(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、樹脂封止型半導体装置の技術の分野において、高い放熱性を有する樹脂封止型半導体装置が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、高い放熱性を有する樹脂封止型半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明の樹脂封止型半導体装置は、平面的に見て四角形形状のダイパッド部及び前記ダイパッド部から外側に向かって延在する第1リード部を有する第1電極部と、前記ダイパッド部と離間して配置された接続部材配置部及び前記接続部材配置部から外側に向かって延在する第2リード部を有する第2電極部と、上面側電極及び下面側電極を有し、前記下面側電極が前記ダイパッド部のチップ配置面と対向するように前記ダイパッド部に配置されたチップと、一方の端部が前記上面側電極に電気的に接続されているとともに、他方の端部が前記接続部材配置部に電気的に接続されている接続部材とを備え、前記ダイパッド部、前記接続部材配置部、前記チップ及び前記接続部材が樹脂で封止された樹脂封止型半導体装置であって、前記ダイパッド部には、前記ダイパッド部の外周を構成する辺のうちの少なくとも1つの辺において、前記チップ配置面側とは反対側に向かって折り返された折り返し部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
なお、本明細書において「四角形形状」とは、正方形、長方形などの一般的な四角形形状のみならず、全体として四角形の形状をしたもののことをいい、例えば、角が丸みを帯びた形状や角が切り落とされた形状も含まれる。
【0013】
[2]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記折り返し部は、前記ダイパッド部の外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺において、それぞれ折り返されたものであることが好ましい。
【0014】
[3]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記ダイパッド部の断面形状が、ヘミング形状であることが好ましい。
【0015】
[4]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記折り返し部の端部の形状が、鋸刃形状であることが好ましい。
【0016】
[5]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記折り返し部の端部においては、前記折り返し部を折り返したときに内側となる角が斜めに切り落とされた切り欠きが形成されていることが好ましい。
【0017】
[6]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記接続部材配置部は、平面的に見て四角形形状であり、前記接続部材の他方の端部が、前記接続部材配置部の接続部材配置面と対向するように配置され、前記接続部材配置部には、前記接続部材配置部の外周を構成する辺のうちの少なくとも1つの辺において、前記接続部材配置面側とは反対側に向かって折り返された第2折り返し部が設けられていることが好ましい。
【0018】
[7]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記第2折り返し部は、前記接続部材配置部の外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺において、それぞれ折り返されたものであることが好ましい。
【0019】
[8]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記接続部材配置部の断面形状が、ヘミング形状であることが好ましい。
【0020】
[9]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記第2折り返し部の端部の形状が、鋸刃形状であることが好ましい。
【0021】
[10]本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、前記第2折り返し部の端部においては、前記第2折り返し部を折り返したときに内側となる角が斜めに切り落とされた切り欠きが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、ダイパッド部には、折り返し部が設けられているため、従来の樹脂封止型半導体装置よりも、ダイパッド部の断面積が大きくなる。その結果、従来の樹脂封止型半導体装置よりも高い放熱性を有する樹脂封止型半導体装置となる。
【0023】
本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、ダイパッド部には、折り返し部が設けられ、上記したように従来の樹脂封止型半導体装置よりも高い放熱性を有するため、従来の樹脂封止型半導体装置よりも大きな電流を流した場合であっても、当該電流によって発生した熱を効率よく外部へ放出することが可能となる。このため、従来の樹脂封止型半導体装置よりも大きな電流を流すことが可能となる。
【0024】
また、本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、ダイパッド部には、折り返し部が設けられているため、従来の樹脂封止型半導体装置よりも、ダイパッド部と樹脂との接触面積が大きくなる。その結果、アンカー効果により、ダイパッド部と樹脂との密着性が高い樹脂封止型半導体装置となる。
【0025】
また、本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、折り返し部がチップ配置面側とは反対側に向かって折り返されているため、折り返し部がチップ配置面側に向かって折り返されている場合と比較して、チップの端部と折り返し部の先端との間の空間距離が長くなる。その結果、チップの上面側電極と折り返し部とが放電によって短絡することを防ぐことが可能となる。
