特許第6366975号(P6366975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6366975接着フィルム巻装体、接続体の製造方法及び電子部品の接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366975
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】接着フィルム巻装体、接続体の製造方法及び電子部品の接続方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/20 20180101AFI20180723BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20180723BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20180723BHJP
   B65H 75/14 20060101ALI20180723BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20180723BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C09J7/20
   C09J201/00
   C09J5/00
   B65H75/14
   H05K3/36 A
   H05K3/32 B
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-67169(P2014-67169)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-189836(P2015-189836A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】吉元 隆介
(72)【発明者】
【氏名】平井 隆一
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/024873(WO,A1)
【文献】 特開2011−151355(JP,A)
【文献】 特開2008−094622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
H01B 1/
B65H 75/
H05K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着フィルムと、
基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、
リール部材とを備え、
上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも高い接着フィルム巻装体。
【請求項2】
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度の+30%以下である請求項1記載の接着フィルム巻装体。
【請求項3】
接着フィルムと、
基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、
リール部材とを備え、
上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも低い接着フィルム巻装体。
【請求項4】
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度の−30%である請求項3記載の接着フィルム巻装体。
【請求項5】
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、5000〜1000000Pa・sである請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着フィルム巻装体。
【請求項6】
上記応力緩和フィルムの総断面積は、上記接着フィルム巻装体の総断面積の0.3%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着フィルム巻装体。
【請求項7】
接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、
上記接着フィルム巻装体は、
接着フィルムと、
基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、
リール部材とを備え、
上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも高い接続体の製造方法。
【請求項8】
接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、
上記接着フィルム巻装体は、
接着フィルムと、
