特許第6366957号(P6366957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6366957-湿式塗装ブース循環水の処理方法 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366957
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】湿式塗装ブース循環水の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/01 20060101AFI20180723BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20180723BHJP
   C02F 1/56 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B01D21/01 101A
   B01D21/01 107A
   C02F1/52 G
   C02F1/56 G
   B01D21/01 105
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-35340(P2014-35340)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-33689(P2015-33689A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2017年1月6日
(31)【優先権主張番号】特願2013-146630(P2013-146630)
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504313228
【氏名又は名称】ダイヤアクアソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 隆之
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 篤志
(72)【発明者】
【氏名】梶原 庄一郎
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−267659(JP,A)
【文献】 特開2009−045568(JP,A)
【文献】 特許第4759769(JP,B2)
【文献】 特開2003−040707(JP,A)
【文献】 特開2002−079263(JP,A)
【文献】 特表平07−506763(JP,A)
【文献】 特許第3138605(JP,B2)
【文献】 特開2011−218257(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0043278(US,A1)
【文献】 特開平10−076277(JP,A)
【文献】 特開昭61−074607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/01
C02F 1/52
C02F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨潤力が20ml/2g以上のベントナイトを、水分散スラリーとして湿式塗装ブース循環水へ添加する湿式塗装ブース循環水の処理方法であって、
前記水分散スラリーが、下記式(1)の濃度を満たす、湿式塗装ブース循環水の処理方法。
y = 181 / x + a (1)
ただし、y = ベントナイト水溶液濃度(質量%)
x=ベントナイトの膨潤力(mL/2g)
−1.5 < a < 1.5
【請求項2】
膨潤力が20〜27ml/2gのベントナイトを使用することを特徴とする、請求項1に記載の湿式塗装ブース循環水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や電気製品等を塗装するために油性塗料及び水性塗料を使用する湿式塗装スプレーブースにおいて、被塗装体に塗着されなかったオーバースプレー塗料ミストを捕捉する循環水の不粘着化処理及び塗料滓の固液分離処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湿式塗装ブース内で自動車や電気製品等の噴霧塗装を行う際、オーバースプレー塗料は塗装ブース循環水中に捕捉される。捕捉される余剰塗料は粘着性が高いためスプレーブースの配管やノズルの目詰まりを起こし、水洗効率を著しく低下させる。また、余剰汚泥(塗料滓)の大部分はスプレーブースのブースピット底、循環ピット底に沈積して固塊化し、遠心分離機や掬い取りによる回収が困難となり、清掃除去に多大な手間と労力を要するようになる。
【0003】
従来、このような問題点を解消するために、洗浄水に添加する塗装ブース処理剤として、NaOH、KOH等のアルカリ剤や、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛等無機凝結剤として知られる両性金属塩、ベントナイト等の粘土鉱物、シリカ、アルミナや、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体等有機凝結剤として知られるカチオン性ポリマーなどが使用されている。これらの処理剤は不粘着効果が十分でない、多量の添加を必要とするなどの欠点があり、多量の添加は不経済であるばかりでなく、配管等金属材質の腐食性、循環水の発泡などの障害が起きる。
【0004】
