(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側部は、前記背部から前方に延び出した基端部および前記基端部から後方に折り返した先端部を含む折り返し材と、前記基端部および前記先端部の間に設けられた複数のリブ材と、を含み、
前記シートベルトの前記隙間へ通じる経路は、前記基端部および前記先端部の間となる前記折り返し材内の前記複数のリブ材上に、形成される、請求項9に記載のチャイルドシート。
前記側部は、前記座部から上方に延び出した基端部および前記基端部から下方に折り返した先端部を含む折り返し材と、前記基端部および前記先端部の間に設けられた複数のリブ材と、を含み、
前記シートベルトの前記隙間へ通じる経路は、前記基端部および前記先端部の間となる前記折り返し材内の前記複数のリブ材上に、形成される、請求項9または10に記載のチャイルドシート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1〜
図20は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。図示された本実施の形態に係るチャイルドシート10は、車両、例えば自動車の座席5上に配置されて使用される。チャイルドシート10は、大人を対象として設計された座席(車両シート)5やシートベルト7を含む車両に、子供(乳児、幼児、児童等の年少者)を適切且つ安全に乗車させるための装置である。ここで説明するチャイルドシート10は、「後向き状態」、「第1前向き状態」および「第2前向き状態」の三種類の態様にて、座席5に取り付けられるようになっている。「後向き状態」では、
図3〜5に示すように、チャイルドシート10に着座した子供が車の後方を向くようになる。「第1前向き状態」は、
図6に示すように、シートベルト7が座席部40の後方においてチャイルドシート10を貫通することによりチャイルドシート10が座席5上に固定され、座席部40に着座した子供が前向きで子供用ベルト90によって保持された状態をいう。「第2前向き状態」は、
図7に示すように、子供用ベルト90がチャイルドシート本体20から外され、シートベルト7によって、チャイルドシート10及び座席部40に着座した子供が座席5に前向きで保持されている状態をいう。
【0023】
なおここで、シートベルト7とは、一方側(図示された例では右側)の肩から他方側(図示された例では左側)の腰へと延びる肩ベルト7aと、一方側の腰から他方側の腰へと延びる腰ベルト7bと、を有した、いわゆる三点式のシートベルトである。このシートベルト7は、一本のベルト状部材からなり、タング8aを挿通している。タング8aは、当該一本のベルト状部材を折り曲げて、シートベルト7を肩ベルト7aと腰ベルト7bとに区分けしている。また、座席5の他方側には、バックル8bがさらに設けられている。タング8aがバックル8bに係止されることにより、座席5上に着座する人の身体がシートベルト7によって当該座席5に固定される。
【0024】
本明細書中において、チャイルドシート10およびその構成要素に対して用いる「前」、「後」、「右」、「左」、「横」、「上」および「下」の用語は、特に指示がない場合、チャイルドシート10に着座した子供を基準とした「前」、「後」、「右」、「左」、「横」、「上」および「下」を、それぞれ意味する。チャイルドシート10およびその構成要素の「幅方向」とは、「左」および「右」を結ぶ方向、すなわち「横方向」のことである。チャイルドシート10およびその構成要素の「高さ方向」とは、「上下方向」のことである。さらに、チャイルドシート10およびその構成要素の「前後方向」とは、「前」および「後」を結ぶ方向であり、図示する例においては、車両の「前後方向」または「走行方向」にも一致する。
【0025】
添付図面に示すように、チャイルドシート10は、子供が着座する或いは子供を収容する座席部40を含むチャイルドシート本体20と、チャイルドシート本体20に取り付けられた子供用ベルト90と、チャイルドシート本体20の座席部40に取り外し可能に装着されたカバー材99と、を有している。このうちカバー材99は、布材等から形成され、適宜クッション性を付与されている。カバー材99は、後述する座席部40の掛け具59以外の部分を概ね覆っている。なお、カバー材99は、
図1及び
図8のみにおいて図示され、その他の図面においては省略されている。また、子供用ベルト90は、
図1、
図2、
図14〜
図16のみにおいて図示されている。
【0026】
チャイルドシート本体20は、車両の座席5上に配置される基台70と、基台70上に固定されたシート本体部30と、シート本体部30に取り付けられたロックオフデバイス80及び蓋部材89と、を有している。このうち、シート本体部30は、座席部40と、幅方向に離間して配置された一対の補強アーム部65と、を有している。また、チャイルドシート本体20は、基台70又はシート本体部30に取り付けられた取り付け部110aを有するストラップ部材110と、ストラップ部材110に保持されたベルトガイド部材100と、をさらに有している。ベルトガイド部材100は、
図7に示すように、第2前向き状態において、シートベルト7の肩ベルト7aを誘導する。以下、チャイルドシート本体20の各構成要素について説明し、その後、子供用ベルト90に関連するチャイルドシート本体20の構成とともに子供用ベルト90を説明する。なお、添付図面に示すように、本実施の形態におけるチャイルドシート10は、全体的に、幅方向の中心を通る前後方向(前後方向)に沿った面(幅方向中心面)を中心として概ね対称な構成となっている。
【0027】
<チャイルドシート本体20>
<<基台70>>
まず、基台70について説明する。基台70は、シート本体部30を下方から支持する部位である。基台70は、前面70aと、前面70aに接続する第1下面70bと、第1下面70bの後方に位置する第2下面70cと、を有している。第2下面70cは、第1下面70bに対して傾斜している。具体的には、第2下面70cは、後方に向けて上方に傾斜している。チャイルドシート10の側面視において、第2下面70c及び前面70aは、互いに対して概ね直交している。
図6及び
図7に示すように、第1前向き状態及び第2前向き状態での設置において、第1下面70bが、座席5の座面に接触する。一方、
図3〜
図5に示すように、後向き状態での設置において、第2下面70cが主として座席5の座面に接触し且つ前面70aが座席5の背当てに当接する。したがって、基台70に支持されたシート本体部30の座席5に対する傾斜角度は、第1前向き状態及び第2前向き状態と、後向き状態との間で変化する。具体的には、シート本体部30に含まれる座席部40の背部50は、第1前向き状態及び第2前向き状態よりも、後向き状態においてより傾斜する(倒れる)ことになる。