基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、
リール部材とを備え、
上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも低い接続体の製造方法。
【請求項9】
接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、
上記接着フィルム巻装体は、
接着フィルムと、
基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、
リール部材とを備え、
上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも高い電子部品の接続方法。
【請求項10】
接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、
上記接着フィルム巻装体は、
接着フィルムと、
基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、
リール部材とを備え、
上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、
上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも低い電子部品の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状に形成された接着剤に関し、特にリールに巻回されたフィルム巻装体として製造され、使用時に巻き出される接着フィルム巻装体、これを用いた接続体の製造方法、及び電子部品の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品と回路基板等とを接続する手段として、異方性導電フィルム(ACF:Anisortropic Conductive Film)が用いられている。この異方性導電フィルムは、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)やICチップの端子と、LCDパネルのガラス基板上に形成されたITO(Indium Tin Oxide)電極とを接続する場合をはじめとして、種々の端子同士を接着すると共に電気的に接続する場合に用いられている。
【0003】
この異方性導電フィルムとしては、一般にエポキシ樹脂系の絶縁性バインダー樹脂(接着剤)の中に導電性粒子を分散させたものが使用されており、例えば、ICチップの端子とガラス基板におけるITO電極との間に、導電性粒子が挟まれて潰されることにより、前記ICチップの端子とITO電極との電気的接続が実現され、また、この状態でバインダー樹脂が硬化されることにより、ICチップとガラス基板との機械的接続が実現されている。
【0004】
異方性導電フィルム50は、幅数mmの長尺のフィルムであり、図4に示すように、製造時には導電性粒子56を含有するバインダー樹脂層51がPET(Poly Ethylene Terephthalate)等の剥離フィルム52に積層され、この剥離フィルム52に支持された状態で、図1に示すように、リール53の巻芯53aに巻回されている。異方性導電フィルム50は、リール53に巻回されたフィルム巻装体54の状態で保管され、使用時にはこのリール53より引き出され、必要な長さにカットされた後、電子部品の接続に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−94622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モバイル用途の電子機器等においては、機器本体の小型化が進み、これに伴い内部に実装される電子部品及びその実装領域も小型化、狭小化されている。これに伴い、異方性導電フィルムも幅1mm以下のものが求められている。また、リールの交換頻度を少なくし生産効率を上げるために、フィルム巻装体54には、異方性導電フィルムを可及的に長く、例えば300mもの長さで巻回することが求められている。
【0007】
しかし、フィルム巻装体は、巻回される異方性導電フィルムの長さが長くなるほど、リール53から引き出す際にテンションによる巻締まりが生じ、この巻締まりによる応力は巻芯部になるほど大きくなる。
【0008】
異方性導電フィルム50をフィルム巻装体54から引き出す際に、特にリールの中心部において応力が発生すると、バインダー樹脂層51が変形してバインダー樹脂成分のはみ出しを誘発する。さらにはみ出したバインダー樹脂がリール53のフランジ55と接着して、異方性導電フィルム50を正常に引き出すことができない、所謂ブロッキングが生じる。この現象は、特に粘性が低い異方性導電フィルムにおいて顕著に発生する傾向がある。
【0009】
