(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイル支持部は、両端面それぞれから前記所定範囲までの間が、傾斜がつけられた略円筒形状又は湾曲した略円筒形状で形成されることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記コイル支持部の両端からそれぞれ軸方向の中心方向に向かって所定距離以内の外周面は、静磁場磁石の内周面と平行であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。なお、以下では、磁気共鳴イメージング装置をMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と称する。
【0011】
図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御部106と、WB(Whole Body)コイル107と、送信部108と、受信コイル109と、受信部110と、シーケンス制御部120と、計算機130とを備える。なお、MRI装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、
図1に示す構成は一例に過ぎない。
【0012】
静磁場磁石101は、中空の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源102から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、MRI装置100は、静磁場電源102を備えなくてもよい。また、静磁場電源102は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。
【0013】
傾斜磁場コイル103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するx、y、及びzの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、x、y、及びzの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するx、y、及びzの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライスエンコード傾斜磁場G
SE(若しくはスライス選択傾斜磁場G
SS)、位相エンコード傾斜磁場G
PE、及び周波数エンコード傾斜磁場G
ROである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0014】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御部106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部106は、計算機130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0015】
WBコイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信部108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。また、WBコイル107は、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、適宜「MR(Magnetic Resonance)信号」)を受信し、受信したMR信号を受信部110に出力する。なお、WBコイル107は、静磁場磁石101の内側に配置されるRFコイルの一例である。
【0016】
送信部108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスをWBコイル107に供給する。
【0017】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられるMR信号を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部110へ出力する。
【0018】
なお、上述したWBコイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。例えば、WBコイル107及び受信コイル109は、送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、及び送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されれば良い。
【0019】
受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部110は、生成したMRデータをシーケンス制御部120へ送信する。なお、受信部110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられても良い。
【0020】
シーケンス制御部120は、計算機130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信部108がWBコイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御部120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0021】
また、シーケンス制御部120は、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を制御して被検体Pを撮像した結果、受信部110からMR信号データを受信すると、受信したMR信号データを計算機130へ転送する。
【0022】