【0026】
また、本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、折り返し部がチップ配置面側とは反対側に向かって折り返されているため、樹脂封止型半導体装置を製造する過程において、チップをダイパッド部に配置する際や接続部材を接続部材配置部及びチップに配置する際に折り返し部が邪魔になることがない。従って、折り返し部がチップ配置面側に向かって折り返されている場合と比較して、生産性が低下することを防ぐことが可能となる。
【0027】
さらにまた、本発明の樹脂封止型半導体装置によれば、従来の樹脂封止型半導体装置を製造する過程において第1電極部を形成する際に切り落としていた部分(後述する
図2における符号15L’、15R’参照。)を、折り返し部として有効利用することが可能となる。このため、放熱性を高くするための新たな部材を別途設ける必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の樹脂封止型半導体装置について、図に示す実施形態に基づいて説明する。
【0030】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の構成
図1は、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1を示す図である。
図1(a)は実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の平面図であり、
図1(b)は実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の側面図であり、
図1(c)は
図1(a)のA−A断面図であり、
図1(d)は
図1(a)におけるダイパッド部11のA−A断面図である。
図2は、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1を製造する過程におけるリードフレーム100を示す図である。
【0031】
実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1は、
図1に示すように、第1電極部10と、第2電極部20と、チップ30と、接続部材40とを備える。実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1においては、後述するダイパッド部11、後述する第1リード部12の一部、後述する接続部材配置部21、後述する第2リード部22の一部、チップ30及び接続部材40が樹脂50で封止されている。
【0032】
第1電極部10は、ダイパッド部11及び第1リード部12を有する。
【0033】
ダイパッド部11は、平面的に見て四角形形状をなし、中心付近にチップ配置面13が設けられている(
図1参照。)。ダイパッド部11には、ダイパッド部11の外周を構成する辺のうちの2つの辺14L,14Rにおいて、チップ配置面13側とは反対側に向かって折り返された折り返し部15L,15R(以下、単に、折り返し部15ということもある。)が設けられている。ダイパッド部11の断面形状は、ヘミング形状である。
【0034】
なお、本明細書において、「ヘミング形状」とは、平板にヘミング加工を施すことによって形成された形状のことをいう。
【0035】
ダイパッド部11は、リードフレーム100に設けられた平板11’から形成されている(
図2参照。)。平板11’には、2つの直線14L’,14R’が設定され、平板11’は、2つの直線14L’,14R’によって、直線14L’よりも外側の第1平板部15L’,直線14R’よりも外側の第2平板部15R’及び、第1平板部15L’及び第2平板部15R’に挟まれ、チップ配置面13を有する第3平板部16の3つの平板部に分けられている(
図2における「折り返し前」の図参照。)。
【0036】
2つの直線14L’,14R’はそれぞれ、平板11’の外周を構成する辺のうち向かい合う2つの辺s1、s2に平行になるように設定されている。2つの直線14L’,14R’においては、平板11’の外周を構成する辺s1と直線14L’との間隔をa、平板11’の外周を構成する辺s2と直線14R’との間隔をb、直線14L’と直線14R’との間隔をcとしたときに、c>a+b、かつ、a=b、が成り立つように設定されている。
【0037】
ダイパッド部11は、第1平板部15L’及び第2平板部15R’を直線14L’、14R’を折り目としてチップ配置面13側とは反対側に向かって折り返すことによって形成されている(
図2における「折り返し後」の図参照。)。折り返された第1平板部15L’及び第2平板部15R’は、折り返し部15L,15Rとなる。また、直線14L’,14R’は、ダイパッド部11の外周を構成する辺のうちの2つの辺14L,14Rとなる。
【0038】
ダイパッド部11においては、平板11’において、2つの直線14L’,14R’が、上記したようにc>a+bが成り立つように設定されているため、折り返し部15Lの端部と折り返し部15Rの端部とは、所定の間隔で離間した状態となる。このような構成とすることにより、樹脂封止の際に、折り返し部15Lの先端部と折り返し部15Rの先端部との間にも樹脂50が入り込み、ダイパッド部11と樹脂50との密着性が高くなる。
【0039】
また、ダイパッド部11においては、平板部16(折り返し前の第3平板部16)と折り返し部15L,15Rとの間にはわずかに隙間(図示せず。)がある。このような構成とすることにより、樹脂封止の際に、当該隙間に樹脂50が入り込むため、ダイパッド部11と樹脂50との密着性がより一層高くなる。
【0040】
第1リード部12は、
図1に示すように、ダイパッド部11から樹脂封止型半導体装置の本体部の外側(第2電極部20が配設されている側とは反対側)に向かって延在している。
【0041】
第2電極部20は、接続部材配置部21及び第2リード部22を有する。接続部材配置部21は、平面的に見て四角形形状の平板であり、中心付近に接続部材配置面23が設けられている。接続部材配置部21は、ダイパッド部11と離間して配置されている。第2リード部22は、接続部材配置部21から樹脂封止型半導体装置の本体部の外側(第1電極部10が配設されている側とは反対側)に向かって延在する。
