(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記線量予測部は、前記過去の複数の検査日とこの検査日のまでの被曝線量を積算した積算線量との関係を示す関係式を統計的手法により求め、前記関係式を用いて予測することを特徴とする請求項1に記載の被曝線量管理システム。
前記線量管理部は、前記将来の積算線量が前記上限値以下の値である場合、前記関係式を用いて前記特定期間内に行われる検査日の積算線量を算出し、更に前記検査日の積算線量から前回の検査日の積算線量を差し引いた被曝線量及び前記上限値から前記検査日の積算線量を差し引いた被曝線量に基づいて前記検査後の積算線量が前記上限値以下となる前記検査の際に許容する許容被曝線量を算出し、前記許容被曝線量となる前記検査条件の候補を求めることを特徴とする請求項2に記載の被曝線量管理システム。
前記線量予測部は、前記被曝情報記憶部に保存された前記特定期間内に検査が行われる被検体の過去の検査数が所定の数よりも少ない場合、前記被曝情報記憶部に保存された前記被検体と年齢、体重、身長又は疾患の少なくともいずれか1つが類似する前記被検体以外の前記特定期間内における被曝情報に基づいて、前記将来の積算線量の推移を予測することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の被曝線量管理システム。
前記線量管理部により求められた検査条件の候補に基づいて、前記特定期間内に検査が行われる被検体の過去の検査で生成された画像データのシミュレーションより類似画像データを生成する画像処理部を有し、
前記表示部は、前記積算線量の推移、前記線量管理部により求められた検査条件の候補、及び前記類似画像データを並べて表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の被曝線量管理システム。
前記線量管理部により求められた検査条件の候補に基づいて、前記特定期間内に検査が行われる予定の被検体に年齢、体重、身長又は疾患の少なくともいずれか1つが類似する当該被検体以外の検査で生成された画像データに対するシミュレーションにより予測画像データを生成する画像処理部を有し、
前記表示部は、前記積算線量の推移、前記線量管理部により求められた検査条件の候補、及び前記類似画像データを並べて表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の被曝線量管理システム。
前記被検体へのX線照射による被曝線量の低減が可能な検査技術の情報を保存する検査技術記憶部と、過去の期間、前記検査技術、並びにこの検査技術の利用開始日及び採用の確定の入力が可能な第1の操作部と、前記特定期間、前記検査技術及びこの検査技術の前記特定期間内における将来の利用開始日の入力が可能な第2の操作部とを有し、
前記線量予測部は、
前記第1の操作部からの前記過去の期間、前記検査技術及び前記利用開始日の入力に応じて、前記被曝情報記憶部に保存された被曝情報に含まれる照射線量のうち、前記過去の期間における複数の検査日とこの検査日の照射線量から、前記利用開始日を含む将来における照射線量の推移を予測し、
前記第1の操作部から前記検査技術の採用の確定が入力された後の前記第2の操作部からの前記特定期間、当該検査技術及びこの検査技術の利用開始日入力に応じて、前記過去の被曝線量を積算した複数の積算線量から、当該利用開始日以降の被曝低減により積算線量が低減された推移を含む前記将来の積算線量の推移を予測することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の被曝線量管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る被曝線量管理システムの構成を示したブロック図である。この被曝線量管理システム400は、検査により被検体にX線を照射して画像データを生成する複数の画像診断装置100と、検査により各画像診断装置100から得られた画像データを含む画像情報を保管する画像情報保管装置200と、各画像診断装置100のX線照射による被曝線量を管理する被曝線量管理装置300とを備えている。
【0010】
そして、各画像診断装置100は、ネットワーク500を介して接続された画像情報保管装置200に画像情報を送信する。また、各画像診断装置100は、ネットワーク500を介して接続された被曝線量管理装置300に、検査が行われた被検体へのX線照射に関する検査条件を含む検査情報を送信する。また、被曝線量管理装置300は、ネットワーク500を介して各画像診断装置100に被曝線量の管理情報(被曝管理情報)を送信する。
【0011】
画像診断装置100は、X線CT装置110、X線診断装置120及びマンモグラフィ装置130等により構成される。以下では、画像診断装置100の一例として、X線CT装置110の構成の詳細について説明する。
【0012】
図2は、X線CT装置110の構成を示したブロック図である。このX線CT装置110は、被検体Pが移動可能に載置される寝台10と、寝台10上に載置された被検体PにX線を照射して撮影を行う撮影部20とを備えている。また、撮影部20を回転駆動する回転駆動部27と、撮影部20の撮影により収集される投影データから画像データを生成する画像処理部30とを備えている。
【0013】