また、巻装体54の巻締まりによる応力を低減させるべく、異方性導電フィルム50を短尺化すると、リール53の交換頻度が増し、その都度ラインを停止する必要があるなど、生産効率が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における課題を解決するものであり、接着フィルムの引き出し時のテンションによって巻締まりが生じた場合にも、巻締まりの応力によるバインダー樹脂成分のはみ出しを抑制し、いわゆるブロッキングの発生を防止することができる接着フィルム巻装体、接続体の製造方法及び電子部品の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る接着フィルム巻装体は、接着フィルムと、基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、リール部材とを備え、上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも高いものである。
また、本発明に係る接着フィルム巻装体は、接着フィルムと、基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、リール部材とを備え、上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも低いものである。
【0012】
また、本発明に係る接続体の製造方法は、接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、上記接着フィルム巻装体は、接着フィルムと、基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、リール部材とを備え、上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも高いものである。
また、本発明に係る接続体の製造方法は、接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、上記接着フィルム巻装体は、接着フィルムと、基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、リール部材とを備え、上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも低いものである。
【0013】
また、本発明に係る電子部品の接続方法は、接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、上記接着フィルム巻装体は、接着フィルムと、基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、リール部材とを備え、上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも高いものである。
また、本発明に係る電子部品の接続方法は、接着フィルム巻装体より引き出された接着フィルムを第1の電子部品に仮貼りし、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を配設し、上記第1の電子部品と上記第2の電子部品とを圧着させるとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有し、上記接着フィルム巻装体は、接着フィルムと、基材フィルムと、上記基材フィルムに支持された塑性変形する樹脂層とを有し、上記接着フィルムと長手方向に連続され、上記接着フィルムの巻き締りによる応力を緩和する応力緩和フィルムと、リール部材とを備え、上記接着フィルムが上記応力緩和フィルムを介して上記リール部材に巻きつけられることにより、上記応力緩和フィルムに上記接着フィルムが積層され、上記応力緩和フィルムの上記樹脂層の30℃における粘度は、上記接着フィルムの接着剤層の30℃における粘度よりも低いものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、応力緩和フィルムの樹脂層が塑性変形することにより、巻出し時に接着フィルムに掛かる応力が効果的に緩和され、はみ出しやブロッキングを防止することができる。したがって、粘性の低い接着層を有する接着フィルムでも、長尺化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明が適用されたフィルム巻装体を示す斜視図である。
図2図2は、応力緩和フィルムと異方性導電フィルムとが連続されている状態を示す断面図である。
図3図3は、フィルム巻装体の断面図であり、Aは異方性導電フィルムの巻回領域を示し、Bは応力緩和フィルムの巻回領域を示す。
図4図4は、従来の異方性導電フィルムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された接着フィルム巻装体、接続体の製造方法及び電子部品の接続方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