図10に示すように、幅方向に離間して一対の前面70aが形成されている。
【0028】
なお、基台70とシート本体部30との間には、後向き状態での設置において、シートベルト7が通過する隙間22が形成されている。また、チャイルドシート本体20は、小物を収容するための収納凹部25を有している。この収納凹部25は、主として基台70によって、シート本体部30と基台70との間に形成される。隙間22および収納凹部25に関連する構成については、シート本体部30を説明した後に、詳述する。
【0029】
<<シート本体部30>>
次に、シート本体部30について説明する。上述したように、シート本体部30は、座席部40および補強アーム部65を有している。このうち、まず、座席部40について説明する。
【0030】
<<<座席部40>>>
上述したように、シート本体部30の座席部40は、子供が着座する或いは子供を収容する部位である。座席部40は、座部45及び背部50と、座部45及び背部50の両側方にそれぞれ位置する側部55と、を有している。座部45は、子供の臀部に下方から対面するようになる。背部50は、子供の背部に後方から対面するようになる。
図1、
図2、
図7、
図14及び
図15によく示されているように、背部50には、子供用ベルト90が貫通する子供ベルト用穴51が形成されている。図示された例において、子供ベルト用穴51は、上下方向に離間して三対形成されている。また、子供ベルト用穴51の上方となる位置には、子供ベルト受け穴51よりも大きなガイド部材用穴54が形成されている。ガイド部材用穴54は、幅方向に離間して一対設けられており、ベルトガイド部材100が通過可能となっている。また、各側部55は、クリップ状に形成されたクリップ部材60を有している。
図7に示すように、クリップ部材60は、第2前向き状態において、ベルトガイド部材100とともにシートベルト7の肩ベルト7aを所定の経路に誘導する。さらに、各側部55は、フック状に形成された掛け具59を有している。
図3及び
図5に示すように、掛け具59は、後向き状態での設置において、シートベルト7を所定の経路に誘導する誘導具として機能する。
【0031】
各側部55は、子供の両側方に位置するようになる。
図4〜
図7に示すように、各側部55には、切欠56aが形成されている。切欠56aは、座部45及び背部50の接続位置の近傍に位置している。
図7に示すように、切欠56aは、第2前向き状態での設置において、シートベルト7を所定の経路に誘導するために用いられる。
図7に示すように、チャイルドシート10が第2前向き状態で車両の座席5に取り付けられる場合には、一方側(図示された例では右側)から延び出した車両シートベルト7の肩ベルト7aが、他方側(図示された例では左側)の切欠56aに支持される。腰ベルト7bは、両側の切欠56a,56aに支持される。そしてこの状態で、タング8aがバックル8bに留め付けられる。
図7に示された第2前向き状態では、シートベルト7によってチャイルドシート10を座席5に固定するとともに、同時に、車両のシートベルト7によって、子供をチャイルドシート10に固定する。すなわち、第2前向き状態では、チャイルドシート本体20に装着される子供用ベルト90(
図7参照)を利用しない。
【0032】
図3及び
図5に示すように、側部55には、掛け具59に掛けられたシートベルト7を隙間22へ誘導する経路が、形成されている。具体的には、
図9に示すように、側部55は、背部50の側方に位置する部分において、背部50の幅方向端部から前方に延び出した基端部57aおよび基端部57aから幅方向外方にずれて後方に折り返した先端部57bを含む折り返し材57と、基端部57aおよび先端部57bの間に設けられた複数のリブ材58と、を含んでいる。また、
図10に示すように、側部55は、座部45の側方に位置する部分において、座部45の幅方向端部から上方に延び出した基端部57aおよび基端部57aから幅方向外方にずれて下方に折り返した先端部57bを含む折り返し材57と、基端部57aおよび先端部57bの間に設けられた複数のリブ材58と、を含んでいる。そして、シートベルト7を隙間22へ誘導する経路は、基端部57aおよび先端部57bの間となる折り返し材57内の複数のリブ材58上に、形成されている。
【0033】
<<<補強アーム部65>>>
次に、補強アーム部65について説明する。
図3に示すように、一対の補強アーム部65が、座席部40の後方に設けられている。一対の補強アーム部65は、左右対称な構成を有している。各補強アーム部65は、上下方向に延びている。各補強アーム部65は、座席部40の背部50の裏面にその上端部65aにおいて接続され、且つ、座席部40の背部50の裏面にその下端部65bにおいても接続されている。補強アーム部65は、上端部65a及び下端部65bの間において、座席部40から離間している。すなわち、各補強アーム部65と座席部40との間には、ベルト通過隙間61が形成されている。このベルト通過隙間61は、上下方向に延びている。
図6に示すように、第1前向き状態での設置において、シートベルト7がベルト通過隙間61内を通過する。各補強アーム部65は、その下方部分に、前方に突出した前方突出部66を有している。前方突出部66は、ベルト通過隙間61の下方にベルト誘導隙間61aを区画している。
【0034】
<<ロックオフデバイス80>>
以上のようなシート本体部30の左右後方に構成される各ベルト通過隙間61の上端部分には、それぞれ、ロックオフデバイス80が設けられている。
図19に示すように、各ロックオフデバイス80は、ベルト通過隙間61の上端部分を画成するシート本体部30の三方枠32に取り付けられている。以下、シート本体部30の三方枠32とともに、ロックオフデバイス80について説明する。なお、一対のロックオフデバイス80及び一対の三方枠32は、それぞれ、対称的に構成されている。
【0035】
ロックオフデバイス80は、長手方向を有した細長いスリット80aを有している。このスリット80aは、その長手方向における一方に開口している。当該開口部を介して、車両に装備されたシートベルト7がスリット80a内に挿入可能となっている。
図18に示すように、ロックオフデバイス80は、揺動片82を有している。揺動片82は、スリット80aの長手方向と平行な軸線sdを中心として、ロックオフデバイス80に対して揺動可能となっている。揺動片82は、図示しない付勢部材(例えばトーションバネ)によって、所定の揺動方向に付勢されている。付勢部材からの付勢力によって、揺動片82は、スリット80aを挿通するシートベルト7を把持することができる。すなわち、ロックオフデバイス80は、スリット80a内を通過するシートベルト7を把持可能となっている。
図6に示すように、第1前向き状態での設置において、ロックオフデバイス80は用いられる。なお、
図18以外の図においては、揺動片82の図示を省略している。