また、X線CT装置110は、画像処理部30で生成された画像データを表示する表示部40を備えている。また、被検体Pを識別する患者情報の入力、被検体PへのX線照射に関する管電流、管電圧及び照射時間等の照射条件並びにX線照射する被検体Pの部位(検査部位)や照射範囲を含む検査条件を設定するための入力等を行う操作部50を備えている。
【0014】
更に、X線CT装置110は、ネットワーク500を介して画像情報保管装置200や被曝線量管理装置300との間で通信を行う通信部60と、寝台部10、撮影部20、回転駆動部27、画像処理部30、表示部40及び通信部60の各部を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。そして、システム制御部70は、設定された検査条件に基づいて各部を制御して被検体の撮影を行う。
【0015】
撮影部20は、周囲を回転しながら被検体PにX線を照射するX線管21と、X線管21からの照射により被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器22と、X線検出器22で検出された信号に基づいて投影データを収集するデータ収集部23とを備えている。また、データ収集部23で収集された投影データを画像処理部30に伝送するデータ伝送部24と、X線管21に高電圧を供給する高電圧発生部25と、X線管21、X線検出器22、データ収集部23、データ伝送部24及び高電圧発生部25を回転可能に保持する回転体26とを備えている。
【0016】
通信部60は、検査毎に画像処理部30で生成された画像データを含む画像情報を画像情報保管装置200へ送信する。また、検査毎に操作部50から入力された被検体Pの患者情報及び検査条件からなる検査情報を被曝線量管理装置300に送信する。また、被曝線量管理装置300から送信される被曝管理情報を受信する。
【0017】
図1に示した画像情報保管装置200は、ネットワーク500を介して各画像診断装置100との間で通信を行う通信部201及び各画像診断装置100から得られる画像情報を保存する画像情報記憶部202を備えている。そして、通信部201は、各画像診断装置100から送信された画像情報を画像情報記憶部202に出力する。また、画像情報記憶部202に保存された画像情報を各画像診断装置100に送信する。
【0018】
画像情報記憶部202は、通信部201から出力された画像情報を保存する。また、保存した画像情報を通信部201に出力する。なお、画像情報記憶部202を各画像診断装置100に設けるように実施してもよい。
【0019】
被曝線量管理装置300は、検査により各画像診断装置100から被検体PにX線が照射されたときの被曝情報を保存する被曝情報記憶部310と、被曝情報記憶部310に保存された被曝情報に基づいて特定期間内における将来の被曝線量の推移を予測する線量予測部320とを備えている。また、将来の被曝線量を管理する線量管理部330を備えている。
【0020】
また、被曝線量管理装置300は、各画像診断装置100のX線照射に必要な照射条件を含む検査条件を保存する検査条件記憶部340と、各画像診断装置100への採用により被曝低減が可能な検査技術の情報を保存する検査技術記憶部350とを備えている。また、線量予測部320で予測された被曝線量の推移を表示する表示部360と、各画像診断装置100で利用可能な検査技術等の入力を行う操作部370とを備えている。
【0021】
更に、被曝線量管理装置300は、各画像診断装置100との間でネットワーク500を介して通信を行う通信部380を備えている。また、被曝情報記憶部310、線量予測部320、線量管理部330、検査条件記憶部340、検査技術記憶部350及び通信部380を統括して制御する制御部390を備えている。
【0022】
被曝情報記憶部310は、被検体Pの検査が行われた日の情報、前記検査における被曝線量や照射線量等の線量情報、及び前記検査における被検体Pの検査部位の情報を、被検体Pを識別する患者情報に関連付けて被曝情報として保存する。
【0023】
線量予測部320は、被曝情報記憶部310に保存された被曝情報に基づいて、特定期間内における過去の被曝線量を積算した複数の積算線量から、特定期間内における将来の積算線量の推移を予測する。以下では、特定期間内における過去の複数の検査日とこの検査日までの被曝線量を積算した積算線量との関係を示す関係式を、回帰分析法、移動平均法、ニュートラルネットワーク等の統計的手法により求める。そして、求めた関係式を用いて特定期間内における将来の積算線量の推移を予測する。
【0024】
また、線量予測部320は、被曝情報記憶部310に保存された照射線量のうち、過去の期間における複数の検査日とこの検査日の調査対象となる照射線量との関係から、過去の期間以降の将来における照射線量の推移や、検査技術が利用可能な日を含む将来における照射線量の推移を予測する。
【0025】
線量管理部330は、各画像診断装置100の検査終了に応じて送信される検査情報に含まれる検査条件に基づいて実効線量等の被曝線量や照射線量を算出し、その算出した被曝線量を検査情報に含まれる患者情報に関連付けて被曝情報記憶部310に保存する。また、線量予測部320により予測された特定期間内における将来の積算線量が安全と考えられるレベルであるか否かを判定する。
【0026】