本発明が適用されたフィルム巻装体1は、図1に示すように、接着フィルム2が応力緩和フィルム5を介してリール3に巻回されることにより形成される。
【0018】
[リール]
リール3は、接着フィルム2を巻き取る筒状の巻芯10と、巻芯10の両端にそれぞれ設けられた板状のフランジ11とを備える。巻芯10は、リール3を回転させるための回転軸が挿入される軸穴10aを有する。巻芯10には、接着フィルム2の長手方向の一方の端部が接続され、応力緩和フィルム5及び接着フィルム2が巻回されている。
【0019】
巻芯10及びフランジ11は、例えば、種々のプラスチック材料を用いて形成することができる。フランジ11は、接着フィルム2と接する面に、静電処理を施すようにしてもよい。静電処理を施す方法としては、例えば、ポリチオフェン等の化合物をフランジ11に塗布する方法が挙げられる。
【0020】
[接着フィルム]
リール3に巻回されフィルム巻装体1を構成する接着フィルム2としては、電子部品を回路基板等に実装するCOG実装や、基板同士を接続するFOG実装などに用いられる異方性導電フィルム(ACF:Anisortropic Conductive Film)、あるいは太陽電池の電極とタブ線とを接続する導電性接着フィルム等が例示される。
【0021】
以下では、接着フィルム2として異方性導電フィルム20を例に説明する。図2は、応力緩和フィルム5と異方性導電フィルム20とが連続されている状態を示す断面図である。異方性導電フィルム20は、剥離フィルム21と、剥離フィルム21上に形成されたバインダー樹脂層22とを備える。異方性導電フィルム20は、テープ状に成型されており、フランジ11に挟持された巻芯10に、剥離フィルム21が外周側となるように巻回されることにより、巻芯10とフランジ11とで形成された領域に、フィルム巻装体1を構成する。
【0022】
[剥離フィルム]
剥離フィルム21は、例えば、基材にシリコーン等の剥離剤が塗布されており、テープ状に成型されている。剥離フィルム21は、異方性導電フィルム20の乾燥を防ぐとともに、異方性導電フィルム20の形状を維持する。剥離フィルム21に用いられる基材としては、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等が挙げられる。
【0023】
[バインダー樹脂層]
図2に示すように、バインダー樹脂層22は、膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダー樹脂からなり、導電性粒子25が分散されている。
【0024】
バインダー樹脂に含有される膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0025】
硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、市販のエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0026】
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0027】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、加熱硬化型、UV硬化型等の各種硬化剤が挙げられる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、熱、光、加圧等の用途に応じて選択される各種のトリガにより活性化し、反応を開始する。熱活性型潜在性硬化剤の活性化方法には、加熱による解離反応などで活性種(カチオンやアニオン、ラジカル)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤を高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる溶出・硬化方法等が存在する。熱活性型潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等や、これらの変性物があり、これらは単独でも、2種以上の混合体であってもよい。中でも、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が好適である。
【0029】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0030】
バインダー樹脂を構成する接着剤組成物は、このように膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する場合に限定されず、通常の異方性導電フィルムの接着剤組成物として用いられる何れの材料から構成されるようにしてもよい。
【0031】
[導電性粒子]
導電性粒子25としては、異方性導電フィルム1において使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子25としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。