【0036】
図17及び
図18に示すように、ロックオフデバイス80は、スリット80aを形成されたデバイス本体部81と、デバイス本体部81から延び出たフランジ部84と、を有している。フランジ部84は、スリット80aの長手方向における一方への開口を塞がないよう、配置されている。具体的には、デバイス本体部81からスリット80aが開口していない三方へ延び出している。
【0037】
図19及び
図20に示すように、座席部40と補強アーム部65との間に、三方枠32が形成されている。三方枠32は、三方から囲むようにして溝33を形成している。したがって、この溝33は、一方に開口している。具体的には、溝33は、座席部40と補強アーム部65との間のベルト通過隙間61の上端部分を成している。三方枠32は、溝33を前方から区画する前方枠部32aと、溝33を後方から区画する後方枠部32bと、溝33を上方から区画する上方枠部32cと、を有している。したがって、溝33は、下方に開口している。この溝33は、無底の溝として形成され、幅方向に貫通している。
図20と
図3とを対比することによって理解され得るように、ロックオフデバイス80は、デバイス本体81部が溝33内に位置するよう、配置されている。そして、スリット80aは、溝33に沿って延び、ベルト通過隙間61内に向けて下方に開口している。
【0038】
ロックオフデバイス80は、フランジ部84との間で三方枠32の一部分を幅方向に挟む爪片85とデバイス本体部81又はフランジ部84に設けられた突出片86と、をさらに有している。本実施の形態では、
図17に示すように、爪片85は、フランジ部84の下端部から幅方向に延び出る基端延出部85aと、基端延出部85aから上方に延び上がる先端爪部85bと、を有している。この爪片85は、三方枠32のうちの後方枠部32bと係合する。
【0039】
一方、突出片86は、ロックオフデバイス80がシート本体部30に取り付けられた状態において、溝33と平行な方向に延びる。この突出片86は、シート本体部30に設けられた保持穴39に挿入される。
図20に示された例において、保持穴39は、補強アーム部65の上端部65a、又は、補強アーム部65とシート本体部30との接続部に形成されている。突出片86は、フランジ部84のスリット80aよりも上方となる部分に設けられている。より具体的には、突出片86は、デバイス本体部81の上端から上方に延び出ている。
【0040】
このようなロックオフデバイス80は、デバイス本体部81が溝33内を上方に移動するようにして、三方枠32に対して所定の位置に配置することができる。したがって、ロックオフデバイス80のシート本体部30への位置決めを容易化することが可能となる。そして、ロックオフデバイス80が所定の位置に配置された状態で、座席部40の側部55を前方側から後方側へ貫通した締結具および補強アーム部65を後方前から前方側へ貫通した締結具のうちの少なくとも一つの締結具を用いて、シート本体部30に固定することができる。
【0041】
また好ましくは、ロックオフデバイス80およびロックオフデバイス80と対面するようになるシート本体部30の部分の一方に保持膨出部が設けられ、他方に保持膨出部を受ける保持凹部が形成されている。図示された例では、座席部40に保持膨出部53が形成され、ロックオフデバイス80のフランジ部84に保持凹部84aが形成されている。保持膨出部53及び保持凹部84aの係合により、ロックオフデバイス80をシート本体部30に対して所定の位置へ正確に位置決めすることができる。また、保持膨出部53の突出方向は、溝33の長手方向と交差、とりわけ直交している。したがって、保持膨出部53及び保持凹部84aの係合により、締結具を用いた固定の前に、ロックオフデバイス80をシート本体部30に対して所定の位置へ仮に保持することができる。したがって、締結具を用いたロックオフデバイス80のシート本体部30への固定を極めて容易に行うことができる。
【0042】
このような本実施の形態によれば、シート本体部30に三方枠32が設けられ、三方枠32が、ロックオフデバイス80のデバイス本体部81を収容する溝33を形成している。そして、ロックオフデバイス80は、フランジ部84との間で三方枠32を幅方向に挟む爪片85を有している。爪片85及びフランジ部84を利用することにより、ロックオフデバイス80をシート本体部30に対して幅方向に容易に位置決めすることができる。したがって、ロックオフデバイス80のシート本体部30への取り付けを容易化することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、シート本体部30に三方枠32が設けられ、三方枠32が、ロックオフデバイス80のデバイス本体部81を収容する溝33を形成している。そして、ロックオフデバイス80は、デバイス本体部81又はフランジ部84に設けられた突出片86を有している。この突出片86は、ロックオフデバイス80がシート本体部30に取り付けられた状態で、デバイス本体部81又はフランジ部84から溝33と平行な方向に突出し、シート本体部30に形成された保持穴39に挿入される。突出片86及び保持穴39を利用することにより、ロックオフデバイス80をシート本体部30に対して幅方向に容易に位置決めすることができる。したがって、ロックオフデバイス80のシート本体部30への取り付けを容易化することが可能となる。
【0044】
さらに、座席部40を前方側から後方側へ貫通した締結具および補強アーム部を後方前から前方側へ貫通した締結具のうちの少なくとも一つの締結具87(
図7参照)によって、ロックオフデバイス80をシート本体部30に対して安定して固定することができる。例えば、ロックオフデバイス80のフランジ部84を幅方向に貫通する締結具を用いる必要がなくなる。この場合、目に入りやすいロックオフデバイス80のフランジ部84の意匠性が、締結具87によって害されることを防止することができる。
【0045】
ただし、ここで説明するチャイルドシート10において、ロックオフデバイス80をシート本体部30に固定するための締結具として、ロックオフデバイス80のフランジ部84を幅方向に貫通する締結具を用いることは特に排除されない。すなわち、ロックオフデバイス80を幅方向に貫通する締結具を用いて、ロックオフデバイス80をシート本体部30に固定するようにしてもよい。さらに、前後方向及び幅方向以外に方向、例えばロックオフデバイス80のスリット80aと平行な方向(例えば下方側から上方側へ)に延びる締結具を用いて、ロックオフデバイス80をシート本体部30に固定してもよい。
【0046】
