加した。断続的なステッチは、長さ約2cmから4cmであり、長さ5cmから20cmの未溶接セクションにより分離されていた。
・次いで、頂部プレートを除去し、全長溶接を行った。
・2つのより薄い壁のシナリオにおいて、出力設定及び焦点を調節する必要があった。
0.010”(0.025cm)壁に対しては60%出力設定
0.005”(0.0125cm)壁に対しては50%出力設定。
【0152】
最初の考えは、壁厚及び出力が低減されると、歪みがより小さくなるという考えであったが、逆が生じた。0.020”(0.05cm)壁サブアセンブリを測定すると、約2.750”(6.875cm)の歪みを示した。
【0153】
続く0.010”(0.025cm)及び0.005”(0.0125cm)壁に対する試験は、以下の応力変形数値を示した。
・ 0.010”(0.025cm)のサブアセンブリは、2.906”(7.265cm)と測定された。
・ 0.005”(0.0125cm)のサブアセンブリは、2.961”(7.4025cm)と測定された。
【0154】
試験されたサブアセンブリにおいて、アセンブリの24”(60cm)の幅に沿って、161個の24”(60cm)の長さの溶接部があり、これらのコンポーネントにおいて見られる応力は、驚くべきものではないが、長い溶接を行った場合、通常長さ方向及び過渡的な応力が見られる。課題は、溶接プロセス中の応力を軽減すること、又はサブアセンブリプロセス後の応力を低減及び/若しくは除去することである。
【0155】
好ましくは、個々の頂部シートは、0.04cm以上、いくつかの実施形態においては、0.04cmから0.2cmの範囲内、より好ましくは、0.05cmから0.1cmの厚さを有する。「頂部シート」とは、チャネル又は他の空隙を含有するシート又は複数のシート上に設置されるシートを指し、頂部シートは、高さ方向においてチャネル又は空隙をシールしてサブアセンブリを完成させる。
【0156】
大型部品に対する事前反曲処理試験
溶接の応力を軽減するための1つの方法は、コンポーネントの事前反曲(事前屈曲)処理を用いたものであり、次いで動作の実行を試行した。以下のプロセスを使用した。
・プロセス
o冷却剤壁及び冷却剤チャネルシムを1つのユニットとして事前反曲処理する。
oレーザ溶接テーブルに固定具を載せ、設定及びレーザアラインメントを実行する。
oレーザステッチプログラムを実行する。
oレーザ溶接テーブルに再び固定する。
o完全溶接プログラムを実行する。
【0157】
事前反曲処理されたコンポーネントは、コンポーネントの制御された一貫した湾曲を可能とするために、クランプ及び締結ストラップからなる固定具を使用することにより作製された(
図12を参照されたい)。シートは、チャネル長さに垂直な方向に屈曲された。2つのシートは、この技術により事前反曲処理され、次いで溶接された。得られたサブアセンブリは、同様であるが事前反曲処理なしで作製されたサブアセンブリと、目視により比較された。
・400℃未満の温度での応力緩和は、許容される実践ではあるが、軽度の応力緩和のみとなる。870℃で1時間が、典型的に約85%の残留応力を緩和する。しかしながら、この温度範囲における応力緩和はまた、粒界炭化物を析出させ、多くの媒体中での耐腐食性を大きく低下させる感受性化をもたらす可能性がある。これらの影響を回避するためには、特に長い応力緩和が必要である場合、安定化ステンレススチール(グレード321若しくは347)又は極低炭素型(304L若しくは316L)を使用することが推奨される。大型部品の応力緩和を、400C及びより高い温度である1100Cにおいて試行した。両方の場合において、成功は限られることが分かった。1つの端部が平坦面から上に起き上がる距離により測定されるように、元の反りの約40%の、軽度の変形の低減が観察された。
・アニール(しばしば固溶化処理と呼ばれる)は、作業硬化粒を再結晶化するだけでなく、炭化クロム(感受性化されたスチール内の粒界において析出)を、オーステナイト中の固溶体に戻す。この処理はまた、樹枝状溶接金属構造を均質化し、低温作業による残留応力を全て緩和する。通常、アニール温度は1040℃を超えるが、いくつかの種類は、微細な粒径が重要である場合、1010℃もの低い厳密に制御された温度でアニールされ得る。その温度での時間は、多くの場合、表面スケーリングが最小限となるように、又は形成中「オレンジの皮」状をもたらし得る粒子成長を制御するために、短く維持される。