【0032】
[2層ACF]
なお、本発明に係る異方性導電フィルム20は、導電性粒子25を含有するバインダー樹脂層22と、導電性粒子が含まれない絶縁性の接着剤組成物からなる絶縁性接着剤層とを積層されてなる2層構造の異方性導電フィルムとしてもよい。
【0033】
絶縁性接着材を構成する絶縁性の接着剤組成物は、膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダー成分からなり、上述したバインダー樹脂層22の接着剤組成物と同様の材料で構成することができる。
【0034】
この2層構造の異方性導電フィルム20は、絶縁性接着剤を構成する接着剤組成物を剥離フィルムに塗布、乾燥させた後、上述した剥離フィルム21に積層支持されたバインダー樹脂22と貼り合わせることにより形成することができる。
【0035】
また、本発明に係る接着フィルムは、導電性粒子25を含有する導電性の接着フィルムの他、導電性粒子を含有しない絶縁性接着フィルム(NCF:Non Conductive Film)でもよい。
【0036】
[応力緩和フィルム]
応力緩和フィルム5は、異方性導電フィルム20と巻芯10との間に介在して巻回されることにより、フィルム巻装体1から異方性導電フィルム20を引き出す際に巻き締りによる応力が掛かった場合にも、当該応力を緩和して、異方性導電フィルム20のバインダー樹脂層22にはみ出しやブロッキングが発生することを防止するものである。
【0037】
応力緩和フィルム5は、基材フィルム30と、基材フィルム30に支持され、塑性変形することにより応力を緩和する応力緩和樹脂層31とを有する。
【0038】
基材フィルム30は、フィルム状に形成されるとともに応力緩和樹脂層31を支持するものであり、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、PEN(Poly Ethylene naphthalate)、PE(Poly Ethylene)、PP(Polypropylene)、アルミ箔等のフィルムが挙げられる。
【0039】
基材フィルム30に支持されている応力緩和樹脂層31は、応力が印加されることにより塑性変形し、これにより応力を緩和するものであり、塑性変形可能な各種樹脂を用いて形成することができる。例えば、応力緩和樹脂層31は、上述したバインダー樹脂層22の膜形成樹脂として用いられる平均分子量が10000〜80000程度のエポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂、これらの積層体を用いて形成することができる。
【0040】
応力緩和フィルム5は、異方性導電フィルム20と連続され、異方性導電フィルム20が巻芯10に巻回されるに先立って巻芯10に巻回される。そして、応力緩和フィルム5は、フィルム巻装体1より異方性導電フィルム20が引き出される際に、応力が巻芯10方向に累積的に掛かると、応力緩和樹脂層31が塑性変形し当該応力を緩和させることができる。
【0041】
異方性導電フィルム20は、リール3から引き出されると、巻芯10方向に累積的に応力が掛かり、これにより剥離フィルム21とバインダー樹脂層22との間がズレて、隙間(巻巣)が発生し、さらに応力が加わるとバインダー樹脂層22が異方性導電フィルム20の巻装体からはみだし、フランジ11に付着することで正常に引き出せなくなる(ブロッキング)。
【0042】
しかし、フィルム巻装体1は、異方性導電フィルム20が応力緩和フィルム5を介して巻芯10に巻回されているため、異方性導電フィルム20が引き出される際に応力が巻芯10方向に累積的に掛かった場合にも、応力緩和樹脂層31が塑性変形することにより当該応力を緩和でき、特に巻芯10付近における異方性導電フィルム20のバインダー樹脂層22のはみ出しやブロッキングを防止することができる。
【0043】
[樹脂層の粘度]
ここで、応力緩和フィルム5の応力緩和樹脂層31の粘度は、異方性導電フィルム20のバインダー樹脂層22の粘度の+30%以下が好ましい。応力緩和樹脂層31の粘度がバインダー樹脂層22の粘度の+30%より高いと応力緩和性が不十分となり、バインダー樹脂層22のはみ出しやブロッキングを防止することができない。
【0044】
なお、応力緩和樹脂層31の粘度は、バインダー樹脂層22の粘度よりも高くとも構わない。これは、応力緩和フィルム5は異方性導電フィルム20よりも巻芯10側に巻回されるものであり、フィルム巻装体1に係る応力は、巻芯10側に向かって累積的に大きくなる。すなわち、応力緩和フィルム5には異方性導電フィルム20よりも大きな応力が掛かるため、バインダー樹脂層22の粘度よりも高い粘度を有してもバインダー樹脂層22に係る応力を緩和することができる。
【0045】