【0042】
チップ30は、上面側電極及び下面側電極を有する2端子の半導体素子(例えば、パワーダイオード)である。チップ30は、下面側電極がダイパッド部11のチップ配置面13と対向するようにダイパッド部11に配置されている。チップ30とダイパッド部11とははんだを介して電気的に接続されている。
【0043】
接続部材40は、一方の端部42と他方の端部44との間で屈曲した金属板からなる。接続部材40においては、一方の端部42がチップ30の上面側電極とはんだを介して電気的に接続されているとともに、他方の端部44が接続部材配置部21とはんだを介して電気的に接続されている。他方の端部44は、接続部材配置部21の接続部材配置面23と対向するように配置されている。
【0044】
樹脂50は、適宜の樹脂を用いることができる。
【0045】
2.実施形態1における樹脂封止型半導体装置の製造方法
実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置は、以下に示す製造方法(実施形態1における樹脂封止型半導体装置の製造方法)により製造することができる。
【0046】
実施形態1における樹脂封止型半導体装置の製造方法は、折り曲げ部形成工程S10と、チップ配置工程S20と、接続部材配置工程S30と、樹脂封止工程S40とを含む。以下、工程に沿って実施形態1における樹脂封止型半導体装置の製造方法を説明する。
【0047】
(1)折り曲げ部形成工程S10
まず、リードフレーム100(
図2参照。)を準備する。リードフレーム100は、金属板を打ち抜き加工によって打ち抜くことによって作製されている。リードフレーム100には、外枠を構成する補助フレーム110と、折り曲げることでダイパッド部11となる平板11’と、平板形状の接続部材配置部21とを有し、平板11’は、第1リード部12を介して補助フレーム110と連結され、接続部材配置部21は、第2リード部22を介して補助フレーム110と連結されている。リードフレーム100においては、平板11’と接続部材配置部21とが複数個並列されている。
【0048】
平板11’には、平板11’の外周を構成する辺のうち向かい合う2つの辺s1,s2に平行な2つの直線14L’,14R’が設定されている(
図2における「折り返し前」の図及び
図3(a)参照。)。平板11’は、直線14L’,14R’によって、直線14L’よりも外側の第1平板部15L’、直線14R’よりも外側の第2平板部15R’及び、第1平板部15L’及び第2平板部15R’に挟まれ、チップ配置面13を有する第3平板部16の3つの平板部に分けられている。
【0049】
なお、直線14L’,14R’には、あらかじめ折り返しをしやすくするための加工(例えば、直線14L’,14R’にくさび(Vノッチ)を入れる加工)が施されていることが好ましい。
【0050】
次に、第1平板部15L’及び第2平板部15R’を直線14L’,14R’を折り目としてチップ配置面13側とは反対側に向かって折り返す。
【0051】
具体的には、
図3(b)に示すように、まず、第1平板部15L’及び第2平板部15R’を、直線14L’,14R’を折り目として第3平板部16とのなす角がそれぞれ鈍角(例えば135°)となるまで折り曲げる。次に、第1平板部15L’及び第2平板部15R’を第3平板部16とのなす角がそれぞれ直角となるまで折り曲げる。次に、第1平板部15L’及び第2平板部15R’を第3平板部16とのなす角がそれぞれ鋭角(例えば45°)となるまで折り曲げる。
【0052】
次に、チップ配置面13側とは反対側から、第1平板部15L’及び第2平板部15R’を押しつぶして、ヘミング形状となるように折り返す(
図2における「折り返し後」の図及び
図3(c)参照。)。
【0053】
このようにして、ダイパッド部11が形成される。なお、このとき、折り返された第1平板部15L’及び第2平板部15R’は、折り返し部15L,15Rとなる。また、直線14L’,14R’は、ダイパッド部11の外周を構成する辺のうちの2つの辺14L,14Rとなる。
【0054】
(2)チップ配置工程S20
次に、ダイパッド部11のチップ配置面13にはんだ(図示せず。)を載せ、当該はんだを介してチップ30をチップ配置面13に配置する。このとき、チップ30の下面側電極がダイパッド部11のチップ配置面13と対向するようにチップ30を配置する(
図3(d)参照。)。
【0055】
(3)接続部材配置工程S30
次に、チップ30の上面側電極及び接続部材配置部21の接続部材配置面23にはんだ(図示せず。)を載せ、当該はんだを介して接続部材40を上面側電極及び接続部材配置部21に配置する(
図3(e)参照。)。このとき、接続部材40の一方の端部42が上面側電極と対向するとともに、他方の端部44が接続部材配置部21と対向するように接続部材40を配置する。
【0056】
接続部材配置工程S30を実施した後、第1電極部10、第2電極部20、チップ30及び接続部材40を加熱することにより、チップ30の下面側電極とダイパッド部11のチップ配置面13、接続部材40の一方の端部42とチップ30の上面側電極、及び、接続部材40の他方の端部44と接続部材配置部41を、それぞれはんだを介して電気的に接続する。
【0057】
(4)樹脂封止工程S40
次に、モールド金型(図示せず。)にリードフレーム100を挟み込み、各ダイパッド部11及び接続部材配置部21に対応してモールド金型に形成されているキャビティに樹脂を充填することで、ダイパッド部11、接続部材配置部21、チップ30及び接続部材40を樹脂で封止する(
図3(f)参照。)。この際、第1リード部12及び第2リード部22の一部も樹脂50で封止する。
【0058】
これらの工程を実施した後、リードフレーム100の補助フレーム110から第1リード部12及び第2リード部22を切り離すことにより、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1を製造することができる。
【0059】