【0158】
実施例4.溶接された反応器におけるフィンの影響
高いアスペクト比を有する圧入フィンを備える波形は、直線状にならない可能性があるが、フィンに対するいくらかの撓み又は屈曲を有する。フィンのいずれかの側の2つの固体ストリップと接触するように圧縮された後、フィンはさらに屈曲する、又は撓む。本発明の溶接された反応器において、フィンは、ろう付け若しくは接合されるのではなく、隣接する表面に押し付けられ、フィンと隣接する表面との点接触においてより多くの接触抵抗又は熱抵抗をもたらす。発熱又は吸熱反応において、反応熱は、フィンと隣接する表面との間で伝達される。圧入による熱接触を改善するために、フィンは、支持端部ストリップより高い。外部負荷によりフィンが接触するように圧縮されると、フィンは屈曲又は湾曲する。フィンが屈曲すると、フィンは固有強度を維持しにくくなる。
【0159】
厚さ0.006”(0.015cm)、高さ0.256”(0.64cm)のCu110の圧入フィンが、高さ0.25”(0.63cm)の端部ストリップに対し圧縮された。フィンは、隣接する熱伝達壁に対して押し付けられると、より偏心する。
図13中の写真において、クロスフロー熱交換チャネルをシールするレーザ溶接線の頂部上にフィンが位置する水平線が観察され得る。
【0160】
実施例1に記載の圧入反応器は、熱接触のより良好な点への軸方向の伝導による補助を含む、より多くの熱を熱伝達壁に伝導する銅性フィンの高い熱伝導率、及び/又は、反応中に生成される水素及び/又はフィッシャートロプシュ液体による、小さい隙間(推定値は5ミクロンから150ミクロンの間)の充填の組み合わせに起因して、驚くほど良好に機能し、フィンを熱伝達壁から分離するレーザ溶接隆線を有さないろう付けされた反応器の性能に匹敵した。水素及び液体油の熱伝導率は、ほとんどの気体より実質的に高く、したがって、圧入フィンと熱伝達壁との間の低い接触抵抗の影響を低減する。さらに、非常に高い熱伝導率を有する銅の有利な使用は、高温点を増大させることなく、及び望ましくない副反応を生成又は増幅することなく熱伝達界面に熱を移動させる、効率的な軸方向伝導を可能にする。
【0161】
2600psi(17,926kPa)の負荷を積層に印加し、積層を接触させた。負荷の好ましい範囲は、フィンの高さ、フィン材料、フィンの厚さ、及び開始フィンの偏心度に依存して、500psi(3447kPa)から500,000psi(3,447,000kPa)であってもよい。圧縮及びサイドバー又は端部ストリップに沿った最初のTIG溶接が完了した後、熱伝達サブアセンブリにフィンが接触される。
【0162】
実施例5.サブアセンブリの単位面積当たりの、溶接部の大型レーザ溶接サブアセンブリ線密度
この実施例は、レーザ溶接線が冷却剤流の方向に0.6mの長さに沿って伸びる、24”×24”(60cm×60cm)のレーザ溶接されたサブアセンブリについて説明する。冷却剤チャネル間でデバイスをシールし、圧力下での動作中の機器の変形を防止するための構造的支持を提供するための、このパネル上の161個の冷却剤チャネル及び162個のレーザ溶接線があった。
【0163】
この試料に対し、0.6m×0.6mの部分における97.2mの線形溶接部、又は表面積m2当たり270mの線溶接密度がある。或いは、線密度は、この実施形態に対して、3600cm2サイズの部分において2.7cm/cm2と言うことができる。他の実施形態に対しては、溶接部の線密度は、2.7cm/cm2超又は未満であってもよく、好ましい実施形態において、0.1cm/cm2から10cm/cm2の範囲であってもよい。
【0164】
実施例6:レーザ溶接レジストレーション
図14は、底部プレートに形成された平行及び隣接する冷却剤チャネルの間のリブの頂部を結合するレーザ溶接線を示す。レーザ溶接部は、底部チャネルプレートを頂部プレートに結合する。レーザ溶接部は、底部又はチャネルプレートに形成されるリブの頂部に沿って施されてもよい。この実施例において、リブは、幅0.037”(0.093cm)であり、レーザ溶接幅は、0.002”(0.005cm)から0.01”(0.025cm)の幅まで変動し得る。レーザ溶接部は、リブの中央、又はリブの幅に沿ったいずれかの側若しくはいずれかの箇所に施されてもよい。