また、応力緩和フィルム5の応力緩和樹脂層31の粘度は、異方性導電フィルム20のバインダー樹脂層22の粘度の−30%とすることが好ましい。応力緩和樹脂層31の粘度を、バインダー樹脂層22の粘度よりも低くすることで、より効果的にバインダー樹脂層22に係る応力を緩和することができ、−30%程度とすることで、応力緩和性を最も効果的に発現することができる。
【0046】
なお、応力緩和樹脂層31の粘度は、5000Pa・s以上、1000000Pa・s以下であることが好ましい。5000Pa・sよりも低い粘度では、応力が掛かると応力緩和樹脂層31が直ちに塑性変形しきってしまい、異方性導電フィルム20の引出時に累積的に加わる応力を緩和しきれずに、バインダー樹脂層22のはみ出しやブロッキングを防止することができない。また、1000000Pa・sよりも高い粘度では、多くの接着フィルム2のバインダー樹脂層にとって相対的に粘度が高くなり過ぎて、引出時における応力緩和性が不十分となり、はみ出しやブロッキングを防止することができない。
【0047】
[樹脂層の断面積]
また、応力緩和フィルム5は、巻芯10に巻回された時のフィルム巻装体1における総断面積は、フィルム巻装体1の総断面積の約0.3%以上であることが好ましい。すなわち、図3に示す断面視において、応力緩和フィルム5の巻回領域の断面積Bは、フィルム巻装体1の断面積Aの0.3%以上となるように巻回することが好ましい。
【0048】
フィルム巻装体1における応力緩和フィルム5の総断面積がフィルム巻装体1の総断面積の0.3%未満であると、応力緩和効果が十分ではなく、バインダー樹脂層22のはみ出しやブロッキングを防止することができない。応力緩和フィルム5の総断面積の上限は特に設けないが、総断面積が増えると応力緩和フィルム5の巻回長さが長くなり、その分異方性導電フィルム20を巻回することができなくなることから、適切な総断面積となるよう調整する。
【0049】
ここで、応力緩和フィルム5の総断面積は、基材フィルム30に塗布する応力緩和樹脂層31の塗布厚みや巻芯10への巻回長さによって、容易に調整することができる。なお、基材フィルム30への塗布厚みは任意に設定することができるが、基材フィルム30の厚さの300%以内とすることが、塗布ムラを防止するうえで好ましい。また、応力緩和樹脂層31の塗布厚みが薄いと、所定の総断面積を得るためには応力緩和フィルム5の長さを長くし、多重に巻回する必要がある。
【0050】
なお、応力緩和フィルム5は、基材フィルム30の全長にわたって応力緩和樹脂層31を塗布する必要はなく、異方性導電フィルム20あるいは異方性導電フィルム20の終端を示す黒PETとの接続領域となる一端部や、巻芯10へ巻回される他端部には、応力緩和樹脂層31を塗布しなくてもよい。
【0051】
異方性導電フィルム20は、何れの方法で作製するようにしてもよいが、例えば以下の方法によって作製することができる。バインダー樹脂層22を構成する膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤、導電性粒子25等を含有する接着剤組成物を調整する。調整した接着剤組成物をバーコーター、塗布装置等を用いて剥離フィルム21上に塗布し、オーブン等によって乾燥させることにより、剥離フィルム21にバインダー樹脂層22が積層支持された異方性導電フィルム20を得る。
【0052】
異方性導電フィルム20は、適宜所定の幅にスリットされた後、図2に示すように、終端の目印となる黒色に着色された黒PET34と接着テープ35等によって接続される。また、異方性導電フィルム20は、黒PET34と応力緩和フィルム5とが接着テープ35等によって接続されることにより、応力緩和フィルム5と連続される。そして、異方性導電フィルム20は、応力緩和フィルム5が巻芯10に巻回された後、黒PET34に引き続いて所定の長さだけリール3に巻回されていく。これにより、フィルム巻装体1が製造される。
【0053】
なお、フィルム巻装体1に巻回される異方性導電フィルム20は、巻回長さが300m以下のものが、応力緩和によるはみ出しやブロッキングを防止する上で好ましい。300mより長い異方性導電フィルム20でも本発明によるはみ出し防止の効果を奏することはもちろんである。
【0054】
フィルム巻装体1から異方性導電フィルム20が引き出されると、異方性導電フィルム20及び応力緩和フィルム5には、巻き締りによる応力が印加され、巻芯10方向に向かって累積的に強まる。このとき、フィルム巻装体1によれば、異方性導電フィルム20が応力緩和フィルム5を介してリール3に巻きつけられているため、応力緩和樹脂層31が塑性変形することにより異方性導電フィルム20に係る応力が緩和され、バインダー樹脂層22のはみ出しやブロッキングを防止することができる。
【0055】
また、フィルム巻装体1は、異方性導電フィルム20とリール3の巻芯10との間に応力緩和フィルム5を介在させるだけで製造できるため、従来の異方性導電フィルム20の巻装体に対して容易に適用することができる。さらに、応力緩和フィルム5は、巻き締りによる応力を受けて塑性変形する応力緩和樹脂層31の粘度や厚み、巻回長さによって、応力緩和性を容易に調整することができ、異方性導電フィルム20のバインダー樹脂層22の粘度や巻回長さ等に応じて必要な応力緩和性を容易に得ることができる。