そして、線量予測部320により求められた関係式から特定期間内における最終日の積算線量を算出し、算出した最終日の積算線量が安全と考えられる予め設定された上限値以下の値である場合、特定期間内における将来の積算線量が安全なレベルであると判定する。そして、特定期間内に行われる検査の際に当該検査後の積算線量が上限値以下の値となる検査条件を検査条件記憶部340から検索して求める。また、特定期間内における最終日の積算線量が上限値よりも大きい値である場合、特定期間内における将来の積算線量が警告レベルであると判定する。そして、特定期間内に検査が行われる各画像診断装置100へ出力するための警告情報を作成する。
【0027】
ここでは、特定期間内における将来の積算線量が上限値以下であると判定したとき、線量予測部320により求められた関係式を用いて特定期間内に行われる検査日の積算線量を算出する。次いで、前記検査日の積算線量から前回の検査日の積算線量を差し引いた被曝線量及び上限値から前記検査日の積算線量を差し引いた被曝線量に基づいて、特定期間内に行われる検査後の積算線量が上限値以下となる、その検査の際に許容される被曝線量(許容被曝線量)を算出する。そして、検査条件記憶部340から許容被曝線量となる検査条件の候補を少なくとも1つ検索して求める。
【0028】
検査条件記憶部340は、各画像診断装置100のX線照射に必要な管電流、管電圧、照射間隔、照射時間等の照射条件や、X線照射する検査部位や照射範囲の情報等を含む検査条件を保存する。
【0029】
図3は、検査条件記憶部340に保存された検査条件一覧表の一例を示した図である。この検査条件一覧表341は、「対象機種」の欄、「検査名」の欄、「実効線量[mSv]」の欄、「照射線量[mGy]」の欄、「管電流[mA]」の欄、「管電圧[kV]」の欄、「間隔[fps]」の欄及び「部位」の欄等により構成される。
【0030】
「対象機種」の欄には、X線CT装置110であることを示す「CT」及びX線診断装置120であることを示す「Angio」等が保存されている。また、「検査名」の欄には、X線CT装置110で行われる検査の名称である「腹部一般検査」及び「胸部精密検査」等が保存されている。また、X線診断装置120で行われる検査の名称である「脳血管造影検査」、「脳動脈瘤塞栓術」及び「PCI」等が保存されている。
【0031】
「実効線量[mSv]」の欄には、「腹部一般検査」における実効線量を示す「0.5」及び「2.4」、「胸部精密検査」における実効線量を示す「9.0」等が保存されている。また、「脳血管造影検査」における実効線量を示す「18.1」、「脳動脈瘤塞栓術」における実効線量を示す「41.0」及び「PCI」における実効線量を示す「53.5」等が保存されている。
【0032】
「照射線量[mGy]」の欄には、「腹部一般検査」における照射線量を示す「8」及び「3」、「胸部精密検査」における照射線量を示す「13」等が保存されている。また、「脳血管造影検査」における照射線量を示す「352」、「脳動脈瘤塞栓術」における照射線量を示す「1209」及び「PCI」における照射線量を示す「2091」等が保存されている。
【0033】
「管電流[mA]」の欄には、X線の照射条件としての「腹部一般検査」における管電流を示す「100」及び「胸部精密検査」における管電流を示す「150」等が保存されている。また、「脳血管造影検査」及び「脳動脈瘤塞栓術」における管電流を示す「35」、並びに「PCI」における管電流を示す「50」等が保存されている。
【0034】
「管電圧[kV]」の欄には、X線の照射条件としての「腹部一般検査」における管電圧を示す「80」及び「120」、並びに「胸部精密検査」における管電圧を示す「120」等が保存されている。また、「脳血管造影検査」及び「脳動脈瘤塞栓術」における管電圧を示す「80」、並びに「PCI」における管電圧を示す「120」等が保存されている。
【0035】
「間隔[fps]」の欄には、X線の照射条件としての「脳血管造影検査」及び「PCI」における照射間隔を示す「15」、並びに「脳動脈瘤塞栓術」における照射間隔を示す「30」等が保存されている。
【0036】
「部位」の欄には、「腹部一般検査」における検査部位を示す「腹部」及び「胸部精密検査」における検査部位を示す「胸部」等が保存されている。また、「脳血管造影検査」及び「脳動脈瘤塞栓術」における検査部位を示す「脳」、並びに「PCI」における検査部位を示す「心臓」等が保存されている。
【0037】
図1に示した検査技術記憶部350は、各画像診断装置100を備えた施設の管理者や各画像診断装置100メーカのエンジニア等により操作部370から入力された各画像診断装置100で現在利用されている検査技術、各画像診断装置100で現在及び将来利用することによりX線照射による被曝線量の低減が可能な検査技術を保存する。
【0038】
図4は、検査技術記憶部350に保存された検査技術の一欄表の一例を示した図である。この検査技術一覧表351は、「利用可能日」の欄、「対象機種」の欄、「技術」の欄、及び「線量[mGy]」の欄により構成される。そして、「利用可能日」の欄には、利用可能となる日を示す「2011/04/01」、「2013/03/01」、「2013/07/01」、「2013/12/01」等が保存されている。
【0039】
「対象機種」の欄には、「2011/04/01」、「2013/03/01」及び「2013/12/01」から利用可能となる機種がX線CT装置110であることを示す「CT」、及び「2013/07/01」に利用可能となる機種がX線診断装置120であることを示す「Angio」等が保存されている。
【0040】