【0165】
実施例7:大型FT反応器の製造
全溶接フィッシャー・トロプシュ反応器コアは、主として、交互の冷却剤及びプロセス部分の二重層アセンブリとして構築される。この設計の特徴は、冷却剤サブアセンブリが、スタンドアロン型ユニットとしての機械的完全性を維持するように溶接されるという点である。そのようなサブアセンブリを形成する1つのプロセスは、レーザ溶接を使用して、リブに平行に伸びる各チャネル間に溶接部を設けることにより、頂部固体シムを特徴化されたシムに結合することによるものである。必要とされる機械的完全性は、そのような手法により得ることができることが実証されている。考慮しなければならない第2のパラメータは、部品の平坦性のパラメータである。そのような様式で2つの薄いシートを溶接することは、ステンレススチールの溶接に関連した材料収縮に起因する著しいサブアセンブリ変形を引き起こし得る。サブアセンブリ変形は、複雑性の追加、及び部品を再び平坦化する、又は積層プロセスを変形した部品に対処するように適応させるために必要な取り組みをもたらし得る。
【0166】
溶接による歪みを最小限化することが判明している1つの方法は、サブアセンブリの全体のサイズを制限することである。チャネル間に長さ24”(60cm)の溶接部を組み込むが、幅約6”(15cm)に制限されるサブアセンブリを使用すると、許容されるレベルの平坦性を維持するが、一方、24”(60cm)の幅を含む同様のサブアセンブリは、許容されるレベルの平坦性を維持しないことが判明している(例えば、部品全体は、6”×24”対24”×24”(15cm×60cm対60cm×60cm))。さらに、複数のこれらの6”(15cm)幅サブアセンブリは、互いにステッチ溶接されて妥当な平坦性を維持することができる。このようにして、24”×24”(60cm×60cm)の平坦サブアセンブリは、4つの6”×24”(15cm×60cm)のサブアセンブリを互いにステッチ溶接することにより構築することができ、これは、24”×24”(60cm×60cm)の部品から出発して溶接された24”×24”(60cm×60cm)のサブアセンブリよりも実質的に平坦である。
【0167】
溶接されたサブアセンブリに組み込むことができる別の有用な特徴は、全体的なFT溶接積層の構築に使用する前に、リーク及び機械的完全性に関して部品を正確にチェックできるようにするものである。これは、最初のサブアセンブリを若干大きなサイズとし、それを通して圧力を印加することができるポートを追加し、レーザ溶接プロセスの一環として最初にサブアセンブリの末端をシールすることにより達成することができる。この圧力試験は、静水圧又は空気圧によるものであってもよい。個々の部品が溶接され、認定された後、アセンブリには、それらを正確に6”×24”(15cmx60cm)のサイズに切断してチャネルの流動末端を開くトリミングステップが施され、続いて4つの6”(15cm)サブアセンブリを互いにステッチ溶接して、1つの24”×24”(60cm×60cm)冷却剤サブアセンブリを形成する。
【0168】
次いで、最終的なサブアセンブリが、プロセス層の間に交互に配置され、主反応器コアを形成する。積層プロセスは、まず厚さ2”(5cm)のクランププレートを設置し、続いて厚さ1”(2.5cm)の末端プレートを、次いで交互の冷却剤及びプロセス層を設置することからなる。積層は、最終的な冷却剤サブアセンブリを設置し、続いて頂部末端プレート及び頂部クランププレートを設置することにより終了する。銅製波形を予め圧縮するために圧力を積層に印加しながら、全てのコンポーネントに金属同士の接触をもたらす。印加される圧力は、20psi(138kPa)から500,000psi(3447000kPa)の範囲であってもよく、好ましい範囲は20psiから20,000psi(138kPaから138000kPa)であり、より好ましい範囲は、20psiから5,000psi(138kPaから34474kPa)である。次いで、印加した圧力を解除する前に、クランプシステムを使用して積層を適所に固定する。クランプシステムは、コア溶接が生じ得るように積層をこの圧縮状態に維持する。