粘土鉱物の中でベントナイトは、安価で腐食性等二次障害を引き起こす恐れがなく、いくつかの湿式塗装ブース循環水の処理方法が提案されているが、いずれもベントナイト単独では効果が不十分であり併用剤が必要とされている。たとえば、アルミナゾルに代表される塗料不粘着化剤とモンモリロナイト(ベントナイト)に代表される粘土鉱物の組み合わせ(特許文献1参照)、高分子逆相エマルションと不(難)水溶性多価アルコール及び/またはそのエーテルと粘土鉱物(ベントナイト)の組み合わせ(特許文献2参照)、メラミンホルムアルデヒド縮合物に代表される塗料不粘着化剤とべントナイト系鉱物に代表される分散処理剤との組み合わせ(特許文献3参照)などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−267659号公報
【特許文献2】特開2004−351362号公報
【特許文献3】特開2011−218257号公報
【特許文献4】特許第3138605号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術における上記したような課題を解決し、不粘着効果が高く、かつ良好な固液分離性を有する処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、塗料ミストの不粘着化処理剤として、ベントナイトについて鋭意研究を重ねた結果、ある特定の値以上の膨潤力を有するベントナイトを用いることにより、単独かつ少量の添加で塗料の不粘着効果が顕著となり、さらに固液分離性に富む良好な分散性、浮上性を発現することを見出した。
さらには、極めて少量のポリエチレンイミン、あるいはアルギン酸ナトリウム及び/またはカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を併用することで、ベントナイトの塗料不粘着化処理能力が著しく増大することも見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、
<1> 膨潤力が20ml/2g以上のベントナイトを使用することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法
【0009】
<2> 下記式(1)の濃度を満たすベントナイト水溶液。
【0010】
y = 181 / x + a (1)
ただし、y = ベントナイト水溶液濃度(質量%)
x=ベントナイトの膨潤力(mL/2g)
−1.5 < a < 1.5
【0011】
<3> 膨潤力が20ml/2g以上のベントナイトおよび分子量300〜700,000のポリエチレンイミンを併用することを特徴とする<1>記載の湿式塗装ブース循環水の処理方法
【0012】
<4> アルギン酸塩及び/またはカルボキシメチルセルロースの塩を併用する<1>記載の湿式塗装ブース循環水の処理方法。
【0013】
<5> アルギン酸ナトリウム及び/またはカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を併用する<1>記載の湿式塗装ブース循環水の処理方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、特定の膨潤力を有するベントナイト単独の少量添加で余剰塗料が不粘着化され、良好な分散性、浮上性により塗料滓の分離回収が容易となり、経済的にかつ安定して塗装ブースの運転を行うことができる。ポリエチレンイミンあるいはアルギン酸ナトリウム及び/またはカルボキメチルセルロースのナトリウム塩を併用添加することにより、さらに効果が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は簡易吹き付け試験装置の実施方法を示した説明図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に使用されるベントナイトは、日本ベントナイト工業会標準試験方法の膨潤力試験方法(JBAS−104−77)に準ずる20ml/2g以上の膨潤力を有することが必須である。膨潤力は20〜27ml/2gが好ましく、さらに高い膨潤力でも差支えないが、20〜27ml/2gが均一な水分散スラリーの調製が容易である。膨潤力が20ml/2g未満の場合、添加量を増しても余剰塗料に対する不粘着効果及び分散性、浮上性は殆ど発揮されない。一方、膨潤力が20ml/2g以上になると不粘着効果、および分散性、浮上性が顕著となり、少量の添加で効果が発揮されるようになる。
【0017】
ベントナイトは、主成分がモンモリロナイトであり、水に混合すると水分子を吸収して膨潤することはよく知られている。
【0018】
膨潤力と不粘着化作用効果のメカニズムについては定かではないが、膨潤力が高いことはコロイド化のし易さを表すので、コロイド化のし易さが関与している可能性がある。
【0019】
本発明のベントナイトの添加量は、処理対象とする塗料の種類等によっても異なるが
一般的には循環水中の濃度が、10mg/L以上、特に100〜1000mg /Lとなるように添加するのが好ましい。ベントナイトは、余剰塗料に付着して消耗されると共に、遠心分離機や手動による掬い取りなどによって回収される塗料滓に伴って排出されるので、循環水中に持ち込まれる余剰塗料の固形物重量に対して0.1重量%以上、特に0.5〜5重量%の割合で連続注入またはバッチ投入して補充するのが好ましい。
【0020】
本発明のベントナイトの循環水への添加方法は、ベントナイト紛体をそのまま添加しても良いし、水分散スラリーとして添加しても良い。水分散スラリーにしてから添加すると、循環水内でのベントナイトの分散が良い。水分散スラリーとする場合、ベントナイト含有割合が10重量%未満とすることが好ましい。10重量%未満で膨潤力20ml/2g以上のベントナイトスラリーは流動性に優れる。また、本発明のベントナイトを水分散スラリーとして長期間保存する場合は、水分散スラリー濃度が高過ぎても保存中に分離し、また水分散スラリー濃度が低過ぎても保存中に分離するので使用前に一旦混合して使用しなければならないとの問題点がある。そこで式(1)の濃度範囲に調整することにより長期間保存してもベントナイトが沈殿せず使用できる。
【0021】