また、爪片85及びフランジ部84と三方枠32との係合、或いは、突出片86と保持穴39との係合を利用することにより、締結具87の数量を低減することができる。これにより、ロックオフデバイス80のシート本体部30への取り付けを容易化することが可能となる。とりわけ、爪片85及びフランジ部84と三方枠32との係合とともに、突出片86と保持穴39との係合を利用することができる本実施の形態では、締結具87の数量をより低減しやすくなり、ロックオフデバイス80のシート本体部30への取り付けをより容易化することが可能となる。
【0047】
なお、本実施の形態において、ロックオフデバイス80が、離間して配置された複数の爪片85を有するようにしてもよい。この例によれば、複数の爪片85の各々と三方枠32との係合により、ロックオフデバイス80をシート本体部30へ容易且つより正確に位置決めすることができる。これにより、ロックオフデバイス80のシート本体部30への取り付けを容易化することが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態では、
図19に示すように、座席部40の背部50に、締結具用穴52が形成されている。そして、
図18に示すように、ロックオフデバイス80のデバイス本体部81には、この締結具用穴52に対面するようになる位置に、締結具用穴80bが形成されている。そして、例えば螺子からなる締結具87は、締結具用穴52を貫通して、締結具用穴80bに入り込んでいる。すなわち、締結具87は、座席部40の背部50を前方側から後方側へ貫通して、ロックオフデバイス80のスリット80aよりも前方となる部分と係合している。その一方で、
図19から理解できるように、ロックオフデバイス80の爪片85は、ロックオフデバイス80のデバイス本体部81よりも後方となる部分に設けられている。言い換えると、爪片85及びフランジ部84が三方枠32の後方枠部32bと係合し、且つ、締結具87がロックオフデバイス80を三方枠32の前方枠部32aに固定している。
【0049】
すなわち、本実施の形態によれば、ロックオフデバイス80のうちの前後方向におけるスリット80aの一方の側となる部分を、締結具87によって、シート本体部30に固定することができ、ロックオフデバイス80のうちの前後方向におけるスリット80aの他方の側となる部分を、爪片85及びフランジ部84と三方枠32との係合によって、シート本体部30に固定することができる。したがって、ロックオフデバイス80が、下方に開口したスリット30aの両側において、シート本体部30へ接続している。これにより、ロックオフデバイス80をシート本体部30へより確実に固定することができる。あわせて、ロックオフデバイス80の変形を防止することもできる。また、
図1に示すように、座席部40を前方側から後方側へ貫通する締結具87は、カバー材99によって覆われる。したがって、この締結具87がチャイルドシート10の美感、意匠性を損なうことを防止することができる。
【0050】
加えて本実施の形態によれば、ロックオフデバイス80は、突出片86と保持穴39との係合により、スリット80aよりも上方の部分においてもシート本体部30と係止される。すなわち、ロックオフデバイス80は、溝33を三方から画成する三方枠32の各部32a,32b,32cの側と係合している。したがって、ロックオフデバイス80のシート本体部30への取り付け状態が安定する。このため、ロックオフデバイス80をシート本体部30への取り付けるための締結具の数量を減じることが可能となる。
【0051】
加えて、本実施の形態では、締結具用穴52及び締結具用穴80bが、それぞれ、保持膨出部53及び保持凹部84aに設けられている。したがって、保持膨出部53及び保持凹部84aの係合によって、ロックオフデバイス80がシート本体部30に対して位置決めされた際、保持膨出部53及び保持凹部84aは高精度で互いに対面する位置に配置されるようになる。このため、締結具87を用いた、ロックオフデバイス80のシート本体部30への固定をさらに容易に行うことができる。
【0052】
さらに本実施の形態によれば、ロックオフデバイス80をシート本体部30に固定する締結具87として、座席部40を前方側から後方側へ貫通した締結具87のみが設けられている。このような本実施の形態によれば、一つの締結具87のみによって、ロックオフデバイス80をシート本体部30へ固定している。したがって、ロックオフデバイス80のシート本体部30への固定を極めて容易に行うことができる。
【0053】
なお、上述したように、ロックオフデバイス80は、第1前向き状態での設置において、用いられる。
図6に示すように、チャイルドシート10が第1前向き状態で車両の座席5に取り付けられる場合には、車両シートベルト7の肩ベルト7aが、一方側(図示された例では右側)のロックオフデバイス80で把持されながら他方側のベルト誘導隙間61aに支持される。腰ベルト7bは、両側のベルト誘導隙間61aに支持される。そしてこの状態で、タング8aがバックル8bに留め付けられる。
【0054】
<<ベルトガイド部材100及びストラップ部材110>>
ベルトガイド部材100は、第2前向き状態において、車両に装備されたシートベルト7の肩ベルト7aと係合して、シートベルト7の肩ベルト7aの位置を調節する部材である。
図13に示すように、シートベルト7の肩ベルト7aは、ベルトガイド部材100に形成された誘導空間(誘導穴)105を摺動可能に通過し、誘導空間(誘導穴)105を経由して延びるようになる。これにより、
図13に示すように、ベルトガイド部材100は、車両の座席5上に配置されたチャイルドシート10に着座した子供の体格に応じ、適切な位置にシートベルト7の肩ベルト7aを誘導することができる。
【0055】
図13に示すように、ベルトガイド部材100の誘導穴(誘導空間)105は、シートベルト7の断面形状に対応した細長い外輪郭の開口として形成されている。ベルトガイド部材100には、誘導穴105に通じるスリット106がさらに形成されている。
図13に示すように、スリット106の隙間(幅)はシートベルト7の厚みよりも広くなっている。したがって、シートベルト7を、誘導空間105内で湾曲させながら又は折り曲げながら、スリット106を通過させることにより、誘導空間105内にシートベルト7を挿入すること及び誘導空間105内からシートベルト7を取り外すことが可能となる。
【0056】
また、
図13に示された例において、ベルトガイド部材100には、ストラップ部材110によって挿通される三つの複数の細長孔101,102,103が形成されている。ストラップ部材100は、まず、誘導穴105から最も離間した細長孔101を貫通し、次に、誘導穴105を通過して折り返す。そして、誘導穴105に最も近接する細長孔103を通過して、その後、隣り合う細長孔102を貫通しベルトガイド部材100から離間する。このようにして、ストラップ部材110は、ベルトガイド部材100を保持している。このような方法によれば、ベルトガイド部材100をストラップ部材110によって安定して保持すること並びにストラップ部材110によるベルトガイド部材100の保持位置の調整を容易に行うことを両立することができる。なお、本実施の形態において、ストラップ部材110は、詳しくは後述するように、取り付け部110aにおいて基台70に取り付けられている。