3.実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置の製造方法の効果
実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、ダイパッド部11には、折り返し部15が設けられているため、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも、ダイパッド部11の断面積が大きくなる。その結果、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも高い放熱性を有する樹脂封止型半導体装置となる。
【0060】
また、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、ダイパッド部11には、折り返し部15が設けられ、上記したように従来の樹脂封止型半導体装置900よりも高い放熱性を有するため、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも大きな電流を流した場合であっても、当該電流によって発生した熱を効率よく外部へ放出することが可能となる。このため、従来の樹脂封止型半導体装置よりも大きな電流を流すことが可能となる。
【0061】
また、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、ダイパッド部11には、折り返し部15が設けられているため、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも、ダイパッド部11と樹脂50との接触面積が大きくなる。その結果、アンカー効果により、ダイパッド部11と樹脂50との密着性が高い樹脂封止型半導体装置となる。
【0062】
また、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、折り返し部15L,15Rが、チップ配置面13側とは反対側に向かって折り返されているため、折り返し部が、チップ配置面13側に向かって折り返されている場合と比較して、チップ30と折り返し部15L,15Rとの間の空間距離が長くなる。その結果、チップ30の上面側電極と折り返し部15L,15Rとが放電によって短絡することを防ぐことが可能となる。
【0063】
また、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、折り返し部15がチップ配置面13側とは反対側に向かって折り返されているため、樹脂封止型半導体装置を製造する過程において、チップ30をダイパッド部11に配置する際や接続部材40を接続部材配置部21及びチップ30に配置する際に折り返し部15が邪魔になることがない。従って、折り返し部15がチップ配置面13側に向かって折り返されている場合と比較して、生産性が低下することを防ぐことが可能となる。
【0064】
また、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、従来の樹脂封止型半導体装置900を製造する過程においてダイパッド部911を形成する際に切り落としていた第1平板部15L’及び第2平板部15R’(
図2参照。)を、折り返し部15L,15Rとして有効利用することが可能となる。このため、放熱性を高くするための新たな部材を別途設ける必要がない。
【0065】
また、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、折り返し部15L,15Rは、ダイパッド部11の外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺14L,14Rにおいて、それぞれ折り返されたものであるため、ダイパッド部11の断面形状が対称となる。このため、ダイパッド部11を流れる電流が偏ることを防ぐことが可能となり、その結果、ダイパッド部11の一部に熱が集中することを防ぐことが可能となる。
【0066】
さらにまた、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1によれば、ダイパッド部11の断面形状が、ヘミング形状であるため、ダイパッド部11の断面積が大きくなるにもかかわらずダイパッド部11の実装高さを低く抑えることが可能となる。その結果、樹脂封止型半導体装置1の厚さを比較的薄くすることが可能となる。
【0067】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2を示す図である。
図4(a)は実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2の平面図であり、
図4(b)は実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2の側面図であり、
図4(c)は
図4(a)のB−B断面図であり、
図4(d)は
図4(a)における接続部材配置部21のB−B断面図である。
図5は、実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2を製造する過程におけるリードフレーム100aを示す図である。
【0068】
実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2は、基本的には実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1と同様の構成を有するが、第2電極部にも折り返し部(第2折り返し部)が設けられている点が実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2においては、
図4及び
図5に示すように、接続部材配置部21aには、接続部材配置部21aの外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺24L,24Rにおいて、接続部材配置面23側とは反対側に向かって折り返された第2折り返し部25L,25Rが設けられている
【0069】
接続部材配置部21aの断面形状は、ヘミング形状である。
【0070】