【0169】
コア溶接は、主として、両方のプロセス面に耐力溶接を追加するステップ、両方の冷却剤面にシール溶接を追加するステップ、及び迂回を防止するために各プロセス面上に2つの末端プレートシール溶接を追加するステップの3つのステップからなる。反応器は、これらの溶接ステップのそれぞれの間、クランプ状態を維持し、コア内で可能な限り最善の熱接触を確実にする。3つのコア溶接ステップのそれぞれは、独自の目的を果たすことに留意されたい。プロセス面上で生じる耐力溶接が最初に施され、積層全体に、他の2つの溶接ステップ及び全ての後続の製造ステップの間コアが容易に操作され得る(隆起、回転、又は別様に配向され得る)十分な機械的強度を与える。2つの冷却剤面に生じるシール溶接は、反応器内の内部クロスリーク(プロセスから冷却剤又はその逆)を防ぐ主要な溶接である。末端プレートシール溶接は、最も外側の冷却剤サブアセンブリを頂部及び底部末端プレートにシールするために使用される。これらは、クロスリークを回避するために冷却剤面上にシールされるが、これらの部品間を移動し、したがって触媒床を迂回するプロセスガス流を回避するためにプロセス面上にもシールされなければならない。触媒は、最終アセンブリ後に反応器内及びプロセスフィン間に投入されることが留意される。
【0170】
コアがアセンブリ内に溶接される前に、反応器は、実質的にリークを有さないべきである。溶接された反応器は、まだいかなる大きな内部圧力にも耐えるように準備されていないため、支持を提供するためにボルト締めクランプ機構を使用することができる。反応器コアが認定されたら、冷却剤ヘッダの適所への溶接に進む。このステップが行われたら、反応器を、所望又は保証される場合、冷却剤側流動試験に供することができる。次いで、対応する冷却剤フッタが適所に溶接される。両方の冷却剤多岐管が動作に好適であり、反応器の外部支持システムの基礎の一部を提供する。
【0171】
冷却剤サブアセンブリを除いて、全ての溶接がコアの周縁部に対して行われたため、反応器は、圧力により誘引される負荷によって頂部及び底部末端プレートを屈折させることなしに大きな内部プロセス圧力に耐えることができず、したがって反応器は、その現在の状態において動作条件を達成することができない。反応器の機械的完全性を提供するために、外部支持のシステム(外骨格)が反応器コアの周囲に溶接される。これらの支持体は、内部プロセス圧力に拮抗し、したがって、いかなる圧力により誘引される頂部及び底部プレートの屈折も許容されるレベルまで制御するように設計される。外部支持体は、反応器の頂部及び底部末端プレートの両方にわたり溶接された補強剤として機能し、次いでこれらは、頂部から底部に結合される。それらは、内部加圧により形成されるいかなる負荷にも拮抗し、したがって、さもなければ生じ得るいかなる変形も防止する。それらは、反応器に沿って広がる複数の組により、高さよりも薄い(
図15を参照されたい)。好ましくは、それぞれの補強要素は、厚さよりも少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも5倍高い(高いとは、積層方向における高さを指す)。いくつかの実施形態において、支持体の組の間の間隔、並びにそれらの厚さ及び高さは、拮抗するプロセス負荷に基づいて決定される。1つの例において、支持体は、間に約3”の間隔を備える頂部及び底部末端プレートにわたり高さ約8”で延在する0.75インチ厚のステンレススチールプレートから形成される。最終認定ステップとして、コアは、プロセス面上に溶接された一時的多岐管を有してもよく、反応器が設計基準を満たすことを確認するために高圧試験に供されてもよい。このステップの後、プロセス多岐管が取り外され、コアは触媒投入の準備が整うことができ、その後、最終的プロセス多岐管が適所に溶接される。
【0172】
図16は、4つの6”×24”(15cm×60cm)サブアセンブリが並んで配置され、いくつかの場所で溶接されて24”×24”(60×60cm)アセンブリに結合される例を示す。連続的溶接は、より多くの変形をもたらすことが判明したため、この様式でサブアセンブリを結合するためにはスポット溶接が好ましい。
【0173】
実施例8.