計算機130は、MRI装置100の全体制御や、MR画像の生成等を行う。例えば、計算機130は、操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス制御部120に撮像シーケンスを実行させる。また、計算機130は、シーケンス制御装置120から送信されたMR信号データに基づいて画像を再構成する。計算機130は、再構成された画像を記憶部に格納したり、表示部に表示したりする。なお、計算機130は、例えば、コンピュータ等の情報処理装置である。
【0023】
ところで、WBコイル107は、中心軸から傾斜磁場コイル103までの間において、適切な位置に配置される。例えば、傾斜磁場コイル103の内周面には、通常、RFシールドが貼り付けられている。WBコイル107は、このRFシールドに近づけば近づくほど、RFパワーが低下してしまうため、傾斜磁場コイル103から離れた位置に配置されるのが好ましい。しかしながら、WBコイル107の位置が傾斜磁場コイル103から離れれば離れるほど、被検体が挿入される空間(ボア)が狭くなり、居住性が低下してしまう。このため、WBコイル107は、ボアの広さを確保しつつRFパワーを維持するという観点で、適切な位置に配置される。
【0024】
ここで、WBコイル107を適切な位置に配置するために、WBコイル107を支持するコイル支持部(ボビン)が用いられる。コイル支持部は、例えば、その外周面にWBコイル107が設置される。そして、コイル支持部は、WBコイル107が適切な位置に配置されるように、その内径(内周)の大きさが調節されて形成され、傾斜磁場コイル103の内側に配置される。
【0025】
図2及び
図3は、コイル支持部の一例を示す図である。
図2及び
図3には、静磁場磁石101の中心軸を通るyz平面における架台の断面図をそれぞれ例示する。
【0026】
図2に示す例では、コイル支持部20は、軸方向の長さが短くなるように形成される。具体的には、コイル支持部20の軸方向の長さは、WBコイル107を配置可能な範囲で最も短く形成される。そして、コイル支持部20は、静磁場磁石101と同程度の長さの円筒部材21によって支持される。また、円筒部材21は、例えば、複数の支持部材22a,22b,22c,22dによって支持される。これにより、WBコイル107は、適切な位置に配置される。なお、円筒部材21の内側には、例えば、支持部材10a,10bによって寝台レール11が設置される。また、架台は、寝台レール11で覆われる面を除いて、架台カバー12で覆われる。また、架台カバー12と円筒部材21との間の空間23a,23bには、遮音材や吸音材が配置される。
【0027】
図3に示す例では、コイル支持部30は、静磁場磁石101と同程度の長さで、中心軸に平行に形成される。そして、コイル支持部30は、例えば、複数の支持部材31a,31b,31c,31dによって支持される。これにより、WBコイル107は、適切な位置に配置される。なお、コイル支持部30の内側には、例えば、支持部材10a,10bによって寝台レール11が設置される。また、架台は、寝台レール11で覆われる面を除いて、架台カバー12で覆われる。
【0028】
ここで、コイル支持部20を用いる場合には(
図2)、WBコイル107を必要最小限の大きさのコイル支持部20で支持するので、被検体の居住性を高めることができる。しかしながら、この場合、コイル支持部30を用いる場合(
図3)と比較して部品点数が多くなり、製造コストが増加してしまう。
【0029】
これに対して、コイル支持部30を用いる場合(
図3)には、他の支持部材を用いずに、コイル支持部30を静磁場磁石101から支持するので、簡易な構成で実現できる。しかしながら、この場合、コイル支持部30の軸方向の全長にわたって、WBコイル107が配置される部分と同じ内径になってしまうため、被検体の居住性が低下してしまう。
【0030】
そこで、第1の実施形態に係るMRI装置100は、簡易な構成で被検体の居住性を高めるために、略円筒形状に形成され、WBコイル107を支持するコイル支持部40を備える。なお、ここで言う略円筒形状は、円筒形状のみならず、MRI装置100の機能を大きく損なわない範囲で歪んだ円筒形状も含まれる。すなわち、略円筒形状は、例えば、xy平面の断面が真円である場合や楕円である場合を含む。
【0031】
(コイル支持部40の外観的な特徴)
図4〜
図6を用いて、コイル支持部40の外観的な特徴について説明する。
図4〜
図6は、第1の実施形態に係るコイル支持部40の一例を示す図である。
図4には、コイル支持部40の断面図(中心軸を通るyz平面における断面)を例示する。
図5には、架台の断面図(中心軸を通るyz平面における断面)を例示する。
図6には、コイル支持部40及びWBコイル107の位置関係を示す斜視図を例示する。なお、ここでは、各図について簡潔に説明した後に、コイル支持部40の外観的な特徴について詳細に説明する。
【0032】
図4に示すように、コイル支持部40は、主に3つの範囲40a,40b,40cを有する。範囲40aは、磁場中心を含む所定範囲が軸方向に対して平行な略円筒形状に形成される。また、範囲40b,40cそれぞれは、コイル支持部40の両端それぞれから範囲40aまでの間において、軸方向に対して平行でない略円筒形状に形成される。具体的には、範囲40b,40cそれぞれは、磁場中心側から両端に向かって広がるように、傾斜がつけられた略円筒形状に形成される。また、範囲40d,40eそれぞれは、コイル支持部40の両端からそれぞれ軸方向の中心方向に向かって所定距離の範囲である。
【0033】
なお、第1の実施形態では、説明の都合上、コイル支持部40をそれぞれの範囲40a,40b,40c,40d,40eに分けて説明するが、コイル支持部40の外観的な特徴を説明するための一手段に過ぎない。したがって、例えば、コイル支持部40が、各範囲40a,40b,40c,40d,40eで個別に成形されることを意味するものではない。なお、コイル支持部40の成形方法については後述する。
【0034】