「技術」の欄には、「2011/04/01」からX線CT装置110で利用可能となる検査技術が第1のCT技術であることを示す「第1技術」、「2013/03/01」からX線CT装置110で利用可能となる検査技術が第2のCT技術であることを示す「第2技術」、「2013/07/01」からX線診断装置120で利用可能となる検査技術が第2のパルス透視であることを示す「第2パルス」、及び「2013/12/01」からX線CT装置110で利用可能となる検査技術が胸部新CTプロトコルであることを示す「胸部新プロトコル」等が保存されている。
【0041】
「線量[mGy]」の欄には、「第1技術」を利用したときの照射線量を示す「3.50」、「第2技術」を利用したときの照射線量を示す「1.75」、「第2パルス」を利用したときの照射線量を示す「5.67」、及び「胸部新プロトコル」を利用したときの照射線量を示す「3.45」等が保存されている。
【0042】
以下、
図1乃至
図22を参照して、被曝線量管理システム400の動作について説明する。
【0043】
先ず、
図1乃至
図16を参照して、患者情報Aで識別される被検体PAの将来における積算線量の推移を予測し、将来の積算線量が安全と考えられる上限値に基づいて直近に行われる被検体PAの検査の検査条件の候補を提示する動作を説明する。
【0044】
画像情報保管装置200には、被検体PAの過去の検査により各画像診断装置100で生成された画像データ及び患者情報Aを含む画像情報が保存されている。また、被曝線量管理装置300の被曝情報記憶部310には、各画像診断装置100で過去に検査が行われたときの被曝情報が保存されている。
【0045】
図5は、被曝線量管理システム400の動作を示したフローチャートである。
2013年10月22日現在において、技師、放射線科医、依頼科医等の操作者により、被検体PAの検査を行うための氏名、年齢、性別、体重、身長、疾患等の患者情報A及び検査部位の情報等の検査情報、並びに被検体PAの検査を行う現在の日を含む特定期間の情報がX線CT装置110の操作部50から入力されると、被曝線量管理システム400は、動作を開始する(ステップS1)。
【0046】
X線CT装置110の通信部60は、操作部50から入力された検査情報、現在日及び特定期間の情報を被曝線量管理装置300へ送信する。被曝線量管理装置300の通信部380は、X線CT装置110から送信された検査情報、現在日及び特定期間の情報を線量予測部320及び線量管理部330に出力する。
【0047】
線量予測部320は、通信部380からの検査情報、現在日及び特定期間の情報に基づいて、被曝情報記憶部310に保存された患者情報Aに関連する被検体PAの過去の被曝線量である例えば実効線量のうち、特定期間に含まれる各検査日の実効線量を取得する。次いで、取得した実効線量を検査日毎に積算して積算線量を算出する(ステップS2)。
【0048】
図6は、特定期間における被検体PAの過去の実効線量及び積算線量の一例を示した図である。被検体PAの特定期間における最初の日から現在日の前日の2013年10月21日までの間の検査日とこの検査日の検査により各画像診断装置100によりX線照射されたときの実効線量を取得する。
【0049】
ここでは、被検体PAは特定期間内の過去に4回の検査が行われ、1回目の検査日が2013年4月1日であり、この検査日の実効線量が9.1mSvである。また、2回目の検査日が2013年5月14日であり、この検査日の実効線量が14.3mSvである。また、3回目の検査日が2013年7月16日であり、この検査日の実効線量が57.8mSvである。また、4回目の検査日が2013年9月20日であり、この検査日の実効線量が14.4mSvである。
【0050】
そして、1回目の検査日の積算線量が9.1mSvとなり、1回目の検査日の積算線量に2回目の検査日の実効線量を積算した2回目の検査日の積算線量が23.4mSvとなる。また、2回目の検査日の積算線量に3回目の検査日の実効線量を積算した3回目の検査日の積算線量が81.2mSvとなる。また、3回目の検査日の積算線量に4回目の検査日の実効線量を積算した4回目の検査日の積算線量が95.6mSvとなる。
【0051】
図5におけるステップS2の後、線量予測部320は、特定期間内における将来として現在日から特定期間の最終日までの積算線量の推移を予測する(ステップS3)。
【0052】
なお、被曝情報記憶部310に保存される特定期間に検査が行われた被検体PAの過去の検査数が所定の数よりも少ない場合、被曝情報記憶部310に保存された被検体PAと年齢、体重、身長又は疾患の少なくともいずれか1つが類似する被検体PA以外の特定期間内における実効線量に基づいて、予測するようにしてもよい。
【0053】
ここで、将来における積算線量の推移を予測するために、特定期間内における過去の複数の検査日とこの検査日までの積算線量との関係を示す関係式を統計的手法により求め、求めた関係式を用いて特定期間における検査日と積算線量との関係のグラフを作成する。
【0054】
図7は、検査日と積算線量との関係のグラフの一例を示した図である。このグラフ321は、横軸を検査日とし、縦軸を積算線量とする座標上に表わされる。そして、特定期間における
図6に示した4回の検査日の積算線量を示す4つの棒グラフ3211と、4回の検査日とこの検査日の積算線量との関係により特定期間の積算線量の推移を示す推移グラフ3212と、特定期間に安全と考えられる積算線量の上限値を示すライン3213とにより構成される。
【0055】