【0056】
フィルム巻装体1より引き出された異方性導電フィルム20は、バインダー樹脂層22が回路基板に仮貼りされる。仮貼り後、異方性導電フィルム20は、剥離フィルム21が剥離され、ICチップ等の各種電子部品が搭載された後、熱加圧や紫外線照射等による本圧着工程に供される。これにより、回路基板に異方性導電フィルム20を介して電子部品が接続された接続体が製造される。
【実施例】
【0057】
次いで本発明の実施例について説明する。本実施例では、応力緩和フィルムの有無や、応力緩和フィルムの樹脂層の組成、断面積比率及び粘度を変えたフィルム巻装体のサンプルを形成し、引出時におけるはみ出しやブロッキングの有無といった引出特性について測定、評価した。
【0058】
[異方性導電フィルム]
実施例及び比較例に係る異方性導電フィルムは、2官能アクリレート(DCP、新中村化学社製)35質量部、フェノキシ樹脂(YP50、東都化成社製)35質量部、ウレタンアクリレート(U‐2PPA、新中村化学社製)20質量部、導電性粒子(AUL705、積水化学工業社製)5質量部、シランカップリング剤(KBE−503、信越化学工業社製)1質量部、脂肪族系ジアシルパーオキサイド(パーロイルL、日油社製)4質量部を溶剤に加えたバインダー樹脂組成物を調整し、このバインダー樹脂組成物を剥離PETフィルム(幅1mm、厚さ50μm)上に塗布した後、溶剤を揮発させることにより、厚み35μmのバインダー樹脂層を有する異方性導電フィルムを形成した。
【0059】
この異方性導電フィルムを長さ300mにわたって巻回し、フィルム巻装体を作成した。フィルム巻装体の断面積は、6.0E+09(μm2)であった。
【0060】
また、バインダー樹脂層の粘度は、60000(Pa・s/30℃)であった。粘度(Pa・s/30℃)の測定は、回転式レオメータ(TA Instruments社)を用い、昇温速度:10℃/分、測定圧力:0〜5g、使用測定プレート直径:8mm、周波数:1Hzの条件で異方性導電フィルムの動的粘弾性測定を行い、30℃における粘度を測定した。
【0061】
[応力緩和フィルム]
異方性導電フィルムに接続する応力緩和フィルムは、固形エポキシ樹脂(商品名:EP828、ジャパンエポキシレジン社製)とフェノキシ樹脂(YP50、東都化成社製)を溶剤に加えた樹脂組成物を調整し、基材フィルム(PET、厚さ50μm)に塗布、乾燥させることにより形成した。
【0062】
[フィルム巻装体]
実施例1〜5、及び比較例2では、応力緩和フィルムをリールに巻きつけた後、応力緩和フィルムの先端に黒PETを2mつないで巻回し、さらに、黒PETの先端に異方性導電フィルムを接続し300mにわたって巻回することによりフィルム巻装体を作成した。比較例1では、黒PETをリールに巻きつけた後、黒PETの先端に異方性導電フィルムを接続し300mにわたって巻回することによりフィルム巻装体を作成した。各実施例及び各比較例に係るフィルム巻装体の断面積は、6.0E+09(μm2)である。
【0063】
[実施例1]
実施例1では、固形エポキシ樹脂70質量部とフェノキシ樹脂30質量部とを混合し、基材フィルム上に厚さ20μm、長さ6mにわたって応力緩和樹脂層を形成した。実施例1に係る応力緩和樹脂層の粘度は、5000(Pa・s/30℃)である。また、実施例1に係るフィルム巻装体は、応力緩和フィルムの総断面積が1.20E+08(μm2)であり、これはフィルム巻装体の断面積の0.57%となる。
【0064】
[実施例2]
実施例2では、固形エポキシ樹脂50質量部とフェノキシ樹脂50質量部とを混合し、基材フィルム上に厚さ8μm、長さ6mにわたって応力緩和樹脂層を形成した。実施例2に係る応力緩和樹脂層の粘度は、50000(Pa・s/30℃)である。また、実施例2に係るフィルム巻装体は、応力緩和フィルムの総断面積が6.00E+07(μm2)であり、これはフィルム巻装体の断面積の0.29%となる。
【0065】
[実施例3]
実施例3では、固形エポキシ樹脂50質量部とフェノキシ樹脂50質量部とを混合し、基材フィルム上に厚さ20μm、長さ6mにわたって応力緩和樹脂層を形成した。実施例3に係る応力緩和樹脂層の粘度は、50000(Pa・s/30℃)である。また、実施例3に係るフィルム巻装体は、応力緩和フィルムの総断面積が1.20E+08(μm2)であり、これはフィルム巻装体の断面積の0.57%となる。
【0066】
[実施例4]
実施例4では、固形エポキシ樹脂45質量部とフェノキシ樹脂55質量部とを混合し、基材フィルム上に厚さ20μm、長さ6mにわたって応力緩和樹脂層を形成した。実施例4に係る応力緩和樹脂層の粘度は、78000(Pa・s/30℃)である。また、実施例4に係るフィルム巻装体は、応力緩和フィルムの総断面積が1.20E+08(μm2)であり、これはフィルム巻装体の断面積の0.57%となる。
【0067】
[実施例5]