上記式(1)濃度以上のベントナイト水溶液を製造し長期保存した場合、水分がベントナイト中に吸収されベントナイトスラリーが固化し、さらに水分が分離するとの問題が発生する。また、濃度が上記式(1)より低い場合は長期保存中にベントナイトと水が分離して徐々にベントナイトが沈殿してくるとの問題が生じる。一方、上記式(1)中のベントナイトスラリーは、水分子とベントナイト結晶間の力が均衡しており、長期保存中でも安定したスラリーを保つことができる。この水分子とベントナイト結晶間の力が均衡している範囲は上記式のように非常に狭い範囲である。
【0022】
本発明に使用されるポリエチレンイミンは、分子量が300〜100,000のポリマーが使用される。本発明のポリエチレンイミンの添加量は、処理対象とする塗料の種類等によっても異なるが、一般的には循環水中の濃度が、1mg/L以上、特に10〜100mg /Lとなるように添加するのが好ましい。1mg/L未満では、効果が不十分となり、100mg/Lを超えても効果は余り向上せず、腐敗による発泡などの二次障害を起こす恐れがある。ポリエチレンイミンも、余剰塗料に付着して消耗されると共に、遠心分離機や手動による掬い取りなどによって回収される塗料滓に伴って排出されるので、循環水中に持ち込まれる余剰塗料の固形物重量に対して0.001重量%以上、特に0.05〜0.5重量%の割合で連続注入またはバッチ投入して補充するのが好ましい。
【0023】
ベントナイトとポリエチレンイミンを併用する場合の添加方法は、それぞれを別個に添加することでも、予め混合することでも良い。混合する際の配合比は特に限定されないが、ベントナイトとポリエチレンイミンが1:1〜100:1が好ましく、より好ましくは10:1であり、混合品の好適なそれぞれの濃度としてベントナイト8重量%、ポリエチレンイミン0.8重量%が例示される。
ポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーは、有機凝結剤として知られている。他の有機凝結剤としてのカチオン性ポリマーを例示すれば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アルキルアミンとエピクロルヒドリンの縮合物、アルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミドとホルマリンの縮合物などが例示されるが、本発明のポリエチレンイミンは本発明のベントナイトとの相性が特に良い。
【0024】
本発明に使用されるアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩は、天然系高分子電解質として、古くは、上水道の急速濾過処理や工業用水、ボイラー用水の凝集処理に凝集補助剤として使用されていた。本発明のような塗装ブース循環水処理への適用例としては、アルミナゾルとカチオン性フロックを形成する水溶性高分子化合物を含む処理剤があげられ、水溶性高分子化合物としてアルギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロースが例示されているが、アルミナゾルを成分として含むことが必須である。(特許文献4参照)
【0025】
本発明に使用されるアルギン酸塩、カルボキシメチルセルロースの塩は工業的に市販される商品を使用すれば良く特に制限はない。好適にはアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、または、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩またはカリウム塩が使用される。本発明のアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩またはカリウム塩の添加量は、処理対象とする塗料の種類等によっても異なるが、一般的には循環水中の濃度が、1mg/L以上、特に5〜50mg /Lとなるように添加するのが好ましい。1mg/L未満では、効果が不十分となり、50mg/Lを超えても効果は余り向上せず、腐敗による発泡などの二次障害を起こす恐れがある。アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩も、余剰塗料に付着して消耗されると共に、遠心分離機や手動による掬い取りなどによって回収される塗料滓に伴って排出されるので、循環水中に持ち込まれる余剰塗料の固形物重量に対して0.0005重量%以上、特に0.025〜0.25重量%の割合で連続注入またはバッチ投入して補充するのが好ましい。
【0026】
ベントナイトとアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、または、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩またはカリウム塩を併用する場合の添加方法は、それぞれを別個に添加することでも、予め混合することでも良い。混合する際の配合比は特に限定されないが、ベントナイトとアルギン酸ナトリウムまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩が2:1〜200:1が好ましく、より好ましくは50:1であり、混合品の好適なそれぞれの配合量としてベントナイト100重量部、アルギン酸ナトリウム及び/またはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩2重量部が例示される。
【実施例】
【0027】
次に本発明の方法を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は要旨を超えない
限り以下の実施例によって限定されるものではない。
【0028】