実施例8のデバイスは、2つの流体ストリーム間の交差流熱伝達を提供する溶接された反応器又はデバイスである。交互流構成を使用することができるが、具体的に説明される例は交差流である。外部支持体は、アレイとして(
図17を参照されたい)デバイスコアの外側に溶接され、デバイスの完全性に影響を与えることなく、又は閉じ込めを損なうことなく、低圧外部環境に対するデバイス内の内部通路の加圧を可能とした。「外骨格」又は外部支持体のアレイにより、デバイスは、外部環境に対する高い圧力差に耐えることができる。デバイスは、外部支持体を含めて、304Lステンレススチールで構築された。外骨格の使用により、外部圧力容器を使用することなく、フィッシャートロプシュ反応及び他の反応、又は熱交換用途若しくは高圧動作のための、溶接された反応器の動作が可能となる。デバイスは、本発明の反応器又はデバイスを高圧流体が包囲する外部圧力容器に関して存在するような圧力下ではなく、引張下にある。
【0174】
添付の出願書において記載されるように、周縁部で溶接された層で実施例8の61cm×61cm×6.5cmのデバイスコアを作製した。外部支持体は、厚さ1.9×長さ105cmであり、末端近くで約14cm、61cm×61cm面に隣接した領域で約17cmの幅であった。支持体は、10.2cm離間し(中心間)、厚さ1.9cmの交差部材がデバイスの各末端に沿って支持体間に設置されていた(交差部材の2つの列が約60cm離間するように)。外部支持体と交差部材との間の溶接は、完全溶け込み傾斜溶接であった。
【0175】
プロセスストリーム流回路に対して、まず静水圧試験を行った。使用した手順(
図18においてグラフで示されている)は、以下の通りであった。
1.窒素を用いた約690kPa(psig)での圧力試験中に、ベースラインリーク速度を決定する。
2.ポンプ(この実施例においてはLab Alliance HPLC「Prep Pump」を使用した)を使用して、デバイスに水を充填する。
3.ポンプを使用して、周囲圧力(すなわち、450kPa未満)から約3300kPa(464psig)に約300〜400kPa/分の速度で圧力を上昇させる。
4.約50〜100kPa/分の速度で、約3000kPa(420psig)未満まで圧力を降下させる。
5.ポンプを使用して、約3000kPa(420psig)から約3700kPa(522psig)に約50〜100kPa/分の速度で圧力を上昇させる。
6.ポンプを使用して、約3700kPaから6000kPa(855psig)超に約100〜150kPa/分の速度で圧力を上昇させる。
7.約250〜300kPa/分の速度で、5300kPa(754psig)未満まで圧力を降下させる。
8.周囲条件に達するまで圧力降下を継続し、デバイスから水を排出する。
9.ステップ1を反復する。
【0176】
次いで、冷却剤ストリーム流回路に対し、第2の静水圧試験を行った。使用した手順(
図19においてグラフで示されている)は、以下の通りであった。
10.ポンプ(この実施例においてはLab Alliance HPLC「Prep Pump」を使用した)を使用して、デバイスに水を充填する。
11.ポンプを使用して、周囲圧力(すなわち、250kPa未満)から約3500kPa(495psig)に約2000〜2500kPa/分の速度で圧力を上昇させる。
12.ポンプを使用して、約3500kPaから6000kPa(855psig)超に約800〜900kPa/分の速度で圧力を上昇させる。
13.約400kPa/分の速度で、5200kPa(740psig)未満まで圧力を降下させる。
14.周囲条件に達するまで圧力降下を継続し、デバイスから水を排出する。
15.約690kPa(100psig)でリーク速度を再チェックし、ベースライン圧力試験リーク速度と比較する。