図5におけるステップS3の後、線量管理部330は、線量予測部320により予測された特定期間内における将来の積算線量が安全レベルであるか否かを判定する(ステップS4)。
【0056】
ここで、線量管理部330は、線量予測部320により求められた関係式を用いて特定期間内における最終日の積算線量を算出する。そして、最終日の積算線量が上限値以下の値である場合(ステップS5のはい)、ステップS6へ移行する。また、最終日の積算線量が上限値よりも大きい値である場合(ステップS5のいいえ)、ステップS7へ移行する。
【0057】
ステップS5の「はい」の後、線量管理部330は、
図8に示すように、線量予測部320により求められた関係式を用いて現在日の積算線量DAを算出する。次いで、積算線量DAから前回の検査日である4回目の検査日の積算線量を差し引いた実効線量DL及び上限値から積算線量DAを差し引いた実効線量DHに基づいて、現在日における検査後の積算線量が上限値以下の例えば所定の範囲Wとなる、現在日の検査の際に許容する実効線量(許容実効線量)を求める(ステップS6)。
【0058】
ステップS5の「いいえ」の後、線量管理部330は、例えば「特定期間内の将来に上限値を超えることが予測されます」等の警告情報を作成する(ステップS7)。そして、
図9に示すように、グラフ321に例えば上限値を超える最終日の積算線量を示す棒グラフを付加した線量予測部320で作成されるグラフ321a及び警告情報からなる被検体PAの被曝管理情報を通信部380に出力する。その後、ステップS9へ移行する。
【0059】
ステップS6の後、線量管理部330は、検査条件記憶部340に保存されたX線CT装置110の検査条件の中から、許容実効線量となる検査条件の候補を検索する(ステップS8)。そして、検索した検査条件の候補、線量予測部320により求められた関係式及びグラフ321からなる被検体PAの被曝管理情報を通信部380に出力する。その後、ステップS9へ移行する。
【0060】
通信部380は、線量管理部330から出力された被検体PAの被曝管理情報をX線CT装置110に送信する。X線CT装置110の通信部60は、患者情報Aの送信に応じて返信された被検体PAの被曝管理情報を表示部40に出力する。表示部40は、被検体PAの被曝管理情報を表示する(ステップS9)。
【0061】
図10は、表示部40に被検体PAの被曝管理情報が表示された画面の一例を示した図であり、被検体PAを撮影する検査条件を設定するための画面である。
この画面41は、第1乃至第4のエリア511乃至514により構成され、被検体PAの検査情報の入力に応じて表示される。そして、第1のエリア511には、被検体PAの氏名、年齢、性別等の患者情報A及び検査部位を含む検査情報が表示されている。また、第2のエリア512には、撮影部20を模した撮影部モデル、撮影部20で撮影が行われる被検体Pを模した被検体モデル、この被検体モデルの移動方向が表示されている。
【0062】
第3のエリア513には、被曝線量管理装置300の線量予測部320で作成された例えばグラフ321が表示されている。また、第4のエリア514には、線量管理部330により検索された検査条件の候補が2つ表示されている。
【0063】
このように、検査を行う被検体PAの患者情報Aの入力に応じて、表示部40にグラフ321を表示させることにより、特定期間内における将来の積算線量が上限値を超えるか否かを容易に確認することができる。また、許容実効線量となる検査条件の候補を表示部40に表示させることにより、被検体PAの検査条件を容易に決定することができる。
【0064】
なお、
図5のステップS5の「いいえ」の後である場合、第3のエリア513にグラフ321aが表示され、第4のエリア514に警告情報が表示される。このように、被検体PAの積算線量が特定期間内における将来に上限値を超えることが予測される場合、その警告情報を表示部40に表示させることにより、安全性を考慮した検査条件を決定することができる。
【0065】
第3のエリア513に表示されたグラフ321において、上限値が例えば100mSvであり、上限値から現在日の積算線量を差し引いて求めた実効線量は2.0mSvである。また、第4のエリア514に表示された検査条件の候補は、
図3に示した検査条件一覧表341の「実効線量[mSv]」の欄に保存された実効線量が例えば0.5mSvとなる第1の検査条件と、求めた実効線量よりも大きい2.4mSvとなる第2の検査条件により構成される。
【0066】
ここで、操作部50から第1の検査条件を指定する入力が行われると、
図11に示すように、画面41aの第3のエリア513にグラフ321bが表示される。このグラフ321bが、
図10の画面41に表示されたグラフ321と異なる点は、5回目の検査日となる2013年10月22日現在の位置に、4回目の検査日の積算線量に第1の検査条件の実効線量を積算した積算線量の棒グラフが追加されている点と、1回目乃至4回目の積算線量及び第1の検査条件の実効線量を積算した積算線量から求められる関係式で表わされる推移グラフに変更されている点である。そして、グラフ321bでは、特定期間内における最終日の積算線量は、上限値以下の値を示している。
【0067】
このように、グラフ321及び検査条件の候補を並べて表示部40に表示し、表示された候補の中から1つの検査条件を指定する入力により、現在日の検査後の積算線量を示す棒グラフをグラフ321に表示させて確認することができる。
【0068】
また、操作部50から第2の検査条件を指定する入力が行われると、