【0057】
<<チャイルドシート本体20の隙間22>>
上述したように、チャイルドシート本体20を構成する基台70とシート本体部30との間には、後向き状態での設置においてシートベルト7が通過する隙間22が形成されている。次に、隙間22および隙間22に関連する構成について説明する。
【0058】
図5、
図9及び
図10に示すように、基台70とシート本体部30との間に、前方及び両側方に開口した隙間22が、形成されている。基台70およびシート本体部30は、隙間22よりも後方において、互いに固定されている。
図9によく示されているように、基台70は、シートベルト7を受けるガイド面71を有している。ガイド面71は、前方に向けて上方に傾斜している。また、基台70は、基台70の前方部分から後方に向けて延びだしたガイド突出部72を有している。
図3〜
図5に示すように、ガイド突出部72とガイド面71との間の空間は、後方に開口しており、この空間がシートベルトの経路を画成する。なお、ガイド突出部72は、ガイド面71から幅方向における外方にずれて配置されている。
【0059】
本実施の形態では、
図10に示すように、幅方向に離間して一対のガイド面71が設けられている。そして、各ガイド面71の幅方向における外方に、ガイド突出部72が設けられている。一方、シート本体部30は、基台70に向けて隙間22内に膨出した膨出部47を有している。膨出部47は、幅方向において二つのガイド面71の間となる位置に設けられている。
図5に示すように、膨出部47は、前後方向において、ガイド面71よりも前方に位置している。そして、
図5に示すように、チャイルドシート10の側面視において、膨出部47は、ガイド面71またはガイド面71の延長面epと交差している。ここで「延長面」とは、ガイド面71を連続的に延長した面のことである。
【0060】
なお、例えば
図14に示すように、座席部40の座部45には、座面のなす表面に、バックル受け凹部46が形成されている。バックル受け凹部46は、子供用ベルト90の少なくとも一部分を収容する。本実施の形態では、バックル受け凹部46は、バックル93を収容する凹部として形成されている。そして、座部45から隙間22内に膨出する膨出部47は、バックル受け凹部46に対応して形成されている。すなわち、バックル受け凹部46を形成するための凹みに対応して、基台70の突出した膨出部47が形成されている。
【0061】
図3〜
図5に示すように、チャイルドシート10が後向き状態で車両の座席5に取り付けられる場合、車両シートベルト7の肩ベルト7aは、まず一方側(図示された例では左側)の掛け具59によって進行方向を折り返された後、隙間22内へと進む。上述したように、掛け具59と隙間22の間において、肩ベルト7aは、側部55の折り返し材57内を誘導される(
図3、
図5、
図9、
図10参照)。肩ベルト7aは、基台70のガイド突出部72とシート本体部30との間を通過して、幅方向における一方側から隙間22内に入る。その後、他方側(図示された例では右側)のガイド面71に支持されながら、当該ガイド面71とガイド突出部72との間を通過して、隙間22から抜け出る(
図4参照)。一方、腰ベルト7bは、一方側のガイド面71に支持されながら、当該ガイド面71とガイド突出部72との間を通過して、隙間22内に入る(
図3参照)。腰ベルト7bは、その後に肩ベルト7aと合流して、他方側(図示された例では右側)のガイド面71に支持されながら、当該ガイド面71とガイド突出部72との間を通過して、隙間22から抜け出る(
図4参照)。隙間22を他方側に抜け出たタング8aがバックル8bに留め付けられる。
【0062】
このような本実施の形態によれば、チャイルドシート本体20のシート本体部30と基台70との間に形成された隙間22内に車両のシートベルト7を通すことにより、チャイルドシート本体20を車両の座席5に後向き状態で固定することができる。シートベルト7が通過する隙間22は、前方及び両側方に開口している。したがって、この隙間22内を、タング8aが通過する必要はない。薄くて且つ柔軟性を有した腰ベルト7b及び肩ベルト7aが、前方から隙間22内に挿入されて、隙間22を幅方向に横断するようにすれば、チャイルドシート10を車両の座席5に取り付けることができる。すなわち、隙間22は薄くても十分であり、このため、チャイルドシート10が大型化することを防止することができる。また、隙間22を視認することにより、直感的に、この隙間22にシートベルト7を挿入して、チャルドシート10を車両の座席5に固定することを把握することができる。さらに、シートベルト7の隙間22への挿入作業は容易に行うことができる。これらのことから、本実施の形態によれば、チャイルドシート10の大型化を防止しながら、チャイルドシート10の車両への取り付けを容易化することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、基台70とシート本体部30が、隙間22よりも後方において、固定されている。したがって、チャイルドシート本体20の取り扱いが容易となる。このため、チャイルドシート10を車両の座席5上へより容易に取り付けることができる。また、チャイルドシート10を車両の座席5上により安定して固定することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態によれば、ガイド面71は、前方に向けて上方に傾斜している。したがって、基台70とシート本体部30との間の隙間22内に挿入されたシートベルト7は、基台70のガイド面71に当接する。これにより、チャイルドシート10を車両の座席5上により安定して固定することができる。なお、上述したように、後向き状態での設置において、チャイルドシート10は前方が上方に位置するよう傾斜する。このこともともなって、下方に引き込まれる車両のシートベルト7は、より安定した状態にて、基台70のガイド面71に当接する。結果として、後向き状態でのチャイルドシート10の設置が安定する。
【0065】
さらに、本実施の形態によれば、ガイド面71との間でシートベルト7の経路を形成するガイド突出部72が設けられている。したがって、ガイド突出部71とシートベルト7との係合によって、チャイルドシート10を車両の座席5上により安定して固定することができる。また、ガイド突出部72によれば、このチャイルドシート10を取り付けるためのシートベルト7の経路を視覚的に教示することができる。これにより、チャイルドシート10の車両への取り付けをさらに容易化することができる。
【0066】