【0177】
冷却剤及びプロセス回路の静水圧試験は、上記プロトコルを使用して行われた。デバイスは、静水圧試験中、機械的不具合の兆候を示さなかった。冷却剤回路における690kPa(100psig)の初期圧力での15分の期間にわたる圧力降下として測定される、この静水圧試験前後の冷却剤回路からプロセス回路へのリーク速度は、それぞれ、0.6kPa(0.09psi)及び21kPa(3.05psi)であった。次いで、デバイスを溶接により修復すると、冷却剤回路からプロセス回路へのリーク速度は、690kPa(100psig)の初期圧力で15分間にわたり2.2kPa(0.32psi)の圧力降下として測定された。修復溶接は、ファイバレーザを使用して行った。代替として、TIG、MIG、又は他の従来の溶接方法を使用してもよい。
【0178】
レーザ溶接された冷却剤サブアセンブリから、溶接された反応器コアを組み立て、最終反応器に溶接した。続いて、反応器を、高圧での使用を可能とする外骨格内に格納した。フィッシャートロプシュ反応器においては、静水圧試験は、855psig(5895kPa)である。代替として、最終的な所望の動作条件に依存して、より高い又はより低い静水圧試験をフィッシャートロプシュでの使用に使用することができる。この実施例における説明された静水圧試験は、250Cのピーク設計温度及び562psig(3875kPa)のピーク設計圧力での使用に対し反応器を認定するものである。動作温度及び圧力は、動作の安全性の余裕を可能とするために、ピーク設計圧力よりも低い。フィッシャートロプシュ反応器のための所望のより高い動作圧力に対しては、より高い動作圧力に対する反応器を認定するために、
図17に示される外部支持体の間隔が減少され、追加的な支持体が追加される。
【0179】
より高い温度又は圧力において動作した場合の他の反応は、本発明の外骨格により可能となるが、より高密度の間隔の追加的支持体を必要とし得る。代替として、必要とされるプロセス設計圧力又は温度がより低かい場合、よりまばらに配備された溶接された支持バーが使用される。本発明の溶接された反応器は、圧力格納容器内に配置されることなく、又はろう付け若しくは接合された反応器コアを有することなく、高温及び高圧で動作することができる。
【0180】
本発明の外骨格により、反応器又はデバイスは、静水圧試験に合格することができ、それにより、高い内部圧力及び低い外部圧力において、反応器は機械的完全性を維持し、使用に適合する。
【0181】
実施例9−リーク試験
全溶接デバイスリークチェック試験
概要
全溶接FTデバイスを、プロセス側及び冷却剤側の両方に対して、独立して最大100psig(690kPa)まで(これを含む)空気圧によりリークチェックした。いくつかの実施形態において、リークチェック圧力は、200psig(1380kPa)又は500psig(3450kPa)まで高くてもよく、一実施形態において、1000psig(6900kPa)まで高くてもよい。任意のリークの場所を特定するためにデバイスリーク及び界面がスヌープ(リーク試験)されているかを決定するために、経時的な圧力降下が記録される。いずれかの側の加圧を可能とするために、全ねじクランプ構成でガスケット付ヘッダ及びフッタがデバイスに固定される。デバイスは、10〜20psig(90〜180kPa)の増分で加圧し、各増分後に停止して圧力降下速度をチェックし、リークがないかガスケット及び全ての接続具をチェックし、デバイス内のいかなるリークも特定する。
【0182】
実施例10.フィッシャートロプシュ及びその他の化学に対する本発明の反応器により可能な超高層フィン