図12に示すように、画面41bの第3のエリア513にグラフ321cが表示される。このグラフ321cが、
図11の画面41aに表示されたグラフ321bと異なる点は、1回目乃至4回目の積算線量及び第2の検査条件の実効線量を積算した積算線量から求められる推移グラフの特定期間内における最終日の積算線量が例えば上限値を超えているために、第2の検査条件の実効線量を積算した積算線量を示す棒グラフが点滅して警告表示されている点である。
【0069】
このように、表示部40に表示された候補の中から1つの検査条件を指定する入力により、現在日の検査後の積算線量が上限値以下である場合でも特定期間内の現在日以降に上限値を超えることが予測されるとき、その警告情報を表示部40に表示させることができる。
【0070】
また、操作部50から第1の検査条件を指定する入力及び類似画像を表示させる入力が行われると、
図13に示すように、
図11に示したグラフ321bが画面41cの第3のエリア513に表示されると共に、第1の検査条件で検査を行ったときに予想される、画像処理部60でシミュレーションにより生成された疑似画像データ61が第2のエリア512に表示される。
【0071】
この疑似画像データ61は、類似画像を表示させる入力に応じて画像情報保管装置200から送信される被検体PAの過去の検査により、X線CT装置110で同じ検査部位の撮影から生成された画像データを、サイノグラム(Sinogram)、第1の検査条件に応じたノイズ付加、バック・プロジェクション(Back−projection)等の処理を行うことにより生成される画像データである。
【0072】
なお、画像情報保管装置200に保存された特定期間に検査が行われる予定の被検体PAの年齢、体重、身長又は疾患の少なくともいずれか1つが類似する被検体PA以外の過去の検査で生成された画像データに対するシミュレーションにより疑似画像データを生成するように実施してもよい。
【0073】
このように、表示部40に表示された検査条件の候補のうち、指定した検査条件に対応する疑似画像データ61を表示させることにより、画質と被曝量のバランスを考慮した検査条件を決定することができる。これにより、診断に必要な画質を保つことができているか否かを容易に確認することが可能となり、画質不十分による再検査を防止することができる。
【0074】
また、操作部50から第2の検査条件を選択する入力及び類似画像を表示させる入力が行われると、
図14に示すように、
図12に示したグラフ321cが画面41dの第3のエリア513に表示されると共に、第2の検査条件で検査を行ったときに予測される、画像処理部60でシミュレーションにより生成された疑似画像データ61aが第2のエリア512に表示される。
【0075】
また、操作部50から第2の検査条件を指定する入力及び類似画像を表示させる入力が行われた後に、画質に影響するパラメータの変更が可能なスライドバーを表示させる入力が行われると、
図15に示すように、画面41eの第2のエリア512に
図14に示した疑似画像データ61aと共にスライドバー62が表示される。操作部50からスライドバー62をスライドさせる入力が行われると、パラメータの変更に応じて画像処理部60で疑似画像データ61aの画質が変更処理された画像データが表示される。
【0076】
このように、表示部40に表示されたスライドバー62を利用して、画質と被曝量のバランスを考慮した細かな検査条件を決定することができる。これにより、診断に必要な画質を保つことができているか否かを容易に確認することが可能となり、画質不十分による再検査を防止することができる。
【0077】
また、操作部50から第2の検査条件を選択する入力及び複数の類似画像を表示させる入力が行われると、
図16に示すように、画面41fの第2のエリア512に、
図14に示した疑似画像データ61aと共にこの疑似画像データ61aに類似する順に画像処理部60で生成された例えば3つの疑似画像データ61b、61c、61dが表示される。
【0078】
表示部40の例えば画面41aに表示される被曝管理情報に基づいて、操作部50から第1の検査条件に確定させる入力が行われた後に検査を実行させ、検査終了の入力が行われると、X線CT装置110が検査を終了することにより、被曝線量管理システム400は動作を終了する(
図5のステップS10)。
【0079】
なお、被曝情報記憶部310、線量予測部320、線量管理部330及び検査条件記憶部340をX線CT装置110に設けて被検体PAの将来における被曝線量の推移を予測させるように実施してもよい。
【0080】
次に、
図1乃至
図22を参照して、将来における被曝線量の推移を予測し、将来の低被曝化計画を支援する動作について説明する。以下では、高度な知識を有する放射線部門等の管理者により、被曝線量管理装置300の検査技術記憶部350に保存された検査技術の中から現在又は将来に利用可能な検査技術を確定する。そして、低被曝化計画に基づいて確定した検査技術の利用開始日を設定することにより、被検体PAの将来における積算線量を予測する。
【0081】
図17は、被曝線量管理システム400の動作を示したフローチャートである。
被曝線量の低減が計画された2013年5月1日現在、過去の期間として例えば2012年5月1日から2013年4月30日までの期間を入力し、調査対象として全ての画像診断装置100による全検査を指定する入力が被曝線量管理装置300の操作部370から行われると、被曝線量管理システム400は、動作を開始する(ステップS11)。