接続部材配置部21aは、リードフレーム100aに設けられた平板21a’から形成されている。平板21a’には、2つの直線24L’,24R’が設定され、平板21a’は、2つの直線24L’,24R’によって、直線24L’よりも外側の第1平板部25L’,直線24R’よりも外側の第2平板部25R’及び、第1平板部25L’及び第2平板部25R’に挟まれ、接続部材配置面23を有する第3平板部26の3つの平板部に分けられている(
図5における「折り返し前」の図参照。)。
【0071】
2つの直線24L’,24R’はそれぞれ、平板21a’の外周を構成する辺のうち向かい合う2つの辺S1、S2に平行になるように設定されている。2つの直線24L’,24R’においては、平板21a’の外周を構成する辺S1と直線24L’との間隔をa、平板21a’の外周を構成する辺S2と直線24R’との間隔をb、直線24L’と直線24R’との間隔をcとしたときに、c>a+b、かつ、a=b、が成り立つように設定されている。
【0072】
接続部材配置部21aは、第1平板部25L’及び第2平板部25R’を直線24L’,24R’を折り目として接続部材配置面23側とは反対側に向かって折り返すことによって形成されている(
図5における「折り返し後」の図参照。)。折り返された第1平板部25L’及び第2平板部25R’は、第2折り返し部25L,25Rとなる。また、直線24L’,24R’は、接続部材配置部21aの外周を構成する辺のうちの2つの辺24L,24Rとなる。
【0073】
接続部材配置部21aにおいては、平板21a’において、2つの直線24L’,24R’が、上記したようにc>a+bが成り立つように設定されているため、第2折り返し部25Lの端部と第2折り返し部25Rの端部とは、所定の間隔で離間した状態となる。このような構成とすることにより、樹脂封止の際に、第2折り返し部25Lの先端部と第2折り返し部25Rの先端部との間にも樹脂50が入り込み、接続部材配置部21aと樹脂50との密着性が高くなる。
【0074】
また、接続部材配置部21aにおいては、平板部26(折り返し前の第3平板部26)と第2折り返し部25L,25Rとの間にはわずかに隙間(図示せず。)がある。このような構成とすることにより、樹脂封止の際に、当該隙間に樹脂50が入り込むため、接続部材配置部21aと樹脂50との密着性がより一層高くなる。
【0075】
このように、実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2は、第2電極部にも折り返し部(第2折り返し部)が設けられている点が実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合と同様に、ダイパッド部11には、ダイパッド部11の外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺14L、14Rにおいて、チップ配置面13側とは反対側に向かって折り返された折り返し部15が設けられているため、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも、ダイパッド部11の断面積が大きくなる。その結果、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも高い放熱性を有する樹脂封止型半導体装置となる。
【0076】
また、実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2によれば、第2折り返し部25L,25Rは、接続部材配置部21aの外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺24L,24Rにおいて、それぞれ折り返されたものであるため、接続部材配置部21aの断面形状が対称となる。このため、接続部材配置部21aを流れる電流が偏ることを防ぐことが可能となり、その結果、接続部材配置部21aの一部に熱が集中することを防ぐことが可能となる。
【0077】
さらにまた、実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2によれば、接続部材配置部21aの断面形状が、ヘミング形状であるため、接続部材配置部21aの断面積が大きくなるにもかかわらず接続部材配置部21aの実装高さを低く抑えることが可能となる。その結果、樹脂封止型半導体装置1の厚さを比較的薄くすることが可能となる。
【0078】
なお、実施形態2に係る樹脂封止型半導体装置2は、第2電極部にも折り返し部(第2折り返し部)が設けられている点以外の点においては実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0079】
[実施形態3]
図6は、実施形態3に係る樹脂封止型半導体装置3のダイパッド部11aを説明するために示す図である。
図6(a)は折り返す前のダイパッド部11aの様子を示す図であり、
図6(b)は折り返した後のダイパッド部11aの様子を示す図である。
【0080】
実施形態3に係る樹脂封止型半導体装置3は、基本的には実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1と同様の構成を有するが、折り返し部の端部の形状が実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係る樹脂封止型半導体装置3においては、
図6に示すように、折り返し部15L1、15R1の端部の形状が、鋸刃形状である。
【0081】
このように、実施形態3に係る樹脂封止型半導体装置3は、折り返し部の端部の形状が実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合と同様に、ダイパッド部11aには、ダイパッド部11aの外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺14L,14Rにおいて、チップ配置面13側とは反対側に向かって折り返された折り返し部15L1,15R1が設けられているため、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも、ダイパッド部11aの断面積が大きくなる。その結果、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも高い放熱性を有する樹脂封止型半導体装置となる。