さらに、本実施の形態によれば、ガイド突出部72とガイド面71との間の空間は後方に開口している。ガイド突出部72とガイド面71との間に形成された経路にシートベルト7を容易に配置することができるとともに、シートベルト7がガイド突出部72とガイド面71との間に形成された経路から意図せず外れてしまうことを効果的に防止することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態によれば、ガイド突出部72は、ガイド面71から幅方向外方にずれて配置されている。したがって、ガイド突出部72とガイド面71との間に形成された経路にシートベルト7をより容易に配置することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態によれば、二つのガイド面71が、幅方向に離間して配置され、シート本体部30は、二つのガイド面71の間に膨出部47を有している。したがって、膨出部47とシートベルト7との係合によって、チャイルドシート10を車両の座席5上により安定して固定することができる。また、膨出部47によれば、このチャイルドシート10を取り付けるためのシートベルト7の経路を視覚的に教示することができる。これにより、チャイルドシート10の車両への取り付けをさらに容易化することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態によれば、膨出部47は、ガイド面71よりも前方に位置している。したがって、隙間22内において膨出部47よりも後方に位置するシートベルト7が、この隙間22から意図せず外れてしまうことを効果的に防止することができる。
【0070】
さらに、本実施の形態によれば、幅方向からの観察において、膨出部47は、ガイド面71またはガイド面71の延長面epと交差している。したがって、隙間22内に配置されたシートベルト7が、膨出部47を越えて隙間22から意図せず外れてしまうことを効果的に防止することができる。
【0071】
さらに、本実施の形態によれば、シート本体部30の座部45に、子供用ベルト90の少なくとも一部分を収容するバックル受け凹部46が形成されている。膨出部47は、バックル受け凹部46の反対側面として、基台70に向けて隙間22内に膨出している。つまり、バックル受け凹部46を利用して、シートベルト7の脱落防止用の膨出部47が形成されているので、材料コストの面においても都合が良い。
【0072】
さらに、本実施の形態によれば、掛け具59を介してシートベルト7の配置を調整することにより、シートベルト7からチャイルドシート10に加えられる力の向きを調整することができる。これにより、チャイルドシート10をさらに安定して車両の座席5上に固定することができる。また、掛け具59から隙間22へ向かうシートベルト7の配置を安定させることができる。したがって、シートベルト7からチャイルドシート10に加えられる力が安定する。この点からも、チャイルドシート10をさらに安定して車両の座席5上に固定することができる。
【0073】
<<チャイルドシート本体20の収納凹部25>>
上述したように、チャイルドシート本体20を構成する基台70とシート本体部30との間に、小物を収容するための収納凹部25が形成されている。次に、収納凹部25および収納凹部25に関連する構成について説明する。
【0074】
図2によく示されているように、収納凹部25は、一対の補強アーム部65の間となる位置に形成されている。このような収納凹部25によれば、着座する子供の月齢に応じてチャイルドシート10から取り外される付属部品や、子供をケアするためのケア製品等を、収納することができる。従来のチャイルドシートについても、付属の子供用ベルトを収納するための専用の収容部を有しているものもある。しかしながら、当該収容部は、ベルト部材を覆うベルトカバー等、子供用ベルトのすべてを十分に収容できるものではなかった。一方、本実施の形態によれば、収納凹部25が形成されていることにより、子供用ベルト等の付属品を、チャイルドシート10に一括して保管することが可能となる。すなわち、本実施の形態によるチャイルドシート10は、小物の取り扱い性に優れ、チャイルドシート10の利便性を改善することができる。なお、この収納凹部25は、一対の補強アーム部65の間に配置している。したがって、チャイルドシート10を大型化させることなく、また、チャイルドシート10の本来的な取り扱い性を害することなく、収納凹部25を設けることができる。
【0075】
図2に示すように、この収納凹部25は、シート本体部30の後方からアクセス可能となっている。すなわち、本実施の形態によれば、子供が着座する側とは反対側となるシート本体部30の後方側から、収納凹部25に物を収納すること或いは収納凹部25から物を取り出すことができる。すなわち、チャイルドシート10に着座した子供に影響を与えることなく、言い換えると、チャイルドシート10に子供が着座した状態にて、収納凹部25に物を収納すること或いは収納凹部25から物を取り出すことができる。したがって、収納凹部25の使い勝手が良く、チャイルドシート10の利便性を大幅に改善することができる。
【0076】
なお、
図2、
図11及び
図12に示すように、基台70は、互いに対向して配置された前壁面73a及び後壁面73bと、前壁面73a及び後壁面73bを連結する一対の側壁面73cと、前壁面73a、後壁面73b及び一対の側壁面73cに接続した底面73dと、を含んでいる。収納凹部25は、前壁面73a、後壁面73b、一対の側壁面73c及び底面73dによって形成されている。そして、
図2に示すように、各補強アーム部65の下端部の幅方向内側面65cが、基台70の側壁面73cと連続するようにして当該側壁面73cに接続している。すなわち、各補強アーム部65の下端部の幅方向内側面65cが、収納凹部25を側方から形成している。言い換えると、シート本体部30の補強アーム部65と、シート本体部30を下方から支持する基台70と、によって収納凹部25を形成している。したがって、チャイルドシート10の大型化を効果的に抑制しながら、十分な深さの収納凹部25を形成することができる。また、収納凹部25を安価に形成することが可能となる。
【0077】
ところで、
図11には、収納凹部25を形成する前壁面73a及び後壁面73bが示されている。
図11では、チャイルドシート10が後向き状態での傾きにて図示されている。上述したように、後向き状態での設置において、チャイルドシート10は前方がより上方に位置するよう傾斜する。そして、チャイルドシート10が後向き状態で車両に取り付けられた際においても、後壁面73bは、上方に向かって前方に傾斜している。したがって、チャイルドシート10が第1前向き状態または第2前向き状態で車両に取り付けられた際には、後壁面73bは、さらにきつい角度にて、上方に向かって前方に傾斜する。このような収納凹部25によれば、収納凹部25内の物が、車両の移動や停止にともなって、収納凹部25から後方に出てしまうことを効果的に防止することができる。これにより、収納凹部25に物を安定して保管することができる。