図5に示すように、コイル支持部40は、範囲40aにWBコイル107が設置される。そして、コイル支持部40は、例えば、複数の支持部材41a,41b,41c,41dによって支持される。支持部材41a,41b,41c,41dは、例えば、コイル支持部40の外周面の所定範囲を支持する土台である。これにより、WBコイル107は、適切な位置に配置される。なお、コイル支持部40の内側には、例えば、支持部材10a,10bによって寝台レール11が設置される。また、架台は、寝台レール11で覆われる面を除いて、架台カバー12で覆われる。また、傾斜磁場コイル103は、図示しない支持部材によって静磁場磁石から支持される。
【0035】
なお、
図5はあくまでも一例に過ぎない。例えば、支持部材41a,41b,41c,41dは、必ずしも4つでなくても良い。例えば、MRI装置100は、支持部材41c,41dを有していなくても良い。
【0036】
図6に示すように、コイル支持部40は、xy平面の断面における形状が真円の円筒形状である。具体的には、端面の形状、及び、範囲40aにおけるxy平面の断面の形状は、真円である。また、コイル支持部40は、範囲40aの外周面にWBコイル107が配置される。具体的には、コイル支持部40は、範囲40aの外周面にWBコイル107のコイルパターンが形成され、コンデンサやキャパシタが配置される。一例としては、コイル支持部40の範囲40aは、WBコイル107のコイルパターンを形成しうる最小範囲である。
【0037】
なお、
図6はあくまでも一例に過ぎない。例えば、上述したように、コイル支持部40は、xy平面の断面における形状が楕円の円筒形状であっても良い。この場合、端面の形状、及び、範囲40aにおけるxy平面の断面の形状のうち、いずれか一方のみが楕円であっても良いし、両方が楕円であっても良い。すなわち、端面の形状、及び、範囲40aにおけるxy平面の断面の形状は、異なる形状であっても良い。
【0038】
以下、コイル支持部40の外観的な特徴について詳細に説明する。コイル支持部40は、WBコイル107が設置される設置面を含む範囲40aが軸方向に対して平行に形成される。ここで、範囲40aの内径は、WBコイル107が適切な位置に配置されるように、その大きさが決定される。また、範囲40aの軸方向の長さは、WBコイル107の軸方向の長さより長く、傾斜磁場コイル103の軸方向の長さより短い。また、範囲40b,40cそれぞれは、軸方向の中心から両端に向かって広がるように(
図6の矢印)、傾斜を有する。言い換えると、コイル支持部40は、コイル支持部40の両端それぞれの内径(内周)が範囲40aの内径(内周)より大きい。これにより、コイル支持部40は、被検体の居住性を高めることができる。
【0039】
なお、コイル支持部40のxy平面の断面における形状が楕円の円筒形状である場合には、その内径は一意ではないが、少なくとも、コイル支持部40の両端それぞれの内周が範囲40aの内周より大きい。
【0040】
また、コイル支持部40の軸方向の長さは、傾斜磁場コイル103の軸方向の長さより長い。また、コイル支持部40の範囲40d,40eの外周面は、静磁場磁石101の内周面と平行に形成される。このため、コイル支持部40は、簡易な構成の支持部材41a,41b,41c,41dによって支持可能となる。これにより、コイル支持部40は、部品点数を増やすことなく、簡易な構成でWBコイル107を支持することができる。なお、範囲40d,40eそれぞれの軸方向の長さは、傾斜磁場コイル103の両端面より静磁場磁石101が長い部分の長さより短い。
【0041】
また、コイル支持部40の範囲40d,40eそれぞれの厚みは、範囲40aの厚みより厚い。ここで、範囲40aの厚みは、被検体の居住性を高めるために、コイル支持部40がWBコイル107を支持可能な範囲内で薄く作成することが好ましい。これに対して、コイル支持部40の範囲40d,40eそれぞれの厚みは、その位置にかかる荷重によってコイル支持部40が変形しないように、厚く作成することが好ましい。具体的に、範囲40d,40eには、寝台レール11、天板105a、及び被検体による荷重がかかる。また、コイル支持部40を支持する支持部材41a,41b,41c,41dと、コイル支持部40から寝台レール11を支持する支持部材10a,10bとの位置がずれている場合には、コイル支持部40にモーメントによる力もかかるので、より厚く作成することが好ましい。
【0042】
また、コイル支持部40を用いることで、空間42a、42bが生まれる。この空間42aは、例えば、範囲40bの外周面から傾斜磁場コイル103の内周面までの間の空間である。また、この空間42bは、例えば、範囲40cの外周面から傾斜磁場コイル103の内周面までの間の空間である。ここで、コイル支持部40は部品点数が1点しかないので、コイル支持部40を用いる場合には、空間42a、42bは、例えば、部品点数の多いコイル支持部20を用いる場合の空間23a,23bよりも広くなる。これにより、コイル支持部40は、遮音材や吸音材を配置可能な空間を広く確保することができる。
【0043】
なお、上記の例はあくまでも一例に過ぎない。例えば、
図5の例では、ボア内部の架台カバー12とコイル支持部40との間には隙間があるものとして説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、この隙間が空かないように、架台カバー12とコイル支持部40の内周面とを密着させても良い。また、架台カバーとコイル支持部40とが平行に並んでいても良いし,平行に並んでいなくても良い。ただし、被検体の居住性を高めるためには、架台カバー12とコイル支持部40との間の隙間は小さい方が好ましく、また、架台カバー12はコイル支持部40の内周面に沿って形成されることが好ましい。
【0044】
(コイル支持部40の製造方法による特徴)
図7及び
図8を用いて、コイル支持部40の製造方法の一例について説明する。
図7及び
図8は、第1の実施形態に係るコイル支持部40の製造方法の一例を示す図である。
【0045】
図7及び