【0082】
なお、調査対象を、年齢、性別、体重、身長、疾患、検査部位等に分類する入力により絞り込むことができる。
【0083】
線量予測部320は、被曝情報記憶部310に保存された照射線量のうち、操作部370から入力された過去の期間における全検査の照射線量を取得する。次いで、取得した照射線量を検査日毎にこの検査日の照射線量を平均した平均照射線量を算出する(ステップS12)。
【0084】
次いで、線量予測部320は、過去の期間における各検査日とこの検査日の平均照射線量との関係から、過去の期間以降の将来における平均照射線量の推移を予測する(ステップS13)。
【0085】
ここでは、平均照射線量の推移を予測するために、過去の期間における検査日と平均照射線量との関係を示す関係式を統計処理により求め、検査日と平均照射線量との関係のグラフを作成する。表示部360は、線量予測部320で作成されたグラフを表示する。
【0086】
図18は、表示部360に表示された検査日と平均照射線量との関係のグラフの一例を示した図である。このグラフ322は、横軸を検査日とし、縦軸を平均照射線量とする座標上に表わされた過去の期間における各検査日の平均照射線量を示す複数の棒グラフ3221と、検査日と平均照射線量との関係式により描かれる推移グラフ3222とにより構成される。
【0087】
このように、表示部360にグラフ322を表示させることにより、将来における平均照射線量の推移を確認することができる。
【0088】
表示部360にグラフ322が表示された後、採用することにより画質を低下させることなく線量の低減可能な検査技術としての第2のCT技術を指定する入力及び第2のCT技術の利用開始日である例えば2013年6月1日の入力が操作部370から行われると、線量管理部330は、検査技術記憶部350に保存された検査技術一覧表351から、第2のCT技術に関連する照射線量及び第2のCT技術が採用される前の過去の期間に利用された例えば第1のCT技術に関連する照射線量の情報を検索する(
図17のステップS14)。
【0089】
なお、入力された第2のCT技術の利用開始日が検査技術記憶部350に保存された利用可能となる日よりも前である場合、第2のCT技術の入力は無効となる。
【0090】
線量管理部330は、被曝情報記憶部310に保存された過去の期間の第1及び第2のCT技術に関連する照射線量の情報に基づいて、第2のCT技術を採用することにより低減可能な線量(低減線量)を算出する。線量予測部320は、線量管理部330で算出された低減線量に基づいて、入力された検査技術の利用開始日以降における平均照射線量の推移を予測する(
図17のステップS15)。
【0091】
ここで、検査技術の利用開始日以降における平均照射線量の推移を予測するために、
図18に示したグラフ322の推移グラフ3222を、第2のCT技術の利用開始日以降における検査日毎に低減線量を差し引いた平均照射線量の推移に置き換えた線量低減のグラフを作成する。表示部360は、線量予測部320で作成された線量低減のグラフを表示する。
【0092】
図19は、表示部360に表示された線量低減のグラフの一例を示した図である。このグラフ322aが
図18に示したグラフ322と異なる点は、推移グラフ3222に第1の低減推移グラフ3223が追加されている点である。この第1の低減推移グラフ3222は、第2のCT技術の利用開始日である2013年6月1日以降における平均照射線量が推移グラフ3222で示される平均照射線量を例えば5%低減した推移を示すグラフである。
【0093】
ここでは、
図16に示した検査技術一覧表351における第1のCT技術の照射線量が3.50mGyであり、第2のCT技術の照射線量が第1のCT技術の照射線量よりも50%低減された1.75mGyとなる。そして、過去の期間における全検査数が例えば10000であり、第1のCT技術を利用したX線CT装置110の検査数が全検査数の10%を占めている。従って、10%のうちの50%を低減することができるため、第2のCT技術の利用開始日である2013年6月1日以降における検査日毎の平均照射線量が5%低減した推移を示す。
【0094】
なお、第2のCT技術の利用開始日の入力が行われないと、検査技術記憶部350に保存された利用可能となる日が低減を計画するための入力が行われた2013年5月1日よりも前であるため、2013年5月1日現在以降における検査日毎の平均照射線量が5%低減した推移を示すグラフとなる。
【0095】
このように、利用可能な1つの検査技術を指定することにより、その検査技術を反映したグラフ322aを表示部360に表示させることができる。そして、グラフ322aから、その1つの検査技術の採用により将来に低減可能な平均照射線量の推移を確認することができる。
【0096】
図17におけるステップS15の後、操作部370から確定の入力が行われた場合(ステップS16のはい)、ステップS17へ移行する。また、操作部370から未確定の入力が行われた場合(ステップS16のいいえ)、ステップS14へ戻る。
【0097】
ステップS16の「いいえ」の後にステップS14へ戻った場合、更に採用することにより検査技術記憶部350に保存された検査技術を指定する入力が可能となる。そして、例えば第2のパルス透視及び2013年7月22日、並びに胸部新CTプロトコル及び2014年1月4日の入力により、利用開始日以降における検査日毎に低減線量を差し引いた平均照射線量の推移に置き換えた複数の線量低減のグラフが表示部360に表示される。