実施例5では、固形エポキシ樹脂55質量部とフェノキシ樹脂45質量部とを混合し、基材フィルム上に厚さ20μm、長さ6mにわたって応力緩和樹脂層を形成した。実施例5に係る応力緩和樹脂層の粘度は、42000(Pa・s/30℃)である。また、実施例5に係るフィルム巻装体は、応力緩和フィルムの総断面積が1.20E+08(μm2)であり、これはフィルム巻装体の断面積の0.57%となる。
【0068】
[比較例1]
比較例1では、応力緩和フィルムを介在させずに、黒PETを8.4mにわたってリールに巻きつけた後、黒PETの先端に異方性導電フィルムを接続し、巻回することによりフィルム巻装体を形成した。なお、黒PETの巻回長さは、実施例3における応力緩和フィルムの断面積分をPET長さに置き換えて算出したものであり、比較例1に係るフィルム巻装体は、実施例3と異方性導電フィルムの巻回長さ、フィルム巻装体の断面積は同じである。
【0069】
[比較例2]
比較例2では、固形エポキシ樹脂43質量部とフェノキシ樹脂57質量部とを混合し、基材フィルム上に厚さ20μm、長さ6mにわたって応力緩和樹脂層を形成した。比較例2に係る応力緩和樹脂層の粘度は、84000(Pa・s/30℃)である。また、比較例2に係るフィルム巻装体は、応力緩和フィルムの総断面積が1.20E+08(μm2)であり、これはフィルム巻装体の断面積の0.57%となる。
【0070】
これら実施例1〜5及び比較例1,2に係るフィルム巻装体について、異方性導電フィルムの引出時におけるバインダー樹脂層のはみ出しやブロッキングの有無といった引出特性について評価した。具体的には、フィルム巻装体の異方性導電フィルムの先端部に50gの重りをぶら下げ、フィルム巻装体を30℃環境下に6時間放置した。その後、異方性導電フィルムを300mすべて引出して、バインダー樹脂がリールフランジに付着するはみ出しや、バインダー樹脂がリールフランジに付着することで、異方性導電フィルムが正常に引き出せなくなるブロッキングの発生の有無を評価した。
【0071】
その結果、ブロッキングが発生せず、目視にてはみ出しも観察されなかった場合を◎(最良)、はみ出しは見られたがブロッキングの発生には至らなかった場合を〇(良好)、ブロッキングの発生は認められるが異方性導電フィルムの引出しは可能の場合を△(普通)、ブロッキングが発生した結果、異方性導電フィルムを正常に引出せなかった場合を×(不良)と評価した。
【0072】
【表1】
【0073】
表1に示すように、実施例1〜5では、いずれも異方性導電フィルムの引出しは可能であった。これは、各実施例に係るフィルム巻装体においては応力緩和樹脂層が塑性変形することにより、巻出し時における応力が効果的に緩和されたためである。一方、応力緩和フィルムを介在させない比較例1では、応力緩和フィルムを介在させていないため、異方性導電フィルムに係る応力が緩和されず、ブロッキングが発生し異方性導電フィルムを正常に引き出すことが出来なかった。また、比較例2では、応力緩和樹脂層の粘度が異方性導電フィルムのバインダー樹脂層の粘度よりも40%高く、応力緩和性が不十分となった。
【0074】
実施例4と実施例5とを対比すると、応力緩和樹脂層の粘度が異方性導電フィルムのバインダー樹脂層の粘度よりも30%高い実施例4では、異方性導電フィルムの引出しは行えるものの、ブロッキングの発生が認められた。一方、応力緩和樹脂層の粘度が異方性導電フィルムのバインダー樹脂層の粘度よりも30%低い実施例5では、はみ出しやブロッキングが観察されなかった。これより、応力緩和樹脂層の粘度が異方性導電フィルムのバインダー樹脂層の粘度の+30%以下とすることが好ましく、−30%とすることがより好ましいことが分かる。
【0075】
実施例2と実施例3とを対比すると、応力緩和フィルムの総断面積がフィルム巻装体の断面積の0.29%である実施例2では、異方性導電フィルムの引出しは行えるものの、ブロッキングの発生が認められた。一方、応力緩和フィルムの総断面積がフィルム巻装体の断面積の0.57%である実施例3では、はみ出しは観察されたもののブロッキングには至らなかった。これより、応力緩和樹脂層の総断面積がフィルム巻装体の断面積の0.3%以上とすることが好ましいことが分かる。
【0076】
実施例1と実施例5を対比すると、応力緩和樹脂層の粘度が5000(Pa・s/30℃)の実施例1では、異方性導電フィルムの引出しは行えるものの、ブロッキングの発生が認められた。一方、応力緩和樹脂層の粘度が42000(Pa・s/30℃)の実施例5では、はみ出しやブロッキングが観察されなかった。これより、応力緩和樹脂層の粘度は、5000(Pa・s/30℃)以上有することが好ましいことが分かる。
【符号の説明】
【0077】
1 フィルム巻装体、2 接着フィルム、3 リール、10 巻芯、10a 軸穴、11 フランジ、20 異方性導電フィルム、21 剥離フィルム、22 バインダー樹脂層、25 導電性粒子、30 基材フィルム、31 応力緩和樹脂層、35 接着テープ
図1
図2
図3
図4