【0078】
また、
図2及び
図12によく示されているように、底面73dと前壁面73aとが合流する位置に、凸部77が形成されている。なお、本実施の形態において、シート本体部30と基台70とは別部品として形成され、
図12は、シート本体部30を取り除いて基台70のみを示す斜視図である。
図12によく示されているように、凸部77は、底面73dから前壁面73aに沿って上方に延び上がっている。また、凸部77は、前壁面73aから底面73dに沿って後方に延び出している。凸部77は、基台70の強度を向上させる部位として機能するとともに、収納凹部25を区分けする部位としても機能し、これにより、収納凹部25の使い勝手を向上させることができる。
【0079】
さらに、
図11に示すように、底面73dと後壁面73bとが合流する位置にも、凸部78が形成されている。後壁面73b側の凸部78は、前壁面73a側の凸部77と前後方向に対面する位置に配置されている。凸部78は、凸部77と同様に、基台70の強度を向上させる部位として機能するとともに、収納凹部25を区分けする部位としても機能し、これにより、収納凹部25の使い勝手を向上させることができる。また、上述したストラップ部材110の取り付け部110aは、凸部78の頂面に取り付けられている。
【0080】
なお、
図2、
図9、
図11及び
図12に示すように、チャイルドシート本体20は、収納凹部25とは別途に保管部23を有している。保管部23は、後壁面73bを介して前後方向に並べて配置されている。一例として、保管部23は、ストラップ部材110が巻き付けられた状態のベルトガイド部材100を保管するためのスペースとして利用され得る。ベルトガイド部材100は、シートベルト7と係合する部品であることから、ベルトガイド部材100を保持するストラップ部材110の取り付け部110aは、チャイルドシート本体20に固定されていることが好ましい。このため、ストラップ部材110とともにベルトガイド部材100を保管するためのスペースがチャイルドシート本体20に設けられていることが好ましい。図示された例において、保管部23には、幅方向に離間して配置された一対の保持リブ23aが設けられている。各保持リブ23aは、上下方向に延びている。図示された例のように、ベルトガイド部材100のストラップ部材110を巻き取った部位が、一対の保持リブ23a間に位置する場合、保持リブ23aによって、ストラップ部材110を巻き取った状態のベルトガイド部材100を、安定して保管部23に収容することが可能となる。
【0081】
また他の例として、保管部23が、取扱説明書を保管するためのスペースとして利用されるようにしてもよい。この例によれば、収納凹部25への物の保管状況に依らず、保管部23から取扱説明書を取り出すこと或いは保管部23へ取扱説明書を収納することが可能となる。逆に言えば、取扱説明書を気にすることなく収納凹部25を利用することができ、収納凹部25はその取り扱い性に非常に優れる。
【0082】
<子供用ベルト90>
次に、以上のようなチャイルドシート本体20に装着された子供用ベルト90、並びに、子供用ベルト90に関連したチャイルドシート本体20の構成について説明する。
【0083】
上述したように、ここで説明するチャイルドシート10は、車両に装備されたシートベルト7によって車両の座席5上に固定され得る。そして、後向き状態または第1前向き状態での設置においては、専用の子供用ベルト90によって着座した子供の身体がチャイルドシート10に固定されるようになる。本実施の形態では、
図1に示すように、子供用ベルト90は、座席部40に取り付けられている。子供用ベルト90は、股ベルトおよび肩ベルトを有する三点式ベルトとして形成されてもよいが、本実施の形態では、股ベルト、腰ベルトおよび肩ベルトを有する五点式ベルトとして形成されている。
【0084】
図1及び
図14によく示されているように、子供用ベルト90は、第1ベルト部材91と、第2ベルト部材92と、を有している。第1ベルト部材91は、股ベルトとして機能する。第2ベルト部材92は、肩ベルト92a及び腰ベルト92bとして機能する。第1ベルト部材91は、座部45の略中央に一端を固定されている。第1ベルト部材91の他端には、バックル93が取り付けられている。また、第1ベルト部材91には、ベルトカバー97が設けられている。一方、第2ベルト部材92は、幅方向に離間して一対設けられている。第2ベルト部材92は、座席部40のうちの座部45と背部50との接続位置を含む腰区域37内の幅方向両端部に位置する一対の端領域37aからそれぞれ延び出ている。なお、一対の第2ベルト部材92が、座部45の内部または裏側で互いに接続されていてもよい。各第2ベルト部材92はタング94を通過して延びており、
図1に示すように、タング94で折り返されることによって、肩ベルト92a及び腰ベルト92bが画成される。
【0085】
図1及び
図2に示すように、第2ベルト部材92の肩ベルト92a側の端部は、背部50の子供ベルト用穴51を通過して、ベルト長調節機構96に接続されている。ベルト長調節機構96は、
図2、
図14及び
図15に示すように、肩ベルト92aが取り付けられた連結金具96aと、連結金具96aに接続された調節ベルト96bと、座部45の前方部分に設けられた調節ベルトチャック96cと、を有している。調節ベルトチャック96cは、調節ベルト96bを把持する。調節ベルトチャック96cによる調節ベルト96bの把持位置を変更することによって、第2ベルト部材92の一部からなる腰ベルト92b及び肩ベルト92aの長さが調節されるようになる。
【0086】
このような子供用ベルト90を用いる場合、まず、チャイルドシート10に子供を着座させ、タング94をバックル93で係止する。次に、ベルト長調節機構96を用いて腰ベルト92b及び肩ベルト92aの長さを調節し、子供用ベルト90によって、チャイルドシート10に着座した子供をチャイルドシート10に固定することができる。
【0087】
ところで、上述したように、チャイルドシート10が
図7に示された第2前向き状態にて設置される場合、子供用ベルト90は使用されない。そこで、
図14に示すように、本実施の形態では、座席部40に、バックル受け凹部46が形成されている。バックル受け凹部46は、座席部40の幅方向における中央且つ前方となる位置に、形成されている。ベルト長調節機構96の調節ベルトチャック96cは、このバックル受け凹部46内に配置されている。また、ベルト長調節機構96の調節ベルト96bは、不使用時に折り畳まれてバックル受け凹部46内に収容され得る。同様に、第1ベルト部材91およびバックル93も、不使用時に、バックル受け凹部46内に収容され得る。なお、第1ベルト部材91が通過していたベルトカバー97や、ベルト調節機構の連結金具96aは、バックル受け凹部46内に収容されるようにしてもよいし、上述した収納凹部25に収容されるようにしてもよい。