【0098】
図20は、表示部360に表示される複数の線量低減のグラフの一例を示した図である。このグラフ322bが
図19に示したグラフ322aと異なる点は、第1の低減推移グラフ3223の2013年7月22日以降が第2の低減推移グラフ3224に置き換えられ、第2の低減推移グラフ3224の2014年1月4日以降が第3の低減推移グラフ3225に置き換えられている点である。
【0099】
第2の低減推移グラフ3224は、第2のパルス透視を採用することにより2013年7月22日以降における平均照射線量が第1の低減推移グラフ3223で示される平均照射線量よりも低減された平均照射線量の推移を示すグラフである。また、第3の低減推移グラフ3225は、胸部新CTプロトコルを採用することにより2014年1月4日以降における平均照射線量が第2の低減推移グラフ3224で示される平均照射線量よりも低減された平均照射線量の推移を示すグラフである。
【0100】
このように、利用可能な複数の検査技術を指定することにより、その検査技術を反映したグラフ322bを表示部360に表示させることができる。そして、グラフ322bから、その複数の検査技術の採用により将来に低減可能な平均照射線量の推移を確認することができる。
【0101】
なお、
図21に示すように、例えば国際放射線防護委員会(ICRP)が出している診断参考レベルなどのガイドラインを参考にした平均照射線量の安全性のベルを示す複数のアイコン3226を、表示部360にグラフ322bと共に表示させるようにしてもよい。
【0102】
このように、グラフ322bと共にアイコン3226を表示部360に表示させることにより、検査技術の採用による安全性のレベルを容易に確認することができる。
【0103】
図17に示したステップS16の「はい」の後、被曝線量低減計画の立案が終了し、操作部370から例えば第2のCT技術を確定させる入力が行われると、被曝線量管理システム400は動作を終了する(ステップS17)。
【0104】
なお、ステップS11において、例えばX線CT装置110による全検査を指定する入力が操作部370から行われた場合、ステップS16の「いいえ」の後にステップS14へ戻ったとき、指定したX線CT装置110以外の各画像診断装置100の検査技術を入力することができないため、
図20に示したX線診断装置120の検査技術である第2のパルス透視の採用による平均照射線量の低減の推移は除外される。
【0105】
被曝線量の低減が可能な検査技術である第2のCT技術のX線CT装置110への採用が確定した後、2013年10月22日に被検体PAの検査を行うために操作部50から特定期間、検査情報及びこの検査技術の特定期間内における将来の利用開始日の入力が行われると、線量予測部320は、特定期間内における将来の積算線量の推移を予測するために、特定期間における検査日と積算線量との関係のグラフを作成する。
【0106】
図22は、検査技術確定後の特定期間における検査日と積算線量との関係のグラフの一例を示した図である。このグラフ321dが
図7に示したグラフ321と異なる点は、第2のCT技術の利用開始日以降の実線で示した積算線量の推移が、グラフ321の第2のCT技術の利用開始日以降の破線で示した積算線量の推移よりも低減されている点である。
【0107】
このように、ステップS11乃至S17において、採用が確定した第2のCT技術による被曝線量を反映したグラフ321dを表示部40に表示させることができる。これにより、第2のCT技術の採用による積算線量の推移の低減を確認することができる。
【0108】
以上述べた実施形態によれば、特定期間内における過去の複数の積算線量から、将来における積算線量の推移を予測し、将来における積算線量が安全と考えられるレベルであるか否かを判定することができる。
【0109】
そして、特定期間内における将来の積算線量が上限値以下の値である場合、特定期間内に行われる検査の際に当該検査後の積算線量が上限値以下の値となる検査条件の候補及び特定期間内における将来の積算線量の推移を予測したグラフ321を並べて表示部40に表示させることができる。これにより、検査条件を容易に決定することができる。
【0110】
また、特定期間内における将来に上限値を超えることが予測される場合、将来に上限値を超えることが予測されるグラフ321a及びその警告情報を表示部40に表示させることができる。これにより、安全性を考慮した検査条件を決定することができる。
【0111】
また、表示部40に表示された検査条件に対応する疑似画像データ61を表示させることができるため、画質と被曝量のバランスを考慮した検査条件を決定することができる。これにより、診断に必要な画質を保つことができているか否かを容易に確認することが可能となり、画質不十分による再検査を防止することができる。
【0112】
また、検査技術記憶部350に保存された利用可能な検査技術を指定することにより、その検査技術を反映したグラフ322aを作成して表示部360に表示させることができる。これにより、その検査技術の採用により将来に低減可能な平均照射線量の推移を確認することができる。
【0113】
また、採用が確定した検査技術を反映したグラフ321dを作成して表示部40に表示させることができる。これにより、検査技術の採用により低減する積算線量の推移を確認することができる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。