プロセス層(フィン構造を有する)が冷却剤サブアセンブリに隣接して配置されて最終デバイスアセンブリを形成する全溶接反応器は、超高層フィンを備えるものを含む、従来的でないプロセス層の使用を可能とする。超高層フィンは、任意の構造的支持が存在するとしても、接合又はろう付けプロセス中にほとんど利益をもたらさず、したがって弛む、変形する、又は別様に、使用が可能であるとしても使用前に修正若しくは矯正を必要とする構造をもたらすため、ろう付け又は接合中に問題を生じる。ろう付け又は接合後の超高層フィン(例えば約0.5in又は1.25cm以上)からの過度の変形は、デバイスを使用不可能とする。
ケースA:フィンの高さ0.225”(0.5625cm)
【0183】
マイクロチャネル反応器においてフィッシャートロプシュ反応を行う。マイクロチャネル反応器は、FT触媒で充填された複数の平行プロセスチャネルを含有する。反応熱は、水が冷却剤であるプロセスチャネル間の冷却剤チャネルにより除去される。触媒床内で生成された反応熱の除去は、埋め込み型フィン構造により促進される。プロセスチャネル内の連続フィンは、一連の平行流路を形成する。この例において、フィンは、銅110で作製される。プロセスチャネルの高さは、0.225”(0.5625cm)であり、長さは、23”(57.5cm)である。フィンは、同じ長さを有し、隣接するフィンのリブとの間の間隔は、0.04”(0.1cm)であり、フィンの厚さは、0.006”(0.015cm)である。フィンとプロセスチャネル壁との間には接触抵抗がないと仮定される。プロセスチャネル壁の厚さは、0.02”(0.05cm)であり、ステンレススチールで作製される。
【0184】
プロセスチャネルは、ある特定量のCo触媒を含有し、第1の実施例において説明されている。触媒床の空隙比は、約0.4であり、有効熱伝導率は、約0.3W/m−Kである。触媒投入は、1060kg/m3である。
【0185】
複雑なFT反応は、6つの容積反応(表5を参照されたい)による単純化された反応網としてモデル化される。速度表現におけるパラメータ(表6)は、実験室規模FT反応器における触媒試験データを使用して回帰される。
【0186】
【表5】
【0187】
【表6】
【0188】
FT反応器モデルにおいて使用した動作条件は以下の通りである。
・プロセスチャネル壁上の温度:230C
・触媒床の始まりにおける圧力:412psig(2840kPa)
・供給物中のH2/CO比:2.1。
・供給物中の窒素希釈:31.3%(体積)
・プロセス供給物は、チャネル壁上の温度と同じ温度に予熱される。
・0.04”(0.1cm)×0.225”(0.563cm)×23”(57.5cm)の1つの単位触媒充填にわたる供給物流速:1197SCCM。触媒体積に基づいて計算される接触時間は、0.17秒である。
【0189】
反応器長さの関数としての予測触媒床温度を、
図20に示す。温度は、曲線のピークが触媒床の最高温度を表すように、触媒床の中心に沿ってサンプリングする。この場合、最高温度は239Cであり、触媒床の始まりから短い距離に位置する。CO変換率は、76.0%と推定され、メタン選択性は15.3%である。
【0190】
ケースB:フィンの高さ0.5”(1.25cm)
マイクロチャネル反応器においてフィッシャー・トロプシュ反応を行う。反応器の構成は、ケースAにおける反応器と同様である。唯一の相違点は、プロセスチャネル及び銅製フィンの高さが0.5”(1.25cm)であることである。公称0.5”(1.25cm)のフィンの高さに対しては、始まりのフィンの高さは0.501”(1.253cm)から0.052”(0.13cm)の範囲であり、好ましい範囲は0.504”(1.26cm)から0.510”(1.275cm)であり、公称0.5”(1.25cm)の高さのサイドバー又は端部ストリップ又はp−ストリップの隣に設置されることが期待される。
【0191】