【0082】
また、実施形態3に係る樹脂封止型半導体装置3によれば、折り返し部15L1,15R1の端部の形状が、鋸刃形状であるため、ダイパッド部11aと樹脂50との接触面積が大きくなり、アンカー効果によって、ダイパッド部11aと樹脂50との密着性がより一層高い樹脂封止型半導体装置となる。
【0083】
なお、実施形態3に係る樹脂封止型半導体装置3は、折り返し部の端部の形状以外の点においては実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0084】
[実施形態4]
図7は、実施形態4に係る樹脂封止型半導体装置4のダイパッド部11bの断面図である。
【0085】
実施形態4に係る樹脂封止型半導体装置4は、基本的には実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1と同様の構成を有するが、折り返し部の端部の形状が実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係る樹脂封止型半導体装置4における折り返し部15L2,15R2の端部においては、
図7に示すように、折り返し部15L2,15R2を折り返したときに内側となる角が斜めに切り落とされた切り欠きCが形成されている。
【0086】
このように、実施形態4に係る樹脂封止型半導体装置4は、折り返し部の端部の形状が実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1の場合と同様に、ダイパッド部11bには、ダイパッド部11bの外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺において、チップ配置面13側とは反対側に向かって折り返された折り返し部15L2,15R2が設けられているため、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも、ダイパッド部11bの断面積が大きくなる。その結果、従来の樹脂封止型半導体装置900よりも高い放熱性を有する樹脂封止型半導体装置となる。
【0087】
また、実施形態4に係る樹脂封止型半導体装置4によれば、折り返し部15L2,15R2の端部においては、折り返し部15L2,15R2を折り返したときに内側となる角が斜めに切り落とされた切り欠きCが形成されているため、切り欠きCにも樹脂50が入り込み、ダイパッド部11bと樹脂50との密着性がより一層高い樹脂封止型半導体装置となる。
【0088】
なお、実施形態4に係る樹脂封止型半導体装置4は、折り返し部の端部の形状以外の点においては実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る樹脂封止型半導体装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0089】
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0090】
(1)上記各実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0091】
(2)上記実施形態3及び4においては、折り返し部の端部の形状を変更したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2折り返し部の端部の形状を変更してもよい。
【0092】
(3)上記各実施形態においては、折り返し部15が、ダイパッド部11の外周を構成する辺のうちの向かい合う2つの辺において、それぞれ折り返されたものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図8は、変形例1に係る樹脂封止型半導体装置のダイパッド部11cを示す断面図である。例えば、折り返し部15L3が、ダイパッド部11の外周を構成する辺のうちの1つの辺において、折り返されたものであってもよい。
【0093】
(4)上記各実施形態においては、ダイパッド部11の断面形状が、ヘミング形状であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図9は、変形例2に係る樹脂封止型半導体装置のダイパッド部11dを示す断面図である。例えば、ダイパッド部11dの断面形状が、「コ」の字形状であってもよい。
【0094】
(5)上記各実施形態においては、平板11’(21’)の外周を構成する辺s1(S1)と直線14L’(24L’)との間隔をa、平板11’ (21’)の外周を構成する辺s2(S2)と直線14R’(24R’)との間隔をbとしたときに、a=b、が成り立つように設定されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、a>bであってもよいし、a<bであってもよい。
【0095】
(6)上記各実施形態においては、2つの直線14L’(24L’),14R’(24R’)はそれぞれ、平板11’ (21’)の外周を構成する辺のうち向かい合う2つの辺s1(S1)、s2(S2)に平行になるように設定されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つの直線14L’(24L’),14R’(24R’)が当該2つの辺s1(S1)、s2(S2)に平行になっていなくてもよい。
【0096】
(7)上記各実施形態においては、チップ30が2端子の半導体素子であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、チップ30が3端子以上の半導体素子であってもよい。
【0097】
(8)上記各実施形態においては、接続部材40は屈曲した金属板からなるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、接続部材40がボンディングワイヤーであってもよい。