図8に示すように、第1の実施形態に係るコイル支持部40は、例えば、フィラメントワインディング(FW)法により成形(成型)される。具体的には、FW法では、繊維束(ロービング)50に接着剤となる樹脂(熱硬化性樹脂)を含浸させて一定の張力を与えながら、回転しているマンドレル(型)51に糸口をトラバースさせて規則正しく巻き付け、所定の厚さまで巻回した後に加熱硬化させる。そして、旋盤によって外形を成形した後に、マンドレル51を抜くことにより、コイル支持部40が得られる。
【0046】
ここで、繊維束50は、複数の繊維が所定の方向に並んだ束である。つまり、複数の繊維が所定の方向に並んだ束が巻き付けられるので、コイル支持部40は、複数の繊維が所定の方向に並んだ構造を有する。また、巻き付けられる繊維は、少なくとも範囲40aの内周1周分の長さを有する。なお、この繊維は、例えば、ガラス繊維である。また、樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂である。
【0047】
また、FWパターンとしては、フープ巻き(
図7)と、ヘリカル巻き(
図8)とが採用される。フープ巻きは、マンドレル51に繊維束50を軸心方向に対しておよそ90度の方向に巻き付ける方法である。これにより、繊維束50は、大きな隙間を空けることなくマンドレル51に対して巻き付けられる。フープ巻きによって巻き付けられた繊維束50の層をフープ巻き層と称する。また、ヘリカル巻きは、マンドレル51に繊維束50を軸心方向と所定の斜交角度で巻き付ける方法である。これにより、繊維束50が交差する箇所が増え、成形体(コイル支持部40)の強度を高めることができる。ヘリカル巻きによって巻き付けられた繊維束50の層をヘリカル巻き層と称する。
【0048】
例えば、コイル支持部40は、フープ巻きと、ヘリカル巻きとが適宜組み合わせて採用される。すなわち、コイル支持部40は、フープ巻き層及びヘリカル巻き層を有する。これにより、コイル支持部40は、適切な強度に調整される。
【0049】
また、例えば、コイル支持部40は、内周面から1層目にフープ巻き層を有する。具体的には、FW法において、最初に、フープ巻きによってマンドレル51に繊維束50を巻き付ける。これにより、コイル支持部40は、被検体のボアを均一な層で構成することができる。
【0050】
なお、
図7及び
図8の例はあくまでも一例である。例えば、コイル支持部40は、必ずしも内周面から1層目にフープ巻き層を有していなくても良い。また、例えば、コイル支持部40は、フープ巻き及びヘリカル巻きのうち、いずれか一方のFWパターンのみで作成されても良い。
【0051】
上述してきたように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、略円筒形状に形成され、WBコイル107を支持するコイル支持部40を備える。このコイル支持部40は、WBコイル107が設置される設置面を含む範囲40aが軸方向に対して平行に形成され、かつ、コイル支持部40の両端それぞれの内周が範囲40の内周より大きい。このため、MRI装置100は、簡易な構成で被検体の居住性を高めることができる。例えば、MRI装置100は、部品点数を増やさないので、製造コストの抑制に寄与する。
【0052】
(第1の実施形態の変形例)
なお、コイル支持部40の形状は、
図4〜
図6において説明した形状に限定されるものではない。例えば、コイル支持部40は、範囲40b,40cの厚みを更に厚く形成しても良い。
【0053】
図9は、第1の実施形態に係るコイル支持部40の変形例を示す図である。
図9には、架台の断面図(中心軸を通るyz平面における断面)を例示する。
図9に示すように、コイル支持部40は、範囲40b,40cの厚みを、
図4〜
図6において説明した厚みよりも厚く形成可能である。具体的には、コイル支持部40は、
図5の空間42a,42bに対応する位置を満たすように成形される。これにより、コイル支持部40の厚みが増すので、コイル支持部40の遮音性能が向上する。なお、この場合、コイル支持部40の内周面は、
図4〜
図6のコイル支持部40の内周面と同一であるので、被検体の居住性を低下させることはない。
【0054】
なお、上述した実施形態においては、例えば、範囲40bと範囲40cとが対象に形成される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100の機能を大きく損なわない範囲で、範囲40b及び範囲40cをそれぞれ異なる形状にしても良い。範囲40b及び範囲40cの形状は、例えば、被検体が挿入される側が大きい形状を有していても良い。
【0055】
また、上述した実施形態においては、範囲40b,40cそれぞれは、傾斜がつけられた略円筒形状に形成される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、範囲40b,40cそれぞれは、磁場中心側から両端に向かって円弧を描いて広がるように、湾曲した略円筒形状に形成されても良い。また、範囲40b,40cそれぞれは、傾斜及び湾曲のみならず、例えば、凹凸が合っても良い。
【0056】
図4に示すように、コイル支持部40は、主に3つの範囲40a,40b,40cを有する。範囲40aは、WBコイル107が設置される設置面を含み、軸方向に対して平行な略円筒形状に形成される。また、範囲40b,40cそれぞれは、コイル支持部40の両端それぞれから範囲40aまでの間において、軸方向に対して平行でない略円筒形状に形成される。具体的には、範囲40b,40cそれぞれは、軸方向の中心から両端に向かって広がるように、傾斜がつけられた略円筒形状に形成される。また、範囲40d,40eそれぞれは、コイル支持部40の両端からそれぞれ軸方向の中心方向に向かって所定距離の範囲である。
【0057】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、簡易な構成で被検体の居住性を高めることができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。