この例において、動作条件は同じであるが、ただし、供給物流速は、0.17秒での同じ反応接触時間を維持するために、全触媒投入体積に従いスケールアップされる。流速は、2661SCCMである。
【0192】
この例において、同じ触媒及び反応速度論が使用される。触媒床の特性もまた、ケースAの場合と同じである。
【0193】
反応器長さの関数としての予測触媒床温度を、
図21に示す。温度は、曲線のピークが触媒床の最高温度を表すように、触媒床の中心に沿ってサンプリングする。この場合、最高温度は246Cであり、触媒床の始まりから短い距離に位置する。CO変換率は、81.9%と推定され、メタン選択性は17.0%である。動作上、蒸気側圧力により決定される動作温度は、CO変換率が約76%未満となるように226Cから229Cに若干低下し得ることが予測され、またそれに対応する選択性測定は、予測される17%より若干低いと予測される。全体的に、反応器は、0.5”(1.25cm)のフィンの高さでも、まだ熱制御下にあることが予測される。本発明の全溶接反応器は、フィッシャートロプシュ反応器用の0.5”(1.25cm)の銅製フィンの高さに対応し得ることが見込まれる。この超高層フィン(0.25”(0.625cm)以上)への動きは、フィッシャートロプシュ又はろう付けされた反応器用のステンレススチール製フィンに対応することができない。ろう付けされた反応器からの超高層フィンは、高温及び高負荷ろう付けプロセス中に著しい圧縮を受け、崩壊する。全溶接反応器プラットフォームの使用は、より有利な高層フィン及び超高層フィンフィッシャートロプシュ反応器を可能とする。
【0194】
ケースC:フィンの高さ1”(2.5cm)
マイクロチャネル反応器においてフィッシャー・トロプシュ反応を行う。反応器の構成は、ケースAにおける反応器と同様である。唯一の相違点は、プロセスチャネル及び銅製フィンの高さが1.0”(2.5cm)であることである。
【0195】
この例において、動作条件は上記と同じであるが、ただし、供給物流速は、0.17秒での同じ反応接触時間を維持するために、全触媒投入体積に従いスケールアップされる。流速は、5321SCCMである。
【0196】
この例において、同じ触媒及び反応速度論が使用される。触媒床の特性もまた、ケースAの場合と同じである。
【0197】
反応器長さの関数としての予測触媒床温度を、
図22に示す。温度は、曲線のピークが触媒床の最高温度を表すように、触媒床の中心に沿ってサンプリングする。この場合、温度は600C超である。触媒量がケースAにおけるFT反応器における触媒量の約4倍であることから、各フィンのリブを通過する全反応熱は、同じ倍率で増加する。このレベルの反応熱においては、銅製リブ内の低い熱伝達抵抗であっても重大となる。これは、中心から端部への大きなフィン温度変動から分かる。触媒床の広い部分における高温に起因して、CO変換率は、90%超と推定され、メタン選択性もまた、より短いフィンの高さの場合より著しく高い。この種の発熱においては、FT触媒が急速に不活性化すること、またそれに対応して、火のついた煙草にはるかに類似して、発熱が下流の軸方向の場所に移動し続けることが予測される。FT触媒が燃え尽きた後、全体の変換率は低く(同様の流量、温度及び圧力条件に対して、通過当たり40%未満)、対応するメタンは高い(10%超)。
【0198】
上述の実施例は、壁に対するフィンの完全な熱接触、及び、ブロックされた、又は低流量の冷却剤チャネルのない、冷却剤側の完全な流量分布を仮定している。微粒子FT触媒を使用した実際に製造された大規模反応器において、堅牢なフィンの高さは、動作中の冷却剤側の潜在的な汚損による製造の不完全性又は動作の不完全性に対応するために、好ましくは1.3cm(0.5インチ)未満であることが期待される。