試験には、簡易吹付け試験装置を用い、塗料ミスト不粘着効果、塗料滓の浮上性、分散性を評価した。本例で使用した簡易吹付け試験装置図を図1に示す。簡易吹付け試験装置は保有水量1L、循環水量5L/分であり、系内には受水槽、水膜形成板(塩ビ板)を設け、水膜部分にスプレーガンで塗料ミストを噴霧した水をマグネットポンプで循環することにより湿式塗装ブースを再現している。ベントナイトを受水槽に添加した後、自動車ボディ用塗料を吹付けて、吹付け前後の受水槽重量を測定することにより受水槽固着量を求め、これを全吹付け塗料量で除することにより塗料固着率を算出する。塗料固着率が小さいほど不粘着効果が良好なことを示す。
また、吹付け後の循環水を1L透明樹脂ボトルに移して静置後の塗料滓の浮上性を確認し、さらにボトル全体を振とうして再び静置した後の循環水の分散性を確認した。
浮上性の評価 ○:塗料滓の90%以上が浮上、△:塗料滓の50%以上が浮上、×:塗料滓の浮上は50%未満
分散性の評価 ○:塗料滓が全体に分散、△:塗料滓は分散するが一部塊状になって沈降、×:全体が塊状になって沈降
【0029】
<実施例1、2、3><比較例1、2>
膨潤力の異なるベントナイトを用いて試験した。
膨潤力は、日本ベントナイト工業会標準試験方法の膨潤力試験方法(JBAS−104−77)に準じて測定された値である。ベントナイトの添加量は0.1重量%である。
また、塗料は自動ボディ用油性溶剤系クリア塗料を20g吹付けて試験した。
試験結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1からわかるように、ベントナイトの膨潤力が20ml/2g以上になると顕著に不
粘着効果が向上し塗料固着率が小さくなり、塗料滓の分散性、浮上性が良好となる。
【0032】
<実施例4、5、6><比較例3、4>
塗料を自動ボディ用油性溶剤系クリア塗料に代えて自動車ボディ用水性上塗り塗料を使用した以外は実施例1同様に試験した。
試験結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2からわかるように、塗料が水性塗料であっても、ベントナイトの膨潤力が20ml/2g以上になると顕著に不粘着効果が向上し塗料固着率が小さくなり、塗料滓の分散性、浮上性が良好となる。
【0035】
<実施例7,8,9>
ベントナイトBの添加量を変えた以外は実施例1と同様に試験した。
試験結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
表3からわかるように、本発明のベントナイトの添加量は10mg/L以上、特に100ないし1000mg/Lで優れた効果が発揮される。
【0038】
<実施例10、11、12、13、14>
ベントナイトA、B、C、F、Gを用いてベントナイト水溶液を作成した。その水溶液の3ケ月後の水分散性を確認した。結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
表4の結果より、均一に分散されたベントナイト水溶液を製造する場合のベントナイトの膨潤力とベントナイト水溶液濃度の関係は下記式(2)が成り立つ。この範囲外では長期保存した場合ベントナイトが水と分離することが分かった。
【0041】
y = 181 / x + a (2)
ただし、y = ベントナイト水溶液濃度(質量%)
x=ベントナイトの膨潤力(mL/2g)
−1.5 < a < 1.5
【0042】
<実施例15、16、17、18、19、20、21、22><比較例5、6>
ベントナイトBを用いて、油性溶剤系クリア塗料の吹付け量を50gに増量して、実施例1と同様に試験した。ベントナイトとポリエチレンイミンを併用した場合も試験した。
試験結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】
表3、実施例9と表5、実施例16の比較からわかるように、塗料の吹付け量が増大するとベントナイト単独の効果は低下傾向となる。表5から微量のポリエチレンイミンの併用で効果が著しく改善される。また、ポリエチレンイミンは相対的に分子量の高いものほど有効であるが、ベントナイトの配合を省略し、単独で用いた場合は効果が得られないことが分かる(比較例5、6)。
【0045】
<実施例23,24,25>
ベントナイトBを500mg/L添加して、更に本発明のポリエチレンイミン以外の有機凝結剤(カチオン性ポリマー)を併用して、実施例19と同様にして試験した。
試験結果を表6に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
実施例19と表6を比較すると、有機凝結剤と本発明のベントナイトの相性についてはポチエチレンイミンが特に優れていることが分かる。
【0048】
<実施例26、27、28、29、30、31、32><比較例7、8>
実施例15と同様に、ベントナイトBを用いて、油性溶剤系クリア塗料の吹付け量を50gに増量して試験した。ベントナイトとアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(エーテル化度0.72品)を併用した場合を試験した。
試験結果を表7に示す。
【0049】
【表7】
【0050】
表7から微量のアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の併用で著しく効果が改善される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の処理方法により、従来は困難とされていたベントナイト単独の少量添加で、塗装ブース循環水の不粘着化処理と塗料滓の浮上、分散処理が可能となり、さらには微量のポリエチレンイミン、あるいはアルギン酸ナトリウム及び/またはカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の併用によって不粘着化能力と塗料滓の浮上、分散性能が向上し、経済的で安定した塗装ブースの運転が可能となり、産業上の利用価値は極めて高い。
【符号の説明】
【0052】
1 スプレーガン
2 塩ビ板
3 コンプレッサー
4 受水槽
5 ジョイント
6 マグネットポンプ
7 循環水配管
8 循環水
図1