【0088】
また、
図14に示すように、チャイルドシート本体20は、各第2ベルト部材92が延び出す位置を底面28の一部とする収納窪み27を有している。一対の収納窪み27が、各第2ベルト部材92に対応して設けられている。各収納窪み27は、対応する第2ベルト部材92を不使用時に収容することができるようになっている。上述したように、第2ベルト部材92は、座席部40のうちの座部45と背部50との接続位置を含む腰区域37内の一対の端領域37aからそれぞれ延び出ている。この第2ベルト部材92の配置に対応して、各収納窪み27は、座席部40のうちの座部45と背部50との接続位置を含む腰区域37内の一対の端領域37aにそれぞれ配置されている。
【0089】
このような本実施の形態によれば、第2ベルト部材92を収納可能な各収納窪み27は、対応する第2ベルト部材92が延び出す位置を窪み底面28の一部として含むようにして座席部40に形成されている。したがって、不使用時の第2ベルト部材92を折り畳むようにして見栄え良く収納窪み27内に形成することができる。加えて、第2ベルト部材92の延び出し位置に対応して、二つの収納窪み27が幅方向に離間して設けられている。各収納窪み27は、座席部40のうちの座部45と背部50との接続位置を含む腰区域37内の幅方向両端部に位置している。したがって、収納窪み27は、子供が、チャイルドシート10のカバー材99を介して、主として自重を掛けるようになる部位から幅方向外方且つ前後方向における後方にずれて配置されている。このため、この収納窪み27が、チャイルドシート10の座り心地を悪化させることはない。以上のようにして、本実施の形態によれば、広面積に亘る深い凹部に頼ることなく、不使用時の子供用ベルトを見栄え良く収納することが可能となる。なお、第2ベルト部材92が通過していたタング94は、収納窪み27内に収容されるようにしてもよいし、上述した収納凹部25に収容されるようにしてもよい。
【0090】
とりわけ本実施の形態において、チャイルドシート本体20は、シート本体部30上に取り付けられた一対の蓋部材89を有している。一方、
図15及び
図16に示すように、シート本体部30は、腰区域37の各端領域37aに端凹部37bを形成されている。そして、各蓋部材89は、対応する側の端凹部37bを覆うように配置されている。
図15に示すように、シート本体部30は、各第2ベルト部材92を支持する一対のベルト支持部材34を有している。各ベルト支持部材34は、対応する側の端凹部37b内に配置されている。また、各端凹部37b内には、補強リブ35が設けられている。各端凹部37b内において、少なくとも一つの補強リブ35が、ベルト支持部材34に接続している。各蓋部材89は、対応するベルト支持部材34の周囲において端凹部37bを覆っている。そして、各蓋部材89は、各ベルト支持部材34が位置する部分に、第2ベルト部材92を収納可能な収納窪み27を形成していている。
【0091】
本実施の形態によれば、補強リブ35によって、チャイルドシート本体20の剛性を増強することができる。加えて、蓋部材89によって、補強リブ35を隠して見栄えを改善することができる。また、蓋部材89が、樹脂等の比較的に高強度の材料からなる場合には、チャイルドシート本体20の剛性をさらに増強することができる。一方、蓋部材89が、その全体を又はその表面をなす一部分を、発泡スチロールやゴム等の比較的に軟らかい材料によって形成される場合には、収納窪み27によって乗り心地が悪化することを極めて効果的に防止することができる。とりわけ、端凹部37b内に補強リブ35を設けるとともに蓋部材89を比較的に軟らかい材料を用いて形成した場合には、剛性向上と乗り心地改善を両立させることができる。
【0092】
また本実施の形態では、収納窪み27は、ベルト支持部材34の端面を、窪み底面28の一部として含んでいる。より具体的には、ベルト支持部材34は筒状に形成されている。第2ベルト部材92は、筒状のベルト支持部材34の一方の開口から延び出している。そして、筒状のベルト支持部材34の一方の端面(頂面)が、窪み底面28の一部を形成している。このような本実施の形態によれば、第2ベルト部材92の支持状態を安定させることができる。
【0093】
さらに本実施の形態によれば、各端凹部37bは、側部55と座部45及び背部50との接続位置に沿うようにして、座部45及び背部50の表面に形成されている。このような本実施の形態によれば、側部55の強度を確保してチャイルドシート10の剛性を保ちながら、不使用時の第2ベルト部材92を折り畳むようにして見栄え良く収納窪み27内に形成することができる。
【0094】
<変形例>
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
【0095】
上述した実施の形態において、ロックオフデバイス80の爪片85が、フランジ部84から幅方向に延び出る基端延出部85aと、基端延出部85aから上方に延び上がる先端爪部85bと、を有する例を示したが、これに限られない。例えば、爪片85が、デバイス本体部81に設けられ前方または後方に延び出る先端爪部を有するようにしてもよい。このような例においても、デバイス本体部81が溝33内を摺動するようにして、ロックオフデバイス80をシート本体部30に対して位置決めすることができる。したがって、ロックオフデバイス80のシート本体部30への取り付けを容易化することが可能となる。
【0096】
また、上述した実施の形態とは異なり、締結具87が、補強アーム部65を後方側から前方側へ貫通して、ロックオフデバイス80のスリット80aよりも後方となる部分と係合するようにしてもよい。この例において、爪片85が、ロックオフデバイス80のスリット80aよりも前方となる部分に設けられていてもよい。このような変形例においても、ロックオフデバイス80のうちの前後方向におけるスリット80aの一方の側となる部分を、締結具87によって、シート本体部30に固定することができ、ロックオフデバイス80のうちの前後方向におけるスリット80aの他方の側となる部分を、爪片85及びフランジ部84と三方枠32との係合によって、シート本体部30に位置決めすることができる。すなわち、ロックオフデバイス80が、下方に開口したスリット80aの両側において、シート本体部30へ接続することができる。これにより、ロックオフデバイス80をシート本体部30へより確実に固定することができる。あわせて、ロックオフデバイス80の変形を防止し、ロックオフデバイス80が安定してシートベルト7を把持することが可能となる。